JP2006246290A - 薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ - Google Patents

薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ Download PDF

Info

Publication number
JP2006246290A
JP2006246290A JP2005061870A JP2005061870A JP2006246290A JP 2006246290 A JP2006246290 A JP 2006246290A JP 2005061870 A JP2005061870 A JP 2005061870A JP 2005061870 A JP2005061870 A JP 2005061870A JP 2006246290 A JP2006246290 A JP 2006246290A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
layer
thin film
resonator
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005061870A
Other languages
English (en)
Inventor
Kosuke Nishimura
浩介 西村
Takuya Maruyama
卓也 丸山
Kazuki Iwashita
和樹 岩下
Hiroshi Tsuchiya
博史 土屋
Kensuke Tanaka
謙介 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2005061870A priority Critical patent/JP2006246290A/ja
Publication of JP2006246290A publication Critical patent/JP2006246290A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

【課題】 横モード振動により生じるスパイクなどの不規則な成分を含まない吸収及び/又は伝送スペクトルを有する薄膜圧電共振器を提供する。
【解決手段】 本発明の薄膜圧電共振器は、第1の面及び第2の面を有する第1の圧電体層と、前記第1の面上の導電性の層からなる下部電極と、前記第2の面上の導電性の層から成る上部電極とを有する薄膜圧電共振器であり、前記下部電極と前記上部電極とは、前記第1の圧電体層を挟んで少なくとも一部分で重なり合って、前記下部電極と前記上部電極とに挟まれた圧電体層とともに圧電振動領域を形成しており、該圧電振動領域を覆うように少なくとも前記上部電極上または下部電極上にさらに第2の圧電体層が形成されており、前記第2の圧電体層の前記上部電極または下部電極と対向する面上には電極を有さない。
【選択図】 図7

Description

本発明は、通信機器等に使用される薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタに関するものである。
電子装置のコストやサイズをより低く抑える為に、フィルタ素子の小型化へのニーズは常に存在する。携帯電話や小型ラジオ等のような民生用電子機器においては、その中に利用する部品に対してサイズ及びコストの両方に厳しい制限が強いられる。一方そのようなデバイスの多くには、正確に周波数が調整されていなければならないフィルタが利用される。従ってこれまでもより安価でコンパクトなフィルタユニットを供給しようという努力が払われて来た。
これらのニーズを満たす能力を持つフィルタ素子の中には音響共振器から作られる種類のものが存在する。これらの音響共振器から作られるフィルタ素子として、圧電体層中のバルク縦音波を利用する薄膜圧電共振器がある。単純な構成の1つにおいては、圧電体層が2つの金属電極に挟まれた形になっている。このサンドイッチ構造は、その外周を支持することにより振動を妨げない状態に置かれる。電圧の印加により2つの電極の間に電界が作られると、圧電体層は電気的エネルギーの一部を音波という形の機械的エネルギーへと変換する。音波は電界と同方向で縦に伝搬されて電極/空気間の界面で反射するか、或は電界を横切る方向に伝わり、電極又はその構造体の端部の様々な断絶部において反射する。このとき、前記サンドイッチ構造が複数積み重ねられた積層構造であっても、支持される場所が空気中でなく複数の音響インピーダンスの異なる層により構成された音響ミラー層であっても同様である。
この種の薄膜圧電共振器は電気的に結合可能な機械的共振器であり、組み合わせることによってフィルタとしての作用を持つ。材料中を伝わる音のある所定の位相速度に対する機械的共振周波数は、デバイス中を縦に伝わる音波の半波長がデバイスの全厚さに等しくなる周波数である。音の速度は光の速度よりも4桁も低い為、共振器はかなり小さくすることが出来る。GHz領域での応用に使用される共振器は直径300μ未満、厚さ数μの物理寸法に作ることが出来る。
圧電体層中のバルク縦音波を利用する薄膜圧電共振器は、中心部に1〜2μ程度の厚さの圧電体層があり、その圧電体層の上下を電極で挟む構造をしている。電極に電圧を印加することにより圧電体層を通して電界が作られる。すると電界の一部は機械的な場に変換される。このようにして、薄膜圧電共振器は、材料中を伝わる音のある所定の位相速度に対する機械的共振周波数に応じた共振器として働く。
この種の薄膜圧電共振器は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。
特開2000−332568号公報 特開2002−372974号公報
薄膜圧電共振器における基本振動モードについて、音波は圧縮波であれ剪断波であれ、或はラム波であれ、電極面に対して直角方向に伝搬される。しかしながら、励起され得る他の振動モードが存在する。これらの振動モードは、電極面に並行に移動し圧電振動領域の壁又は電極層の端部の断絶部で反射する音波に対応する。このモードは横モードと呼ばれ、その共振周波数は圧電体層の横共振モードの音響速度により、また金属電極層の横寸法により決まる。これらのモードの基本的周波数は基本モードのものよりもかなり低いが、これらの横モードのより高い高調波が基本モードの周波数帯域中に出現する場合がある。これらの高調波が薄膜圧電共振器の吸収スペクトルにおける複数のスパイク発生の要因となり問題となる。
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものである。即ち、本発明の目的は、横モード振動により生じるスパイクなどの不規則な成分を含まない吸収及び/又は伝送スペクトルを有する薄膜圧電共振器を提供することである。
本発明は、第1の面及び第2の面を有する第1の圧電体層と、前記第1の面上の導電性の層からなる下部電極と、前記第2の面上の導電性の層から成る上部電極とを有する薄膜圧電共振器であり、前記下部電極と前記上部電極とは、前記第1の圧電体層を挟んで少なくとも一部分で重なり合って、前記下部電極と前記上部電極とに挟まれた圧電体層とともに圧電振動領域を形成しており、該圧電振動領域を覆うように少なくとも前記上部電極上または下部電極上にさらに第2の圧電体層が形成されており、前記第2の圧電体層の前記上部電極または下部電極と対向する面上には電極を有さないことを特徴とする薄膜圧電共振器に関する。
本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態は、前記第1の圧電体と前記第2の圧電体が同一の材料からなることを特徴とする。
本発明の薄膜圧電共振器において、前記第2の圧電体層の厚みが前記第1の圧電体層の厚みの25〜35%であることが好ましい。また、前記第2の圧電体層の厚みが前記上部電極の厚みの1.0〜1.8倍であることが好ましい。
また本発明は、前記本発明の圧電薄膜共振器を複数用いた薄膜圧電フィルタに関する。
本発明により、従来、横モードが問題となる圧電振動領域を持つ共振器を単純な方法を加えることで横モードにより生じる不規則な成分を含まない吸収及び/又は伝送スペクトルを有する薄膜圧電共振器が提供できる。
以下、本発明を図面を用いて説明する。図1(a)は、本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す薄膜圧電共振器10の模式的断面図である。本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態は、図1(a)に示すように、第1の面及び第2の面を有する圧電体層12と、前記第1の面上の導電性の層から成る下部電極11と、前記第2の面上の導電性の層から成る上部電極13とを有する。両面に電極を有する圧電体層12は通常空洞15を有する基板16上に形成され、一部は空気と接している。さらに、前記下部電極11の一部は前記圧電体層12を挟んで前記上部電極13の少なくとも一部分に重なり合って圧電振動領域17を形成している。即ち圧電振動領域17とは、圧電体層12の両面に電極11、13が存在し、電圧を印加することにより、圧電体層12の厚み方向に共振の発生する領域であり、シートの厚み方向から見て、前記下部電極11と上部電極13が重なり合っている領域である。ただし、前記下部電極11または上部電極13への配線等は実質的に含まない。本発明の薄膜圧電共振器では、該圧電振動領域17を覆うように少なくとも前記上部電極13上または下部電極上にさらに第2の圧電体層14が形成されていることを特徴としている。図1の実施形態では、第2の圧電体層14は、上部電極上に形成されているが、本発明の薄膜圧電共振器では、第1の圧電体層とは異なる側の下部電極上に第2の圧電体層が形成されてもよい。また、第2の圧電体層は、上部電極上と下部電極上の両方に形成されていてもよい。ただし、下部電極は基板により周囲が固定されており、上部電極が下部電極に比べての自由度が高いため、上部電極上に第2の圧電体層を形成する方が、横モード振動を抑える効果が大きく好ましい。以下、上部電極上に第2の圧電体層を形成した圧電薄膜共振器について説明するが、これに限定されるものではない。なお、本願発明の圧電薄膜共振器は、共振器を複数重ねたStacked Crystal filter(SCF)とは異なる共振器であり、そのため、前記第2の圧電体層の前記上部電極または下部電極と対向する面上には電極を有していない。
図1(b)は、前記薄膜圧電共振器の圧電体層の厚み方向から見た前記圧電振動領域17の形(以下圧電振動領域の形という)を示す模式的平面図である。圧電振動領域17の形は、図1(b)では、長さの等しい平行な直線を含む矩形が例示されているが、特にこの矩形に限定されるものではない。従来、この圧電振動領域の形については、特に、平行な直線を含む多角形にすると、薄膜圧電共振器は、横モード振動により不規則な成分を含む吸収及び/又は伝送スペクトルを有するという問題があり、そのため、平行な辺を持たない図2のような圧電振動領域の形が従来より提案されている。しかし、図2のような圧電振動領域の形では、共振器の配置などの設計上の制約があり、実装密度が上がらないことなどから、損失が大きいなど特性へ悪影響を及ぼすなどの問題がある。
本発明の薄膜圧電共振器は、該圧電振動領域17を覆うように少なくとも前記上部電極13上にさらに第2の圧電体層14を形成することによって、横モード振動を抑え、横モード振動による不規則な成分(スパイク)を含まない良好な吸収及び/又は伝送スペクトルを有するという特徴を有している。このような薄膜圧電共振器が形成できることで小型で作製容易な共振器、フィルタを提供することができる。
以下、スパイクの発生原因である振動の横モードについて図3を用いて説明する。圧電振動領域となる前記下部電極と前記上部電極の重なり部分30である圧電振動領域の形が矩形をした、従来型の薄膜圧電共振器を例に説明する。前記矩形は2組の平行な2辺により構成されているので、いかなる点から横モード振動が発生しても平行な辺の1点で反射して同じ点に戻ってくる。例えば、圧電振動領域の境界点31から発生した横モードの波は伝播経路32を通り対面する辺により反射し、再び経路32を戻ってくる。すなわち経路長は2Wである。同様に圧電振動領域の境界点33から発生した横モードについても経路長Wを有する経路34を通り対向する辺により反射し、再び経路34を戻ってくるため経路長は2Wである。このように外周上に同一の周波数を持つ横モード振動が存在することによりスパイクが発生する。
図4は、本発明の薄膜圧電共振器の横モード振動制御の説明図であり、図4(a)は、薄膜圧電共振器の模式的断面図、図4(b)は、上部電極付近の拡大図である。本発明の薄膜圧電共振器の圧電振動領域の形は、特に限定されず、図3のような長さの等しい平行な直線を含む矩形であってもよい。本発明の薄膜圧電共振器は、図4(a)に示すように前記上部電極を2つの圧電体層でサンドイッチした構造となっており、図4(b)に示すように、前記上部電極表面に横モード振動が生じると考えられるが、上部電極表面付近に生じた横モード振動が上下の圧電体層で打ち消されると考えられる。その結果、外周上に同一の周波数を持つ横モード振動による共振あるいは定在波が存在しにくくなることによりスパイクの発生を抑制していると考えられる。
本発明の薄膜圧電共振器では、構成部品の制限は特にないが、圧電体層の材料としては、酸化亜鉛(ZnO)や窒化アルミニウム(AlN)が挙げられる。特に窒化アルミニウム(AlN)は、音速が大きく周波数変動/膜圧変動が小さいため量産性に優れ、温度係数についてもZnOの半分以下となるなどの点で好ましい。
また、下部電極および上部電極としては、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)などが挙げられるが、モリブデン(Mo)が比較的安価であり、製造工程における取り扱いの容易さの点から好ましい。
基板としては、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)、ガリウム砒素(GaAs)、ガラスなどが挙げられる。
基板の空洞としては、基板に凹部を形成したものでもよいし、基板の裏面からエッチング等により、空間を形成したものでもよい。また、空洞部を図5に示すように音響インピーダンスの異なる材料層55が交互に重ねられたものに置き換えてもよい。また、本発明の薄膜圧電共振器は、電極層と圧電体層を複数有する積層共振器とし、最上部に本願発明の圧電体層を形成した構造でもよい。
本発明の薄膜圧電共振器では、前記第1の圧電体と前記第2の圧電体が同一の材料からなることが好ましい。圧電体の物性の横モードの音速が等しいほうが電極表面付近で生じる波が打ち消されやすいためである。
また、本発明の薄膜圧電共振器では、前記第2の圧電体層の厚みが前記第1の圧電体層の厚みの25〜35%であることが好ましい。第2の圧電層の厚みが前記第1の圧電体層の厚みの25%より薄いと電極表面付近の横モード発生によるスパイクノイズの抑制が十分でなく、また、第2の圧電層の厚みが前記第1の圧電体層の厚みの35%より厚いとスパイクノイズは抑えられるが圧電特性が劣化してくるためである。
さらに、本発明の薄膜圧電共振器では、前記第2の圧電体層の厚みが前記上部電極の厚みの1.0〜1.8倍であることが好ましい。第2の圧電体層の厚みが前記上部電極の厚みの1.0倍より薄いと電極表面付近の横モード発生によるスパイクノイズの抑制が十分でなく、また、第2の圧電体層の厚みが前記上部電極の厚みの1.8倍より厚いとスパイクノイズは抑えられるが圧電特性が劣化してくるためである。
本発明の薄膜圧電共振器は、特許文献1や特許文献2など従来知られている製造方法と同様に製造できる。例えば、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)、ガリウム砒素(GaAs)、ガラスなどにより構成された基板上に、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)などにより構成された底部の電極(下部電極もしくは上部電極)をスパッタリング法などの蒸着法により堆積し、酸化亜鉛(ZnO)や窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料をスパッタリング法などの蒸着法により堆積し、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)などにより構成された頂部の電極(上部電極もしくは下部電極)をスパッタリング法などの蒸着法により堆積し、酸化亜鉛(ZnO)や窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料をスパッタリング法などの蒸着法により堆積することにより薄膜圧電共振器が製造される。このとき、前記底部の電極の下層は空洞の領域もしくは高音響インピーダンスを有するモリブデン(Mo)、タングステン(W)と低音響インピーダンスを有するシリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)、アルミニウム(Al)などが交互に重ねられた層により構成された音響ミラー層である。
本発明の薄膜圧電フィルタは本発明の薄膜圧電共振器を用いたフィルタであり、フィルタ構成の1つとして図6に示すような複数の共振器が信号入力端子線61に対して直列に接続した共振器63,65,67と並列に接続した共振器64,66,68が梯子状に配置されたラダー型フィルタがある。このようなフィルタは、1つの基板上に、前記ラダ−型フィルタの回路構成となるように複数の圧電薄膜共振器を形成することで、製造できる。
(実施例1)
表1に示すような材料、膜厚で図7の薄膜圧電共振器を作製した。その際、圧電振動領域の形は、1辺が180μmの正方形とした。また、共振周波数は1.9GHz程度に設定した。
作製した薄膜圧電共振器の一部断面図を図7に示す。
まず、図7に示すようにSi基板76の表面に絶縁層77としてSiOを熱酸化により約1μm形成した。続いて、絶縁層77の上に、空洞を形成するための予備層としてTiをスパッタリング法により50nm堆積した。これを薄膜共振器の圧電振動領域形状に合わせてエッチングによりパターニングを施した。Ti層は他の薄膜層に比べて非常に薄いために図には示していない。
続いて、下部電極71としてMoをスパッタリング法により約300nm堆積し、所望の形状とするためにエッチングによりパターニングを行った。続いて、圧電材料としてAlNを用い、AlNをスパッタリング法により約1200nm堆積し第1の圧電体層72を形成し、所望の形状とするためにエッチングによりパターニングを行った。続いて、上部電極73としてMoを下部電極のMoと同様の方法で約300nm堆積し、パターニングを行った。
続いて、横モードのノイズを抑えるために第2の圧電体層74としてAlNを第1圧電体層のAlNと同様な方法で340nm堆積し、パターニングを行った。
続いて、第2の圧電体層74から1つの共振器につき4〜5個の10μmφ程度の貫通孔79を空洞形成予備層のTiまでエッチングにより開けた。
続いて、エッチング液を貫通孔79より空洞形成予備層に注入し、空洞形成予備層のTiを除去すると共に、そのパターンの下に接した絶縁層が垂直方向にパターン形状のまま除去されることにより、第1電極下に空洞層75を形成し、本発明における薄膜圧電共振器70を得た。このようにして得た共振器の通過特性を図8に示す。圧電振動領域の横モード振動による影響がなく、スパイクなどの不規則な成分の押さえられた、優れた共振器特性を得ることができた。なお、本実施例で得られた薄膜圧電共振器の第2圧電体層の厚みは、第1圧電体層の29.3%であり、上部電極の1.17倍である。
(比較例1)
第2の圧電体層を形成しない以外は、実施例1と同様にして薄膜圧電共振器を作製した。共振器のパターン形状、構成の各層の膜厚は実施例1と同様である(表1)。得られた共振器の通過特性を図9に示す。図8に示した、本発明の薄膜圧電共振器に比べ、スパイクなどの不規則な成分が含まれており、好ましい特性は得られなかった。
(実施例2)
第2の圧電体層の膜厚が150nmと薄い以外は、実施例1と同様にして薄膜圧電共振器を作製した。共振器のパターン形状、構成の各層の膜厚は実施例1と同様である(表1)。得られた共振器の通過特性は図9に示した比較例1の通過特性にくらべスパイクなどの不規則な成分が抑えられた良好な通過特性が得られたが、実施例1に比べややスパイクが見られた。なお、本実施例で得られた薄膜圧電共振器の第2圧電体層の厚みは、第1圧電体層の29.3%であり、上部電極の0.51倍である。
(実施例3)
第2の圧電体層の膜厚が600nmと厚い以外は、実施例1と同様にして薄膜圧電共振器を作製した。共振器のパターン形状、構成の各層の膜厚は実施例1と同様である(表1)。得られた共振器の通過特性は実施例1のように、スパイクなどの不規則な成分は含まれていなかった。圧電特性(電気機械結合係数Kt2)は、実施例1に比べやや小さい傾向にあった。なお、本実施例で得られた薄膜圧電共振器の第2圧電体層の厚みは、第1圧電体層の29.3%であり、上部電極の2.07倍である。
(実施例4)
表2に示すような材料、膜厚で図6のラダー回路の薄膜圧電共振器をもちいたフィルタを作製した。その際、圧電振動領域の形は、1辺が100〜180μmの範囲の長方形とした。また、共振周波数は1.9GHz程度に設定した。
作製した薄膜圧電共振器からなるフィルタの一部断面図を図10に示す。まず、図10に示すようにSi基板96の表面に絶縁層97としてSiOを熱酸化により約1μm形成した。続いて、絶縁層97の上に、空洞を形成するための空洞形成予備層としてTiをスパッタリング法により50nm堆積した(図示せず)。これを各薄膜共振器の圧電振動領域形状に合わせてエッチングによりパターニングを施した。
続いて、下部電極91としてMoをスパッタリング法により約300nm堆積し、所望の形状とするためにエッチングによりパターニングを行った。続いて、圧電材料としてAlNを用い、AlNをスパッタリング法により約1200nm堆積し第1の圧電体層92を形成し、所望の形状とするためにエッチングによりパターニングを行った。続いて、上部電極93としてMoを下部電極のMoと同様の方法で約300nm堆積し、パターニングを行った。さらに、ラダー回路のシャント共振器の周波数を調整するためにシャント共振器の上に周波数調整電極100としてMoを45nm同様な方法で堆積させた。
続いて、横モードのノイズを抑えるために第2の圧電体層94としてAlNを第1圧電体層のAlNと同様な方法で340nm堆積し、パターニングを行った。
続いて、第2の圧電体層94から各共振器につき4〜5個の10μmφ程度の貫通孔99を空洞形成予備層のTiまでエッチングにより開けた。
続いて、エッチング液を貫通孔99より空洞形成予備層に注入し、空洞形成予備層のTiを除去すると共に、空洞形成予備層の下に接した層の一部も除去することにより、第1電極下に空洞層95を形成し、本発明における薄膜圧電共振器からなるフィルタ90を得た。このようにして得たフィルタの通過特性を図11に示す。圧電振動領域の横モード振動による影響がなく、スパイクなどの不規則な成分が押さえられた、優れたフィルタ特性を得ることができた。なお、本実施例で得られた薄膜圧電共振器の第2圧電体層の厚みは、第1圧電体層の29.3%であり、シャント共振器の周波数調整電極も含めた上部電極の厚みの1.01倍である。
(比較例2)
第2の圧電体層を形成しない以外は、実施例2と同様にして薄膜圧電共振器を用いたラダー回路フィルタを作製した。フィルタのパターン形状、構成の各層の膜厚、回路は実施例2と同様である(表2)。得られたフィルタの通過特性を図12に示す。図11に示した、本発明のフィルタ特性に比べ、スパイクなどの不規則な成分が含まれており、好ましい特性は得られなかった。
Figure 2006246290
Figure 2006246290
(a)本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態の模式的断面図、および(b)圧電振動領域を示す模式的平面図である。 従来の薄膜圧電共振器の圧電振動領域の形を示す説明図である。 圧電振動領域の横モードによるスパイクノイズを示す説明図である。 (a)本発明の薄膜圧電共振器の模式的断面図、および(b)上部電極部分の拡大図である。 本発明の薄膜圧電共振器の他の一実施形態の断面図である。 本発明による薄膜圧電共振器により構成されたラダー型フィルタの構成図である。 実施例1で作製した薄膜圧電共振器の模式的断面図である。 実施例1で作製した薄膜圧電共振器の通過特性波形図である。 比較例1で得られた従来の薄膜圧電共振器の通過特性波形図である。 実施例4で得られた本発明の薄膜圧電共振器を用いた薄膜圧電フィルタの模式的断面図である。 実施例4で得られた本発明の薄膜圧電共振器を用いた薄膜圧電フィルタのフィルタ通過特性波形図である。 比較例2で得られた従来の薄膜圧電共振器を用いた薄膜圧電フィルタのフィルタ通過特性波形図である。
符号の説明
10、20、30、63〜68、70 薄膜圧電共振器
11、91 下部電極
12、92 第1の圧電体層
13、93 上部電極
14、94 第2の圧電体層
15、95 空洞領域
17 圧電振動領域
16、96 Si基板
31、33 圧電振動領域境界上の任意の点
32、34 横モード波の伝搬経路
55 音響ミラー
79、99 貫通孔
90 薄膜圧電フィルタ
100 周波数調整用Mo

Claims (5)

  1. 第1の面及び第2の面を有する第1の圧電体層と、前記第1の面上の導電性の層からなる下部電極と、前記第2の面上の導電性の層から成る上部電極とを有する薄膜圧電共振器であり、前記下部電極と前記上部電極とは、前記第1の圧電体層を挟んで少なくとも一部分で重なり合って、前記下部電極と前記上部電極とに挟まれた圧電体層とともに圧電振動領域を形成しており、該圧電振動領域を覆うように少なくとも前記上部電極上または下部電極上にさらに第2の圧電体層が形成されており、前記第2の圧電体層の前記上部電極または下部電極と対向する面上には電極を有さないことを特徴とする薄膜圧電共振器。
  2. 前記第1の圧電体と前記第2の圧電体が同一の材料からなることを特徴とする請求項1記載の薄膜圧電共振器。
  3. 前記第2の圧電体層の厚みが前記第1の圧電体層の厚みの25〜35%であることを特徴とする請求項2記載の薄膜圧電共振器。
  4. 前記第2の圧電体層の厚みが前記上部電極の厚みの1.0〜1.8倍であることを特徴とする請求項3記載の薄膜圧電共振器。
  5. 請求項1〜4記載のいずれかに記載の圧電薄膜共振器を複数用いた薄膜圧電フィルタ。
JP2005061870A 2005-03-07 2005-03-07 薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ Pending JP2006246290A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005061870A JP2006246290A (ja) 2005-03-07 2005-03-07 薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005061870A JP2006246290A (ja) 2005-03-07 2005-03-07 薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006246290A true JP2006246290A (ja) 2006-09-14

Family

ID=37052192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005061870A Pending JP2006246290A (ja) 2005-03-07 2005-03-07 薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006246290A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110581695A (zh) * 2018-06-08 2019-12-17 上海珏芯光电科技有限公司 薄膜体声波谐振器及其制造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002076824A (ja) * 2000-08-31 2002-03-15 Murata Mfg Co Ltd 圧電薄膜共振子、フィルタおよび電子機器
JP2004064786A (ja) * 2002-07-30 2004-02-26 Agilent Technol Inc シード層を有する共振器

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002076824A (ja) * 2000-08-31 2002-03-15 Murata Mfg Co Ltd 圧電薄膜共振子、フィルタおよび電子機器
JP2004064786A (ja) * 2002-07-30 2004-02-26 Agilent Technol Inc シード層を有する共振器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110581695A (zh) * 2018-06-08 2019-12-17 上海珏芯光电科技有限公司 薄膜体声波谐振器及其制造方法
CN110581695B (zh) * 2018-06-08 2023-08-01 芯知微(上海)电子科技有限公司 薄膜体声波谐振器及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10727808B2 (en) Bulk acoustic wave resonator comprising a ring
CN110324022B (zh) 谐振器及其制备方法
JP4024741B2 (ja) 圧電薄膜共振子及びフィルタ
KR101242314B1 (ko) 압전 박막 공진 소자 및 이를 이용한 회로 부품
JP4428354B2 (ja) 圧電薄膜共振子
US7236066B2 (en) Film bulk acoustic resonator and filter circuit including a plurality of film bulk acoustic resonators
KR100771345B1 (ko) 압전 박막 공진자 및 필터
WO2011099319A1 (ja) 圧電薄膜共振子、通信モジュール、通信装置
JP4775445B2 (ja) 薄膜圧電共振器および薄膜圧電フィルタ
WO2007119556A1 (ja) 圧電共振子及び圧電フィルタ
JPWO2009013938A1 (ja) 圧電共振子及び圧電フィルタ装置
JP2008035358A (ja) 薄膜圧電バルク波共振器及びそれを用いた高周波フィルタ
JP2002374144A (ja) 薄膜圧電共振器
JP4895323B2 (ja) 薄膜圧電共振器
JP2008182543A (ja) 薄膜圧電共振器とそれを用いた薄膜圧電フィルタ
JP3979073B2 (ja) 圧電共振子、圧電フィルタおよびデュプレクサ
JP5390431B2 (ja) 弾性波デバイス
JP4797772B2 (ja) Baw共振器
JP5207902B2 (ja) バルク音響波共振子および電子部品
KR20050044291A (ko) 압전공진기 및 그 제조방법과 이를 이용한 필터, 듀플렉서및 통신 장치
JP2009246569A (ja) 薄膜共振子、フィルタおよびデュプレクサ
JP2001168675A (ja) 圧電共振子およびこれを用いた圧電発振器並びに圧電共振子の製造方法
JP4802714B2 (ja) バルク音波共振器
JP2006246290A (ja) 薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ
JP4696597B2 (ja) 薄膜圧電共振器およびそれを用いた薄膜圧電フィルタ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101130