JP2006239746A - 鋼の連続鋳造用タンディッシュ - Google Patents

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Abstract

【課題】
鋳片内のアルミナ系介在物を低減して鋳片清浄度を向上するために,鋼の連続鋳造時に用いるタンディッシュにおいて,アルミナ系介在物を効率良く除去する。
【解決手段】
鋼の連続鋳造におけるタンディッシュ3であって,取鍋からの注入部2と鋳型への流出口4との間に複数の堰9,10を有し,当該隣り合う堰9,10の一方の堰9は溶鋼浴の高さ方向の上部の片側の側壁方向のみ溶鋼が流通可能な開口部9aを有し,他方の堰10は溶鋼浴の高さ方向の下部の前記開口部9aと反対の側壁方向に開口部10aを有すると共に,それぞれの堰9,10の開口部9a,10aの幅wと高さhが適性条件式を満たすことを特徴とする連続鋳造用タンディッシュである。
【選択図】図2

Description

本発明は鋼を連続鋳造して鋳片を製造する際に用いて,溶鋼中のアルミナ系介在物を効率よく浮上させて清浄度の高い鋳片を製造するためのタンディッシュに関する。
低炭素鋼板は様々な加工用途に用いられており,特にTi含有極低炭素鋼は自動車用外板など複雑な形状に加工される。その際,鋳片内にアルミナ系介在物が残存すると,表面疵や,加工時の割れなどの欠陥を引き起こす。溶鋼は転炉で脱炭および成分調整されて溶製されるが,脱炭後の溶鋼中の溶存酸素を除去する脱酸のために,強力な酸化物生成元素であるアルミが添加されることが一般的であり,その時にアルミナが生成する。
アルミナは比重の関係で浮上し溶鋼中から排出されるが,全てが浮上するわけでなく取鍋からタンディッシュを経て浸漬ノズルを通過して鋳型内に持ち込まれ,鋳造後の鋳片内に残存するものもある。これが上記の欠陥の原因となる。また,鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズルの内壁に付着し,ノズル詰まりを引き起こし,鋳型内偏流や不安定操業を引き起こす。この様なアルミナ系介在物の有害性を低減するため,溶鋼中のアルミナ系介在物を低減するための様々な方法が提案されてきた。
その一つとして,タンディッシュ内の溶鋼流動を制御しアルミナ系介在物の浮上除去を促進する方法が提案されている。例として特許文献1(特開平7−132353公報)について図1を用いて説明する。タンディッシュ3内には,介在物の浮上を促進するために,取鍋1からの注入口2と流出口4との間に,3枚の堰(下堰6,上堰7,下堰8)を配置され,各堰の高さ,間隔の条件が数式で規定されている。各堰6,7,8はいずれもタンディッシュ3の全幅に渡っており,下堰6と下堰8の上部,上堰7の下部が溶鋼の流通経路になっている。流出口4の下方には,鋳型内に溶鋼を注入する浸漬ノズル5が設けてある。
この特許文献1の技術ポイントは,介在物を溶鋼表面まで浮上させる様な上昇流を形成すること,および表面付近に浮上した介在物やスラグを巻き込まない様に上昇流速を最適化することである。そのために,各堰6,7,8の高さ,間隔の条件を数式で規定している。これに反して,例えば下堰6が低すぎる場合,短絡流が形成されて上昇流が形成されず介在物浮上効果が低下する。一方,下堰6が高過ぎる場合や,上堰7と隣接する下堰8の間隔が狭すぎる場合は上昇流が過大となり,溶鋼表面を乱し介在物やスラグを巻き込み好ましくない。この様に下堰と上堰を配置してタンディッシュ内に上昇流を形成することは出来るが,近年,ますます厳しくなる介在物除去のニーズには必ずしも応えきれず,さらなる介在物低減策が求められている。
特開平7−132353号公報
タンディッシュ内で介在物の浮上除去を促進するためには3つの機構が考えられる。すなわち,(1)湯面への上昇流を形成すること,(2)タンディッシュ内滞留時間ひいては介在物の浮上時間を増やすこと,(3)介在物の凝集粗大化を促進することである。上記の特許文献1の様に,幅が全幅に渡る下堰,上堰を配置する方法は,タンディッシュ内の流動を上下方向で制御するものであり,したがって(1)湯面への上昇流形成を主目的としたものである。他の(2)タンディッシュ内滞留時間増加や(3)凝集粗大化促進の作用はほとんど考慮されていない。一層の介在物低減のためには,(1)の機構のほか,(2),(3)の機構を活用することが重要と考える。
本発明は,アルミナ系介在物の浮上除去機能を高めたタンディッシュを提供することを目的とする。
本発明者らは,流動計算や実際の鋳片調査などにより鋭意検討を進め,タンディッシュ内のアルミナ系介在物の浮上除去機能を高めるために本発明を完成した。すなわち,本願発明によれば,鋼の連続鋳造におけるタンディッシュであって,取鍋からの注入部と鋳型への流出口との間に複数の堰を有し,それら複数の堰のうちの少なくとも2枚の隣り合う堰の一方は溶鋼浴の高さ方向の上部の片側の側壁方向のみ溶鋼が流通可能な開口部を有し,他方の堰は溶鋼浴の高さ方向の下部の前記開口部と反対の側壁方向のみ開口部を有すると共に,それぞれの堰は下記(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする連続鋳造用タンディッシュが提供される。
1/6≦w/W≦2/5 (1)
−(5/4)・(w/W)+17/24≦h/H≦3/4 (2)
ここで,
W:タンディッシュ溶鋼湯面の幅,
H:タンディッシュ溶鋼湯面の深さ,
w:堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部の幅,
h:堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部の高さ
この連続鋳造用タンディッシュにおいて,溶鋼浴の高さ方向の上部の片側の側壁方向のみ溶鋼が流通可能な開口部を有した堰を取鍋からの溶鋼注入部に近い側に配置し,溶鋼浴の高さ方向の下部の前記開口部と反対の側壁方向のみに開口部を有する堰を流出口に近い側に配置しても良い。
本発明によれば,タンディッシュ内でアルミナ系介在物が高い効率で除去されるため,清浄度の高い鋳片を製造することが可能になる。この鋳片から製造した鋼板は,アルミナ系介在物に起因する表面疵や加工時の割れが少なく優れた品質を有する。
次に,本発明の効果を発揮するための最良の実施形態を,図面を参照にして説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図2は,本発明の実施の形態にかかる連続鋳造用タンディッシュ3(以下「タンディッシュ3」)を上から見た図と横から見た図である。タンディッシュ3内には取鍋からの注入口2と鋳型への流出口4との間に,複数の堰を設ける。なお,図2に示す実施の形態では,一例として,タンディッシュ3内に2つの堰9,10を設けた形態を示している。この際,第一の堰9はタンディッシュ3内溶鋼浴の高さ方向の下部の流れを遮断し,上部に溶鋼が流通する開口部9aを有し,第二の堰10はタンディッシュ3内溶鋼浴の高さ方向の上部の流れを遮断し,下部に溶鋼が流通する開口部10aを有するものとする。図2では,上部に開口部9aを有する第一の堰9を注入口2に近い側に配置している。
第一,第二の堰9,10の開口部9a,10aはいずれもタンディッシュ3溶鋼湯面の幅の全幅でなく一部とする。まず,第一の堰9では,開口部9aを上部に設け,かつ側壁の一方の側に位置し,他方の側の溶鋼の流通を遮断する。また,第二の堰10では,開口部10aを下部に設け,かつ第一の堰9の開口部9aと反対側に位置し,他方の側の溶鋼の流通を遮断する。このような開口部9a,10aを有する堰9,10を設置することで,隣り合う堰9,10の間での溶鋼流通経路長を長くし,それによって溶鋼滞在時間を長くすることで溶鋼流に巻き込まれた介在物の浮上を促進させることができると考えた。
但し,単に開口部9a,10aを設けるだけでなく,第一,第二の堰9,10の開口部9a,10aの幅wと高さhについて適性条件があるものと考え,開口部9a,10aの幅wと高さhを様々に変えた条件でタンディッシュ3内の流動解析を行い,注入口2から所定量の介在物を導入し,また湯面上に所定量のスラグを配置して,介在物の流通軌跡を追跡し,タンディッシュ3底部の流出口4から流出する割合がどのように変化するかシミュレーションを実施した。
解析条件はタンディッシュ3の全長8m,溶鋼量60t,注入量を10t/分とした。結果を図3に示すが,開口部9a,10aの幅wと高さhは,タンディッシュ溶鋼湯面の幅Wと深さHに対する比率w/W,h/Hで表示した。同じ計算モデルによるシミュレーション結果では介在物流出割合が10%未満である時に,得られた鋳片から製造した鋳片欠陥が合格基準値0.1%以下となることが分かっている。そこで,介在物流出割合が10%未満である場合の評価を○,10%以上の場合を×と判定した。
図3に示すように点線で囲まれた部分は介在物流出割合が10%未満となった良好範囲であり,この結果から以下の(1)式および(2)式の条件を満たす場合が堰の適性条件であることを知見した。
1/6≦w/W≦2/5 (1)
−(5/4)・(w/W)+17/24≦h/H≦3/4 (2)
ここで,
W:タンディッシュ溶鋼湯面の幅,
H:タンディッシュ溶鋼湯面の深さ,
w:堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部9a,10aの幅,
h:堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部9a,10aの高さ
適性条件の場合の流動パターンは前記図2中に示したように,第一の堰9の上方部の開口部9aから流出した溶鋼は第二の堰10の上方部の遮断部に衝突し流動方向が変わり,第二の堰10の開口部10aは下方部にあるため下降流を形成し,結果として上から見た場合に第一の堰9と第二の堰10で囲まれた領域では渦を形成していることが多い事が判明した。渦を形成しない場合でも,第一の堰9の開口部9aから第二の堰10の開口部10aへの短絡流は形成されず,第一の堰9の上方部の開口部9aから流出した溶鋼が第二の堰10の上方部の遮断部に衝突した後,第二の堰10に沿いながら下降して第二の堰10の開口部10aを通過する迂回経路を形成する。この結果,溶鋼の流通経路長を長くすることが出来,また第二の堰10の遮断部に衝突した時や渦に巻き込まれた際に介在物の凝集・合体が促進されて介在物の粗大化が進行することも介在物の浮上除去に有利となる。第一,第二の堰9,10の間で介在物が浮上しているので,第二の堰10の下方部の開口部10aから流出した溶鋼中に含まれる介在物量は低減しており,鋳型内には介在物が導入量の10%以下に低減した清浄性の高い溶鋼が注入される。
一方,開口部9a,10aの幅比率w/Wが2/5を超えた場合の流動パターンの模式図を図4に示すが,この場合には,第一の堰9の開口部9aから第二の堰10の開口部10aへの短絡流が形成されてしまい,介在物浮上効果が低下する。また,幅比率w/Wが1/6未満の場合の流動パターンを図5に示すが,この場合,渦は形成されるが,第一の堰9の開口部9aからの流速が速く,第二の堰10の上方部の遮断部に衝突した際に湯面からスラグを巻き込んでしまうため,介在物低減効果が相殺される。
さらに開口部9a,10aの幅比率w/Wが式(1)を満たしている場合でも高さ比率h/Hが3/4を超えると,第一の堰9の開口部から第二の堰10の開口部への短絡流が形成されてしまう。また高さh/H比率が,式(2)の左辺の値「−(5/4)・(w/W)+17/24」未満である場合は第一の堰9の開口部9aからの流速が速く,第二の堰10の上方部の遮断部に衝突した際に湯面からスラグを巻き込んでしまう。このため,式(2)を満たす範囲でないと,介在物浮上除去効果が悪化する。
以上,開口部9aが下方部にある第一の堰9を注入口2に近い側に配置した例である図2をもとに説明したが,第一の堰9と第二の堰10の位置を入れ替えて第二の堰10を注入口2に近い側に配置した場合でも同様の効果が得られる。この場合のシミュレーション結果を図6に示す。介在物流出割合が10%未満となる良好範囲を点線で囲んだが,上述の第一の堰9が注入口2に近い場合のシミュレーション結果を示した図3と同様の領域であった。この第二の堰10を注入口2に近い側に配置した場合の良好範囲で多く見られる流動パターンを図7に示す。第二の堰10の開口部10aから流出した溶鋼が第一の堰9の下方部の遮断部に衝突し方向が変わった後,第一の堰9の上方部に向かって上昇しながら,結果として上から見た場合に第二の堰10と第一の堰9に囲まれた領域では渦を形成していることが多いことが判明した。渦が形成されない場合でも短絡流を形成せず,迂回経路を形成していることも,上述の第一の堰9を注入口2に近い側に配置した場合と同様である。すなわち,第一の堰9と第二の堰10のどちらを注入口2に近い側に配置しても高い介在物浮上除去効果が得られる。ただしシミュレーション結果では,開口部9aが上方部にある第一の堰9を注入口2に近い側に配置した方が,介在物流出割合の数値が低い傾向があるため,第一の堰9を注入口2に近い側に配置する方が好ましい。
以上の様に,隣接した堰の間の領域で,一回転強の渦,または迂回経路を形成して,流通経路長を長くすること,および介在物の凝集・合体を促進することが本発明の特徴であり,そのために,(a)堰は2枚以上設け,(b)少なくとも2枚の隣り合う堰9,10において,開口部9a,10aの高さ方向位置は,第一の堰9では上方部に,第二の堰10では下方部に,そして(c)堰の開口部9a,10aの幅方向位置は,第一の堰9ではタンディッシュ3の側壁の一方の側に,第二の堰10では第一の堰9と反対の側に位置し,(d)それぞれの堰9,10の開口部9a,10aの幅wと高さhは式(1)と式(2)を満たす事が必要である。
さらに,3枚以上の堰を設けることで更に効果がある。この場合,奇数番目の堰は溶鋼浴の高さ方向の下方部の溶鋼流を遮断し,上方部では側壁の一方の側の溶鋼流を遮断して,かつ,上方部の他方の側には溶鋼が流通できる開口部を有しており,偶数番目の堰は,溶鋼浴の高さ方向の上方部の溶鋼流を遮断し,下方部では,奇数番目の堰の上方部に設けた開口部と同じ側の溶鋼流を遮断して,下方部の他方の側に開口部を有しており,それぞれの堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部の幅と高さをw,hとした時に(1)式と(2)式を満たすことを特徴とする。すなわち,上述した2枚の堰の場合の第一の堰9と第二の堰10を交互に配置する形に近い。ただし,開口部の幅,高さは(1)式,(2)式を満たしていれば,奇数番目どうし,あるいは偶数番目どうしで同じ形状である必要はない。図8に堰を3枚配置した場合の流動パターンの一例を示すが,第一の堰9と第三の堰11の開口部9a,11aの形状は(1)式,(2)式を満たしている限り異なっても構わない。このことにより,隣接する堰の間の領域で,渦,または迂回経路を形成して流通経路長を長くし,また介在物の凝集・合体を促進することができ,高い介在物浮上除去効果が得られる。
図8では,注入口2に近い側に開口部9aが上方にある第一の堰9を配置している。第二の堰10の開口部10aまでは上述の2枚の堰を設けた場合と同様である。第二の堰10の下方部の開口部10aから出た溶鋼流は向かいの第三の堰11の下方部の遮断部に衝突し流動方向が変わり,その結果,タンディッシュ3を上から見た場合に第二の堰10と第三の堰11との間の領域で渦,または迂回経路を形成する。上述の第一の堰9と第二の堰10の間の領域に形成された渦と回転方向は逆で,1回転強回転しながら第三の堰11の上方部の開口部11aに向かう上昇流である。したがって,上述した堰が2枚の場合の流通経路長の増加と,介在物の凝集・合体の促進に加えて,この上昇流による介在物の浮上除去の促進効果も加わる。堰が2枚の場合よりも介在物浮上除去効果を一層高めることが出来,シミュレーション結果では介在物流出割合は3%以下に低減した。
以上,本発明の実施の形態の一例について説明したが,本発明はこの例に限らず種々の形態を採りうるものである。図示の形態では,タンディッシュの注入部と流出口との間に2枚または3枚の堰を設けた例を説明したが,堰の枚数は2枚以上であれば任意である。また,複数の堰のうちの少なくとも2枚の隣り合う堰において,一方の堰に溶鋼浴の高さ方向の上部の片側の側壁方向のみ溶鋼が流通可能な開口部を形成し,他方の堰に溶鋼浴の高さ方向の下部の前記開口部と反対の側壁方向のみ開口部を形成すれば良い。なお,図2等においては,各開口部9a,10b,11aの幅と高さをそれぞれ共通の符号w,hを用いて説明したが,各堰に形成される開口部の幅wと高さhは互いに同じでも良いし,各堰ごとに開口部の幅wと高さhがそれぞれ異なっていても良い。何れにしても,対象となる少なくとも2枚の隣り合う堰に形成した開口部の幅wと高さhが,先に示した(1)式および(2)式の条件を満たせば足りる。
以下に,実施例を参照しながら本発明を詳細に説明する。
低炭素鋼300tを転炉で溶製し,アルミ脱酸したものを,溶鋼容量60tの舟型タンディッシュを介して,2ストランドの垂直曲げ型連続鋳造機で鋳造し,幅1800mm×厚み280mmの鋳片を製造した。鋳片内のアルミナ系介在物量を調査するために,鋳片幅方向の1/4幅部と1/2幅部より,鋳片表層から80mm深さまでの試料を採取し,スライム調査を行い,サイズが53μmを超えるアルミナ系介在物の個数を測定した。
タンディッシュ内に堰を0枚から最大3枚設けた。堰の形状はタンディッシュ断面に合わせて逆台形であり,鋳造時に溶鋼に浸漬する部分の高さは1400mm,溶鋼浴湯面における幅1400mm,底辺の幅800mm,厚みは100mmである。
本発明の実施例(本発明例)および比較例として,タンディッシュの仕様と,介在物調査結果を表1に示す。第一,第三の堰は開口部が上部にあり,第二の堰は下部にある。また,第一の堰を注入口側と流出口側のどちら側に配置したかを記載した。例えば,第一の堰の位置を注入口側と記載していれば,注入口側から順番に第一の堰,第二の堰,第三の堰と配置していることを表す。
スライム調査で測定したアルミナ系介在物個数が50個/kg以下の場合に,製品欠陥が目標値0.1%以下となっていることが分かっているため,50個/kg以下の場合の評価を○,50個/kgを超える場合を×と判定した。
Figure 2006239746
表1のNo.1〜No.5は比較例である。No.1は堰が無い場合,No.2は全ての堰の開口部の幅比率w/W=1である,つまり開口部が全幅に渡る下堰2枚と上堰1枚を計3枚配置した従来型の三段堰の場合,No.3は堰が1枚の場合であり,介在物が100個/kgを超える悪い結果であった。評価は×である。
No.4とNo.5は堰が2枚で,開口部の高さ比率h/Hの本発明範囲を満たさない場合である。No.4では湯面上のスラグ巻き込みが生じたため,No.5では短絡流が形成されたため,介在物浮上効果が低く,介在物個数は50個/kgを超えた。評価は×である。
No.6〜17は本発明例である。No.6〜10は堰が2枚で第一の堰と第二の堰の開口部の形状が同一の場合,No.11〜14は堰が2枚で第一の堰と第二の堰の開口部の形状が異なる場合である。そして,No.6〜No.13は第一の堰を注入口側に,No.14は第一の堰を流出口側に配置した場合である。いずれも開口部の幅幅比率w/W,高さ比率h/Hとも本発明範囲を満たしている。いずれも介在物の浮上除去効果が良好であり,介在物個数は50個/kg以下であった。評価は○である。
No.15〜No.17は堰が3枚の場合の本発明例である。No.15は堰の開口部の形状が3枚とも同一の場合,No.16とNo.17はそれぞれの堰の開口部形状が異なる場合である。そして,No.15とNo.16は第一の堰を注入口側に,No.17は第一の堰を流出口側に配置している。いずれも介在物個数が20個/kg以下で,堰が2枚の場合よりもさらに良好であった。評価は○である。
以上の様に,本発明によるタンディッシュでは,堰の開口部の位置と形状を規定することで,堰と堰の間の領域で短絡流を形成することなく,渦,または迂回経路を形成することにより,溶鋼の流通経路長を長くし,さらに介在物の凝集・合体を促進するので,介在物浮上除去効果が高い。この結果,清浄性の高い溶鋼が鋳型内に注入され,鋳造された鋳片内に残存するアルミナ系介在物を大幅に低減することが出来るため,製品の表面疵や加工時の割れを低減でき,工業上の効果が大きい。
本発明のタンディッシュは,鋼の連続鋳造に利用可能である。
従来技術の説明図である。 堰が2枚で第一の堰を注入口側に配置した本発明の実施の形態にかかる連続鋳造用タンディッシュを上から見た図と横から見た図であり,流動パターンを模式的に示している。 堰が2枚で第一の堰を注入口側に配置した本発明の実施の形態のシミュレーション結果であり,介在物流出割合と開口部の幅比率;w/Wおよび高さ比率;h/Hの関係を示すグラフである。 堰が2枚で開口部の幅比率;w/Wが2/5を超える場合の流動パターンの模式図である。 堰が2枚で開口部の幅比率;w/Wが1/6未満の場合の流動パターンの模式図である。 堰が2枚で第二の堰を注入口側に配置した本発明の実施の形態のシミュレーション結果であり,介在物流出割合と開口部の幅比率;w/Wおよび高さ比率;h/Hの関係を示すグラフである。 堰が2枚で第二の堰を注入口側に配置した本発明の実施の形態にかかる連続鋳造用タンディッシュを上から見た図と横から見た図であり,流動パターンを模式的に示している。 堰が3枚で第一の堰を注入口側に配置した本発明の実施の形態にかかる連続鋳造用タンディッシュを上から見た図と横から見た図であり,流動パターンを模式的に示している。
符号の説明
1 取鍋
2 注入口
3 タンディッシュ
4 流出口
5 浸漬ノズル
6 下堰
7 上堰
8 下堰
9 第一の堰
10 第二の堰
11 第三の堰
9a,10a,11a 開口部
W:タンディッシュ溶鋼湯面の幅,
H:タンディッシュ溶鋼湯面の深さ,
w:堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部の幅,
h:堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部の高さ

Claims (2)

  1. 鋼の連続鋳造におけるタンディッシュであって,取鍋からの注入部と鋳型への流出口との間に複数の堰を有し,それら複数の堰のうちの少なくとも2枚の隣り合う堰の一方は溶鋼浴の高さ方向の上部の片側の側壁方向のみ溶鋼が流通可能な開口部を有し,他方の堰は溶鋼浴の高さ方向の下部の前記開口部と反対の側壁方向のみ開口部を有すると共に,それぞれの堰は下記(1)式および(2)式を満たすことを特徴とする連続鋳造用タンディッシュ。
    1/6≦w/W≦2/5 (1)
    −(5/4)・(w/W)+17/24≦h/H≦3/4 (2)
    ここで,
    W:タンディッシュ溶鋼湯面の幅,
    H:タンディッシュ溶鋼湯面の深さ,
    w:堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部の幅,
    h:堰の溶鋼に浸漬している部分の開口部の高さ
  2. 溶鋼浴の高さ方向の上部の片側の側壁方向のみ溶鋼が流通可能な開口部を有した堰を取鍋からの溶鋼注入部に近い側に配置し,溶鋼浴の高さ方向の下部の前記開口部と反対の側壁方向のみに開口部を有する堰を流出口に近い側に配置することを特徴とする請求項1記載の連続鋳造用タンディッシュ。
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