JP2011137060A - 光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリカーボネート樹脂が有する種々の優れた性能を損なうことなく、高い光反射性、難燃性、熱安定性、および表面外観を有している、液晶フレームまたはランプホルダー用光反射板等の用途に好適であるポリカーボネート樹脂を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部、酸化チタン(B)5〜25重量部、特定のシリコーン化合物(C)0.01〜3重量部、有機金属塩(D)0.01〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.01〜2重量部および環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(F)0.005〜1重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品。
【選択図】なし
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100重量部、酸化チタン(B)5〜25重量部、特定のシリコーン化合物(C)0.01〜3重量部、有機金属塩(D)0.01〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.01〜2重量部および環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(F)0.005〜1重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品。
【選択図】なし
Description
本発明は、高い光反射性を有し、かつ優れた難燃性および熱安定性を有するポリカーボネート樹脂組成物、および該組成物より成形されてなる光反射板に関する。本発明に係わる樹脂組成物は、光反射性、難燃性に優れ、さらには耐衝撃性、外観にも優れていることから、特に液晶フレームまたはランプホルダー用光反射板に好適に使用できる。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱性などに優れた熱可塑性樹脂であり、電気、電子、機械、自動車などの分野に広く用いられている。なかでも液晶表示装置のフレームやランプホルダー等の光反射板の用途においては、耐衝撃性、耐熱性等の面からポリカーボネート樹脂が着目されており、ポリカーボネート樹脂に高い光反射性を付与するために、多量の酸化チタンを配合する方法が提案されている。また、酸化チタンの表面を処理することで所望とする光反射性を得ることが試みられている。(特許文献1〜3を参照)
特開2005−320457号公報
特開2005−015655号公報
特開2003−183491号公報
一方、液晶フレームやランプホルダーに使用されるポリカーボネート樹脂には、光反射性のみならず安全上の要求を満たすためUL94V−0やV−1相当の高度は難燃性も要求されている。この用途向けのポリカーボネート樹脂の難燃化においては、従来から難燃剤としてハロゲン系化合物やリン系化合物を配合する方法が採用されている(特許文献4参照)。これらの中で特に臭素や塩素といったハロゲン系化合物については、環境面からこれらを含有しない難燃剤の使用が望まれており、シリコーン系難燃剤による難燃化の提案がされている。(特許文献5参照)
特開2000−302959号公報
特開2003−155405号公報
液晶フレームやランプホルダーに使用されるポリカーボネート樹脂に対しては、本来有する優れた耐衝撃性や耐熱性といった性能に加えて、高度の難燃性のみならず高度な光反射性が求められていた。多量の酸化チタンを配合した難燃性ポリカーボネート樹脂は、光反射性は向上するものの、多量の酸化チタンを含有するため、射出成形時の熱安定性や成形加工性の低下を招き、さらには成形品の表面外観にシルバーストリーク等が発生するといった問題も有しており、これらの改善も望まれていた。
本発明者らは、かかる課題に鑑み鋭意研究を行った結果、特定のシリコーン化合物により難燃化されたポリカーボネート樹脂に、酸化チタン、有機金属塩化合物、繊維形成型の含フッ素ポリマーおよび環状亜りん酸エステル系酸化防止剤を特定量配合することにより、ポリカーボネート樹脂が有する種々の優れた性能を損なうことなく、優れた光反射性および難燃性を有し、かつ従来のリン系酸化防止剤を使用した場合と比較して優れた熱安定性および表面外観を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部、酸化チタン(B)5〜25重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)0.01〜3重量部、有機金属塩(D)0.01〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.01〜2重量部および環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(F)0.005〜1重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供するものである。
本発明の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は臭素や塩素を含有する従来の難燃剤を使用しないことから、燃焼時に当該難燃剤に起因する臭素や塩素を含むガスの発生の懸念もなく、かつリン系難燃剤も使用しないことから環境面において優れている。さらに、ポリカーボネート樹脂が有する種々の優れた性能を損なうことなく、高い光反射性、難燃性、熱安定性および表面外観を有していることから液晶フレームまたはランプホルダー用光反射板等の用途に好適であり、実用上の利用価値が極めて高い。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは、単独または2種類以上混合して使用されるが、ハロゲンで置換されていない方が燃焼時に懸念される当該ハロゲンを含むガスの環境への排出防止の面から好ましい。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物と以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノールとしてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は通常10000〜100000、好ましくは12000〜35000、更に好ましくは15000〜28000である。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに際し、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。上記粘度平均分子量の測定方法は、塩化メチレンを溶媒として0.5重量%の溶液とし、キャノンフェンスケ型粘度管を用い温度20℃で比粘度(ηsp)を測定し、濃度換算により極限粘度〔η〕を求め下記のSCHNELLの式から算出した。
〔η〕=1.23×10−4M0.83
〔η〕=1.23×10−4M0.83
本発明にて使用される酸化チタン(B)とは、塩素法、硫酸法どちらで製造されたものでもよく、その結晶形態としてはルチル型、アナターゼ型のどちらであっても構わない。また、酸化チタンの粒径としては0.1〜0.5μm程度のものが好適である。
市販の酸化チタンとしては、DuPont社製R902,レジノカラー工業社製DCF17007,Kronos社製2230、石原産業社製タイペークPF740等があげられる。
酸化チタン(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり5〜25重量部である。配合量が5重量部未満では光反射性に劣り、また25重量部を超えると外観や機械強度(衝撃強度)が悪化するので好ましくない。より好適な配合量は9〜20重量部の範囲である。
本発明にて使用されるシリコーン化合物(C)は、主鎖が分岐構造でかつ有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなり、下記一般式(1)にて示される。
一般式(1)
一般式(1)
ここで、R1、R2およびR3は主鎖の有機官能基を、Xは末端の官能基を表わす。
すなわち、分岐単位としてT単位(RSiO1.5)および/またはQ単位(SiO2.0)を持つことを特徴とする。これらは全体のシロキサン単位(R3〜0SiO2〜0.5)の20モル%以上含有することが好ましい。(Rは有機官能基をあらわす。)また、シリコーン化合物(C)は、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上であることが好ましい。
すなわち、分岐単位としてT単位(RSiO1.5)および/またはQ単位(SiO2.0)を持つことを特徴とする。これらは全体のシロキサン単位(R3〜0SiO2〜0.5)の20モル%以上含有することが好ましい。(Rは有機官能基をあらわす。)また、シリコーン化合物(C)は、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上であることが好ましい。
この含有される芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレンまたはこれらの誘導体であるが、フェニル基が好適に使用できる。
シリコーン化合物(C)中の有機官能基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち芳香族基以外の有機基としては、炭素数4以下の炭化水素基が好ましく、メチル基が好適に使用できる。さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基の内から選ばれた1種またはこれらの2種から3種までの混合物であることが好ましい。
シリコーン化合物(C)の平均分子量(重量平均)は、好ましくは3000〜500000であり、更に好ましくは5000〜270000である。
シリコーン化合物(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり、0.01〜3重量部である。配合量がこの範囲外であると何れも充分な難燃効果が得られないので好ましくない。より好ましくは0.02〜2重量部の範囲である。
有機金属塩(D)とは、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩があげられ、好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3−3'−ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩等が使用できる。
有機金属塩(D)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.01〜2重量部である。配合量が0.01重量部未満では、難燃性が低下するので好ましくない。また、2重量部を超えると、機械物性や難燃性が得られなかったり、表面外観が悪化するといった問題が発生する。より好適な配合量は、0.2〜1重量部の範囲である。
本発明にて使用される繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)としては、ポリカーボネート樹脂(A)中でフィブリル状構造を形成するものがよく、例えばポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、等)、米国特許第4379910号に示される様な部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート等が挙げられる。とりわけ、分子量1000000以上で二次粒子径100μm以上のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好適に使用される。
繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部あたり0.01〜2重量部である。配合量が0.01重量部未満では滴下防止性に劣り、また2重量部を超えると表面外観や機械物性(衝撃強度)が悪化するので好ましくない。より好適には、0.2〜1重量部の範囲である。
本発明にて使用される環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(F)としては、フェノール類又はビスフェノール類と三ハロゲン化リンとアミン化合物とを反応させることにより製造されるものが挙げられる。反応方法としては通常、先ずフェノール類又はビスフェノール類と三ハロゲン化リンとを反応させ中間体を生成し、次いでアミン化合物を反応させるという二段反応法が採用される。反応は通常、有機溶剤中で0〜200℃の環境下で行われる。環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(F)のうち、特に2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンが好適であり、市販品として入手可能で住友化学社製スミライザーGPが挙げられる。
環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(F)の配合量としては、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.005〜1重量部である。配合量が0.005重量部未満では熱安定性が劣るので好ましくない。また1重量部を超えると強度が低下するので好ましくない。この配合量は、好ましくは、0.01〜0.5重量部、より好ましくは0.02〜0.1重量部の範囲である。
本発明の各種配合成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)の配合方法は特に制限はなく、任意の混合機、例えばタンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等によりこれらを混合し、通常の単軸または二軸押出機で容易に溶融混練することができる。また、これらの配合順序についても特に制限はない。
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に各種の熱安定剤、酸化防止剤、充填材、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、軟化材、展着剤(エポキシ大豆油、流動パラフィン等)染顔料等の添加剤、他のポリマーを配合しても良い。
充填材としては、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維、タルク粉、クレイ粉、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト粉、シリカ粉、アルミナ粉等が挙げられる。
他のポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂、AES樹脂等のスチレン系ポリマー;ポリプロピレン、さらにポリカーボネートとアロイ化して通常使用されるポリマーが挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、実施例中の「%」、「部」はそれぞれ重量基準に基づく。
なお、使用した原材料は以下のものである。
ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
住友ダウ社製カリバー200−20
(粘度平均分子量:19000 以下、PCと略記)
酸化チタン:
Kronos社製2230
シリコーン化合物:(以下「シリコーン化合物」と略記)
シリコーン化合物は、一般的な製造方法に従って製造した。すなわち、適量のジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテトラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリオルガノクロロシランを添加して反応させることによって重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。上記方法で合成したシリコーン化合物の構造特性は、以下のとおり:
・主鎖構造のD/T/Q単位の比率:40/60/0(モル比)
・全有機官能基中のフェニル基の比率(*):60モル%
・末端基:メチル基のみ
・重量平均分子量(**):15000
*:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さらにフェニル基が残余する場合に2個付く。末端基を除き、有機官能基は、フェニル基以外は全てメチル基である。
**:重量平均分子量は、有効数字2桁。
ポリカーボネート樹脂:
ビスフェノールAとホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂
住友ダウ社製カリバー200−20
(粘度平均分子量:19000 以下、PCと略記)
酸化チタン:
Kronos社製2230
シリコーン化合物:(以下「シリコーン化合物」と略記)
シリコーン化合物は、一般的な製造方法に従って製造した。すなわち、適量のジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテトラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリオルガノクロロシランを添加して反応させることによって重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。上記方法で合成したシリコーン化合物の構造特性は、以下のとおり:
・主鎖構造のD/T/Q単位の比率:40/60/0(モル比)
・全有機官能基中のフェニル基の比率(*):60モル%
・末端基:メチル基のみ
・重量平均分子量(**):15000
*:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さらにフェニル基が残余する場合に2個付く。末端基を除き、有機官能基は、フェニル基以外は全てメチル基である。
**:重量平均分子量は、有効数字2桁。
有機金属塩:
パラトルエンスルホン酸ナトリウム
繊維形成型の含フッ素ポリマー:
ダイキン社製ポリフロンFA500
(ポリテトラフルオロエチレン、以下、PTFEと略記)
環状亜りん酸エステル系酸化防止剤:
住友化学社製スミライザーGP(以下、AO1と略記)
リン系酸化防止剤:
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガフォスP168(以下、AO2と略記)
パラトルエンスルホン酸ナトリウム
繊維形成型の含フッ素ポリマー:
ダイキン社製ポリフロンFA500
(ポリテトラフルオロエチレン、以下、PTFEと略記)
環状亜りん酸エステル系酸化防止剤:
住友化学社製スミライザーGP(以下、AO1と略記)
リン系酸化防止剤:
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガフォスP168(以下、AO2と略記)
本発明における各種評価項目の測定方法等について説明する。
(樹脂組成物ペレットの作成)
以下の表2〜表4に示す配合成分におよび配合比率にて、各種配合成分をタンブラーで混合し、37mm径の二軸押出機(神戸製鋼社製KTX37)を用いて、シリンダー温度280度にて溶融混練し、各種ペレットを得た。
(樹脂組成物ペレットの作成)
以下の表2〜表4に示す配合成分におよび配合比率にて、各種配合成分をタンブラーで混合し、37mm径の二軸押出機(神戸製鋼社製KTX37)を用いて、シリンダー温度280度にて溶融混練し、各種ペレットを得た。
(難燃性)
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100C−5)を用いて240℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、燃焼性試験用試験片(1.5mm)を成形した。前述の試験片を23℃、湿度50%の恒温室の中で168時間放置し、アンダーラターズ・ラボラトリーが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に従い難燃性の評価を行った。UL94によるクラスを表1に示す。V−0を合格(○)、それ以外を不合格(×)とした。
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100C−5)を用いて240℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、燃焼性試験用試験片(1.5mm)を成形した。前述の試験片を23℃、湿度50%の恒温室の中で168時間放置し、アンダーラターズ・ラボラトリーが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に従い難燃性の評価を行った。UL94によるクラスを表1に示す。V−0を合格(○)、それ以外を不合格(×)とした。
残炎時間とは、着火元を遠ざけた後の試験片が、有炎燃焼を続ける時間であり、ドリップによる綿着火とは、試験片の下端から300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。V−0に相当するものを合格とした。
(光反射性)
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100C−5)を用いて300℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、光学測定用試験片(幅50mm、長さ40mm、厚み2mm)を成形した。前述の試験片を23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間放置し、波長400〜800nmにおけるY値を分光光度計(村上色彩研究所製CMS−35SP)により測定した。
Y値が94%以上となるものを合格(○)、94%未満を不合格(×)とした。
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100C−5)を用いて300℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、光学測定用試験片(幅50mm、長さ40mm、厚み2mm)を成形した。前述の試験片を23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間放置し、波長400〜800nmにおけるY値を分光光度計(村上色彩研究所製CMS−35SP)により測定した。
Y値が94%以上となるものを合格(○)、94%未満を不合格(×)とした。
(耐衝撃性)
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100E−5)を用いて280℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、強度測定用試験片(ISO規格179−2の試験片、厚み4mm)を成形し、先端角0.25Rのノッチ付き試験片に加工した。前述の試験片をISO179−1に準拠し23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間状態調整後、シャルピー衝撃試験機で衝撃強度を測定した。
シャルピー衝撃強度が10KJ/m2以上を合格(○)、10KJ/m2未満を不合格(×)とした。
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100E−5)を用いて280℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、強度測定用試験片(ISO規格179−2の試験片、厚み4mm)を成形し、先端角0.25Rのノッチ付き試験片に加工した。前述の試験片をISO179−1に準拠し23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間状態調整後、シャルピー衝撃試験機で衝撃強度を測定した。
シャルピー衝撃強度が10KJ/m2以上を合格(○)、10KJ/m2未満を不合格(×)とした。
(成形性)
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100C−5)を用いて300℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、光学測定用試験片(幅50mm、長さ40mm、厚み2mm)を成形した。得られた成形試験片の表層剥離や表面のヒケ、ムラの発生を下記の通り評価し、○と△のレベルを合格とした。
○:発生せず。
△:5試料中1〜2試料で発生。
×:5試料中3試料以上で発生。
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100C−5)を用いて300℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、光学測定用試験片(幅50mm、長さ40mm、厚み2mm)を成形した。得られた成形試験片の表層剥離や表面のヒケ、ムラの発生を下記の通り評価し、○と△のレベルを合格とした。
○:発生せず。
△:5試料中1〜2試料で発生。
×:5試料中3試料以上で発生。
(造粒性)
以下の表2〜表4に示す配合成分におよび配合比率にて、各種配合成分をタンブラーで混合し、37mm径の二軸押出機(神戸製鋼社製KTX37)を用いて、シリンダー温度280度にて溶融混練した樹脂がストランド状に押し出されペレットへ加工される際の状態を目視判定した。○と△のレベルを合格とした。
○:問題なくペレット化できた。
△:ペレット化がやや困難である。
×:ペレット化できない。
以下の表2〜表4に示す配合成分におよび配合比率にて、各種配合成分をタンブラーで混合し、37mm径の二軸押出機(神戸製鋼社製KTX37)を用いて、シリンダー温度280度にて溶融混練した樹脂がストランド状に押し出されペレットへ加工される際の状態を目視判定した。○と△のレベルを合格とした。
○:問題なくペレット化できた。
△:ペレット化がやや困難である。
×:ペレット化できない。
(熱安定性)
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100C−5)を用いて300℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、70×40×3mmの平板を成形した。その後、設定温度300℃のシリンダー内で10分滞留させた後、さらに成形した。滞留前の成形品と滞留後の成形品のイ エローネスインデックス(YI)をASTM D−1925に準拠して測定した。滞 留前のYIと滞留後のYIとの差をΔYIとし、2以下を合格とした。また、滞留後の成形品外観を下記の通り評価し、○を合格とした。
○:シルバーストリーク無し
×:シルバーストリーク発生
得られたペレットを125℃で4時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製J100C−5)を用いて300℃、射出圧力1600kg/cm2の条件下、70×40×3mmの平板を成形した。その後、設定温度300℃のシリンダー内で10分滞留させた後、さらに成形した。滞留前の成形品と滞留後の成形品のイ エローネスインデックス(YI)をASTM D−1925に準拠して測定した。滞 留前のYIと滞留後のYIとの差をΔYIとし、2以下を合格とした。また、滞留後の成形品外観を下記の通り評価し、○を合格とした。
○:シルバーストリーク無し
×:シルバーストリーク発生
表2に示すとおり、本発明の構成を満足する場合(実施例1〜6)には、全ての評価項目において十分な性能を有していた。
一方、表3、4に示すとおり、本発明の構成を満足しない場合には、いずれの場合も何らかの欠点を有していた。
比較例1は、酸化チタンの配合量が規定量よりも少ない場合で、光反射性に劣っていた。
比較例2は、酸化チタンの配合量が規定量よりも多い場合で、難燃性および耐衝撃性に劣っていた。
比較例3は、シリコーン化合物の配合量が規定量よりも少ない場合で、難燃性に劣っていた。
比較例4は、シリコーン化合物の配合量が規定量よりも多い場合で、難燃性、成形性、耐衝撃性、および熱安定性に劣っていた。
比較例5は、有機金属塩の配合量が規定量よりも少ない場合で、難燃性に劣っていた。
比較例6は、有機金属塩の配合量が規定量よりも多い場合で、難燃性、耐衝撃性および熱安定性に劣っていた。
比較例7は、繊維形成型の含フッ素ポリマーの配合量が規定量よりも少ない場合で、難燃性に劣っていた。
比較例8は、繊維形成型の含フッ素ポリマーの配合量が規定量よりも多い場合で、成形性および熱安定性に劣っていた。
比較例9は、環状亜りん酸エステル系酸化防止剤の配合量が規定量よりも少ない場合で、熱安定性に劣っていた。
比較例10は、環状亜りん酸エステル系酸化防止剤の配合量が規定量よりも多い場合で、難燃性および耐衝撃性に劣っていた。
比較例11は、本発明の環状亜りん酸エステル系酸化防止剤以外のりん系酸化防止剤を用いた例であって、熱安定性に劣っていた。
比較例1は、酸化チタンの配合量が規定量よりも少ない場合で、光反射性に劣っていた。
比較例2は、酸化チタンの配合量が規定量よりも多い場合で、難燃性および耐衝撃性に劣っていた。
比較例3は、シリコーン化合物の配合量が規定量よりも少ない場合で、難燃性に劣っていた。
比較例4は、シリコーン化合物の配合量が規定量よりも多い場合で、難燃性、成形性、耐衝撃性、および熱安定性に劣っていた。
比較例5は、有機金属塩の配合量が規定量よりも少ない場合で、難燃性に劣っていた。
比較例6は、有機金属塩の配合量が規定量よりも多い場合で、難燃性、耐衝撃性および熱安定性に劣っていた。
比較例7は、繊維形成型の含フッ素ポリマーの配合量が規定量よりも少ない場合で、難燃性に劣っていた。
比較例8は、繊維形成型の含フッ素ポリマーの配合量が規定量よりも多い場合で、成形性および熱安定性に劣っていた。
比較例9は、環状亜りん酸エステル系酸化防止剤の配合量が規定量よりも少ない場合で、熱安定性に劣っていた。
比較例10は、環状亜りん酸エステル系酸化防止剤の配合量が規定量よりも多い場合で、難燃性および耐衝撃性に劣っていた。
比較例11は、本発明の環状亜りん酸エステル系酸化防止剤以外のりん系酸化防止剤を用いた例であって、熱安定性に劣っていた。
Claims (7)
- ポリカーボネート樹脂(A)100重量部、酸化チタン(B)5〜25重量部、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)0.01〜3重量部、有機金属塩(D)0.01〜2重量部、繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)0.01〜2重量部および環状亜りん酸エステル系酸化防止剤(F)0.005〜1重量部からなることを特徴とする光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(C)の配合量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部あたり0.02〜2重量部であることを特徴とする請求項1に記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 有機金属塩(D)が、芳香族スルホン酸の金属塩またはパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 繊維形成型の含フッ素ポリマー(E)が、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 環状亜リン酸エステル系酸化防止剤(F)が、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンであることを特徴とする請求項1に記載の光反射性に優れたポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形されてなる成形品。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載の光反射性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形されてなる液晶フレームまたはランプホルダー用光反射板。
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---|---|---|---|---|
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-
2009
- 2009-12-28 JP JP2009296592A patent/JP2011137060A/ja active Pending
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