JP2018154741A - ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018154741A JP2018154741A JP2017052894A JP2017052894A JP2018154741A JP 2018154741 A JP2018154741 A JP 2018154741A JP 2017052894 A JP2017052894 A JP 2017052894A JP 2017052894 A JP2017052894 A JP 2017052894A JP 2018154741 A JP2018154741 A JP 2018154741A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- carbon atoms
- component
- bis
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
Description
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。ビスフェノール類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明のB成分として使用されるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂としては、下記一般式〔1〕で表されるポリカーボネートブロックおよび下記一般式〔3〕で表されるポリジオルガノシロキサンブロックからなるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂であることが好ましい。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2 c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4 Mv0.83
c=0.7
本発明において、C成分として使用される蓄光材は合成樹脂の蓄光材として通常用いられる蓄光材であれば特に制限はない。たとえば、CaS:Bi、CaSrS:Bi、ZnCdS:Cuなどの硫化物系蓄光材、ZnS:Cuなどの硫化亜鉛系蓄光材、Sr2MgSi2O7:Eu,Dyなどのケイ酸系蓄光材、MAlaOb:X(Mはカルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる1種以上の金属元素。aおよびbは自然数。Xは、賦活剤であり、ユウロピウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテニウム、マンガン、スズ、ビスマスから選ばれる1種以上の元素。Xの含有量は、Mで表される金属元素に対して通常10モル%以下、例えば0.001〜10モル%である。) で表されるアルミン酸系化合物などが挙げられる。好ましくは、加水分解性、残光特性の観点から、アルミン酸系化合物であり、さらに好ましくは、金属元素としてストロンチウム、賦活剤としてユウロピウム、ジスプロシウムを用いたアルミン酸ストロンチウム系化合物である。
本発明のD成分として使用される光拡散剤は、高分子微粒子に代表される有機系微粒子、並びに無機系微粒子の何れであってもよい。高分子微粒子としては、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとを重合して得られる有機架橋粒子が代表的に例示される。さらにかかるモノマー以外の他の共重合可能なモノマーを使用することもできる。また、他の有機架橋粒子としては、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子を挙げることができる。そのなかでも、高分子微粒子が好ましく、特に有機架橋粒子が好適に使用できる。かかる有機架橋粒子において、非架橋性モノマーとして使用されるモノマーとして、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、アクリロニトリル系モノマー等の非架橋性ビニル系モノマー及びオレフィン系モノマー等を挙げることができる。アクリル系モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、およびフェニルメタクリレート等を単独でまたは混合して使用することが可能である。このなかでも特にメチルメタクリレートが好ましい。また、スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン(ビニルトルエン)、およびエチルスチレン等のアルキルスチレン、並びにブロモ化スチレンの如きハロゲン化スチレンを使用することができ、特にスチレンが好ましい。アクリロニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルを使用することができる。また、オレフィン系モノマーとしては、エチレンおよび各種ノルボルネン型化合物等を使用することができる。さらに、他の共重合可能な他のモノマーとして、グリシジルメタクリレート、N−メチルマレイミド、および無水マレイン酸等を例示することができる。本発明の有機架橋粒子は結果としてN−メチルグルタルイミドの如き単位を有することもできる。一方、かかる非架橋性ビニル系モノマーに対する架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、およびN−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物はE成分として紫外線吸収剤を含有する。紫外線吸収剤としては、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機系紫外線吸収剤やベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、オギザニリド系化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物などの有機系紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中で、有機系紫外線吸収剤であることが好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物(ベンゾトリアゾール構造を有する化合物)であることがより好ましい。ベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール] 等が挙げられる。これらの中で分子量500未満の化合物が好ましく、このようなベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、シプロ化成(株)製の「シーソーブ701」、「シーソーブ703」、ケミプロ化成社の「ケミソーブ79」、チバ・スペシャリティケミカルズ(株)社の「チヌビン234」、「チヌビン350」などがあげられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性、難燃性、意匠性の改良のために、これらの改良に使用されている添加剤が有利に使用される。以下これら添加剤について具体的に説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には公知の各種安定剤を配合することができる。
安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、加水分解性を促進させない程度において、リン系安定剤が配合されることが好ましい。かかるリン系安定剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる。リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
本発明の樹脂組成物には、更にヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかる配合は例えば成形加工時の色相悪化や長期間の使用における色相の悪化などを抑制する効果が発揮される。ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤の配合量は、それぞれ樹脂成分100重量部に対し、好ましくは0.0001〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部である。
本発明の樹脂組成物には、前記リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤が好適に例示される。かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば前記社製のIrganoxHP−2921が好適に例示される。ラクトン系安定剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。本発明の樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ化合物を配合することができる。かかるエポキシ化合物は、金型腐食を抑制するという目的で配合されるものであり、基本的にエポキシ官能基を有するもの全てが適用できる。好ましいエポキシ化合物の具体例としては、3,4ーエポキシシクロヘキシルメチルー3’,4’ーエポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体等が挙げられる。かかるエポキシ化合物の添加量としては、樹脂成分100重量部に対して0.003〜0.2重量部が好ましく、より好ましくは0.004〜0.15重量部であり、さらに好ましくは0.005〜0.1重量部である。
本発明の樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が配合されてよい。かかる化合物の配合は難燃性の向上をもたらすが、それ以外にも各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。かかる難燃剤としては、(i)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、有機ホウ酸金属塩系難燃剤、および有機錫酸金属塩系難燃剤など)、(ii)有機リン系難燃剤(例えば、有機基含有のモノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤、(iv)フィブリル化PTFEが挙げられ、その中でも有機金属塩系難燃剤、有機リン系難燃剤が好ましい。
有機金属塩化合物は炭素原子数1〜50、好ましくは1〜40の有機酸のアルカリ(土類)金属塩、好ましくは有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることが好ましい。この有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩には、炭素原子数1〜10、好ましくは2〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩の如きフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに炭素原子数7〜50、好ましくは7〜40の芳香族スルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩が含まれる。金属塩を構成するアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。より好適にはアルカリ金属である。かかるアルカリ金属の中でも、透明性の要求がより高い場合にはイオン半径のより大きいルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、リチウムおよびナトリウムなどのより小さいイオン半径の金属は逆に難燃性の点で不利な場合がある。これらを勘案してスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
有機リン系難燃剤としては、アリールホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は概して色相に優れるためである。またホスフェート化合物は可塑化効果があるため、成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できる。有機リン系難燃剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部、さらに好ましくは2〜7重量部である。
シリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、燃焼時の化学反応によって難燃性を向上させるものである。該化合物としては従来芳香族ポリカーボート樹脂の難燃剤として提案された各種の化合物を使用することができる。シリコーン化合物はその燃焼時にそれ自体が結合してまたは樹脂に由来する成分と結合してストラクチャーを形成することにより、または該ストラクチャー形成時の還元反応により、ポリカーボネート樹脂に難燃効果を付与するものと考えられている。したがってかかる反応における活性の高い基を含んでいることが好ましく、より具体的にはアルコキシ基およびハイドロジェン(即ちSi−H基)から選択された少なくとも1種の基を所定量含んでいることが好ましい。かかる基(アルコキシ基、Si−H基)の含有割合としては、0.1〜1.2mol/100gの範囲が好ましく、0.12〜1mol/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6mol/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シリコーン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。尚、アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。一般的にシリコーン化合物の構造は、以下に示す4種類のシロキサン単位を任意に組み合わせることによって構成される。すなわち、M単位:(CH3)3SiO1/2、H(CH3)2SiO1/2、H2(CH3)SiO1/2、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2、(CH3)2(C6H5)SiO1/2、(CH3)(C6H5)(CH2=CH)SiO1/2等の1官能性シロキサン単位、D単位:(CH3)2SiO、H(CH3)SiO、H2SiO、H(C6H5)SiO、(CH3)(CH2=CH)SiO、(C6H5)2SiO等の2官能性シロキサン単位、T単位:(CH3)SiO3/2、(C3H7)SiO3/2、HSiO3/2、(CH2=CH)SiO3/2、(C6H5)SiO3/2等の3官能性シロキサン単位、Q単位:SiO2で示される4官能性シロキサン単位である。シリコーン系難燃剤に使用されるシリコーン化合物の構造は、具体的には、示性式としてDn、Tp、MmDn、MmTp、MmQq、MmDnTp、MmDnQq、MmTpQq、MmDnTpQq、DnTp、DnQq、DnTpQqが挙げられる。この中で好ましいシリコーン化合物の構造は、MmDn、MmTp、MmDnTp、MmDnQqであり、さらに好ましい構造は、MmDnまたはMmDnTpである。
フィブリル化PTFEは、フィブリル化PTFE単独であっても、混合形態のフィブリル化PTFEすなわちフィブリル化PTFE粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体であってもよい。フィブリル化PTFEは極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その数平均分子量は、150万〜数千万の範囲である。かかる下限はより好ましくは300万である。かかる数平均分子量は、特開平6−145520号公報に開示されているとおり、380℃でのポリテトラフルオロエチレンの溶融粘度に基づき算出される。即ち、B成分のフィブリル化PTFEは、かかる公報に記載された方法で測定される380℃における溶融粘度が107〜1013poiseの範囲であり、好ましくは108〜1012poiseの範囲である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル化PTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。また、特開平6−145520号公報に開示されているとおり、かかるフィブリル化PTFEを芯とし、低分子量のポリテトラフルオロエチレンを殻とした構造を有するものも好ましく利用される。かかるフィブリル化PTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン化学工業(株)のポリフロンMPA FA500、F−201Lなどを挙げることができる。混合形態のフィブリル化PTFEとしては、(1)フィブリル化PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)フィブリル化PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)フィブリル化PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)フィブリル化PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号公報などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のフィブリル化PTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3000」(商品名)「メタブレン A3700」(商品名)、「メタブレン A3800」(商品名)で代表されるメタブレンAシリーズ、Shine Polymer社のSN3300B7(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLENDEX B449」(商品名)などが例示される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。本発明で使用する染顔料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明のポリカーボネート樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。メタリック顔料としては、アルミ粉が好適である。また、蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。
本発明の樹脂組成物において蛍光増白剤は、樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限はなく、例えばスチルベン系、ベンズイミダゾール系、ベンズオキサゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。具体的には例えばCI Fluorescent Brightener 219:1や、イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1やハッコールケミカル(株)製「ハッコールPSR」、などを挙げることができる。ここで蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。蛍光増白剤の含有量は樹脂成分100重量部に対して、0.001〜0.1重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜0.05重量部である。0.1重量部を超えても該組成物の色調の改良効果は小さい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩の含有量は樹脂成分100重量部を基準として、5重量部以下が適切であり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部の範囲である。帯電防止剤としては例えば、(2)有機スルホン酸リチウム、有機スルホン酸ナトリウム、有機スルホン酸カリウム、有機スルホン酸セシウム、有機スルホン酸ルビジウム、有機スルホン酸カルシウム、有機スルホン酸マグネシウム、および有機スルホン酸バリウムなどの有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が挙げられる。かかる金属塩は前述のとおり、難燃剤としても使用される。かかる金属塩は、より具体的には例えばドデシルベンゼンスルホン酸の金属塩やパーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩などが例示される。有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の含有量は樹脂成分100重量部を基準として、0.5重量部以下が適切であり、好ましくは0.001〜0.3重量部、より好ましくは0.005〜0.2重量部である。特にカリウム、セシウム、およびルビジウムなどのアルカリ金属塩が好適である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、強化フィラーとして公知の各種充填材を配合することができる。かかる充填材としては、各種の繊維状充填材、板状充填材、および粒状充填材が利用できる。ここで、繊維状充填材はその形状が繊維状(棒状、針状、またはその軸が複数の方向に伸びた形状をいずれも含む)であり、板状充填材はその形状が板状(表面に凹凸を有するものや、板が湾曲を有するものを含む)である充填材である。粒状充填材は、不定形状を含むこれら以外の形状の充填材である。上記繊維状や板状の形状は充填材の形状観察より明らかな場合が多いが、例えばいわゆる不定形との差異としては、そのアスペクト比が3以上であるものは繊維状や板状といえる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、その他の流動改質剤、抗菌剤、流動パラフィンの如き分散剤、光触媒系防汚剤およびフォトクロミック剤などを配合することができる。また本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、衝撃改質材を添加しなくても良好な耐衝撃特性、耐塗装性に優れているが、その他の添加材を入れた場合は必要に応じて、衝撃改質材の添加をすることができる。
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜E成分および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は通常かかるペレットを射出成形して成形品を得ることができる。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造することも可能である。また射出成形においても、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形、射出プレス成形、二色成形、サンドイッチ成形、インモールドコーティング成形、インサート成形、発泡成形(超臨界流体を利用するものを含む)、急速加熱冷却金型成形、断熱金型成形および金型内再溶融成形、並びにこれらの組合せからなる成形法等を使用することができる。さらに樹脂組成物から形成された成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、加飾塗装、ハードコート、撥水・撥油コート、親水コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、電磁波吸収コート、発熱コート、帯電防止コート、制電コート、導電コート、並びにメタライジング(メッキ、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、溶射など)などの各種の表面処理を行うことができる。殊に透明シートに透明導電層が被覆されたものは好適である。
(1)ポリジオルガノシロキサン成分含有量
日本電子(株)製 JNM−AL400を用い、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の1H−NMRスペクトルを測定し、二価フェノール(I)由来のピークの積分比とジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)由来のピークの積分比を比較することにより算出した。
ポリジオルガノシロキサン成分含有量(wt%)=[A/(A+B)]×100
A:〔ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)の1H一つ分のピークの積分比〕×〔ポリジオルガノシロキサン部分の分子量〕
B:〔二価フェノール(I)の1H一つ分のピークの積分比〕×〔二価フェノールの分子量〕
(1)蓄光性
住友重機械工業(株)SG−150U成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃にて試験片(50mm(幅)×90mm(長さ)で厚みが1mm、2mm及び3mmの3段プレート)を作成した。この試験片を24時間暗所にて保管し、蓄光剤を完全に消光した。その後、D65光源を使用して、2000ルクスの照度で12時間試験片に垂直照射を行い、試験片を励起させた。光源を消してから10秒後の発光強度を暗所にてTOPCON CORPORATION製のLUMINANCE COROLIMETER BM−7にて測定した。
(2)耐候性
住友重機械工業(株)SG−150U成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃にて試験片(50mm(幅)×90mm(長さ)で厚みが1mm、2mm及び3mmの3段プレート)を作成した。この試験片で500時間耐候試験を行い、耐候試験前後でのE値の変化(ΔE)および耐候試験後の蓄光性を測定した。なお、耐候試験およびE値の測定は以下の方法でおこなった。
耐候試験:ブラックパネル温度63℃、湿度50%、放射照度0.35W/m2(340nm)、に設定したアトラスCi4000(東洋精機製作所製) に試験片裏面を照射するように設置し、500時間後に取り出した。
E値の測定:サカタインクスエンジニアリング(株)製の分光光度計CE−7000Aで、D65光源、2度視野の透過法で測定した。
(3)押出性
ベント式二軸押出機を用いて押出を行った際のスレッド切れの発生有無により押出性を評価した。「良好」は、スレッド切れの発生がないことを示し、「不良」はスレッド切れが発生したことを示す。
(4)外観
耐光性評価用に作成した試験片(50mm(幅)×90mm(長さ)で厚みが1mm、2mm及び3mmの3段プレート)を目視により外観を評価した。「良好」は、シルバーの発生がないことを示し、「不良」はシルバーが発生したことを示す。
A成分〜E成分およびその他成分を表1記載の各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口から第二供給口まで290℃、第二供給口からダイス部分まで295℃とした。得られたペレットを使用し、上記の各評価を実施した。その結果を表1に示す。
(A成分)下記製法により得られたポリカーボネート樹脂パウダー
[製造方法]
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と称する事がある)710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液148部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、パス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネートのパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
(B成分)下記製法により得られたポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダー
[製造方法]
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21591部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3674部を入れ、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3880部、およびハイドロサルファイト7.6部を溶解した後、塩化メチレン14565部(ジヒドロキシ化合物(I)1モルに対して14モル)を加え、撹拌下22〜30℃でホスゲン1900部を60分要して吹き込んだ。次に、48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131部、p−tert−ブチルフェノール105部を塩化メチレン800部に溶解した溶液を加え、攪拌しながら下記式〔8〕で表されるポリジオルガノシロキサン化合物(式中の平均繰り返し数 p=約37)を430部を塩化メチレン1600部に溶解した溶液を、ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)が二価フェノール(I)の量1モルあたり0.0008モル/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3部を加えて温度26〜31℃において45分間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダーを得た。得られたポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダーのポリジオルガノシロキサン成分の含有量は8.4重量%であった。
(D成分)TSR9002(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社(株)製、平均粒子径2μm)
(E成分)
E−1:チヌビン234(チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製、分子量=446)
E−2:ケミソーブ79(シプロ化成(株)製、分子量=323)
(その他成分)
F:Trimethylphosphate(大八化学工業(株)製)
Claims (6)
- (A)ポリカーボネート樹脂(A成分)および(B)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)蓄光材(C成分)1〜35重量部、(D)光拡散剤(D成分)0.05〜10重量部および(E)紫外線吸収剤(E成分)0.01〜1重量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
- B成分が下記一般式〔1〕で表されるポリカーボネートブロックと、下記一般式〔3〕で表されるポリジオルガノシロキサンブロックからなるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- E成分が、ベンゾトリアゾール骨格を有し、かつ分子量が500未満である化合物を主成分とする紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- D成分の平均粒子径が1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017052894A JP6895778B2 (ja) | 2017-03-17 | 2017-03-17 | ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017052894A JP6895778B2 (ja) | 2017-03-17 | 2017-03-17 | ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018154741A true JP2018154741A (ja) | 2018-10-04 |
JP6895778B2 JP6895778B2 (ja) | 2021-06-30 |
Family
ID=63716256
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017052894A Active JP6895778B2 (ja) | 2017-03-17 | 2017-03-17 | ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6895778B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020213356A1 (ja) * | 2019-04-17 | 2020-10-22 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
JP2020176194A (ja) * | 2019-04-17 | 2020-10-29 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
JP2021119211A (ja) * | 2019-04-17 | 2021-08-12 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005528509A (ja) * | 2002-05-31 | 2005-09-22 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 燐光性熱可塑性組成物 |
JP2006078954A (ja) * | 2004-09-13 | 2006-03-23 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 直下型パックライト用拡散板 |
JP2015099752A (ja) * | 2013-11-20 | 2015-05-28 | シフトアップ株式会社 | ランプカバー、及びその製造方法 |
JP2016532733A (ja) * | 2013-10-08 | 2016-10-20 | コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag | 反応性押出しによるシロキサン含有ブロックコポリカーボネートの製造 |
-
2017
- 2017-03-17 JP JP2017052894A patent/JP6895778B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005528509A (ja) * | 2002-05-31 | 2005-09-22 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 燐光性熱可塑性組成物 |
JP2006078954A (ja) * | 2004-09-13 | 2006-03-23 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 直下型パックライト用拡散板 |
JP2016532733A (ja) * | 2013-10-08 | 2016-10-20 | コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag | 反応性押出しによるシロキサン含有ブロックコポリカーボネートの製造 |
JP2015099752A (ja) * | 2013-11-20 | 2015-05-28 | シフトアップ株式会社 | ランプカバー、及びその製造方法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020213356A1 (ja) * | 2019-04-17 | 2020-10-22 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
JP2020176194A (ja) * | 2019-04-17 | 2020-10-29 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
JP2021119211A (ja) * | 2019-04-17 | 2021-08-12 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
JP7371543B2 (ja) | 2019-04-17 | 2023-10-31 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6895778B2 (ja) | 2021-06-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5847292B2 (ja) | 光拡散性樹脂組成物 | |
JP5808425B2 (ja) | 導光性能を有する樹脂組成物、それからなる導光成形品および面光源体 | |
JP6343680B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 | |
JP6426372B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 | |
TW201930408A (zh) | 聚碳酸酯一聚二有機矽氧烷共聚物、其樹脂組成物、及其製造方法 | |
JP5809358B2 (ja) | 導光性能を有する樹脂組成物、並びにそれからなる導光板および面光源体 | |
JP5947117B2 (ja) | 蛍光発光性樹脂組成物 | |
JP6895778B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 | |
JP6483340B2 (ja) | 導光性能を有するポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる導光体 | |
JP2016108389A (ja) | 光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2013221046A (ja) | 導光性能を有する樹脂組成物、並びにそれからなる導光板および面光源体 | |
CN110691820B (zh) | 增强聚碳酸酯树脂组合物 | |
JP2015218325A (ja) | 光拡散性樹脂組成物 | |
JP2019006954A (ja) | 強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2024034738A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品 | |
US20230159748A1 (en) | Polycarbonate resin composition and molded article thereof | |
JP2023149670A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2018044062A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物並びにそれからなる導光体 | |
JP2012162609A (ja) | 発光難燃高光線透過率樹脂板 | |
JP2018193522A (ja) | 熱カシメ結合体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20191212 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201215 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210112 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210525 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210608 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6895778 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |