以下において本発明を詳しく説明する。なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルのいずれかであることを意味する。
1.表示素子用黒色樹脂組成物
本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物は、組成式:TiNxOy・nSiO2(組成式中、Tiはチタン原子、Nは窒素原子、Oは酸素原子、Siはケイ素原子を表し、xはチタン原子に対する窒素原子の比を、yはチタン原子に対する酸素原子の比を表し、x、yはそれぞれ0より大きく2未満の実数を取り得る。nはTiNxOyに対するSiO2のモル比を表し、nは0≦n≦0.05の範囲の実数を取り得る。)で表され、Nで表される窒素原子を17重量%以上23重量%未満の範囲含み、かつ、比表面積が5〜30m2/gの範囲であり、X線回折計を用いて測定した結晶子径が17〜25nmの範囲であることを特徴とする黒色系酸窒化チタンと、硬化性バインダー系を少なくとも含有する。
本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物は、特定の組成を有し、窒素含有量が高く、所定の結晶子径を有する酸窒化チタンと、硬化性バインダー系とを組合せて用いることにより、酸窒化チタンの含有量が比較的少なくても高い光学濃度を実現するため、薄膜を形成しても高い光学濃度を実現することができる。更に、本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物は、相対的にバインダー系の含有比率を比較的高くできるため、バインダー系が感光性である場合に、容易にパターニング性を実現でき、工程の簡略化に大きく寄与でき、また応用範囲を広げられる。すなわち、本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物は、薄膜を形成しても高い光学濃度を実現しながら、パターニング性を兼ね備えることが可能である。
まず、本発明の表示素子用黒色樹脂組成物に配合される各成分について説明する。
<酸窒化チタン>
(1)酸窒化チタンの組成
本発明の酸窒化チタンはTiNxOyで表され、必要に応じてSiO2で表される酸化ケイ素を含んでいてもよく、酸化ケイ素は酸窒化チタンと混合物を形成していても酸窒化チタンの粒子表面に付着していてもよく、あるいは酸窒化チタンと複合物を形成していても酸窒化チタンの粒子内部に固溶していてもよい。このことから、本発明の酸窒化チタンは組成式:TiNxOy・nSiO2で表され、組成式中、Tiはチタン原子、Nは窒素原子、Oは酸素原子、Siはケイ素原子を表し、xはチタン原子に対する窒素原子の比を、yはチタン原子に対する酸素原子の比を表し、nはTiNxOyに対するSiO2のモル比を表す。x、yはそれぞれ0より大きく2未満の実数を取り得るが、粒子の酸化安定性が良好で所望の高い窒化度のものとするにはxに対するyの比y/xが0.10〜0.60の範囲であるのが好ましく、0.15〜0.50の範囲がより好ましく、0.15〜0.40の範囲が更に好ましく、0.15〜0.30の範囲が最も好ましい。
また、酸窒化チタンには酸化ケイ素を含んでいても含まなくてもよいが、酸化ケイ素は酸窒化チタン製造の際の焼結防止作用、窒化促進作用や酸窒化チタンの酸化安定性、酸窒化チタンを樹脂、溶媒に分散する際の分散効果が期待され、無水酸化ケイ素であっても、水分を吸着した酸化ケイ素であっても、含水酸化ケイ素の状態であってもよく、酸窒化チタンを高温度で製造する際に用いる場合には無水酸化ケイ素になり易い。酸化ケイ素はSiO2の状態で存在すると考えているが、酸窒化チタン製造の際にアンモニアガス、アミンガス等で高温焼成すると、酸化ケイ素の一部が窒化されて酸窒化物あるいは窒化物を生成する場合が起こる可能性があり、本発明ではケイ素の酸窒化物、あるいはケイ素の窒化物が存在していてもよい。含有する酸化ケイ素のモル比nは0≦n≦0.05の範囲の実数を取り得るが、0.001≦n≦0.04の範囲が好ましく、0.003≦n≦0.03の範囲がより好ましい。
チタン原子、ケイ素原子はICP発光分光分析法により分析し、酸素原子は不活性ガス搬送融解赤外線吸収法を用いて分析し、窒素原子は炭素・水素・窒素分析装置により分析し、それらの値からx、nを算出する。ケイ素原子が存在する場合は、ケイ素原子が酸素原子と結合し酸化ケイ素SiO2になっているものと想定し、酸素原子の分析値からケイ素原子と結合してSiO2となる酸素原子分を差し引いた値をTiNxOy中の酸素原子の値とし、その値からyを算出する。
(2)酸窒化チタンの窒素含有量、酸素含有量
TiNxOy・nSiO2にはNで表される窒素含有量が17重量%以上23重量%未満であることが重要であり、19〜22重量%の範囲がより好ましく、20重量%より多く22重量%以下の範囲が更に好ましい。窒素含有量が17重量%以上であると、特に20重量%を超えると赤味を帯びた黒色を有するようになるが、塗膜に配合すると金属光沢を呈し可視光の反射率が高くなって、隠蔽性(遮光性)が高くなる。窒化チタンTiNの組成では窒素を約23重量%含むことになるが、本発明の酸窒化チタンの窒素含有量はそれよりも少ない量である。
一方、TiNxOy中のOで表される酸素含有量は、0.5〜15重量%の範囲で含まれていると経時的に酸化が進み難く安定しているので好ましく、1〜13重量%の範囲がより好ましく、2〜11重量%の範囲が更に好ましく、3〜10重量%の範囲が更に好ましく、4〜9重量%の範囲が最も好ましい。
(3)酸窒化チタンのX線回折
酸窒化チタンのX線回折(Cuα線使用)では、2θとして40〜45°の間にメイン(第一)ピークが、35〜40°の間に第二ピークが観察でき、窒素含有量を変化させると第一ピークの角度は徐々にシフトする。例えば、TiNxOyのxが0.85〜1では、xの値が大きいほどピーク位置は低角側にシフトし、xが0.95程度であれば2θが42.9°程度、xが0.93程度であれば2θが43.0°程度、xが0.89程度であれば2θが43.2°程度になる。本発明の酸窒化チタンのメイン(第一)ピークは窒化チタンのピーク位置(42.6°)とは異なり、それよりも高角度側に、例えば、42.7°〜43.5°の範囲に確認されることから、本発明の酸窒化チタンは窒化チタン、あるいはその表面を部分的に酸化したものとは異なる。また、酸窒化チタンは二酸化チタン、含水酸化チタン、水酸化チタンやTiO、Ti2O3、Ti3O5などの低次酸化チタン等のチタン酸化物をアンモニアガス、アミンガス等の存在下で加熱焼成して得られるため、出発原料として用いたチタン酸化物が残存する場合は二酸化チタン等に由来するX線回折ピークが確認できるが、本発明では不純物となる二酸化チタン等をX線回折ピークで確認できない程度以上まで還元するのが好ましい。なお、二酸化チタンのX線回折のピーク位置は、アナターゼ型二酸化チタンが2θとして25〜26°の間に、ルチル型二酸化チタンが2θとして27〜28°の間に現れる。一方、酸化ケイ素のX線回折ピークはそれが相当量存在する場合でも確認できない。
酸窒化チタンのX線回折メイン(第一)ピークの半価幅より式1のScherrerの式を用いて、酸窒化チタン粒子を構成する結晶子の大きさを求めることができる。市販のチタンブラックでは結晶子径が26nmであるが、本発明の酸窒化チタンはこの結晶子径が17〜25nmの範囲であることが重要であり、その範囲であるとサイズ効果により窒化度を高くしても比較的高い黒色度を有しているので好ましく、19〜24nmの範囲がより好ましく、19.5〜23nmの範囲が更に好ましく、20〜22nmの範囲が最も好ましい。
式1:D=0.9λ/(β1/2×cosθ)
(式1中、Dは算出される結晶子径(Å)、λはX線波長であり、Cuα線波長の1.54Åを用いる。β1/2はメイン(第一)ピークの半価幅(ラジアン)を、θは反射角を示す。)
(4)酸窒化チタンの黒色度
酸窒化チタンは黒色系の色彩を有しており、純粋な黒色のほかに青味がかった黒色、紫がかった黒色、赤味がかった黒色、茶色味がかった黒色など黒色のほかに別の色彩を呈していてもよい。酸窒化チタンの明度、色相は、試料1.5gをガラス製の丸セル(日本電色製、部品No.1483)に入れ、セルの底から、色差計(日本電色製Color Meter ZE2000)で測色し、Lab表色系により求める。黒色度はLab表色系の明度指数L値で表され、L値が小さいほど黒色度が強いことを示し、本発明の酸窒化チタンにおいては例えばL値が2〜20程度の黒色度を有することができ、好ましくは8〜13程度とすることができる。
また、L値と同様にして求められるLab表色系のa値、b値は色相彩度を表す指数であり、a値が正側に大きくなるほど赤味が強く負側に大きくなるほど緑味が強いことを示し、b値が正側に大きくなるほど黄味が強く負側に大きくなるほど青味が強いことを示す。本発明の酸窒化チタンにおいては例えばa値が2〜5程度、b値が−1〜5程度の色相を有することができる。
(5)酸窒化チタンの可視光反射率
酸窒化チタンは黒色系の色彩を有するため元来可視光の吸収が大きいものの、隠蔽性を更に高めるには、可視光の吸収に加えて、可視光の反射を活用することが考えられる。すなわち、波長400〜800nmの範囲での反射率の極小値が小さく、可視光の長波長領域の反射率が高いほど、高い遮蔽性(遮光性)を得ることができる。可視光の反射については、紫外可視分光光度計(日本分光製V−570)を用いて酸窒化チタン粉末0.3gを円筒セル(直径16mm、日本分光製PSH−001型)に詰めて可視光の反射スペクトルを測定すると(比較試料として硫酸バリウム粉末を使用)、波長400〜800nmの範囲での反射率が極小値を示す光の波長が存在し、それよりも長い波長の光は反射すると一般に言われている。このため、酸窒化チタンの組成変化等によって反射率の極小値を示す光の波長を低波長側にシフトすれば、可視光の反射を増大することができる。
このような観点で研究を進めたところ、本発明の酸窒化チタンは窒化度が高く、しかも結晶子径が小さいことからそのサイズ効果により、反射率の極小値を示す波長が低波長側にシフトしていることが確認でき、その反射率の極小値を示す波長が550nm以下程度であれば所望の反射効果が得られるため好ましく、490nm以下程度が更に好ましい。その反射率の極小値は酸窒化チタンの結晶子径、比表面積や窒化度等の影響を受け変化するが、本発明の酸窒化チタンでは特定の結晶子径、比表面積、窒素含有量を有することから反射率の極小値を小さくすることができ、その波長での吸収率を高くすることができる。波長400〜800nmの範囲で測定した反射率の極小値は11.5%以下であることが好ましい。
また、可視光の反射率を650nm(赤色光)の波長の反射率で代表して表すと、少なくとも11%程度であることが好ましく、少なくとも13%程度であることがより好ましく、少なくとも14%程度であることが更に好ましく、少なくとも15%程度であることが最も好ましい。このことから、本発明では波長650nmでの反射率が少なくとも11%であり、しかも、反射率の極小値を示す波長が550nm以下に存在し、その反射率の極小値が11.5%以下であるものが、より高い光学濃度を実現可能な点から好ましい。
(6)酸窒化チタンの粒子径
TiNxOy・nSiO2の粒子は、電子顕微鏡で観察してその粒子径が0.02〜0.5μmの範囲であると優れた隠蔽性を有するため好ましく、0.02〜0.25μmの範囲がより好ましく、0.03〜0.2μmの範囲が更に好ましく、0.03〜0.1μmの範囲が最も好ましい。ここで粒子径とは平均粒子径をいう。酸化ケイ素を含む場合、電子顕微鏡ではその存在を確認することはできないが、酸化ケイ素は酸窒化チタン粒子の表面に付着していると推定している。
(7)酸窒化チタンの比表面積
酸窒化チタンの比表面積はBET法により測定して、5〜30m2/gの範囲であると樹脂バインダーや分散剤による分散が容易であり、隠蔽性がよいので好ましく、10〜25m2/gの範囲であるのがより好ましい。
(8)酸窒化チタンの製造方法
本発明の酸窒化チタンは、窒素含有還元剤の存在下でチタン酸化物を装填した装置の温度を750〜1200℃程度の範囲の温度に昇温し加熱焼成することで製造できる。加熱焼成温度は850〜1100℃程度の範囲が好ましく、950〜1050℃程度がより好ましく、970〜1000℃程度が最も好ましい。本発明では、加熱焼成温度の最適化を図ることで、窒化度が高く、しかも結晶子径が小さい酸窒化チタンを得ることができる。加熱焼成温度が前記範囲より低いと窒化が進み難く所望の酸窒化チタンが得られ難いので好ましくなく、前記範囲より高いと焼結が進み微細な粒子が得られ難いので好ましくない。加熱焼成時間はチタン酸化物や窒素含有還元剤の量によって異なるため適宜設定することになるが、操業上1〜20時間程度が適当であり、3〜10時間程度が好ましい。また、加熱焼成を行った後冷却し、その後更に加熱焼成を繰り返し行ってもよい。加熱焼成装置は、流動層装置、ロータリーキルン、トンネルキルン等の公知のものを用いることができ、特に、ロータリーキルンが好ましい。窒素含有還元剤としては、例えば、アンモニアや、メチルアミン、ジメチルアミン等のアルキルアミン、ヒドラジン及び硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン等のヒドラジン系化合物等を用いることができ、これらを1種又は2種以上を混合して用いてもよい。中でもアンモニア及びアルキルアミンは、ガス状にしてチタン酸化物と接触させることができ、均一に反応させ易いので好ましい。さらに、これらの窒素含有還元剤に窒素、水素、炭化水素を微量添加すると窒化を促進することができ、好ましい。特に、炭化水素は、チタン酸化物中の酸素と反応し、二酸化炭素となり、窒化反応を抑制する水の生成が抑制できるため好ましい。
本発明で言うチタン酸化物は、通常のルチル型(R型)、アナターゼ型(A型)等の二酸化チタンのほかに、水和酸化チタン、含水酸化チタン、水酸化チタンやTiO、Ti2O3、Ti3O5などの低次酸化チタンを包含する化合物である。二酸化チタンは、例えば、含水酸化チタン(又は水酸化チタン)を空気又は酸素含有ガスの雰囲気下あるいは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で800〜1000℃程度の温度で加熱焼成することで得られる。また、含水酸化チタンは、例えば、イルミナイト鉱、チタンスラグ等のチタン含有鉱石を必要に応じて粉砕し、硫酸で溶解させながらチタン成分と硫酸とを反応させて、硫酸チタニル(TiOSO4)を生成させ、静置分級、濾過した後、硫酸チタニルを加熱加水分解することで得られる。窒素含有還元剤の存在下でチタン酸化物を加熱焼成する窒化反応において水が存在すると窒化が進み難くなるので、水和酸化チタン、含水酸化チタン、水酸化チタンより二酸化チタンを使用する方が好ましく、ルチル型よりアナターゼ型の二酸化チタンの方が窒化され易いためより好ましい。
本発明においては、チタン酸化物の粒子表面に酸化ケイ素を被覆した後、加熱焼成すると、前記の範囲の高温度でも粒子が焼結し難く、更に反応過程でルチル型の二酸化チタンが生成し難いため窒化が進み易く、微細な酸窒化チタンが更に得られ易くなるので好ましい。酸化ケイ素は多孔質酸化ケイ素として被覆しても、緻密酸化ケイ素として被覆してもよいが、緻密酸化ケイ素として被覆すると、焼結抑制の効果が得られ易く好ましい。酸化ケイ素の被覆量は、加熱焼成して得られるTiNxOyに対するモル比nで表して0<n≦0.05の範囲となる量であればよく、0.001≦n≦0.04の範囲が好ましく、0.003≦n≦0.03の範囲がより好ましい。酸化ケイ素の被覆量が前記範囲より少ないと所望の焼結抑制効果が得られ難く、多いと窒化が進み難いため、好ましくない。
緻密酸化ケイ素の被覆方法は、特開昭53−33228号公報、特開平7−8971号公報等に記載されているような公知の方法を用いることができる。特開昭53−33228号公報に記載の方法は、チタン酸化物のスラリーを80〜100℃の範囲の温度に維持しながら、好ましくはスラリーのpHを9〜10.5の範囲に調整し、ケイ酸ナトリウムを急速に添加した後、9〜10.5の範囲のpHで中和し、その後、80〜100℃の範囲の温度を50〜60分間保持するものである。特開平7−8971号公報に記載の方法は、チタン酸化物のスラリーのpHを9.5〜11の範囲に調整した後、60℃以上、好ましくは70℃以上、更に好ましくは90℃以上の温度下で、ケイ酸塩を30〜120分間かけて徐々に添加した後、中和し、その後、スラリー温度を維持しながら60〜120分間保持するものである。ケイ酸塩には、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等を用いることができ、中和剤には、硫酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、ギ酸等の有機酸等の酸性化合物を用いることができる。酸化ケイ素を被覆した後は、好ましくは脱水、洗浄し、加熱焼成工程に供する。
多孔質酸化ケイ素の被覆方法は、チタン酸化物のスラリーを70℃以下の温度に維持しながら、ケイ酸ナトリウムを急速に添加した後、中和し、その後、70℃以下の温度を30分以下の間保持するものである。
酸窒化チタンを製造した後は、必要に応じて公知の方法により、乾式粉砕を行ってもよく、あるいはスラリー化した後、湿式粉砕、脱水、乾燥し、乾式粉砕してもよい。湿式粉砕には縦型サンドミル、横型サンドミル等が、乾燥にはバンド式ヒーター、バッチ式ヒーター等が、乾式粉砕にはハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、解砕機等の摩砕粉砕機、ジェットミル、スネイルミル等の気流粉砕機や、噴霧乾燥機等の機器を用いることができる。
本発明の酸窒化チタンの粒子表面には、樹脂バインダーとの親和性、塗料保管中の経時安定性を向上させたり、生産性を改良する等の目的で、無機化合物、有機化合物から選ばれる少なくとも1種が被覆されていてもよい。
無機化合物としては、例えば、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、チタニウム化合物、アンチモン化合物等が挙げられ、これらを1種被覆することも、2種以上の被覆を積層したり、2種以上の無機化合物を混合して被覆する等して、組合せて用いることもできる。これらの無機化合物が酸化物、水酸化物、水和酸化物、リン酸塩から選ばれる少なくとも1種であれば、更に好ましい。
また、有機化合物としては、多価アルコール、アルカノールアミン又はその誘導体、有機ケイ素化合物、高級脂肪酸又はその金属塩、有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、(1)多価アルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリプロパノールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。(2)アルカノールアミンとしては、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等が挙げられる。(3)有機ケイ素化合物としては、(a)ポリシロキサン類(ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジオール、アルキル変性シリコーンオイル、アルキルアラルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、両末端アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、両末端エポキシ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等)、(b)オルガノシラン類(n−ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルメチルジメトキシシランなどのアルキルシラン類、フェニルトリエトキシシランなどのフェニルシラン類、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどのフルオロシラン類等の非反応性シラン類、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤等)が挙げられる。(4)高級脂肪酸としては、ステアリン酸、ラウリン酸等が、それらの金属塩としてはマグネシウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。(5)有機金属か化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロフォスフェート)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどのチタニウムカップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウム系カップリング剤、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシステアレートなどのジルコニウム系化合物等が挙げられる。これらは1種被覆することも、2種以上を組合せて被覆することもできる。
被覆量は適宜設定できるが、酸窒化チタンに対し0.01〜30重量%程度の範囲であるのが好ましく、0.05〜10重量%程度の範囲がより好ましく、0.1〜5重量%程度の範囲が更に好ましい。酸窒化チタンの表面に無機化合物や有機化合物を被覆する場合は、湿式法や乾式法の公知の方法を用いて、例えば酸窒化チタンの乾式粉砕の際、スラリー化した際あるいは湿式粉砕した際に行うことができる。湿式法で表面処理を行う場合、処理前又は処理中に酸窒化チタンを湿式粉砕することが好ましい。また、湿式法による表面処理は、水系、溶剤系のどちらでも実施することができるが、水系の方が、環境面、費用面、設備面で好ましい。但し、水系で処理する場合、特に湿式粉砕を行う場合は、水そのものあるいは水中の溶存酸素の影響で、酸窒化チタンが僅かに酸化されるので、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアルデヒド、酒石酸、ぶどう糖、次亜燐酸ナトリウム、N−N−ジエチルグリシンナトリウムなどの還元剤共存下で湿式粉砕する方が好ましい。
酸窒化チタンは、表示素子用黒色樹脂組成物の固形分100重量部に対して33〜75重量部、更に38〜72重量部の割合で配合するのが好ましい。ここで、配合割合を特定するための固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマー等も固形分に含まれる。
<硬化性バインダー系>
本発明においては、塗膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又はインクジェット方式や転写などによりパターンを形成後、当該塗膜を重合反応により硬化させることができる、硬化性バインダー系を用いる。このような硬化性バインダー系としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させたり、溶解性を変化させることができる感光性のバインダー系や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー系のような、硬化可能なバインダー系が挙げられる。本発明に用いられる硬化性バインダー系としては、感光性バインダー系や、熱硬化性バインダー系、さらには、感光性バインダー系及び熱硬化性バインダー系の両方を含むものを用いることができる。
(1)感光性バインダー系
感光性バインダー系には、紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含み、露光部を硬化させて未露光部を溶解除去することにより露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるネガ型の感光性バインダー系と、露光部が化学変化を起こして例えばアルカリ水溶液に可溶となり、この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるポジ型の感光性バインダー系が含まれる。
(i)ネガ型感光性バインダー系
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むネガ型感光性バインダー系は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)多官能性モノマー、(C)光重合開始剤、及び増感剤等を配合して構成される。
(A)アルカリ可溶性樹脂
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、上記酸窒化チタンに対してバインダーとして作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜の樹脂を使用することができる。本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基を有するものである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
(カルボキシル基を有するアクリル共重合体)
カルボキシル基を有するアクリル共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の非重合性ジカルボン酸のモノ(2−アクリロイロキシエチル)エステルまたはモノ(2−アクリロイロキシエチル)エステル類;ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート等を挙げることができる。これらのカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、インデン、p−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、グリセリンモノアクリレート、グリセリンモノメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の不飽和アミド類;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド等のN−置換マレイミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらの他のエチレン性不飽和モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
カルボキシル基を有するアクリル共重合体の具体例としては、(メタ)アクリル酸/ベ
ンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体あるいは(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/グリセリンモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、
(メタ)アクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリスチレンマクロモノマー共重合体あるいは(メタ)アクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェニル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体等を挙げることができる。
また、上記アクリル共重合体の一部のカルボキシル基に対し、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−(2,3−エポキシプロピル)ブチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の1分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基を有する化合物のエポキシ基を反応させたり、アクリル共重合体の一部もしくは全部の水酸基に対し、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートのような1分子中にイソシアネート基とエチレン性不飽和基を有する化合物のイソシアネート基を反応させて得られる側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体も使用することができる。
このようなエチレン性不飽和結合含有化合物は、それ自体が重合反応性を有し、光硬化性樹脂として利用できる。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5重量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50重量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
従来において、例えばインク、塗料、接着剤などの各種分野で用いられているUV硬化性樹脂組成物に配合されるプレポリマーも本発明において使用できる。従来から知られているプレポリマーとしては、ラジカル重合型プレポリマー、カチオン重合型プレポリマー、チオール・エン付加型プレポリマーなどがあるが、いずれを用いてもよい。
この中で、ラジカル重合性プレポリマーは、市場においても容易に入手でき、例えば、エステルアクリレート類、エーテルアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート類、アミノ樹脂アクリレート類、アクリル樹脂アクリレート類、不飽和ポリエステルなどを例示できる。
(カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂)
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。また、水酸基含有アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、不飽和基含有モノグリシジルエーテルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物も挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
(B)多官能性モノマー
本発明における多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等を挙げることができる。
これらの多官能性モノマーのうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのこはく酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。前記多官能性モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における多官能性モノマーの使用量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通常、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部である。この場合、多官能性モノマーの使用量が5重量部未満では、パターン強度やパターン表面の平滑性が低下する傾向があり、一方500重量部を超えると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、パターンが形成される部分以外の領域での地汚れや膜残りが発生しやすくなる傾向がある。
また、本発明においては、前記多官能性モノマーの一部を単官能性モノマーで置き換えることもできる。このような単官能性モノマーとしては、例えば、アルカリ可溶性樹脂を構成するカルボキシル基含有不飽和モノマーあるいは他の不飽和モノマーや、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。これらの単官能性モノマーのうち、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート等が好ましい。前記単官能性モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。単官能性モノマーの使用割合は、多官能性モノマーと単官能性モノマーの合計量に対して、通常、90重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
(C)光重合開始剤、及び増感剤
ネガ型感光性バインダー系には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、光重合成を有する重合体や光重合成モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合等)や、各材料の種類を考慮して適宜選択され、特に限定されない。
中でも、バインダー系の光重合性が光ラジカル重合である場合には、本発明に用いる光重合性開始剤としては、下記式(1)により表される化合物群から1種又は2種以上を選んで用いることが好ましい。
(式中、R
1乃至R
14は、それぞれ独立して水素、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン、ケトン基、芳香族基、又は脂肪族基のいずれかである。但し、前記芳香族基及び脂肪族基は、分岐構造及び脂環式構造から選ばれる構造を含んでいても良く、基の途中にエーテル結合、エステル結合、アミノ結合、アミド結合、チオエーテル結合、不飽和結合から選ばれる1種以上を含んでいても良く、基の末端にヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン、カルボニル基、芳香族基から選ばれる1種以上を含んでいても良い。)
R1乃至R14の1箇所又は2箇所以上の任意位置にハロゲンを置換することによって、光照射時における式(1)の化合物の開裂反応性を高めることが可能であり、感度をより向上させることができる。ハロゲンとしては、Br、Cl等が挙げられる。
また、R1乃至R14の1箇所又は2箇所以上の任意位置にヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、ケトン基、芳香族基、又は脂肪族基を置換することによって、式(1)の化合物の吸収スペクトルを変えることが可能であり、照射波長に合わせて吸収波長特性を調節することができる。ケトン基としては、炭素数1〜10のアルキル基若しくは炭素数5〜14の芳香族基を含むものが挙げられる。これらアルキル基及び芳香族基は置換基を有していてもよいし、基の途中に炭化水素以外の構造を有していてもよい。
芳香族基としては、炭素数5〜20の芳香族基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基のような芳香族炭化水素基の他、ピリジル基のような炭化水素以外の異種原子を含む基も挙げられる。
脂肪族基としては、炭素数1〜10の脂肪族基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基のようなアルキル基、アルケニル基のような不飽和炭化水素基等の脂肪族炭化水素基の他、炭化水素以外の異種原子を含む基も挙げられる。
式(1)で表される光重合開始剤としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−ルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4‐ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン 1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4‐ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン1−[9−プロピル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3‐イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、
エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、
エタノン 1−[9−メチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、
エタノン 1−[9−プロピル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6―(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、
エタノン 1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、エタノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、
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プロパノン 1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4‐ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,6‐ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、
プロパノン 1−[9−メチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4‐ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、
プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4‐ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−プロパノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、
プロパノン 1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]− 1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4‐ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、
プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ブタノン)オキシム]、
プロパノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−エチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、
プロパノン 1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−メチル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、
プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(4−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(6−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(4−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(6−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,6−ジエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]、プロパノン 1−[9−プロピル−6−(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−[O−(1−ペンタノン)オキシム]
式(1)で表される光重合開始剤は感度が高く、この光重合開始剤を使用することによって、感光性バインダー系の感度が飛躍的に向上するため効率よく反応が進行し、その結果、通常と比べて少ない露光量でも充分硬化させることができる。また、感度が高いことから、組成物中の酸窒化チタン粒子濃度が高かったり、硬化成分濃度が小さい場合でも、又は少量の光しか届かない塗膜の深い位置でも、十分に硬化反応が進行し、下地である基板等に対する硬化後の密着性が高くなるので、現像時にパターンが流れにくくなり、細かいパターン形状を正確に形成することができる。
このような感度の向上は、特に、酸素存在下での露光において顕著である。式(1)で表される光重合開始剤は、酸素による反応阻害を受けにくいため、酸素存在下でも重合反応が速やかに進行する。従って、式(1)で表される光重合開始剤を含む本発明の表示素子用黒色樹脂組成物を用いて塗膜を形成する場合には、塗膜表面に露光前に酸素遮断膜を塗工したり、塗膜を窒素雰囲気下で露光する必要がなく、プロセスの煩雑さやコスト高を回避することができる。
また、酸素による反応阻害は、酸素との接触がある塗膜表面で強く起こるため、パターンの表面形状、特にエッジのシャープさに影響を及ぼす傾向がある。これに対し、本発明の表示素子用黒色樹脂組成物に式(1)の光重合開始剤を使用することによって酸素による反応阻害を受けにくくなるため、パターンの表面形状の正確さも向上する。
従って、式(1)の光重合開始剤を使用することによって、下地に対する塗膜の密着性及び、パターンの表面形状の正確性が同時に向上し、その結果、表示装置や固体撮像素子のカラーフィルターの遮光膜に求められる微細且つ精密なパターニング性が得られる。
上記式(1)で表される化合物のうち、R2乃至R11が水素である化合物が好ましく、また、該R2乃至R11が水素である化合物としては、R1、R12、R13、R14が炭素数1乃至3の脂肪族基である化合物が好ましい。
さらに、上記式(1)においてR2乃至R11が水素であり、R1がメチル基、R12がエチル基、R13がメチル基、及びR14がメチル基である下記式(2)で表される化合物は、i線(365nm)を含む、可視領域に近い紫外線(目安として330〜370nm)の照射によって効率よくラジカルを発生させ、感光性着色組成物に高感度を与える。
これは、他の開始剤、例えばカラーフィルター用途でよく用いられるイルガキュアー907(チバ・スペシャリティケミカルズ製)等に比べて、(2)の化合物は、333nm、365nm、といった330〜370nmの吸収強度が大きく、かつ重合開始反応に関与する量子収率が高いために、330〜370nmの光を効率よく利用して反応を進めることができるためと考えられる。式(2)の光重合開始剤としては、例えば、CGI242(チバ・スペシャリティケミカルズ製)等の市販品を用いることができる。
また、本発明においては、上記式(1)で表される化合物と共に、光が照射されることにより開裂や水素引き抜き反応を起こし、ラジカル重合反応を誘起する作用を有するその他の光重合開始剤を、上記効果を損なわない範囲で組み合わせて用いてもよい。また、2種以上の開始剤を組み合わせて用いる場合には、各開始剤に大きな反応阻害を与えない程度に露光波長に対する吸収を持つものを使用することが好ましい。
その他の光重合開始剤としては、例えば、紫外線のエネルギーによりフリーラジカルを発生する化合物であって、ベンゾイン、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステル等の誘導体;キサントン並びにチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類等の含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられ、好ましくは、ケトン系及びビイミダゾール系化合物が挙げられる。
前記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5.5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−シアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、
2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−エチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−メトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−フェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−フェノキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリシアノフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリエチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリフェニルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
具体的には、ビイミダゾール(黒金化成(株)製)、CL2W2(昭和電工(株)製)等の市販品が挙げられる。
これら光重合開始剤は、単独であるいは混合して使用してもよく、その含有量は、目的とする系により適宜調整され、特に限定されるものではない。例えば、上記式(1)で表される化合物を少なくとも用いる場合には、ネガ型感光性バインダー成分の合計量100重量部に対して、0.05〜60重量部、好ましくは0.1〜50重量部が挙げられる。
また、本発明においては、必要に応じて、前記光重合開始剤と共に、増感剤および硬化促進剤の群から選ばれる1種以上をさらに併用することもできる。前記増感剤の具体例としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。また、前記硬化促進剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール等の連鎖移動剤を挙げることができる。
これら増感剤および硬化促進剤の群から選ばれる1種類以上は、単独であるいは混合してもよく、その含有量は特に限定されないが、前記光重合開始剤の合計重量100重量部に対して、通常、5〜70重量部、好ましくは10〜50重量部である。
(ii)ポジ型感光性バインダー系
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むポジ型感光性バインダー系は、(A)酸分解性樹脂、(B)光酸発生剤を含有することを特徴とする。
本発明における酸分解性樹脂とは、酸に接触することによりアルカリ可溶性基(例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基等)に変換可能な基を有する樹脂であり、例えば主鎖あるいは側鎖セグメントにt−ブトキシカルボニル基(−COOt−Bu)、t−ブトキシカルボニルフェニルオキシカルボニル基(−COOphCOOt−Bu)、p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル基(−phOCOOt−Bu)などが結合した樹脂を好ましく使用することができる。より好ましい具体的としては、ポリt−ブチル(メタ)アクリレート、ポリt−ブトキシカルボニルフェニル(メタ)アクリレート、ポリp−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン等を挙げることができる。これらのポリマーは他のモノマーユニットを含んでいてもよい。
本発明において、光酸発生剤とは光の照射により酸を発生する化合物であり、光酸発生剤として公知化合物の一種以上を使用することができる。例えば、オニウムのハロゲン-イオン、BF4-イオン、PF6-イオン、AsF6-イオン、SbF6-イオン、CF3SO3-イオン等との塩、有機ハロゲン化合物、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物、光スルホン酸発生化合物などを使用することができる。
ここで、オニウム塩の具体例としては、USP4,069,055号明細書及び同4,069,056号明細書に記載のものを挙げることができる。ジアゾニウム塩の具体例としては、Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、J.Macromol.Chem.Sci.,A21,1695(1984)及びPolymer,21,423(1980)に記載のものを挙げることができる。ヨードニウム塩の具体例としては、Maclomolecules,10,1307(1977)、Chem.& Eng.NEWS.,Nov.28,31(1988)及びヨーロッパ特許0104143号明細書に記載のものを挙げることができる。スルホニウム塩の具体例としては、Polymer J.,17,73(1985)、Polymer Bull.,14,279(1985)、J.Polymer Sci.,17,977(1979)、J.Org.Chem.,43,3055(1978)、J.Org.Chem.,50,4360(1985)、特開昭57−18723号公報、特開昭56−8428号公報、USP4760013号明細書、USP4139655号明細書、USP4734444号明細書及びヨーロッパ特許0297433号明細書に記載のものを挙げることができる。ホスホニウム塩の具体例としては、USP4069055号明細書、USP4069056号明細書及びMaclomolecules,17,2469(1984)に記載のものを挙げることができる。セレニウム塩の具体例としては、Maclomolecules,10,1307(1977)に記載のものを挙げることができる。アルソニウム塩の具体例としては、Proc.Conf.Rad.Curing ASIA P478Tokyo.Oct.(1988)に記載のものを挙げることができる。
また、光の照射により酸を発生する有機ハロゲン化合物としては、特公昭46−4605号公報に記載のフェニルトリメチルスルホン化合物、特公昭48−36281号公報、特開昭53−133428号公報、特開昭60−105667号公報あるいは特開昭60−239736号公報に記載のハロメチル−S−トリアジン化合物、Angew.Physik.Chem.,24.381(1918)、J.Phys.Chem.,66,2449(1962)、特開昭54−74728号公報、特開昭55−77742号公報、特開昭59−148784号公報、特開昭60−3626号公報、特開昭60−138539号公報あるいは特開昭60−239473号公報に記載のハロメチオキサジアゾール化合物などを挙げることができる。
光スルホン酸発生化合物としては、Maclomolecules,21,2001(1988)あるいは特開昭64−18143号公報に記載のニトロベンジルアルコールとアリールスルホン酸とのエステル化合物、ヨーロッパ特許0044155号明細書あるいは同0199672号明細書に記載のオキシムとアリールスルホン酸とのエステル化合物、USP4258121号明細書あるいはUSP4618564号明細書に記載のN−ヒドロキシアミドまたはイミドとスルホン酸とのエステル化合物、ヨーロッパ特許84515号明細書あるいは同199672号明細書に記載のベンゾインとスルホン酸とのエステル化合物などを挙げることができる。
これら光酸発生剤のうち、有機ハロゲン化合物、特にハロメチル−S−トリアジン化合物、ハロメチルオキサジアゾール化合物及び光スルホン酸発生化合物が、酸に接触することによりアルカリ可溶性基(例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基等)に変換可能な基、例えばt−ブトキシカルボニル基又はt−ブトキシカルボニルオキシフェニル基を効率よく分解することができるので好ましい。
これら酸発生剤は、単独であるいは混合して使用してもよく、その含有量は、酸分解性樹脂に対して少なすぎると発生する酸の量が少なく、十分に酸分解性樹脂をアルカリ可溶性とすることができず、多すぎると現像性等に好ましくない現象が生ずることが懸念されるので、酸分解性樹脂100重量部に対して好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは3〜15重量部である。
なお、光酸発生効率を高め、感光性樹脂組成物の感度も高めるために、光酸発生剤と増感剤とを組み合わせて使用することができる。これらは、使用する顔料等に応じて適宜選択することができる。
このような増感剤としては、公知の増感剤を使用することができ、例えば、アントラセン、フェナンスレン、ペリレン、ピレン、クリセン、1,2−ベンゾアントラセン、コロネン、1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、2,3,4,5−テトラフェニルフラン、2,5−ジフェニルチオフェン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、フェノチアジン、1,3−ジフェニルビラゾリン、1,3−ジフェニルイソベンゾフラン、キサントン、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、アンスロン、ニンヒドリン、9−フルオレノン、ニトロピレン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、インダノン、フェナンスラキノン、7−メトキシ−4−メチルクマリン、3−ケト−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、フルオロセン、エオシン、ローダミンS及びトリフェニルピリリウムパークロレート等を挙げることができる。
これらの増感剤と光酸発生剤との割合は、モル比で好ましくは0.01/1〜10/1であり、より好ましくは0.1/1〜5/1である。
(2)熱硬化性バインダー系
熱硬化性の系としては、例えば、エポキシ基と活性水素、環状尿素基と水酸基等の開環付加反応系や、ポリアミック酸を加熱閉環イミド化するようなポリイミド前駆体系等を用いることができる。
熱硬化性バインダー系としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが好適に用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらに上述のような、それ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、通常は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを挙げることができる。より具体的には、商品名エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ化合物としては、硬化膜に密着性や耐熱性、耐アルカリ性を付与するために通常バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)と、硬化膜の架橋密度を高くしたり、組成物の粘度調整のために、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量の小さい、一分子中にエポキシ基を二つ以上有する化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある)を併用してもよい。
バインダー性エポキシ化合物の平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に1,000〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることが特に好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が1,000よりも小さすぎると例えばカラーフィルターの細部としての硬化樹脂層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易く、一方、当該分子量が100,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、基板への塗工時の均一性が損なわれ、膜厚に大きな分布が生じやすくなる。
一方、多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。なお、重量平均分子量はテトラヒドロフランを展開液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、HLC−8029、東ソー株式会社製)を用い、ポリスチレン換算により求めた値をいう。
上記バインダー性エポキシ化合物には、共重合体の分子内に導入できるエポキシ量には限界がある。樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。多官能エポキシ化合物は、上述した多価エポキシ化合物の中から適宜選択できる。
また、硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。多価カルボン酸無水物および多価カルボン酸は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。
本発明に用いられる硬化剤の配合量は、熱硬化性官能基がエポキシ基の場合、エポキシ基を含有する成分(モノマーと樹脂)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができない。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るうえに、均一で平滑な塗膜を形成することができない。
本発明の熱硬化性バインダー系には、硬化樹脂層の硬度および耐熱性を向上させるために、例えば酸−エポキシ間のような熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。
硬化性バインダー系は、これらの合計量が、表示素子用黒色樹脂組成物の固形分100重量部に対して15〜67重量部、好ましくは25〜62重量部の割合で配合するのが好ましい。
<その他の成分>
(溶剤)
本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物には、通常、塗布性を付与するために溶剤が含まれる。
本発明に用いる溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中では、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤が好適に用いられる。更に好ましくは、MBA(酢酸−3−メトキシブチル、CH3CH(OCH3)CH2CH2OCOCH3)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、CH3OCH2CH(CH3)OCOCH3)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル、H3COC2H4OCH3)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル又はこれらを混合したものを使用することができる。
これらの溶剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、溶剤を用いて表示素子用黒色樹脂組成物の固形分濃度を5〜70重量%となるように調節する。
本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物には、さらに必要に応じて、分散剤、界面活性剤、密着促進剤、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング剤)、或いは、その他の成分を配合しても良い。
(顔料分散剤)
顔料分散剤は、酸窒化チタン等の顔料を良好に分散させるために樹脂組成物中に必要に応じて配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
分散剤は、着色剤を良好に分散させるために必要に応じて配合される。具体例には、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N',N'−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N'−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N',N'−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1、2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン等を例示することができ、その他にニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物を挙げることができる。
さらに、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。
また、市販の分散剤として、Disperbyk−101、同−116、同−130、同−140、同−160、同−161、同−162、同−163、同−164、同−166、同−167、同−168、同−170、同−171、同−174、同−182、同−2000、同−2001、同−2050(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、EFKA−4046、同−4047(以上、EFAK CHEMICALS社製)、ソルスパース12000、同13240、同13940、同17000、同20000、同24000GR、同24000SC、同27000、同28000、同32000、同33500、同33500、同35200、同37500(以上、日本ルーブリゾール(株)製)、アジスパーPB711、同821、同822(以上、味の素ファインテクノ(株)製)等を挙げることができる。
顔料分散剤は、単独であるいは混合してもよく、その含有量は、硬化性バインダー系や顔料濃度により大きく異なるため適宜調整されるものであり、特に限定されない。例えば、表示素子用黒色樹脂組成物における顔料100重量部に対して3〜33重量部、更に5〜30重量部の割合で配合するのが好ましい。
(顔料)
本発明の表示素子用黒色樹脂組成物には、必要により他の顔料が用いられても良い。具体的には、カーボンブラック、Cu−Fe−Mn系酸化物、合成鉄黒、アントラキノン系、フタロシアニン系、ベンゾイミダゾロン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダンスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等の顔料が挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて用いることが出来る。
中でも、カーボンブラックを、前記酸窒化チタンを含む顔料全体に対して3〜20重量%含有することが、更に5〜15重量%含有することが好ましい。このような場合には、表示素子用黒色樹脂組成物は、パターニング性を維持しつつ、薄膜で高い光学濃度を達成しながら、更に着色反射光(黄赤味)を効果的に低減することができる。併用されるカーボンブラックとしては、特に限定されないが、平均粒子径が20nm〜50nmであるものが好適に用いられる。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、三菱化学(株)製#260、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#45L、#47、#50、#52、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA100S、MA230、DEGUSSA社製 Printex A、Printex L、Printex P、Printex 30、 Printex 35、Printex 40、Printex 45、Printex 55、Printex 60、Printex 300、Printex 350、Special Black 4、Special Black 350、Special Black 550、コロンビアン・カーボン日本(株)製Raven1255、Raven1250、Raven1200、Raven1080 ULTRA、Raven1060 ULTRA、Raven1040、Raven1035、Raven1020等が挙げられる。
また、着色反射光の低減としては、例えば、P/V比が1.8である本発明の表示素子用黒色樹脂組成物を用いてガラス基板上に膜厚0.8μmの塗膜を作成し、紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV−2550)を用いて入射角5°でガラス基板側からの可視光の反射スペクトルを波長400〜800nmの範囲で測定して評価することができる。
(界面活性剤)
さらに、各種界面活性剤を組み合わせて使用すると分散安定性を向上させることができる。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を挙げることができる。例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類を挙げることができる。
界面活性剤の商品名としては、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)等を挙げることができる。
(その他)
a)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
b)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
c)レベリング剤:例えば、市販のシリコン系、ポリオキシアルキレン系、脂肪酸エステル系、特殊アクリル系重合体など。
なお、本発明における表示素子用黒色樹脂組成物において、前記酸窒化チタン粒子を含む顔料(P)と顔料以外の固形分(V)の重量比(P/V)は、0.1〜5.0であることが好ましく、更に0.5〜3.0、特に0.6〜2.6であることが好ましい。
<表示素子用黒色樹脂組成物の製造方法>
本発明の表示素子用黒色樹脂組成物は、酸窒素チタン及びバインダー系を必要に応じて他の配合成分と共に、単独溶剤又は混合溶剤である溶剤に投入して混合し、公知の分散方法によって固形成分を溶解又は分散させることにより製造することができる。
しかしながら、上記の方法では多量の酸窒素チタン等の顔料を溶剤中に十分に分散させることができない場合がある。そこで、予め、酸窒素チタン等の顔料及び必要に応じて分散剤を溶剤に混合し、分散させた顔料分散液を準備し、一方、バインダー系等その他の成分を溶剤と混合、分散又は溶解したバインダー液を調製することが好ましい。そして、得られた顔料分散液とバインダー液を混合し、必要に応じて分散処理を行うことによって、酸窒素チタン等顔料分散性に優れた表示素子用黒色樹脂組成物が容易に得られる。
顔料分散液を予め調製しない場合には、溶剤に先ず、酸窒素チタン等の顔料、必要に応じて分散剤を投入し充分に混合、攪拌して酸窒素チタン粒子等の顔料を分散させた後、バインダー系を含む残りの成分を追加して混合することにより、酸窒素チタン等の顔料分散工程においてその他の配合成分により分散性が阻害されずに済むだけでなく、安定性にも優れる。
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.10〜1.0mmである。
<表示素子用樹脂塗膜>
このようにして得られた表示素子用黒色樹脂組成物が感光性樹脂組成物であって、アルカリ現像性を有する場合には、組成物を支持体に塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後、当該塗膜に光線を所定のパターン状に照射することにより塗膜の一部を選択的に硬化させるなど、露光部と未露光部とで溶解性を変化させた後、アルカリ液で現像することにより、所定パターンの黒色塗膜が得られる。
また、得られた表示素子用黒色樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物である場合やアルカリ現像性を有しない場合には、組成物を支持体の所定領域にインクジェット方式や、熱転写等により選択的に付着させた後、加熱又は光照射して硬化させることによって、所定パターンの黒色塗膜が得られる。
硬化反応に用いる光線としては、紫外線や電離放射線のような放射線又は可視光の中から、感光性バインダー系の反応を引き起こす波長を有するものを適宜選んで用いる。硬化に必要な照射エネルギーは、通常、10〜500mJ/m2程度である。露光工程においては、塗膜の表面にレーザー光を照射するか、又は、マスクを介して光線を照射することによって、塗膜の所定位置を選択的に露光、硬化させることができる。
また、加熱硬化の条件は、バインダー系により異なるが、通常、真空乾燥機、オーブン、ホットプレート、或いはその他の熱を与えられる装置を用いて、50〜200℃で乾燥し、その後120〜400℃程度の温度で加熱硬化させる。
本発明に係る黒色樹脂組成物を用いて形成された表示素子用樹脂塗膜は、酸窒化チタンの含有量が比較的少なくても高い光学濃度を実現できるため、充分な光学濃度を従来よりも薄い膜で実現することができ、また従来の膜厚でより高い光学濃度を実現することができる。
具体的には、樹脂塗膜の光学濃度(OD値)は、膜厚0.7μmでOD値が4.0以上を得ることができる。なおここで、本発明における膜厚は、平均膜厚であり、例えば触針式膜厚測定機(KLA TENCOR社製)を用いて測定を行なうことができる。
また、ここで光学濃度(OD値)は、XYZ表色系における刺激値Yから次式で求められるものである。
OD値=−log10(Y/100)
本発明に係る黒色樹脂組成物は、種々の黒色塗膜を形成するのに利用できるが、特に細部をパターニングできるメリットを有することから、表示装置に用いられる表示素子用部材、特にカラーフィルター等の遮光層(ブラックマトリクス)を形成するのに適している。また、固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルター等の光学素子用部材にも好適に用いることができる。
<表示素子用部材>
本発明に係る表示素子用部材は、前記本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物を用いて形成されている遮光層を備えることを特徴とする。
本発明に係る表示素子用部材は、前記本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物を用いて形成されている遮光層を備えることにより、充分な光学濃度を有する薄膜の遮光層とすることが可能なため、薄膜化、高性能化された光学素子に対応可能であり、更に画素部の段差を低くできるため表示ムラを低減することができる。
図3は、本発明に係る表示素子用部材に属する表示装置用カラーフィルターの一例(カラーフィルター103)を示す縦断面図である。
このカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成された遮光層6と、当該遮光層上に所定のパターンで形成した着色層7(7R,7G,7B)と、当該着色層を覆うように形成された保護膜8を備えている。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極9が形成される場合もある。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明電極上には、配向膜10が形成される。
柱状スペーサー12は凸状スペーサーの一形状であり、遮光層6が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極9上の所定の複数箇所に形成されている。柱状スペーサー12は、透明電極9上若しくは着色層7上若しくは保護膜8上に形成される。カラーフィルター103においては、保護膜8上に透明電極9を介して柱状スペーサーが海島状に形成されているが、保護膜8と柱状スペーサー12を一体的に形成し、その上を覆うように透明電極の層を形成しても良い。
カラーフィルター101の透明基板5としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、或いは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製1737ガラスは、熱膨張率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、カラーフィルターに適している。
遮光層6は、表示画像のコントラストを向上させるために、着色層7R,7G,7Bの間及び着色層形成領域の外側を取り囲むように設けられる。本発明においては、遮光層6は、遮光性粒子を含有する上記本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物を用いて形成する。
本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物が感光性樹脂組成物であって、アルカリ現像性を有する場合には、先ず、透明基板5上に、上記本発明に係る黒色樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させて感光性塗膜を形成し、当該塗膜を遮光層用のフォトマスクを介して露光、現像し、必要に応じて加熱処理を施すことによって、遮光層6を形成することができる。
一方、本発明に係る表示素子用黒色樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物である場合やアルカリ現像性を有しない場合には、上記本発明に係る黒色樹脂組成物を透明基板5上の所定領域にインクジェット方式や、熱転写等により選択的に付着させた後、加熱又は光照射して硬化させることによって、遮光層6を形成することができる。
遮光層の厚さは、適応する表示素子用部材により異なり、0.5〜2.5μm程度とするが、特に本発明においては、上記本発明に係る黒色樹脂組成物を用いることにより、薄膜で充分な遮光性を得ることができるため、遮光層の厚さは、従来よりも薄くすることが可能であり、0.3〜1.0μmとすることができる。本発明においては、従来1.5μm程度必要であった場合の膜厚を0.7μm程度とすることができる。
着色層7は、赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されてなり、表示領域を形成する。着色層は、顔料分散法、染色法、印刷法、電着法等の公知の方法により形成することができるが、その中でも、顔料等の着色剤を含有した硬化性樹脂組成物を用いる顔料分散法により形成するのが好ましい。
顔料分散法による場合には、先ず、硬化性樹脂組成物に顔料等の着色剤を分散させて、赤色用、緑色用、及び、青色用の光硬化性着色樹脂組成物を夫々調製する。次に、透明基板5上に、遮光層6を覆うように、ある色、例えば光硬化性赤色樹脂組成物をスピンコート等の公知の方法で塗布して光硬化性赤色樹脂層を形成し、赤色パターン用フォトマスクを介して露光を行い、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱硬化することにより赤色着色層7Rを形成する。その後、緑色用、及び、青色用の光硬化性着色樹脂組成物を順次用いて同様にして各色をパターニングして、緑色着色層7G及び青色着色層7Bを形成する。
着色層の厚さは、通常、0.5〜2.5μm程度とする。本発明においては、遮光層6の膜厚を薄くすることが可能であるため、図2で示したような着色層の段差を小さくすることが可能である。例えば、着色層の面20と遮光層上に乗り上がった部分の頂点21との段差22は、0.05〜0.30μmを実現することが可能である。この段差が小さくなる結果、表示素子の表示ムラが低減される表示素子用部材を得ることができる。
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、着色層7に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、遮光層6及び着色層7を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることにより形成できる。
なお、本発明においては、上述のように着色層の段差を小さくすることが可能であるため、平坦化する目的の保護膜を備えなくても、表示ムラが低減された表示素子用部材を得ることが可能であり、当該保護膜は形成されなくても良い。
保護膜を形成する場合の保護膜の厚さは、樹脂組成物の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定し、例えば、0.1〜2.0μm程度とする。スピンコーターを使用する場合、回転数は500〜1500回転/分の範囲内で設定する。
保護膜上の透明電極膜9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとしたものである。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
凸状スペーサーは、カラーフィルター103をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。凸状スペーサーの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。凸状スペーサーとして図示したような柱状スペーサー12を形成する場合には、2〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサーの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各画素の1組に1個の割合で必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサーの形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であっても良い。
凸状スペーサーは、硬化性樹脂組成物を用いて形成することができる。すなわち、先ず、硬化性樹脂組成物の塗工液をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により透明基板上に直接、又は、透明電極等の他の層を介して塗布し、乾燥して、光硬化性樹脂層を形成する。スピンコーターの回転数は、保護膜を形成する場合と同様に500〜1500回転/分の範囲内で設定すればよい。次に、この樹脂層を凸状スペーサー用フォトマスクを介して露光し、アルカリ液のような現像液により現像して所定の凸状パターンを形成し、この凸状パターンを必要に応じてクリーンオーブン等で加熱処理(ポストベーク)することによって凸状スペーサーが形成される。
凸状スペーサーは、カラーフィルター上に直接又は他の層を介して間接的に設けることができる。例えば、カラーフィルター上にITO等の透明電極又は保護膜を形成し、その上に凸状スペーサーを形成しても良いし、カラーフィルター上に保護膜と透明電極をこの順に形成し、さらに透明電極上に凸状スペーサーを形成しても良い。
配向膜10は、カラーフィルターの内面側に、着色層7を備える表示部及び遮光層6や柱状スペーサー12を備える非表示部を覆うように設けられる。配向膜は、ポリイミド樹脂等の樹脂を含有する塗工液をスピンコート等の公知の方法で塗布し、乾燥し、必要に応じて熱や光により硬化させた後、ラビングすることによって形成できる。
このようにして得られたカラーフィルター103(表示側基板)と、TFTアレイ基板(液晶駆動側基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、液晶パネルに属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
<製造例1>
1.二酸化チタンへの酸化ケイ素の被覆
含水二酸化チタンをTiO2換算で300gを水1リットルに懸濁させスラリーとし、水酸化ナトリウム水溶液で該スラリーのpHを10に調整し、次いでスラリー温度を70℃に加温した後、ケイ酸ナトリウム水溶液を2時間滴下した。引き続き、スラリー温度を90℃に加温した後、希硫酸を2時間滴下して、pHを5に中和し、更に、30分保持した。その後、脱水、洗浄して、さらに空気中850℃で5時間焼成して、緻密な酸化ケイ素(SiO2として0.3重量%)を被覆した二酸化チタンを得た。得られた二酸化チタンはアナタ−ゼ型であった。
2.二酸化チタンの還元焼成
次に、この酸化ケイ素を被覆した二酸化チタンを内径7.5cmの石英管に装入し、アンモニアガスを10リットル/分の流速で通気しながら、石英管を980℃の温度で6時間加熱した。次いで、得られた生成物を同雰囲気下で100℃まで冷却し、更に大気中で常温まで放冷して、組成式がTiN0.95O0.20・0.01SiO2で表される本発明の酸窒化チタン(試料A)を得た。
<製造例2>
含水二酸化チタンを850℃で空気中5時間焼成し、酸化ケイ素を被覆しない二酸化チタンを得た。得られた二酸化チタンはルチル型であった。この酸化ケイ素を被覆しない二酸化チタンを内径7.5cmの石英管に装入し、アンモニアガスを10リットル/分の流速で通気しながら、石英管を980℃で3時間加熱した。次いで、得られた生成物を同雰囲気下で100℃まで冷却し、更に大気中で常温まで放冷した。この段階では、X線回折によって、酸窒化チタンのピーク以外に、一部、ルチル型の酸化チタンのピークが認められた。再度、本生成物を内径7.5cmの石英管に装入し、アンモニアガスを10リットル/分の流速で通気しながら、石英管を980℃で3時間加熱し、次いで、得られた生成物を同雰囲気下で100℃まで冷却し、更に大気中で常温まで放冷して、組成式がTiN0.96O0.19・0SiO2で表される本発明の酸窒化チタン(試料B)を得た。
<製造例3>
製造例1において、980℃での加熱還元時間を3時間とすること以外は製造例1と同様にして、組成式がTiN0.93O0.31・0.01SiO2で表される本発明の酸窒化チタン(試料C)を得た。
<製造例4>
製造例1において、加熱還元条件を900℃、3時間とすること以外は製造例1と同様にして、組成式がTiN0.89O0.48・0.01SiO2で表される本発明の酸窒化チタン(試料D)を得た。
<比較製造例1>
製造例1と同じ方法で酸化ケイ素(SiO2として9重量%)を被覆した二酸化チタンを内径7.5cmの石英管に装入し、アンモニアガスを10リットル/分の流速で通気しながら、石英管を900℃で3時間加熱した。次いで、得られた生成物を同雰囲気下で100℃まで冷却し、更に大気中で常温まで放冷して組成式がTiN0.88O0.64・0.11SiO2で表される酸窒化チタン(試料E)を得た。
<比較製造例2>
組成式がTiN0.75O0.58・0.001SiO2で表される市販のチタンブラック(三菱マテリアル製、13M−C)を比較試料Fとした。
<製造例5>
1.二酸化チタンへの酸化ケイ素の被覆
含水二酸化チタンをTiO2換算で300gを水1リットルに懸濁させスラリーとし、水酸化ナトリウム水溶液で該スラリーのpHを10に調整し、次いでスラリー温度を70℃に加温した後、ケイ酸ナトリウム水溶液を2時間滴下した。引き続き、スラリー温度を90℃に加温した後、希硫酸を2時間滴下して、pHを5に中和し、更に、30分保持した。その後、脱水、洗浄して、さらに空気中850℃で5時間焼成して、緻密な酸化ケイ素(SiO2として0.3重量%)を被覆した二酸化チタンを得た。得られた二酸化チタンはアナタ−ゼ型であった。
2.二酸化チタンの還元焼成
次に、この酸化ケイ素を被覆した二酸化チタンを内径25.5cmのSUS310管に装入し、アンモニアガスを265リットル/分の流速で通気しながら、SUS310管を980℃の温度で3時間加熱した。次いで、得られた生成物を同雰囲気下で100℃まで冷却し、更に大気中で常温まで放冷して、窒素含有量20.0重量%の本発明の酸窒化チタン(試料G)を得た。
<製造例6>
製造例5で得た酸窒化チタン(試料G)27.5g、水64ミリリットル、0.5mmφのジルコンビーズ161.8gをガラス瓶に仕込み、ペイントコンデショナー(レッドデビル社製#5110型)にて粉砕した後、ジルコンビーズを除去して、湿式粉砕スラリーを得た。得られた湿式粉砕スラリーの濃度を純水で250g/リットルに調整し、硫酸でpHを7.0に調整し、室温で、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.55gを添加し、80分保持した後、80℃に昇温し、2時間攪拌し、pHを2.5に調整後、脱水、洗浄し、乾燥して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2重量%で表面処理した酸窒化チタン(試料H)を得た。
<製造例7>
製造例5で得た酸窒化チタン(試料G)27.5g、水64ミリリットル、0.5mmφのジルコンビーズ161.8gをガラス瓶に仕込み、ペイントコンデショナー(レッドデビル社製#5110型)にて粉砕した後、ジルコンビーズを除去して、湿式粉砕スラリーを得た。得られた湿式粉砕スラリーの濃度を純水で250g/リットルに調整し、室温でイソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート0.55gを添加し、20分保持した後、脱水、洗浄し、乾燥して、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート2重量%で表面処理した酸窒化チタン(試料I)を得た。
<製造例8>
製造例5で得た酸窒化チタン(試料G)27.5g、水64ミリリットル、0.5mmφのジルコンビーズ161.8gをガラス瓶に仕込み、ペイントコンデショナー(レッドデビル社製#5110型)にて粉砕した後、ジルコンビーズを除去して、湿式粉砕スラリーを得た。得られた湿式粉砕スラリーの濃度を純水で250g/リットルに調整し、イソプロピルトリス(ジオクチルピロフォスフェート)チタネート0.55gとトリエチルアミン0.27gとの混合溶液を室温で添加し、20分保持し、硫酸でpHを4.5に調整し、脱水、洗浄し、乾燥して、イソプロピルトリス(ジオクチルピロフォスフェート)チタネート2重量%で表面処理した酸窒化チタン(試料J)を得た。
<製造例9>
製造例5で得た酸窒化チタン(試料G)27.5g、水64ミリリットル、0.5mmφのジルコンビーズ161.8gをガラス瓶に仕込み、ペイントコンデショナー(レッドデビル社製#5110型)にて粉砕した後、ジルコンビーズを除去して、湿式粉砕スラリーを得た。得られた湿式粉砕スラリーの濃度を純水で250g/リットルに調整し、70℃に昇温し、水酸化ナトリウム水溶液でpH10.5にし、アルミン酸ナトリウム水溶液を20分間かけて滴下し、20分間攪拌した。引き続き、希硫酸を20分間滴下して、pHを7.5に中和し、更に、30分保持した。その後、脱水、洗浄し、乾燥して、水酸化アルミニウム0.5重量%で表面処理した酸窒化チタン(試料K)を得た。
製造例及び比較製造例で得られた試料A〜Fの組成及び特性を表1−1に、試料G〜Kの組成及び特性を表1−2に示す。
[評価方法]
(1)組成
チタン原子、ケイ素原子の含有量はICP発光分光分析法(島津製作所製 GVM−1014)にて分析した。酸素原子の含有量は不活性ガス搬送融解赤外線吸収法(LECO製 TC436AR)にて分析し、窒素原子の含有量は、炭素・水素・窒素分析装置(エレメンタール製 vario EL III)にて分析した。それらの値からx、nを算出した。ケイ素原子が存在する場合は、ケイ素原子が酸素原子と結合し酸化ケイ素SiO2になっているものと想定し、酸化ケイ素含有量を算出した。更に、酸素原子の分析値からケイ素原子と結合してSiO2となる酸素原子分を差し引いた値をTiNxOy中の酸素原子の値とし、その値からyを算出した。これらの値から、組成式、O/Nモル比、O/N重量比、x+yを求めた。
(2)X線回折
X線回折は(理学電機製 RINT 2200)にて測定した。2θとして25〜26°(A型)、又は27〜28°(R型)に出現する二酸化チタンのピークの有無により、二酸化チタンの存在の有無を確認した。また、酸窒化チタンのメインピークの反射角を求めた。更に、2θとして40〜45°の間のメイン(第一)ピークの半値幅より、前述の式1のSchcrrerの式を用いて、酸窒化チタン粒子を構成する結晶子径を求めた。
(3)明度、色相
酸窒化チタンの明度、色相は、試料1.5gをガラス製の丸セル(日本電色製、部品No.1483)に入れ、セルの底から、色差計(日本電色製Color Meter ZE2000)で測色し、Lab表色系により求めた。
(4)反射率測定
紫外可視分光光度計(日本分光製V−570)を用いて、酸窒化チタン粉末0.3gを円筒セル(直径16mm、日本分光製PSH−001型)に詰めて、可視光の反射スペクトルを測定した。
(5)粒子径
電子顕微鏡(日立製作所製 H−7000)で試料を撮影し、平均粒子径を計測した。
(6)比表面積
比表面積測定装置(島津製作所製 Flow SorbII2300)を用いて、簡易BET法により測定した。
(7)酸化安定性
酸窒化チタンが酸化すると窒素含有量が減少することから、室温で1か月間放置して、酸窒化チタンの窒素含有量が実質的に減少しない試料を酸化安定性が「良」とし、一方、窒素含有量が大幅に減少する試料を「不良」と判断した。
また、図4〜9に製造例及び比較製造例で得られた試料A〜Fの可視光反射スペクトルを示す。本発明の酸窒化チタンは窒素含有量が高く、結晶子径が小さいため、比較製造例に比べて可視光反射率の極小値を示す波長が低波長側にシフトしており、可視光の反射率が高いことがわかる。また、本発明の酸窒化チタンは比較製造例と同程度の顔料特性を有することがわかる。
<実施例1〜15、比較例1〜3>
(顔料分散液の調製)
顔料、顔料分散剤(製品名Disperbyk161(有機溶剤中に顔料分散剤30重量%含有)、ビックケミー・ジャパン製)及び有機溶剤を表2で示される組成で混合し、ディスパーでプレ分散を行った。さらにこの混合液をビーズミル(商品名:ダイヤモンドファインミル MD−1 三菱重工株式会社製)で目標とする分散粒径が得られるまで分散を行った後、ビーズを取り除いて分散液1〜13を得た。使用したビーズは直径0.10mmのジルコニアビーズで、ベッセル内のビーズ充填率は70%とした。分散粒径は顔料分散液を有機溶剤で1000倍希釈し、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用いて粒度分布を測定した。表2におけるカーボンブラックの試料Lとしては、コロンビアンカーボン社製ラーベン1255(平均分散粒子径21nm)を用い、カーボンブラックの試料Mとしては、コロンビアンカーボン社製ラーベン1040(平均分散粒子径28nm)を用いた。
(バインダー溶液の調製)
アルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマー、光重合開始剤、増感剤及び有機溶剤等を表3で示される組成で混合し、各成分が完全に溶解するまで攪拌してバインダー溶液1〜4を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂:固形分 54%、重量平均分子量 3600、酸価 114mgKOH/g
・多官能性モノマー
TO1382(東亞合成(株)製)
・光重合開始剤
CGI242(チバ・スペシャリティケミカルズ製)
ビイミダゾール(黒金化成(株)製)
Irgacure369(チバ・スペシャリティケミカルズ製)
・増感剤
4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(以下、EABと略記:関東化学(株)製)
・有機溶剤
メトキシブチルアセテート(以下、MBAと略記:ダイセル化学工業(株)製)
シクロヘキサノン(和光純薬工業(株)製)
(表示素子用黒色樹脂組成物の調製)
表4に示される配合で、分散液、バインダー溶液及び有機溶剤とを混合し、2時間攪拌後に0.2μmのフィルターで濾過を行い、レジスト1〜15、比較レジスト1〜3を調製した。
[表示素子用黒色樹脂組成物評価1]
実施例1〜15、比較例1〜3の黒色樹脂組成物を、厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上にスピンコーターでOD値が4.0となるように塗布し、90℃のホットプレート上で3分間プリベークを行って塗膜を形成した。次いで、超高圧水銀ランプを用いフォトマスクを介して塗膜に露光した。この基板を0.04重量%水酸化カリウム水溶液(25℃)で所定の時間現像し、さらに純水で洗浄した後、乾燥させた。その後、基板を230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行って、基板上の遮光部を形成すべき領域に遮光層を形成した。また、用いたフォトマスクにはライン&スペース:1〜100μmのパターンが形成されたものである。
得られた遮光層について、以下に示す各項目について評価を行った。その評価結果を表5に示す。
<OD値>
OD値は顕微分光器 OSP−SP200(OLYMPUS(株)製)を用いて、XYZ表色系における刺激値Yから次式で求めた。
OD値=−log10(Y/100)
<膜厚>
膜厚は触針式膜厚測定機(KLA TENCOR社製)を用いて測定を行った。
<感度>
20μmのライン&スペースが密着する最小露光量を測定し、下記基準で評価した。
・◎:100mJ/cm2以下で10μmのラインが密着する。
・○:100mJ/cm2以下で20μmのラインが密着する。
・×:100mJ/cm2以下で20μmのラインが密着しない。
<密着性>
1μm〜50μmのライン&スペースで、現像工程後に流されずに密着している最小線幅を測定し、下記基準で評価した。
・◎:10μm以下のラインが密着する。
・○:10μmより大きく20μm以下のラインが密着する。
・×:20μm以下のラインが密着しない。
[表示素子用黒色樹脂組成物評価2]
実施例11、並びに、実施例11の顔料について顔料全体の10重量%だけカーボンブラックに置き換えられた実施例14及び実施例15の黒色樹脂組成物について、ガラス基板側からの塗膜の反射光を評価した。各黒色樹脂組成物について、厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上にスピンコーターでOD値が4.0となるように塗布し、90℃のホットプレート上で3分間プリベークを行って塗膜を形成した。次いで、超高圧水銀ランプを用い、60mJ/cm2の露光量で塗膜を照射した。得られた塗膜について、紫外可視分光光度計(島津製作所製 UV−2550)を用いて、入射角5°で可視光の反射スペクトルを波長400〜800nmの範囲で測定した。
図10に、実施例11、14、及び15の黒色樹脂組成物から得られた塗膜の可視光反射スペクトルを示す。カーボンブラックを適量併用した実施例14及び実施例15は、実施例11と同様に薄膜で高い光学濃度、及び良好なパターニング性を示しながら、更に着色反射光(黄赤味)の低減に効果的であることが明らかになった。
<実施例A カラーフィルターの作成>
1.ブラックマトリクスの形成
厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製AL材)上に上記実施例2の黒色樹脂組成物を用いて、OD値が4.0となるように、スピンコーターで塗布し、90℃で3分間乾燥させ、遮光層(線幅:25μm)を形成した。当該遮光層を所定のフォトマスクを介して超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後に、0.5wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成すべき領域にブラックマトリクスを形成した。この際の遮光部の中心における膜厚は0.7μmであった。
2.着色層の形成
(感光性着色樹脂組成物の調製)
表6で示される赤色顔料分散液の組成で各有機顔料、顔料分散剤、アクリル共重合体及び有機溶剤を混合し、ディスパーでプレ分散を行った。さらにこの混合液をビーズミル(商品名:ダイヤモンドファインミル MD−1 三菱重工株式会社製)で目標とする分散粒径が得られるまで分散を行った後、ビーズを取り除いて顔料分散液を得た。使用したビーズは直径0.30mmのジルコニアビーズで、ベッセル内のビーズ充填率は70%とした。分散粒径は顔料分散液を有機溶剤で1000倍希釈し、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用いて粒度分布を測定した。同様の方法によって表6で示される組成で緑色顔料分散液および青色顔料分散液を調製した。
得られた赤色顔料分散液を用いて、表7に示される感光性赤色樹脂組成物の組成でアルカリ可溶性樹脂、多官能性モノマー、光重合開始剤及び有機溶剤を混合し、2時間攪拌後に0.2μmのフィルターで濾過を行い、感光性赤色樹脂組成物を調製した。
同様の方法によって表7で示される組成で緑色樹脂組成物および青色樹脂組成物を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂
アクリル共重合体:ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(固形分 54%、重量平均分子量 11000、酸価 108mgKOH/g)
・多官能性モノマー
TO1382(東亞合成(株)製)
・光重合開始剤
Irgacure369(チバ・スペシャリティケミカルズ製)
・有機溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記:ダイセル化学工業(株)製)
表7に示される感光性赤色樹脂組成物を用いて、上述した遮光部により区画された開口部および遮光部を遮光部の端部から7μm覆うように赤色着色層を形成した。この際、遮光部により区画された開口部の中心部に形成された着色層の膜厚は2.0μmとした。同様の方法によって緑色着色層および青色着色層を形成し、カラーフィルターを得た。
上記遮光層および着色層が積層された領域の最大膜厚と開口部の中心に形成された着色層の膜厚との膜厚差を遮光層の膜厚起因の段差とした。
<比較例A カラーフィルターの作成>
・ブラックマトリクスの形成
厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製AL材)上に上記比較例2の黒色樹脂組成物を用いて、OD値が4.0となるように、スピンコーターで塗布し、90℃で3分間乾燥させ、遮光層(線幅:25μm)を形成した。当該遮光層を所定のフォトマスクを介して超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後に、0.5wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を230℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成すべき領域にブラックマトリクスを形成した。この際の遮光部の中心における膜厚は1.2μmであった。
・着色層の形成
実施例Aと同様にして、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を形成し、カラーフィルターを得た。上記遮光層および着色層が積層された領域の最大膜厚と開口部の中心に形成された着色層の膜厚との膜厚差を遮光層の膜厚起因の段差とした。
[着色層の段差の評価結果]
実施例Aおよび比較例Aにおいて作成したカラーフィルターにおける遮光層の膜厚とOD値、着色層の膜厚および各着色層における段差を表8に示す。この結果より、本発明の表示素子用黒色樹脂組成物を用いることで、高い遮光性を有しつつ、かつ遮光層の膜厚起因の段差を0.4μm以下に抑制されたカラーフィルターを作成することが可能であることが確認された。