JP2006247661A - 突起部の加工方法および突起部を有する加工部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属板に突起部6aを形成する方法であって、突起部6aはその側部に軸方向ストレート面6bを有する突起部の加工方法において、突起部6a加工時に亀裂が発生するのを抑えることができる加工方法を提供する。
【解決手段】金属板に予備加工を施して側部断面形状に曲線部6eを有する突起部6aを形成する予備工程を実施し、次いで、ストレート面加工部32を備えた型29を突起部6aへ押し込んで曲線部6eのアールを小さくすることにより突起部6aの側部に軸方向ストレート面6bを形成する本工程を実施する。工程を二つに分けたことにより、亀裂の発生を有効に抑えることができる。
【選択図】図5
【解決手段】金属板に予備加工を施して側部断面形状に曲線部6eを有する突起部6aを形成する予備工程を実施し、次いで、ストレート面加工部32を備えた型29を突起部6aへ押し込んで曲線部6eのアールを小さくすることにより突起部6aの側部に軸方向ストレート面6bを形成する本工程を実施する。工程を二つに分けたことにより、亀裂の発生を有効に抑えることができる。
【選択図】図5
Description
本発明は、金属板に突起部を形成する突起部の加工方法と、前記突起部を有する加工部品とに関するものである。
従来から、図6に示すような自動車等に搭載される自動変速機の動力接続部(クラッチ部)1が知られており、この動力伝達部1は以下のように構成されている。
すなわち先ず、内燃機関側からの駆動力が伝達される入力軸2の外周側(図では左側)に有底円筒形状のドラム3が固定されている。入力軸2の外周側であってドラム3の内部には、ボンデッドピストン(ピストンプレート)4、リターンスプリング5、キャンセラープレート6および多板クラッチ7等が配置されている。
ボンデッドピストン4はその名のとおり、ドラム3内で軸方向(図では上下方向)に往復動するように配置されており、その内外周をOリング8またはシールリップ9等のシール手段によってシールされている。キャンセラープレート6はその内周端部にて、入力軸2の外周に固定したスナップリング10に係合しており、よってその軸方向移動を制限されている。リターンスプリング5は、ボンデッドピストン4とキャンセラープレート6の間に配置されており、ボンデッドピストン4を軸方向一方(図では上方向)へ向けて弾性付勢している。多板クラッチ7は、複数枚のクラッチ板(図示せず)を有しており、これに対応してボンデッドピストン4の外周部にはクラッチ押圧部4aが設けられている。
ボンデッドピストン4の図上上側の空間は圧力室11とされており、この圧力室11には圧力ポート(図示せず)から制御油圧が導入される。圧力室11に制御油圧が導入されると、ボンデッドピストン4がリターンスプリング5の弾性に抗して軸方向他方(図では下方)へ移動し、押圧部4aが多板クラッチ7を押圧してクラッチ板を圧着させ、駆動力が伝達される。圧力室11の制御油圧が引かれると、ボンデッドピストン4がリターンスプリング5の弾性により軸方向一方へ復帰動し、駆動力の伝達が解除される。
上記構成の動力接続部1において、キャンセラープレート6には、スナップリング10係合用の突起部6aが設けられている。すなわち、図6のA部拡大図である図7に示すように、キャンセラープレート6の内周端部には、スナップリング10との係合面を形成すべく或る程度のストレート部が必要とされるため、側部に軸方向ストレート部6bを備えた突起部6aが設けられている。
従来、この突起部6aは、「半抜き」と呼ばれるプレス加工方法により形成されている。すなわち、図8に示すように、凹部22を備えた一方の型21と、凸部24を備えた他方の型23との組み合わせよりなるプレス型を用いてキャンセラープレート6をその厚み方向に挟圧し、これによりキャンセラープレート6の一面に突起部6aを形成し、同時に突起部6aの側部(内周部、図では右側)に軸方向ストレート部6bを形成する。突起部6aに対応してキャンセラープレート6の他面には凹み部6cが形成される。
しかしながら、上記従来の加工方法によると、プレス型における凹部22と凸部24の内外径が同じに設定され(凹部22の内外径をd1,d2、凸部24の内外径をd3,d4として、d1=d3,d2=d4)、かつこれらの各側面22a,24aが軸方向ストレートに設定されていることから、このようなプレス型を用いて突起部6aを形成すると、突起部6aの付け根部6dが薄肉となって応力が集中し易く、よってこの付け根部6dに亀裂が発生することがある。
上記亀裂の発生を防止するため、本願出願人は先に、抜き方向にストレートとなる突起部の第一の外周側面部を形成するダイスの内周領域に対向するパンチの外周領域をオフセットし、前記突起部の第一の外周側面部の反対側に抜き方向に対し傾斜した第二の外周側面部を形成するためにパンチとダイスに対向するテーパ部を備え、前記パンチとダイスにより板材を半抜きして突起部を形成する突起部のプレス加工方法を提案しているが、上記ダイスとパンチのオフセット設定には厳しい寸法管理が要求される(特許文献1)。
本発明は以上の点に鑑みて、上記オフセット等の技術を採用しなくても、突起部加工時に亀裂が発生するのを有効に抑えることができる突起部の加工方法と突起部を有する加工部品とを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による突起部の加工方法は、金属板に突起部を形成する方法であって、前記突起部はその側部に軸方向ストレート面を有する突起部の加工方法において、前記金属板に予備加工を施して側部断面形状に曲線部を有する突起部を形成する予備工程を実施し、次いで、ストレート面加工部を備えた型を前記突起部へ押し込んで前記曲線部のアールを小さくすることにより前記突起部の側部に軸方向ストレート面を形成する本工程を実施することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2による突起部を有する加工部品は、上記請求項1記載の加工方法により突起部を形成された加工部品であって、当該加工部品は、自動変速機の動力伝達部に用いられるキャンセラープレートであり、軸方向ストレート面を有する突起部は、スナップリング係合用の突起部として用いられることを特徴するものである。
上記構成を備えた本発明の加工方法においては、金属板に予備加工を施して側部断面形状に曲線部を有する突起部を形成する予備工程を実施し、次いで、ストレート面加工部を備えた型を突起部へ押し込んで曲線部のアールを小さくすることにより突起部の側部に軸方向ストレート面を形成する本工程を実施することから、工程が二つに分かれることになって、上記従来技術における「半抜き」加工は行なわれないことになる。したがって、「半抜き」加工の実施に伴う亀裂の発生を抑えることが可能となり、加工部品を高強度なものとすることが可能となる。
本発明は、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の請求項1による加工方法においては、金属板に突起部を形成する方法であって、突起部はその側部に軸方向ストレート面を有する突起部の加工方法において、金属板に予備加工を施して側部断面形状に曲線部を有する突起部を形成する予備工程を実施し、次いで、ストレート面加工部を備えた型を突起部へ押し込んで曲線部のアールを小さくすることにより突起部の側部に軸方向ストレート面を形成する本工程を実施することから、工程が二つに分かれ、「半抜き」加工は行なわれないことになる。したがって、突起部の付け根部に亀裂が発生するのを有効に抑えることができる。また、上記方法によって突起部を形成された加工部品は、高強度なものとなり、よって例えば請求項2にて特定したように、自動変速機の動力伝達部のキャンセラープレートとして用いるのに好適なものとなる。
尚、本発明には、以下の実施形態が含まれる。
先ず、曲げや絞りによる予備成形にて突起を加工する。次に、突起部上面を楔状の成形型を押し込むことでR(アール)を小さくしてストレート面を確保する。半抜き成形ではないため、亀裂の発生は防止できる。尚、楔状の成形型先端をR(アール)状にすることで応力集中を緩和することもできる。スナップリング止め突起は、円周すべて、不連続(等配)のものにも適用できる。また、半抜きによる成形や絞りなどによる成形後に本発明の方法を用い、更にストレート面を増大することもできる。本発明の方法によれば、突起成形時亀裂の発生を抑えてストレート面を確保することができる。
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の実施例に係る加工方法によって突起部6aを形成された加工部品6の要部断面を示しており、具体的には、自動変速機の動力伝達部に用いられるキャンセラープレート6の内周端部の断面を示している。突起部6aは、プレート6の一面に軸方向一方(図では下方向)へ向けて突出するように形成されるとともにその側部(内周部、図では右側)に軸方向ストレート面6bを形成されており、この突起部6aはキャンセラープレート6におけるスナップリング係合用の突起部6aとして用いられる。
上記突起部6aは、以下のようにしてこれを形成する。
(1)予備工程
すなわち先ず、図2に示すように、所定の金属板よりなるキャンセラープレート6に曲げ加工または絞り加工等よりなる予備加工を施して、側部断面形状に曲線部6eを有する突起部6aを形成する。図は、凹部26を備えた一方の型25と、凸部28を備えた他方の型27との組み合わせよりなる曲げ型を用いて曲げ加工を施し、これにより側部断面形状に曲線部6eを有する突起部6aを形成した例を示している。この段階で突起部6aには未だ軸方向ストレート面6bは設けられていないので、この突起部6aは最終形状とは異なる形状をしている。プレート6の他面には、突起部6aに対応して凹み部6cが形成される。
すなわち先ず、図2に示すように、所定の金属板よりなるキャンセラープレート6に曲げ加工または絞り加工等よりなる予備加工を施して、側部断面形状に曲線部6eを有する突起部6aを形成する。図は、凹部26を備えた一方の型25と、凸部28を備えた他方の型27との組み合わせよりなる曲げ型を用いて曲げ加工を施し、これにより側部断面形状に曲線部6eを有する突起部6aを形成した例を示している。この段階で突起部6aには未だ軸方向ストレート面6bは設けられていないので、この突起部6aは最終形状とは異なる形状をしている。プレート6の他面には、突起部6aに対応して凹み部6cが形成される。
この段階の、予備加工後の突起部6aは、図3(A)に示すように、その断面形状を、プレート6の内周側平面部6fの外周側に連続して設けられかつその向きを徐々に軸方向一方へと変えてゆく円弧断面よりなる第一曲線部6gと、この第一曲線部6gの外周側に連続して設けられかつその向きを徐々に径方向外方(図では左方向)へと変えてゆく円弧断面よりなる第二曲線部6hと、この第二曲線部6hの外周側に連続して設けられかつその向きを徐々に軸方向他方(図では上方向)へと変えてゆく円弧断面よりなる第三曲線部6iと、この第三曲線部6iの外周側に連続して設けられかつその向きを徐々に径方向外方へと変えてゆく円弧断面よりなるとともに外周側平面部6kに連なる第四曲線部6jとにより構成されているが、プレート6の厚みや突起部6aの大きさ等の如何によっては、図3(B)に示すように、第二曲線部6hおよび第三曲線部6i間に平面状の直線部6mを設けたり、図3(C)に示すように、第一曲線部6gおよび第二曲線部6h間ならびに/または第三曲線部6iおよび第四曲線部6j間にテーパ面状の直線部6nを設けたり、あるいはこれらを組み合わせて設けたりしたものであっても良い。
(2)本工程
上記予備工程後、次いで、図4に示すように、ストレート面加工部32を備えた押し型29を用意し、図5に示すように、この押し型29を突起部6aへその突出側(図上下方向)から押し込んで、突起部6aの側部に軸方向ストレート面6bを形成する。
上記予備工程後、次いで、図4に示すように、ストレート面加工部32を備えた押し型29を用意し、図5に示すように、この押し型29を突起部6aへその突出側(図上下方向)から押し込んで、突起部6aの側部に軸方向ストレート面6bを形成する。
押し型29には、内周側平坦部30とこの内周側平坦部30よりも軸方向一方に後退した外周側平坦部31との間にストレート面加工部32が所定の高さ寸法h1を備えた段差状のものとして設けられており、円筒面をなすこのストレート面加工部32が突起部6aの曲面部6eに押し込まれて、曲線部6eのアール(円弧の曲がり)を小さくすることにより、突起部6aの側部に軸方向ストレート面6bを形成する。ストレート面加工部32は、上記図3(A)または(B)で云うところの第一曲線部6g当たり、図3(C)で云うところの第一曲線部6gまたはその隣(外周側)のテーパ面状直線部6n当たりに押し込まれることになる。
また、押し型29の外周側平坦部31には、所定の高さ寸法h2を備えた突起状の押圧部33がストレート面加工部32から所定の距離d、径方向に離間して設けられている。この突起状の押圧部33は本工程時、突起部6aの先端部位に押し込まれて、ストレート面加工部32との間のプレート金属をストレート面加工部32の方へ押し付け変形させる作用を果たす。尚、この突起状の押圧部33が押し込まれる結果として、突起部6aの先端部位には、凹部状の痕跡(小凹部)6oが形成される。
上記予備工程および本工程を経て突起部6aを形成すると、突起部6aは図1に示した形状となり、側部に軸方向ストレート面6bを有していることから、スナップリングに対して適切に係合する。
当該加工方法は、上記予備工程および本工程よりなり、当該加工方法では上記従来技術における「半抜き」加工は行なわれない。したがって、突起部6aの付け根部に亀裂が発生するのを有効に抑えることができる。また、当該加工方法によって突起部6aを形成された加工部品6は、突起部6aが高強度に仕上げられることから、自動変速機の動力伝達部のキャンセラープレートとして用いられるのに好適なものとなる。
尚、キャンセラープレート6に設けるスナップリング係合用の突起部6aは環状であるのが一般であるが、複数の突起部6aが円周上に並べられるものであっても良い。
1 自動変速機の動力接続部
2 入力軸
3 ドラム
4 ボンデッドピストン
4a クラッチ押圧部
5 リターンスプリング
6 キャンセラープレート(加工部品)
6a 突起部
6b 軸方向ストレート面
6c 凹み部
6d 付け根部
6e 曲線部
6f 内周側平面部
6g 第一曲線部
6h 第二曲線部
6i 第三曲線部
6j 第四曲線部
6k 外周側平面部
6m 平面状直線部
6n テーパ面状直線部
6o 凹部状痕跡
7 多板クラッチ
8 Oリング
9 シールリップ
10 スナップリング
11 圧力室
21,23,25,27 型
22,26 凹部
24,28 凸部
29 押し型(型)
30 内周側平坦部
31 外周側平坦部
32 ストレート面加工部
33 押圧部
2 入力軸
3 ドラム
4 ボンデッドピストン
4a クラッチ押圧部
5 リターンスプリング
6 キャンセラープレート(加工部品)
6a 突起部
6b 軸方向ストレート面
6c 凹み部
6d 付け根部
6e 曲線部
6f 内周側平面部
6g 第一曲線部
6h 第二曲線部
6i 第三曲線部
6j 第四曲線部
6k 外周側平面部
6m 平面状直線部
6n テーパ面状直線部
6o 凹部状痕跡
7 多板クラッチ
8 Oリング
9 シールリップ
10 スナップリング
11 圧力室
21,23,25,27 型
22,26 凹部
24,28 凸部
29 押し型(型)
30 内周側平坦部
31 外周側平坦部
32 ストレート面加工部
33 押圧部
Claims (2)
- 金属板に突起部(6a)を形成する方法であって、前記突起部(6a)はその側部に軸方向ストレート面(6b)を有する突起部の加工方法において、
前記金属板に予備加工を施して側部断面形状に曲線部(6e)を有する突起部(6a)を形成する予備工程を実施し、次いで、ストレート面加工部(32)を備えた型(29)を前記突起部(6a)へ押し込んで前記曲線部(6e)のアールを小さくすることにより前記突起部(6a)の側部に軸方向ストレート面(6b)を形成する本工程を実施することを特徴とする突起部の加工方法。 - 請求項1記載の加工方法により突起部(6a)を形成された加工部品(6)であって、
当該加工部品(6)は、自動変速機の動力伝達部に用いられるキャンセラープレートであり、軸方向ストレート面(6b)を有する突起部(6a)は、スナップリング係合用の突起部として用いられることを特徴する突起部を有する加工部品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005063529A JP2006247661A (ja) | 2005-03-08 | 2005-03-08 | 突起部の加工方法および突起部を有する加工部品 |
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-
2005
- 2005-03-08 JP JP2005063529A patent/JP2006247661A/ja active Pending
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