JP2006176601A - 重合触媒、それを用いて得られた重合体、およびその高分子複合体 - Google Patents

重合触媒、それを用いて得られた重合体、およびその高分子複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】 微細炭素繊維に金属を担持させた重合触媒及びこれを用いた重合体を提供すると共に、これを用いて均一かつ微分散した高分子複合体を提供することを課題とする。
【解決手段】 直径0.5〜200nm、アスペクト比(長さ/直径)5以上の炭素繊維の表面に、金属を金属錯体として担持させ、これを重合触媒として重合することにより、高分子鎖が微細炭素繊維と化学的に結合している重合体を得る。この重合体自身、もしくはこの重合体を他の高分子と混合することで得られた高分子複合体においては、マトリックス中に微細炭素繊維が高度に均一かつ微分散しており、導電性、透明性、機械特性、耐熱性などに優れた材料となる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機高分子を得るための炭素繊維を担体とした新規重合触媒および、この触媒を用いることで炭素繊維表面から成長した重合生成物、さらにこの重合生成物を用いて得られた高分子複合体に関する。
エレクトロニクス技術の発展に伴い導電性材料や電磁波シールド材料に軽量、高強度かつ成形性に優れた高分子複合体が用いられるようになっている。このような特性を発現するために高分子に含有される配合材としては、炭素粒子あるいは炭素繊維といった炭素材料が代表的である。
炭素材料として、従来から用いられているカーボンブラックは、粒子形状より導電パスを形成させるために比較的多量に含有させなければならず、そのためマトリックス高分子の特性を大きく変化させその特徴を活かすことができない傾向にあった。さらに高分子中で形成された導電パスは成型条件で容易に変化し、電気抵抗が変化しやすい欠点がある。
また、例えば、特許文献1には、カーボンブラックの表面の官能基に当該官能基と反応し得る反応性基を有するポリマー鎖を結合させてなるカーボンブラックグラフトポリマーが開示されており、高分子中におけるカーボンブラックの分散性、分散安定性を向上させ、高分子複合体における物理的および電気的特性を改善することが示されている。しかしながら、このようなカーボンブラックグラフトポリマーとしても、カーボンブラックの形状に起因する上述したような問題は改善されず、また、このようなカーボンブラック表面の官能基とポリマーグラフト鎖の反応率はきわめて低く、制御が困難であって、その分散性、分散安定性の向上の点についても十分満足のできるものではなかった。
また、ポリアクリロニトリルなどの有機高分子繊維を黒鉛化して得られるカーボンファイバーは、高分子マトリックス中での導電パスの安定な形成に寄与し、上記欠点を克服するものの、カーボンファイバー自身の電気抵抗が高く、低い導電性を有する高分子複合体を得るためには相当のカーボンファイバーを含有させなければならない。
これらの課題を解決するために、特許文献2および3では、炭化水素と有機金属触媒を水素ガスと共に熱分解させ、必要に応じ熱処理することで得られた繊維径3.5〜75nm、アスペクト比(繊維長/繊維径)5以上の微細炭素繊維を用いた高分子複合体が提唱されている。
このような微細炭素繊維は、一般に、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」とも記する。)と呼称されるものである。カーボンナノチューブに代表されるカーボンナノ構造体を構成するグラファイト層は、通常では、規則正しい六員環配列構造を有し、その特異な電気的性質とともに、化学的、機械的および熱的に安定した性質を持つ物質である。
また同様の技術をエラストマーに限定して適応した複合体が特許文献4に開示されている。
通常これら高分子複合体は、微細炭素繊維によりほとんどマトリクス高分子の透明性を維持できないが、導電性を金属微粉末を含有させることによって補うことで微細炭素繊維含有量を低減させ、結果的に透明薄膜として得られた高分子複合体が特許文献5に開示されている。
しかしながら純粋な微細炭素繊維を高分子に混練させた場合、カーボンブラックなどの場合と同様に、繊維の強い凝集により分散が困難であり、その結果有効な導電パスを形成することができず高アスペクト比を有する炭素繊維の特徴を活かすことはできない。このことはエラストマーを含む多くのマトリックス高分子で同様である。さらに微細炭素繊維とマトリックスの界面相互作用がほとんどない場合、繊維の凝集力が優勢となり高い導電性が得られないばかりか機械特性を向上させることができない。分散性を高める目的でポリエチレングリコールなどの相溶化剤を用いることが知られているが、複合体の顕微鏡観察、導電性、力学特性にほとんど効果が認められない。
また特許文献5におけるように、導電フィラーである金属微粉末と微細炭素繊維の併用では比重が増加し、軽量導電フィラーである微細炭素繊維の特徴を活かすことができない。さらに両導電フィラーの電気的接触が不均一であり、複合体の導電性は不安定である。光の散乱原理から不均質分散体の大きさを観測波長以下にすれば透明体が得られるが、微細炭素繊維をそのように微分散させた高分子複合体は未だ得られていない。
高分子マトリックスと微細炭素繊維の界面における相互作用を高めることは、微細炭素繊維の均一かつ微小分散に大きく貢献し、高分子複合体において安定した導電パスの形成、力学強度向上、透明性の向上などをより低い含有量において発現する。従って、これら高分子複合体はさらに多くの用途に適応可能となる。
界面相互作用を高める代表的な方法に材料表面の化学修飾があり、特許文献6および特許文献7には、微細炭素繊維の化学修飾法として、多くの有機官能化や有機金属化が開示されている。
微細炭素繊維を酸化することで、最表面のグラファイト構造にカルボキシル基が導入されることを初めとし、酸クロライドなどその種々誘導体、他の有機官能基、及び有機金属化体が試みられている。しかしこれら化学修飾の多様性をもってしても、高分子マトリックスとの相互作用を高めることは複合体の力学特性を向上させる観点から十分ではない。これは微細炭素繊維の単位表面を占める官能基数が低く制御できないこと、マトリックスとの遠距離界面相互作用がないこと、複合化混練過程における官能基の熱安定性がないことなどに起因している。
特許文献8には、微細炭素繊維表面を微細炭素繊維と親和性のあるポリマーで被覆して、微細炭素繊維の分散性を改良しようとすることも提案されている。また例えば、特許文献9に示されるように、微細炭素繊維の分散液の存在下にモノマーを重合して分散性の改善された高分子複合体を製造することも提案されている。
しかしながら、このように単純にポリマーで被覆する方法では、被覆ポリマーと微細炭素繊維との結合力が当然に弱く、十分な改質効果が発揮されず、また、微細炭素繊維を被覆する被覆ポリマーとの親和性の関係で、複合体のマトリックスとなる高分子の種類が大きく制限されることとなる。また、マトリックスとなる高分子の重合時に微細炭素繊維を分散させておく方法においては、得られた複合体においての微細炭素繊維とマトリックス高分子との相互作用自体は何ら改善されておらず、得られた複合体の二次加工時の熱履歴等によって、微細炭素繊維の分散性が大きく変動し、導電性、物理的特性等も不安定となるものである。
また、微細炭素繊維は水素添加を初めとする種々の触媒担体に応用可能である。特許文献10ではこのような触媒製造、および反応への応用について開示されており、活性の向上、多種反応への適応性、そして反応後触媒除去容易な不均一触媒としての利点を特徴としている。
しかしながら、これまでに開発された微細炭素繊維への触媒担持は反応後に生成物との分離が容易である不均一触媒を意図している。従って触媒の保持力は極めて弱く、微細炭素繊維と強く相互作用したマトリックスからなる複合体合成には適用できない。さらに担持された金属触媒は炭素−炭素不飽和結合への配位力がなく、オレフィンモノマーなどの重合を触媒することができないものであった。
WO97/00295 特許第2641712号公報 特許第3034027号公報 特許第2863192号公報 特開平9−115334号公報 特表平11−502494号公報 特表2002−503204号公報 特開2004−2119号公報 米国特許公開2003/0158323号公報 特表平7−508455号公報
従って本発明の目的は、上記技術的背景の下、微細炭素繊維に金属を担持させた重合触媒及びこれを用いた重合体を提供すると共に、これを用いて均一かつ微分散した高分子複合体を提供することにある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、直径0.5〜200nm、アスペクト比(長さ/直径)5以上の微細炭素繊維の表面に、金属を金属錯体として担持させた重合触媒を開発し、これを用いて重合して得られた重合体を微細炭素繊維と分離することなく、マトリックス高分子と複合化すること、もしくは得られた重合体自身を微細炭素繊維と分離することなく用いることで、上述した従来技術における課題を解決してなる高分子複合体を提供できることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、直径0.5〜200nm、アスペクト比(長さ/直径)5以上の炭素繊維の表面に、金属を、金属錯体として担持させたことを特徴とする重合触媒である。
本発明はまた、当該炭素繊維を構成するグラファイト構造に金属原子が直接配位結合していることを特徴とする上記重合触媒を示すものである。
本発明はさらに、当該炭素繊維を酸化することで生成した酸素含有基に金属原子が配位結合していることを特徴とする上記重合触媒を示すものである。
本発明はまた、当該重合触媒が不飽和結合を有するモノマーの重合に用いられることを特徴とする上記重合触媒を示すものである。
本発明はさらに、当該重合触媒が加水分解および脱水をともなう重縮合に用いられることを特徴とする上記重合触媒を示すものである。
上記課題を解決する本発明はまた、下記一般式(1)で示された構造を特徴とする重合体である。
Figure 2006176601
(但し、式中、CNTは炭素繊維を表し、Pは前記炭素繊維の表面に担持された金属錯体からなる当該炭素繊維表面に配された重合触媒構造により重合ないし重縮合された重合体であって、CNTとPとはこの重合触媒を介して、相互に結合されている。nは当該重合体の重合度を示し3〜107、およびmはCNTの表面を構成する炭素一つ当りのPの結合数であり0.5〜0.001である。)。
上記課題を解決する本発明はまた、上記一般式(1)で示された構造を特徴とする重合体を少なくともの一種以上を含有することを特徴とする高分子複合体である。
本発明に係る重合触媒は、分子量と高分子鎖数を制御しながら、例えば、オレフィン含有モノマー、あるいはポリシアネートとポリアミンの混合物をそれぞれ重合ないし重縮合させることができる。得られた重合体は成長した高分子鎖と微細炭素繊維から成り、両者は触媒の配位構造を介して強く結合している。従ってこの重合体自身、もしくはそれを用いて得られた高分子複合体は熱的に極めて安定であり、構成する微細炭素繊維はマトリックスに均一、かつ微小に分散している。このようにして得られた本発明の高分子複合体は微細炭素繊維の特徴を活かし、耐熱性、高強度、高導電性、高透明性などの特性を有する優れた材料となるものである。また、この触媒を用いて得られた重合生成物は、微細炭素繊維と化学的に強固かつ均一に結合しているため、本発明の重合体自身、もしくはその高分子複合体は導電性、透明性、機械特性、耐熱性などに優れた材料となるものであり、導電性材料や電磁波シールド材料をはじめとする各種用途に好適に使用できるものとなる。
以下、本発明を実施形態に基づき、詳細に説明する。
本発明に係る重合触媒は、直径0.5〜200nm、より好ましくは0.5〜100nm、アスペクト比(長さ/直径)5以上、より好ましくは100以上の炭素繊維の表面に、金属を、金属錯体として担持させたことを特徴とする。
金属錯体としての担持は、代表的には、中心金属に対し、微細炭素繊維のグラファイト構造中の炭素原子を配位原子として結合させる、あるいは、微細炭素繊維表面に導入した金属配位性官能基ないし原子を、中心金属に結合させて、金属錯体とすることによりなされ得る。
すなわち、本発明においては、微細炭素繊維を構成するグラファイト構造(ないしグラファイト構造の一部領域)を、前記金属錯体の配位子(配位子の少なくとも1つで良い。)となる原子団の骨格の少なくとも一部として(当該グラファイト構造をそのまま前記金属錯体の配位子とする、あるいは、当該グラファイト構造(ないしグラファイト構造の一部領域)を、当該原子団の骨格の一部とする(この場合、配位原子自体は、上述するように炭素繊維表面に導入された炭素以外の原子である。)。)、前記金属錯体が形成され得るので、炭素繊維表面に金属を確実に担持させることができる。
本発明に係る重合触媒の担体として用いられる上記所定条件を満たす炭素繊維は、特に限定されるものではないが、例えば、次のようにして調製することができる。
基本的には、遷移金属超微粒子を触媒として炭化水素等の有機化合物を化学熱分解して繊維構造体を得、これを必要に応じさらに高温熱処理する。
原料有機化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素(CO)、エタノール等のアルコール類などが使用できる。雰囲気ガスには、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性ガスや水素を用いることができる。
また、触媒としては、鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属あるいはフェロセン、酢酸金属塩などの遷移金属化合物と硫黄あるいはチオフェン、硫化鉄などの硫黄化合物の混合物を使用する。
繊維構造体の合成は、通常行われている炭化水素等のCVD法を用い、原料となる炭化水素および触媒の混合液を蒸発させ、水素ガス等をキャリアガスとして反応炉内に導入し、800〜1300℃の温度で熱分解することにより行われる。
なお、原料である微細炭素繊維は熱処理することでグラファイト構造がより緻密化され、配位する金属数が多くなり、より多くの重合活性点を導入することができる。これは当該重合触媒で生成した重合鎖と微細炭素繊維がより多く相互作用し、界面の接着強度および熱安定性を高める点で有用である。そのための熱処理温度は2000℃以上、好ましくは2400〜3000℃である。
熱処理していない微細炭素繊維は、カルボキシル基、アルデヒド、水酸基などが結合した欠陥部位を有するグラファイト構造からなり、これら酸素含有基もまた金属配位子として用いられる。この酸素含有基は酸化処理により増加させることができ、上述のごとく微細炭素繊維と生成した重合鎖の界面の接着強度および熱安定性を高める点で有用である。
このような酸化処理の条件としては、例えば、濃硫酸/濃硝酸の3/1(体積比)混酸と100〜140℃の温度条件下で30分から12時間加熱する方法や、200〜600℃の範囲で二酸化炭素と接触させる方法などから選ばれる。
また、このような高温熱処理前もしくは処理後において、炭素繊維の円相当平均径を数mmに解砕処理する工程と、解砕処理された炭素繊維の円相当平均径を所定の大きさに粉砕処理する工程とを経ることで、所望の繊維径を有する微細炭素繊維を得る。なお、解砕処理を経ることなく、粉砕処理を行っても良い。
また、本発明の重合触媒の担体として用いられる上記所定条件を満たす炭素繊維としては、特に限定されるものではないが、後述するように高分子マトリックス中に配された際に、高い強度および導電性を発揮させる上から、炭素繊維を構成するグラフェンシート中における欠陥が少ないことが望ましく、具体的には、例えば、ラマン分光分析法で測定されるID/IG比が、10以下、より好ましくは1以下であることが望ましい。ここで、ラマン分光分析では、大きな単結晶の黒鉛では1580cm-1付近のピーク(Gバンド)しか現れない。結晶が有限の微小サイズであることや格子欠陥により、1360cm-1付近にピーク(Dバンド)が出現する。このため、DバンドとGバンドの強度比(R=I1360/I1580=ID/IG)が上記したように所定値以下であると、グラフェンシート中における欠陥量が少ないことが認められるためである。
このように調製された微細炭素繊維は、有機金属化合物との反応により、本発明に係る重合触媒を提供することができる。
本発明に係る当該重合触媒として、具体的には、例えば、上述したような微細炭素繊維を構成するグラファイト構造を直接配位子としたメタロセン、および当該グラファイトを酸化生成したカルボキシル基、アルデヒド、水酸基等を配位子の一部とする錯体が好ましく例示できる。
また、中心金属としては、特に限定されるものではないが、例えば、鉄、チタン、ジルコニア、ロジウム、イリジウムなどが挙げられる。
これらの重合触媒は、例えば、下記スキームに従い調製される。
Figure 2006176601
有機金属化合物としてメタロセンを用いた場合、上記反応式に示すように、微細炭素繊維とチタノセン、フェロセン、ジルコノセン等のメタロセンを、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン等の適当な媒体中に分散させ、触媒である無水塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体等の存在下に加熱することで、フリーデルクラフト型の環置換反応を生じさせ、メタロセン配位子を交換し、微細炭素繊維のグラファイト構造に、メタロセン由来の金属原子を直接配位結合させることにより、本発明の重合触媒が得られる。
また、酸素含有基を有する微細炭素繊維は、イリジウム錯体であるバスカ(Vaska)試薬およびロジウム錯体であるウィルキンソン(Wilkinson)試薬とジメチルスルフォキサイド等の適当な媒体中で加熱することで、本発明の重合触媒を容易に得ることができる。
これらにおいて導入される金属量は、それぞれ用いるフェロセン量、および酸素含有基量に依存する。前者の場合、微細炭素繊維1g当り0.01〜10mmolの範囲が好ましく、後者では微細炭素繊維1g当り0.01〜0.5当量でなければならない。これらの下限より少ない場合は、界面の十分な相互作用が得られず、後述するように最終的に得られる高分子複合体の機械特性を、所望のものに向上させることができない。
上述のようにして調製される、本発明に係る重合触媒である微細炭素繊維と金属との配位化合物は、例えば、オレフィンモノマーの付加重合及び縮重合によるポリアミド生成を触媒することができる。なお、これらの重合ないし縮重合条件としては、例えば、従来公知のメタロセン触媒等の触媒を用いた重合ないし縮重合条件と同様のものを適用することができ、溶液重合、塊状重合、気相重合等の各種重合法を用いることができる。
オレフィンモノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エテン、プロペン、1,4−ブタジエン、イソプレン、シクロペンテン、ノルボルネン、3,4−ジヒドロフラン、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ジt−ブチルフマレート、スチレン、アクリロニトリルなどおよびこれらの2種またはそれ以上の混合物が挙げられる。なお、ここでメチル(メタ)アクリレートはメチルメタクリレートとメチルアクリレートの両者を示し、その他も同様である。また、これらオレフィンモノマーの重合の際、重合度を高めたり重合体の分子量分散度を下げる目的でメチルアルミノキサンなどの助触媒を用いることができる。
また縮重合原料としては、特に限定されるものではないが、例えば、1,n−ジシアノ直鎖アルカン (n=4〜20)、1,n−ビスシアノメチルベンゼン (n=2、3、4)、1、n−ジシアノシクロヘキサン (n=3、4)、1,1,1−トリスシアノメチルエタン、ポリアクリロニトリルなどのポリシアノ化合物から選ばれた一種以上と、1,n−ジアミノ直鎖アルカン (n=2〜20)、1,n−ジアミノベンゼン (n=2、3、4)、1,n−ビスアミノメチルベンゼン (n=2、3、4)、1,n−ジアミノシクロヘキサン (n=3、4)、ポリアリルアミンなどのポリアミノ化合物から選ばれた一種以上の混合物から成る。
次に本発明に係る重合体は、このようにして上記した本発明に係る重合触媒を用いて、これらのモノマーを重合ないし重縮合して得られるものであって、重合触媒を担持した微細炭素繊維とそこから成長した高分子鎖からなる、下記一般式(1)で示された構造を有することを特徴とする。
Figure 2006176601
(但し、式中、CNTは炭素繊維を表し、Pは前記炭素繊維の表面に担持された金属錯体からなる当該炭素繊維表面に配された重合触媒構造により重合ないし重縮合された重合体であって、CNTとPとはこの重合触媒を介して、相互に結合されている。nは当該重合体の重合度を示し、mはCNTの表面を構成する炭素一つ当りのPの結合数である。)。
上記一般式において、重合度nとしては、3〜107、より好ましくは5〜107、結合数mとしては、0.5〜0.001、より好ましくは0.1〜0.001であることが望ましい。
重合度nが3未満であると、結合した重合体の分子鎖による炭素繊維の分散性等の改質効果が十分なものとならず、一方、重合度が107を越えると、複合体の特性が純粋な高分子のそれと同等となり、炭素繊維を複合化させた効果が得られにくい。また、結合数mが0.5よりも大きいと、結合した重合体の分子鎖によって、炭素繊維本来の導電特性等が大きく損なわれ、一方、結合数が0.001よりも小さいと、結合した重合体の分子鎖による炭素繊維の分散性等の改質効果が十分なものとならない。
なお、この高分子鎖の分子量は、重合時における、重合温度、重合時間、モノマー濃度などで制御できる。
本発明に係る重合体は高分子鎖の分子量が5000以下のオリゴマーである場合、分子レベルで表面が改質された微細炭素繊維として回収され、また当該分子量が5000を超える高分子領域である場合、目視認識可能な繊維もしくはフレーク状の高分子に包埋された微細炭素繊維として回収される。
本発明に係る重合体は、そのまま高分子複合体として、あるいは、さらに他の高分子材料に配合されて複合体を形成して使用されることができる。
特に、重合体を構成する高分子鎖が5000以下の分子量を有する場合には、他の高分子材料と混合して、好ましい本発明の高分子複合体を調製することができる。
本発明に係る高分子複合体において、上記した本発明に係る重合体と混合される他の高分子材料としては、特に限定されるものではないが、前記重合体の有する高分子鎖と同じ一次構造を有することが微細炭素繊維との界面相互作用を強化する上で好ましい。
例えば本発明の重合体製造に用いたモノマーがプロペンであれば、他の高分子材料としてポリプロピレンと混合することが好ましい。しかし特にこの概念に限定されることなく、他の高分子複合体を製造してもよい。
一方、本発明に係る重合体の有する高分子鎖が5000以上の分子量を有する場合、本発明の重合体は単独、もしくは他の高分子材料と混合することで本発明の高分子複合体として用いることができる。なお、この場合における他の高分子材料としても、上述したものと同様のものが好ましい。
本発明に係る高分子複合体を得る上で、他の高分子材料と混合する手段としては、溶媒に分散・溶解させ、当該溶媒を除去する方法、ロール、ニーダー、エクストルーダーなどで加熱・溶融混合させる方法、および本発明の重合体を分散させたモノマーを重合させる方法などから適宜選択することができる。また、本発明に係る高分子複合体において、マトリックスとなる他の高分子材料としては、最終的な製品形態において、必ずしも、固相のものに限られず、混合時だけでなく最終的な製品形態としても液状の高分子や高分子組成物等も含まれ得る。
本発明の高分子複合体は、このような混合方法のいかんにかかわらず、熱的もしくは機械的特性に優れたものとなる。このことは本発明の重合触媒を構成する金属と微細炭素繊維の表面の結合による強い相互作用が、当該金属から成長する高分子鎖を強固に結合させ、当該高分子鎖が最終的に得られる高分子複合体のマトリックスと化学的相互作用もしくは物理的な絡み合いなどで結合していることに起因している。さらにこれらの全相互作用が当該重合触媒の調製から複合体製造まで制御可能であることも、本発明の効果の重要な因子である。特に当該高分子鎖と微細炭素繊維の相互作用を担う本発明の重合触媒の調製法は、これまで報告された炭素繊維の表面修飾が、化学種や官能基の導入率に相当低いところで限界があり、かつ制御できないことの課題を克服した。このように重合触媒から分子レベルで構築された本発明の高分子複合体では、微細炭素繊維がマトリックス中に均一、かつ微分散しているため、従来の混練技術による複合体製造に比較して微細炭素繊維のより低い含有量(特に限定されるわけではないが、具体的には例えば、マトリックス高分子に対し0.01〜5質量%程度)で導電性と透明性の高い複合体を与えることができる。特に、従来混練法では分散を高めるため強いせん断力を微細炭素繊維に印加するのが常法であり、これが原因で繊維は切断され、アスペクト比の低下により導電性や機械強度の向上が困難であった。本発明の重合体は微細炭素繊維表面が高分子鎖で覆われているため、マトリックスとの相溶性やぬれ性が高められ分散が容易であり、高いせん断力を加えなくとも均一分散性に優れた複合体を調製できる。従って上記の如く得られた本発明の複合体は、熱的、機械的、電気的、もしくは光学的特性に優れており、それぞれの特性を活かした用途で好適に用いることができる。
なお、本発明に係る高分子複合体においては、上記した本発明に係る重合体および他の高分子材料に加えて、従来公知の各種添加剤ないし配合剤、例えば、着色剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、難燃剤、滑剤、他の充填剤、可塑剤等を、本発明に係る高分子複合体の所期の特性を満たす限りにおいて任意に配合することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例と比較例で得られた重合体および高分子複合体の物性は、以下に示す方法に従って測定した。
1.熱重量天秤
マックサイエンス社製 TG−DTA 2000Sを用いてアルゴン雰囲気下、5℃/分の昇温で得られた重量減少曲線から求めた。
2.重量平均分子量
サンプルを0.02容量%の溶液に調製し、TOSOH製カラム TSK−GELGMHHR−H(S)HとRI検出器を備えた(株)センシュー科学製 GPC装置 SSC−7100を用い、流速 1ml/分、温度 140℃にて測定した。得られたクロマトグラムを標準ポリスチレン換算し、重量平均分子量を求めた。
3.電気抵抗
三菱化学社製 MCP−T600を用い、4端子法により測定した。
4.弾性率、ガラス転移温度
ボーリンインスツルメンツ社製 Geminiを用い、厚さ1mmの試料を10Hzの加振下、5℃/分の昇温で得られる貯蔵弾性率と損失正接の温度分散から求めた。
5.光線透過率
日立製作所製紫外可視分光光度計 UV−330を用い、厚み1 μmのフィルム試料の分光測定結果から求めた。
6.熱膨張係数
リガク社製TMA装置により直径0.5mmのピンを用いて98.07mN (10 gf)の荷重でTMA測定を行ない、10℃/分の昇温で得られたチャートより評価した。
[実施例1] 重合触媒の調製
真空下、120℃にて乾燥した内径が40〜80nmの多層微細炭素繊維(MWCNT)200mgとチタノセン 200mgをジオキサン 20mlに分散させ、そこへ塩化アルミニウム テトラヒドロフラン錯体 (0.5 mol/l) 2mlを加え、アルゴン雰囲気下、室温にて12時間撹拌した。沈殿した金属アルミニウムをデカンテーションにて除き、残りの反応混合物を濾過し、残査を2N−塩酸で3回、純粋で4回洗浄した。回収残査をソックスレー抽出器を用いてテトラヒドロフランで12時間洗浄し、真空乾燥させ本発明の重合触媒を得た。
[実施例2]重合触媒の調製
内径が40〜80nmのMWCNT 120mgと濃硫酸と濃硝酸の混酸(体積比3:1)19mlの混合物を130℃にて2時間撹拌した。反応混合物を大量の純水に投入し、濾別、水洗、乾燥によりMWCNTを回収した。このMWCNTを15mlのジメチルスルフォキサイド(DMSO)に溶解し、そこへ10mmol/lのウィルキンソン試薬 DMSO溶液10mlを加え、60℃にて72時間加熱した。反応混合物を冷却後、濾過し、残査をDMSO洗浄、エタノール洗浄、水洗し、乾燥させることで本発明の重合触媒を得た。
[実施例3] プロペンオリゴマーよる微細炭素繊維の表面修飾
実施例1で得られた重合触媒10mgを300mlの耐圧容器にてAr雰囲気下、100mlトルエン溶液とし、そこにメチルアルミノキサン1mgを加え室温にて2時間撹拌した後、プロペンを10気圧導入し、さらに室温で1時間撹拌した。圧力を開放した後、反応混合物を濾取し、乾燥させ本発明の重合体を得た。この重合体のTG−DTA分析では420℃で2.1%の重量減少を示した。
[実施例4] プロペンオリゴマーで表面修飾された微細炭素繊維の混練
実施例3で得られた微細炭素繊維のプロペンオリゴマー付加体 100gとポリプロピレン 4893gをエクストルーダーを用いて250℃にて混練した。得られた混練物の体積抵抗は860Ω・cmであり、導電性高分子として好適に用いられる。
[実施例5] 本発明の重合触媒によるエチレンの重合
実施例2で得られた重合触媒25mgを300mlの耐圧容器にてAr雰囲気下、100mlトルエン溶液とし、そこにメチルアルミノキサン1mgを加え室温にて2時間撹拌した後、エチレンを15気圧導入し、さらに室温で18時間撹拌した。圧力を開放した後、反応混合物を濾取し、乾燥させ本発明の重合体を得た。濃硫酸中で12時間撹拌し、濾過、水洗したこの重合体の140℃におけるオルトジクロロベンゼン可溶部の重量平均分子量は4.2×106であった。
本発明の重合体のTG−DTA分析では380℃で重量変化が一定となり、そのときの残存率は4.8%であった。この重合体の体積抵抗は120Ω・cmであり、導電性高分子として好適に用いられる。
[実施例6] 本発明の重合触媒によるメチルメタクリレートの重合
実施例1においてチタノセンの代わりにフェロセン210mgを用いた以外は同様の方法により本発明の重合触媒を得た。この触媒2gをメチルメタクリレートに超音波照射により分散させ60℃にて4時間加熱させることで、本発明の重合体を得た。この重合体の引っ張り弾性率およびTgは、52GPa、および114℃であり、純粋ポリメチルメタクリレートのそれら(それぞれ4GPaおよび100℃)と比較し、熱機械特性に優れていた。
[実施例7] 66ナイロンによる微細炭素繊維の表面修飾
実施例2で得られた重合触媒10mg、1,4−ジシアノブタン 50gおよび1,4−ジアミノブタン 40gを水18mlとダイグライム30mlに懸濁し、アルゴン雰囲気下、120℃にて12時間加熱した。得られた沈殿物をアセトンにて洗浄し、濾取、乾燥後本発明の重合体を得た。この重合体のTG−DTA分析では380℃で4.4%の重量減少を示した。
[実施例8] 66ナイロンで表面修飾された微細炭素繊維の混練
実施例7で得られた微細炭素繊維の66ナイロン付加体 100gとポリアクリロニトリル 3182gをエクストルーダーを用いて、340℃にて混練した。得られた混練物は厚み1μmで550nmにおいて91%の光線透過率と146Ω・cmの体積抵抗を示し、透明導電性高分子として好適に用いられる。
[実施例9] 本発明の重合触媒によるノルボルネンの重合
実施例2で得られた重合触媒10mg、ノルボルネン6gをトルエン32mlに懸濁し、室温にて12時間撹拌した。反応混合物を大量のメタノールに投入し沈殿物を濾取し、メタノール洗浄し、乾燥させ、本発明の重合体を得た。濃硫酸中で12時間撹拌し、濾過、水洗したこの重合体のテトラヒドロフラン可溶部の重量平均分子量は1.1×106であった。厚み1μmの成形膜の光線透過率は550nmで89%であり、透明性に優れていた。さらに加熱による線膨張係数は3.8×10-5であったことから、本重合体はポリノルボルネンの微細炭素繊維による複合化効果を発現し、耐熱性の優れた光学材料として好適に用いられる。
[比較例1]
アゾビスジメチルバレロニトリル 0.5%を含有するメチルメタクリレート100gと微細炭素繊維2gの混合物を40℃から120℃まで20時間かけて重合させた。得られた重合体は部分的に塊状の微細炭素繊維を有していた。その体積抵抗は7.3×104Ω・cmであり、微細炭素繊維の導電性を活かした複合体は得られなかった。
[比較例2]
実施例2に従い、酸化処理した微細炭素繊維 1gを塩化スルフリル100gと48時間還流し、生成した酸クロライドとオクタデシルアミン20gをトルエン中で12時間還流し、微細炭素繊維上にオクタデシル基を導入した。この改質微細炭素繊維のTG−DTA分析では280℃で重量変化が一定となり、そのときの残存率は99.2%であり、わずかにアルキル化された。この改質微細炭素繊維1gとポリエチレン50gをエクストルーダーにて混練し、複合体を得た。この複合体の体積抵抗は8.1×106Ω・cmであり、微細炭素繊維の導電性を活かした複合体は得られなかった。
[比較例3]
微細炭素繊維0.5g、アンチモンドープ酸化スズ66g、ポリエチレンテレフターレート100gをメチルエチルケトン350gとシクロヘキサノン50gの溶媒に混合し、得られた懸濁液をガラス平板上に塗布し、乾燥後に1μmの膜を形成させた。この膜の光線透過率は550nmで88%であったが、表面抵抗が109Ωと高いものであった。
[比較例4]
実施例2において酸化処理しない微細炭素繊維を用いてロジウム担持触媒を調製した。この触媒を用いてスチレンを重合させた。得られた重合体のGPCによる重量平均分子量は5400であり、重合触媒としての活性が十分得られなかった。さらにこの重合生成物を室温にてテトラヒドロフランで洗浄したところ、微細炭素繊維上にはもはやスチレン重合体の存在しないことがTG−DTAで示された。
[比較例5]
実施例2に従い酸化処理された微細炭素繊維5gを700℃にて2時間、水素ガスにて還元した。この還元生成物を乾燥テトラヒドロフラン300mlに懸濁させ、そこへ1.6mol/l−nBuLi 40mlを滴下し、室温にて4時間撹拌した。この反応混合物を−30℃に冷却しメチルメタクリレート5mlを滴下した。この温度を維持しながら6時間撹拌し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、沈殿を濾取、メタノール洗浄、そして乾燥させた。生成した重合体2gとポリメチルメタクリレート100gを250℃にて混練した。得られた複合体の引っ張り弾性率とガラス転移温度はそれぞれ1.1GPa、および102℃であり、微細炭素繊維を複合化した効果が全く得られなかった。生成した重合体をTG−MSで分析したところ220℃で解重合による重量減少が始まり250℃で残存量48%の恒量に達したことから、上記混練過程における熱で微細炭素繊維上に結合したポリメチルメタクリレートが脱離したことが示唆される。

Claims (7)

  1. 直径0.5〜200nm、アスペクト比(長さ/直径)5以上の炭素繊維の表面に、金属を金属錯体として担持させたことを特徴とする重合触媒。
  2. 金属の担持は、当該炭素繊維を構成するグラファイト構造に金属原子が直接配位してなることを特徴とする請求項1に記載の重合触媒。
  3. 当該炭素繊維を酸化することで生成した酸素含有基に金属原子が配位結合していることを特徴とする請求項1に記載の重合触媒。
  4. 当該重合触媒が不飽和結合を有するモノマーの重合に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の重合触媒。
  5. 当該重合触媒が加水分解および脱水をともなう重縮合に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の重合触媒。
  6. 下記一般式(1)で示された構造を特徴とする重合体。
    Figure 2006176601
    (但し、式中、CNTは炭素繊維を表し、Pは前記炭素繊維の表面に担持させた金属錯体からなる当該炭素繊維表面に配された重合触媒構造により重合ないし重縮合された重合体であって、CNTとPとはこの重合触媒を介して、相互に結合されている。nは当該重合体の重合度を示し3〜107、およびmはCNTの表面を構成する炭素一つ当りのPの結合数であり0.5〜0.001である。)。
  7. 請求項6に記載の重合体を少なくとも一種以上を含有することを特徴とする高分子複合体。
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