JP2008266809A - 熱接着性ポリエステル長繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、融点が100〜150℃であり、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有するポリエステルからなる長繊維であって、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足する熱接着性ポリエステル長繊維。b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
【選択図】図1
Description
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
本発明の熱接着性ポリエステル長繊維は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、融点が100〜150℃であるポリエステル(A)からなるものであって、中でもポリエステル(A)のみからなることが好ましい。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) (1)
(a) 無機系微粒子(タルク)の平均粒径
島津社製粒度分布測定装置(SALD-2000)を用いて、エチレングリコール中の試料の平均粒径の値を測定した。
(b) 無機系微粒子(タルク)の比表面積
BET法により測定した。
(c)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
(d)融点、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線
前記の方法により測定した。
(e)ポリマー組成
得られた熱接着性ポリエステル長繊維を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて 1H-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(f)紡糸操業性
16錘で24時間の操業を行い、紡糸の状況により下記の3段階で評価した。
○ : 紡糸時の糸切れ回数が3回以下
△ : 紡糸時の糸切れ回数が4回〜9回
× : 紡糸時の糸切れ回数が10回以上
(g)強度、伸度、熱水収縮率
前記の方法により測定した。
(h)接着性
得られた熱接着性ポリエステル長繊維1本と、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル長繊維(84dtex/36fil、強度4.3cN/dtex、伸度35%)2本を合わせて混繊し、混繊工程の途中でスピンドル回転によって撚りを施し、15ヶ/mの撚数の撚糸を得る。この撚糸を10cmに切断して伸ばした状態で両端を固定し、ローラ温度120℃、ローラスピード0.5m/分、プレス圧力0.7kg/cm2の条件で繊維軸方向に加熱圧着し、その後に両端をカットして長さ5cmのサンプルを得た。
このサンプルをガラス製の300mlビーカーに入れ、95℃に加温した熱水中で、巾4cmのラグビーボール型マグネチック攪拌子により200rpmの回転数で30分間攪拌処理し、30分後に繊維が剥離を起こしているかを確認した。
測定はサンプル数10個について行い、攪拌処理後、サンプルを自然乾燥させ、乾燥後の繊維の剥離状態を目視により観察し、下記の3段階で評価した。
○ : 全てのサンプルで剥離なし
△ : 部分的に剥離を起こしているサンプルがある
× : 剥離を起こし、撚糸の形態を維持していないサンプルがある
エステル化反応缶に、TPAとEGのスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%の反応物を得た。この反応物を重縮合反応缶に移送し、HDを重縮合反応缶に投入し、温度240℃、常圧下で1時間攪拌した。次に、結晶核剤として平均粒径1.0μm、比表面積35m2/gのタルクを含有するEGスラリーを重縮合反応缶に投入した後、反応器内の圧力を徐々に減じ、撹拌しながら重縮合反応を約3時間行い、常法によりストランド状に払出し、チップ化した。
このようにして得られた極限粘度0.95、融点128℃の酸性分としてTPA、グリコール成分としてEG15mol%、HD85mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有する共重合ポリエステルチップを溶融紡糸装置に供給し、紡糸温度230℃、吐出量13.2g/分とし、紡糸孔数36の紡糸口金を用い、紡糸速度800m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出糸条を冷却した後、油剤を付与し、168dtex/36フィラメントの未延伸糸を得た。
次に、この未延伸糸を表面温度50℃の第一ローラで引取り、第二ローラとの間に115℃に加熱したヒートプレートを設置して、延伸倍率2.0倍で熱延伸を行い、84dtex/36フィラメントの熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
結晶核剤のタルクの添加量を変更し、表1に示す繊維中の含有量とした以外は、実施例1と同様にして熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
結晶核剤のタルクを含有しなかった以外は、実施例1と同様にして熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
エステル化反応缶に、TPA、HD、BDを供給し、結晶核剤として平均粒径1.0μm、比表面積35m2/gのタルクを添加し、温度230℃、圧力0.2MPaの条件で3時間撹拌し、エステル化反応を行った後、重縮合反応缶に移送した。そして、反応器内の圧力を徐々に減じ、撹拌しながら重縮合反応を約3時間行い、常法によりストランド状に払出し、チップ化した。
このようにして得られた極限粘度0.98、融点130℃の酸性分としてTPA、グリコール成分として1,4−ブタンジオール(BD)20mol%、HD80mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有する共重合ポリエステルチップを紡糸装置に供給した以外は、実施例1と同様にして紡糸、延伸を行い、熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
結晶核剤のタルクの添加量を変更し、表1に示す繊維中の含有量とした以外は、実施例4と同様にして熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
結晶核剤のタルクを含有しなかった以外は、実施例4と同様にして熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
HDの供給量を変更して重縮合反応を行い、極限粘度0.85、融点200℃の酸性分としてTPA、グリコール成分としてEG80mol%、HD20mol%からなり、結晶核剤として0.5質量%のタルクを含有する共重合ポリエステルチップを用い、紡糸温度を250℃、第一ローラの表面温度を70℃、ヒートプレートの温度を150℃、延伸倍率を2.5倍にした以外は実施例1と同様にして熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
結晶核剤としてポリエチレンワックス(クラリアント社製、Licowax PE190)を0.04kg、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートを0.04kg、これらを重縮合反応缶に投入した以外は実施例1と同様にしてチップ化し、結晶核剤として0.1質量%のポリエチレンワックスを含有するチップとした以外は実施例1と同様に行い、熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
結晶核剤としてポリエチレンワックス(クラリアント社製、Licowax PE190)の投入量を変更し、結晶核剤として0.05質量%のポリエチレンワックスを含有するチップとした以外は実施例1と同様に行い、熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
結晶核剤として硫酸ナトリウムを0.04kg、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートを0.04kg、これらを重縮合反応缶に投入した以外は実施例1と同様にしてチップ化し、結晶核剤として0.1質量%の硫酸ナトリウムを含有するチップとした以外は実施例1と同様に行い、熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
結晶核剤の重縮合反応缶への投入量を変更し、結晶核剤として0.8質量%の硫酸ナトリウムを含有するチップとした以外は実施例1と同様にして行い、熱接着性ポリエステル長繊維を得た。
一方、比較例1、4の熱接着性ポリエステル長繊維は、結晶核剤の含有量が少なかったため、(1)式を満足せず、降温時の結晶化速度が遅く、紡糸時に糸条同士の溶着が生じ、紡糸操業性が悪かった。比較例2、5の熱接着性ポリエステル長繊維は、結晶核剤の含有量が多かったため、紡糸時に切れ糸が発生し、操業性が悪かった。さらに、強度も低く、接着性にも劣るものであった。比較例3、6では、ポリエステル中に結晶核剤を含有していなかったため、降温時の結晶化速度が遅く、紡糸時に糸条の溶着が発生し、繊維を得ることができなかった。比較例7の熱接着性ポリエステル長繊維は、HDが50モル%未満であったため、融点が150℃を超えるものであった。したがって、接着性の評価を行う際に撚糸にローラ温度120℃で熱処理を行っても熱接着せず、全てのサンプルにおいて剥離を起こし、撚糸の形態を維持していなかった。
Claims (2)
- テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、1,6−ヘキサンジオール50モル%以上のジオール成分とからなり、融点が100〜150℃であり、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有するポリエステルからなる長繊維であって、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足することを特徴とする熱接着性ポリエステル長繊維。
b/a≧0.05 (mW/mg・℃) ・・・ (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。 - 強度が1.0cN/dtex以上、100℃での熱水収縮率が17%以下である請求項1記載の熱接着性ポリエステル長繊維。
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