JP2006175677A - ノズルシートの製造方法、ノズルシートの表面処理方法、ノズルシート、液体吐出ヘッドの製造方法、及び液体吐出ヘッド - Google Patents

ノズルシートの製造方法、ノズルシートの表面処理方法、ノズルシート、液体吐出ヘッドの製造方法、及び液体吐出ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】ノズルに悪影響を及ぼすことなく、簡単な工程でノズルシートに表面処理を施すことができ、高精度で安定したインク液滴の吐出特性が得られるようにする。
【解決手段】電鋳層35のノズル18となる開口部に感光性樹脂を充填してマスキング部材37とし、マスキング部材37を露光及び現像して電鋳層35を露出させるとともに、ノズルと対応する部分にマスキング部37aを形成し、その後、電鋳層35及びマスキング部37aの露光面側に撥液層36を形成して、最終的にマスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去することにより、ノズルシート17を作製する。
【選択図】図5

Description

本発明は、インクジェットプリンタ等に用いられるノズルシートの製造方法、ノズルシートの表面処理方法、ノズルシート、液体吐出ヘッドの製造方法、及び液体吐出ヘッドに係るものであり、詳しくは、ノズルに悪影響を及ぼすことなく、ノズルシートに表面処理を施すことにより、液体の吐出特性を安定的に維持できるようにした技術に関するものである。
従来から、インクジェットプリンタのプリンタヘッド(液体吐出ヘッドの一種)に関する技術として、インク液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートに対し、ヘッドフレームを貼り付け、このヘッドフレームの収容空間内に複数のヘッドチップを配置することで、ラインヘッドを形成する技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2002−86736号公報 特開2002−127427号公報
上記の特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、多数のノズルを設けたNi(ニッケル)製のノズルシートを電鋳法によって形成し、この1つのノズルシートに対して複数のヘッドチップを貼り付けるとともに、支持部材としてヘッドフレームを貼り付け、ラインヘッドとしている。
図13は、このようなラインヘッド11を示す分解斜視図である。
図13に示すラインヘッド11は、ヘッドチップ14をノズル18の並び方向に複数配置して、印画紙の全幅にわたる画像の形成を可能とするとともに、ノズル18の並び方向と直交する方向に4列配置することによってカラー対応としたものであり、ヘッドチップ14はすべて、1枚の幅広のノズルシート17に貼り付けられる。
また、ノズルシート17には、ヘッドフレーム16も貼り付けられ、ノズルシート17の支持部材となる。このヘッドフレーム16は、厚さが約5mmで、ノズルシート17に対応する大きさとなっており、図13に示すように、ヘッドチップ14の収容空間16aが4つ形成されている。そして、この収容空間16aは、A4サイズの印画紙の横幅に相当する長さ(約21cm)となっており、千鳥状に配置された4列の各ヘッドチップ14は、各収容空間16aの内部に収容されることとなる。
図14は、図13に示すラインヘッド11におけるヘッドチップ14及びノズルシート17を示す部分斜視図である。なお、説明の便宜上、図13と上下方向を反転させて図示している。
図14に示すように、ヘッドチップ14は、シリコン、ガラス、セラミックス等からなる基板の表面に、半導体や電子デバイス製造技術用の微細加工技術を用いて析出形成した微細な発熱抵抗体13を備えたものである。そして、このヘッドチップ14は、バリア層15を介して、ノズルシート17に貼り付けられる。
ここで、バリア層15は、ヘッドチップ14を構成する基板の表面全体に感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂を感光するために最適な波長帯の放射光を持った露光機により、所定の形状のパターンを有するフォトマスクを介して露光し、その後、露光した感光性樹脂を所定の現像液で現像して未露光部分を除去することにより、パターニング形成したものである。
また、ノズルシート17は、多数のノズル18を設けたものであり、Ni(ニッケル)を電界メッキする電鋳法によって形成されている。そして、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように、すなわち、ノズル18が発熱抵抗体13と対向するように精密に位置決めされ、バリア層15と貼り合わせられる。
そのため、ヘッドチップ14、バリア層15、及びノズルシート17により、発熱抵抗体13を囲むインク液室12が形成される。すなわち、ヘッドチップ14及び発熱抵抗体13がインク液室12の底壁を構成し、バリア層15がインク液室12の側壁を構成し、ノズルシート17がインク液室12の天壁を構成する。これにより、インク液室12は、図14中、右下方向に開口部を有することとなり、この開口部を通してインクカートリッジ(図示せず)からインクが供給され、インク液室12内にインクが満たされる。
そして、発熱抵抗体13に短時間(例えば、1〜3μsecの間)パルス電流を流すことによって発熱抵抗体13を急速に加熱し、インク液室12内の発熱抵抗体13と接する部分に気泡を発生させる。すると、その気泡の膨張によって所定の体積のインクが押しのけられる。その結果、押しのけられたインクと同等の体積のインクがノズル18からインク液滴として吐出され、印画紙上に着弾して画像を形成する。
このように、ラインヘッド11は、発熱抵抗体13を加熱することによってノズル18からインク液滴を吐出するが、インク液滴の吐出が繰り返されると、ノズル18の周囲にインクが付着し、ノズルシート17のインク吐出面(図14における上面)がインクで濡れるようになる。すると、ノズル18の周囲におけるインクの濡れによってインク液滴の飛翔方向にズレが生じ、印画紙の所望の位置にインク液滴が着弾しなくなり、印画品質が悪化する。
そのため、ノズルシート17の表面に撥液処理を施すことにより、ノズル18の周囲にインクの濡れができることを防止するようにした技術が知られている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。
特開昭55−65565号公報 特開昭57−107848号公報
しかし、ノズルシート17の表面だけに撥液処理を施すことは、一般的に困難であり、ノズル18が形成されたノズルシート17に対し、何ら特別な対策を行わずに撥液処理を施すと、通常は、ノズル18の内部にまで撥液層が形成されてしまう。すると、インク液滴の非吐出時に、ノズル18の内部においてインクがノズルシート17のインク吐出面(図14における上面)と逆の方向に移動し、メニスカスの後退現象が発生する。
そして、このメニスカスの後退現象は、インク液滴の吐出効率の低下や吐出周波数の低下を招くこととなり、高速印画の妨げとなる。そのため、少なくともノズルシート17のインク吐出面(図14における上面)におけるノズル18の周囲に撥液処理を行い、ノズル18の内部は、非撥液性としておくことが好ましい。
また、ノズルシート17に撥液処理を施すのではなく、シリコン系の撥液剤を含浸させたブレードによってノズルシート17のインク吐出面(図14における上面)をワイピングし、ノズル18の周囲にインクの濡れができることを防止するようにした技術も知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開平2−48953号公報
しかし、ノズルシート17をワイピングした際に、ブレードに含浸された撥液剤の一部がノズル18の内部に回り込んでしまう。また、ワイピングせず、撥液剤を含浸させた多孔質体にノズルシート17を圧接させるようにしても同じ結果となる。そのため、ノズル18から高速で吐出しようとするインク液滴がノズル18の内部で撥液剤に接触し、インク液滴の飛翔方向が著しく狂うようになる。
そこで、ノズル18の内部にまで撥液層が形成されないように、ノズルシート17のインク吐出面(図14における上面)だけに撥液処理を施すようにした種々の技術が開示されている。すなわち、ノズル18の内部に除去可能な物質を充填しておき、この状態でノズルシート17のインク吐出面(図14における上面)に撥液層を形成し、その後、ノズル18の内部の充填物質を化学的に除去するようにした技術が知られている(例えば、特許文献6参照)。
特開昭63−122560号公報
また、ノズル18の内部に充填剤を充填した状態で、ノズルシート17に撥液処理を施し、その後、ノズル18とほぼ同径のピンをノズル18の内部に押し込み、ノズル18上の不要な撥液層及びノズル18の内部の充填剤を物理的に押し出すようにした技術も知られている(例えば、特許文献7参照)。
特開平6−106727号公報
さらに、ノズル18が形成されたノズルシート17の両面からドライフィルム状のネガ型レジストをラミネートし、加熱して軟化させることにより、ノズル18の内部にまでネガ型レジストを充填してマスキング部材とし、その後、フォトマスクを用いた露光及び現像によるパターニングを行うことにより、マスキングが必要な箇所のみにマスキング部材が残るようにし、その状態で撥液処理を施して、最後に、マスキング部材を除去するようにした技術も知られている(例えば、特許文献8参照)。
特開2001−38912号公報
しかし、上述した特許文献6に記載の技術では、ノズル18内に充填した充填物質がノズル18の周囲にも付着してしまうことがある。このような余分な充填物質は、後工程で除去しなければならないが、この際に、ノズル18内に充填物質を残したまま、その周囲の余分な充填物質のみをきれいに除去することは、非常に困難である。
例えば、充填物質が液体状である場合には、余分な充填物質をふき取った後に乾燥することとなるが、充填物質に不揮発成分が含まれているような場合には、ふき取っても不揮発成分がノズルシート17の表面に残留してしまう。また、溶媒が水であったとしても、ウォータースポットのようなものが残ってノズルシート17の清浄状態が不均一となり、その後の撥液層の形成に悪影響を与えてしまう。
一方、充填物質が固体状である場合には、削取り等の手段によって余分な充填物質を除去することができるが、その充填物質を削り取る際に、ノズル18の内部の充填物質にもダメージを与えてしまうのが現実である。そのため、その後の撥液層の形成に際して、充填物質によるマスキング性能に悪影響を与えてしまう。しかも、余分な充填物質を削り取る際に、ノズルシート17を傷つけてしまう可能性があり、それがインク液滴の飛翔方向に乱れをもたらす要因となることがある。
また、上述した特許文献7に記載の技術は、ノズル18の周囲に付着した余分な充填剤を除去する必要がある点で、特許文献6に記載の技術と同様の問題がある。しかも、ノズル18上の不要な撥液層及びノズル18内の充填剤は、ピンを用いた物理的な破壊によって押し出されるため、ノズル18の周囲において、撥液層の境界形状が不均一なものとなり、ノズル18のエッジ部は、撥液層の存在する部分と存在しない部分とが共存するようになる。すると、インク液滴の飛翔方向が曲がる要因となってしまう。
さらに、上述した特許文献7に記載の技術では、ノズル18内の充填剤をピンで押し出した後に、ノズル18内に充填剤の残留物があった場合には、空気又は窒素等の気体をノズル18内に吹き付けることによって除去する。しかしながら、ノズル18内に付着した残留物を気体の吹き付け程度で完全に除去することは不可能である。そのため、ごみが発生することとなり、ノズル18の内部における濡れ性の不均一や、残留物がインクに溶解することによるインクの物性変化等の要因となってしまう。
さらにまた、上述した特許文献8に記載の技術では、パターニングを行うことにより、撥液層を形成させたくない部分に選択的にマスキング部材を残す際に、高精度な位置合わせが必要となる。そのため、高価な設備が必要であったり、撥液層の形成工程が複雑になるという問題がある。しかも、厳密な位置合わせを行うことは困難であり、マスキング部材の位置精度には限度がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ノズルに悪影響を及ぼすことなく、簡単な工程でノズルシートに表面処理を施すことができ、高精度で安定したインク液滴の吐出特性が得られるようにしたノズルシートの製造方法、ノズルシートの表面処理方法、ノズルシート、液体吐出ヘッドの製造方法、及び液体吐出ヘッドを提供することである。
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートの製造方法であって、母型上に、少なくとも前記ノズルを含む開口部に対応するレジストパターンを形成する第1工程と、前記母型上であって、前記レジストパターンの周囲に、電鋳層を形成する第2工程と、前記レジストパターンを除去するするとともに、前記電鋳層と前記母型とを剥離する第3工程と、前記電鋳層を受け台上に載置する第4工程と、前記受け台上であって、前記レジストパターンの除去によって形成された少なくとも前記ノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第5工程と、前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第6工程と、前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第7工程と、前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記電鋳層を露出させるとともに、少なくとも前記ノズルと対応する部分に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第8工程と、前記電鋳層及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第9工程と、前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第10工程とを含むことを特徴とする。
上記の発明においては、ノズルに対応する受け台上の凹部に感光性樹脂を充填してマスキング部材とし、その後、感光性樹脂を露光及び現像することにより、電鋳層を露出させるとともに、ノズルと対応する部分にマスキング部材の選択的なマスキング部を形成するので、ノズルと対応する部分のみが確実にマスキングされる。そのため、ノズルのエッジ部まで高精度に表面処理層が形成されたノズルシートを製造することができる。
本発明の他の1つである請求項10に記載の発明は、液滴を吐出するためのノズルが形成されるように、母型上に電鋳処理を行って作製したノズルシートの前記母型側の表面における少なくとも前記ノズルの周囲を含む選択的な部位に、表面処理層を形成するノズルシートの表面処理方法であって、前記ノズルシートを受け台上に載置する第1工程と、前記受け台上であって、前記ノズルの内部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第2工程と、前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第3工程と、前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第4工程と、前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記ノズルシートを露出させるとともに、少なくとも前記ノズルの内部に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第5工程と、前記ノズルシート及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第6工程と、前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第7工程とを含むことを特徴とする。
上記の発明においては、ノズルの内部に感光性樹脂を充填してマスキング部材とし、その後、感光性樹脂を露光及び現像することにより、ノズルシートを露出させるとともに、ノズルの内部にマスキング部材の選択的なマスキング部を形成するので、ノズルの内部のみが確実にマスキングされる。そのため、ノズルのエッジ部まで高精度に表面処理層を形成することができる。
本発明の他の1つである請求項17に記載の発明は、液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートであって、母型上に、少なくとも前記ノズルを含む開口部に対応するレジストパターンを形成する第1工程と、前記母型上であって、前記レジストパターンの周囲に、電鋳層を形成する第2工程と、前記レジストパターンを除去するするとともに、前記電鋳層と前記母型とを剥離する第3工程と、前記電鋳層を受け台上に載置する第4工程と、前記受け台上であって、前記レジストパターンの除去によって形成された少なくとも前記ノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第5工程と、前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第6工程と、前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第7工程と、前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記電鋳層を露出させるとともに、少なくとも前記ノズルに対応する部分に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第8工程と、前記電鋳層及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第9工程と、前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第10工程とを含む工程により作製されたものであることを特徴とする。
ここで、請求項17に係る発明は、ノズルシートという物の発明であるが、このノズルシートは、ノズルシートを作製する工程を含む方法によって特定される。
このように、方法によって物の発明を特定したのは、請求項17に係る発明におけるノズルの周囲の表面処理層の状態について、それを構造によって表現することが必ずしも適切ではなかったからである。
すなわち、ノズルシートは、ノズルに対応する部分にマスキング部材の選択的なマスキング部を形成し、その後、表面処理層を形成して、最終的にマスキング部材及びマスキング部に形成された表面処理層を除去することによって作製される。そして、マスキング部を除去した部分がノズル等の開口部となる。そのため、ノズルの内部に表面処理層が形成されることがない一方で、ノズルの周囲の表面処理層は、マスキング部が除去されたノズルのエッジ部の内側まで高精度に形成されるようになる。
したがって、請求項17の記載は、ノズルの周囲の表面処理層の状態に関し、有意差のある形成精度を製造方法によって特定したものであって、製造方法の如何にかかわらず、請求項17に記載のノズルシートは、最終的に得られた、ノズルのエッジ部の内側まで高精度に表面処理層が形成されたノズルシートを意味するものである。
本発明の他の1つである請求項22に記載の発明は、複数のエネルギー発生素子を配列したヘッドチップと、液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートと、前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子の形成面と前記ノズルシートとの間に積層され、各前記エネルギー発生素子と各前記ノズルとの間に、液室を形成するための液室形成部材とを備え、前記エネルギー発生素子により、前記液室内の液体を前記ノズルから液滴として吐出する液体吐出ヘッドの製造方法であって、母型上に、少なくとも前記ノズルを含む開口部に対応するレジストパターンを形成する第1工程と、前記母型上であって、前記レジストパターンの周囲に、電鋳層を形成する第2工程と、前記レジストパターンを除去するするとともに、前記電鋳層上に、前記ノズルシートを支持し、前記ヘッドチップを内部に配置するための収容空間が形成された支持部材を貼り合わせて、前記電鋳層と前記母型とを剥離する第3工程と、前記電鋳層を受け台上に載置する第4工程と、前記受け台上であって、前記レジストパターンの除去によって形成された少なくとも前記ノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第5工程と、前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第6工程と、前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第7工程と、前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記電鋳層を露出させるとともに、少なくとも前記ノズルに対応する部分に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第8工程と、前記電鋳層及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第9工程と、前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第10工程とを含むことを特徴とする。
上記の発明においては、ノズルに対応する受け台上の凹部に感光性樹脂を充填してマスキング部材とし、その後、感光性樹脂を露光及び現像することにより、電鋳層を露出させるとともに、ノズルと対応する部分にマスキング部材の選択的なマスキング部を形成するので、ノズルと対応する部分のみが確実にマスキングされる。そのため、ノズルのエッジ部まで高精度に表面処理層が形成された液体吐出ヘッドを製造することができる。また、ノズルシートを支持する支持部材が貼り合わせられるので、薄くて幅広のノズルシートの取扱いが容易になり、液体吐出ヘッドの生産性が向上する。
本発明の他の1つである請求項27に記載の発明は、複数のエネルギー発生素子を配列したヘッドチップと、液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートと、前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子の形成面と前記ノズルシートとの間に積層され、各前記エネルギー発生素子と各前記ノズルとの間に、液室を形成するための液室形成部材とを備え、前記エネルギー発生素子により、前記液室内の液体を前記ノズルから液滴として吐出する液体吐出ヘッドであって、母型上に、少なくとも前記ノズルを含む開口部に対応するレジストパターンを形成する第1工程と、前記母型上であって、前記レジストパターンの周囲に、電鋳層を形成する第2工程と、前記レジストパターンを除去するするとともに、前記電鋳層上に、前記ノズルシートを支持し、前記ヘッドチップを内部に配置するための収容空間が形成された支持部材を貼り合わせて、前記電鋳層と前記母型とを剥離する第3工程と、前記電鋳層を受け台上に載置する第4工程と、前記受け台上であって、前記レジストパターンの除去によって形成された少なくとも前記ノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第5工程と、前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第6工程と、前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第7工程と、前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記電鋳層を露出させるとともに、少なくとも前記ノズルに対応する部分に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第8工程と、前記電鋳層及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第9工程と、前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第10工程とを含む工程により作製されたものであることを特徴とする。
ここで、請求項27に係る発明は、液体吐出ヘッドという物の発明であるが、この液体吐出ヘッドは、液体吐出ヘッドを作製する工程を含む方法によって特定される。
このように、方法によって物の発明を特定したのは、請求項27に係る発明におけるノズルの周囲の表面処理層の状態について、それを構造によって表現することが必ずしも適切ではなかったからである。
すなわち、ノズルシートは、ノズルに対応する部分にマスキング部材の選択的なマスキング部を形成し、その後、表面処理層を形成して、最終的にマスキング部材及びマスキング部に形成された表面処理層を除去することによって作製される。そして、マスキング部を除去した部分がノズル等の開口部となる。そのため、ノズルの内部に表面処理層が形成されることがない一方で、ノズルの周囲の表面処理層は、マスキング部が除去されたノズルのエッジ部の内側まで高精度に形成されるようになる。
したがって、請求項27の記載は、ノズルの周囲の表面処理層の状態に関し、有意差のある形成精度を製造方法によって特定したものであって、製造方法の如何にかかわらず、請求項27に記載の液体吐出ヘッドは、最終的に得られた、ノズルのエッジ部の内側まで高精度に表面処理層が形成されたノズルシートを備える液体吐出ヘッドを意味するものである。
本発明のノズルシートの製造方法によれば、ノズルと対応する部分のみが確実にマスキングされるので、ノズルに悪影響を及ぼさずに、ノズルのエッジ部まで高精度に表面処理層が形成されたノズルシートを製造することができる。
本発明のノズルシートの表面処理方法によれば、ノズルの内部のみが確実にマスキングされるので、ノズルに悪影響を及ぼさずに、ノズルのエッジ部まで高精度に表面処理層を形成することができる。
本発明のノズルシートによれば、ノズルの内部に表面処理層が形成されることはなく、ノズルの周囲の表面処理層は、ノズルのエッジ部の内側まで高精度に形成される。そのため、本発明のノズルシートは、液体の吐出特性を安定的に維持することができる。
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法によれば、ノズルと対応する部分のみが確実にマスキングされるので、ノズルに悪影響を及ぼさずに、ノズルのエッジ部まで高精度に表面処理層が形成された液体吐出ヘッドを製造することができる。また、ノズルシートを支持する支持部材が貼り合わせられるので、薄くて幅広のノズルシートの取扱いが容易になり、特に、ラインヘッド等の大型の液体吐出ヘッドの生産性が大幅に向上する。
本発明の液体吐出ヘッドによれば、ノズルの内部に表面処理層が形成されることはなく、ノズルの周囲の表面処理層は、ノズルのエッジ部の内側まで高精度に形成される。そのため、高精度で安定した液体の吐出特性を得ることができ、美麗な印字・印画能力が継続的に発揮される。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本発明における液体吐出ヘッドは、下記実施形態では、インクジェットプリンタ用のプリンタヘッド10に相当する。そして、液体としてインクを使用し、インクを収容する液室がインク液室12である。また、下記実施形態では、エネルギー発生素子として発熱抵抗体13を使用しており、この発熱抵抗体13を配列したヘッドチップ14は、インク液室12の一面(底壁部分)を構成する。さらに、本発明の液室形成部材は、バリア層15であり、このバリア層15は、インク液室12の側壁を構成する。
図1は、本実施形態のプリンタヘッド10を部分的に示す図であり、図1(a)は、その斜視図、図1(b)は、その断面図である。
図1(a)に示すように、プリンタヘッド10は、複数の発熱抵抗体13を一定間隔で一方向に配列したヘッドチップ14と、インク液室12を構成するバリア層15と、ノズル18を形成したノズルシート17とを備えている。
そして、発熱抵抗体13によってインク液室12内のインクを急速に加熱すると、図1(a)に示すように、発熱抵抗体13上に気泡が発生し、インク液室12内のインクが微少量(例えば、数ピコリットル)だけインク液滴となり、ノズルシート17に形成されたノズル18から矢印のように吐出される。
ここで、図1(b)に示すように、ノズルシート17には、ヘッドフレーム16が貼り付けられている。このヘッドフレーム16は、薄くて幅広のノズルシート17の支持部材であり、ヘッドチップ14は、ヘッドフレーム16の収容空間内に、バリア層15を介して配置される。また、ヘッドチップ14上には、共通流路部材19が配置され、共通流路部材19によって形成された共通のインク流路20がプリンタヘッド10の各インク液室12と連通するようになっている。
したがって、発熱抵抗体13を加熱することによってノズル18からインク液滴を吐出すると、インクカートリッジ(図示せず)内のインクがインク流路20を通ってインク液室12に補給されるので、図1に示すプリンタヘッド10は、連続的にインク液滴を吐出することができる。
また、図1に示すプリンタヘッド10は、ノズルシート17のインク吐出面(図1における下面)に撥液性を有する表面処理層(以下、単に「撥液層」という)が形成されている。すなわち、このプリンタヘッド10に備えられたノズルシート17は、その一面に撥液層が形成されたものである。そのため、インク液滴を吐出しても、ノズル18の周囲がインクで濡れることはない。しかも、この撥液層は、ノズル18のエッジ部の内側まで高精度に形成されている一方で、ノズル18の内部には形成されていない。
したがって、図1に示すプリンタヘッド10は、連続的にインク液滴を吐出してもその飛翔方向にズレが生じることはなく、印画紙の所望の位置にインク液滴を着弾させることができるので、高精度で安定したインク液滴の吐出特性を得ることができ、美麗な印字・印画能力が継続的に発揮される。
このように、図1に示すプリンタヘッド10は、ノズルシート17のインク吐出面(図1における下面)に撥液層等の表面処理層が形成されていることを特徴とする。
そこで次に、このようなノズルシート17の製造方法、ノズルシート17の表面処理方法、及びノズルシート17について説明する。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第1工程を示す図である。
図2に示す第1工程では、母型30上に、ノズルに対応するレジストパターン34を形成する。すなわち、工程1−1において、母型30となる金属製基板を用意する。この母型30としては、電鋳基板として一般的なSUS(ステンレス)等が好適であり、第1実施形態では、厚さが0.4mmで、大きさが400mm×400mmの導電体であるSUS304の基板を母型30としている。なお、母型30として、SUS(ステンレス)以外の金属材料を使用することも可能である。
続く工程1−2では、母型30上に厚さ約15μmのレジスト層31を形成する。レジスト層31の材料樹脂は、環化イソプレンを主成分とし、これに感光剤や各種添加物(レベリング剤、シランカップリング剤等)を同時に適正量含有させ、これを適正量の溶媒等で希釈したネガ型レジストの感光性樹脂である。なお、これに限らず、絶縁性の感光性樹脂で、半導体やディスプレイ製造用に多種上市されているフォトレジスト、感光性層間絶縁材料、メッキ用マスクとして上市されているドライフィルムレジスト、プリント基板用等に上市されている各種の感光性材料、印刷用製版等に用いられる感光性材料等の様々な種類の感光性樹脂を使用することができる。
また、このような感光性樹脂を母型30に塗布してレジスト層31を形成する方法としては、スピンコート、バーコート、カーテンコート、メニスカスコート、スプレイコート等の各種の方法があるが、その中から適宜、最適なものを選択すれば良い。なお、この場合、感光性樹脂を液体状態で供給し、乾燥させるが、感光性樹脂の塗布後に母型30を加熱することにより、樹脂溶液中に含まれる溶剤を揮散させる工程を導入しても差し支えない。
続いて、工程1−3において、露光機(図示せず)による露光を行う。露光機には、フォトマスクと形成されるパターンとが1:1になるコンタクトアライナーや、ミラープロジェクションアライナー等を用いることができる。そして、ノズルの孔になる部分が選択的に残るように、ノズルに対応するパターンが形成されたフォトマスク32を介して、レジスト層31に紫外線33を照射する。なお、図2に示すレジスト層31は、ネガ型レジストなので、露光部分31’が現像液に対して不溶性となる。
次の工程1−4では、工程1−3で露光したレジスト層31を所定の現像液で現像し、未露光部分を除去して露光部分31’を選択的に残すことにより、レジストパターン34を形成する。ここで、現像液の種類は、レジスト層31に使用する感光性樹脂によって異なるが、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)やモノエタノールアミン等の水溶液、各種有機溶剤等が一般的に使用される。なお、感光性樹脂として、上記の環化イソプレンを主成分とするものを用いた場合には、キシレン含有溶剤やイソパラフィン系炭化水素等の溶剤が現像液として使用される。
また、現像後には、必要に応じ、残留現像液の置換や表面洗浄を目的として、所定のリンス液や水(例えば、純水やイオン交換水)でリンスすることも可能である。さらに、その後、母型30の表面に残った水分や溶媒を揮散させるための加熱や、スピンナーを使用した振り切り乾燥、真空チャンバーによる真空乾燥、大気中や窒素雰囲気中での自然放置を行うことも可能である。
このように、図2に示す第1工程により、レジストパターン34(レジスト層31の露光部分31’が選択的に残ったもの)が形成された母型30が完成するが、このレジストパターン34は、ノズル18(図1参照)に対応するパターンで形成されており、寸法精度の高いものとなっている。なお、このレジストパターン34は、図2に示すように、逆テーパー形状となっているが、この形状は、レジスト層31の形成材料や、露光及び現像時の条件により、適宜制御することができる。また、ノズル18(図1参照)以外の開口部を同時に形成する場合には、その開口部に対応するレジストパターンも同時に形成しておく。
図3は、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第2工程から第3工程までを示す図である。
図3に示すように、第2工程では、母型30に電極板を取り付け、薬液槽に投入し、電界メッキにより、母型30上であって、レジストパターン34の周囲に、Ni(ニッケル)を主成分とする厚さ約13μmの電鋳層35を形成する。そして、電鋳処理の終了後は、洗浄、乾燥等の後処理を行う。
ここで、電鋳層35の形成材料としては、純Ni(ニッケル)の他、例えばCo(コバルト)を10〜20%程度添加したNi(ニッケル)−Co(コバルト)合金等を用いることができる。なお、無電界メッキによって電鋳層35を形成することもできるが、電界メッキの方が成膜速度が速く、生産効率の点で有利である。
また、薬液としては、スルファミン酸ニッケルメッキ浴の場合は、スルファミン酸ニッケル・塩化ニッケル・ホウ酸・応力調整剤・ピット防止剤等の混合液を使用し、ワイズベルグニッケルメッキ浴の場合は、硫酸ニッケル・塩化ニッケル・硫酸コバルト・ホウ酸・蟻酸ニッケル・硫酸アンモニア・ホルムアルデヒド等の混合液を使用する。
次の第3工程では、レジストパターン34を除去するするとともに、電鋳層35と母型30とを剥離する。すなわち、工程3−1において、母型30上でレジストパターン34を除去する。ここで、レジストパターン34の除去には、アルカリ溶液や有機溶剤等を使用し、電鋳層35を母型30に密着させたままの状態で行う。
続く工程3−2では、レジストパターン34が除去された電鋳層35と母型30とを剥離する。これにより、ノズルに相当する微細な孔が形成された電鋳層35となる。なお、電鋳層35における母型30との剥離面は、清浄で活性な状態にあるため、その後の表面処理に有利なものとなっている。
図4は、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第4工程から第6工程までを示す図である。なお、図4に示す第4工程から第6工程は、本発明のノズルシートの表面処理方法における第1実施形態の第1工程から第3工程ともなっている。
また、図5は、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第7工程から第10工程までを示す図である。なお、図5に示す第7工程から第10工程は、本発明のノズルシートの表面処理方法における第1実施形態の第4工程から第7工程ともなっている。
図4に示すように、第1工程(図2参照)から第3工程(図3参照)の後、第4工程(ノズルシートの表面処理方法における第1工程)において、電鋳層35(ノズルシート)を受け台38上に載置する。そして、第5工程(表面処理方法における第2工程)で、感光性樹脂を充填してマスキング部材37とし、第6工程(表面処理方法における第3工程)で、マスキング部材37と受け台38とを剥離する。
また、図5に示すように、第7工程(表面処理方法における第4工程)において、マスキング部材37を露光し、第8工程(表面処理方法における第5工程)で現像して、電鋳層35(ノズルシート)を露出させるとともに、ノズルと対応する部分(ノズルの内部)にマスキング部37aを形成する。そして、第9工程(表面処理方法における第6工程)で、撥液性の表面処理層である撥液層36を形成し、第10工程(表面処理方法における第7工程)で、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去して、第1実施形態のノズルシートを製造(表面処理)する。
すなわち、図4に示す第4工程では、最初に、受け台38となるSUS(ステンレス)基板を用意する。この受け台38は、第3工程(図3参照)で母型30から剥離させた電鋳層35を載置するものであるが、電鋳層35の載置面は、鏡面研磨されており、離型性処理が施されている。そして、電鋳層35における母型30との剥離面側を受け台38上に載置する。なお、受け台38は、SUS(ステンレス)等の金属基板に限らず、シリコンウエハーやガラス板等を離型性処理したものを用いることも可能である。
そして、続く第5工程において、受け台38上であって、レジストパターン34(図3参照)の除去によって形成されたノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材37とする。すなわち、電鋳層35の上面側から液状のポジ型レジストの感光性樹脂(JSR(株)製 商品名「JSR9500G」)を充填し、乾燥させる。なお、この充填及び乾燥は、凹部を完全にマスキングするために複数回繰り返して行い、表面処理が不要な電鋳層35の上面にも塗布することにより、確実なマスキング部材37が形成されるようにする。
ここで、電鋳層35は、上記した通り、受け台38上に載置されているだけであり、しかも、受け台38の載置面には離型性処理が施されているので、電鋳層35と受け台38との間は、接しているだけでシール状態となっていない。そのため、ディスペンサーを用いて感光性樹脂を凹部に充填すると、液状の感光性樹脂が電鋳層35と受け台38との間に漏れ出し、電鋳層35を浮かせて、図5の第5工程に示すように、電鋳層35の上下両面を覆うマスキング部材37となる。なお、電鋳層35の下面側におけるマスキング部材37の厚さは、約2μmとなっている。
このように、第1実施形態のノズルシートの製造方法(表面処理方法)によれば、ノズルシートのノズルのような微細な孔(凹部)であっても、それが袋小路状態とならず、感光性樹脂を安定的に充填することができるので、確実なマスキング部材37とすることができる。
続いて、第6工程において、マスキング部材37と受け台38とを剥離する。これにより、ノズルに相当する部分の内部及び上下面がマスキング部材37で覆われた電鋳層35となる。なお、受け台38の載置面には離型性処理が施されているので、マスキング部材37の剥離は容易であり、剥離の際に、マスキング部材37の剥離面がダメージを受けることはない。
次に、図5に示す第7工程において、マスキング部材37における受け台38(図4参照)との剥離面を露光する。この露光は、露光機(図示せず)による全面露光であり、紫外線33を照射して行う。ここで、マスキング部材37は、ポジ型レジストの感光性樹脂なので、露光部分が現像によって除去できるようになる。そこで、露光の際には、電鋳層35の下面側に存在する厚さ約2μmのマスキング部材37を除去するために必要な最小現の露光量(約80mJ/cm)で露光する。
このように、マスキング部材37は、所定の露光量で全面的に露光されるが、マスキング部材37の内部に存在する電鋳層35は、露光の際のセルフマスクともなっている。そのため、電鋳層35がフォトマスクとなり、レジストパターン34(図3参照)の除去によって形成されたノズルに対応する凹部は、電鋳層35が存在する部分に比べ、深部まで露光されることとなる。
そして、第8工程において、マスキング部材37となっている感光性樹脂を現像することにより、受け台38(図4参照)との剥離面側の電鋳層35を露出させるとともに、ノズルと対応する部分に、マスキング部材37の選択的なマスキング部37aを形成する。すなわち、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)2.38%溶液(東京応化(株)製 商品名「NMD−3」)を現像液としてマスキング部材37を現像すると、電鋳層35の表面が露出する。
また、レジストパターン34(図3参照)の除去によって形成された凹部は、上記した通り、電鋳層35が存在する部分に比べて深部まで露光されているが、現像によって凹部内のマスキング部材37が除去されてしまうほどではない。そのため、ノズルに対応する凹部内のマスキング部材37は、依然としてマスキング機能を保持しており、電鋳層35の表面よりも少しだけ深くマスキング部材37が除去されたマスキング部37aとなる。
続く第9工程では、電鋳層35及びマスキング部材37のマスキング部37aにおける露光面側に、厚さ約0.1μmの撥液層36を形成する。この撥液層36の形成には、フッ素樹脂コーティング剤(日立化成(株)製 商品名「FH−2000シリーズ」)を用いているが、このフッ素樹脂コーティング剤は、溶媒もフッ素系のものであり、マスキング部材37を溶解させることはない。なお、フッ素樹脂コーティング剤に限らず、シリコーン樹脂コーティング剤等を使用することもできる。
そして、フッ素樹脂コーティング剤をスピンコートによって露光面側にコーティングし、室温で2時間放置した後、90℃で30分の熱処理を行って撥液層36を形成する。なお、コーティング方法は、スピンコートに限られるものではなく、ディップコート、メニスカスコート、ロールコート等、各種の方法でコーティングすることができる。
ここで、露光面側とは反対側の電鋳層35の上面は、マスキング部材37が形成されているため、必ずしもマスキングしなくて良い。なお、マスキングする場合であっても、電鋳層35の上面は、マスキングに際しての微細なパターニングを必要としないため、コーティング前に、電鋳層35の上面全体にマスキングテープを貼った状態としておき、撥液層36の形成後に除去すれば良い。
最後の第10工程では、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去した後、洗浄及び乾燥を行う。このマスキング部材37の除去は、シンナー(東京応化工業(株)製 商品名「OK73」)溶液中に浸漬して行えば良く、これにより、電鋳層35がノズルシート17となるとともに、ノズルシート17に選択的な撥液層36が形成されることとなる。
また、このようにして形成された撥液層36の耐久性の向上のため、200℃で1時間の追加熱処理を行っている。なお、この追加熱処理は、撥液層36に求めれる耐久性等の仕様に応じて適宜行えば良いが、これを行うことにより、撥液層36の長期耐久性が向上するようになる。
このように、第1実施形態のノズルシートの製造方法(ノズルシートの表面処理方法)は、受け台38に載置した電鋳層35の凹部に感光性樹脂を充填してマスキング部材37とし、その後、マスキング部材37を露光及び現像することにより、電鋳層35を露出させるとともに、ノズル18と対応する部分にマスキング部37aを形成するので、ノズル18の内部のみが確実にマスキングされる。そのため、ノズル18のエッジ部まで高精度に撥液層36を形成することができる。
特に、マスキング部37aは、電鋳層35の表面よりも少しだけ深くマスキング部材37が除去された状態となるが、その深さは、電鋳層35の厚さと比較してわずかな深さである。そのため、撥液層36は、ノズル18のエッジ部からわずかに内側の側壁の内部まで形成され、インク液滴の出口部において、ノズル18の円周全域に撥液層36が存在することとなる結果、インク液滴の吐出特性が一層安定する。
また、得られたノズルシート17は、厚さが約13μmで、約50mm×240mmのサイズのものであり、図1に示すプリンタヘッド10がA4サイズのラインヘッドである場合に適当な大きさであって、プリンタヘッド10に必要なノズル18はすべて、1つのノズルシート17に形成されている。
そして、各ノズル18の孔径は約17μm、隣り合うノズル18までのノズル間のピッチは約42.3μmであり、上記の通り、各ノズル18のエッジ部の内側まで撥液層36が高精度に形成されたノズルシート17となっている。なお、ノズル18のエッジ部の内側までフッ素樹脂の撥液層36が高精度に形成されたこのようなノズルシート17は、第1実施形態のノズルシートともなっている。
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に対して、図5に示す第9工程における撥液層36の形成材料を変更したものである。すなわち、第2実施形態における撥液層36の形成には、パーフロロ基含有トリアジンチオール誘導体を用いている。
そして、電鋳層35及びマスキング部材37のマスキング部37aにおける露光面側に、真空蒸着法によって厚さ約0.1μmの撥液層36を成膜し、その後、全面に紫外線を照射して撥液層36のキュアを行った。なお、真空蒸着法は、乾式成膜法の1つの分類であるPVD(Physical Vapor Deposition)法(物理気相成長法)の1種であるが、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(化学気相成長法)を用いることもできる。
このように、第2実施形態では、真空蒸着法によって撥液層36を成膜しているが、真空蒸着法のような乾式成膜法を用いた場合には、液状のコーティング剤を使用した場合に注意しなければならないマスキング部材37との相溶性等を考慮する必要がなく、しかも、薄い膜厚での膜厚コントロールが容易であるため、ノズル18のエッジ部における撥液層36をより高精度に形成することができる。
また、撥液層36を成膜した後は、第1実施形態と同様に、シンナー(東京応化工業(株)製 商品名「OK73」)溶液中に浸漬して、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去(図5に示す第10工程)する。そして、ノズルシート17に選択的な撥液層36を形成し、その後、200℃で1時間の追加熱処理を行うことにより、撥液層36の耐久性を一層向上させている。
なお、マスキング部37aは、ポジ型レジストの感光性樹脂であるので、撥液層36に紫外線を照射した際、同時にマスキング部37aにも照射され、マスキング部37aが後露光されることとなる。そのため、マスキング部37aは、第8工程と同様に、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)2.38%溶液(東京応化(株)製
商品名「NMD−3」)等を用いて除去することもできる。したがって、第2実施形態によれば、ノズルシート17の形成材料が耐有機溶剤性に劣る場合であっても、適用することができる。
また、ノズル18のエッジ部の内側までパーフロロ基含有トリアジンチオール誘導体の撥液層36が高精度に成膜されたノズルシート17は、第2実施形態のノズルシートともなっている。
(第3実施形態)
第3実施形態も、第1実施形態に対して、図5に示す第9工程における撥液層36の形成材料を変更したものである。すなわち、第3実施形態における撥液層36の形成には、Ni(ニッケル)と、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂とからなる複合メッキ(以下、単に「Ni−PTFE複合メッキ」という)を用いている。なお、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)ターゲットを用いたスパッタ法や、フルオロカーボン系ガスを用いたプラズマ重合法等によって撥液層36を形成することもできる。
そして、電鋳層35及びマスキング部材37のマスキング部37aにおける露光面側に、厚さ約2μmの撥液層36を形成する。ここで、Ni−PTFE複合メッキを用いた場合のように、撥液層36が比較的の厚くなるときは、ノズル18の孔径に悪影響を及ぼすことも考えられる。そこで、そのような場合には、撥液層36の形成による影響を考慮して、ノズル18の孔径がその分だけ大きくなるように、第1工程のレジストパターン34を形成しておく。
このようにして撥液層36を形成した後は、第1実施形態と同様にして、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去(図5に示す第10工程)する。また、その後、250℃で1時間の熱処理を行うことにより、撥液特性及び耐久性を向上させる。なお、ノズル18のエッジ部の内側までNi−PTFE複合メッキの撥液層36が高精度に形成されたノズルシート17は、第3実施形態のノズルシートともなっている。
(第4実施形態)
第4実施形態のノズルシートの製造方法は、図5に示す第9工程において、第1実施形態のように撥液層36を形成するのではなく、耐食性を有する表面処理層(以下、単に「耐食層」という)を形成する方法である。なお、この方法は、第4実施形態のノズルシートの表面処理方法ともなっている。
第4実施形態では、電鋳層35及びマスキング部材37のマスキング部37aにおける露光面側に、酸性浴を用いたAu(金)の電界メッキによる耐食メッキを施し、その後、第1実施形態と同様にして、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去(図5に示す第10工程)することにより、ノズルシート17に選択的な耐食層を形成している。
ここで、第4実施形態では、耐食層の形成材料として、Au(金)を使用しているが、他に、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)、Rh(ロジウム)、Pt(白金)、Ru(ルテニウム)、Os(オスミウム)等の貴金属を用いることもできる。また、これらの純金属だけでなく、例えば、Au(金)に対してNi(ニッケル)、Ag(銀)、In(インジウム)、Co(コバルト)等を0.1〜8%程度共析させた硬質金メッキや、Pd(パラジウム)とNi(ニッケル)の合金等のように、これらの貴金属を主成分とする貴金属合金を用いることもできる。
さらに、Ag(銀)合金の一部を用いることもできる。すなわち、貴金属の中でAg(銀)に関しては、耐食性がそれほど良くなく、経時安定性が良くないので、そのままでは十分な効果が得られない。しかしながら、Au(金)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)等の貴金属を約0.5〜1%程度以上含む合金とすることで、耐食性が向上して安定になり、使用することが可能となる。さらにまた、貴金属以外に、耐食性金属を用いることもできる。すなわち、Cr(クロム)やTi(チタン)等のように、表面に安定な不動態皮膜が形成されることによって良好な耐食性を有するものである。
また、Au(金)の電界メッキではなく、Au(金)の無電界メッキによって耐食層を形成することもできる。さらに、イオンプレーティング法、スパッタリング法、真空蒸着法といったPVD(Physical Vapor Deposition)法(物理気相成長法)等の各種の乾式成膜法を用いることもできる。
このように、第4実施形態では、ノズルシート17に選択的な耐食層を形成するが、この耐食層は、ノズル18の吐出特性を長期に安定させる等の目的で形成するものである。そして、この目的のためには、ノズル18の内部に耐食層が形成されていても問題ない。しかしながら、ノズル18の内部にも耐食層を形成すると、高価なAu(金)の使用量が増加してしまう。
また、すべてのノズル18の内部に均一に耐食層を形成することは困難であり、厚さにばらつきが生じてしまう。すると、それがノズル18の内径の相違となり、各ノズル18で吐出特性がばらつく原因となる。さらに、一部のノズル18では、内部に耐食層が形成されなかったり、形成不良で目詰まりが生じたりして、吐出が不調となる原因にもなってしまう。
しかし、第4実施形態の方法によって製造(表面処理)されたノズルシート17は、ノズル18の内部に耐食層が形成されることはなく、ノズル18のエッジ部の内側まで耐食層が高精度に形成されたものとなる。そのため、ノズル18の吐出特性に問題が生ずることはない。なお、ノズル18のエッジ部の内側まで耐食層が高精度に形成されたノズルシート17は、第4実施形態のノズルシートともなっている。
(第5実施形態)
図6は、第5実施形態のノズルシートの製造方法における第2工程から第3工程までを示す図である。
ここで、図6には、第5実施形態のノズルシートの製造方法における第1工程が示されていないが、第1工程は、第1実施形態の第1工程とまったく同様である。すなわち、図2に示すように、工程1−1において、母型30となる金属製基板を用意し、工程1−2において、母型30上に厚さ約15μmのレジスト層31を形成し、工程1−3において、露光機による露光を行い、工程1−4において、露光したレジスト層31を所定の現像液で現像し、未露光部分を除去することによって露光部分31’を選択的に残し、レジストパターン34を形成する。
そして、図6に示す第2工程において、第1実施形態と同様に、母型30上であって、レジストパターン34の周囲に、電鋳層35を形成する。すなわち、電界メッキにより、Ni(ニッケル)又はNi(ニッケル)を主成分とする厚さ約13μmの電鋳層35を形成し、その後、洗浄、乾燥等の後処理を行う。
次に、図6に示す第3工程において、レジストパターン34を除去するするとともに、電鋳層35と母型30とを剥離するが、第5実施形態は、第1実施形態と異なり、工程3−1において、レジストパターン34及び電鋳層35と母型30とを剥離する。そして、その後、工程3−2において、レジストパターン34を除去する。
すなわち、工程3−1において、レジストパターン34及び電鋳層35と母型30とを剥離する。これにより、ノズルに相当する部分の内部にレジストパターン34が残った電鋳層35となる。なお、電鋳層35における母型30との剥離面は、清浄で活性な状態にあるため、その後の表面処理に有利なものとなっている。
ここで、母型30を剥離する際に、レジストパターン34のすべてがノズルの内部に残らず、レジストパターン34の一部が母型30とともに除去されてしまう場合もある。しかしながら、レジストパターン34は、図6に示すように、母型30との剥離面側が小さい逆テーパー形状となっているため、剥離時に、レジストパターン34が母型30側に残ろうとしても、ノズル内から抜けにくくなっている。
また、母型30とレジストパターン34との密着力が極めて強力であり、レジストパターン34が母型30側に密着したまま残るような場合であっても、レジストパターン34の内部での凝集破壊となるため、レジストパターン34のすべてがそのままノズルから抜け落ちるようなことはない。
そして、続く工程3−2において、レジストパターン34を除去する。ここで、レジストパターン34の除去には、アルカリ溶液や有機溶剤等を使用する。これにより、ノズルに相当する微細な孔が形成された電鋳層35となる。
なお、第4工程以降は、第1実施形態とまったく同様である。すなわち、図4に示すように、第4工程において、電鋳層35を受け台38上に載置する。そして、第5工程で、感光性樹脂を充填してマスキング部材37とし、第6工程で、マスキング部材37と受け台38とを剥離する。
また、図5に示すように、第7工程において、マスキング部材37を露光し、第8工程で現像して、電鋳層35を露出させるとともに、ノズルと対応する部分にマスキング部37aを形成する。そして、第9工程で、撥液層36を形成し、第10工程で、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去することにより、選択的な撥液層36が形成されたノズルシート17を製造する。
(第6実施形態)
図7は、第6実施形態のノズルシートの製造方法における第4工程から第6工程までを示す図である。なお、図7に示す第4工程から第6工程は、本発明のノズルシートの表面処理方法における第5実施形態の第1工程から第3工程ともなっている。
ここで、図7には、第6実施形態のノズルシートの製造方法における第1工程から第3工程までが示されていないが、第1工程から第3工程までは、第1実施形態の第1工程から第3工程までとまったく同様である。すなわち、図2に示すように、第1工程において、母型30上に、ノズルに対応するレジストパターン34を形成する。また、図3に示すように、第2工程において、母型30上であって、レジストパターン34の周囲に、電鋳層35を形成し、第3工程において、レジストパターン34を除去するするとともに、電鋳層35と母型30とを剥離する。
次に、図7に示す第4工程において、電鋳層35を受け台38上に載置するが、第6実施形態は、第1実施形態と異なり、電鋳層35を中間フィルム39を介して載置する。すなわち、受け台38上に、少なくとも片面が離型性処理された厚さ50μmの可撓性の中間フィルム39(例えば、テフロン等の離型性材料からなるフィルム等)を載置し、この中間フィルム39の離型性処理された面上に、電鋳層35を載置する。
そして、第5工程で、レジストパターン34(図3参照)の除去によって形成されたノズルに対応する凹部に、ポジ型レジストの感光性樹脂(JSR(株)製 商品名「JSR9500G」)を充填する。すると、液状の感光性樹脂が電鋳層35と中間フィルム39との間に漏れ出し、電鋳層35を浮かせて、図7の第5工程に示すように、電鋳層35の上下両面を覆うマスキング部材37となる。なお、電鋳層35の下面側におけるマスキング部材37の厚さは、約2μmとなっている。
このように、第6実施形態のノズルシートの製造方法によれば、中間フィルム39上で感光性樹脂の充填を行うため、仮に、受け台38の載置面の平坦性が十分でない場合であっても、この可撓性の中間フィルム39の存在により、中間フィルム39上に漏れ出した感光性樹脂が電鋳層35の下面に追従するので、安定したマスキング部材37が形成される。
続いて、第6工程において、中間フィルム39と受け台38とを剥離するとともに、マスキング部材37と中間フィルム39とを剥離する。ここで、中間フィルム39は、受け台38上に載置されているだけなので、受け台38との剥離は容易である。また、中間フィルム39は、可撓性のフィルムなので、図7の第6工程に示すように、マスキング部材37に対して、曲げながら簡単に剥離させることができる。
このように、電鋳層35を受け台38上に、中間フィルム39を介して載置する第6実施形態は、中間フィルム39を介在させない第1実施形態と比較して、安定したマスキング部材37を形成することができる。また、剥離の際に、マスキング部材37に与える影響を軽減させることができる。
なお、第7工程以降は、第1実施形態とまったく同様である。すなわち、図5に示すように、第7工程において、マスキング部材37を露光し、第8工程で現像して、電鋳層35を露出させるとともに、ノズルと対応する部分にマスキング部37aを形成する。そして、第9工程で、撥液層36を形成し、第10工程で、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去することにより、選択的な撥液層36が形成されたノズルシート17を製造する。
以上、ノズルシートの製造方法、ノズルシートの表面処理方法、及びノズルシートにおける各実施形態について説明したが、各実施形態のノズルシートの製造方法によれば、ノズル18のエッジ部の内側まで高精度に撥液層36等が形成されたノズルシート17を製造することができる。また、各実施形態のノズルシートの表面処理方法によれば、ノズル18に悪影響を及ぼさずに、ノズルシート17に撥液層36等を形成することができる。さらに、各実施形態のノズルシートは、ノズル18のエッジ部の内側まで高精度に撥液層36等が形成されており、インク液滴の吐出特性を安定的に維持することができる。
ところで、各実施形態のような方法によって製造(表面処理)されたノズルシート17は、図1に示すように、ヘッドチップ14やヘッドフレーム16が貼り付けられて、プリンタヘッド10となるが、このプリンタヘッド10の製造に際して、ノズルシート17の取扱いが問題となる場合がある。
すなわち、シリアルヘッドのような比較的小さなプリンタヘッドを製造する場合には、あまり問題とならないが、ラインヘッドのような大きなプリンタヘッドを製造する場合には、ノズルシート17が薄くて幅広となる(例えば、A4サイズ用では、厚さが約13μmで、約50mm×240mmの大きさになる)ため、取扱いが難しくなり、プリンタヘッドの製造時におけるノズルシート17の折れ等が問題となるのである。
また、ヘッドチップ14やヘッドフレーム16の貼付けに際してノズルシート17を加熱すると、カールして平坦性が乱れる場合があり、ヘッドフレーム16との正確な貼付けが困難になることがある。特に、薄くて幅広のノズルシート17の片面のみに撥液層36や耐食層を形成すると、線膨張係数の違いや残留応力等によってカールの影響が大きくなる。さらに、電鋳時の膜応力により、母型30から剥離した状態での寸法が安定せず、貼り付けた後の寸法精度に悪影響が出ることもある。
このように、ノズルシート17は、プリンタヘッドの製造上のネックとなっており、特に、薄くて幅広のノズルシート17の取扱いが問題となる。
そこで次に、薄くて幅広のノズルシート17を使用する場合であっても、工程的に簡単なプリンタヘッドの製造方法、及び高精度のノズルシート17を備えるプリンタヘッドについて説明する。
(第1実施形態)
図8は、第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第2工程から第3工程までを示す図である。
また、図9は、第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第4工程から第6工程までを示す図である。
さらに、図10は、第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第7工程から第10工程までを示す図である。
ここで、図8には、第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第1工程が示されていないが、第1工程は、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第1工程とまったく同様である。すなわち、図2に示すように、工程1−1において、母型30となる金属製基板を用意し、工程1−2において、母型30上に厚さ約15μmのレジスト層31を形成し、工程1−3において、露光機による露光を行い、工程1−4において、露光したレジスト層31を所定の現像液で現像し、未露光部分を除去することによって露光部分31’を選択的に残し、レジストパターン34を形成する。
そして、図8に示す第2工程において、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第2工程と同様にして、母型30上であって、レジストパターン34の周囲に、電鋳層35を形成する。すなわち、電界メッキにより、Ni(ニッケル)又はNi(ニッケル)を主成分とする厚さ約13μmの電鋳層35を形成し、その後、洗浄、乾燥等の後処理を行う。
次に、第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法は、図8に示す第3工程において、レジストパターン34を除去するするとともに、電鋳層35上に、セラミックス製のヘッドフレーム16(本発明における支持部材に相当するもの)を貼り合わせ、電鋳層35と母型30とを剥離する。
そして、図9に示す第4工程で、電鋳層35を受け台38上に載置し、第5工程で、感光性樹脂を充填してマスキング部材37とし、第6工程で、マスキング部材37と受け台38とを剥離する。また、図10に示す第7工程で、マスキング部材37を露光し、第8工程で、マスキング部材37を現像して電鋳層35を露出させるとともに、マスキング部37aを形成し、第9工程で、電鋳層35及びマスキング部37aに撥液性の表面処理層である撥液層36を形成し、第10工程で、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去し、その後、ヘッドチップ14(図1参照)等を貼り付けて、第1実施形態のプリンタヘッドを製造する。
すなわち、図8に示す第3工程の工程3−1において、母型30上でレジストパターン34を除去する。ここで、レジストパターン34の除去には、アルカリ溶液や有機溶剤等を使用し、電鋳層35を母型30に密着させたままの状態で行う。
次の工程3−2では、電鋳層35上に、セラミックス製のヘッドフレーム16を貼り合わせる。ここで、ヘッドフレーム16は、図1に示すように、ノズルシート17を支持し、ヘッドチップ14を内部に配置するための収容空間が形成されたものである。なお、ノズルシート17は、厚さが約13μmで、孔径が約17μmのノズル18が約42.3μmのピッチで320個連続して配列されたノズル群(ノズルブロック)が各色あたり16ブロックあり、それらがカラー4色の各色に対応して4列分(合計64ブロック)形成された、A4フルライン用のものとする。
工程3−2におけるヘッドフレーム16の貼合せは、図8に示すように、母型30に貼り付いた状態のままの電鋳層35に対し、接着剤を用いて、約150℃の高温状態で、上側からヘッドフレーム16を貼り付けることによって行う。このように、第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法は、母型30付きの電鋳層35にヘッドフレーム16を貼り付けるので、薄くて幅広であるために取扱いが難しい電鋳層35であっても、貼合せの際に折れたりカールしたりすることなく、平坦性が乱れない。そのため、寸法精度の高い状態で、正確にヘッドフレーム16を貼り合わせることができる。
また、母型30及び電鋳層35の線膨張係数は、ヘッドフレーム16の線膨張係数よりも大きく、第3工程の工程3−2は、全工程の最高温度に設定されている。そのため、約150℃の高温状態で、熱硬化型シート接着剤(例えば、エポキシ系のシート接着剤)を使用して貼合せを行うと、接着剤の硬化時には、電鋳層35及びヘッドフレーム16がそれぞれの線膨張係数に応じて伸びている。ただし、第3工程の段階では、Ni(ニッケル)の電鋳層35は、SUS(ステンレス)の母型30の線膨張係数にしたがう。
そして、室温に戻ると、線膨張係数に応じて伸びていたものも元に戻るが、伸びた状態で接着剤が硬化しているので、母型30及び電鋳層35の方がヘッドフレーム16よりも大きく収縮しようとする。そのため、十分な剛性を有するヘッドフレーム16によって母型30及び電鋳層35にテンションが付加されることとなる結果、電鋳層35の平坦性が維持される。
続く工程3−3では、レジストパターン34が除去された電鋳層35と母型30とを剥離する。これにより、ノズルに相当する微細な孔が形成された電鋳層35となる。また、電鋳層35は、ヘッドフレーム16に固着されているので、母型30が取り除かれた後も、電鋳層35には、ヘッドフレーム16によってテンションが付加される。そのため、電鋳層35が変形等することはなく、高い寸法精度が維持される。なお、電鋳層35における母型30との剥離面は、清浄で活性な状態にあるため、その後の表面処理に有利なものとなっている。
図9に示す次の第4工程においては、ヘッドフレーム16が貼り付けられた電鋳層35を受け台38上に載置する。すなわち、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第4工程と同様に、受け台38となるSUS(ステンレス)基板を用意し、電鋳層35における母型30との剥離面側を受け台38上に載置する。なお、受け台38の載置面は、鏡面研磨されており、離型性処理が施されている。
そして、続く第5工程において、受け台38上であって、レジストパターン34(図8参照)の除去によって形成されたノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材37とする。すなわち、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第5工程と同様に、液状のポジ型レジストの感光性樹脂(JSR(株)製 商品名「JSR9500G」)を充填して乾燥させ、電鋳層35の上面までマスキング部材37が形成されるようにする。
また、液状の感光性樹脂は、電鋳層35と受け台38との間に漏れ出し、電鋳層35を浮かせて、図9の第5工程に示すように、電鋳層35の上下両面を覆うマスキング部材37となる。なお、電鋳層35の下面側におけるマスキング部材37の厚さは、約2μmとなっている。
続いて、第6工程において、マスキング部材37と受け台38とを剥離する。これにより、ノズルに相当する部分の内部及び上下面がマスキング部材37で覆われた電鋳層35となる。なお、受け台38の載置面には離型性処理が施されているので、マスキング部材37の剥離は容易であり、剥離の際に、マスキング部材37の剥離面がダメージを受けることはない。
次に、図10に示す第7工程において、マスキング部材37における受け台38(図9参照)との剥離面を露光する。すなわち、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第7工程と同様に、紫外線33を照射して全面露光する。露光の際は、電鋳層35の下面側に存在する厚さ約2μmのマスキング部材37(ポジ型レジストの感光性樹脂)を除去するために必要な最小現の露光量(約80mJ/cm)で露光する。なお、電鋳層35がフォトマスクとなるので、レジストパターン34(図8参照)の除去によって形成されたノズルに対応する凹部は、電鋳層35が存在する部分に比べ、深部まで露光されることとなる。
そして、第8工程において、マスキング部材37となっている感光性樹脂を現像することにより、受け台38(図8参照)との剥離面側の電鋳層35を露出させるとともに、ノズルと対応する部分に、マスキング部材37の選択的なマスキング部37aを形成する。すなわち、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第7工程と同様に、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)2.38%溶液(東京応化(株)製
商品名「NMD−3」)を現像液としてマスキング部材37を現像する。なお、マスキング部37aは、露光の深さに応じて、電鋳層35の表面よりも少しだけ深くマスキング部材37が除去されることとなる。
続く第9工程では、電鋳層35及びマスキング部材37のマスキング部37aにおける露光面側に、厚さ約0.1μmの撥液層36を形成する。この撥液層36の形成には、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第9工程と同様に、フッ素樹脂コーティング剤(日立化成(株)製 商品名「FH−2000シリーズ」)を用いている。そして、スピンコートによってコーティングを行い、室温で2時間放置後、90℃で30分の熱処理を行って撥液層36を形成する。
次の第10工程では、第1実施形態のノズルシートの製造方法における第10工程と同様にして、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去し、その後、洗浄及び乾燥を行う。これにより、電鋳層35がノズルシート17となるとともに、ノズルシート17に選択的な撥液層36が形成されることとなる。また、このようにして形成した撥液層36の耐久性の向上のため、200℃で1時間の追加熱処理を行っている。
なお、ノズルシートの製造方法における第2実施形態のように、パーフロロ基含有トリアジンチオール誘導体の撥液層36を成膜したり、その第3実施形態のように、Ni−PTFE複合メッキの撥液層36を形成したり、その第4実施形態のように、耐食層を形成することもできる。
このようにしてヘッドフレーム16を固着したノズルシート17(電鋳層35)とした後は、ノズルシート17上(ノズル18を避けた電鋳層35上)に、ヘッドチップ14を貼り付ける。すなわち、図1に示すように、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように精密に位置決めし、バリア層15を介してヘッドチップ14を貼り付けて、プリンタヘッド10とする。
ここで、ヘッドチップ14の貼付けは、バリア層15を熱硬化させて行うため、貼付け温度は、バリア層15を構成する感光性樹脂に応じて設定する。ただし、上記した電鋳層35とヘッドフレーム16との貼付け温度よりも低い温度(例えば、約105℃)としておく。これは、電鋳層35とヘッドフレーム16との貼付けを製造工程中の最高温度とすることで、貼付け後の電鋳層35(ノズルシート17)に対し、常にテンションを付加するためである。
すなわち、電鋳層35とヘッドフレーム16との貼付け温度である約150℃よりも低い温度(約105℃)としておけば、電鋳層35(ノズルシート17)が熱膨張しても、ヘッドフレーム16によるテンションが有効に作用する。そのため、電鋳層35(ノズルシート17)にシワ等が発生することがなく、平坦性が維持されるのである。
このように、第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法によれば、薄くて幅広であるために取扱いが難しい電鋳層35であっても、簡単にヘッドフレーム16を貼り合わせることができる。また、貼合せの際に、電鋳層35が折れたりカールしたりすることがなく、平坦性が乱れない。そのため、ラインヘッドのような大きなプリンタヘッドであっても、容易に製造することができる。
さらに、受け台38に載置した電鋳層35の凹部に感光性樹脂を充填してマスキング部材37とし、その後、マスキング部材37を露光及び現像することにより、電鋳層35を露出させるとともに、ノズル18と対応する部分にマスキング部37aを形成するので、ノズル18の内部のみが確実にマスキングされる。そのため、ノズル18のエッジ部まで高精度に撥液層36が形成されたプリンタヘッドを製造することができる。
そして、第1実施形態の方法によって製造されたプリンタヘッドにおけるノズルシート17は、撥液層36がノズル18のエッジ部からわずかに内側の側壁の内部まで形成されており、インク液滴の出口部において、ノズル18の円周全域に撥液層36が存在することとなるので、安定したインク液滴の吐出特性を得ることができる。そのため、プリンタヘッドの美麗な印字・印画能力が継続的に発揮される。なお、ノズル18のエッジ部の内側まで撥液層36が高精度に形成されたノズルシート17を備えるプリンタヘッドは、第1実施形態のプリンタヘッドともなっている。
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第2工程から第3工程までを示す図である。
ここで、図11には、第2実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第1工程が示されていないが、第1工程は、第1実施形態の第1工程とまったく同様である。すなわち、図2(ノズルシートの製造方法の第1工程)に示すように、工程1−1において、母型30となる金属製基板を用意し、工程1−2において、母型30上に厚さ約15μmのレジスト層31を形成し、工程1−3において、露光機による露光を行い、工程1−4において、露光したレジスト層31を所定の現像液で現像し、未露光部分を除去することによって露光部分31’を選択的に残し、レジストパターン34を形成する。
そして、図11に示す第2工程において、第1実施形態と同様に、母型30上であって、レジストパターン34の周囲に、電鋳層35を形成する。すなわち、電界メッキにより、Ni(ニッケル)又はNi(ニッケル)を主成分とする厚さ約13μmの電鋳層35を形成し、その後、洗浄、乾燥等の後処理を行う。
次に、図11に示す第3工程において、レジストパターン34を除去するするとともに、電鋳層35上にヘッドフレーム16を貼り合わせ、電鋳層35と母型30とを剥離するが、第2実施形態は、第1実施形態と異なり、工程3−1において、電鋳層35上にヘッドフレーム16を貼り合わせる。そして、工程3−2において、レジストパターン34を除去し、その後、電鋳層35と母型30とを剥離する。
すなわち、工程3−1において、電鋳層35上に、セラミックス製のヘッドフレーム16を貼り合わせる。このヘッドフレーム16の貼合せは、約150℃の高温状態で、熱硬化型シート接着剤を使用して行う。これにより、十分な剛性を有するヘッドフレーム16によって母型30及び電鋳層35にテンションが付加され、電鋳層35の平坦性が維持される。
そして、工程3−2において、レジストパターン34及び電鋳層35と母型30とを剥離する。これにより、ノズルに相当する部分の内部にレジストパターン34が残った電鋳層35となる。また、電鋳層35は、ヘッドフレーム16に固着されているので、母型30が取り除かれた後も、電鋳層35には、ヘッドフレーム16によってテンションが付加される。そのため、電鋳層35が変形等することはなく、高い寸法精度が維持される。なお、電鋳層35における母型30との剥離面は、清浄で活性な状態にあるため、その後の表面処理に有利なものとなっている。
なお、母型30を剥離する際に、レジストパターン34のすべてがノズルの内部に残らず、レジストパターン34の一部が母型30とともに除去されてしまう場合もあるが、レジストパターン34は、図11に示すように、母型30との剥離面側が小さい逆テーパー形状となっているため、ノズル内から抜けにくくなっており、レジストパターン34のすべてがそのままノズルから抜け落ちるようなことはない。
そして、続く工程3−3において、レジストパターン34を除去する。ここで、レジストパターン34の除去には、アルカリ溶液や有機溶剤等を使用する。これにより、ヘッドフレーム16に固着され、ノズルに相当する微細な孔が形成された電鋳層35となる。
なお、第4工程以降は、第1実施形態とまったく同様である。すなわち、図9に示すように、第4工程において、電鋳層35を受け台38上に載置する。そして、第5工程で、感光性樹脂を充填してマスキング部材37とし、第6工程で、マスキング部材37と受け台38とを剥離する。
また、図10に示すように、第7工程において、マスキング部材37を露光し、第8工程で現像して、電鋳層35を露出させるとともに、ノズルと対応する部分にマスキング部37aを形成する。さらに、第9工程で、撥液層36を形成し、第10工程で、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去することにより、選択的な撥液層36を形成し、ヘッドフレーム16を固着したノズルシート17(電鋳層35)とする。
そして、第1実施形態と同様にして、ノズルシート17上(ノズル18を避けた電鋳層35上)に、ヘッドチップ14を貼り付ける。すなわち、図1に示すように、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように精密に位置決めし、バリア層15を介してヘッドチップ14を貼り付けて、プリンタヘッド10とする。
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第4工程から第6工程までを示す図である。
ここで、図12には、第3実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第1工程から第3工程までが示されていないが、第1工程から第3工程までは、第1実施形態の第1工程から第3工程までとまったく同様である。すなわち、図2(ノズルシートの製造方法の第1工程)に示すように、第1工程において、母型30上に、ノズルに対応するレジストパターン34を形成する。また、図8に示すように、第2工程において、母型30上であって、レジストパターン34の周囲に、電鋳層35を形成し、第3工程において、レジストパターン34を除去するするとともに、電鋳層35上にヘッドフレーム16を貼り合わせ、電鋳層35と母型30とを剥離する。
次に、図12に示す第4工程において、ヘッドフレーム16が貼り付けられた電鋳層35を受け台38上に載置するが、第3実施形態は、第1実施形態と異なり、電鋳層35を中間フィルム39を介して載置する。すなわち、受け台38上に、少なくとも片面が離型性処理された厚さ50μmの可撓性の中間フィルム39(例えば、テフロン等の離型性材料からなるフィルム等)を載置し、この中間フィルム39の離型性処理された面上に、電鋳層35を載置する。
そして、第5工程で、レジストパターン34(図8参照)の除去によって形成されたノズルに対応する凹部に、ポジ型レジストの感光性樹脂(JSR(株)製 商品名「JSR9500G」)を充填する。すると、液状の感光性樹脂が電鋳層35と中間フィルム39との間に漏れ出し、電鋳層35を浮かせて、図12の第5工程に示すように、電鋳層35の上下両面を覆うマスキング部材37となる。なお、電鋳層35の下面側におけるマスキング部材37の厚さは、約2μmとなっている。
このように、第3実施形態のプリンタヘッドの製造方法によれば、中間フィルム39上で感光性樹脂の充填を行うため、仮に、受け台38の載置面の平坦性が十分でない場合であっても、この可撓性の中間フィルム39の存在により、中間フィルム39上に漏れ出した感光性樹脂が電鋳層35の下面に追従するので、安定したマスキング部材37が形成される。
続いて、第6工程において、中間フィルム39と受け台38とを剥離するとともに、マスキング部材37と中間フィルム39とを剥離する。ここで、中間フィルム39は、受け台38上に載置されているだけなので、受け台38との剥離は容易である。また、中間フィルム39は、可撓性のフィルムなので、図12の第6工程に示すように、マスキング部材37に対して、曲げながら簡単に剥離させることができる。
このように、電鋳層35を受け台38上に、中間フィルム39を介して載置する第3実施形態は、中間フィルム39を介在させない第1実施形態と比較して、安定したマスキング部材37を形成することができる。また、剥離の際に、マスキング部材37に与える影響を軽減させることができる。
なお、第7工程以降は、第1実施形態とまったく同様である。すなわち、図10に示すように、第7工程において、マスキング部材37を露光し、第8工程で現像して、電鋳層35を露出させるとともに、ノズルと対応する部分にマスキング部37aを形成する。さらに、第9工程で、撥液層36を形成し、第10工程で、マスキング部材37及びマスキング部37aに形成された撥液層36を除去することにより、選択的な撥液層36を形成し、ヘッドフレーム16を固着したノズルシート17(電鋳層35)とする。
そして、第1実施形態と同様にして、ノズルシート17上(ノズル18を避けた電鋳層35上)に、ヘッドチップ14を貼り付ける。すなわち、図1に示すように、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように精密に位置決めし、バリア層15を介してヘッドチップ14を貼り付けて、プリンタヘッド10とする。
以上、プリンタヘッドの製造方法、及びプリンタヘッドにおける各実施形態について説明したが、各実施形態のプリンタヘッドの製造方法によれば、ノズル18のエッジ部の内側まで高精度に撥液層36等が形成されたノズルシート17を備えるプリンタヘッド10を製造することができる。また、実施形態のプリンタヘッドは、ノズル18のエッジ部の内側まで高精度に撥液層36等が形成されており、インク液滴の吐出特性を安定的に維持することができるので、美麗な印字・印画能力が継続的に発揮される。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、以下のような種々の変形等が可能である。すなわち、
(1)上記の各実施形態では、インクジェットプリンタのノズルシート又はプリンタヘッドを例示しているが、これに限られるものではない。例えば、ノズルシートに撥液層を形成した場合には、インクに限らず、各種の液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて撥液性を発揮させることができる。
(2)上記の各実施形態では、レジスト層の材料樹脂として、ネガ型レジストの感光性樹脂を使用しているが、ポジ型レジストの感光性樹脂を使用することもできる。なお、ポジ型レジストの感光性樹脂を使用した場合には、その除去の際に、除去残りが少なくなるという利点がある。
(3)上記の各実施形態では、Ni(ニッケル)を主成分とする電鋳層でノズルシートを形成しているが、これに限られるものではない。例えば、ポリイミド等の樹脂でノズルシートを形成し、エキシマレーザー等によってノズルを加工したものであっても良い。
(4)上記の各実施形態では、ノズルシート単体状態のものや、ノズルシートにヘッドフレームを貼り付けた状態のものに対して撥液層等を形成しているが、これに限られるものではない。すなわち、ノズルシートの表面が露出していれば、他の部材が貼り付けられた状態のもの等であっても、撥液層等を形成することができる。
本発明のノズルシートの製造方法、ノズルシートの表面処理方法、ノズルシート、液体吐出ヘッドの製造方法、及び液体吐出ヘッドは、インクジェットプリンタに適用して特に好適なものであるが、染め物に対して染料を吐出する液体吐出ヘッド等に適用することもできる。また、生体試料を検出するためのDNA含有溶液を吐出するための液体吐出ヘッド等に適用することも可能である。
プリンタヘッドを部分的に示す斜視図及び断面図である。 第1実施形態のノズルシートの製造方法における第1工程を示す図である。 第1実施形態のノズルシートの製造方法における第2工程から第3工程までを示す図である。 第1実施形態のノズルシートの製造方法における第4工程から第6工程までを示す図である。 第1実施形態のノズルシートの製造方法における第7工程から第10工程までを示す図である。 第5実施形態のノズルシートの製造方法における第2工程から第3工程までを示す図である。 第6実施形態のノズルシートの製造方法における第4工程から第6工程までを示す図である。 第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第2工程から第3工程までを示す図である。 第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第4工程から第6工程までを示す図である 第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第7工程から第10工程までを示す図である。 第2実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第2工程から第3工程までを示す図である。 第3実施形態のプリンタヘッドの製造方法における第4工程から第6工程までを示す図である。 ラインヘッドを示す分解斜視図である。 ラインヘッドにおけるヘッドチップ及びノズルシートを示す部分斜視図である。
符号の説明
10 プリンタヘッド(液体吐出ヘッド)
11 ラインヘッド(液体吐出ヘッド)
12 インク液室(液室)
13 発熱抵抗体(エネルギー発生素子)
14 ヘッドチップ
15 バリア層(液室形成部材)
16 ヘッドフレーム(支持部材)
17 ノズルシート
18 ノズル
30 母型
34 レジストパターン
35 電鋳層
36 撥液層(表面処理層)
37 マスキング部材
37a マスキング部
38 受け台
39 中間フィルム

Claims (28)

  1. 液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートの製造方法であって、
    母型上に、少なくとも前記ノズルを含む開口部に対応するレジストパターンを形成する第1工程と、
    前記母型上であって、前記レジストパターンの周囲に、電鋳層を形成する第2工程と、
    前記レジストパターンを除去するするとともに、前記電鋳層と前記母型とを剥離する第3工程と、
    前記電鋳層を受け台上に載置する第4工程と、
    前記受け台上であって、前記レジストパターンの除去によって形成された少なくとも前記ノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第5工程と、
    前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第6工程と、
    前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第7工程と、
    前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記電鋳層を露出させるとともに、少なくとも前記ノズルと対応する部分に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第8工程と、
    前記電鋳層及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第9工程と、
    前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第10工程と
    を含む
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  2. 請求項1に記載のノズルシートの製造方法において、
    前記第3工程は、前記母型上で前記レジストパターンを除去し、その後、前記電鋳層と前記母型とを剥離する
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  3. 請求項1に記載のノズルシートの製造方法において、
    前記第3工程は、前記レジストパターン及び前記電鋳層と前記母型とを剥離し、その後、前記レジストパターンを除去する
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  4. 請求項1に記載のノズルシートの製造方法において、
    前記受け台における前記電鋳層の載置面は、離型性処理がなされている
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  5. 請求項1に記載のノズルシートの製造方法において、
    前記第4工程は、前記電鋳層を前記受け台上に、中間フィルムを介して載置し、
    前記第6工程は、前記中間フィルムと前記受け台とを剥離するとともに、前記マスキング部材と前記中間フィルムとを剥離する
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  6. 請求項1に記載のノズルシートの製造方法において、
    前記表面処理層は、撥液性を有する
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  7. 請求項1に記載のノズルシートの製造方法において、
    前記表面処理層は、耐食性を有する
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  8. 請求項1に記載のノズルシートの製造方法において、
    前記表面処理層は、前記マスキング部材を溶解させない材料によって形成される
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  9. 請求項1に記載のノズルシートの製造方法において、
    前記表面処理層は、乾式成膜法によって形成される
    ことを特徴とするノズルシートの製造方法。
  10. 液滴を吐出するためのノズルが形成されるように、母型上に電鋳処理を行って作製したノズルシートの前記母型側の表面における少なくとも前記ノズルの周囲を含む選択的な部位に、表面処理層を形成するノズルシートの表面処理方法であって、
    前記ノズルシートを受け台上に載置する第1工程と、
    前記受け台上であって、前記ノズルの内部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第2工程と、
    前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第3工程と、
    前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第4工程と、
    前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記ノズルシートを露出させるとともに、少なくとも前記ノズルの内部に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第5工程と、
    前記ノズルシート及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第6工程と、
    前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第7工程と
    を含む
    ことを特徴とするノズルシートの表面処理方法。
  11. 請求項10に記載のノズルシートの表面処理方法において、
    前記受け台における前記ノズルシートの載置面は、離型性処理がなされている
    ことを特徴とするノズルシートの表面処理方法。
  12. 請求項10に記載のノズルシートの表面処理方法において、
    前記第1工程は、前記ノズルシートを前記受け台上に、中間フィルムを介して載置し、
    前記第3工程は、前記中間フィルムと前記受け台とを剥離するとともに、前記マスキング部材と前記中間フィルムとを剥離する
    ことを特徴とするノズルシートの表面処理方法。
  13. 請求項10に記載のノズルシートの表面処理方法において、
    前記表面処理層は、撥液性を有する
    ことを特徴とするノズルシートの表面処理方法。
  14. 請求項10に記載のノズルシートの表面処理方法において、
    前記表面処理層は、耐食性を有する
    ことを特徴とするノズルシートの表面処理方法。
  15. 請求項10に記載のノズルシートの表面処理方法において、
    前記表面処理層は、前記マスキング部材を溶解させない材料によって形成される
    ことを特徴とするノズルシートの表面処理方法。
  16. 請求項10に記載のノズルシートの表面処理方法において、
    前記表面処理層は、乾式成膜法によって形成される
    ことを特徴とするノズルシートの表面処理方法。
  17. 液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートであって、
    母型上に、少なくとも前記ノズルを含む開口部に対応するレジストパターンを形成する第1工程と、
    前記母型上であって、前記レジストパターンの周囲に、電鋳層を形成する第2工程と、
    前記レジストパターンを除去するするとともに、前記電鋳層と前記母型とを剥離する第3工程と、
    前記電鋳層を受け台上に載置する第4工程と、
    前記受け台上であって、前記レジストパターンの除去によって形成された少なくとも前記ノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第5工程と、
    前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第6工程と、
    前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第7工程と、
    前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記電鋳層を露出させるとともに、少なくとも前記ノズルに対応する部分に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第8工程と、
    前記電鋳層及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第9工程と、
    前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第10工程と
    を含む工程により作製されたものである
    ことを特徴とするノズルシート。
  18. 請求項17に記載のノズルシートにおいて、
    前記表面処理層は、撥液性を有する
    ことを特徴とするノズルシート。
  19. 請求項17に記載のノズルシートにおいて、
    前記表面処理層は、耐食性を有する
    ことを特徴とするノズルシート。
  20. 請求項17に記載のノズルシートにおいて、
    前記表面処理層は、前記マスキング部材を溶解させない材料によって形成されている
    ことを特徴とするノズルシート。
  21. 請求項17に記載のノズルシートにおいて、
    前記表面処理層は、乾式成膜法によって形成されている
    ことを特徴とするノズルシート。
  22. 複数のエネルギー発生素子を配列したヘッドチップと、
    液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートと、
    前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子の形成面と前記ノズルシートとの間に積層され、各前記エネルギー発生素子と各前記ノズルとの間に、液室を形成するための液室形成部材と
    を備え、
    前記エネルギー発生素子により、前記液室内の液体を前記ノズルから液滴として吐出する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    母型上に、少なくとも前記ノズルを含む開口部に対応するレジストパターンを形成する第1工程と、
    前記母型上であって、前記レジストパターンの周囲に、電鋳層を形成する第2工程と、
    前記レジストパターンを除去するするとともに、前記電鋳層上に、前記ノズルシートを支持し、前記ヘッドチップを内部に配置するための収容空間が形成された支持部材を貼り合わせて、前記電鋳層と前記母型とを剥離する第3工程と、
    前記電鋳層を受け台上に載置する第4工程と、
    前記受け台上であって、前記レジストパターンの除去によって形成された少なくとも前記ノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第5工程と、
    前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第6工程と、
    前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第7工程と、
    前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記電鋳層を露出させるとともに、少なくとも前記ノズルに対応する部分に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第8工程と、
    前記電鋳層及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第9工程と、
    前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第10工程と
    を含む
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  23. 請求項22に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記第3工程は、前記母型上で前記レジストパターンを除去した後、前記電鋳層上に前記支持部材を貼り合わせ、その後、前記電鋳層と前記母型とを剥離する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  24. 請求項22に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記第3工程は、前記電鋳層上に前記支持部材を貼り合わせた後、前記レジストパターン及び前記電鋳層と前記母型とを剥離し、その後、前記レジストパターンを除去する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  25. 請求項22に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記第4工程は、前記電鋳層を前記受け台上に、中間フィルムを介して載置し、
    前記第6工程は、前記中間フィルムと前記受け台とを剥離するとともに、前記マスキング部材と前記中間フィルムとを剥離する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  26. 請求項22に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記ノズルシートの前記電鋳層上に、前記液室形成部材を積層する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  27. 複数のエネルギー発生素子を配列したヘッドチップと、
    液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートと、
    前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子の形成面と前記ノズルシートとの間に積層され、各前記エネルギー発生素子と各前記ノズルとの間に、液室を形成するための液室形成部材と
    を備え、
    前記エネルギー発生素子により、前記液室内の液体を前記ノズルから液滴として吐出する液体吐出ヘッドであって、
    母型上に、少なくとも前記ノズルを含む開口部に対応するレジストパターンを形成する第1工程と、
    前記母型上であって、前記レジストパターンの周囲に、電鋳層を形成する第2工程と、
    前記レジストパターンを除去するするとともに、前記電鋳層上に、前記ノズルシートを支持し、前記ヘッドチップを内部に配置するための収容空間が形成された支持部材を貼り合わせて、前記電鋳層と前記母型とを剥離する第3工程と、
    前記電鋳層を受け台上に載置する第4工程と、
    前記受け台上であって、前記レジストパターンの除去によって形成された少なくとも前記ノズルに対応する凹部に、感光性樹脂を充填してマスキング部材とする第5工程と、
    前記マスキング部材と前記受け台とを剥離する第6工程と、
    前記マスキング部材における前記受け台との剥離面を露光する第7工程と、
    前記マスキング部材となっている感光性樹脂を現像することにより、前記受け台との剥離面側の前記電鋳層を露出させるとともに、少なくとも前記ノズルに対応する部分に、前記マスキング部材の選択的なマスキング部を形成する第8工程と、
    前記電鋳層及び前記マスキング部における露光面側に、表面処理層を形成する第9工程と、
    前記マスキング部材及び前記マスキング部に形成された前記表面処理層を除去する第10工程と
    を含む工程により作製されたものである
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  28. 請求項27に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記ノズルシートの前記電鋳層上に、前記液室形成部材が積層されている
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
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