JP2006168579A - 油圧パワーステアリング装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧パワーステアリング装置の操舵フィーリングを低コストで簡単な構造により向上する。
【解決手段】操舵トルクに応じ弾性的に相対回転する入出力シャフト2、3の一方におけるガイド孔51内のプランジャ52の押し付け部により、他方における被押し付け部2aを押し付ける油圧を車両運転状態に応じ調節する。被押し付け部2aと押し付け部52aそれぞれは、軸方向溝2″、52″の相対向する内側面により構成される。第2バルブ部材32と同行回転する入出力シャフト2、3の他方に対し相対回転する環状部材80は、第1バルブ部材31と同行回転し、入出力シャフト2、3の一方に対する相対回転が位置決め手段によりが阻止される。操舵トルクが作用していない時、両溝2″、52″の中央位置は入出力シャフト2、3の径方向において相対向し、相対回転量に応じ操舵補助力発生用油圧を制御する両バルブ部材31、32が操舵補助力を発生させない位置に相対配置される。
【選択図】図4
【解決手段】操舵トルクに応じ弾性的に相対回転する入出力シャフト2、3の一方におけるガイド孔51内のプランジャ52の押し付け部により、他方における被押し付け部2aを押し付ける油圧を車両運転状態に応じ調節する。被押し付け部2aと押し付け部52aそれぞれは、軸方向溝2″、52″の相対向する内側面により構成される。第2バルブ部材32と同行回転する入出力シャフト2、3の他方に対し相対回転する環状部材80は、第1バルブ部材31と同行回転し、入出力シャフト2、3の一方に対する相対回転が位置決め手段によりが阻止される。操舵トルクが作用していない時、両溝2″、52″の中央位置は入出力シャフト2、3の径方向において相対向し、相対回転量に応じ操舵補助力発生用油圧を制御する両バルブ部材31、32が操舵補助力を発生させない位置に相対配置される。
【選択図】図4
Description
本発明は、車速等の運転状態に応じて操舵補助特性を変更可能な油圧パワーステアリング装置とその製造方法に関する。
操舵補助力発生用油圧アクチュエータに供給される圧油の油圧を、操舵トルクに応じた入出力シャフトの弾性的な相対回転量に応じて制御する制御バルブを備える油圧パワーステアリング装置として、出力シャフトに周方向等間隔をおいて形成される複数のガイド孔と、入力シャフトに周方向等間隔をおいて形成される複数の被押し付け部と、各被押し付け部に対して近接する方向と離隔する方向とに往復移動可能に各ガイド孔に挿入されるプランジャと、各被押し付け部と各プランジャの一端に形成される押し付け部との間に配置される球体と、各球体を介して各被押し付け部を押し付けるために各プランジャに作用させる油圧を車両の運転状態に応じて調節する油圧調節機構とを有するものが知られている(特許文献1参照)。これにより、入出力シャフトの相対回転量を車速等の運転状態に応じて規制することで操舵補助力を変化させ、高車速での走行安定性や低車速での操舵に対する応答性を向上することができる。
実登第2509939号公報
上記のような油圧パワーステアリング装置における各押し付け部それぞれと各被押し付け部それぞれは、入出力シャフトの軸方向に沿い形成される溝における相対向する内側面により構成され、各溝それぞれにおける相対向する内側面は、溝中央に向かうに従い互いに近接するものとされている。これにより、入出力シャフトの相対回転方向への球体の移動が溝の内側面により規制されるので、各球体を介する入力シャフトへの油圧の作用位置を周方向等間隔に維持できる。
しかし、操舵トルクが作用していない時の押し付け部の溝の中央位置と被押し付け部の溝の中央位置とを、入出力シャフトの径方向において相対向するように位置決めするのは困難であった。操舵トルクが作用していない時に両溝の中央位置が入出力シャフトの径方向において対向配置されていないと、両溝の内側面により構成される押し付け部および被押し付け部が球体と接触する位置が右操舵時と左操舵時とで相違し、操舵フィーリングが低下する。
すなわち、入出力シャフトの弾性的な相対回転量に応じた油圧制御特性を制御バルブにより得るため、入力シャフトと出力シャフトの相対回転方向における相対位置は、操舵トルクが作用していない時に一定位置とされる。そのため、入力シャフトと出力シャフトは、制御バルブにより所望の油圧制御特性が得られるように相対回転方向における相対的な位置決めがなされた後に、弾性部材を介して連結されている。これにより、操舵トルクが作用していない時に操舵補助力が発生するのが防止される。このように入出力シャフトの相対回転方向における相対位置を制御バルブの油圧制御特性に応じて定めた場合、入力シャフトに形成される被押し付け部の溝の中央位置と、出力シャフトに形成されるガイド孔に挿入されるプランジャの一端に形成される押し付け部の溝の中央位置とが、操舵トルクが作用していない時に入出力シャフトの径方向において対向配置することは何ら保証されない。
従来においては、制御バルブの構成部材、押し付け部や被押し付け部を構成する溝、ガイド孔等を高精度に加工し、また、高精度に組み立てを行うことで、操舵トルクが作用していない時に両溝の中央位置が入出力シャフトの径方向において対向配置されるようにしていた。しかし、そのような高精度な加工や組み立ては製造コストを増大させ、また、高精度な加工や組み立てを行っても加工公差や組み立て公差による両溝の中央位置の相対的なずれは防止できない。本発明は、そのような問題を解決することのできる油圧パワーステアリング装置とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、入力シャフトと、前記入力シャフトに、操舵トルクに応じて弾性的に相対回転するよう弾性部材を介して同軸中心に連結される出力シャフトと、操舵補助力発生用油圧アクチュエータと、筒状の第1バルブ部材と、前記第1バルブ部材に同軸中心に相対回転可能に挿入される第2バルブ部材とを有する制御バルブと、前記入出力シャフトの相対回転を車両の運転状態に応じて規制する規制手段とを備え、前記両バルブ部材の相対回転量に応じて前記油圧アクチュエータに供給される圧油の油圧が制御され、前記規制手段は、前記入出力シャフトの中の一方に周方向等間隔をおいて形成される複数のガイド孔と、他方に周方向等間隔をおいて形成される複数の被押し付け部と、前記各被押し付け部に対して近接する方向と離隔する方向とに往復移動可能に前記各ガイド孔に挿入されるプランジャと、前記各被押し付け部と前記各プランジャの一端に形成される押し付け部との間に配置される球体と、前記各球体を介して前記各被押し付け部を押し付けるために前記各プランジャに作用させる油圧を車両の運転状態に応じて調節する油圧調節機構とを有し、前記各押し付け部それぞれと前記各被押し付け部それぞれは、前記入出力シャフトの軸方向に沿い形成される溝における相対向する内側面により構成され、各溝それぞれにおける相対向する内側面は、溝中央に向かうに従い互いに近接するものとされている油圧パワーステアリング装置に適用される。
本発明の油圧パワーステアリング装置は、前記入出力シャフトの中の一方に対して同軸中心に相対回転可能な環状部材が、前記第1バルブ部材に同軸中心に同行回転するように連結され、前記入出力シャフトの中の他方が、前記第2バルブ部材に同軸中心に同行回転するよう一体化され、操舵トルクが作用していない時、前記押し付け部の溝の中央位置と前記被押し付け部の溝の中央位置とが前記入出力シャフトの径方向において相対向する位置に相対配置されるように、前記入出力シャフトは前記弾性部材を介して連結され、操舵トルクが作用していない時、前記第1バルブ部材と前記第2バルブ部材とが操舵補助力を発生させない位置に相対配置されるように、前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転を阻止する位置決め手段が設けられていることを特徴とする。
本発明方法は、本発明の油圧パワーステアリング装置を製造するに際して、前記入出力シャフトを前記弾性部材を介して連結した後に、前記位置決め手段を介して前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転を阻止することを特徴とする。なお、前記押し付け部の溝の中央位置と前記被押し付け部の溝の中央位置とが前記入出力シャフトの径方向において相対向する構成としては、入出力シャフトの軸心と両中央位置とが1つの径方向直線上にあることが好ましい。
本発明の油圧パワーステアリング装置は、前記入出力シャフトの中の一方に対して同軸中心に相対回転可能な環状部材が、前記第1バルブ部材に同軸中心に同行回転するように連結され、前記入出力シャフトの中の他方が、前記第2バルブ部材に同軸中心に同行回転するよう一体化され、操舵トルクが作用していない時、前記押し付け部の溝の中央位置と前記被押し付け部の溝の中央位置とが前記入出力シャフトの径方向において相対向する位置に相対配置されるように、前記入出力シャフトは前記弾性部材を介して連結され、操舵トルクが作用していない時、前記第1バルブ部材と前記第2バルブ部材とが操舵補助力を発生させない位置に相対配置されるように、前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転を阻止する位置決め手段が設けられていることを特徴とする。
本発明方法は、本発明の油圧パワーステアリング装置を製造するに際して、前記入出力シャフトを前記弾性部材を介して連結した後に、前記位置決め手段を介して前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転を阻止することを特徴とする。なお、前記押し付け部の溝の中央位置と前記被押し付け部の溝の中央位置とが前記入出力シャフトの径方向において相対向する構成としては、入出力シャフトの軸心と両中央位置とが1つの径方向直線上にあることが好ましい。
本発明によれば、押し付け部の溝の中央位置と被押し付け部の溝の中央位置とを、入出力シャフトの径方向において相対向するように相対配置させた状態で、入出力シャフトを弾性部材を介して連結し、しかる後に、制御バルブにより所望の油圧制御特性が得られるように両バルブ部材の相対回転方向における相対位置の位置決めをすることができる。しかる後に、入出力シャフトの中の一方に対する環状部材の相対回転を位置決め手段により阻止することで、操舵トルクに応じた入出力シャフトの相対回転量が両バルブ部材の相対回転量に等しくなり、操舵トルクが作用していない時に操舵補助力が発生したり両溝の相対配置が変化するのを防止できる。
前記位置決め手段は、前記環状部材と前記入出力シャフトの中の一方とに形成されるピン孔と、前記ピン孔に圧入されるピンとを有し、前記ピン孔に前記ピンが圧入されることで、前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転が阻止されるものとすることができる。この場合、両バルブ部材の相対回転方向における相対位置の位置決めをした後に、環状部材と入出力シャフトの中の一方とにピン孔を形成し、その孔にピンを圧入すればよい。
前記位置決め手段は、ネジ保持部と、前記ネジ保持部にねじ合わされる一対のネジ部材と、前記両ネジ部材の間に配置される受部とを有し、前記ネジ保持部と前記受部の中の一方は、前記入出力シャフトの中の一方に同行回転するように一体化され、前記ネジ保持部と前記受部の中の他方は、前記環状部材に同行回転するように一体化され、前記ネジ保持部にネジ込まれる一方の前記ネジ部材により前記受部を押し付けることで、前記環状部材に回転方向一方への回転力が付与され、前記ネジ保持部にネジ込まれる他方の前記ネジ部材により前記受部を押し付けることで、前記環状部材に回転方向他方への回転力が付与され、前記両ネジ部材により前記受部が挟まれることで、前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転が阻止されるのが好ましい。この場合、両バルブ部材の相対回転方向における相対位置の位置決めを、ネジ保持部に対するネジ部材のねじ込み量を変化させ、環状部材と共に第1バルブ部材を回転させることで行うことができる。しかも、その位置決めの終了後に両ネジ部材により受部を挟み込むだけでよく、ピン孔を形成したり圧入作業を行う必要がなく作業を容易かつ迅速に行うことができる。
前記位置決め手段は、前記環状部材の内外周面の中の一方と、前記入出力シャフトの中の一方に一体的に形成される環状面とを有し、前記環状面に前記環状部材が前記内外周面の中の一方を介して圧入されることで、前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転が阻止されるのが好ましい。この場合、両バルブ部材の相対回転方向における相対位置の位置決めをした後に、環状部材を内周面または外周面を介して入出力シャフトの中の一方に形成された環状面に圧入するだけでよく、ピン孔を形成する必要がなく作業を容易かつ迅速に行うことができ、しかも部品点数を削減できる。
本発明によれば、車速等の運転状態に応じて操舵補助力を変化させる油圧パワーステアリング装置において、低コストで簡単な構造により良好な操舵フィーリングを得ることができる。
図1に示す本発明の実施形態のラックピニオン式油圧パワーステアリング装置1は、車両のステアリングホイール(図示省略)に連結される入力シャフト2と、入力シャフト2に操舵トルクに応じて弾性的に相対回転するようトーションバー(弾性部材)6を介して同軸中心に連結される出力シャフト3を備えている。すなわち、トーションバー6は入力シャフト2を貫通し、ピン4を介して入力シャフト2に連結され、セレーション5を介して出力シャフト3に連結され、これにより入力シャフト2と出力シャフト3は同軸中心に弾性的に相対回転する。入力シャフト2の一端側はベアリング8を介してハウジング7により支持される。入力シャフト2の他端側は、出力シャフト3の一端側の端部に形成された凹部に挿入されると共に、その凹部の内周によりブッシュ12を介して支持される。出力シャフト3は、ベアリング10、11を介してハウジング7により回転可能に支持されている。出力シャフト3の他端側外周にピニオン15が一体的に形成され、ピニオン15に噛み合うラック16に車輪(図示省略)が連結される。これにより、操舵による入力シャフト2の回転は、トーションバー6を介してピニオン15に伝達され、ピニオン15の回転によりラック16は車両幅方向に移動し、ラック16の移動により車両の舵角が変化する。なお、ラック16を支持するサポートヨーク40がバネ41の弾力によりラック16に押し付けられている。
操舵補助力発生用油圧アクチュエータとして油圧シリンダ20が設けられている。油圧シリンダ20は、ハウジング7と一体のシリンダチューブと、ラック16に一体化されるピストン21を備え、シリンダチューブ内にピストン21により仕切られる油室22、23が形成されている。
油圧シリンダ20に供給される圧油の油圧を、ハウジング7に回転可能に挿入されている筒状の第1バルブ部材31と、第1バルブ部材31に同軸中心に相対回転可能に挿入されている第2バルブ部材32の相対回転量に応じて制御するロータリー式油圧制御バルブ30が設けられている。第2バルブ部材32は入力シャフト2の外周に一体的に成形され、これにより第2バルブ部材32は入力シャフト2と同軸中心に同行回転する。ハウジング7に、圧油吐出用ポンプ42に接続されるポートと、タンク43に接続されるポートと、油圧シリンダ20の一方の油室22に接続されるポートと、他方の油室23に接続されるポートが設けられ、各ポートは第1バルブ部材31と第2バルブ部材32の間における流路27を介して互いに連通する。その流路27における絞り部の開度が両バルブ部材31、32の相対回転量に応じて変化する。例えば図2に示すように、第1バルブ部材31の内周における複数の第1溝48の軸方向縁と、第2バルブ部材32の外周における複数の第2溝49の軸方向縁との間が絞り部A、B、C、Dとされ、一方の油室22に通じる第1溝48と他方の油室23に通じる第1溝48とが周方向において交互に配置され、ポンプ42に通じる第2溝49とトーションバー6と入力シャフト2との間を介してタンク43に通じる第2溝49とが周方向において交互に配置される。これにより、図3に示す油圧回路が構成される。操舵が行なわれていない時は、各絞り部A、B、C、Dが開き油圧は上昇しないので操舵補助力は発生しない。右操舵時は、両バルブ部材31、32の相対回転量に応じて絞り部A、Dの開度が大きくなり、絞り部B、Cの開度が小さくなり、一方の油室22に圧油が供給され、他方の油室23からタンク43に油が還流し、その相対回転量に応じた右方向への操舵補助力を油圧シリンダ20は発生する。左操舵時は、絞り部A、B、C、Dの開度が右操舵時と逆になり、その相対回転量に応じた左方向への操舵補助力を油圧シリンダ20は発生する。
入力シャフト2と出力シャフト3の相対回転を車両の運転状態に応じて規制する規制手段50が設けられている。図4、図5に示すように、規制手段50は、出力シャフト3に周方向等間隔をおいて形成された複数(本実施形態では2つ)のガイド孔51と、入力シャフト2の外周に周方向等間隔をおいて形成された複数(本実施形態では2つ)の被押し付け部2aと、各ガイド孔51に挿入されたプランジャ52と、各被押し付け部2aと各プランジャ52の一端に形成された押し付け部52aとの間に配置される鋼球により構成される球体59と、図1、図7に示す油圧調節機構60を有する。
出力シャフト3の一端側は周壁3aとされ、周壁3aに上記各ガイド孔51が形成されている。各ガイド孔51の一端は被押し付け部2aに対向するように開口し、各ガイド孔51の他端はハウジング7に対向するように開口する。各ガイド孔51の内周は円柱面に沿うものとされ、その孔心は入出力シャフト2、3の径方向に沿う。
各プランジャ52は、被押し付け部2aに対して近接する方向と離隔する方向とに入出力シャフト2、3の径方向に沿って往復移動可能とされている。ガイド孔51の内周とプランジャ52の外周との間をシールするオイルシール53aが設けられていれる。ガイド孔51の内周とプランジャ52の外周それぞれに、入出力シャフト2、3の径方向に沿って複数のガイド溝51′、52′が形成され、各ガイド溝51′、52′を転動する鋼球53bがリテーナ53cにより保持され、プランジャ52の移動の円滑化が図られている。
各被押し付け部2aは、入出力シャフト2、3の軸方向に沿い入力シャフト2に形成された溝2″の相対向する内側面により構成され、溝2″は本実施形態では入出力シャフト2、3の軸方向視でV字状とされ、これにより溝2″の両内側面は溝中央に向かうに従い互いに近接する。
各プランジャ52の一端における押し付け部52aは、入出力シャフト2、3の軸方向に沿い形成される溝52″における相対向する内側面により構成され、溝52″は本実施形態では入出力シャフト2、3の軸方向視でV字状とされ、これにより溝52″の両内側面は溝中央に向かうに従い互いに近接する。なお、溝52″内に球体59がシャフト軸方向に変位するのを規制する規制片52dが設けられている。
図5に示すように、操舵トルクが作用していない時、押し付け部52aの溝52″の中央位置と被押し付け部2aの溝2″の中央位置とが入出力シャフト2、3の径方向において相対向する位置に相対配置されるように、入出力シャフト2、3はトーションバー6を介して連結される。両溝52″、溝2″の中央位置が入出力シャフト2、3の径方向において相対向する時、球体59は図6において実線で示すように、溝52″の両内側面と溝2″の両内側面とに接する。よって、両溝52″、2″の中央位置を入出力シャフト2、3の径方向において対向させるための入出力シャフト2、3の相対回転方向における位置決めは、球体59が各溝2″、52″の両内側面に接するまで入出力シャフト2、3を相対回転させることで行うことができる。両溝52″、2″の中央位置を入出力シャフト2、3の径方向において相対向する位置に位置決めした後に、出力シャフト3にセレーション5を介して連結されたトーションバー6がピン4を介して入力シャフト2に連結される。これにより、操舵トルクの作用により入出力シャフト2、3が相対回転すると、押し付け部52aの溝52″の中央位置と被押し付け部2aの溝2″の中央位置は、入出力シャフト2、3の径方向において対向しなくなり、図6において2点鎖線で示すようにプランジャ52が入出力シャフト2、3の径方向に沿って移動し、球体59と押し付け部52aとの接触位置が変化する。
図4に示すように、出力シャフト3の外周とハウジング7の内周との間を油密状にシールする一対のシール部材55、56が軸方向間隔をおいて設けられ、両シール部材55、56の間に各プランジャ52が位置される。これにより、各プランジャ52の他端とハウジング7の内周との間は油室57とされ、両油室57は周壁3aの外周に形成された周溝3a″を介して連通する。油室57はポンプ42に油圧調節機構60を介して接続される。油圧調節機構60は、各球体59を介して各被押し付け部2aを押し付けるために各プランジャ52に作用させる油圧を車両の運転状態に応じて調節する。その押し付けにより入力シャフト2と出力シャフト3の相対回転を規制することができる。
図7に示すように、本実施形態の油圧調節機構60は、ハウジング7に一体化された補助ハウジング7′における第1保持孔61aに軸方向移動可能に挿入された筒状第1スプール62aと、第2保持孔61bに軸方向移動可能に挿入された筒状第2スプール62bと、アクチュエータ66を備えている。補助ハウジング7′に、ポンプ42の吐出側を制御バルブ30を介して第1保持孔61aに接続する圧油導入ポート7aと、油室57を第2保持孔61bに接続する圧油送り出しポート7bが形成されている。第1スプール62aに圧油導入ポート7aに通じる外周溝62a′が形成され、第1保持孔61aの内周に内周溝61a′が形成され、内周溝61a′は油路7cを介して第2保持孔61bに通じる。第2スプール62bに、その中央孔と圧油送り出しポート7bを連通する油路62b′が形成されている。外周溝62a′と内周溝61a′の重なり領域が可変絞り60aを構成する。これにより、ポンプ42の吐出圧が圧油導入ポート7a、外周溝62a′、可変絞り60a、内周溝61a′、油路7c、第2保持孔61b、第2スプール62bの中央孔、油路62b′、圧油送り出しポート7bを介して油室57内のプランジャ52に作用する。可変絞り60aの開度は第1スプール62aの軸方向移動量に応じて変化する。アクチュエータ66は、ソレノイド66aの発生磁力により変位するプランジャ66bを有し、プランジャ66bの変位により第1スプール62aは軸方向駆動される。すなわち、第1保持孔61aの一端を閉鎖するよう補助ハウジング7′にねじ込まれる第1プラグ70と第1スプール62aの一端の間に圧縮バネ71が配置され、圧縮バネ71の弾力により第1スプール62aの他端がプランジャ66bに押し付けられ、ソレノイド66aの発生磁力が制御装置67により制御される。制御装置67は、車両の運転状態を検知するセンサからの信号に応じてソレノイド66aの発生磁力を制御する。本実施形態では、車両の運転状態として車速が検出され、車速が高速になる程に可変絞り60aの開度が大きくされる。すなわち、高速走行時には可変絞り60aの開度を大きくすることで球体59を介して被押し付け部2aを押し付ける油圧を大きくし、入出力シャフト2、3の相対回転の規制力を増加させる。車速が低下する程に可変絞り60aの開度を小さくして被押し付け部2aを押し付ける油圧を小さくし、入出力シャフト2、3の相対回転の規制を緩和する。これにより、高車速時は入力シャフト2と出力シャフト3の相対回転量に応じた操舵補助力発生用油圧の増加が規制されて走行安定性が図られ、低車速時は操舵補助力発生用油圧の増加規制が緩和されて操舵の高応答性が図られる。なお、第2保持孔61bの一端を閉鎖するよう補助ハウジング7′にねじ込まれる第2プラグ72と第2スプール62bの一端間に圧縮バネ73が配置され、圧縮バネ73の弾力により第2スプール62bの他端が第2保持孔61bの内周段差に押し付けられる。第2スプール62bは他端に過大な油圧が作用すると、バネ73の弾力に抗して変位し、油路62b′と圧油送り出しポート7bとの間の流路面積を小さくし、プランジャ52に作用する油圧が過大になるのが防止される。
図4、8、9に示すように、入力シャフト2に対して同軸中心に相対回転可能な環状部材80が、第1バルブ部材31に同軸中心に同行回転するように連結されている。本実施形態の環状部材80は、円環部80aと、円環部80aの内周から入出力シャフト2、3の軸方向に沿って延びる筒状部80bとを有し、円環部80aの外周は出力シャフト3の上端に形成された円周に沿う段差面3bに同軸中心に相対回転可能に嵌め合わされる。筒状部80bにピン82が圧入一体化される。ピン82は、環状部材80から入出力シャフト2、3の径方向に沿って突出し、第1バルブ部材31の下端において開口する切欠き31aに挿入されることで、環状部材80と第1バルブ部材31は同軸中心に同行回転する。
操舵トルクが作用していない時、第1バルブ部材31と第2バルブ部材32とが操舵補助力を発生させない位置、すなわち各絞り部A、B、C、Dの開度が操舵トルクが作用していない状態から左操舵した時と右操舵した時とで上記のように互いに逆に変化する位置に相対配置されるように、出力シャフト3に対する環状部材80の相対回転を阻止する位置決め手段90が設けられている。本実施形態の位置決め手段90は、環状部材80と出力シャフト3とに形成されるピン孔80″、3″と、ピン孔80″、3″に圧入されるピン91とを有する。ピン孔80″、3″にピン91が圧入されることで、出力シャフト3に対する環状部材80の相対回転が阻止される。これにより、入出力シャフト2、3をトーションバー6を介して連結した後に、位置決め手段90を介して出力シャフト3に対する環状部材80の相対回転を阻止する。
上記実施形態によれば、押し付け部52aの溝52″の中央位置と被押し付け部2aの溝2″の中央位置とを、入出力シャフト2、3の径方向において相対向するように相対配置させた状態で、入出力シャフト2、3をトーションバー6を介して連結し、しかる後に、制御バルブ30により所望の油圧制御特性が得られるように両バルブ部材31、32の相対回転方向における相対位置の位置決めをすることができる。しかる後に、出力シャフト3に対する環状部材80の相対回転を位置決め手段90により阻止することで、操舵トルクに応じた入出力シャフト2、3の相対回転量が両バルブ部材31、32の相対回転量に等しくなり、操舵トルクが作用していない時に操舵補助力が発生したり両溝2″、52″の相対配置が変化するのを防止できる。
図10、図11は、上記実施形態の位置決め手段90に代わる第1変形例に係る位置決め手段190を示す。本変形例の位置決め手段190は、ネジ保持部191と、ネジ保持部191にねじ合わされる一対のネジ部材192a、192bと、受部193とを有する。ネジ保持部191は、出力シャフト3の上端面に一体化される一対の突出部191a、191bにより構成されることで出力シャフト3と同行回転する。一方の突出部191aに一方のネジ部材192aがねじ合わされ、他方の突出部191bに他方のネジ部材192bがねじ合わされる。受部193は、両ネジ部材192a、192bの間に配置され、環状部材80の上端面に同行回転するように一体化されている。ネジ保持部191にネジ込まれる一方のネジ部材192aにより受部193を押し付けることで、環状部材80に回転方向一方への回転力が付与され、ネジ保持部191にネジ込まれる他方のネジ部材192bにより受部193を押し付けることで、環状部材80に回転方向他方への回転力が付与される。両ネジ部材192a、192bにより受部193が挟まれることで、出力シャフト3に対する環状部材80の相対回転が阻止される。これにより、両バルブ部材31、32の相対回転方向における相対位置の位置決めを、ネジ保持部191に対するネジ部材192a、192bのねじ込み量を変化させ、環状部材80と共に第1バルブ部材31を回転させることで行うことができる。しかも、その位置決めの終了後に両ネジ部材192a、192bにより受部193を挟み込むだけでよく、ピン孔を形成したり圧入作業を行う必要がなく作業を容易かつ迅速に行うことができる。他は上記実施形態と同様で同一部分は同一符号で示す。
図12は、上記位置決め手段90に代わる第2変形例に係る位置決め手段290を示す。また、本変形例では上記実施形態の環状部材80と異なる環状部材280が用いられ、環状部材280は円環形状を有し、第1バルブ部材31の切欠き31aに挿入されるピン82は環状部材280から入出力シャフト2、3の軸方向に沿って突出する。本変形例の位置決め手段290は、環状部材280の内周面280′と、出力シャフト3に同心に一体的に形成される円周に沿う環状面3′とを有する。ピン82を切欠き31aに挿入し、両バルブ部材31、32の相対回転方向における相対位置の位置決めを行った後に、環状面3′に環状部材280が内周面280′を介して同軸に圧入されることで、出力シャフト3に対する環状部材280の相対回転が阻止される。これにより、両バルブ部材31、32の相対回転方向における相対位置の位置決めをした後に、環状部材280を内周面280′を介して環状面3′に圧入するだけでよく、ピン孔を形成する必要がなく作業を容易かつ迅速に行うことができ、しかも部品点数を削減できる。他は上記実施形態と同様で同一部分は同一符号で示す。
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態ではガイド孔、プランジャ、球体は2つとされているが、その数は特に限定されない。また、入力シャフトと出力シャフトをトーションバー以外の弾性部材を介して連結してもよい。車両の運転状態として車速以外の例えば舵角に応じて油圧調節機構により油圧を調節するようにしてもよい。また、入力シャフトにガイド孔を形成し、プランジャに作用させる油圧により球体を介して出力シャフトを押し付けてもよく、この場合、環状部材を出力シャフトに同軸中心に相対回転可能に嵌め合わせ、環状部材の入力シャフトに対する相対回転を位置決め手段により阻止すればよい。本発明はラックピニオン式以外の油圧パワーステアリング装置にも適用でき、例えば出力シャフトがボールスクリューシャフトに一体化されているボールスクリュー式油圧パワーステアリング装置に適用してもよい。
2 入力シャフト
2a 被押し付け部
2″ 溝
3 出力シャフト
3′ 環状面
3″ ピン孔
6 トーションバー(弾性部材)
20 油圧シリンダ(操舵補助力発生用油圧アクチュエータ)
30 制御バルブ
31 第1バルブ部材
32 第2バルブ部材
50 規制手段
51 ガイド孔
52 プランジャ
52a 押し付け部
52″ 溝
59 球体
60 油圧調節機構
80 環状部材
80″ ピン孔
90、190、290 位置決め手段
91 ピン
191 ネジ保持部
192a、192b ネジ部材
193 受部
280 環状部材
280′ 内周面
2a 被押し付け部
2″ 溝
3 出力シャフト
3′ 環状面
3″ ピン孔
6 トーションバー(弾性部材)
20 油圧シリンダ(操舵補助力発生用油圧アクチュエータ)
30 制御バルブ
31 第1バルブ部材
32 第2バルブ部材
50 規制手段
51 ガイド孔
52 プランジャ
52a 押し付け部
52″ 溝
59 球体
60 油圧調節機構
80 環状部材
80″ ピン孔
90、190、290 位置決め手段
91 ピン
191 ネジ保持部
192a、192b ネジ部材
193 受部
280 環状部材
280′ 内周面
Claims (4)
- 入力シャフトと、
前記入力シャフトに、操舵トルクに応じて弾性的に相対回転するよう弾性部材を介して同軸中心に連結される出力シャフトと、
操舵補助力発生用油圧アクチュエータと、
筒状の第1バルブ部材と、前記第1バルブ部材に同軸中心に相対回転可能に挿入される第2バルブ部材とを有する制御バルブと、
前記入出力シャフトの相対回転を車両の運転状態に応じて規制する規制手段とを備え、
前記両バルブ部材の相対回転量に応じて前記油圧アクチュエータに供給される圧油の油圧が制御され、
前記規制手段は、前記入出力シャフトの中の一方に周方向等間隔をおいて形成される複数のガイド孔と、他方に周方向等間隔をおいて形成される複数の被押し付け部と、前記各被押し付け部に対して近接する方向と離隔する方向とに往復移動可能に前記各ガイド孔に挿入されるプランジャと、前記各被押し付け部と前記各プランジャの一端に形成される押し付け部との間に配置される球体と、前記各球体を介して前記各被押し付け部を押し付けるために前記各プランジャに作用させる油圧を車両の運転状態に応じて調節する油圧調節機構とを有し、
前記各押し付け部それぞれと前記各被押し付け部それぞれは、前記入出力シャフトの軸方向に沿い形成される溝における相対向する内側面により構成され、各溝それぞれにおける相対向する内側面は、溝中央に向かうに従い互いに近接するものとされている油圧パワーステアリング装置において、
前記入出力シャフトの中の一方に対して同軸中心に相対回転可能な環状部材が、前記第1バルブ部材に同軸中心に同行回転するように連結され、
前記入出力シャフトの中の他方が、前記第2バルブ部材に同軸中心に同行回転するよう一体化され、
操舵トルクが作用していない時、前記押し付け部の溝の中央位置と前記被押し付け部の溝の中央位置とが前記入出力シャフトの径方向において相対向する位置に相対配置されるように、前記入出力シャフトは前記弾性部材を介して連結され、
操舵トルクが作用していない時、前記第1バルブ部材と前記第2バルブ部材とが操舵補助力を発生させない位置に相対配置されるように、前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転を阻止する位置決め手段が設けられていることを特徴とする油圧パワーステアリング装置。 - 前記位置決め手段は、ネジ保持部と、前記ネジ保持部にねじ合わされる一対のネジ部材と、前記両ネジ部材の間に配置される受部とを有し、
前記ネジ保持部と前記受部の中の一方は、前記入出力シャフトの中の一方に同行回転するように一体化され、
前記ネジ保持部と前記受部の中の他方は、前記環状部材に同行回転するように一体化され、
前記ネジ保持部にネジ込まれる一方の前記ネジ部材により前記受部を押し付けることで、前記環状部材に回転方向一方への回転力が付与され、
前記ネジ保持部にネジ込まれる他方の前記ネジ部材により前記受部を押し付けることで、前記環状部材に回転方向他方への回転力が付与され、
前記両ネジ部材により前記受部が挟まれることで、前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転が阻止される請求項1に記載の油圧パワーステアリング装置。 - 前記位置決め手段は、前記環状部材の内外周面の中の一方と、前記入出力シャフトの中の一方に一体的に形成される環状面とを有し、
前記環状面に前記環状部材が前記内外周面の中の一方を介して圧入されることで、前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転が阻止される請求項1に記載の油圧パワーステアリング装置。 - 請求項1〜3の中の何れかに記載の油圧パワーステアリング装置を製造するに際して、
前記入出力シャフトを前記弾性部材を介して連結した後に、前記位置決め手段を介して前記入出力シャフトの中の一方に対する前記環状部材の相対回転を阻止することを特徴とする油圧パワーステアリング装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004364932A JP2006168579A (ja) | 2004-12-16 | 2004-12-16 | 油圧パワーステアリング装置とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004364932A JP2006168579A (ja) | 2004-12-16 | 2004-12-16 | 油圧パワーステアリング装置とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006168579A true JP2006168579A (ja) | 2006-06-29 |
Family
ID=36669774
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004364932A Pending JP2006168579A (ja) | 2004-12-16 | 2004-12-16 | 油圧パワーステアリング装置とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006168579A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019142433A (ja) * | 2018-02-23 | 2019-08-29 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | ステアリング装置 |
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-
2004
- 2004-12-16 JP JP2004364932A patent/JP2006168579A/ja active Pending
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