JP2006169653A - バインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いてなる不織布 - Google Patents
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Abstract
【課題】 操業性ならびに接着加工性に優れたバインダー繊維用樹脂組成物、およびこれを用いてなる優れた耐熱性を有する不織布を提供する。
【解決手段】 テレフタル酸およびイソフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを主たるジオール成分とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物において、イソフタル酸の共重合量が全酸成分に対して5〜25mol%であり、樹脂組成物の全質量に対して0.01〜2.0質量%の結晶核剤を含有し、示差走査型熱量計で測定した昇温時における結晶化発熱量が5〜40J/g、ガラス転移温度が40〜70℃、融点が130〜170℃であることを特徴とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いてなる不織布。
【選択図】 なし
【解決手段】 テレフタル酸およびイソフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを主たるジオール成分とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物において、イソフタル酸の共重合量が全酸成分に対して5〜25mol%であり、樹脂組成物の全質量に対して0.01〜2.0質量%の結晶核剤を含有し、示差走査型熱量計で測定した昇温時における結晶化発熱量が5〜40J/g、ガラス転移温度が40〜70℃、融点が130〜170℃であることを特徴とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いてなる不織布。
【選択図】 なし
Description
本発明は、適度なガラス転移温度と結晶性を有することにより、ポリエステル樹脂製造時および紡糸時における操業性に優れ、かつ耐熱性が良好であるバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いてなる不織布に関するものである。
近年、ルーフィング資材、自動車内装材、カーペットの基布等に用いる不織布、枕やマットレス等の寝装用品の詰物、キルティング用の中入れ綿等の繊維構造体において、構成繊維(主体繊維という)相互間を接着する目的でホットメルト型バインダー繊維が広く使用されている。
この場合、主体繊維としては、比較的安価で優れた諸物性を有するポリエステル繊維が広く使用されており、したがってこれを接着するバインダー繊維もポリエステル系のものが好ましく、種々のポリエステル系バインダー繊維およびそれを用いて接着してなるポリエステル繊維構造物が提案されている。(たとえば、特許文献1参照)
ところで、ポリエステル系バインダー繊維は、一般に共重合ポリエステルが用いられているため、明確な結晶融点を示さないものが多く、通常90〜200℃で軟化する。したがって、その軟化点以上であり、かつ主体繊維の融点未満の温度域で熱処理することで主体繊維相互間を接着させている。ところが、たとえば産業資材用繊維製品のように、バインダー繊維のガラス転移温度以上の高温雰囲気下で使用される場合、明確な結晶融点を示さないバインダー繊維で接着すると、接着強度が低下し製品強度や嵩高保持性能が低下する等の問題があった。
そこで、明確な結晶融点を示す共重合ポリエステルからなる耐熱性バインダー繊維が提案されている。(たとえば、特許文献2参照) この場合、バインダー繊維が明確な結晶融点を有することから、バインダー繊維の融点付近まで接着強度を保つことが可能となる。しかし、樹脂の結晶性を向上させる手段として脂肪族系の酸成分を共重合させているため、樹脂のガラス転移温度や溶融粘度の低下が起こり、その結果、重合した樹脂をストランド状に払い出してチップ化する際に、カッターブレードへの樹脂の固着や、ストランド間の融着等が発生し、また紡糸の際には単糸間が融着する等、操業性に問題があった。
一方、操業性を改善することを目的として、脂肪族酸の共重合量の少ない、比較的高温域のガラス転移温度を有する共重合ポリエステル樹脂からなるバインダー繊維も提案されている。(たとえば、特許文献3参照)
しかしこの場合、操業上の問題は解消されているものの、ここに示されている樹脂組成では逆に結晶性が乏しくなり、この樹脂からなるバインダー繊維を用いて製造した不織布は、耐熱性が不足するという問題があった。
米国特許第4,129,675号公報
特開平4−194026号公報
特開平7−34327号公報
この場合、主体繊維としては、比較的安価で優れた諸物性を有するポリエステル繊維が広く使用されており、したがってこれを接着するバインダー繊維もポリエステル系のものが好ましく、種々のポリエステル系バインダー繊維およびそれを用いて接着してなるポリエステル繊維構造物が提案されている。(たとえば、特許文献1参照)
ところで、ポリエステル系バインダー繊維は、一般に共重合ポリエステルが用いられているため、明確な結晶融点を示さないものが多く、通常90〜200℃で軟化する。したがって、その軟化点以上であり、かつ主体繊維の融点未満の温度域で熱処理することで主体繊維相互間を接着させている。ところが、たとえば産業資材用繊維製品のように、バインダー繊維のガラス転移温度以上の高温雰囲気下で使用される場合、明確な結晶融点を示さないバインダー繊維で接着すると、接着強度が低下し製品強度や嵩高保持性能が低下する等の問題があった。
そこで、明確な結晶融点を示す共重合ポリエステルからなる耐熱性バインダー繊維が提案されている。(たとえば、特許文献2参照) この場合、バインダー繊維が明確な結晶融点を有することから、バインダー繊維の融点付近まで接着強度を保つことが可能となる。しかし、樹脂の結晶性を向上させる手段として脂肪族系の酸成分を共重合させているため、樹脂のガラス転移温度や溶融粘度の低下が起こり、その結果、重合した樹脂をストランド状に払い出してチップ化する際に、カッターブレードへの樹脂の固着や、ストランド間の融着等が発生し、また紡糸の際には単糸間が融着する等、操業性に問題があった。
一方、操業性を改善することを目的として、脂肪族酸の共重合量の少ない、比較的高温域のガラス転移温度を有する共重合ポリエステル樹脂からなるバインダー繊維も提案されている。(たとえば、特許文献3参照)
しかしこの場合、操業上の問題は解消されているものの、ここに示されている樹脂組成では逆に結晶性が乏しくなり、この樹脂からなるバインダー繊維を用いて製造した不織布は、耐熱性が不足するという問題があった。
本発明は、操業性ならびに接着加工性に優れ、かつ、これを用いてなる不織布が優れた耐熱性を有することとなるバインダー繊維用樹脂組成物およびこれを用いてなる不織布を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
(a).テレフタル酸およびイソフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを主たるジオール成分とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物において、イソフタル酸の共重合量が全酸成分に対して5〜25mol%であり、樹脂組成物の全質量に対して0.01〜2.0質量%の結晶核剤を含有し、示差走査型熱量計で測定した昇温時における結晶化発熱量が5〜40J/g、ガラス転移温度が40〜70℃、融点が130〜170℃であることを特徴とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物。
(b).上記(a)記載のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物からなるバインダー繊維を、少なくとも5質量%以上含んでなることを特徴とする不織布。
(a).テレフタル酸およびイソフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを主たるジオール成分とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物において、イソフタル酸の共重合量が全酸成分に対して5〜25mol%であり、樹脂組成物の全質量に対して0.01〜2.0質量%の結晶核剤を含有し、示差走査型熱量計で測定した昇温時における結晶化発熱量が5〜40J/g、ガラス転移温度が40〜70℃、融点が130〜170℃であることを特徴とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物。
(b).上記(a)記載のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物からなるバインダー繊維を、少なくとも5質量%以上含んでなることを特徴とする不織布。
本発明のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物を用いることにより、耐熱性と接着加工性に優れたバインダー繊維を操業性良く得ることができると共に、これを用いてなる不織布は好適な耐熱性と熱接着性を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物とは、バインダー繊維用ポリエステル樹脂を主成分としてなる組成物である。また、本発明のバインダー用ポリエステル樹脂としては、ポリエステルを形成する主たる酸成分としてテレフタル酸(以下、TPAと略す)およびイソフタル酸(以下、IPAと略す)を用い、また主たるジオール成分としてエチレングリコール(以下、EGと略す)および1,4−ブタンジオール(以下、BDと略す)を用いられてなるポリエステル樹脂である。
本発明において主たる酸成分ならびに主たるジオール成分であるとは、全酸成分に対してならびに全ジオール成分に対して95モル%以上であることをいう。
本発明におけるバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物とは、バインダー繊維用ポリエステル樹脂を主成分としてなる組成物である。また、本発明のバインダー用ポリエステル樹脂としては、ポリエステルを形成する主たる酸成分としてテレフタル酸(以下、TPAと略す)およびイソフタル酸(以下、IPAと略す)を用い、また主たるジオール成分としてエチレングリコール(以下、EGと略す)および1,4−ブタンジオール(以下、BDと略す)を用いられてなるポリエステル樹脂である。
本発明において主たる酸成分ならびに主たるジオール成分であるとは、全酸成分に対してならびに全ジオール成分に対して95モル%以上であることをいう。
本発明におけるバインダー繊維用ポリエステル樹脂において、IPAの共重合量としては、当該ポリエステル樹脂の全酸成分に対して5〜25mol%の範囲内である。IPAの共重合量が5mol%より低い場合、当該ポリエステル樹脂の融点が高くなるため、汎用の加工設備では加熱接着が困難となり、本発明の目的であるバインダー繊維の接着加工性が損なわれる。また、IPAの共重合量が25モル%を超えると、得られるポリエステル樹脂の結晶性が低くなるため、これをバインダー繊維用樹脂とした場合、当該繊維を用いて成形した不織布の耐熱性が損なわれることとなる。一方、ジオール成分のモル比としては、EG/BD=40/60〜60/40であることが好ましい。当該モル比がこの範囲を越えた場合、得られるポリエステル樹脂の融点が高くなるため、接着時の加工温度が高くなり汎用の設備では接着加工が困難となる場合や、ガラス転移温度が低下して、樹脂製造時や紡糸時の操業性が悪化する場合があるため好ましくない。
なお、本発明の目的を損なわない程度であれば、他のモノマー成分を共重合してもよい。例えば、酸成分としては、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。また、ジオール成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,5−ペンタメチレンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAまたはビスフェノールSのエチレンオキシド付加体が挙げられる。さらには、ヒドロキシカルボン酸である乳酸、4−ヒドロキシ安息香酸等を共重合成分として併用してもよい。
本発明のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物としては、樹脂組成物の全質量に対して、0.01〜2.0質量%の結晶核剤を含有する。結晶核剤の種類としては、タルク、シリカ、マイカ、酸化チタン、珪酸塩カルシウムのような無機系化合物の微粒子でもよいし、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、またはこれらの酸変性物のような有機系化合物でもよいし、あるいはその両者を併用したものであってもよい。ここで当該結晶核剤の含有量が0.01質量%より少ない場合、得られるポリエステル樹脂組成物の結晶性が不足するため、この樹脂組成物を用いて成形した不織布の耐熱性が不足し、本発明の目的が損なわれる。また、結晶核剤の含有量が2.0質量%を超えると、結晶核剤が無機系化合物の場合には、製糸時の糸切れが多発したり、紡糸ノズルフィルターの寿命が短くなったり等の問題が起こる。一方、核剤が有機系化合物の場合には、ポリマーの重合性が顕著に低下するため、操業性ならびに生産性が悪化し、本発明の効果が失われる。
本発明で使用する無機系結晶核剤の平均粒径としては、0.1〜100μmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10μmである。一方、有機系結晶核剤については、反応系内で溶融するため、形状については特に制限を受けない。この場合、例えば粒径2mmくらいのチップ形状のポリエチレン樹脂であったり、粒径数μmのワックス状のポリエチレン樹脂であったりしてもよい。
本発明のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の結晶化発熱量としては、示差走査型熱量計で測定した昇温時における結晶化発熱量が5〜40J/gである。5J/gよりも発熱量が少ない場合、結晶性が不十分となるため、当該樹脂組成物を用いて成形された不織布の耐熱性が損なわれ、また、チップ製造時や運搬時のブロッキングや、紡糸時の融着が顕著になり、操業性が悪化することとなり本発明の効果が失われる。
ここで、結晶化発熱量が5J/g以上であることは、バインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物が適正な結晶核剤を含有し、かつIPA共重合量が25mol%以下であることによって達成される。また、TPA、IPA以外のその他の酸成分および/またはEG、BD以外のその他のジオール成分を共重合させる場合においても、当該その他成分が全酸成分または全ジオール成分に対し5モル%以下である範囲において、その組み合わせとモル比を本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択することができる。
また、結晶化発熱量の上限としては、バインダー繊維の物性面からは特に制限されるものではないが、操業性等の面から40J/g以下であることが好ましい。
また、結晶化発熱量の上限としては、バインダー繊維の物性面からは特に制限されるものではないが、操業性等の面から40J/g以下であることが好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度としては、40℃以上である。ガラス転移温度が40℃未満の場合、樹脂をチップ化して貯蔵・運搬する際に、装置への融着、またはチップ同士のブロッキング等の発生頻度が高くなるため好ましくない。さらに、紡糸時に単糸間の融着が生じ易くなるため、操業性が悪化し、本発明の効果が失われる。また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度の上限値としては、70℃以下であり、好ましくは、55℃以下である。ガラス転移温度が70℃を超えた場合、当該ポリエステル樹脂組成物からなる繊維の剛直性が高いため、混綿した複数の繊維間を繋ぐというバインダー繊維としての機能が十分引き出せないため好ましくない。
本発明におけるバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の融点としては、130〜170℃の範囲である。当該融点が130℃未満の場合、製糸後の熱セットを充分に実施できないため、これを用いてなる不織布の熱収縮が大きくなるばかりでなく、100℃を超える高温雰囲気下での使用を前提とした耐熱バインダー用途においては、融点の低さから耐熱性が不足し、本発明の目的が損なわれる。一方、当該融点が170℃を超えると、汎用の加工設備では加熱接着が困難となるため操業上問題となり、本発明の効果が失われる。
本発明のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の極限粘度としては、0.5以上であることが好ましい。極限粘度が0.5未満の場合、各種の機械的および化学的特性が劣るとともに、紡糸性が損なわれるため好ましくない。しかし、極限粘度があまり大きいとゲル化を起こす等問題となるため、上限として2.0以下であることが望ましい。
本発明のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物においては、目的を損なわない範囲内で、ヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
本発明のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物は、通常の方法により製造することができる。すなわち、ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化またはエステル交換反応させた後、重縮合反応を行うことで当該ポリエステル樹脂を製造することができる。また、重縮合反応は通常0.01〜10hPa程度の減圧下、220〜280℃の温度で、所定の極限粘度のものが得られるまで行われる。重縮合反応は、触媒存在下に行われ、触媒としては従来一般に用いられているアンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マンガンおよびコバルト等の金属化合物のほか、スルホサリチル酸、o−スルホ安息香酸無水物等の有機スルホン酸化合物が用いられる。
触媒の添加量としては、ポリエステルの繰り返し単位1molに対し、通常0.1×10−4〜100×10−4mol、好ましくは0.5×10−4〜50×10−4mol、より好ましくは1×10−4〜10×10−4molである。
結晶核剤は、粉体またはジオールスラリー等の形態により、ポリエステルを製造する際の任意の段階で添加すればよい。例えば、エステル化またはエステル交換反応時に添加してもよいし、重縮合反応の段階で添加してもよい。
結晶核剤は、粉体またはジオールスラリー等の形態により、ポリエステルを製造する際の任意の段階で添加すればよい。例えば、エステル化またはエステル交換反応時に添加してもよいし、重縮合反応の段階で添加してもよい。
また、重縮合反応の終点については、当該ポリエステル樹脂が所定の極限粘度に到達した時点で、通常の方法により重縮合反応を停止させればよく、得られた当該ポリエステル樹脂は、通常の方法でストランド状に払い出して、冷却カットすることによりチップ化することができる。
また本発明のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物は、チップ化した後、常法に従って、乾燥、溶融紡糸、延伸を順次行い、さらに捲縮を与えた後、所定の長さに切断することによりバインダー繊維を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物においては、バインダー繊維とする場合、本発明の樹脂のみからなる単成分としても良いし、本発明のポリエステル樹脂組成物が繊維表面の一部または全部を形成している芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型等の複合繊維としてもよい。
また本発明のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物は、チップ化した後、常法に従って、乾燥、溶融紡糸、延伸を順次行い、さらに捲縮を与えた後、所定の長さに切断することによりバインダー繊維を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物においては、バインダー繊維とする場合、本発明の樹脂のみからなる単成分としても良いし、本発明のポリエステル樹脂組成物が繊維表面の一部または全部を形成している芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型等の複合繊維としてもよい。
本発明の不織布としては、本発明におけるバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物からなるバインダー繊維を、その構成において、少なくとも5質量%以上用いる。当該バインダー繊維の使用量が5質量%より低い場合、不織布を構成する他の繊維成分を十分に固着することができず、不織布としての形態を保持することが困難となり、本発明の目的が損なわれる。一方、当該バインダー繊維が5質量%を超えて使用される場合では、たとえば100質量%使用された場合においても、不織布形態が好適に保持されると共に、耐熱性ならびに熱接着性等の本発明の目的となる機能が好適に発現される。不織布を構成する他の繊維成分としては、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、ビニロン樹脂、プロピレン樹脂等の合成繊維、レーヨン、リヨセル、テンセル等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、木綿、ウール、麻、木材パルプ等の天然繊維の中から、一種類以上のいずれを選択してもよい。また、ポリ乳酸などの生分解性樹脂からなる繊維でもよい。さらに、繊維形状においてもなんら制限を受けるものではない。
本発明の不織布の製造にあたっては、湿式法ならびに乾式法等の製造法の制限を受けるものではなく、通常の方法により製造することができる。たとえば乾式法による製造の場合、得られたバインダー繊維と捲縮加工を施したポリエチレンテレフタレート短繊維とを、当該バインダー繊維が少なくとも5質量%含まれた好適な質量比になるように混綿し、カードを通過させ、ウエブを形成した後、熱接着処理を施すことで得ることができる。
次に、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例における特性値等の測定、評価方法は、次の通りである。
(a)極限粘度[η]
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、溶質濃度0.5質量% 温度20℃の条件下で常法に従って測定した。
(b)結晶化時の発熱量(ΔH)、ガラス転移温度(Tg)、および融点(Tm)
試料10mgを採取し、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/minで測定した。
(c)酸・ジオール成分の共重合量(mol%)
得られたポリエステル樹脂組成物を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートにおいて、各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量を求めた。
なお、実施例における特性値等の測定、評価方法は、次の通りである。
(a)極限粘度[η]
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、溶質濃度0.5質量% 温度20℃の条件下で常法に従って測定した。
(b)結晶化時の発熱量(ΔH)、ガラス転移温度(Tg)、および融点(Tm)
試料10mgを採取し、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/minで測定した。
(c)酸・ジオール成分の共重合量(mol%)
得られたポリエステル樹脂組成物を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートにおいて、各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量を求めた。
(d)操業性
(d)−1 チップ化
重縮合により得られたポリエステル樹脂組成物をAUTOMATIK社製USG−600型カッターでチップ化する際、フィードローラーまたはカッターブレードへの樹脂の巻き付きにより、カッターの運転を1度でも中断した場合を不合格(×)、それ以外の場合を合格(○)とした。
(d)−2 紡糸性
紡糸性は、1tのポリマーを溶融紡糸する際の切糸トラブルの回数で評価することにより行い、切糸回数が2回/t以上の場合を不合格(×)、2回/t未満の場合を合格(○)とした。
(e)不織布耐熱性
25cm×6cm×1cmに裁断した不織布の一端を固定し、他端は自由の状態で、熱風乾燥機で110℃×24h熱処理した後、乾燥機から取り出して、不織布のたわみ量を測定した。たわみ量が25mm以下を合格(○)、それ以上の場合を不合格(×)とした。
(d)−1 チップ化
重縮合により得られたポリエステル樹脂組成物をAUTOMATIK社製USG−600型カッターでチップ化する際、フィードローラーまたはカッターブレードへの樹脂の巻き付きにより、カッターの運転を1度でも中断した場合を不合格(×)、それ以外の場合を合格(○)とした。
(d)−2 紡糸性
紡糸性は、1tのポリマーを溶融紡糸する際の切糸トラブルの回数で評価することにより行い、切糸回数が2回/t以上の場合を不合格(×)、2回/t未満の場合を合格(○)とした。
(e)不織布耐熱性
25cm×6cm×1cmに裁断した不織布の一端を固定し、他端は自由の状態で、熱風乾燥機で110℃×24h熱処理した後、乾燥機から取り出して、不織布のたわみ量を測定した。たわみ量が25mm以下を合格(○)、それ以上の場合を不合格(×)とした。
実施例1
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、TPA/EGのスラリー(モル比1/1.6)を連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、TPA/EGのスラリー(モル比1/1.6)を連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
このPETオリゴマー50kgを重縮合反応缶に移送し、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)15kg、BD20kg、艶消し剤である酸化チタン(34質量%EGスラリー)1.0kg、結晶核剤として未変性ポリエチレンワックス(クラリアント社製:LicowaxPE170、12質量%EGスラリー)を1.0kg、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートの4質量%EG液を1.5kg、それぞれ記載した順序に重縮合反応缶に投入し、温度240℃、圧力0.1MPaの条件で撹拌しながら、エステル化反応を1時間行った。次いで、反応器内の圧力を徐々に減じ、70分後に1.2hPa以下にした。この条件下で撹拌しながら重縮合反応を3時間行った後、常法によりストランド状に払出し、チップ化した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化時の操業性を表1に示す。
次いで、このポリエステル樹脂組成物を常法により乾燥した後、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸温度230℃、吐出量227g/分で溶融紡糸し、冷却後、700m/分の速度で捲取り、バインダー繊維用ポリエステル未延伸糸を得た。次に、この未延伸糸を11万dtexのトウに集束し、延伸温度62℃、延伸倍率3.2で延伸し、120℃で緊張熱処理し、押し込み式クリンパーで捲縮を与えた後、長さ51mmに切断して、単糸繊度4.4dtexのバインダー繊維を得た。当該紡糸工程での操業性の評価結果を表1に示す。
このバインダー繊維と中空断面のポリエチレンテレフタレート繊維(繊度6.6dtex、カット長51mm、中空率27%)とを30/70の質量比で混綿し、カード機に通した後、クロスラッパーで積層して、800g/m2目付のウエブとした。さらにこのウエブを1cmの厚さのスペーサーを挟んだ金網どうしの間に入れ、厚さを規制しつつ、熱風循環ドライヤーで風量57m3/分、温度180℃で5分間熱処理し、ドライヤーから取り出した後、コードプレス機を用いて2分間で常温に戻して不織布を得た。作成した不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示した。
実施例2
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)およびBDの各投入量を5.0kgおよび15kgに変更し、未変性ポリエチレンワックス(Honeywell社製:ACumist B6、12質量%EGスラリー)の添加量を0.05kgと変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)およびBDの各投入量を5.0kgおよび15kgに変更し、未変性ポリエチレンワックス(Honeywell社製:ACumist B6、12質量%EGスラリー)の添加量を0.05kgと変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比 1/3.2)およびBDの各投入量を25kgおよび32kgとし、ポリエチレンワックス(三井化学製:ハイワックス4202E、酸価17geg/t、12質量%EGスラリー)の添加量を10kgと変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比 1/3.2)およびBDの各投入量を25kgおよび32kgとし、ポリエチレンワックス(三井化学製:ハイワックス4202E、酸価17geg/t、12質量%EGスラリー)の添加量を10kgと変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)およびBDの各投入量を18kgおよび27kgに変更し、さらにアジピン酸をアジピン酸/EGスラリー(モル比1/3.2)として3.0kg追加投入し、また、結晶核剤としてはタルク(日本タルク社製:SG−2000、12質量%EGスラリー)を10kg添加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)およびBDの各投入量を18kgおよび27kgに変更し、さらにアジピン酸をアジピン酸/EGスラリー(モル比1/3.2)として3.0kg追加投入し、また、結晶核剤としてはタルク(日本タルク社製:SG−2000、12質量%EGスラリー)を10kg添加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、未変性ポリエチレンワックスに換えて、結晶核剤として未変性ポリエチレンチップ(日本ポリケム社製:HJ−490、12質量%EGスラリー)を2.5kg添加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、未変性ポリエチレンワックスに換えて、結晶核剤として未変性ポリエチレンチップ(日本ポリケム社製:HJ−490、12質量%EGスラリー)を2.5kg添加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)およびBDの各投入量を、3kgおよび15kgに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)およびBDの各投入量を、3kgおよび15kgに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)、BDおよびポリエチレンワックス(12質量%EGスラリー)の各投入量を28kg、38kgおよび10kgに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)、BDおよびポリエチレンワックス(12質量%EGスラリー)の各投入量を28kg、38kgおよび10kgに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)およびBDの各投入量を、6kgおよび15kgに変更し、結晶核剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)およびBDの各投入量を、6kgおよび15kgに変更し、結晶核剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、結晶核剤としてタルク(日本タルク社製:SG−2000)を用い、その12質量%EGスラリーの添加量を15kgに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、結晶核剤としてタルク(日本タルク社製:SG−2000)を用い、その12質量%EGスラリーの添加量を15kgに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
比較例5
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)、BDおよびアジピン酸/EGスラリー(モル比1/3.2)の各投入量を4kg、20kgおよび15kgに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)、BDおよびアジピン酸/EGスラリー(モル比1/3.2)の各投入量を4kg、20kgおよび15kgに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
比較例6
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)、BDおよびアジピン酸/EGスラリー(モル比1/3.2)の各投入量を24kg、28kgおよび3kgに変更し、樹脂の融点が低いことを考慮して、製糸時の緊張熱処理温度を105℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1において、IPA/EGスラリー(モル比1/3.2)、BDおよびアジピン酸/EGスラリー(モル比1/3.2)の各投入量を24kg、28kgおよび3kgに変更し、樹脂の融点が低いことを考慮して、製糸時の緊張熱処理温度を105℃とした以外は、実施例1と同様に実施した。得られたバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物の組成、熱特性、チップ化および製糸工程における操業性、および得られた不織布の耐熱性についての評価結果を表1に示す。
実施例1〜5により得られた樹脂については、チップ化および製糸工程での操業性に優れ、またその樹脂より得られた繊維を接着成分とした不織布の耐熱性は良好であった。
比較例1では、IPAの共重合量が少ないため、得られたポリエステル樹脂組成物の融点は170℃を超えたものとなった。その結果、バインダー繊維と中空断面のポリエステルテレフタレート繊維からなる不織布において熱接着が不十分となったため、耐熱性評価試験用の曲げ強度を有する固綿が得られなかった。
比較例1では、IPAの共重合量が少ないため、得られたポリエステル樹脂組成物の融点は170℃を超えたものとなった。その結果、バインダー繊維と中空断面のポリエステルテレフタレート繊維からなる不織布において熱接着が不十分となったため、耐熱性評価試験用の曲げ強度を有する固綿が得られなかった。
比較例2では、IPAの共重合量が多いため、得られた樹脂は結晶化時の発熱量が5J/gに満たない、結晶性の乏しいものとなった。その結果、この樹脂から得られたバインダー繊維を用いて作成した不織布は、耐熱性評価試験後のたわみ量が25mmを超え、耐熱性の不足したものとなった。
比較例3では、結晶核剤を添加していないため、得られた樹脂の結晶性は乏しく、比較例2同様、この樹脂を用いて作成した不織布は耐熱性が不足したものとなった。
比較例4では、無機結晶核剤の含有量が多いため、紡糸時に糸切れが多発し、糸が採取できなかった。
比較例4では、無機結晶核剤の含有量が多いため、紡糸時に糸切れが多発し、糸が採取できなかった。
比較例5では、アジピン酸の共重合量を増やした結果、得られたポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度が低くなったため、払出時に樹脂がカッターに巻き付き、払出を中断せざるを得ず、操業性が悪化した。また、紡糸時には単糸間が融着し、糸条を得ることが出来なかった。
比較例6では、得られたポリエステル樹脂組成物の融点が130℃を下回っており、製糸時において単糸間の融着が懸念されたため、緊張熱処理温度を120℃から105℃に下げて実施した。その結果、熱処理が充分でないため、得られたバインダー繊維からなる不織布は、中空PET糸と混綿後加熱接着した際、他の実施例および比較例で得られた不織布よりも熱収縮が大きくなった、また、バインダー繊維の融点が低いため、耐熱性評価試験後の不織布サンプルのたわみ量は25mmを超え、耐熱性が不足したものとなった。
Claims (2)
- テレフタル酸およびイソフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールを主たるジオール成分とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物において、イソフタル酸の共重合量が全酸成分に対して5〜25mol%であり、樹脂組成物の全質量に対して0.01〜2.0質量%の結晶核剤を含有し、示差走査型熱量計で測定した昇温時における結晶化発熱量が5〜40J/g、ガラス転移温度が40〜70℃、融点が130〜170℃であることを特徴とするバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1記載のバインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物からなるバインダー繊維を、少なくとも5質量%以上含んでなることを特徴とする不織布。
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JP2004361531A JP2006169653A (ja) | 2004-12-14 | 2004-12-14 | バインダー繊維用ポリエステル樹脂組成物およびこれを用いてなる不織布 |
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-
2004
- 2004-12-14 JP JP2004361531A patent/JP2006169653A/ja active Pending
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