JP2006207644A - 車両用サスペンション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アクチュエータによって、減衰力を制御する機能,車高を調整する機能等を備えたサスペンション装置の実用性を向上させる。
【解決手段】 本発明のサスペンション装置10を、例えば、車輪側部材60と車体側部材62との相対移動に対して抵抗力および推進力を発生させる相対移動方向力発生機構と、車輪側取付部13と車輪側部材60との離間距離を調整する取付部部材間距離調整機構120とを含んで構成し、それら2つの機構の共通の駆動源となるモータ20と、そのモータ20の駆動力の上記2つの機構への伝達を切り換えるための機構130を備えたものとする。そのような構成から、上記2つの機構を、1つのアクチュエータで駆動させることが可能であり、装置の構成が単純化するという利点を有することになる。つまり、そのような利点から、実用性の高いサスペンション装置が実現する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両に配備されるサスペンション装置に関し、特に、アクチュエータによって減衰力等を制御する機能を備えたサスペンション装置に関する。
近年、車両用サスペンション装置として、アクチュエータによって減衰力等を制御する機能を備えたサスペンション装置の利便性が注目されており、その例として、下記特許文献に記載されているような装置が検討されている。下記特許文献に記載のサスペンション装置は、いわゆる電磁式サスペンション装置と呼ばれるものであり、アクチュエータである電磁式モータの駆動力によって、懸架シリンダを構成する車輪側,車体側に設けられた2つの部材の相対移動に対しての減衰力を発生させ、その駆動力を制御することにより減衰力の制御を可能としたサスペンション装置である。
一方、近年では、サスペンション装置に、車輪車体間距離の調整、すなわち車高調整の機能を備えさせることも望まれている。例えば、上述したサスペンション装置でも、アクチュエータの駆動力によって、車高調整機能を発揮させることが可能である。しかし、上述したサスペンション装置において設定された車高を維持させる場合には、その構成から、アクチュエータを常に駆動力を発生させる状態にしておかなければならず、そのような手段による車高調整は、決して現実的とは言い難い。そこで、特許文献1に記載されているように、減衰力等を制御する機構に加え、別途、空気圧を利用した車高調整のための機構を設けることも検討されている。
特開平2−120113号公報 特開2004−11824号公報
上記特許文献1に記載のサスペンション装置では、減衰力等を制御する機構のアクチュエータである電磁式モータの他に、車高調整機構に圧縮空気を送給するために、別途アクチュエータが必要とされる。ここに記載したものは一例に過ぎないが、減衰力等を制御する機構と車高を調整する機構との両者を備えた従来のサスペンション装置は、一般的に、それぞれの機構に対して個々にアクチュエータが設けられる構成を採用している。したがって、従来のサスペンション装置は、例えば、構成が複雑化するといった問題を抱えており、実用性を向上させるための改善の余地を残すものとなっている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いサスペンション装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用サスペンション装置は、車輪側部材と車体側部材との相対移動に対して例えば抵抗力を発生させる機構と、車輪側部材あるいは車体側部材と車輪保持部材あるいは車体の一部との離間距離を調整する機構とを備えたサスペンション装置であって、それら2つの機構の共通の駆動源となるアクチュエータと、そのアクチュエータの駆動力の上記2つの機構への伝達を切り換えるための機構を備えたことを特徴とする。
本発明の車両用サスペンション装置は、例えば、上述した減衰力等を調整する機構と車高を調整する機構との2つの機構を、1つのアクチュエータで駆動させることが可能とされているため、構成が単純化するという利点を有することになる。そのような利点から、本発明の車両用サスペンション装置は、実用性の高いサスペンション装置となる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(4)項の各々が、請求項1ないし請求項4の各々に相当する。
(1)車輪を保持する車輪保持部材に設けられた車輪側取付部に連結される車輪側部材と、
車体の一部に設けられた車体側取付部に連結され、その車体側取付部と前記車輪側取付部との接近・離間に伴って前記車輪側部材と相対移動可能に設けられた車体側部材と、
駆動されることによって、前記車輪側部材と前記車体側部材との相対移動に対する推進力と抵抗力との少なくとも一方である相対移動方向力を発生させる相対移動方向力発生機構と、
前記車輪側取付部と前記車体側取付部との一方である一方側取付部と、その一方側取付部と連結される前記車輪側部材と前記車体側部材との一方である一方側部材との間に設けられ、駆動されることによって前記一方側取付部と前記一方側部材とを接近・離間させる取付部部材間距離調整機構と、
前記相対移動方向力発生機構と前記取付部部材間距離調整機構との共通の駆動源となるアクチュエータと、
そのアクチュエータの駆動力の伝達状態を、前記相対移動方向力発生機構へ伝達する状態と前記取付部部材間距離調整機構へ伝達する状態とに切り換える駆動力伝達状態切換機構と
を備えた車両用サスペンション装置。
本項に記載の態様において、「相対移動方向力発生機構」は、例えば、上記相対移動方向力の制御によって車輪と車体の一部との接近・離間動作に対する減衰力を制御する機構とすることができ、また、「取付部部材間距離調整機構」は、例えば、車輪と車体の一部との距離すなわち車高を調整する機構とすることができる。本項の態様では、そのような2つの機構を、共通の駆動源によって駆動させるように構成されている。詳しく言えば、その共通の駆動源の駆動力の2つの機構への伝達を切り換えることで、それら2つの機構が選択的に作動するように構成されている。そのため、本項の態様のサスペンション装置は、構成が単純であるという利点を有することになる。その利点により、本項の態様の車両用サスペンション装置は、実用性の高いサスペンション装置となる。
本項の態様において、「車輪側部材」、「車体側部材」、「相対移動方向力発生機構」とによって構成されるものは、ショックアブソーバのようないわゆる「懸架シリンダ」と呼ぶことのできるものとして観念することができる。なお、便宜上、以下の説明では、それら3つを合わせたものを「懸架シリンダ」と呼ぶ場合がある。
本項の態様において、「車輪側部材」は、サスペンションロアアーム,ステアリングナックル等の車輪保持部材の取付部である車輪側取付部に連結され、それと連携して動作する部材であり、「車体側部材」は、タイヤハウジング上部に位置するマウント部等の車体の一部に設けられた車体側取付部に連結され、それと連携して動作する部材である。車輪側部材,車体側部材は、その形状,機能等が特に限定されるものではない。例えば、後に説明するように、相対移動方向力発生機構としてねじ機構を採用するような場合、雄ねじ部材,雌ねじ部材の各々を含んで構成されるようなものであってもよく、それらの各々を主体とするものであってもよい。また、車輪側部材と車体側部材とは相対移動可能とされるため、その相対移動に対するガイド機能を有するような構造とされてもよい。具体的には、チューブと、そのチューブに挿入するロッドあるいはチューブとの各々が、車輪側部材と車体側部材との各々とされ、それらによって懸架シリンダを構成することが可能である。また、車輪側部材,車体側部材は、それぞれ車輪側取付部,車体側取付部と連結されるものであるが、その連結は直接的な連結であってもよく、上記取付部部材間距離調整機構等、何らかの機構,デバイス等を介した間接的な連結であってもよい。
本項の態様における「相対移動方向力発生機構」は、その具体的構成が特に限定されるものではなく、例えば、後に説明するようなねじ機構を採用するような構成とすることが可能である。また、相対移動方向力発生機構の機能として2つの機能を挙げることができる。その1つは、車輪側部材と車体側部材との相対移動に対する抵抗力を発生させる機能であり、もう1つは、上記相対移動に対する推進力を発生させる機能である。前者の機能が発揮される場合は、懸架シリンダは、いわゆる受動的機能を発揮する。具体的に言えば、路面からの入力等による車輪側取付部と車体側取付部との接近・離間に対する減衰力、つまり、振動に対する減衰力を発生させるショックアブソーバとしての機能を発揮する。後者の機能が発揮される場合は、懸架シリンダは、いわゆる能動的機能を発揮する。具体的に言えば、車体姿勢制御等を目的として、積極的に車輪側取付部と車体側取付部との離間距離を調節する機能である。上記アクチュエータを制御作動させてそれら抵抗力,推進力の大きさを制御することにより、減衰力,両取付部の離間距離等を任意に調節することが可能である。なお、本項の態様では、相対移動方向力発生機構は、上記受動的機能と能動的機能との両者が発揮されるような機構とされてもよく、また、受動的機能のみ、あるいは、能動的機能のみを発揮するような機構とされてもよい。ちなみに、受動的な機能を発揮するような構成では、車輪側取付部と車体側取付部との接近・離間に伴う車輪側部材と車体側部材との相対移動(いわゆる逆入力に対する相対移動)を円滑なものとするため、特に、摩擦等の発生しない構造、いわゆる逆効率の高い構造の相対移動方向力発生機構を採用することが望ましい。
本項の態様における「取付部部材間距離調整機構」は、例えば、懸架シリンダと車輪保持部材あるいは車体の一部との間隔を調整する機構と観念することができる。上記相対移動方向力発生機構によっても車輪側取付部と車体側取付部の間隔の調整が可能であるが、本項の態様では、例えば、相対移動方向力発生機構による調整を動的な調整とし、本取付部部材間距離調整機構による調整を静的な調整とすることが可能である。つまり、本項の態様では、取付部部材間距離調整機構にいわゆる車高調整機能を発揮させるような態様とすることが可能なのである。取付部部材間距離調整機構は、その具体的構成が特に限定されるものではなく、例えば、後に説明するようなねじ機構を採用するような構成とすることができる。なお、取付部部材間距離調整機構は、車輪側取付部と車輪側部材との間に設けられてもよく、車体側取付部と車体側部材との間に設けられてもよい。なお、取付部部材間距離調整機構に車高調整機能を発揮させる場合は、相対移動方向力発生機構における受動的な機能を発揮させる場合と異なり、車輪側取付部と車体側取付部との接近・離間に伴う一方側取付部と一方側部材との円滑な相対移動については考慮する必要がなく、どちらかといえば、車輪側取付部と車体側取付部とが接近・離間した場合であっても、一方側取付部と一方側部材とが容易に接近・離間しない構造の機構、いわゆる逆効率の低い構造の機構を採用することが望ましい。
本項の態様における「アクチュエータ」は、後に説明する電磁式モータ等の電磁的なアクチュエータ、空気圧,油圧等の流体圧を利用したアクチュエータ等、種々のものを採用可能である。また、アクチュエータの配設箇所も特に限定されるものではない。例えば、車輪側取付部,車体側取付部のいずれかに配設されてもよく、車輪側部材,車体側部材のいずれかに配設されてもよい。
本項の態様における「駆動力伝達状態切換機構」は、その構成が特に限定されるものではなく、例えば、クラッチ的な機構を採用することができる。具体的には、例えば、相対移動方向力発生機構とアクチュエータとの間、および、アクチュエータと取付部部材間距離調整機構との間のそれぞれにクラッチを配設し、それらのクラッチを選択的に作動させることによって、駆動力の伝達対象となる機構を切り換えるような構成とすることができる。また、後に説明するように、アクチュエータと相対移動方向力発生機構および取付部部材間距離調整機構との間に差動機構的な回転伝達機構を備え、その回転伝達機構の作動形態を変更することで、駆動力の伝達対象となる機構を選択的に変更するような構成を採用することが可能である。
(2)前記相対移動方向力発生機構が、前記車輪側部材と前記車体側部材との一方に相対移動不能に設けられた雄ねじ部と、その雄ねじ部と螺合するとともに前記車輪側部材と前記車体側部材との他方に相対移動不能に設けられた雌ねじ部とを有し、それら雄ねじ部と雌ねじ部とが相対回転駆動させられることで相対移動方向力を発生させる構造とされた(1)項に記載の車両用サスペンション装置。
本項に記載の態様は、平たく言えば、ねじ機構を採用する型式の懸架シリンダを備えたサスペンション装置に関する態様である。ねじ機構を採用して相対移動方向力発生機構を構成すれば、簡便なサスペンション装置が実現する。ねじ機構の摩擦等に鑑みれば、ボールねじ機構を採用することが望ましい。特に、懸架シリンダが先に説明した受動的な機能を発揮するような構成では、車輪側取付部と車体側取付部との接近・離間に伴う車輪側部材と車体側部材との相対移動(いわゆる逆入力に対する相対移動)を円滑なものとするため、特に摩擦等の発生しない構造のねじ機構を採用することが望ましい。また、雄ねじ部および雌ねじ部は、いずれが、車輪側部材,車体側部材のいずれに設けられてもよい。また、車輪側部材および車体側部材が、それぞれ車輪側取付部,車体側取付部に対して回転不能とされている場合、雄ねじ部と雌ねじ部とのいずれかを、そのいずれかが設けられる車輪側部材と車体側部材とのいずれかに対して回転可能とすることが可能である。また、車輪側部材と車体側部材とのいずれかが、車輪側取付部あるいは車体側取付部に対して回転可能とされている場合は、雄ねじ部および雌ねじ部の各々を、その各々が設けられる車輪側部材と車体側部材との各々に対して回転不能とすることが可能である。また、本項の態様では、アクチュエータの駆動力は、雄ねじ部と雌ねじ部との相対回転駆動力として伝達されるが、その相対回転駆動力は、雄ねじ部を回転させるものであってもよく、雌ねじ部を回転させるものであってもよい。
(3)前記取付部部材間距離調整機構が、前記一方側取付部と前記一方側部材との一方に相対移動不能に設けられた雄ねじ部と、その雄ねじ部と螺合するとともに前記一方側取付部と前記一方側部材との他方に相対移動不能に設けられた雌ねじ部とを有し、それら雄ねじ部と雌ねじ部とが相対回転駆動させられることで前記一方側取付部と前記一方側部材とを接近・離間させる構造とされた(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンション装置。
本項に記載の態様は、平たく言えば、取付部部材間距離調整機構にねじ機構を採用した態様である。ねじ機構を採用して取付部部材間距離調整機構を構成すれば、簡便なサスペンション装置が実現する。前述したように、取付部部材間距離調整機構に車高調整機能を発揮させる場合は、車輪側取付部と車体側取付部とが接近・離間した場合であっても、一方側取付部と一方側部材とが容易に接近・離間しない構造のねじ機構を採用することが望ましい。相対移動方向力発生機構の場合と同様、雄ねじ部および雌ねじ部は、いずれが、一方側取付部,一方側部材のいずれに設けられてもよい。なお、本項の態様では、アクチュエータの駆動力は、雄ねじ部と雌ねじ部との相対回転駆動力として伝達されるが、その相対回転駆動力は、雄ねじ部を回転させるものであってもよく、雌ねじ部を回転させるものであってもよい。つまり、雄ねじ部と雌ねじ部との一方が一方側取付部と一方側部材との一方に回転不能とされ、雄ねじ部と雌ねじ部との他方が一方側取付部と一方側部材との他方に回転可能とされ、その回転可能とされた他方を回転させることで、一方側取付部と一方側部材とを相対移動させるような構造を採用することが可能である。
(4)前記駆動力伝達状態切換機構が、
前記アクチュエータと連結される第1回転体、前記相対移動方向力発生機構に連結される第2回転体、前記取付部部材間距離調整機構に連結される第3回転体の3つの回転体を有し、それら3つの回転体のうちの1つの回転量が他の2つの回転量によって決定される関係にある構造とされた回転伝達機構と、
前記第3回転体の回転を禁止して前記第1回転体から前記第2回転体への回転伝達を実現する状態と、前記第2回転体の回転を禁止して、前記第1回転体から前記第3回転体への回転伝達を実現する状態とを選択的に変更する回転伝達状態変更機構と
を備えた(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の車両用サスペンション装置。
本項に記載の態様は、駆動力伝達状態切換機構の構成を限定した態様である。本項に記載の態様における「回転伝達機構」は、いわゆる差動機構的な回転伝達機構と考えることができる。具体的には、後に説明する遊星歯車を利用した機構,1つのかさ歯車とそれに噛合する2つのかさ歯車を利用した機構,いわゆるハーモニックドライブ機構(登録商標),サイクロイド減速機構等、種々の機構を採用することが可能である。本項の態様では、その差動機構的な回転伝達機構を利用するとともに、上記「回転伝達状態変更機構」によって、相対移動方向力発生機構,取付部部材間距離調整機構の各々に連結される上記第2回転体と第3回転体との各々の回転を選択的に禁止することで、その禁止されない方の回転体のみを回転させて、その回転させられた回転体に連結された上記両機構の一方のみを作動させる態様である。なお、回転伝達状態変更機構によって回転体の回転を禁止する構造は、何らかの係合部材を回転体自体あるいは回転体と連動する軸等の部材に係合させる構造とすることが可能である。その場合、例えば、係合部材と回転体等との間に発生する摩擦力によって回転を禁止するような態様とすることもでき、また、係合部材をストッパとして機能させて回転体等を係止するような態様とすることもできる。本項に記載の態様によれば、駆動力伝達状態の切り換えを円滑に行うことが可能となる。
(5)前記回転伝達機構が、前記3つの回転体として、サンギヤ、リングギヤ、プラネタリギヤを有するプラネタリギヤ機構である(4)項に記載の車両用サスペンション装置。
本項に記載の態様は、回転伝達機構をより具体的なものに限定した態様である。プラネタリギヤ機構(遊星歯車機構)は、比較的構造が簡便であるため、本項の態様によれば、簡便な構造のサスペンション装置が実現する。なお、本項の態様においては、サンギヤ、リングギヤ、プラネタリギヤのいずれが、第1回転体,第2回転体,第3回転体のいずれとされてもよい。
(6)前記アクチュエータが電磁式モータである(1)項ないし(5)項に記載の車両用サスペンション装置。
本項に記載の態様は、いわゆる電磁式サスペンション装置としての態様である。電磁式モータは、作動制御の制御性が良好であるため、アクチュエータとして電磁式モータを用いれば、例えば、減衰力のアクティブな調整が容易に可能となる。したがって、本項に記載のサスペンション装置を採用すれば、車両の乗り心地、車体姿勢の安定性、車両の走行安定性の良好な車両が実現する。
(7)前記相対移動方向力発生機構と、前記取付部部材間距離調整機構と、前記アクチュエータとが互いに同軸的に配設された(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用サスペンション装置。
本項の態様のように、上記2つの機構とアクチュエータとが互いに同軸的に配置されれば、詳しく言えば、例えば、車輪側取付部と車体側取付部とを結ぶ線が、両機構およびアクチュエータの中心軸線となるような配置構造を採用すれば、コンパクトなサスペンション装置が実現されることになる。
以下、本発明の実施例およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1に、本実施例の一実施例である車両用サスペンション装置10を示す。この車両用サスペンション装置10は、独立懸架式のサスペンション装置であり、前後左右の各車輪毎に、車輪を保持する車輪保持部材としてのサスペンションロアアーム12(以下、単に「ロアアーム12」という場合がある)に設けられた取付部13(車輪側取付部)と、車体の一部(タイヤハウジングの上部)に設けられたマウント部14(車体側取付部)との間に、懸架シリンダ16が配設された構造とされている。また、本サスペンション装置10は、懸架シリンダ16とロアアーム12との間に車高調整機能を有する車高調整シリンダ18を有しており、さらに、懸架シリンダ16と車高調整シリンダ18との共通の駆動源となるアクチュエータとしての電磁式モータ20(以下、単に「モータ20」という場合がある)と、サスペンションスプリングとしての圧縮コイルスプリング22(以下、単に「スプリング22」という場合がある)とを含んで構成されている。懸架シリンダ16は、車輪と車体との上下方向の相対振動に対する減衰力を発生させるショックアブソーバとしての受動的な機能の他に、車体姿勢制御(ロール制御、ピッチ制御等である)等の車両走行中の動的な調整を目的として、積極的にロアアーム12とマウント部14との離間距離を調節する能動的な機能をも有する。
懸架シリンダ16は、アウタチューブ30と、そのアウタチューブ30に嵌入して下部がアウタチューブ30の下端部から下方に突出するインナチューブ32とを含んで構成されている。アウタチューブ30は、上端部に取付ボルト34が固定されたものとなっており、その取付ボルト34と締結ナット35によって、環状の防振ゴム36を有してマウント部14に付設されたアッパサポート38に取り付けられることで、マウント部14に連結されている。アウタチューブ30には、その内壁面に軸方向に延びる1対のガイド溝40が設けられ、そのガイド溝40にインナチューブ32の上端部に付設された1対のキー42が嵌められることで、アウタチューブ30とインナチューブ32とは、相対回転不能、軸方向に相対移動可能とされている。ちなみに、アウタチューブ30の下端部には、シール44が設けられ、外部からの塵埃,泥等の侵入を防止するようにされている。また、スプリング22は、インナチューブ32に設けられた下部リテーナ46と、マウント部14に設けられた上部リテーナ48とに、挟持された状態で配設されている。なお、ここで「軸方向」とは、概ねロアアーム12の取付部13とマウント部14とを結ぶ方向であり、以下、本明細書において「軸方向」とは、断りのない限りその方向を意味する。
また、懸架シリンダ16は、雄ねじが形成されたロッド50と、ベアリングボールを保持してロッド50と螺合するナット52とを含んで構成されている。ロッド50は、インナチューブ32内に配設されており、ロッド50の下部において、インナチューブ32の底部内壁面に設けられたベアリング54を介してインナチューブ32に保持され、インナチューブ32の下端部から下方に突出する状態となっている。ロッド50は、その状態において、インナチューブ32に対して回転可能かつ軸方向に移動不能とされている。一方、ナット52は、アウタチューブ30の上部内壁面に固定されて軸方向に延びる支持筒56の下端部に固定された状態で、上記ロッド50と螺合させられている。なお、後に詳しく説明するが、ロッド50の下端部は、インナチューブ32より下方に突出して車高調整シリンダ18に連結されている。
上記のように、懸架シリンダ16は、インナチューブ32,ロッド50等を含んで車輪側部材60が構成されるとともに、アウタチューブ30,ナット52,支持筒56を含んで車体側部材62が構成される構造のものとなっており、車輪側部材60が車高調整シリンダ18を介してサスペンションロアアーム12に連結されるとともに、車体側部材62がマウント部14に連結される構造のものとなっている。また、ロッド50およびナット52は、ボールねじ機構を構成するとともに、それぞれが、車輪側部材60,車体側部材62に設けられた雄ねじ部,雌ねじ部として機能するものとなっている。
図2および図3を参照しつつ、車高調整シリンダ18について説明する。図2は、車高調整シリンダ18を拡大して示す図であり、図3は、平面断面図(図2におけるD−D断面)である。車高調整シリンダ18は、上述したように、ロアアーム12と車輪側部材60との間に設けられており、ロアアーム12の取付部13を構成するとともにインナチューブ32の下方側が嵌入されたハウジング70と、そのハウジング70内に配設された回転伝達機構としてのプラネタリギヤ機構72とを含んで構成されている。ハウジング70は、大きくは、ロアアーム12と接続されてモータ20を固定的に収容するモータケース74と、モータケース74に接続されてそれの上方に配設された外筒76と、外筒76内にそれに固定して配設された内筒78と、外筒76および内筒78の上部を塞ぐ蓋79とを含んで構成されており、その内筒78内に、プラネタリギヤ機構72が設けられている。ちなみに、インナチューブ32は、蓋79の中央に設けられた開口から嵌入しており、開口の内周部には、外部からハウジング70内への塵埃等の侵入を防止するシール80が設けられている。
プラネタリギヤ機構72は、3種のギヤである、サンギヤ90,リングギヤ92,3つのプラネタリギヤ94を含んで構成されている。サンギヤ90は、それの回転軸96が、モータ20のモータ軸98に連結され、モータ20によって回転させられる。サンギヤ90には、周方向に3等配した位置の各々において、3つのプラネタリギヤ94の各々が噛合しており、それら3つのプラネタリギヤ94は、キャリア100によって支持されている。詳しく言えば、キャリア100は、2枚の支持板102,104と、それら支持板102,104の間に立設された3本の支持軸106とを含んで構成され、3つのプラネタリギヤ94の各々が、2枚の支持板102,104の間において、3つの支持軸106の各々に回転可能に支持されている。ちなみに、キャリア100の下方側の支持板104は、環状の部材とされ、それの内側をサンギヤ90の回転軸96が貫通しており、支持板104の内周部に設けられたベアリング108によって、キャリア100と回転軸96とが相対回転可能とされている。また、上方側の支持板102の上面の中心には、サンギヤ90の回転軸96と同軸的に、キャリア軸110が立設されており、そのキャリア軸110が、前記ロッド50の下端部と一体的に接続されている。
リングギヤ92は、それの内周部に形成された内歯が、3つのプラネタリギヤ94と噛合するとともに、キャリア100の2枚の支持板102,104にべアリング112,114を介して支持され、それら2枚の支持板102,104に対して相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能な状態とされている。また、リングギヤ92には、それの外周部に雄ねじ116が形成されて、その雄ねじ116は、上記ハウジング70の内筒78の内周面に形成された雌ねじ118と噛合する構造とされている。
図4に、プラネタリギヤ機構72の作動を概念的に示す。図4(a)は、リングギヤ92の回転が禁止された状態、かつ、プラネタリギヤ94の公転が許容された状態において、サンギヤ90を時計回りに回転させた場合を示す。この場合、サンギヤ90の回転は、3つのプラネタリギヤ94に伝達され、プラネタリギヤ94が、支持軸106を中心として時計回りに回転させられる。このプラネタリギヤ94の回転は、リングギヤ92に伝達されるのであるが、リングギヤ92は回転が禁止されているため、プラネタリギヤ94が、支持軸106を中心に回転する自転に加えて、サンギヤ90を中心として時計回りに公転させられることになるのである。本実施例のサスペンション装置10においては、リングギヤ92の回転が禁止された状態でモータ20を回転させることによって、プラネタリギヤ94が公転し、そのプラネタリギヤ94を支持するキャリア100がキャリア軸110回りに回転させられる。つまり、モータ20の回転によって、キャリア軸110に連結されたロッド50が回転させられることになるのである。
プラネタリギヤ機構72が上記の状態において、車輪側取付部と車体側取付部とが相対移動する場合に、懸架シリンダ16は、ロッド50とナット52に対する回転を伴いつつ(プラネタリギヤ94が公転し,サンギヤ90を介してモータ軸98も回転する)、ロッド50とナット52とは、軸方向の相対移動が可能とされる。つまり、車輪側取付部と車体側取付部との接近・離間に伴って車輪側部材60と車体側部材62との相対移動が可能とされる。この状態において、モータ20を作動させてロッド50に回転トルクを付与することが可能であり、この回転トルクの向きおよび大きさを適切化することによって、車輪側部材60と車体側部材62との軸方向の相対移動に対して、その相対移動を阻止する方向の適切な抵抗力を発生させることが可能となる。この抵抗力が、車輪と車体との相対振動に対する減衰力となるのである。このような懸架シリンダ16の減衰力発生機能は受動的な機能と考えることができるが、先に説明したように、懸架シリンダ16は、能動的に機能させることも可能である。つまり、モータ20を回転させることによって、積極的に車輪側部材60と車体側部材62とを相対移動させて、例えば、車両旋回時、車両制動時、車両加速時等において、車体の姿勢を安定化させるような機能を発揮させることも可能なのである。この場合、モータ20を制御することによって、車輪側部材60と車体側部材62との相対移動に対する推進力を発生させることになる。以上のように、懸架シリンダ16は、モータ20により駆動されることによって、車輪側部材60と車体側部材62との相対移動に対する抵抗力と推進力との少なくとも一方である相対移動方向力を発生させる相対移動方向力発生機構を備えたものとされている。また、その相対移動方向力発生機構は、車輪側部材60,車体側部材62に相対移動不能に設けられた雄ねじ部,雌ねじ部としてのロッド50,ナット52を有し、それらロッド50とナット52とが相対回転駆動させられることで相対移動方向力を発生させる構造とされているのである。
図4(b)は、キャリア100の回転が、つまり、プラネタリギヤ94の公転が禁止された状態、かつ、リングギヤ90の回転が許容された状態において、サンギヤ90を時計回りに回転させた場合を示している。この場合、サンギヤ90の回転は、3つのプラネタリギヤ94に伝達され、プラネタリギヤ94が、支持軸106を中心として時計回りに自転させられる。このプラネタリギヤ94の自転は、リングギヤ92に伝達されるのであるが、プラネタリギヤ94の公転が禁止されているため、リングギヤ92が、サンギヤ90を中心として反時計回りに回転させられることになるのである。先に説明したように、リングギヤ92には、外周部に雄ねじ116が形成されており、その雄ねじ116は、ハウジング70の内筒78に形成された雌ねじ118に螺合させられていることから、本実施例のサスペンション装置10においては、モータ20を回転させることによって、リングギヤ92が回転し、プラネタリギヤ機構72自体が、ハウジング70に対して軸方向に移動させられることになるのである。なお、サンギヤ90の回転軸96に接続されたモータ20の回転軸98は伸縮可能なものとされ、モータ20が車輪側取付部に固定された状態において、プラネタリギヤ機構72は、車輪側部材60と一体的に軸方向に移動することになる。つまり、プラネタリギヤ機構72の軸方向の移動に伴って、ロアアーム12と車輪側部材60とが接近・離間することになるのである。
以上のような構成から、ロアアーム12に接続されたハウジング70を含んで構成される取付部13と、車輪側部材60とが、それぞれ、一方側取付部と一方側部材として機能し、車高調整シリンダ18は、モータ20を回転させることによって、取付部13と車輪側部材60とを接近・離間させる取付部部材間距離調整機構120を備えたものとされているのである。また、その取付部部材間距離調整機構120は、取付部13に相対移動不能に設けられた雌ねじ部としての内筒78と、車輪側部材60に対して相対移動不能に設けられた雄ねじ部としてのリングギヤ92とを有し、それら内筒78とリングギヤ92とが相対回転駆動させられることで取付部13と車輪側部材60とを接近・離間させる構造とされているのである。なお、詳しい説明は省略するが、車高調整シリンダ18には、内筒78の上方側に、図示を省略する位置センサが設けられ、その位置センサによって、車輪側部材60を構成するインナチューブ32の下端部の位置を検出可能とされている。その検出結果に基づいてモータ20を制御作動させ、取付部13と車輪側部材60とを相対移動させて、車高を調整することが可能とされているのである。ちなみに、内筒78とリングギヤ92とで構成されるねじ機構は、逆効率が低く、外部からの力によってロアアーム12とマウント部14とが接近・離間する場合であっても、取付部13と車輪側部材60とが接近・離間しない構造とされている。
以上のような構造から、本実施例のサスペンション装置10は、相対移動方向力発生機構と、取付部部材間距離調整機構120と、それら両者の駆動源となるアクチュエータとしてのモータ20とを含んで構成され、相対移動方向力発生機構,取付部部材間距離調整機構120,モータ20とが互いに同軸的に配設されたものとなっている。詳しく言えば、本サスペンション装置10は、取付部13とマウント部14とを結ぶ線が、2つの機構およびモータ20との中心軸線となるような配置構造とされているのである。そのことにより、本サスペンション装置10は、コンパクトなものとなっている。また、プラネタリギヤ機構72は、サンギヤ90,プラネタリギヤ94,リングギヤ92が、それぞれ、アクチュエータとしてのモータ20と連結される第1回転体,相対移動方向力発生機構に連結される第2回転体,取付部部材間距離調整機構120に連結される第3回転体として機能するものとされ、それら3つの回転体のうちの1つの回転量が他の2つの回転量によって決定される関係にある構造とされた回転伝達機構とされているのである。
本サスペンション装置10は、図4(a)に示すように、第3回転体としてのリングギヤ92の回転を禁止して第1回転体としてのサンギヤ90から第2回転体としてのプラネタリギヤ94への回転伝達を実現する状態と、図4(b)に示すように、プラネタリギヤ94の公転を禁止してサンギヤ90からリングギヤ92への回転伝達を実現する状態とを変更することが可能とされている。本実施例においては、上記回転伝達の変更を行う機構としての回転伝達状態変更機構130が、車高調整シリンダ18に設けられている。
図5〜図8をも参照しつつ、回転伝達状態変更機構130について説明する。図5〜図8は、回転伝達状態変更機構130の要部を示す平面断面図(図5〜図8は、それぞれ、図2に示すA−A断面,B−B断面,C−C断面,E−E断面)である。回転伝達状態変更機構130は、2つの回転抑止体である第1回転抑止体140および第2回転抑止体142を主体として構成されている。第1回転抑止体140は、プラネタリギヤ94を支持するキャリア100の上面に係合可能に配設される3つのキャリア上面係合部材144と、リングギヤ92の下面に係合可能に配設される3つのリングギヤ下面係合部材146と、それぞれが部分円筒状に形成されてそれら係合部材144,146の各々を支持する3つの支持部材148と、ハウジング70の外筒76と内筒78との間に配設されて上記3つの支持部材148を保持する環状の第1保持ベース150とを含んで構成されている。また、第2回転抑止体142は、キャリア100の下面に係合可能に配設される3つのキャリア下面係合部材152と、部分円筒状に形成されてその係合部材152の各々を支持する3つの支持部材154と、リングギヤ92の上面に係合可能な3つのリングギヤ上面係合部156を有するとともに外筒76と内筒78との間に配設されて上記3つの支持部材154を保持する環状の第2保持ベース158とを含んで構成されている。なお、内筒78には、周方向に3等配した位置に3つの開口160が設けられており、上記係合部材144,146,152および係合部156は、その開口160から内筒78の内側に臨み出て、キャリア100,リングギヤ92に係合可能とされている。ちなみに、係合部材144,146,152および係合部156と、それらが係合するリングギヤ92およびキャリア100の被係合部とには、それぞれ、摩擦材162が付設されている。
第1回転抑止体140と第2回転抑止体142との間、詳しくは、それらの第1保持ベース150と第2保持ベース158との間には、圧縮コイルスプリング170が配設され、そのスプリング170によって、第1保持ベース150および第2保持ベース158は、それらが互いに離間する方向に付勢されている。また、第2保持ベース158の上面には、一円周に沿って複数の電磁石172が設けられており、回転伝達状態変更機構130は、それらの電磁石172が通電されることによって、第1保持ベース150と第2保持ベース158とが接近するような構造となっている。
本サスペンション装置10では、通常時には、上記電磁石172には通電されておらず、運転者が車高調整を行う場合に、運転者の操作によって、上記電磁石172への通電がなされる。例えば、車両走行中おいては、電磁石172は非通電状態とされており、スプリング170によって第1回転抑止体140が上方に向かって付勢されるとともに第2回転抑止体142が下方に向かって付勢されている。つまり、その状態では、リングギヤ92には、それの上下面に、それぞれ、第2回転抑止体142のリングギヤ上面係合部156,第1回転抑止体140のリングギヤ下面係合部材146が係合することになる。詳しく言えば、リングギヤ92は、それらリングギヤ上面係合部156とリングギヤ下面係合部材146とに挟持される状態となり、それらおよびそれらが係合するリングギヤ92の被係合部に設けられた摩擦材162同士が接触し、それら摩擦材162の間に発生する摩擦力よって、リングギヤ92の回転が禁止される。一方、その状態では、キャリア100には、第1回転抑止体140のキャリア上面係合部材144および第2回転抑止体142のキャリア下面係合部材152が係合しておらず、キャリア100の回転、つまり、ロッド50の回転が許容されて、前述した相対移動方向力発生機構が作動可能とされるのである。
それに対し、例えば、運転車が車両停止中等に車高調整を行うべく操作し、その操作によって電磁石172が通電された場合には、第1回転抑止体140と第2回転抑止体142とが、それぞれ下方,上方に向かうように相対移動させられる。つまり、キャリア100には、それの上下面に、それぞれ、第1回転抑止体140のキャリア上面係合部材144,第2回転抑止体142のキャリア係合部材152が係合する。詳しく言えば、キャリア100は、それらキャリア上面係合部材144とキャリア下面係合部材152とによって挟持される状態となり、それらおよびそれらが係合するキャリア100の被係合部に設けられた摩擦材162同士が接触し、それら摩擦材162の間に発生する摩擦力よって、キャリア100の回転が禁止される。一方、その状態では、リングギヤ92には、第1回転抑止体140のリングギヤ下面係合部材146および第2回転抑止体142のリングギヤ上面係合部156が係合しておらず、リングギヤ92の回転が許容されて、取付部部材間距離調整機構120が作動可能とされるのである。ちなみに、回転伝達状態変更機構130は、プラネタリギヤ機構72と一体的に移動するが、第1保持ベース150および第2保持ベース158の各々の外周部に設けられた3つの凹所176が、ハウジング70の外筒76の内周面に設けられて軸方向に延びる3つの凸条178に嵌るようにされており、そのような構造によって、回転伝達状態変更機構130は回転不能とされている。
以上のような構造から、本サスペンション装置10は、モータ20の駆動力を相対移動方向力発生機構に伝達する状態と、モータ20の駆動力を取付部部材間距離調整機構120に伝達する状態とに切り換える駆動力伝達状態切換機構を備えるものとされ、その駆動力伝達状態切換機構は、回転伝達機構としてのプラネタリギヤ機構72と、プラネタリギヤ機構72の回転伝達状態を変更する回転伝達状態変更機構130とを含んで構成されているのである。
なお、本発明の車両用サスペンション装置は、上記サスペンション装置10の変形例として、図9に示すサスペンション装置200の態様で実施することも可能である。図に示すサスペンション装置200においては、懸架シリンダ202は、アウタチューブ30,ナット52,支持筒56を含んで車輪側部材204が構成されるとともに、インナチューブ32,ロッド50を含んで車体側部材206が構成される構造のものとなっており、車体側部材206が車高調整シリンダ18を介してマウント部14に連結されるとともに(車高調整シリンダ18のハウジングがマウント部14を構成している)、車輪側部材204がサスペンションロアアーム12の取付部に連結される構造のものとなっている。本変形例においては、マウント部14と車体側部材206とが、それぞれ、一方側取付部と一方側部材として機能し、取付部部材間距離調整機構としての車高調整シリンダ18が、マウント部14と車体側部材206とを相対移動させるような構造となっている。なお、相対移動方向力発生機構および駆動力伝達状態切換機構の構成および機能に関しては、上記サスペンション装置10が備える相対移動方向力発生機構および駆動力伝達状態切換機構と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明の一実施例である車両用サスペンション装置の正面断面図である。 図1に示す車両用サスペンション装置を構成する車高調整シリンダを拡大して示す図である。 図2に示す車高調整シリンダの平面断面図(D−D断面図)である。 図2に示す車高調整シリンダを構成するプラネタリギヤ機構の作動を概念的に示す図である。 本実施例の車両用サスペンション装置が備える回転伝達状態変更機構の要部を示す平面断面図(図2におけるA−A断面図)である。 本実施例の車両用サスペンション装置が備える回転伝達状態変更機構の要部を示す平面断面図(図2におけるB−B断面図)である。 本実施例の車両用サスペンション装置が備える回転伝達状態変更機構の要部を示す平面断面図(図2におけるC−C断面図)である。 本実施例の車両用サスペンション装置が備える回転伝達状態変更機構の要部を示す平面断面図(図2におけるE−E断面図)である。 本実施例の変形例としての車両用サスペンション装置の正面断面図である。
符号の説明
10:車両用サスペンション装置 12:サスペンションロアアーム(車輪保持部材) 13:取付部(車輪側取付部,一方側取付部) 14:マウント部(車体側取付部) 16:懸架シリンダ 18:車高調整シリンダ 20:電磁式モータ(アクチュエータ) 30:アウタチューブ 32:インナチューブ 50:ロッド(雄ねじ部) 52:ナット(雌ねじ部) 56:支持筒 60:車輪側部材(一方側部材) 62:車体側部材 70:ハウジング 72:プラネタリギヤ機構(回転伝達機構) 76:外筒 78:内筒 90:サンギヤ(第1回転体) 92:リングギヤ(第3回転体) 94:プラネタリギヤ(第2回転体) 100:キャリア 116:雄ねじ 118:雌ねじ 120:取付部部材間距離調整機構 130:回転伝達状態変更機構 140:第1回転抑止体 142:第2回転抑止体 170:圧縮コイルスプリング 172:電磁石 200:車両用サスペンション装置 202:懸架シリンダ 204:車輪側部材 206:車体側部材(一方側部材)

Claims (4)

  1. 車輪を保持する車輪保持部材に設けられた車輪側取付部に連結される車輪側部材と、
    車体の一部に設けられた車体側取付部に連結され、その車体側取付部と前記車輪側取付部との接近・離間に伴って前記車輪側部材と相対移動可能に設けられた車体側部材と、
    駆動されることによって、前記車輪側部材と前記車体側部材との相対移動に対する推進力と抵抗力との少なくとも一方である相対移動方向力を発生させる相対移動方向力発生機構と、
    前記車輪側取付部と前記車体側取付部との一方である一方側取付部と、その一方側取付部と連結される前記車輪側部材と前記車体側部材との一方である一方側部材との間に設けられ、駆動されることによって前記一方側取付部と前記一方側部材とを接近・離間させる取付部部材間距離調整機構と、
    前記相対移動方向力発生機構と前記取付部部材間距離調整機構との共通の駆動源となるアクチュエータと、
    そのアクチュエータの駆動力の伝達状態を、前記相対移動方向力発生機構へ伝達する状態と前記取付部部材間距離調整機構へ伝達する状態とに切り換える駆動力伝達状態切換機構と
    を備えた車両用サスペンション装置。
  2. 前記相対移動方向力発生機構が、前記車輪側部材と前記車体側部材との一方に相対移動不能に設けられた雄ねじ部と、その雄ねじ部と螺合するとともに前記車輪側部材と前記車体側部材との他方に相対移動不能に設けられた雌ねじ部とを有し、それら雄ねじ部と雌ねじ部とが相対回転駆動させられることで相対移動方向力を発生させる構造とされた請求項1に記載の車両用サスペンション装置。
  3. 前記取付部部材間距離調整機構が、前記一方側取付部と前記一方側部材との一方に相対移動不能に設けられた雄ねじ部と、その雄ねじ部と螺合するとともに前記一方側取付部と前記一方側部材との他方に相対移動不能に設けられた雌ねじ部とを有し、それら雄ねじ部と雌ねじ部とが相対回転駆動させられることで前記一方側取付部と前記一方側部材とを接近・離間させる構造とされた請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンション装置。
  4. 前記駆動力伝達状態切換機構が、
    前記アクチュエータと連結される第1回転体、前記相対移動方向力発生機構に連結される第2回転体、前記取付部部材間距離調整機構に連結される第3回転体の3つの回転体を有し、それら3つの回転体のうちの1つの回転量が他の2つの回転量によって決定される関係にある構造とされた回転伝達機構と、
    前記第3回転体の回転を禁止して前記第1回転体から前記第2回転体への回転伝達を実現する状態と、前記第2回転体の回転を禁止して、前記第1回転体から前記第3回転体への回転伝達を実現する状態とを選択的に変更する回転伝達状態変更機構と
    を備えた請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用サスペンション装置。
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