JP2006144201A - 炭素複合体、炭素複合体の製造方法および樹脂成形体 - Google Patents

炭素複合体、炭素複合体の製造方法および樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】強度が高く、軽量であり、また、樹脂材料との密着性に優れる炭素複合体、かかるナノカーボン複合体の製造方法、炭素複合体を含有する樹脂成形体を提供すること。
【解決手段】炭素複合体1は、ナノカーボン2の表面の少なくとも一部を、ナノカーボン2と異なる種類の炭素系物質3で被覆してなるものである。この炭素複合体1は、ナノカーボン2の表面の少なくとも一部を、樹脂で被覆してなるナノカーボン複合体を用意し、このナノカーボン複合体を焼成して、樹脂を炭化させることにより炭素系物質3に変化させることにより製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭素複合体、炭素複合体の製造方法および樹脂成形体に関するものである。
カーボンナノチューブは、炭素原子が筒状につながった炭素繊維であり、グラファイトシートを丸めたような形状をなしている。
このカーボンナノチューブは、直径がナノオーダーと小さく、繊維長が長い。また、一般的な炭素繊維に比べて強度が高く、軽量である。
このため、カーボンナノチューブは、例えば、樹脂成形体に強度を付与するフィラーへの適用が期待されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、炭素繊維の中でも、カーボンナノチューブは、その表面が不活性であるため、樹脂材料との密着性が小さい。
このため、カーボンナノチューブをフィラーとして用いた樹脂成形体では、外部応力を付与すると、カーボンナノチューブが樹脂材料から抜けてしまうという問題がある。
このような理由から、カーボンナノチューブ(ナノカーボン)は、前述のような優位点があるものの、フィラーとして十分な機能が得られないのが実情である。
特開2004−075706号公報
本発明の目的は、強度が高く、軽量であり、また、樹脂材料との密着性に優れる炭素複合体、かかるナノカーボン複合体の製造方法、炭素複合体を含有する樹脂成形体を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の炭素複合体は、ナノカーボンの表面の少なくとも一部を、前記ナノカーボンと異なる種類の炭素系物質で被覆してなることを特徴とする。
これにより、強度が高く、軽量であり、また、樹脂材料との密着性に優れるナノカーボン複合体が得られる。
本発明の炭素複合体では、前記ナノカーボンは、主として気相成長炭素繊維で構成されていることが好ましい。
このものは、特に、微細な構造と高アスペクト比を有し、強度が高く、軽量であり、例えば、樹脂成形体のフィラーとして特に適した特性を有している。
本発明の炭素複合体では、棒状粒子であることが好ましい。
かかる炭素複合体を、例えば、樹脂成形体のフィラーとして用いることにより、樹脂成形体の機械的強度をより向上させることができる。
本発明の炭素複合体では、前記棒状粒子の長さは、30μm以下であることが好ましい。
これにより、ナノカーボンに対して炭素系物質の量が適度なものとなり、例えば、樹脂成形体のフィラーとしての特性がより向上する。
本発明の炭素複合体では、前記棒状粒子の外径は、10μm以下であることが好ましい。
これにより、ナノカーボンに対して炭素系物質の量が適度なものとなり、例えば、樹脂成形体のフィラーとしての特性がより向上する。
本発明の炭素複合体の製造方法は、ナノカーボンの表面の少なくとも一部を、前記ナノカーボンと異なる種類の炭素系物質で被覆してなる炭素複合体を製造する炭素複合体の製造方法であって、
前記ナノカーボンの表面の少なくとも一部を、樹脂で被覆してなるナノカーボン複合体を用意し、該ナノカーボン複合体を焼成して、前記樹脂を炭化させることにより前記炭素系物質に変化させて前記炭素複合体を得ることを特徴とする。
これにより、ナノカーボンの1本毎を、ナノカーボンと異なる種類の炭素系物質で被覆することができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記焼成の際の温度は、500〜3300℃であることが好ましい。
このような温度で焼成を行うことにより、樹脂をより容易かつ確実に炭化させることができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記焼成の際の時間は、0.1〜5時間であることが好ましい。
このような時間の範囲で、樹脂を十分に炭化させることができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記焼成の際の雰囲気は、減圧雰囲気または不活性雰囲気であることが好ましい。
これにより、樹脂の炭化をより確実かつ効率よく進行させることができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記樹脂は、前記ナノカーボンの表面において結晶化していることが好ましい。
これにより、樹脂がナノカーボンの表面に強固に固定され、その結果、得られる炭素複合体においても炭素系物質がナノカーボンの表面に強固に固定されることとなる。このため、例えば、樹脂成形体を製造した場合、炭素複合体の樹脂材料に対する密着性をより向上させることができ、樹脂成形体に外部応力を付与した場合でも、樹脂成形体から炭素複合体(ナノカーボン)が抜けてしまうことをより確実に防止することができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記樹脂は、ポリイミド系樹脂を主成分とするものであることが好ましい。
ポリイミド系樹脂は、結晶性が高いことから好ましい。また、炭素系物質に変化し易いことからも好ましい。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記樹脂は、全芳香族ポリイミド系樹脂を主成分とするものであることが好ましい。
全芳香族ポリイミド系樹脂は、特に結晶性が高いことから好ましい。また、炭素系物質に特に変化し易いことからも好ましい。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記ナノカーボン複合体は、ナノカーボンの表面の少なくとも一部を、結晶化したポリイミド系樹脂で被覆してなるものであり、
当該ナノカーボン複合体は、ポリアミド酸系化合物とナノカーボンとを含有する分散液を加熱することにより、該分散液中において、前記ポリアミド酸系化合物をポリイミド系樹脂に変化させるとともに、前記ナノカーボンの表面の少なくとも一部において結晶化させることにより得ることが好ましい。
これにより、ナノカーボンの1本毎を、結晶化したポリイミド系樹脂で被覆することができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記分散液は、ジアミン系化合物を含有する溶液とナノカーボンとを混合した後、この混合液とテトラカルボン酸系化合物とを混合することにより調整されることが好ましい。
これにより、ナノカーボンは、より確実かつ効率よくポリイミド系樹脂で被覆されることとなる。また、ナノカーボンの1本毎を、ポリイミド系樹脂でより確実に被覆することができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記ナノカーボンの混合量と、前記ジアミン系化合物および前記テトラカルボン酸系化合物の合計の混合量との比は、重量比で10:1〜1:20であることが好ましい。
これにより、樹脂材料に対する密着性が不十分となるのを防止しつつ、ナノカーボンの1本毎をポリイミド系樹脂で確実に被覆することができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記分散液は、前記ポリアミド酸系化合物の前記ポリイミド系樹脂への変化を促進させるイミド化促進物質を含有することが好ましい。
これにより、ポリアミド酸系化合物を効率よく、ポリイミド系樹脂に変化させることができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記ナノカーボンは、超音波を付与することにより、前記分散液に分散されることが好ましい。
これにより、ナノカーボン同士の絡み合いをより確実に解消することができ、ナノカーボンを混合液中により均一に分散させることができる。その結果、ナノカーボンの1本毎を、より確実にポリイミド系樹脂で被覆することができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記分散液の加熱温度は、150℃以上であることが好ましい。
これにより、ポリアミド酸系化合物をポリイミド系樹脂へ効率よく変化させることができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記分散液の加熱時間は、1〜15時間であることが好ましい。
これにより、ポリアミド酸系化合物をポリイミド系樹脂へ効率よく変化させることができる。
本発明の炭素複合体の製造方法では、前記ナノカーボンは、予めマイクロ波により加熱処理されたものであることが好ましい。
これにより、ナノカーボンの表面に、NH基(ジアミン系化合物)がより確実に付着(または結合)するようになる。
本発明の樹脂成形体は、樹脂材料中に本発明の炭素複合体を含有することを特徴とする。
これにより、例えば、樹脂材料やその成形体の導電率、熱伝導率、熱放射率等の特性の調整を行うことができる。
本発明の樹脂成形体では、前記炭素複合体は、当該樹脂成形体の機械的強度を向上させるためのフィラーとして機能するものであることが好ましい。
これにより、機械的強度に優れる樹脂成形体が得られる。
以下、本発明の炭素複合体、炭素複合体の製造方法および樹脂成形体を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<炭素複合体>
まず、本発明の炭素複合体について説明する。
図1は、本発明の炭素複合体の実施形態を示す模式図である。
図1に示す炭素複合体1は、ナノカーボン2と、ナノカーボン2の表面の少なくとも一部を被覆する、ナノカーボンと異なる種類の炭素系物質3とで構成されている。
ここで、ナノカーボン2とは、炭素原子が筒状につながった炭素繊維であり、直径(外径)がナノサイズ(1000nm以下)のものである。
ナノカーボン2としては、例えば、各種カーボンナノチューブ、各種フラーレン等が挙げられるが、これらの中でも、主としてカーボンナノチューブの一種である気相成長炭素繊維で構成されているのが好ましい。このものは、特に、微細な構造と高アスペクト比を有し、強度が高く、軽量である。このため、かかるナノカーボン2を核(芯部)とする炭素複合体1は、例えば、樹脂成形体の機械的強度を向上させるためのフィラー(補強材)として特に適した特性を有している。
なお、以下では、炭素複合体1を樹脂成形体のフィラーに適用する場合を代表に説明する。
ナノカーボン2は、その表面の少なくとも一部(図1の構成では、中央部を除く部分)が、炭素系物質3で被覆されている。
ナノカーボン2は、前述したような長所を有するものの、その表面が不活性である。このため、ナノカーボン2をそのまま、樹脂成形体のフィラーとして用いた場合、樹脂材料に対する密着性が低く、フィラーとしての機能が十分に得られない。
これに対して、炭素系物質3は、ナノカーボン2より活性が高く、樹脂材料に対する密着性が高い。このため、ナノカーボン2の表面の一部または全部を、炭素系物質3で被覆した炭素複合体1は、炭素系物質3を介して樹脂材料と密着するようになり、フィラーとして優れた機能を発揮するようになる。
また、炭素複合体1は、球状粒子、葉状粒子等であってもよいが、棒状粒子であるのが好ましい。かかる炭素複合体1をフィラーとして用いることにより、樹脂成形体の機械的強度をより向上させることができる。
棒状粒子(針状粒子)の長さは、30μm以下であるのが好ましく、炭素複合体1をフィラーに適用する場合には、特に、20μm以下であるのが好ましい。
また、棒状粒子の外径(直径)は、10μm以下であるのが好ましく、炭素複合体1をフィラーに適用する場合には、特に、0.2〜1μm程度であるのが好ましい。
このようなサイズの炭素複合体1は、ナノカーボン2に対して炭素系物質3の量が適度なものとなり、フィラーとしての特性がより向上する。これにより、樹脂成形体の機械的強度をさらに向上させることができる。
本発明の炭素複合体の製造方法によれば、かかる構成の炭素複合体1を好適に製造することができる。
以上のような炭素複合体1は、核(芯部)がナノカーボン2で構成されるため、サイズが微小であり、また、強度が高く、軽量である。
また、炭素系物質3が、ナノカーボン2の表面の少なくとも一部を被覆することにより、炭素複合体1に、樹脂材料に対する優れた密着性を付与することができる。
したがって、この炭素複合体1をフィラーとして用いた樹脂成形体では、外部応力が付与された場合でも、樹脂材料からナノカーボン2が抜けてしまうことが防止される。このため、樹脂成形体に対して高い機械的強度を付与することができる。
<炭素複合体の製造方法>
次に、炭素複合体1の製造方法について説明する。
[1] 第1の工程
まず、図2に示すように、ナノカーボン2の表面の少なくとも一部が樹脂30で被覆されたナノカーボン複合体10を用意する。
樹脂30は、ナノカーボン2の表面において結晶化しているものが好ましい。これにより、樹脂30がナノカーボン2の表面に強固に固定され、その結果、得られる炭素複合体1においても炭素系物質3がナノカーボン2の表面に強固に固定されることとなる。このため、炭素複合体1の樹脂材料に対する密着性をより向上させることができ、樹脂成形体に外部応力を付与した場合でも、樹脂成形体から炭素複合体1(ナノカーボン2)が抜けてしまうことをより確実に防止することができる。
このような樹脂30としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、フラン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、樹脂30としては、ポリイミド系樹脂を主成分とするものが好ましく、全芳香族ポリイミド系樹脂を主成分とするものがより好ましい。ポリイミド系樹脂(特に、全芳香族ポリイミド系樹脂)は、特に、結晶性が高いことから好ましい。
なお、全芳香族ポリイミド系樹脂とは、イミド結合以外の主たる部分が芳香族環で構成される化合物の総称である。
ナノカーボン2の表面を樹脂30で被覆する方法としては、例えば、樹脂30やその前駆体を溶解した溶液中にナノカーボン2を浸漬する方法、前記溶液をナノカーボン2の表面に噴霧する方法等が挙げられる。
以下では、ナノカーボン2の表面を、樹脂30としてポリイミド系樹脂で被覆する方法を代表に説明する。
[1−1] まず、ポリアミド酸系化合物とナノカーボン2とを含有する分散液を調製する。
この分散液は、例えば、A:ジアミン系化合物を溶解した溶液を調製し、この溶液とナノカーボン2とを混合した後、この混合液とテトラカルボン酸系化合物とを混合し、ジアミン系化合物とテトラカルボン酸系化合物との反応によりポリアミド酸系化合物を生成させる方法、B:テトラカルボン酸系化合物を溶解した溶液を調製し、この溶液とナノカーボン2とを混合した後、この混合液とジアミン系化合物とを混合し、ジアミン系化合物とテトラカルボン酸系化合物との反応によりポリアミド酸系化合物を生成させる方法、C:ポリアミド酸系化合物を溶解した溶液を調製し、この溶液とナノカーボン2とを混合する方法等により調製することができる。
これらの方法の中でも、Aの方法がより好ましい。
ここで、ジアミン系化合物の溶液は、ポリアミド酸系化合物の溶液よりも粘度が低く、またナノカーボン2はこの溶液に良く分散する。一般に、ナノカーボン2同士は、絡み合った状態で存在しているが、Aの方法を用いることにより、ナノカーボン2同士の絡まった状態を解消して、分散液中にナノカーボン2を分散させることができる。これにより、後工程[2]において、ナノカーボン2の1本毎を、ポリイミド系樹脂(樹脂30)で確実に被覆することができる。
特に、Aの方法では、ジアミン系化合物の溶液にナノカーボン2を分散させると、例えば、ナノカーボン2の表面に、ジアミン系化合物が有するNH基が分子間引力等によって付着(または結合)し、この付着したジアミン系化合物を基点としてポリアミド酸系化合物が効率よく生成(成長)すると考えられる。
後述するように、ポリアミド酸系化合物が変化する(イミド化される)ことにより、ポリイミド系樹脂(樹脂30)が生成するが、このように、ポリアミド酸系化合物が予めナノカーボン2の表面に付着(または結合)していることにより、ナノカーボン2は、より確実かつ効率よくポリイミド系樹脂で被覆されることとなる。また、ナノカーボン2の1本毎を、ポリイミド系樹脂でより確実に被覆することができる。
以下、このAの方法について説明する。
Aの方法により分散液を調製するには、まず、ジアミン系化合物を溶媒に溶解することにより、ジアミン系化合物の溶液を調製する。
ジアミン系化合物としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、p−フェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、ビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン、1,4−ビス(4−アミノ−フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−フェノキシ)ベンゼンのような芳香族ジアミン系化合物や、その他の各種のものが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、例えば、ナノカーボン2を全芳香族ポリイミド系樹脂で被覆する場合には、芳香族ジアミン系化合物を選択する。
溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。また、場合によっては、ベンゼン等の貧溶媒と併用することも可能である。
次に、例えば、このジアミン系化合物の溶液にナノカーボン2を添加して、攪拌することにより、これらを混合して混合液を調製する。
ジアミン系化合物の溶液に、ナノカーボン2を混合すると、ナノカーボン2が溶液中に分散する。これとともに、ナノカーボン2の表面に、ジアミン系化合物が有するNH基が付着(または結合)する。
ここで、用いるナノカーボン2は、予めマイクロ波により加熱処理されたものであるのが好ましい。これにより、ナノカーボン2の表面に、ジアミン系化合物がより確実に付着(または結合)するようになる。
また、ナノカーボン2の混合量(添加量)と、ジアミン系化合物および後述するテトラカルボン酸系化合物の合計の混合量(添加量)との比は、重量比で10:1〜1:20程度であるのが好ましく、5:1〜1:10程度であるのがより好ましく、1:1〜1:5程度であるのがさらに好ましい。ナノカーボン2の量が少な過ぎると、ジアミン系化合物やテトラカルボン酸系化合物が過剰となり、ナノカーボン2を被覆しないポリイミド単体の微粒子が多量に生成するおそれがあり、一方、ナノカーボン2の量が多過ぎると、得られた炭素複合体1において、炭素系物質3で被覆された部分の割合が小さくなり、炭素複合体1の樹脂材料に対する密着性が不十分となるおそれがある。
以上のようなジアミン系化合物の溶液および分散液の調製に際して、液の温度は、5〜75℃程度であるのが好ましく、15〜50℃程度であるのがより好ましい。液の温度を前記範囲とすることにより、ジアミン系化合物の溶解、ナノカーボン2の分散、ナノカーボン2へのジアミン系化合物の付着や結合を円滑に行うことができる。
また、ナノカーボン2の混合液中(得られる分散液中)への分散は、超音波を付与することにより行なわれるのが好ましい。これにより、ナノカーボン2同士の絡み合いを、より確実に解消することができ、ナノカーボン2を混合液中により均一に分散させることができる。その結果、ナノカーボン2の1本毎を、より確実にポリイミド系樹脂で被覆することができる。
この場合、超音波の出力は、50〜150W程度であるのが好ましく、周波数は、30〜75kHz程度であるのが好ましく、また、超音波を付与する時間は、0.1〜5時間程度であるのが好ましい。超音波の付与を、このような条件で行うことにより、ナノカーボン2を混合液(得られる分散液)に良好に分散させることができる。
次に、例えば、この混合液にテトラカルボン酸系化合物を添加して、攪拌することにより、これらを混合して分散液を得る。
テトラカルボン酸系化合物としては、例えば、テトラカルボン酸またはその無水物、あるいは、テトラカルボン酸とアルコール(特に、低級アルコール)とのジエステル誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
テトラカルボン酸の具体例としては、例えば、ピロメリト酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテルのような芳香族テトラカルボン酸系化合物や、その他の各種のものが挙げられる。
なお、例えば、ナノカーボン2を全芳香族ポリイミド系樹脂で被覆する場合には、芳香族テトラカルボン酸系化合物を選択する。
分散液に、テトラカルボン酸系化合物を混合すると、ジアミン系化合物とテトラカルボン酸系化合物とが反応し、ジアミン系化合物の骨格部分とテトラカルボン酸系化合物の骨格部分とが、アミド結合を介して交互に連なった構造のポリアミド酸が生成する。
例えば、ジアミン系化合物として、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を用い、テトラカルボン酸系化合物として、無水ピロメリト酸(PMDA)を用いた場合には、下記化1に示すような構造のポリアミド酸系化合物が生成する。このポリアミド酸系化合物は、通常、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に可溶、テトラヒドロフラン(THF)にある程度可溶である。
Figure 2006144201
ポリアミド酸系化合物を生成させる際の反応温度(混合液の温度)は、特に限定されないが、50〜100℃程度であるのが好ましく、75〜100℃程度であるのがより好ましい。反応時間も、特に限定されないが、1〜50時間程度であるのが好ましく、5〜30時間程度であるのがより好ましい。反応温度および反応時間を、それぞれ、前記範囲とすることにより、ジアミン系化合物とテトラカルボン酸系化合物とを十分に反応させることができる。
なお、Cの方法を用いる場合には、市販のポリアミド酸系化合物の溶液を用いることにより、ナノカーボン複合体10の製造工程の簡易化を図ることができる。
また、この場合も、超音波を付与することにより、ナノカーボン2を分散液中に分散させるのが好ましい。これにより、ナノカーボン2同士の絡み合いをより確実に解消し、ナノカーボン2を分散液中により均一に分散させることができる。超音波を付与する際の条件は、前述した条件と同様とすることができる。
[1−2] 次に、分散液を加熱しつつ、必要に応じて還流する。これにより、ポリアミド酸系化合物をイミド化(ポリイミド系樹脂に変化)させるとともに、ナノカーボン2の表面において結晶化させる。
分散液を加熱すると、ポリアミド酸系化合物が有するアミド基とカルボキシル基との間で脱水反応が生じることにより閉環し、ポリアミド酸系化合物がポリイミド系樹脂に変化して結晶化する。
例えば、前記ODAと、前記PMDAとの反応により生成したポリアミド酸系化合物の場合には、下記化2に示すようなポリイミド系樹脂に変化して結晶化し、この結晶化したポリイミド系樹脂でナノカーボン2の表面の一部または全部が被覆される。
Figure 2006144201
このポリイミド系樹脂は、前記NMPや前記THFに不溶である。また、ポリイミド系樹脂で被覆されたナノカーボン2(ナノカーボン複合体10)は、液中において沈殿する。
分散液の加熱温度(最高温度)は、150℃以上であるのが好ましく、150〜200℃程度であるのがより好ましい。加熱温度が低過ぎると、ポリアミド酸系化合物のポリイミド系樹脂(樹脂30)への変化が円滑に行われないおそれがあり、一方、加熱温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上、ポリアミド酸系化合物のポリイミド系樹脂への変化の効率の向上が期待できない。
また、分散液の加熱時間(前記最高温度に保持する時間)も、特に限定されないが、1〜15時間程度であるのが好ましく、1〜10時間程度であるのがより好ましい。加熱時間が短過ぎると、加熱温度等によっては、ポリアミド酸系化合物のポリイミド系樹脂への変化が不十分となるおそれがあり、一方、加熱時間を前記上限値を超えて長くすると、加熱温度等によっては、ポリイミド系樹脂が変質・劣化するおそれがある。
また、分散液は、ポリアミド酸系化合物のポリイミド系樹脂への変化を促進させるイミド化促進物質(イミド転化用薬剤)を含有しても構わない。これにより、ポリアミド酸系化合物を効率よく、ポリイミド系樹脂に変化させることができる。
このイミド化促進物質としては、例えば、ピリジン、β−ピコリン、α−ピコリン、4−メチルピリジン、イソキノリン、トリエチルアミン等の3級アミン等が挙げられるが、これらの中でも、特に、ピリジンおよびβ−ピコリンの少なくとも一方を主成分とするものが好ましい。
このイミド化促進物質は、ポリアミド酸系化合物に対して、1〜5倍モル相当量程度、分散液に混合するのが好ましい。
さらに、必要に応じて、分散液には、ポリアミド酸系化合物がポリイミド系樹脂(樹脂30)へ変化する際に生成する水を吸収する脱水剤を混合する。これにより、ポリアミド酸系化合物のポリイミド系樹脂への変化がより促進される。
この脱水剤としては、例えば、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、安息香酸、蟻酸無水物、トルエン等が挙げられる。
脱水剤を分散液に混合する場合、この脱水剤は、ポリアミド酸系化合物に対して、1〜5倍モル相当量程度、分散液に混合するのが好ましい。
なお、ポリイミド系樹脂の原料であるテトラカルボン酸系化合物として、無水物を用いる場合には、これを脱水剤として機能させるようにしてもよい。
[1−3] 次に、ナノカーボン複合体10が沈殿している液を、濾過することにより、ナノカーボン複合体10を濾別する。そして、ナノカーボン複合体10を洗浄した後、乾燥させる。
ナノカーボン複合体10の洗浄に用いる洗浄液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、水等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、N−メチル−2−ピロリドンでナノカーボン複合体10を洗浄した後、さらに、アセトン、水の順でナノカーボン複合体10を洗浄する。これにより、ナノカーボン複合体10の表面に付着している各種不純物を、より確実に除去することができる。
洗浄後のナノカーボン複合体10の乾燥温度は、特に限定されないが、50〜400℃程度であるのが好ましく、100〜300℃程度であるのがより好ましい。
また、乾燥時間は、0.1〜7.5時間程度であるのが好ましく、1〜5時間程度であるのがより好ましい。
以上の工程を経て、ナノカーボン2の表面の少なくとも一部を、結晶化したポリイミド系樹脂で被覆してなるナノカーボン複合体10が得られる。
[2] 第2の工程
次に、得られたナノカーボン複合体10を焼成する。これにより、樹脂30を炭化させることにより炭素系物質3に変化させる。
この焼成の際の温度(最高温度)は、500〜3300℃程度であるのが好ましく、700〜1500℃程度であるのがより好ましい。このような温度で焼成を行うことにより、樹脂30をより容易かつ確実に炭化させることができる。
焼成の際の時間(前記最高温度に保持する時間)は、前記温度によっても若干異なり、特に限定されないが、0.1〜5時間程度であるのが好ましく、0.5〜3時間程度であるのがより好ましい。このような時間の範囲で、樹脂30を十分に炭化させることができる。
また、焼成の際の雰囲気は、減圧雰囲気、不活性雰囲気、大気雰囲気等のいかなるものであってもよいが、減圧雰囲気または不活性雰囲気であるのが好ましい。これにより、樹脂30の炭化をより確実かつ効率よく進行させることができる。
なお、本工程[2]は、必要に応じて、繰り返して行うようにしてもよい。
以上のような工程を経て、本発明の炭素複合体1が得られる。
本発明によれば、ナノカーボン2の1本毎を、炭素系物質3で被覆することができる。
また、得られる炭素複合体1は、サイズが微小であり、また、強度が高く、軽量である。
また、前述したように、ナノカーボン2は、その表面が樹脂との密着性、濡れ性が悪いが、炭素複合体1は、炭素系物質3が、ナノカーボン2の表面の少なくとも一部を被覆しているので、樹脂材料に対して優れた密着性が得られる。
特に、ナノカーボン2を核としてポリイミド系樹脂を結晶成長させ、炭化させることにより、炭素系物質3がナノカーボン2の表面に特に強固に固定され、また複合化する樹脂材料(樹脂成形体を製造する際の樹脂材料)との密着性もより向上する。
このようにして得られた炭素複合体1と樹脂材料とを混合して混練する。これにより、混練物を得る。
ここで、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他のフッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
炭素複合体1と樹脂材料との混練には、例えば、ニーダーやバッチ式の3軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
次に、得られた混練物を、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形等の方法により、所望の形状に成形する。これにより、本発明の樹脂成形体が得られる。
本発明の樹脂成形体は、フィラーであるナノカーボン2(炭素複合体1)が炭素系物質3を介して樹脂材料と結合しているので、外部応力を付与した場合でも、樹脂成形体からナノカーボン2(炭素複合体1)が抜けてしまうことが防止され、樹脂成形体に対して高い機械的強度を付与することができる。
このような樹脂成形体は、例えば、時計やプリンター等の歯車で比較的強度が必要なものに好適に適用することができる。
また、本実施形態では、炭素複合体1を樹脂成形体の機械的強度を向上させるためのフィラーに適用する場合を代表に説明したが、本発明の炭素複合体1は、樹脂材料に混合して、例えば、樹脂材料や樹脂成形体の導電率、熱伝導率、熱放射率等の特性の調整を目的として使用することもできる。
以上、本発明の炭素複合体、炭素複合体の製造方法および樹脂成形体について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.樹脂成形体の製造
なお、以下において、特に記載しない限り、液の温度は、室温(約20℃)とする。
(実施例1)
まず、400mLのN−メチル−2−ピロリドンに、ジアミン系化合物として、4,4’−ジアミノフェニルエーテルを10.012g(0.05mol)溶解することにより、ジアミン系化合物の溶液を調製した。
次に、このジアミン系化合物の溶液に、ナノカーボンとして、気相成長炭素繊維(昭和電工社製、「VGCF」)20gを混合して混合液を得た。
なお、気相成長炭素繊維は、平均外径;約200nm、平均長さ:約6μmであった。
次に、この混合液に超音波を60分間付与することにより攪拌して、混合液中に気相成長炭素繊維を均一に分散させた。
なお、付与する超音波の条件は、周波数47kHz、出力100Wとした。
次に、この分散液に、テトラカルボン酸系化合物として、無水ピロメリト酸を10.9(0.05mol)溶解し、100℃で24時間攪拌した。これにより、4,4’−ジアミノフェニルエーテルと、無水ピロメリト酸とを反応させることにより、分散液中においてポリアミド酸系化合物を生成させた。
また、このとき、気相成長炭素繊維は、分散液に十分に分散された状態であった。
次に、この分散液を、密閉式のガラス容器内で攪拌しつつ、2℃/分の昇温速度で180℃まで加熱し、この温度を維持して1時間加熱を継続した後、室温になるまで自然冷却した。これにより、ポリアミド酸系化合物をポリイミド系樹脂に変化させて、気相成長炭素繊維の表面で結晶化させた。
次に、室温となった液に、アセトン100gを添加して、平均開口径が1μmのろ紙を用いて吸引濾過を行った。さらに、この操作をアセトンを用いて3回繰り返して行った。これにより、ナノカーボン複合体を濾別した。
次に、濾別されたナノカーボン複合体を300℃で1時間、次いで、400℃で1時間乾燥した。
得られたナノカーボン複合体を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、気相成長炭素繊維の表面において、ポリイミド系樹脂が放射状に結晶化していることが確認された。
また、ナノカーボン複合体は、平均外径:約0.4μm、平均長さ:約6μmであり、その表面には、平均孔径:約80nmの孔が多数認められた。
次に、得られたナノカーボン複合体を、減圧雰囲気(1×10−1Pa)下で、2℃/分の昇温速度で1500℃まで加熱し、この温度を維持して1時間加熱を継続した後、室温になるまで自然冷却した。これにより、ポリイミド系樹脂を炭素系物質に変化(炭化)させて、炭素複合体を得た。
また、炭素複合体は、平均外径:約0.3μm、平均長さ:約6μmであった。
次に、得られた炭素複合体100gを、ポリプロピレン900gとともに、連続2軸ロール混練機に投入、混練し、ペレット状に加工した。
次に、このペレットから射出成形機を用いて、平板状の樹脂成形体を製造した。
(実施例2、3)
4,4’−ジアミノフェニルエーテルおよび無水ピロメリト酸の混合量を、それぞれ、下記表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして、樹脂成形体を製造した。
(実施例4)
予めマイクロ波による加熱処理を行った気相成長炭素繊維を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、炭素複合体を得た。
なお、マイクロ波による加熱処理の条件は、出力100W、加熱時間30分とした。
次に、この炭素複合体を用いて、前記実施例1と同様にして、樹脂成形体を製造した。
(実施例5)
4,4’−ジアミノフェニルエーテルに代えて、p−フェニレンジアミン10.8g(0.1mol)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、炭素複合体を得た。
次に、この炭素複合体を用いて、前記実施例1と同様にして、樹脂成形体を製造した。
(比較例1)
炭素複合体に代えて、前記実施例1と同様にして得たナノカーボン複合体を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、樹脂成形体を製造した。
(比較例2)
炭素複合体に代えて、気相成長炭素繊維を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、樹脂成形体を製造した。
(比較例3)
炭素複合体を用いるのを省略した以外は、前記実施例1と同様にして、樹脂成形体を製造した。
なお、各実施例および各比較例において、樹脂成形体は、それぞれ、10個ずつ製造した。
2.評価
各実施例および各比較例で製造した樹脂成形体について、それぞれ、引っ張り強度を測定した。
なお、引っ張り強度は、島津製作所製万能引張試験機により測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 2006144201
なお、表1には、各実施例で得られた炭素複合体の平均外径も合わせて示した。
また、表1中に示す各値は、それぞれ、各実施例および各比較例の樹脂成形体10個の平均値である。
表1に示すように、各実施例の樹脂成形体は、いずれも、引っ張り強度に優れるものであった。
また、予め気相成長炭素繊維にマイクロ波による加熱処理を行った実施例4の樹脂成形体では、引っ張り強度が高くなる傾向を示した。これは、ポリイミド系樹脂による気相成長炭素繊維の表面の被覆率が上昇するためであると考えられる。
これに対して、各比較例の樹脂成形体は、いずれも、引っ張り強度に劣るものであった。
本発明の炭素複合体の実施形態を示す模式図である。 ナノカーボン複合体を示す模式図である。
符号の説明
1……炭素複合体 10……ナノカーボン複合体 2……ナノカーボン 3……炭素系物質 30……樹脂

Claims (17)

  1. ナノカーボンの表面の少なくとも一部を、前記ナノカーボンと異なる種類の炭素系物質で被覆してなることを特徴とする炭素複合体。
  2. 前記ナノカーボンは、主として気相成長炭素繊維で構成されている請求項1に記載の炭素複合体。
  3. 棒状粒子である請求項1または2に記載の炭素複合体。
  4. 前記棒状粒子の長さは、30μm以下である請求項3に記載の炭素複合体。
  5. 前記棒状粒子の外径は、10μm以下である請求項3または4に記載の炭素複合体。
  6. ナノカーボンの表面の少なくとも一部を、前記ナノカーボンと異なる種類の炭素系物質で被覆してなる炭素複合体を製造する炭素複合体の製造方法であって、
    前記ナノカーボンの表面の少なくとも一部を、樹脂で被覆してなるナノカーボン複合体を用意し、該ナノカーボン複合体を焼成して、前記樹脂を炭化させることにより前記炭素系物質に変化させて前記炭素複合体を得ることを特徴とする炭素複合体の製造方法。
  7. 前記焼成の際の温度は、500〜3300℃である請求項6に記載の炭素複合体の製造方法。
  8. 前記焼成の際の時間は、0.1〜5時間である請求項6または7に記載の炭素複合体の製造方法。
  9. 前記焼成の際の雰囲気は、減圧雰囲気または不活性雰囲気である請求項6ないし8のいずれかに記載の炭素複合体の製造方法。
  10. 前記樹脂は、前記ナノカーボンの表面において結晶化している請求項6ないし9のいずれかに記載の炭素複合体の製造方法。
  11. 前記樹脂は、ポリイミド系樹脂を主成分とするものである請求項6ないし10のいずれかに記載の炭素複合体の製造方法。
  12. 前記樹脂は、全芳香族ポリイミド系樹脂を主成分とするものである請求項6ないし11のいずれかに記載の炭素複合体の製造方法。
  13. 前記ナノカーボン複合体は、ナノカーボンの表面の少なくとも一部を、結晶化したポリイミド系樹脂で被覆してなるものであり、
    当該ナノカーボン複合体は、ポリアミド酸系化合物とナノカーボンとを含有する分散液を加熱することにより、該分散液中において、前記ポリアミド酸系化合物をポリイミド系樹脂に変化させるとともに、前記ナノカーボンの表面の少なくとも一部において結晶化させることにより得る請求項6ないし12のいずれかに記載の炭素複合体の製造方法。
  14. 前記分散液は、ジアミン系化合物を含有する溶液とナノカーボンとを混合した後、この混合液とテトラカルボン酸系化合物とを混合することにより調整される請求項13に記載の炭素複合体の製造方法。
  15. 前記ナノカーボンは、予めマイクロ波により加熱処理されたものである請求項6ないし14のいずれかに記載の炭素複合体の製造方法。
  16. 樹脂材料中に請求項1ないし5のいずれかに記載の炭素複合体を含有することを特徴とする樹脂成形体。
  17. 前記炭素複合体は、当該樹脂成形体の機械的強度を向上させるためのフィラーとして機能するものである請求項16に記載の樹脂成形体。
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