JP2006152918A - 斜板式可変容量圧縮機 - Google Patents

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清彦 榊原
Masaki Ota
太田  雅樹
Makoto Yoshida
吉田  誠
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Abstract

【課題】容量制御性を良好とすることを優先する状態と、回転抵抗の低減を優先する状態との一方から他方へ切り換えることができる斜板式可変容量圧縮機を提供する。
【解決手段】駆動軸18と一体的に回転する斜板支持部材23には斜板22が支持されている。斜板支持部材23と斜板22とが一体的に回転する第1状態と、斜板22が斜板支持部材23に対して相対回転可能な第2状態とに移行可能である。斜板支持部材23側に設けられた圧縮バネ48のバネ力及び斜板22と斜板支持部材23との間に設けた球体52に作用する遠心力によって、駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22を付勢する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転する駆動軸から駆動力を得て回転する傾角可変な斜板を備え、前記斜板に係留されたピストンが前記斜板の回転に基づいて前記斜板の傾角に応じたストロークで往復動する斜板式可変容量圧縮機に関する。
例えば、車両空調装置の冷媒循環回路において用いられる斜板式可変容量圧縮機としては、エンジンの出力軸に接続された駆動軸と、この駆動軸に一体回転可能かつ傾動可能に支持された斜板と、この斜板にシューを介して係留されたピストンとを備えたものが存在する。
このような斜板式可変容量圧縮機では、駆動軸の回転によって斜板が回転すると、斜板の回転力がシューを介してピストンに伝わり、ピストンが往復運動して冷媒の圧縮が行われる。また、駆動軸に対する斜板の傾角を変更することにより、ピストンのストロークを変更することができ、これにより斜板式可変容量圧縮機の吐出容量が変更可能となっている。
斜板式可変容量圧縮機としては、エンジンと駆動軸との間の動力伝達機構に電磁クラッチを設けたもの(クラッチ付きタイプ)以外にも、動力伝達機構に電磁クラッチを設けず、エンジンからの動力が常時伝達されるもの(クラッチレスタイプ)も存在する。クラッチレスタイプの斜板式可変容量圧縮機は、エンジンの稼働時には、エンジンによって駆動軸が常時回転駆動される。従って、車両空調装置では、冷房不要時等においては、斜板の傾角を最小にして斜板式可変容量圧縮機の吐出容量を最小化することが行われる。吐出容量の最小化は、エンジンに対する動力負荷の軽減、ひいてはエンジンの燃費の向上をもたらす。
しかしながら、前記したクラッチ付きタイプ及びクラッチレスタイプの斜板式可変容量圧縮機においては、斜板に対してシューが摺接する構成を有している。従って、斜板とシューとの接触部分における摺動抵抗に起因した機械的損失が大きく、エンジンに対する動力負荷が大きいという問題があった。特に、クラッチレスタイプの斜板式可変容量圧縮機においては、吐出容量最小状態におけるエンジンに対する動力負荷をさらに軽減するために、斜板とシューとの接触部分における摺動抵抗に起因した機械的損失をさらに低減することが従来から望まれていた。
このような要望に対処するため、駆動軸に斜板ガイド部材を一体回転可能及び傾動可能に連結し、斜板ガイド部材にベアリングを介して斜板を回転可能に支持した斜板式可変容量圧縮機の改良構成も従来から提案されている(例えば特許文献1参照)。
この改良構成によれば、駆動軸の回転に応じて斜板ガイド部材が回転すると、斜板ガイド部材と斜板との間には滑りが生じる。従って、斜板の回転速度は、斜板ガイド部材の回転速度よりも低下し、斜板とシューとの相対回転速度は、シューと斜板ガイド部材との相対回転速度よりも低下する。よって、斜板とシューとの接触部分における摺動抵抗に起因した機械的損失を低減することができ、ひいては斜板式可変容量圧縮機のエンジンに対する動力負荷を軽減することができる。
特開平10−196525号公報(第1図)
ところが、前記した改良構成の斜板式可変容量圧縮機においては、斜板の回転速度が斜板ガイド部材の回転速度よりも小さいため、斜板に作用する遠心力はごく小さいものとなる。斜板に作用する遠心力は、ピストンを介したシリンダボアからの圧縮反力やピストンの往復運動に伴う慣性力を打ち消すように作用する。つまり、斜板に作用する遠心力は、斜板の傾角を減少させるように作用し、圧縮反力やピストンの慣性力は、斜板の傾角を増大させるように作用する。
従って、斜板に作用する遠心力が小さいと、斜板の傾角を圧縮反力やピストンの慣性力に抗して円滑に減少させることが困難となる問題、つまり斜板式可変容量圧縮機の容量制御性を良好とし得ない問題があった。
以上のように従来においては、斜板式可変容量圧縮機の容量制御性を優先する構成を採用すれば、斜板とシューとの間で発生する摺動抵抗に起因した機械的損失が大きくなり、逆に、斜板とシューとの間で発生する摺動抵抗に起因した機械的損失の低減を優先する構成を採用すれば、斜板式可変容量圧縮機の容量制御性が悪化するジレンマがあった。
本発明の目的は、容量制御性を良好とすることを優先する状態と、機械的損失の低減を優先する状態との一方から他方へ切り換えることができる斜板式可変容量圧縮機を提供することにある。
本発明は、回転する駆動軸から駆動力を得て回転する傾角可変な斜板を備え、前記斜板に係留されたピストンが前記斜板の回転に基づいて前記斜板の傾角に応じたストロークで往復動する斜板式可変容量圧縮機において、前記駆動軸と一体回転可能かつ傾動可能に前記駆動軸に連結され、前記斜板を該斜板の中心軸線に沿う方向へスライド移動可能に支持する斜板支持部材と、前記斜板支持部材に形成され、前記斜板に前記駆動力を伝達する駆動力伝達部と、前記斜板の前記駆動力伝達部に対向する位置に形成され、該斜板の前記斜板支持部材に対する前記中心軸線に沿う方向へのスライド移動により前記駆動力伝達部と接続/切離される受動部と、前記斜板支持部材と前記斜板との間で、該斜板支持部材に設けられ、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ該斜板を弾性力で付勢可能な弾性付勢手段と、前記斜板支持部材と一体回転可能かつ前記斜板に係合可能に設けられ、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ該斜板を遠心力で付勢可能な接続解除部材とを備え、前記駆動力伝達部と前記受動部とが接続されることにより、前記斜板と前記斜板支持部材とが一体回転可能な第1状態となり、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離されることにより、前記斜板と前記斜板支持部材とが相対回転可能な第2状態となり、前記駆動力伝達部と前記受動部とが接続される方向へ該斜板を付勢する第1付勢力が、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ該斜板を付勢する第2付勢力より大きいときに該斜板がスライド移動して前記第2状態から前記第1状態へ移行し、前記第2付勢力が前記第1付勢力より大きく、かつ前記斜板の傾角が最小のときに該斜板がスライド移動して前記第1状態から前記第2状態へ移行し、前記第1付勢力は、前記ピストンの往復動に起因する力であり、前記第2付勢力は、前記弾性付勢手段と前記接続解除部材とを備えることで生じることを特徴とする。
駆動軸が回転しているとき、第2付勢力より第1付勢力が大きいとき、第1状態となり、斜板支持部材と斜板とが一体回転し、第1付勢力より第2付勢力が大きくなり、かつ斜板の傾角が最小のとき、第2状態となり、斜板が斜板支持部材に対して相対回転する。この相対回転状態は、斜板の回転速度が斜板支持部材の回転速度よりも小さくなる状態である。第1状態のときには、斜板に作用する遠心力は、第2状態のときよりも大きくなり、斜板式可変容量圧縮機の容量制御性を良好とすることができる。第2状態のときには、斜板の回転速度が斜板支持部材の回転速度よりも小さくなるので、斜板とシューとの間で発生する摺動抵抗に起因した機械的損失を低減することができる。つまり、容量制御性を良好とすることを優先する状態と、機械的損失の低減を優先する状態との一方から他方へ切り換えることができる。
斜板に作用する弾性付勢手段の弾性力の強さは、駆動軸の回転速度の変動によっては直接の影響を受けないが、斜板支持部材と一体的に回転する接続解除部材に作用する遠心力は、駆動軸の回転速度が大きくなるほど大きくなる。駆動軸の回転速度に左右される遠心力と、駆動軸の回転速度に左右されない弾性力とを組み合わせて第1状態と第2状態との一方から他方への移行を行なう構成では、第1状態と第2状態との間での移行に適した状況に合わせて、第1状態と第2状態との間の移行を確実に行なうことが可能となる。
また、斜板の傾角が最小になるときは、斜板式可変容量圧縮機の圧縮容量が最小状態の時であり、圧縮を求められていない状態であり、斜板とシューとの間で発生する摺動抵抗に起因した機械的損失の低減を最も必要とされる状態である。従って、第1状態から第2状態への移行に適した状況である。
好適な例では、前記接続解除部材は、前記第1状態から前記第2状態へ移行される際に、前記斜板支持部材と前記斜板とに係合する。
遠心力によって斜板支持部材と斜板とに係合する接続解除部材は、斜板支持部材と斜板とから遠心力の作用に対する反作用を受ける。斜板支持部材と斜板とから反作用を受ける接続解除部材は、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ該斜板を付勢して第1状態から第2状態へ移行させようとする。
好適な例では、前記接続解除部材は、前記ピストンを上死点位置に配置する前記斜板支持部材の上死点対応領域に配設されている。
斜板の上死点対応位置付近(つまり、斜板支持部材の上死点対応領域)には、複数のピストン側からの圧縮反力が偏って(集中して)作用されている。したがって、第1状態から第2状態へ移行されるとき(駆動力伝達部と受動部とが切離される方向に斜板が斜板支持部材に対してスライド移動するとき)において、斜板の上死点対応位置付近は、強い圧縮反力に妨げられて他の部位よりも移動し難くなっている。ピストンを上死点位置に配置する斜板支持部材の上死点対応領域に接続解除部材を配設した構成は、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ前記斜板を付勢して、円滑にスライド移動させる(第1状態から第2状態へ移行させる)上で有利である。
好適な例では、前記斜板支持部材は第1伝達面を有し、前記斜板は第2伝達面を有し、前記接続解除部材は、前記第1伝達面と前記第2伝達面とに係合して、前記斜板を付勢する。
遠心力によって第1伝達面と第2伝達面とに係合する接続解除部材は、第1伝達面と第2伝達面とから反作用を受ける。第1伝達面と第2伝達面とから遠心力の作用に対する反作用を受ける接続解除部材は、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ前記斜板を付勢する。
好適な例では、前記第1伝達面は、前記ピストンを上死点位置に配置する前記斜板支持部材の上死点対応領域に設けられている。
ピストンを上死点位置に配置する斜板支持部材の上死点対応領域に第1伝達面を設けた構成は、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ前記斜板を付勢して、円滑にスライド移動させる(第1状態から第2状態へ移行させる)上で有利である。
好適な例では、前記第2伝達面は、前記駆動軸の周りを一周するように前記斜板に設けられている。
接続解除部材が遠心力によって斜板に係合するときには、接続解除部材は、駆動軸の周りを一周するように斜板に設けられた環状の第2伝達面に常に接する。
好適な例では、前記第1伝達面に対向する前記第2伝達面の部位と前記第1伝達面とは、第1状態のときには、前記遠心力の作用方向に向かうにつれて接近してゆく。
すなわち、第1状態のときには、第1伝達面と第2伝達面とは、遠心力の作用方向に向かうにつれて狭くなってゆく楔形状の空隙を形成することとなる。第1状態から第2状態へ移行されるときには、接続解除部材が遠心力によって楔形状の空隙へ入り込んでゆき、第1伝達面と対向する第2伝達面の部位が第1伝達面から遠ざけられる。楔形状の空隙を形成する第1伝達面と第2伝達面とに接続解除部材を係合させる構成は、第1状態から第2状態へ移行させる上で、簡便な構成である。
好適な例では、前記接続解除部材は、球体である。
球体は、接続解除部材に作用する遠心力によって駆動力伝達部と受動部とが切離される方向に斜板を付勢する接続解除部材として好適な形状をしている。
好適な例では、前記球体は、前記斜板の周方向に複数並べて設けられている。
複数の球体を設けた構成は、スペースの制約のもとに接続解除部材の重量を稼ぐ上で有効である。
好適な例では、前記弾性付勢手段と前記斜板との間には弾性力伝達用球面体が介在されており、前記弾性付勢手段の弾性力が前記弾性力伝達用球面体を介して前記斜板に作用し、前記弾性力伝達用球面体の球面が前記斜板に接している。
弾性力伝達用球面体を弾性付勢手段と斜板との間に介すことは、弾性付勢手段の弾性力を前記斜板に伝える上で、弾性付勢手段が弾性力伝達用球体を介さずに直接斜板と接触する場合と比較して、弾性付勢手段と斜板との間の摺動抵抗を低減することができる。
本発明の斜板式可変容量圧縮機は、容量制御性を良好とすることを優先する状態と、機械的損失の低減を優先する状態との一方から他方へ切り換えることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、シリンダブロック11の前端にはフロントハウジング12が連結されている。シリンダブロック11の後端にはリヤハウジング13がバルブプレート14、弁形成プレート15,16及びリテーナ形成プレート17を介して連結されている。シリンダブロック11、フロントハウジング12及びリヤハウジング13は、可変容量型圧縮機10の全体ハウジングを構成する。
制御圧室121を形成するフロントハウジング12とシリンダブロック11とには駆動軸18がラジアルベアリング19,20を介して回転可能に支持されている。制御圧室121から外部へ突出する駆動軸18は、外部駆動源である車両エンジンEから駆動力を得る。フロントハウジング12と駆動軸18との間にはリップシール型の軸封装置55が介在されている。軸封装置55は、制御圧室121から駆動軸18の周面に沿った冷媒洩れを防止する。
駆動軸18には回転支持体21が止着されており、駆動軸18と回転支持体21とには斜板支持部材23が駆動軸18の軸方向へスライド移動可能かつ傾動可能に支持されている。斜板支持部材23には筒状のボス部37が形成されており、ボス部37には斜板22が支持されている。駆動軸18は、斜板支持部材23の中心部に設けられた軸通し孔231に通されており、斜板支持部材23は、軸通し孔231の周壁を介して駆動軸18の外周面をスライド移動可能である。
ボス部37は、斜板22の挿通孔221に挿通されており、斜板22は、ボス部37を介して斜板支持部材23に支持されている。又、斜板22は、ボス部37のストレート周面371に摺接して斜板支持部材23に対して駆動軸18の軸方向へスライド移動可能である。挿通孔221の径とストレート周面371の径とは、同じ程度にしてあり、斜板支持部材23に対する斜板22のスライド移動は、平行な移動となる。従って、斜板支持部材23の中心軸線M(ボス部37の中心軸線)と、斜板22の中心軸線(挿通孔221の中心軸線)とは、常に一致し、斜板支持部材23の傾角と斜板22の傾角θとは、常に一致する(図4参照)。斜板支持部材23及び斜板22の傾角は、図4(a),(b)に示すように中心軸線181,Mのなす角θで表わされる。
ボス部37の外周にはテーパ周面形状の駆動力伝達部372が形成されており、斜板22にはテーパ周面形状の受動部222が形成されている。駆動力伝達部372は、回転支持体21側から斜板22側へ向かうにつれて径が小さくなりストレート周面371に連なる形状であり、受動部222は、回転支持体21側から斜板22側へ向かうにつれて径が小さくなり、挿通孔221のストレート周面371に連なる形状である。テーパ周面形状の駆動力伝達部372とテーパ周面形状の受動部222とは面接触可能であり、駆動力伝達部372と受動部222とが接続されて面接触しているときには、斜板支持部材23と斜板22とが一体的に回転可能である。駆動力伝達部372と受動部222とが切離されて面接触していないときには、斜板22は、斜板支持部材23に対して相対回転可能である。
ボス部37のストレート周面371には位置決めリング39が取り付けられている。駆動軸18の軸方向への斜板支持部材23に対する斜板22の相対移動の範囲は、駆動力伝達部372と受動部222とが接続されて面接触したときの位置と、位置決めリング39に接する位置との間に規制される。駆動力伝達部372と受動部222とが接続されることにより、斜板22と斜板支持部材23とが一体回転可能な第1状態となり、駆動力伝達部372と受動部222とが切離されることにより、斜板22と斜板支持部材23とが互いに相対回転可能な第2状態となる。駆動力伝達部372と受動部222とは、斜板支持部材23と斜板22との間に設けられている。
図3に示すように、回転支持体21には一対のアーム212,213が斜板支持部材23に向けて突設されており、斜板支持部材23には一対の突起232,233が回転支持体21に向けて突設されている。突起232,233は、一対のアーム212,213間に形成された凹部214に挿入されている。突起232,233は、一対のアーム212,213に挟まれた状態で凹部214内を移動可能である。凹部214の底部は、カム面211に形成されており、突起232,233の先端部がカム面211を摺接可能である。斜板支持部材23は、一対のアーム212,213に挟まれた突起232,233とカム面211との連係により駆動軸18の軸方向へ傾動可能かつ駆動軸18と一体的に回転可能である。斜板支持部材23の傾動は、カム面211と突起232,233とのスライドガイド関係、及び駆動軸18のスライド支持作用により案内される。一対のアーム212,213及び突起232,233は、回転支持体21に対して斜板支持部材23を傾動可能、かつ駆動軸18から斜板支持部材23へトルク伝達可能に連結するヒンジ機構38を構成する。
斜板支持部材23の径中心部が回転支持体21側へ移動すると、斜板22の径中心部も一体的に回転支持体21側へ移動し、斜板22の傾角θが増大する。斜板22の最大傾角は、回転支持体21と斜板支持部材23との当接によって規制される。斜板22の最小傾角は、斜板22とシリンダブロック11の端面との間における駆動軸18の部位に設けられたコイルバネ53の一端との当接によって規制される。図1(a)に実線で示す斜板22は、最大傾角状態にあり、鎖線で示す斜板22は、最小傾角状態にある。斜板22の最小傾角は、0°よりも僅かに大きくなるようにしてある。
シリンダブロック11に貫設された複数のシリンダボア111内にはピストン24が収容されている。ピストン24は、シュー25を介して斜板22の外周縁部に係留されている。斜板支持部材23を介した斜板22の回転運動は、シュー25を介してピストン24の前後往復運動に変換され、ピストン24がシリンダボア111内を往復動する。ピストン24は、斜板22の回転に基づいて斜板22の傾角θに応じたストロークで往復動する。ボス部37は、斜板22側の挿通孔221に嵌合しているため、斜板支持部材23が回転すると、たとえ斜板22の回転速度が零の場合でも、斜板22は0°よりも僅かに大きい最小傾角状態にあるため、ピストン24の往復運動が可能である。
リヤハウジング13内には吸入室131及び吐出室132が区画形成されている。バルブプレート14、弁形成プレート16及びリテーナ形成プレート17には吸入ポート141が形成されている。バルブプレート14及び弁形成プレート15には吐出ポート142が形成されている。弁形成プレート15には吸入弁151が形成されており、弁形成プレート16には吐出弁161が形成されている。吸入圧領域である吸入室131内の冷媒は、ピストン24の復動動作〔図1(a)において右側から左側への移動〕により吸入ポート141から吸入弁151を押し退けてシリンダボア111内へ流入する。シリンダボア111内へ流入したガス状の冷媒は、ピストン24の往動動作〔図1(a)において左側から右側への移動〕により吐出ポート142から吐出弁161を押し退けて吐出圧領域である吐出室132へ吐出される。吐出弁161は、リテーナ形成プレート17上のリテーナ171に当接して開度規制される。
回転支持体21とフロントハウジング12との間にはスラストベアリング40が介在されている。スラストベアリング40は、シリンダボア111からピストン24、シュー25、斜板22及びヒンジ機構38を介して回転支持体21に作用する圧縮反力を受け止める。
図1(a)に示すように、吸入室131へ冷媒を導入する吸入通路26と、吐出室132から冷媒を排出する吐出通路27とは、外部冷媒回路28で接続されている。外部冷媒回路28上には、冷媒から熱を奪うための熱交換器29、膨張弁30、及び周囲の熱を冷媒に移すための熱交換器31が介在されている。
吐出通路27上には逆止弁32が介在されている。逆止弁32は、筒状の弁体34と、サークリップ型のばね座35と、ばね座35と弁体34との間に介在された圧縮ばね36とからなる。弁体34は、弁孔33を閉じる着座位置と、弁孔33を開く開位置とに配置可能である。圧縮ばね36は、弁孔33を閉じる着座位置に向けて弁体34を付勢する。
弁体34が図1(a)に示す開位置にあるときには、吐出室132内の冷媒は、弁孔33、迂回口272、通口341及び弁体34の筒内部を経由して、外部冷媒回路28へ流出する。弁体34が着座位置にあるときには、弁孔33が閉じられ、吐出室132内の冷媒が外部冷媒回路28へ流出することはない。
吐出室132と制御圧室121とは、供給通路41で接続されており、制御圧室121と吸入室131とは、排出通路42で接続されている。供給通路41上には電磁式の容量制御弁43が組み付けられている。容量制御弁43に対して電流供給制御(デューティ比制御)を行なう制御コンピュータCは、空調装置作動スイッチ44のONによって容量制御弁43に電流を供給し、空調装置作動スイッチ44のOFFによって電流供給を停止する。制御コンピュータCには室温設定器45及び室温検出器46が信号接続されている。空調装置作動スイッチ44がON状態にある場合、制御コンピュータCは、室温設定器45によって設定された目標室温と、室温検出器46によって検出された検出室温との温度差に基づいて、容量制御弁43に対する電流供給を制御する。容量制御弁43における弁開度は、デューティ比を大きくすると小さくなる。
容量制御弁43に対する供給電流値(デューティ比)が高められると、容量制御弁43における弁開度が減少し、吐出室132から制御圧室121への冷媒供給量が減る。制御圧室121内の冷媒は、排出通路42を介して吸入室131へ流出しているため、冷媒供給量が減ると制御圧室121内の圧力が下がり、斜板22の傾角θが増大して吐出容量が増える。容量制御弁43に対する供給電流値(デューティ比)が下げられると、容量制御弁43における弁開度が増大し、吐出室132から制御圧室121への冷媒供給量が増える。従って、制御圧室121内の圧力が上がり、斜板22の傾角θが減少して吐出容量が減る。
デューティ比が零になると容量制御弁43における弁開度が最大となり、斜板22の傾角θが最小となる。斜板22の傾角θが最小状態における吐出圧は低く、逆止弁32における圧縮ばね36のばね力は、斜板22の傾角θが最小状態のときにおける逆止弁32の上流側の圧力が逆止弁32の下流側の圧力と圧縮ばね36のばね力との和を下回るように設定してある。従って、斜板22の傾角θが最小になったときには逆止弁32における弁体34が弁孔33を閉じ、外部冷媒回路28における冷媒循環が停止する。この冷媒循環停止状態は、熱負荷低減作用の停止状態である。
斜板22の最小傾角が0°よりも僅かに大きくしてあるため、斜板22の傾角θが最小の状態においてもシリンダボア111から吐出室132への吐出は行われている。シリンダボア111から吐出室132へ吐出された冷媒は、供給通路41を通って制御圧室121へ流入する。制御圧室121内の冷媒は、排出通路42を通って吸入室131へ流出し、吸入室131内の冷媒は、シリンダボア111内へ吸入されて吐出室132へ吐出される。即ち、斜板22の傾角θが最小状態では、吐出圧領域である吐出室132、供給通路41、制御圧室121、排出通路42、吸入圧領域である吸入室131、シリンダボア111を経由する循環通路が圧縮機内にできている。そして、吐出室132、制御圧室121及び吸入室131の間では圧力差が生じている。従って、冷媒が前記循環通路を循環し、冷媒と共に流動する潤滑油が圧縮機内を潤滑する。
容量制御弁43に対する電流供給停止の状態から電流供給が再開されると容量制御弁43における弁開度が小さくなり、制御圧室121内の圧力が下がる。従って、斜板22の傾角θが最小状態から増大してゆく。斜板22の傾角θが最小状態から増大すると吐出圧が増大し、逆止弁32の上流側の圧力が逆止弁32の下流側の圧力と圧縮ばね36のばね力との和を上回る。従って、斜板22の傾角θが最小状態よりも大きいときには逆止弁32における弁孔33が開き、吐出室132内の冷媒が外部冷媒回路28へ流出する。外部冷媒回路28へ流出した冷媒は、吸入室131へ還流する。
図1(b)及び図4(b)に示すように、ヒンジ機構38の付近において、斜板22に対向する斜板支持部材23の対向面234には収容凹部47(図2に示すように、本実施形態では一対)が設けられている。つまり、収容凹部47は、斜板支持部材23の上死点対応領域〔ピストン24を上死点位置(ピストン24がシリンダボア111内で吐出行程を終えた位置)にもたらす斜板支持部材23の部分〕に設けられている。収容凹部47は横断面円形をなしており、その円形の中心軸線は、斜板支持部材23の中心軸線M(ボス部37の中心軸線)と平行となっている。収容凹部47にはコイル形状の圧縮バネ48、及び弾性力伝達用球面体としての球体49が収容されている。
図4(b)に示すように、斜板支持部材23に対向する斜板22の対向面223には環状の溝50がボス部37を包囲するように形成されている。溝50の底部は、斜板22の半径方向へ中心軸線Mから遠ざかるにつれて深くなってゆく傾斜面501と、斜板22の半径方向へ中心軸線Mに近づくにつれて深くなっていって傾斜面501に連なる傾斜面502とからなる。収容凹部47内の圧縮バネ48は、球体49を傾斜面501,502に向けて付勢しており、球体49は、圧縮バネ48のバネ力(弾性力)によって傾斜面501,502に当接されている。球体49は、溝50内を転動可能である。圧縮バネ48は、斜板支持部材23と斜板22との間に設けられて斜板22を弾性力で付勢可能な弾性付勢手段である。
図1(a)及び図4(a)に示すように、ヒンジ機構38の付近において、斜板22に対向する斜板支持部材23の対向面234には収容孔51(図2に示すように、本実施形態では一対)が溝50に対向するように設けられている。収容孔51は、横断面円形の孔であるが、収容孔51は、斜板支持部材23の外周縁側で一部切り欠かれている。収容孔51は、斜板支持部材23の上死点対応領域(ピストン24を上死点位置にもたらす斜板支持部材23の部分)に設けられている。収容孔51には球体52が収容されている。収容孔51の底部は、深くなるにつれて径が小さくなるテーパ周面511となっている。駆動力伝達部372と受動部222とは、面接触可能である。つまり、駆動力伝達部372と受動部222とが図4(a)に示すように面接触した状態では、収容孔51と溝50との間には球体52が回転できるようなスペースが確保される。
次に、前記第1状態と前記第2状態の一方から他方への移行について説明する。
図4(a),(b)では、斜板22の傾角θが最大になっている。球体49,52は、斜板支持部材23の回転に伴って、中心軸線181の周りを公転する。球体49には圧縮バネ48のバネ力が作用しており、球体52には遠心力が作用している。球体49に作用する圧縮バネ48のバネ力は、駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22を付勢する力である。球体52に作用する遠心力は、球体52を斜板22の半径方向へ中心軸線181,Mから遠ざけようとする力である。球体52は、斜板支持部材23と一体回転可能かつ斜板22に係合可能な接続解除部材である。球体52に作用する遠心力は、溝50の傾斜面502と、斜板22の半径方向へ中心軸線181,Mから離れるにつれて斜板22側へ接近してゆくテーパ周面511の部位〔以下、傾斜面512といい、図4(a)及び図5に示す〕との間へ分け入らせようとする力である。
第1状態のときには、傾斜面512と傾斜面502とは、遠心力の作用方向に向かうにつれて狭くなってゆく楔形状の空隙を形成する。遠心力の作用を受ける球体52は、傾斜面512と傾斜面502とに係合し、球体52に作用する遠心力は、駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22を付勢して斜板支持部材23から遠ざけようとする。傾斜面512は、斜板支持部材23側に設けられた第1伝達面であり、傾斜面502は、斜板22側に設けられた第2伝達面である。傾斜面512に対向する傾斜面502の部位と傾斜面512とは、遠心力の作用方向に向かうにつれて狭くなってゆく楔形状の空隙を形成する。
斜板22の傾角θが最大の状態では、ピストン24のストロークが最大となっており、圧縮反力が大きい。このときの第1付勢力としての圧縮反力及びピストン24の往復運動に伴う慣性力は、第2付勢力としての圧縮バネ48のバネ力及び球体52に作用する遠心力に抗して、斜板22側の受動部222を斜板支持部材23側の駆動力伝達部372に押しつける。従って、第1状態(駆動力伝達部372と受動部222とが接続されて面接触する状態)となり、斜板支持部材23と斜板22とが一体的に回転する。
容量制御弁43における弁開度が大きくされていくと、制御圧室121へ供給される冷媒量が減少してゆき、斜板22の傾角θが減少してゆく。そうすると、圧縮反力が小さくなってゆくが、斜板22の傾角θが最小状態になる直前までは、圧縮反力及びピストン24の往復運動に伴う慣性力は、圧縮バネ48のバネ力及び球体52に作用する遠心力に抗して、斜板22側の受動部222を斜板支持部材23側の駆動力伝達部372に押しつける。つまり、斜板22の傾角θが最小状態になる直前までは、第1状態(駆動力伝達部372と受動部222とが接続されて面接触した状態)となっており、斜板支持部材23と斜板22とが一体的に回転する。
容量制御弁43における弁開度が最大になると、斜板22の傾角θが図5及び図6に示すように最小状態となり、ピストン24のストロークが最小となる。この状態では、圧縮反力が小さい。従って、圧縮バネ48のバネ力及び球体52に作用する遠心力は、圧縮反力及びピストン24の往復運動に伴う慣性力に打ち勝って、駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22を付勢して、斜板22が斜板支持部材23に対してスライド移動する。つまり、球体49に作用する圧縮バネ48のバネ力及び球体52に作用する遠心力によって、第2状態(駆動力伝達部372と受動部222とが切離されて、互いに離間した状態)となり、斜板22が斜板支持部材23に対して相対回転する。つまり、図5及び図6に示す状態では、斜板22の回転速度が斜板支持部材23の回転速度よりも小さくなる。
斜板22の傾角θが最小状態のとき、駆動軸18が回転すると、斜板22の回転速度がたとえ零の場合にも、斜板22は傾動する。従って、ピストン24が往復運動し、冷媒がシリンダボア111から吐出室132へ吐出される。斜板22の傾角θが最小状態のとき、駆動軸18の回転速度が増大してゆくにつれてピストン24の往復速度が増大してゆき、駆動軸18の回転速度が増大してゆくにつれて圧縮反力及びピストン24の往復運動に伴う慣性力が増大してゆく。しかし、駆動軸18が最大回転速度で回転した場合にも、球体49に作用する圧縮バネ48のバネ力及び球体52に作用する遠心力が圧縮反力及びピストン24の往復運動に伴う慣性力に打ち勝ち、第2状態から第1状態へ移行されることはない。
容量制御弁43における弁開度が最大から小さくなってゆくと、制御圧室121内の圧力が低減してゆき、斜板22の傾角θが圧縮反力によって最小状態から大きくなってゆく。このとき、圧縮反力及びピストン24の往復運動に伴う慣性力が、球体49に作用する圧縮バネ48のバネ力及び球体52に作用する遠心力に打ち勝ち、第2状態から第1状態へ移行される。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1−1)第1状態になると、斜板支持部材23と斜板22とが一体回転し、第2状態になると、斜板22が斜板支持部材23に対して相対回転する。この相対回転状態は、斜板22の回転速度が斜板支持部材23の回転速度よりも小さくなる状態である。第1状態のときには、斜板22に作用する遠心力は、第2状態のときよりも大きくなる。斜板22にも大きな遠心力が作用しているため、斜板22の傾角θを容易に変更することができる。
第2状態のときには、斜板22の回転速度が斜板支持部材23の回転速度よりも低下する。その結果、斜板22とシュー25との間で発生する摺動抵抗に起因した機械的損失が低減され、エンジンEに対する可変容量型圧縮機10の動力負荷が軽減される。エンジンEに対する可変容量型圧縮機10の動力負荷をさらに軽減できれば、例えばエンジンEの燃費や車両の加速性をさらに向上させることができる。また、斜板22とシュー25との接触部分で摩擦熱が発生することを抑制できるので、駆動軸18の軸端部を封止するリップシール型の軸封装置55や、駆動軸18を支持するラジアルベアリング19,20が摩擦熱により劣化することを防止することもできる。
(1−2)斜板22の傾角θが最小状態のときには、斜板22の回転速度をできるだけ小さくして斜板22とシュー25との間で発生する摺動抵抗に起因した機械的損失を少なくすることが望ましい。つまり、斜板22の傾角θが最小状態のときは、斜板22とシュー25との間で発生する摺動抵抗に起因した機械的損失の低減を優先するのが望ましい状態である。一方、斜板22の傾角θが最小状態ではないときには、斜板支持部材23と斜板22とを一体的に回転させて斜板22にも大きな遠心力を作用させ、斜板支持部材23及び斜板支持部材23に作用する遠心力によって容量制御性を良好とすることが望ましい。つまり、斜板22の傾角θが最小状態ではないときは、容量制御性を良好とすることを優先するのが望ましい状態である。従って、斜板22の傾角θが最小状態から大きくなるときは、第2状態から第1状態への移行に適した状況であり、斜板22の傾角θが最小状態ではない状態から最小状態へ移行するときは、第1状態から第2状態への移行に適した状況である。
斜板22の傾角θが最小状態のとき、駆動軸18の回転速度が増大してゆくにつれてピストン24の往復速度が増大してゆき、駆動軸18の回転速度が増大してゆくにつれて圧縮反力及びピストン24の往復運動に伴う慣性力が増大してゆく。球体52がないと仮定した場合、斜板22の傾角θが最小状態のときにおける駆動軸18が低回転速度のときにも第2状態となるように、圧縮バネ48のバネ力を設定したとすると、駆動軸18の回転速度が大きくなった場合には第2状態から第1状態へと移行されるおそれがある。あるいは、駆動軸18の回転速度が大きい状態で斜板22の傾角θが最小状態ではない傾角から最小状態へ移行した場合には、第1状態から第2状態へと移行しないおそれがある。
球体52に作用する遠心力は、駆動軸18の回転速度(角速度)の二乗に比例し、駆動軸18の回転速度が増大してゆくにつれて、球体52に作用する遠心力が大きくなってゆく。斜板22に作用する圧縮バネ48のバネ力の強さは、駆動軸18の回転速度の変動によっては直接の影響を受けないが、斜板支持部材23と一体的に回転する球体52に作用する遠心力は、駆動軸18の回転速度が大きくなるほど大きくなる。従って、斜板22の傾角θが最小状態のときにおける駆動軸18が低回転速度のときにも第2状態となるように圧縮バネ48のバネ力を設定した場合にも、球体52に作用する遠心力が駆動軸18の高回転速度における圧縮バネ48のバネ力不足を補う。その結果、斜板22の傾角θが最小状態のときに駆動軸18の回転速度が大きくなった場合にも、第2状態から第1状態へと移行されることはない。又、駆動軸18の回転速度が大きい状態で斜板22の傾角θが最小状態ではない傾角から最小状態へ移行する場合にも、第1状態から第2状態へと移行される。
球体52に作用する遠心力と圧縮バネ48のバネ力とを組み合わせて第1状態と第2状態との一方から他方への移行を行なう構成では、第1状態と第2状態との一方から他方への移行に適した状況に合わせて、第1状態と第2状態との一方から他方への移行を確実に行なうことができる。
(1−3)斜板22の上死点対応位置付近(つまり、ヒンジ機構38に対応する斜板支持部材23の領域)には、複数のピストン24側からの圧縮反力が偏って作用されている。従って、第1状態から第2状態へ移行されるとき(駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22が斜板支持部材23に対してスライド移動するとき)において、斜板22の上死点対応位置付近は、強い圧縮反力に妨げられて他の部位よりも移動し難くなっている。ピストン24を上死点位置に配置する斜板支持部材23の上死点対応領域(つまり、ヒンジ機構38に対応する斜板支持部材23の対向面234の領域)に球体52を配設した構成は、第1状態から第2状態へ円滑に移行させる上で有利である。
(1−4)球体52が遠心力によって斜板22に係合するときには、球体52は、駆動軸18の周りを一周するように斜板22に設けられた環状の溝50内の傾斜面502に常に接する。傾斜面502は、斜板22がどのような回転位置にあっても、球体52と接触可能である。駆動軸18の周りを一周する傾斜面502は、第1状態から第2状態へ移行させることに球体52に作用する遠心力を利用する上で、好適な第2伝達面である。
(1−5)第1状態のときには、傾斜面512と傾斜面502とは、遠心力の作用方向に向かうにつれて狭くなってゆく楔形状の空隙を形成している。第1状態から第2状態へ移行されるときには、球体52が遠心力によって楔形状の空隙へ入り込んでゆき、傾斜面512と対向する傾斜面502の部位が傾斜面512から遠ざけられる。楔形状の空隙を形成する傾斜面512と傾斜面502とに球体52を係合させる構成では、傾斜面512と傾斜面502とのなす角度が小さいほど、球体52に作用する遠心力における中心軸線Mの方向への分力が大きくなる。つまり、楔形状の空隙を形成する傾斜面512と傾斜面502とに球体52を係合させる構成では、球体52に作用する遠心力における中心軸線Mの方向への分力を大きくすることが容易である。従って、楔形状の空隙を形成する傾斜面512と傾斜面502とに球体52を係合させる構成は、球体52に作用する遠心力を利用して第1状態から第2状態へ移行させる上で、簡便な構成である。
(1−6)斜板22が斜板支持部材23に対して相対回転している状態では、球体52は、傾斜面512と傾斜面502との間で転動する。斜板22が斜板支持部材23に対して相対回転しているときの斜板支持部材23と斜板22との間の摺動抵抗が大きいと、動力損失が大きくなる。球体52における転がり抵抗は、小さい。そのため、球体52における転がり抵抗は、斜板22が斜板支持部材23に対して相対回転しているときの斜板支持部材23と斜板22との間の摺動抵抗の大きな要素とはならない。つまり、球体52は、遠心力によって駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22を付勢する接続解除部材として好適な形状をしている。
(1−7)斜板支持部材23側に一対の球体52を設けた構成は、スペースの制約のもとに接続解除部材の重量を稼ぐ上で有効である。
(1−8)圧縮バネ48のバネ力は、球体49を介して斜板22に伝達される。球体49は、斜板22に球面接触しており、斜板22が斜板支持部材23に対して相対回転しているときの球体49と斜板22との間の摺動抵抗は小さい。弾性力伝達用球面体である球体49は、弾性付勢手段としての圧縮バネ48のバネ力(弾性力)を斜板22に伝える上で好適である。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
(1)図7(a),(b)に示すように、収容凹部56の中心軸線561が収容凹部56の底から収容凹部56の開口に向かうにつれて中心軸線181から遠ざかるようにし、収容凹部56内に圧縮バネ57及び球体52を収容するようにしてもよい。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
図7(a)は、第1状態のときを示し、図7(b)は、第2状態のときを示す。図7(a)の状態において、中心軸線561と中心軸線181とのなす角度αは、180°>α>0°であり、角度αが90°に近いほど、駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22を付勢する力が大きくなる。
この実施形態では、第1の実施形態における圧縮バネ48及び球体49を無くすことが可能である。この場合、圧縮バネ57が弾性付勢手段として機能することとなる。
(2)図8に示すように、支軸58に回動可能に支持されたレバー59を接続解除部材として用いたり、図9に示すように、支軸60に回動可能に支持されたレバー61を接続解除部材として用いたりしてもよい。図8及び図9のいずれの実施形態においても、第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
図8の実施形態では、レバー59が実線位置から鎖線位置に向けて移行されると、駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22が斜板支持部材23に対してスライド移動し、第1状態から第2状態へ移行される。
図9の実施形態では、レバー61が実線位置から鎖線位置に向けて移行されると、駆動力伝達部372と受動部222とが切離される方向に斜板22が斜板支持部材23に対してスライド移動し、第1状態から第2状態へ移行される。この実施形態では、長さL1と長さL2との比L1/L2(レバー比)が1よりも大きくしてある。従って、レバー61に作用する遠心力が増大されて斜板22に作用する。
(3)第1の実施形態において、球体49の代わりに半球体を用いてもよい。この場合、半球体の球面が斜板22に接するようにすればよい。
(4)第1の実施形態において、球体52の代わりに半球体を用いてもよい。この場合、収容孔51の底部を平面とし、半球体の球面が斜板22に接するようにすればよい。
(5)第1の実施形態において、球体52を1つのみ又は3つ以上設けてもよい。
(6)第1の実施形態において、球体49を1つのみ設けてもよい。
(7)第1の実施形態において、圧縮バネ48の代わりに皿バネを用いてもよい。
(8)第1の実施形態において、溝50を無くし、対向面223側の平面(斜板支持部材23側の対向面234と平行な平面)を第2伝達面としてもよい。
(9)第1の実施形態において、収容孔51の底部を平面にしてもよい。
第1の実施形態を示し、(a)は、圧縮機全体の側断面図。(b)は、部分断面図。 斜板支持部材23の対向面234側を示す一部破断正面図。 ヒンジ機構38の一部破断平面図。 (a),(b)は、第1状態の場合を示す断面図。 第2状態の場合を示す断面図。 第2状態の場合を示す断面図。 別の実施形態を示し、(a)は、第1状態の場合を示す断面図。(b)は、第2状態の場合を示す断面図。 別の実施形態を示す断面図。 別の実施形態を示す断面図。
符号の説明
10…可変容量型圧縮機。18…駆動軸。22…斜板。222…受動部。23…斜板支持部材。24…ピストン。372…駆動力伝達部。48,57…弾性付勢手段としての圧縮バネ。49…弾性力伝達用球面体としての球体。502…第2伝達面としての傾斜面。512…第1伝達面としての傾斜面。52…接続解除部材としての球体。59,61…接続解除部材としてのレバー。M…中心軸線。

Claims (10)

  1. 回転する駆動軸から駆動力を得て回転する傾角可変な斜板を備え、前記斜板に係留されたピストンが前記斜板の回転に基づいて前記斜板の傾角に応じたストロークで往復動する斜板式可変容量圧縮機において、
    前記駆動軸と一体回転可能かつ傾動可能に前記駆動軸に連結され、前記斜板を該斜板の中心軸線に沿う方向へスライド移動可能に支持する斜板支持部材と、
    前記斜板支持部材に形成され、前記斜板に前記駆動力を伝達する駆動力伝達部と、
    前記斜板の前記駆動力伝達部に対向する位置に形成され、該斜板の前記斜板支持部材に対する前記中心軸線に沿う方向へのスライド移動により前記駆動力伝達部と接続/切離される受動部と、
    前記斜板支持部材と前記斜板との間で、該斜板支持部材に設けられ、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ該斜板を弾性力で付勢可能な弾性付勢手段と、
    前記斜板支持部材と一体回転可能かつ前記斜板に係合可能に設けられ、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ該斜板を遠心力で付勢可能な接続解除部材とを備え、
    前記駆動力伝達部と前記受動部とが接続されることにより、前記斜板と前記斜板支持部材とが一体回転可能な第1状態となり、
    前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離されることにより、前記斜板と前記斜板支持部材とが相対回転可能な第2状態となり、
    前記駆動力伝達部と前記受動部とが接続される方向へ該斜板を付勢する第1付勢力が、前記駆動力伝達部と前記受動部とが切離される方向へ該斜板を付勢する第2付勢力より大きいときに該斜板がスライド移動して前記第2状態から前記第1状態へ移行し、
    前記第2付勢力が前記第1付勢力より大きく、かつ前記斜板の傾角が最小のときに該斜板がスライド移動して前記第1状態から前記第2状態へ移行し、
    前記第1付勢力は、前記ピストンの往復動に起因する力であり、
    前記第2付勢力は、前記弾性付勢手段と前記接続解除部材とを備えることで生じることを特徴とする斜板式可変容量圧縮機。
  2. 前記接続解除部材は、前記第1状態から前記第2状態へ移行される際に、前記斜板支持部材と前記斜板とに係合する請求項1に記載の斜板式可変容量圧縮機。
  3. 前記接続解除部材は、前記ピストンを上死点位置に配置する前記斜板支持部材の上死点対応領域に配設されている請求項2に記載の斜板式可変容量圧縮機。
  4. 前記斜板支持部材は第1伝達面を有し、前記斜板は第2伝達面を有し、前記接続解除部材は、前記第1伝達面と前記第2伝達面とに係合されることを特徴とする請求項2及び請求項3のいずれか1項に記載の斜板式可変容量圧縮機。
  5. 前記第1伝達面は、前記ピストンを上死点位置に配置する前記斜板支持部材の上死点対応領域に設けられている請求項4に記載の斜板式可変容量圧縮機。
  6. 前記第2伝達面は、前記駆動軸の周りを一周するように前記斜板に設けられている請求項4及び請求項5のいずれか1項に記載の斜板式可変容量圧縮機。
  7. 前記第1伝達面に対向する前記第2伝達面の部位と前記第1伝達面とは、前記第1状態のときには、前記遠心力の作用方向に向かうにつれて接近してゆく請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の斜板式可変容量圧縮機。
  8. 前記接続解除部材は、球体である請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の斜板式可変容量圧縮機。
  9. 前記球体は、前記斜板の周方向に複数並べて設けられている請求項8に記載の斜板式可変容量圧縮機。
  10. 前記弾性付勢手段と前記斜板との間には弾性力伝達用球面体が介在されており、前記弾性付勢手段の弾性力が前記弾性力伝達用球面体を介して前記斜板に作用し、前記弾性力伝達用球面体の球面が前記斜板に接している請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の斜板式可変容量圧縮機。
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