JP2011012154A - ポリエステル樹脂及びバインダー繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】低融点にも関わらず結晶性に優れ、操業性よく生産することができ、バインダー繊維をはじめ、各種の接着用途に好適に使用することができるポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】全酸成分のうち、テレフタル酸を70〜95モル%、イソフタル酸を5モル%以上、グリコール成分がエチレングリコール20〜80モル%、ブタンジオール20モル%以上で構成され、融点が140〜190℃、ガラス転移温度が45℃以上、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すピークが下記(1)式を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。b/a≧0.01(mW/mg・℃)(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶性を有し、かつガラス転移温度が45℃以上であって、バインダー繊維に好適に使用できるポリエステル樹脂に関するものである。
近年、ポリエステル不織布は、衣料分野、衛生材分野、産業資材分野などに幅広く使用されている。そして、このようなポリエステル不織布には、繊維同士を熱接着するため、低軟化点の共重合ポリエステルからなる熱接着性バインダー繊維が使われている。
熱接着性ポリエステルバインダー繊維用の低軟化点の共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸及びエチレングリコールからなる共重合ポリエステルなど、非晶性の共重合ポリエステルが一般的に広く用いられている。
しかしながら、非晶性もしくは結晶性の低い共重合ポリエステルを、汎用の熱処理機で不織布にしたものを高温に保持すると、強力が低下したり、負荷がかかった状態では不織布が変形したりするという問題があった。
特許文献1には、結晶性を有し、融点が160℃程度と耐熱性に優れたバインダー繊維用の共重合ポリエステルが記載されている。しかしながら、特許文献1の共重合ポリエステルはガラス転移温度が30℃程度と低く、重合したポリエステルをストランド状に払い出してチップ化する際、ポリマーをガラス転移温度以下に冷却することが困難となり、ポリマーの冷却固化が不十分となるため、カッターブレードへのポリエステルの固着や、ストランド間の融着が発生するなど、操業性に問題が生じる場合があった。
また、特許文献2には、結晶核剤を用いることで、明確な結晶融点を示す共重合ポリエステルも提案されている。明確な結晶融点を示すポリマーを用いてバインダー繊維にすると、得られた不織布は高温に保持しても、強力が低下せず、耐熱性の良好な不織布を得ることが可能となる。
しかしながら、特許文献2記載の共重合ポリエステルも、ポリエステルのガラス転移温度が低温であるため、上記と同様に、カッターブレードへのポリエステルの固着や、ストランド間の融着が発生するなど、操業性に問題が生じる場合があった。
特開平09−12693号公報 特開平2008−222737号公報
本発明は上記のような問題点を解決するものであって、低融点でありながら、結晶性を有している共重合ポリエステルであって、重合したポリエステルをストランド状に払い出してチップ化する際、ポリマーを十分に冷却固化させることができ、カッターブレードへのポリエステルの固着や、ストランド間の融着が発生せず、操業性よくチップ化することができるポリエステル樹脂を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(イ)、(ロ)を要旨とするものである。
(イ)全酸成分のうち、テレフタル酸を70〜95モル%、イソフタル酸を5〜30モル%、グリコール成分がエチレングリコール20〜80モル%、ブタンジオール20〜80モル%で構成され、融点が140〜190℃、ガラス転移温度が45℃以上、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記(1)式を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。
b/a≧0.01 (mW/mg・℃) (1)
なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
(ロ)(イ)記載のポリエステル樹脂を繊維表面に配したバインダー繊維。
本発明のポリエステル樹脂は、低融点でありながら、結晶性を有しており、かつガラス転移温度が45℃以上であるため、重合したポリエステルをストランド状に払い出してチップ化する際、ポリマーを十分に冷却固化させることができ、カッターブレードへのポリエステルの固着や、ストランド間の融着が発生せず、操業性よくチップ化することができる。そして、本発明のポリエステル樹脂は、バインダー繊維として好適であり、低温での熱処理で溶融させることができるため、本発明のバインダー繊維を用いると、高温雰囲気下においても強力の低下が生じにくく、耐熱性に優れた不織布を得ることが可能となるものである。
本発明のポリエステル樹脂におけるDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、テレフタル酸とイソフタル酸、エチレングリコールとブタンジオールを主成分とする共重合ポリエステルである。
全酸成分のうち、テレフタル酸を70〜95モル%とすることが必要であり、中でも80〜95モル%とすることが好ましい。また、イソフタル酸の共重合量は5〜30モル%とすることが必要であり、中でも5〜20モル%とすることが好ましい。
テレフタル酸が70モル%未満であったり、イソフタル酸が30モル%を超えると、ポリエステルの結晶性が低くなるため、後述する(1)式を満足できなくなる。一方、テレフタル酸が95モル%を超えたり、イソフタル酸が5モル%未満であると、ポリエステルの融点が高くなり、190℃を超えるものとなる。
なお、テレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン成分としては、その効果を損なわない範囲であれば、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸等を用いることができる。
グリコール成分としては、エチレングリコールを20〜80モル%とすることが必要であり、中でも、40〜80モル%とすることが好ましい。また、ブタンジオールを20〜80モル%とすることが必要であり、中でも20〜60モル%とすることが好ましい。
エチレングリコールが20モル%未満であったり、ブタンジオールが80モル%を超えると、ポリエステルの結晶性が低くなるため、後述する(1)式を満足できなくなる。一方、エチレングリコールが80モル%を超えたり、ブタンジオールが20モル%未満であると、ポリエステルの融点が高くなり、190℃を超えるものとなる。
エチレングリコールとブタンジオール以外のグリコール成分としては、その効果を損なわない範囲であれば、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を用いることができる。
そして、本発明のポリエステル樹脂は、融点が140〜190 ℃であり、中でも150〜180℃であることが好ましい。融点が190℃を超えるものでは、熱処理により溶融させて接着成分とする際に、熱処理温度を高くすることが必要となり、汎用の熱処理装置が使用できなかったり、コストが高くなるため、好ましくない。一方、上記したような4成分からなる共重合ポリエステルでは、融点が140℃未満のものを得ようとすると、非晶性のものとなり、後述する(1)式を満足することが困難となる。
さらに、本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が45℃以上である必要があり、中でも45〜75℃であることが好ましく、さらには50〜70℃であることが好ましい。ガラス転移温度が45℃未満であると、樹脂をチップ化して貯蔵・運搬する際に、装置への融着、またはチップ同士のブロッキング等の発生頻度が高くなるため好ましくない。また、溶融紡糸する際には、紡糸時に単糸間の融着が生じやすくなり、操業性が悪化する。一方、上記したような4成分からなる共重合ポリエステルでは、ガラス転移温度の上限は75℃程度となる。
そして、本発明のポリエステル樹脂は、結晶性を有しているものであり、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記式(1)を満足するものであり、中でもb/a≧0.05であることが好ましい。一方、b/aが大きいほど降温時の結晶性に優れるものとなるが、本発明で目的とする効果を奏するには、b/aを0.3以下とすることが好ましい。
b/a≧0.01 (mW/mg・℃) ・・・(1)
本発明におけるポリエステル樹脂の融点とDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線は、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲−20℃〜250℃、昇温(降温)速度20℃/分、試料量2mgで測定する。
上記b/aは、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線より求められる。図1に示すように、ポリエステル樹脂のDSC曲線において、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
b/aは、降温時の結晶性を表す指標であり、b/aの値が高いと結晶化速度が速く、逆に0に近いほど、結晶化速度が遅いことを示している。b/aが0.01(mW/mg・℃)未満の場合、結晶化速度が遅いため、ポリエステルのチップ化や貯蔵・運搬、および乾燥工程においてブロッキングが生じやすくなる。
b/aは、ポリエステル樹脂の共重合組成を上記したような4成分系のものとし、結晶核剤を適量含有することにより、本発明で規定する範囲のものにすることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有するものであり、中でも0.5〜3.5質量%含有することが好ましい。結晶核剤の含有量が0.01質量%未満であると、降温時の結晶化速度を向上させることができず、上記した(1)式を満足することが困難となる。一方、5.0質量%を超えると、結晶核剤の含有量が多くなりすぎ、繊維化する際には紡糸、延伸時の操業性を悪化させることとなる。
結晶核剤としては、無機系微粒子やポリオレフィン、硫酸塩等を使用することができる。中でも無機系微粒子を用いることが好ましく、平均粒径3.5μm以下もしくは比表面積15m/g以上の無機系微粒子を用いることが好ましい。
無機系微粒子としては、タルクなどの珪素酸化物を主成分としたものが好ましく、上記平均粒径もしくは比表面積を満足していない場合、結晶核としての機能に乏しく、ポリエステル樹脂は上記した(1)式を満足することが困難となりやすい。
本発明のポリエステル樹脂は、低融点でありながら、結晶性を有していることから繊維化してバインダー繊維として用いることが好ましいものであり、極限粘度は0.6〜1.2であることが好ましく、中でも0.8〜1.0であることが好ましい。極限粘度が0.6未満の場合、各種の物理的、機械的、化学的特性が劣るとともに、繊維とする際には紡糸性が損なわれるため好ましくない。一方、極限粘度が 1.2を超えると溶融粘度が高くなるため、押出が困難になったり、また繊維とする際には、溶融粘度を下げるべく紡糸温度を上げると、ポリエステルの熱分解が顕著になり紡糸が困難になりやすい。
本発明のポリエステル樹脂は常法によって製造することができる。すなわち、ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応またはエステル交換反応させ、重縮合反応を行うことにより本発明のポリエステル樹脂組成物を製造することができる。
具体的には、重縮合反応は通常 0.01〜10hPa程度の減圧下、220〜280℃の温度で所定の極限粘度のものが得られるまで行う。また、重縮合反応は、触媒存在下で行われるが、触媒としては従来一般に用いられているアンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マンガンおよびコバルト等の金属化合物のほか、スルホサリチル酸、o-スルホ安息香酸無水物等の有機スルホン酸化合物を用いることができる。
また各種添加剤についても、目的を損なわない範囲内で、リン酸エステル化合物やヒンダードフェノール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光増白剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような艶消し剤、可塑剤、顔料、制電剤、難燃剤、易染化剤などの各種添加剤を1種類または2種類以上添加してもよい。
そして、重縮合反応においてポリエステルが所定の極限粘度に到達したら、ストランド状に払い出して、冷却固化させ、カットすることによりチップ化する。
次に、本発明のバインダー繊維は、本発明のポリエステル樹脂を繊維表面に配したものであり、本発明のポリエステル樹脂が繊維表面の一部又は全部を占めるものである。
つまり、本発明のポリエステル樹脂と他の樹脂からなる複合繊維であっても、本発明のポリエステル樹脂のみからなる単一型の繊維であってもよい。
複合繊維とする場合には、芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型などの複合繊維とすることが好ましい。複合繊維とする場合の他の成分としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート及びこれらを主体とする高融点のポリエステルが好ましく用いられる。複合繊維の複合形態としては、紡糸性及び繊維物性の点で、中でも芯鞘型が好ましい。
このような本発明のポリエステル樹脂を用いた複合繊維のバインダー繊維を得る際には、複合紡糸装置を用いて常法により溶融紡糸し、得られた未延伸糸をトウ状に集束した後、延伸し、必要に応じて捲縮を付与した後、切断して短繊維とする。
さらにこのバインダー繊維を用いて不織布を製造する場合、これをポリエチレンテレフタレートなどからなる短繊維 (主体繊維) と混綿した後、ウエブに形成し、Tm〜(Tm+30℃)〔Tmは本発明のポリエステル樹脂の融点(℃)〕の温度に昇温した熱処理装置で熱処理を施し、本発明のポリエステル樹脂を溶融し、主体繊維相互を点接着させて不織布を得る。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a) 無機系微粒子の平均粒径
島津製作所社製粒度分布測定装置(SALD-2000)を用いて、エチレングリコール中の試料の平均粒径の値を測定した。
(b) 無機系微粒子の比表面積
BET法により測定した。
(c)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、試料濃度0.5質量%、温度20℃の条件下で常法に基づき測定した。
(d)ポリエステル樹脂の融点、DSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線
前記の方法により測定した。
(e)ポリエステル樹脂のポリマー組成
得られたポリエステル樹脂を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて 1H-NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から求めた。
(f)操業性
1.チップ化
得られたポリエステル樹脂をAUTOMATIK社製USG-600型カッターでチップ化する際、フィードローラーまたはカッターブレードへのポリエステルの巻き付きやストランド間の融着により2つ以上のチップが融着したものの発生等により、カッターの運転を中断した場合を×、融着等の問題は生じながらも、カッターの運転を中断することなくチップ化できた場合を△、融着による問題が生じることなくチップ化できた場合を○とした。
2.チップのブロッキング
チップの貯蔵・運搬および乾燥工程で、手で触れても崩れないブロック状の塊や壁面への融着物が生じた場合を×、ブロック状の塊や壁面への付着物があるものの、手で触れたり、ハンマー等により壁面へ衝撃を加えることによりそれらが解消される程度である場合を△、ブロック状の塊や壁面への融着が全く発生しなかった場合を○とした。
(g) 不織布強力
得られた短繊維をバインダー繊維とし、主体繊維としてPET繊維(繊度2d、繊維長51mm)を用い、両社を質量比1:1で混綿した後、ウエブとし、回転乾燥機を用いて、180℃で100秒の熱接着処理及び100℃にて5分間耐熱化熱処理を行い、目付け40g/m2の不織布を得た。
得られた不織布について、不織布強力を次のようにして測定した。オリエンテック社製 UTM−4型のテンシロンを用い、幅2.5cm、長さ15cmの不織布を、引張速度10cm/分、つかみ間隔10cmの条件で延伸切断し、最大点強力を読み取った。不織布強力3000g以上を合格とした。
(h)不織布の強力保持率(不織布の耐熱性)
上記の不織布強力の測定法により、100℃の雰囲気下での不織布強力を測定し、室温での不織布強力〔(g)で測定したもの〕に対する強力保持率を求めた。強力保持率が60%以上であれば、耐熱性良好と評価した。
実施例1
エステル化反応缶に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のモル比(TPA/EG)1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%のオリゴマーを得た。別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコール(EG)モル比(IPA/EG)1/3.1のスラリーを仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
テレフタル酸とエチレングリコールのオリゴマー45.2kgを重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液8.1kg、ブタンジオール(BD)17.4kg、艶消し剤として二酸化チタンを34質量%含有するEGスラリーを0.5kg、結晶核剤として平均粒径1.0μm、比表面積35m/gのタルクを10質量%含有するEGスラリーを3.5kg、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートを4質量%含有するEG液を0.9kgを加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度240℃で4時間重合反応を行った。得られたポリエステル樹脂を常法によりストランド状に払出し、チップ化した。
次に、得られたポリエステル樹脂チップを用い、これを鞘成分、極限粘度〔η〕0.68のポリエチレンテレフタレートを芯成分にした複合繊維を得るため、通常の二成分複合溶融紡糸装置により、孔数225の紡糸口金を用いて1:1の複合比率(体積比)で、紡糸温度270℃、吐出量228g/分、紡糸速度700m/分で紡糸した。紡出糸条を18℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を集束し、10万デシテックスのトウにして延伸倍率3.3倍、延伸温度60℃で延伸し、次いで押し込み式クリンパーで捲縮を付与した後、長さ51mmに切断して単糸繊度4デシテックスの短繊維(バインダー繊維)を得た。
実施例2
結晶核剤としてタルクを10質量%含有するEGスラリーを7.0kg添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂及び短繊維を得た。
実施例3
結晶核剤として平均粒径3.2μm、比表面積25m/gのタルクを10質量%含有するEGスラリーを7.0kg添加した以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂及び短繊維を得た。
実施例4、比較例2〜3、7
テレフタル酸とエチレングリコールのオリゴマー及びイソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液の仕込量を変更し、表1に示すポリマー組成となるようにした以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂及び短繊維を得た。
実施例5、比較例4
ブタンジオールの仕込量を変更し、表1に示すポリマー組成となるようにした以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂及び短繊維を得た。
比較例1
結晶核剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂及び短繊維を得た。
比較例5
結晶核剤としてタルクを10質量%含有するEGスラリーを0.018kg添加した以外は実施例1と同様にして実施した。
比較例6
テレフタル酸とエチレングリコールのオリゴマー42.7kgを重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液に代えてε−カプロラクトンを1.0kg、ブタンジオールを14.6kg仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂及び短繊維を得た。
得られたポリエステル樹脂の特性値及びチップ化時の操業性及び不織布の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5のポリエステル樹脂は、(1)式を満足するものであり、結晶性に優れており、融点は140〜190℃の範囲内であり、チップ化工程での操業性も良好だった。また、得られた短繊維を用いた不織布は不織布強力、強力保持率ともに高く、良好な性能を有していた。
一方、比較例1のポリエステル樹脂は、結晶核剤を含有していなかったため、比較例5のポリエステル樹脂は、結晶核剤の量が少なすぎたため、比較例2のポリエステル樹脂はイソフタル酸が多すぎたため、いずれも(1)式を満足せず、結晶性を有していないものであった。このため、チップ化工程での操業性にも劣るものであり、チップのブロッキングも生じた。比較例3のポリエステル樹脂は、テレフタル酸の共重合量が少ないため、比較例4のポリエステル樹脂は、ブタンジオールの共重合量が少ないため、ともに融点が200℃を超えるものとなった。比較例6のポリエステル樹脂は、イソフタル酸を含有せず、ε−カプロラクトンを含有する組成のものであったため、ガラス転移温度が低く、チップ化の後、チップ同士のブロッキングが生じた。比較例7のポリエステル樹脂はイソフタル酸が多すぎたため、(1)式を満足せず、結晶性を有していないものであった。また、ガラス転移温度が45℃未満となり、チップ化が困難であり、チップ同士のブロッキングも生じた。


Claims (3)

  1. 全酸成分のうち、テレフタル酸を70〜95モル%、イソフタル酸を5〜30モル%、グリコール成分がエチレングリコール20〜80モル%、ブタンジオール20〜80モル%で構成され、融点が140〜190℃、ガラス転移温度が45℃以上、結晶核剤を0.01〜5.0質量%含有し、かつDSCより求めた降温結晶化を示すDSC曲線が下記(1)式を満足することを特徴とするポリエステル樹脂。
    b/a≧0.01 (mW/mg・℃) (1)
    なお、aは、降温結晶化を示すDSC曲線における傾きが最大である接線とベースラインとの交点の温度A1(℃)と、傾きが最小である接線とベースラインとの交点の温度A2(℃)との差(A1−A2)であり、bは、ピークトップ温度におけるベースラインの熱量B1(mW)とピークトップの熱量B2(mW)との差(B1−B2)を試料量(mg)で割った値である。
  2. 結晶核剤が、平均粒径3.5μm以下もしくは比表面積15m/g以上の無機系微粒子である請求項1記載のポリエステル樹脂。
  3. 請求項1又は2記載のポリエステル樹脂を繊維表面に配したバインダー繊維。


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