JP2006183001A - ランダム共重合体およびその製造方法 - Google Patents

ランダム共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 透明性、高屈折率性、低複屈折性に優れた光学材料に適したランダム共重合体、およびその生産性に優れる製造方法を提供する。
【解決手段】 置換基を有するアルキン類と、ノルボルネン環を有する単量体とを含有する単量体混合物をメタセシス共重合し、得られたメタセシス共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化して得られるランダム共重合体。

Description

本発明は、ランダム共重合体およびその製造方法に関する。より詳しくは、透明性、高屈折率性、低複屈折性に優れた光学材料に適したランダム共重合体およびその製造方法に関する。
ジシクロペンタジエンなどのノルボルネン環を有する単量体を開環重合し、次いで水素化して得られる重合体(以下、「ノルボルネン系重合体水素化物」という。)は、耐熱性、透明性、低吸湿性、低吸水性、機械的強靭性、高屈折率性、低複屈折性などに優れ、光学材料として広く用いられている。しかし近年においては、光学機器の機能の高度化に伴い、より高屈折率で低複屈折の光学材料が求められている。
ノルボルネン系重合体水素化物は、一般的に正の固有複屈折値を有する。そこで、ノルボルネン系重合体水素化物とポリスチレンなどの負の固有複屈折値を示す重合体とを併用することで、複屈折を低減することが考えられる。しかしノルボルネン系重合体水素化物とポリスチレンとは相溶性が低く相分離しやすいため、単に混合したのみで得られる混合物は透明性が低いものであった。
ノルボルネン系重合体水素化物のセグメントとポリスチレンのセグメントとを有するブロック共重合体やグラフト共重合体も提案されている(特許文献1,2)。しかしこれらの共重合体でもミクロ相分離構造となるため、光学的透明性が不十分な場合があった。また、工程が煩雑で生産性が低いという問題があった。
また、置換アセチレンとノルボルネンとの共重合体も知られている(特許文献3,4)。しかしながら、これらの文献に記載されている重合体は、耐熱性や耐候性が低くて着色しやすく、光学材料として使用することはできなかった。
特開平8−92357号公報 特開2001−316432号公報 特開平3−126715号公報 特開平8−295725号公報
本発明の目的は、透明性、高屈折率性、低複屈折性に優れた光学材料に適したランダム共重合体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、特定の繰り返し単位を有するランダム共重合体が前記課題を解決できること、および置換基を有するアルキン類とノルボルネン環を有する単量体とをメタセシス共重合し、得られた重合体を水素化することで上記ランダム共重合体を効率よく製造できることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、一般式(1)
Figure 2006183001
(式中、RおよびRは水素原子、ハロゲン原子、シリル基、又はハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、RおよびRが同時に水素原子であることはない。)
で表される繰り返し単位(I)1〜99モル%、一般式(2)
Figure 2006183001
(式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。mは0〜2の整数である。)
で表される繰り返し単位(II)1〜99モル%、および式(3)
Figure 2006183001
で表される繰り返し単位(III)0〜20モル%を含有し、かつ繰り返し単位(I)の含有量が繰り返し単位(III)の含有量より多いことを特徴とするランダム共重合体が提供される。
前記RおよびRの少なくとも一つは、芳香環を有するものであることが好ましい。また、前記繰り返し単位(II)は芳香環を有するものであることが好ましい。
本発明の第2によれば、一般式(4)
Figure 2006183001
(式中、RおよびRは前記と同じ意味を表す。)
で表される単量体および一般式(5)
Figure 2006183001
(式中、R〜Rおよびmは前記と同じ意味を表す。)
で表される単量体を含む単量体混合物をメタセシス共重合してメタセシス共重合体を得る工程と、得られたメタセシス共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化する工程とを有する、上記のランダム共重合体の製造方法が提供される。
本発明の第3によれば、上記のランダム共重合体を成形してなる光学材料が提供される。
本発明によれば、透明性、高屈折率性、低複屈折性に優れ、各種の成形用材料に使用可能であり、特に光学材料に適したランダム共重合体およびその製造方法が提供される。本発明の光学材料は、透明性、高屈折率性、低複屈折性、および低吸湿性に優れ、機械的強度が高いので、光ディスク、光学レンズ、光カード、光ファイバー、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルムなどとして好適に用いることができる。
1)ランダム共重合体
本発明のランダム共重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(I)1〜99モル%、一般式(2)で表される繰り返し単位(II)1〜99モル%、および式(3)で表される繰り返し単位(III)0〜20モル%を含有し、かつ繰り返し単位(I)の含有量が繰り返し単位(III)の含有量より多いことを特徴とするランダム共重合体である。
Figure 2006183001
Figure 2006183001
Figure 2006183001
上記一般式(1)において、RおよびRは水素原子、ハロゲン原子、シリル基、又はハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。ただし、RおよびRが同時に水素原子であることはない。
およびRの具体例としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子などのハロゲン原子;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、およびトリクロロシリル基などのシリル基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、およびオクチル基などのアルキル基;フェニル基、ベンジル基、およびナフチル基などの芳香環を有する炭化水素基を挙げることができる。さらに、アルキル基または芳香環を有する炭化水素基は、ハロゲン原子;シリル基;アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、およびヒドロキシル基などの酸素原子を含む基;アミノ基、アミド基、およびニトリル基などの窒素原子を含む基;を置換基として有していてもよい。
なかでも、芳香環を有する炭化水素基;およびハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子、窒素原子を含む基を置換基として有するアルキル基または芳香環を有する炭化水素基;が好ましく、芳香環を有する炭化水素基が最も好ましい。
上記一般式(2)において、R〜Rは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
前記R〜Rの炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜20のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、クロチル基等の炭素数2〜20のアルケニル基:エチニル基、プロパギル基等の炭素数2〜20のアルキニル基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香環を有する炭化水素基;等が挙げられる。
ハロゲン原子を含む基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のハロアルキル基;等が挙げられる。
ケイ素原子を含む基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニル基等のシリル基;トリメチルシリルメチル基、2−トリメチルシリルエチル基等のシリル基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。
酸素原子を含む基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
窒素原子を含む基としては、アミノ基;メチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基等のジ置換アミノ基;アミド基;N−メチルアミド基等のモノ置換アミド基;N,N−ジメチルアミド基等のジ置換アミド基;等が挙げられる。
前記R〜Rは互いに結合して、環を形成していてもよい。かかる環としては、炭素原子のみからなるものであっても、酸素原子及び/又は窒素原子を含む環であってもよい。
前記繰り返し単位(II)は、芳香環を有するものであることが好ましい。すなわち、前記R〜Rの少なくとも一つが、芳香環を有する炭化水素基であるか、またはR〜Rが互いに結合して芳香環を形成していることが好ましい。
mは0〜2の整数であり、0または1が好ましい。
本発明のランダム共重合体において、繰り返し単位(I)の含有量は、1〜99モル%、好ましくは1〜90モル%、より好ましくは2〜80モル%、さらに好ましくは3〜70モル%、最も好ましくは5〜60モル%である。繰り返し単位(I)の含有量がこの範囲であると、特に低複屈折性に優れる。
また、繰り返し単位(II)の含有量は、1〜99モル%、好ましくは10〜99モル%、より好ましくは20〜98モル%、さらに好ましくは30〜97モル%、最も好ましくは40〜95モル%である。繰り返し単位(II)の含有量がこの範囲であると、低複屈折性と耐熱性のバランスに優れる。
本発明のランダム共重合体において、繰り返し単位(III)は任意成分であり、その含有量は、0〜20モル%、好ましくは0〜15モル%、より好ましくは0〜10モル%である。また、繰り返し単位(I)の含有量は繰り返し単位(III)の含有量より多い。繰り返し単位(III)の含有量が多すぎると、耐熱性の低下、複屈折の増大などという問題がある。
本発明のランダム共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算値で、通常10,000〜1,000,000、好ましくは、15,000〜800,000、より好ましくは20,000〜600,000である。分子量が低すぎると、光学材料としての機械的強度に劣り、分子量が高すぎると、溶液粘度や溶融粘度が高すぎて、取り扱いが困難となる。
本発明のランダム共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは50〜250℃、より好ましくは80〜200℃である。Tgがこの範囲であると、光学材料としての成形性と使用時の耐熱性に優れる。
本発明のランダム共重合体は、少なくとも繰り返し単位(I)および繰り返し単位(II)がランダムに結合した共重合体である。ランダムに結合していることは、共重合体の二次元NMRスペクトル分析を行うことにより、繰り返し単位(I)および繰り返し単位(II)が隣り合う結合に由来するシグナルが観測されることで確認できる。また、共重合体のガラス転移温度(Tg)を測定すると、ランダム共重合による1つのTgが観測されることでも確認することができる。
さらに、後述する本発明の製造方法により、一般式(4)で表される単量体および一般式(5)で表される単量体を含む単量体混合物をメタセシス共重合してメタセシス共重合体を得、次いで得られたメタセシス共重合体を水素化して本発明のランダム共重合体を得る場合には、該メタセシス共重合体がランダムに共重合していることを確認してもよい。一般式(4)で表される単量体および一般式(5)で表される単量体がランダムに共重合したメタセシス共重合体を水素化すると、得られる水素化物は本発明のランダム共重合体となる。
具体的には、Polymer,第34巻,1490−1495頁,1993年に記載の方法により確認できる。すなわち、メタセシス共重合体について、上記と同様に二次元NMRスペクトル測定を行うことで、ランダムに共重合していることを確認できる。また、一般式(4)で表される単量体の単独重合体と比較して、紫外−可視領域における吸収が低波長側にシフトしていることでも確認できる。紫外−可視領域における吸収波長のシフトは、紫外分光法で測定することができる。また、メタセシス共重合体の種類によっては、目視による色の変化で確認できる場合もある。例えば、フェニルアセチレンを六塩化タングステンを触媒に用いて単独重合すると、得られる重合体は赤色を呈するが、フェニルアセチレンと一般式(5)で表される単量体とがランダムに共重合すると黄色または橙色となる。そして、このようなメタセシス共重合体を水素化すると、無色の本発明のランダム共重合体が得られる。
2)ランダム共重合体の製造方法
本発明の製造方法は、下記一般式(4)で表される単量体および一般式(5)で表される単量体を含む単量体混合物をメタセシス共重合してメタセシス共重合体を得る工程と、得られたメタセシス共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化する工程とを有する、上記本発明のランダム共重合体の製造方法である。
Figure 2006183001
Figure 2006183001
一般式(4)において、RおよびRは前記と同じ意味を表す。また、一般式(5)において、R〜Rおよびmは前記と同じ意味を表す。
一般式(4)で表される単量体としては、具体的には、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ヘキシン、1−オクチン、およびt−ブチルアセチレンなどの直鎖状または分岐鎖状のアルキン類;フェニルアセチレン、ジフェニルアセチレン、および(メチルフェニル)アセチレンなどの芳香環を有するアルキン類;トリメチルシリルアセチレンおよびトリメチルシリルプロピンなどのシリル基を有するアルキン類;クロロプロピンおよびクロロヘキシンなどのハロゲン原子を有するアルキン類;が挙げられる。中でも、芳香環を有するアルキン類が好ましく、フェニルアセチレンが特に好ましい。
一般式(5)で表される単量体としては、一般式(5)においてmが0であるノルボルネン類、mが1であるテトラシクロドデセン類、およびmが2であるヘキサシクロヘプタデセン類が挙げられる。
mが0であるノルボルネン類の具体例としては、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−シクロヘキシルノルボルネン、5−シクロペンチルノルボルネン等の無置換又はアルキル基を有するノルボルネン類;5−メチリデンノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−シクロヘキセニルノルボルネン、5−シクロペンテニルノルボルネン等のアルケニル基を有するノルボルネン類;5−フェニルノルボルネン等の芳香環を有するノルボルネン類;
5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、ノルボルネニル−2−メチルプロピオネイト、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)ノルボルネン、5,6−ジカルボキシノルボルネン、5−メトキシカルボニル−6−カルボキシノルボルネン等の酸素原子を含む基を有するノルボルネン類;5−シアノノルボルネン、ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む基を有するノルボルネン類;
ジシクロペンタジエン、トリシクロ[4.3.12,5.0]デカ−3−エン等の、一般式(5)においてRとRが互いに結合して五員環を形成している単量体;テトラシクロ[6.5.12,5.01,6.08,13]トリデカ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[6.6.12,5.01,6.08,13]テトラデカ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)等の、一般式(5)においてR〜Rが互いに結合して芳香環を形成している単量体;等が挙げられる。
mが1であるテトラシクロドデセン類の具体例としては、テトラシクロドデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラシクロドデセン類;8−メチリデンテトラシクロドデセン、8−エチリデンテトラシクロドデセン、8−ビニルテトラシクロドデセン、8−シクロヘキセニルテトラシクロドデセン等のアルケニル基を有するテトラシクロドデセン類;8−フェニルテトラシクロドデセン等の芳香環を有するテトラシクロドデセン類;
8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−カルボキシテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む基を有するテトラシクロドデセン類;8−シアノテトラシクロドデセン、テトラシクロドデセン−8,9−ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む基を有するテトラシクロドデセン類;8−クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む基を有するテトラシクロドデセン類;等が挙げられる。
また、mが2であるヘキサシクロヘプタデセン類としては、上記のテトラシクロドデセン類とシクロペンタジエンとのディールズ・アルダー付加体をいずれも用いることができる。
これらの中でも、芳香環を有するノルボルネン類;一般式(5)においてR〜Rが互いに結合して芳香環を形成している単量体;および芳香環を有するテトラシクロドデセン類が好ましい。
本発明で用いられる単量体混合物は、上記の一般式(4)で表される単量体および一般式(5)で表される単量体の他に、これらとメタセシス共重合可能な単量体を共重合させてもよい。このような単量体としては、アセチレン、環状モノオレフィンおよび環状ジオレフィンが挙げられる。
環状モノオレフィンの具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、フェニルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、フェニルシクロオクテン等が挙げられる。環状ジオレフィンの具体例としては、シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエン等が挙げられる。
本発明の製造方法における各単量体の使用量の比は、得られるランダム共重合体中の、前記繰り返し単位(I)〜(III)の含有率(組成比)が上記範囲となるように適宜選択される。すなわち、単量体混合物として一般式(4)で表される単量体、一般式(5)で表される単量体およびアセチレンのみを用いる場合であって、メタセシス共重合における重合転化率が100%の場合には、これらの単量体の使用量の比は、所望のランダム共重合体における組成比と同じである。また、重合転化率が100%未満の場合には、単量体の使用量の比と得られる共重合体の組成比との相関を求めることにより、所望のランダム共重合体の組成比に合わせて使用量を決めればよい。
また、環状モノオレフィンまたは環状ジオレフィンを開環メタセシス重合し、水素化して得られる単量体単位は直鎖状の構造となり、繰り返し単位(III)および繰り返し単位(I)を組み合わせた構造となる。例えば、シクロオクテンを開環メタセシス重合し、水素化すると、シクロオクテン1モルあたり繰り返し単位(III)が4モル生成する。また、シクロオクテンに代えてフェニルシクロオクテンを用いた場合は、フェニルシクロオクテン1モルあたり繰り返し単位(III)が3モルと繰り返し単位(I)が1モル生成することになる。従って、単量体混合物がさらに環状モノオレフィンまたは環状ジオレフィンを含有する場合は、各単量体の使用量は、これらの単量体から生成する繰り返し単位(III)および繰り返し単位(I)の量を考慮して決定される。
本発明の製造方法では、上記の単量体混合物を、メタセシス重合触媒の存在下にメタセシス共重合させる工程を有する。メタセシス重合触媒は、周期表第4〜8族遷移金属の化合物であって、前記単量体混合物をメタセシス共重合できる触媒であればどのようなものでもよい。
メタセシス重合触媒としては、例えば、(i)主触媒である遷移金属化合物と助触媒として機能するアルキル化剤またはルイス酸(以下、単に「助触媒」という場合がある。)との組み合わせによるメタセシス重合触媒、(ii)周期表第4〜8族遷移金属のカルベン錯体触媒、(iii)メタラシクロブタン錯体触媒等が挙げられる。これらのメタセシス反応触媒は単独で、または2種類以上を混合して使用することができる。これらの中でも、(i)主触媒である遷移金属化合物と助触媒との組み合わせによるメタセシス重合触媒が活性が高く好ましい。
上記(i)で主触媒として用いられる遷移金属化合物としては、モリブデンまたはタングステンの化合物が好ましい。また、該遷移金属化合物としては、ハロゲン基、イミド基、アルコキシル基、アリロキシ基またはカルボニル基を配位子として有する化合物が好ましく、ハロゲン基を有する化合物がより好ましい。具体的には、MoBr、MoBr、MoBr、MoCl、MoCl、MoF、MoOCl、MoOF等のハロゲン基を有するモリブデン化合物;WBr、WCl、WBr、WCl、WCl、WCl、WF、WI、WOBr、WOCl、WOF、WCl(OCCl等のハロゲン基を有するタングステン化合物;が挙げられる。
助触媒として機能するアルキル化剤またはルイス酸としては、周期表第1族、第2族、第12族、第13族、および第14族の有機金属の化合物を挙げることができる。なかでも、有機リチウム、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム、および有機スズが好ましく、有機リチウム、有機アルミニウム、および有機スズが特に好ましい。
有機リチウムとしては、n−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、ネオペンチルリチウム、ネオフィルリチウムなどを挙げることができる。
有機マグネシウムとしては、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミド、ネオペンチルマグネシウムクロリド、ネオフィルマグネシウムクロリドなどを挙げることができる。
有機亜鉛としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛などを挙げることができる。
有機アルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシドなどの有機アルミニウム化合物を挙げることができる。さらに、上記の有機アルミニウムと水との反応によって得られる従来公知のアルミノキサンを挙げることができる。
有機スズとしては、テトラメチルスズ、テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズなどを挙げることができる。
メタセシス共重合における、単量体混合物に対する重合触媒の割合は、主触媒中の遷移金属:単量体が、モル比で、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:200〜1,000,000、より好ましくは1:500〜1:500,000である。触媒量が多すぎると触媒除去が困難となり、少なすぎると十分な重合活性が得られない場合がある。
助触媒の使用量は、用いる化合物によって異なるが、主触媒中の遷移金属に対して、モル比で0.1〜10,000倍が好ましく、0.2〜5,000倍がより好ましく、0.5〜2,000倍が特に好ましい。使用量が0.1倍以下では重合活性が向上せず、10,000倍以上であると、副反応が起こりやすくなる。
重合反応は、単量体混合物とメタセシス重合触媒とを混合することにより開始される。重合反応温度は特に制限はないが、一般には、−30℃〜+200℃、好ましくは0℃〜+180℃である。重合反応時間は、1分間〜100時間で、特に制限はない。
本発明においては、重合反応は通常有機溶媒中で行う。本発明で用いる有機溶媒は、得られるメタセシス共重合体およびその水素化物が所定の条件で溶解または分散し、重合に影響しないものであれば、特に限定されないが、工業的に汎用なものが好ましい。
このような有機溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン含有脂肪族溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン含有芳香族溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素溶媒;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどの脂肪族エ−テル類;アニソール、フェネトールなどの芳香族エーテル類;などが挙げられるが、これらの溶媒の中でも、工業的に汎用な芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、脂肪族エーテル類、芳香族エーテル類が好ましい。
重合反応を溶媒中で行う場合には、単量体混合物の濃度は、溶媒と単量体混合物の合計量に対し1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、3〜40重量%が特に好ましい。単量体混合物の濃度が1重量%以下の場合は生産性が悪く、50重量%以上の場合は重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素化反応が困難となる場合がある。
また、重合反応においては、メタセシス共重合体の分子量を調整するために分子量調整剤を添加することができる。分子量調整剤としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレートなどの酸素含有ビニル化合物;アリルクロライドなどのハロゲン含有ビニル化合物;アクリルアミドなどの窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5-ヘキサジエンなどの非共役ジエン;1,3-ブタジエン、2−メチル−1,3-ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン;を挙げることができる。添加する分子量調整剤の量は所望の分子量により、単量体混合物に対して、0.1〜10モル%の間で任意に選択することができる。
本発明の製造方法は、上記で得られたメタセシス共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化する工程を有する。水素化反応は、水素化触媒の存在下で、上記メタセシス共重合体に水素を付加させて行う。
本発明の製造方法における、メタセシス共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素化率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。水素化率が低いと、得られる水素化物、すなわち本発明のランダム共重合体が耐熱性に劣る場合がある。
水素化反応において、上記単量体混合物の置換基であるR〜Rが炭素−炭素不飽和結合を有する場合には、該不飽和結合が水素化されてもよい。該不飽和結合が炭素−炭素二重結合である場合の水素化率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。炭素−炭素二重結合の水素化率が高いほど、得られる水素化物の耐熱性を高めることができる。また上記不飽和結合が芳香環である場合の芳香環の水素化率は、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下である。芳香環の水素化率が低いと、得られる本発明のランダム共重合体は分子中に芳香環を有するので、屈折率の高いランダム共重合体とできる。
水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されているものであれば使用可能であり、特に制限されないが、例えば、次のようなものが挙げられる。
均一系触媒としては、遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n-ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウムなどの組み合わせが挙げられる。さらに、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムなどの貴金属錯体触媒も挙げることができる。
不均一触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた固体触媒、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどの触媒系が挙げられる。
水素化反応は、通常、不活性有機溶媒中で実施する。このような不活性有機溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどの脂環族炭化水素;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;などが挙げられる。
不活性有機溶媒は、通常は、重合反応に用いる溶媒と同じで良く、重合反応で得られたメタセシス共重合体を単離することなく、重合反応溶液に上記の水素化触媒を添加して反応させればよい。
水素化反応の条件は、使用する水素化触媒によっても異なるが、反応温度は通常−20℃〜+250℃、好ましくは−10℃〜+220℃、より好ましくは0℃〜+200℃である。反応温度が低すぎると反応速度が遅く、高すぎると副反応が起こる場合がある。水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となる。反応時間は所望の水素化率とできれば特に限定されないが、通常0.1〜10時間である。
上記のメタセシス共重合体が芳香環を有する場合には、触媒としてパラジウムもしくはルテニウムを含有する不均一触媒、または貴金属錯体触媒を用いることが好ましい。これらの触媒を用いることで、芳香環を水素化することなく選択的に炭素−炭素二重結合を水素化することができる。また、その他の触媒を用いる場合であっても、水素化反応温度の上限を150℃、好ましくは120℃とすることで、選択的に炭素−炭素二重結合を水素化することができる。
3)光学材料
上記本発明のランダム共重合体は、各種の成形用材料として用いることができるが、好適には光学材料として用いられる。本発明の光学材料は、上記本発明のランダム共重合体を成形してなるものである。成形方法としては、公知の熱可塑性樹脂の成形方法をいずれも採用することができる。具体的には、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、回転成形、プレス成形、ロール成形などの成形方法が挙げられる。
本発明の光学材料は、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、酸化防止剤;紫外線吸収剤;耐候安定剤;帯電防止剤;光安定剤;近赤外線吸収剤;染料や顔料などの着色剤;滑剤;可塑剤;アンチブロッキング剤;蛍光増白剤;防臭剤;充填剤;架橋剤;加硫剤;他の合成樹脂やゴム質重合体;などが挙げられる。これらの添加剤は、本発明のランダム共重合体と混合して成形を行うことで、本発明の光学材料に含有させることができる。
本発明の光学材料は、透明性、高屈折率性、低複屈折性、および低吸湿性に優れ、機械的強度が高いので、光ディスク、光学レンズ、光カード、光ファイバー、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルムなどとして好適に用いることができる。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における各特性は、以下のようにして測定した。
(1)分子量
重合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランまたはクロロホルムを展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
(2)共重合体の繰り返し単位組成比および水素化率
共重合体の繰り返し単位組成比および水素化率(%)は、H−NMRスペクトル分析により求めた。
(3)複屈折値
重合体を熱プレスして、厚さ1.2mm、直径85mmの光ディスク基板を成形した。この基板の中心から半径25mm位置の複屈折値を偏光顕微鏡(546nmセナルモンコンペンセータ、ニコン社製)を用いて測定した。複屈折値が0に近いほど低複屈折性であることを表す。
(4)屈折率
上記(4)で作製したディスク基板の屈折率を測定した。
(5)ガラス転移温度
重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析(DSC)により毎分10℃で昇温して測定した。
[実施例1]フェニルアセチレン/ジシクロペンタジエン共重合体水素化物の製造
攪拌機付きガラス製反応器に、六塩化タングステン0.09部をトルエン1部に溶解した溶液と、テトラブチルスズ0.16部とを添加し、15分間攪拌した。ここに、溶媒としてシクロヘキサン27部、単量体混合物としてフェニルアセチレン2.7部およびジシクロペンタジエン4.8部、分子量調整剤として1−ヘキセン0.15部を添加し、80℃に加熱して重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。3時間反応後、得られた重合反応液に大量のイソプロピルアルコールを注いで沈殿物を凝集させ、この沈殿物を濾別洗浄し、40℃で24時間減圧乾燥して共重合体aを得た。共重合体aの収量は3部であり、Mnは16,000、Mwは56,000であった。共重合体aの組成比は、フェニルアセチレン単位:ジシクロペンタジエン単位がモル比で39:61であった。共重合体aは黄橙色で、Tgが115℃に1つ観測されることから、ランダムに共重合していることが確認できた。
次いで、攪拌機付きオートクレーブに、上記で得られた共重合体a3部とシクロヘキサン47部を供給した。次いでビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.0187部及びエチルビニルエーテル0.45部をシクロヘキサン10mlに溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素圧0.8MPa、160℃で8時間水素化反応を行った。得られた水素化反応液を多量のイソプロピルアルコールに注いでポリマ−を完全に析出させ、濾別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して共重合体aの水素化物である共重合体Aを3部得た。共重合体AのH−NMR測定においては、共重合体主鎖およびジシクロペンタジエン単位の側鎖の炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、主鎖および側鎖の水素化率は99%以上であった。芳香環の水素化率は1%以下であった。Tgは100℃に1つ観測された。
以上より、共重合体Aは、一般式(1)においてRが水素原子であり、Rがフェニル基である繰り返し単位39モル%と、一般式(2)においてRおよびRが水素原子であり、RとRとが互いに結合して五員環を形成しており、mが0である繰り返し単位61モル%とを有するランダム共重合体であることが確認できた。
共重合体Aを熱プレスして得られた光ディスク基板は透明で、複屈折値は6nm、屈折率は1.56であった。
[実施例2]フェニルアセチレン/1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン共重合体水素化物の製造
単量体混合物として、フェニルアセチレン2.7部およびジシクロペンタジエン4.8部に代えて、フェニルアセチレン4.8部および1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン4.8部を用いた他は、実施例1と同様にして共重合体bを得た。共重合体bの収量は3部であり、Mnは15,000、Mwは48,000であった。共重合体bの組成比は、フェニルアセチレン単位:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン単位がモル比で64:36であった。また、黄橙色であることから、ランダムに共重合していることが確認できた。
次いで、共重合体a3部に代えて共重合体bを3部用いた他は実施例1と同様に水素化反応を行い、共重合体bの水素化物である共重合体Bを3部得た。共重合体BのH−NMR測定においては、共重合体主鎖の炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、主鎖の水素化率は99%以上であった。また、芳香環の水素化率は1%以下であった。Tgは120℃に1つ観測されることからランダム共重合体であることが確認できた。以上より、共重合体Bは、一般式(1)においてRが水素原子であり、Rがフェニル基である繰り返し単位64モル%と、一般式(2)においてR〜Rが互いに結合して芳香環を形成しており、mが0である繰り返し単位36モル%とを有するランダム共重合体であることが確認できた。
共重合体Bを熱プレスして得られた光ディスク基板は透明で、複屈折値は8nm、屈折率は1.59であった。
[比較例1]フェニルアセチレン単独重合体水素化物の製造
単量体混合物であるフェニルアセチレン2.7部およびジシクロペンタジエン4.8部に代えて、フェニルアセチレン7.5部のみを用いた他は、実施例1と同様にして重合体cを1.1部得た。重合体cはフェニルアセチレンの単独重合体で、Mnは10,000、Mwは23,000であり、赤色であった。
次いで、攪拌機付きオートクレーブに、得られた重合体c1部とシクロヘキサン15.7部を供給した。次いでビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド0.0062部及びエチルビニルエーテル0.15部をシクロヘキサン3.3mlに溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素圧0.8MPa、160℃で8時間水素化反応を行った。得られた水素化反応液を多量のイソプロピルアルコールに注いでポリマ−を完全に析出させ、濾別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して重合体cの水素化物である重合体Cを1部得た。
重合体CのH−NMR測定においては、重合体主鎖の炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、主鎖の水素化率は99%以上であった。また、芳香環の水素化率は1%以下であり、重合体Cはポリスチレンと同じ構造を有していた。Tgは102℃であった。
重合体Cを熱プレスして得られた光ディスク基板は透明で、複屈折値は54nm、屈折率は1.59であった。
[比較例2]ジシクロペンタジエンの単独重合体水素化物の製造
単量体混合物であるフェニルアセチレン2.7部およびジシクロペンタジエン4.8部に代えて、ジシクロペンタジエン4.8部のみを用いた他は、実施例1と同様にして重合体dを4.5部得た。重合体dはジシクロペンタジエンの単独重合体で、Mnは18,000、Mwは64,000、Tgは125℃であった。
次いで、共重合体a3部に代えて重合体dを3部用いた他は実施例1と同様に水素化反応を行い、重合体dの水素化物である重合体Dを3部得た。重合体DのH−NMR測定においては、共重合体主鎖およびジシクロペンタジエン単位の側鎖の炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、主鎖および側鎖の水素化率は99%以上であった。Tgは100℃であった。
重合体Dを熱プレスして得られた光ディスク基板は透明で、複屈折値は26nm、屈折率は1.54であった。
[比較例3]重合体Cおよび重合体Dの混合物
重合体C1部および重合体D1部をシクロヘキサン10部に加え、80℃に加熱して溶解した。続いて、得られた溶液を過剰のイソプロピルアルコール中に注ぎ、重合体を析出させ、ろ過、乾燥して、重合体混合物2部を得た。
本重合体混合物を熱プレスして得られた光ディスク基板は白濁していた。
以上より、一般式(1)で表される繰り返し単位および一般式(2)で表される繰り返し単位がランダムに結合したものである本発明のランダム共重合体は、透明で、複屈折値が小さく、かつ屈折率も高いので、光学材料として好適であることがわかる(実施例1,2)。一方、それぞれの繰り返し単位の単独重合体は、透明ではあるが複屈折値が大きい(比較例1,2)。また、これらの単独重合体の混合物は、相分離により白濁するため、光学材料には適さないものであった(比較例3)。

Claims (5)

  1. 一般式(1)
    Figure 2006183001
    (式中、RおよびRは水素原子、ハロゲン原子、シリル基、又はハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表し、RおよびRが同時に水素原子であることはない。)
    で表される繰り返し単位(I)1〜99モル%、一般式(2)
    Figure 2006183001
    (式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、又はハロゲン原子、ケイ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。mは0〜2の整数である。)
    で表される繰り返し単位(II)1〜99モル%、および式(3)
    Figure 2006183001
    で表される繰り返し単位(III)0〜20モル%を含有し、かつ繰り返し単位(I)の含有量が繰り返し単位(III)の含有量より多いことを特徴とするランダム共重合体。
  2. およびRの少なくとも一つが芳香環を有するものである請求項1記載のランダム共重合体。
  3. 前記繰り返し単位(II)が芳香環を有するものである請求項1または2記載のランダム共重合体。
  4. 一般式(4)
    Figure 2006183001
    (式中、RおよびRは前記と同じ意味を表す。)
    で表される単量体および一般式(5)
    Figure 2006183001
    (式中、R〜Rおよびmは前記と同じ意味を表す。)
    で表される単量体を含む単量体混合物をメタセシス共重合してメタセシス共重合体を得る工程と、得られたメタセシス共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化する工程とを有する、請求項1〜3のいずれかに記載のランダム共重合体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のランダム共重合体を成形してなる光学材料。
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