JP2006132033A - 透湿防水性布帛の製造方法 - Google Patents

透湿防水性布帛の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透湿防水性及び樹脂膜の剥離強度の他、風合い、視覚効果にも優れた透湿防水性布帛の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】繊維布帛の片面に、第一工程として、水溶性物質とポリウレタン樹脂とを含む重合体溶液を非全面状に塗布し、溶媒を気化させることによって非全面状の樹脂層を形成させた後、第二工程として、前記樹脂層を形成した側の面にポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液を全面状に塗布した後、水浴中に浸漬することにより樹脂膜を形成させ、さらに、湯洗を行う透湿防水性布帛の製造方法。本発明では、第二工程で用いられる重合体溶液に着色剤が含有されていることが好ましい。さらに、本発明では、第三工程として、第一の樹脂膜上に第二の樹脂膜を形成することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、透湿防水性布帛の製造方法に関するものである。
透湿性能と防水性能とを併せ持つ透湿防水性布帛は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出する機能と、雨水が衣服内に浸入するのを防ぐ機能とを有している。これらの機能を付与するために、繊維布帛表面にポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリテトラフルオロエチレン樹脂などを積層したものがよく知られている。これらは、スポーツ衣料や防寒衣料などに使用され、その中でも運動に伴う発汗量の比較的多いスポーツやアウトドア衣料分野に多く用いられており、スキー、アスレチック及び登山分野などでは特に好ましい素材となっている。
従来から、服地の軽量化、製造コスト低減などの背景から透湿防水性布帛を一枚物として使用する要望があり、透湿防水性布帛に視覚効果が求められている。透湿防水性布帛に視覚効果を付与する方法としては、通常、繊維布帛表面に樹脂膜を形成した後、該樹脂膜表面にグラビアコーティング又はスクリーンプリントなどで所望の柄を転写する。
しかしながら、この方法では着用中の摩耗又は洗濯によって柄が脱落しやすい上、工程が増えるためコスト高になるという問題を残している。
このため、特許文献1では、繊維布帛の片面に、水溶性物質とポリウレタン樹脂とを含む重合体溶液を用いて皮膜を形成後、水溶性物質を溶出し、皮膜に微細孔を多数形成させることにより透湿防水性布帛を得る方法が開示されている。さらに、特許文献2では、繊維布帛の片面に、水溶性物質とポリウレタン樹脂とを含む重合体溶液を全面状に塗布して製膜し、その後、当該樹脂膜の上に、ポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液を塗布した後、当該重合体を水中で凝固させ、続いて湯洗によって上記樹脂膜に含まれる水溶性物質を溶出して透湿防水性布帛を得る方法が開示されている。
特開平3−137272号公報 特開平7−229070号公報
上記の特許文献1に記載された方法では、水溶性物質を溶出することで樹脂膜に多数の空隙が形成されるため、透湿防水性布帛の防水性がやや低下するという問題がある。また、特許文献2に記載された方法では、繊維布帛と接着している樹脂膜に多数の空隙が形成されるため、透湿防水性布帛の防水性及び樹脂膜の剥離強度がやや低下するという問題がある。
本発明は、このような現状に鑑みて行われたもので、透湿防水性及び樹脂膜の剥離強度の他、風合い、視覚効果にも優れた透湿防水性布帛の製造方法を提供しようというものである。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)繊維布帛の片面に、第一工程として、水溶性物質とポリウレタン樹脂とを含む重合体溶液を非全面状に塗布し、溶媒を気化させることによって非全面状の樹脂層を形成させた後、第二工程として、前記樹脂層を形成した側の面にポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液を全面状に塗布した後、水浴中に浸漬することにより樹脂膜を形成させ、さらに、湯洗を行うことを特徴とする透湿防水性布帛の製造方法。
(2)第二工程におけるポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液に着色剤が含有されていることを特徴とする上記(1)に記載の透湿防水性布帛の製造方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載された第一工程及び第二工程を行った後に、該第二工程で形成された樹脂膜上に、第三工程として、ポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液を全面状に塗布し、溶媒を気化させることにより樹脂膜を形成させることを特徴とする透湿防水性布帛の製造方法
(4)第三工程におけるポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液に着色剤が含有されていることを特徴とする上記(3)に記載の透湿防水性布帛の製造方法。
本発明によれば、透湿防水性及び樹脂膜の剥離強度の他、風合い、視覚効果にも優れた透湿防水性布帛の製造方法が提供できる。
また、第三工程を付加した好ましい態様では、透湿防水性布帛の防水性、耐摩耗性及びすべり感などをより向上させることができる。
さらに、上記樹脂膜が着色剤により着色されていると、より視覚効果に優れた透湿防水性布帛の製造方法が提供でき、特に第二工程における着色と第三工程における着色の色彩を異ならせることにより、透湿防水性布帛がコントラストに富む視覚効果を発揮する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる繊維布帛としては、どのようなものでも用いることができる。例えば、ナイロン6、ナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、トリアセテートなどの半合成繊維、木綿などの天然繊維を単独で又は混合してなる織物、編物、不織布などを用いることができる。
本発明においては、撥水加工が施された繊維布帛を用いてもよい。これは、重合体溶液の繊維布帛内部への浸透を防ぐための一手段であり、重合体溶液が繊維布帛内部に浸透して、樹脂もれを生じたり、塗布パターンの形状が崩れたりするというような稀に生じるトラブルを防止できる。撥水剤としては、例えば、パラフィン系撥水剤、ポリシロキサン系撥水剤又はフッ素系撥水剤などが使用でき、その処理方法は、通常のパディング法又はスプレー法などの方法で行えばよい。特に優れた撥水性を必要とする場合には、例えば、繊維布帛へフッ素系撥水剤エマルジョン(旭硝子(株)製「アサヒガード730(商品名)」)の5%水分散液をパディング法(絞り率35%)にて付与した後、160℃×1分間の熱処理を行えばよい。
また、上記撥水加工に加え、繊維布帛にカレンダー加工を施すと、重合体溶液の繊維布帛内部への浸透をより防ぐことができるため好ましい。カレンダー加工としては、例えば、鏡面ロールを備えたカレンダー加工機を用いて温度150〜170℃、圧力250〜300kPa、速度30m/分で実施すればよい。
本発明では、上記したような繊維布帛の片面に、第一工程として、水溶性物質とポリウレタン樹脂とを含む重合体溶液を非全面状に塗布し、溶媒を気化させる。この第一工程により、繊維布帛の片面に、水溶性物質とポリウレタン樹脂とを含む樹脂層が非全面状に形成される。
第一工程で用いられる水溶性物質としては、例えば、デンプンなどの多糖類、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロースなどのセルロースエステル類、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル類、ゼラチン、アルブミン、グロブリンなどの水溶性蛋白質高分子化合物、又はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの合成水溶性高分子化合物、あるいはそれらの誘導体をあげることができる。これらの化合物は、単独で又は混合して用いることができる。
一方、ポリウレタン樹脂としては、例えば、イソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られる重合体を用いることができる。イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが単独で又は混合して用いられる。具体的には、トリレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどを主成分として用い、必要に応じ3官能以上のイソシアネートを使用してもよい。他方、ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコールなどが用いられる。ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのジオールと、アジピン酸やセバチン酸などの二塩基酸との反応生成物、又はカプロラクトンなどの開環重合物を用いることができる。
水溶性物質とポリウレタン樹脂との混合割合としては、特に限定されるものではないが、質量比の値で水溶性物質/ポリウレタン樹脂=1/1〜20/1の範囲が好ましく、2/1〜15/1の範囲がより好ましい。1/1を下回っての水溶性物質が少なくなると、水溶性物質を溶出することで形成される樹脂層内部の空隙が小さくなりやすく、透湿防水性布帛の風合いや引裂強力、さらには視覚効果も低下する傾向にあるため好ましくない。一方、20/1を上回って水溶性物質が多くなると、樹脂層が繊維布帛から脱落しやすくなり、塗布パターンの形状が崩れて透湿防水性布帛の視覚効果が低下する傾向にあるため好ましくない。
そして、重合体溶液中の溶媒としては、特に限定されるものでなく、水又は有機溶媒のいずれであってもよい。
また、重合体溶液の種類としては、特に限定されるものでなく、水性分散型、W/O型エマルジョン型、O/W型エマルジョン型又は溶剤型のいずれであってもよい。
第一工程においては、このような重合体溶液を繊維布帛の片面に非全面状に塗布する。「非全面状に塗布する」とは、繊維布帛表面において重合体溶液が塗布されている部分と塗布されていない部分とが混在するように重合体溶液を塗布する態様をいい、繊維布帛表面の特定部分だけに集中して重合体溶液を塗布し残りは塗布しないというような態様は含まれない。塗布パターンとしては、例えば、ドット状、格子状、線状、斜線状、ピラミッド状、亀甲状などの均一パターン、又はそれらに近似するパターンなどがあげられる。本発明においては、この塗布パターンにより透湿防水性布帛の視覚効果を適宜調整することができる。
塗布面積の比率、すなわち、繊維布帛片面の総面積に対し重合体溶液が塗布される面積の総和の比率としては、特に限定されるものでないが、10〜80%の範囲であることが好ましい。塗布面積の比率が10%未満になると、透湿防水性布帛の風合いが硬くなる傾向にあり、視覚効果及び引裂強力が低下する傾向にあるため好ましくない。一方、80%を超えると、水溶性物質を溶出することで形成される樹脂層内部の空隙の量が増えすぎて、透湿防水性布帛の防水性及び樹脂膜の剥離強度が低下する傾向にあるため好ましくない。
繊維布帛に重合体溶液を塗布する方法としては、例えば、フラットスクリーンやロータリースクリーンなどのプリント機、又はグラビア加工機などを用いれば、容易に所望のパターンに塗布することができる。
そして、得られる樹脂層(水溶性物質を含む)の質量としては、水溶性物質の溶出性の点から、が0.5〜20g/mになるのが好ましく、1〜15g/mになるのがより好ましい。
第一工程においては、繊維布帛に重合体溶液を塗布した後、該重合体溶液に含まれる溶媒を気化させるが、溶媒を気化させる方法としては、例えば、乾燥炉を備えたピンテンターなどを用いて拡布状としつつ、50〜150℃の温度で0.5〜5分間熱処理すればよい。
本発明においては、上記の第一工程の後、以下の第二工程を行う。第二工程としては、まず、上記の樹脂層を非全面状に形成した側の面に、ポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液を全面状に塗布する。
第二工程で用いられるポリウレタン樹脂としては、特に限定されるものでないが、例えば、第一工程で用いたポリウレタン樹脂を使用してもよい。
第二工程で用いられる重合体溶液中には、重合体成分としてポリウレタン樹脂が50〜100質量%程度含有されているのが好適である。
ポリウレタン樹脂以外の重合体成分としては、ポリアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアミノ酸、ポリカーボネートなどやこれらの共重合体、あるいは、フッ素やシリコーンなどで変成した重合体などがあげられる。
また、重合体溶液中の溶媒としては、ポリウレタン樹脂を溶解させやすい極性有機溶媒が好ましく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどがあげられる。
重合体溶液を塗布する方法としては、例えば、ナイフコータ、コンマコータ、リバースコータなどを用いる通常のコーティング法により塗布すればよい。
そして、得られる樹脂膜(第二工程で塗布した重合体溶液から形成される樹脂膜)の質量としては、任意であるが、10g/m以上になるのが好ましく、15〜50g/mになるのがより好ましい。
重合体溶液を塗布した後は、水浴中に浸漬する。具体的には、重合体溶液を塗布した後、5〜40℃の水浴中に0.5〜2分間浸漬するのが好ましい。これにより、樹脂膜が形成される。そしてその後、湯洗を行う。具体的には、例えば、40〜80℃の湯浴中で5〜15分間の湯洗を行えばよい。なお、湯洗後、必要により水洗、乾燥を行ってもよい。
以上の第一工程及び第二工程を行うことにより、繊維布帛の片面に、透湿防水性の樹脂膜が形成され、透湿防水性布帛が得られる。
このようにして、本発明により得られる透湿防水性布帛は、透湿防水性及び樹脂膜の剥離強度の他、風合い、視覚効果にも優れている。本発明により、そのような優れた特長を有する透湿防水性布帛が得られるメカニズムについて、本発明者らは以下のように推察している。
すなわち、第二工程で用いられる重合体溶液を塗布した後、水浴中に浸漬すると、速やかに該重合体溶液中の溶媒と水との置換が開始し、重合体溶液中に溶解又は分散していたポリウレタン樹脂及びその他の重合体が凝固して微多孔質の樹脂膜が形成されると推察している。このとき、第一工程で形成された樹脂層から一部の水溶性物質が溶出する。続く湯洗によって、水溶性物質はほぼ完全に溶出されると推察している。この水溶性物質の溶出により、第一工程で形成された樹脂層の内部に空隙が形成され、透湿防水性布帛の透湿性が向上すると共に、繊維布帛の組織が動きやすくなって透湿防水性布帛の風合いも向上すると推察している。また、繊維布帛上において、空隙を有する樹脂層は非全面状に形成されており、それ以外の部分では第二工程で形成される樹脂膜が直接繊維布帛に接着している。このため、透湿防水性布帛において、樹脂膜による透湿性が向上していると同時に、防水性と樹脂膜の剥離強度とは共に高いレベルを維持できると推察している。さらに、樹脂膜が形成されている面から透湿防水性布帛を見たとき、屈折率の違いにより、空隙を有する非全面状の樹脂層のパターンが認識できることから、優れた視覚効果を有する透湿防水性布帛を得ることができるのである。
また、本発明においては、第二工程で用いられる重合体溶液中に着色剤が含有されているのが好ましい。これにより、空隙を有する樹脂層のパターンをより鮮明に認識できるので、透湿防水性布帛の視覚効果が高まる。
着色剤としては、重合体溶液中に分散し、樹脂膜を斑なく発色させうるものであれば、特に限定されるものでないが、耐久性の点から顔料が好適である。
顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれでも使用可能である。
有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系、ジオキサジン系、アントラキノン系などの有機顔料があげられる。
一方、無機顔料としては、例えば、チタン白、亜鉛華などの白色無機顔料、コバルトグリーン、セルリアンブルー、コバルトブルー、コバルトバイオレットなどのコバルト化合物無機顔料、酸化鉄を主体にした黄、赤褐色、紺青色などの鉄化合物無機顔料、雲母層と酸化チタン層とからなるパール顔料、蛍光顔料などがあげられる。顔料の使用に当っては、色彩、光沢などを考慮して、上記顔料を単独で又は混合して用いることができる。
また、重合体溶液中には、樹脂膜の光沢を増大させる目的で、無機物が含有されていてもよい。無機物としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、二酸化珪素又は酸化アルミニウムなどがあげられる。これらの無機物と上記着色剤とを併用すれば、樹脂膜の色調及び光沢をより優れたものにすることができる。
さらに、第二工程で用いられる重合体溶液中には、樹脂膜と繊維布帛との間の耐剥離性能を向上させる目的で、ポリウレタン樹脂及び繊維布帛に対する親和性に優れた化合物が含有されていてもよい。その化合物としては、イソシアネート化合物が好適である。イソシアネート化合物としては、例えば、第一工程で用いられるポリウレタン樹脂の一成分であるイソシアネート成分を使用してもよい。
イソシアネート化合物の使用量としては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン樹脂の質量に対し0.1〜10質量%の割合で使用することが好ましい。使用量が0.1質量%未満であると、繊維布帛に対する接着力があまり向上しない傾向にあり、一方、10質量%を超えると、透湿防水性布帛の風合いが硬くなる傾向にあるため好ましくない。
本発明によれば、第二工程を完了させればそれだけで透湿防水性及び樹脂膜の剥離強度の他、風合い、視覚効果にも優れた透湿防水性布帛を得ることができるが、第三工程として、第二工程で形成された樹脂膜(第一の樹脂膜)上に、さらに、ポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液を全面状に塗布し、溶媒を気化させることにより樹脂膜を形成させることが好ましい。この第三工程により形成される第二の樹脂膜は、無孔質の透湿膜なので、透湿防水性布帛の防水性、耐摩耗性及びすべり感などが向上する。
第三工程で用いられるポリウレタン樹脂としては、特に限定されるものでないが、第一及び第二工程で用いたポリウレタン樹脂を使用してもよい。
第三工程で用いられる重合体溶液中の溶媒としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどのようなあまり極性のない有機溶媒を使用するのが好ましい。極性有機溶媒を多く使用すると、第一の樹脂膜が該極性有機溶媒に溶解し、透湿防水性布帛の透湿性を低下させてしまう恐れがあるからである。
第一の樹脂膜の上に重合体溶液を塗布する方法としては、例えば、ナイフコータ、リバースコータ、グラビアロールなどを用いる通常のコーティング法により全面状に塗布すればよい。
そして、得られる第二の樹脂膜の質量としては、任意であるが、0.5〜15g/mになるのが好ましく、1〜10g/mになるのがより好ましい。
塗布された重合体溶液に含まれる溶媒を気化させる方法としては、例えば、乾燥炉を備えたピンテンターなどを用いて拡布状としつつ、50〜150℃の温度で0.5〜5分間熱処理すればよい。
また、第三工程において、上記の重合体溶液に着色剤が含有されていると、より一層コントラストに富んだ視覚効果を有する透湿防水性布帛を得ることができるので好ましい。
着色剤としては、例えば、第二工程で用いることのできるのと同様の着色剤を使用することができ、第一の樹脂膜とのコントラストを考慮して選択すればよい。
なお、本発明においては、第二工程又は第三工程の後の最終工程として、透湿防水性布帛全体に撥水加工を行うと、透湿防水性布帛の防水性及び撥水性が向上するので好ましい。撥水加工の方法としては、特に限定されるものでなく、例えば、既述した繊維布帛の撥水加工と同様の方法でもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、実施例、比較例及び参考例における樹脂膜及び透湿防水性布帛の性能の測定、評価は、下記の方法で行った。
(1)防水性
JIS L−1092 B法(高水圧法)に準じて透湿防水性布帛の耐水圧を測定した。
(2)透湿性
JIS L−1099 A−1法(塩化カルシウム法)に準じて透湿防水性布帛の透湿度を測定した。
(3)剥離強度
JIS L−1089の衣料用接着布試験方法に記載された標準時の剥離強度測定に準じて樹脂膜の剥離強度を測定した。
(4)引裂強力
JIS L−1096 D法(ペンジュラム法)に準じて透湿防水性布帛の経緯方向の引裂強力を測定した。
(5)視覚効果
透湿防水性布帛の視覚効果を目視による樹脂層の認識度合いにより評価し、下記3段階で相対評価した。
◎:樹脂層のパターンが鮮明に認識できる
○:樹脂層のパターンが認識できる
△:樹脂層のパターンの認識がやや困難
×:樹脂層のパターンが認識できない
(6)風合い
ハンドリングにより、透湿防水性布帛の風合いを下記3段階で相対評価した。
○:柔らかい △:やや硬い ×:硬い
(参考例1)
経緯共にナイロン6マルチフィラメント78dtex/48fを用いて、経糸密度110本/2.54cm、緯糸密度95本/2.54cmの平組織の織物を製織し、精練後、酸性染料(日本化薬(株)製、「Kyanol Navy Blue R(商品名)」)2%omfを用いて染色し、さらに、フッ素系撥水剤エマルジョン(旭硝子(株)製「アサヒガードAG−4210(商品名)」)の5%水分散液をパディング法(絞り率30%)にて付与した後、170℃×40秒の熱処理を行った。続いて、鏡面ロールを有するカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力250kPa、速度30m/分の条件で織物をカレンダー加工した。以上のようにして、本発明に用いうる繊維布帛を得た。
(実施例1)
参考例1で得られた繊維布帛を用いて、第一工程として、繊維布帛のカレンダー面に、下記処方1に示す組成で固形分(溶液中の溶媒を除いた固形部分の量を質量%で表示したもの)8%、粘度2500mPa・s/25℃の重合体溶液を、塗布面積の比率が45%、塗布量(塗布した重合体溶液の質量)が100g/mとなるように非全面状に塗布した。重合体溶液の塗布に当っては、形状が格子型で20線/2.54cm、深度が230μmのグラビア加工機を用いた。重合体溶液を塗布した後、100℃×2分の熱処理を施して溶媒を気化させて非全面状の樹脂層を形成し、その後、ロールに巻き上げた。
〈処方1〉
カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)製、「DKSファインガムHEL−3(商品名)」) 5質量部
水溶性ポリウレタン樹脂溶液(第一工業製薬(株)製、「エラストロンE−37(商品名)」固形分25%) 5質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
乳化剤(第一工業製薬(株)製、「レピトールS(商品名)」) 2質量部
溶媒(ミネラルターペン) 25質量部
溶媒(水) 53質量部
次に、第二工程として、上記のロールに巻き上げた布帛をほどきながら、上記の樹脂層を形成した側の面に下記処方2に示す組成で固形分21%、粘度9500mPa・s/25℃の重合体溶液を、コンマコータを用いて塗布量120g/mで全面状に塗布し、直ちに30℃の水中に1分間浸漬して樹脂膜を形成した。その後、50℃×10分で湯洗し、さらに水洗、乾燥を施して本発明の方法による透湿防水性布帛を得た。
〈処方2〉
エステル型ポリウレタン樹脂溶液(大日精化工業(株)製、「レザミンCU4555(商品名)」固形分27%) 100質量部
着色剤ペースト(大日精化工業(株)製、「セイカセブンBS−1001ホワイト(商品名)」固形分60%(但し、バインダー成分10%、酸化チタン系顔料成分50%)) 1質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、「レザミンX(商品名)」) 1質量部
溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド) 35質量部
(実施例2)
処方2に示す組成の重合体溶液を、下記処方3に示す組成で固形分21%、粘度10000mPa・s/25℃の重合体溶液に変更する以外は、実施例1と同様にして、透湿防水性布帛を得た。
〈処方3〉
エステル型ポリウレタン樹脂溶液(大日精化工業(株)製、「レザミンCU4555(商品名)」固形分27%) 100質量部
着色剤ペースト(大日精化工業(株)製、「セイカセブンBS−1013レッド(商品名)」固形分27%(但し、バインダー成分12%、アントラキノン系顔料成分15%)) 3質量部
着色剤ペースト(大日精化工業(株)製、「セイカセブンBS−1001ホワイト(商品名)」固形分60%(但し、バインダー成分10%、酸化チタン系顔料成分50%)) 1質量部
イソシアネート化合物(大日精化工業(株)製、「レザミンX(商品名)」) 1質量部
溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド) 35質量部
(実施例3)
実施例2の方法で得られた透湿防水性布帛の樹脂膜(第一の樹脂膜)上に、第三工程として、下記処方4に示す組成で固形分20質量%、粘度2500mPa・s/25℃の重合体溶液を、ナイフコーターを用いて塗布量10g/mで全面状に塗布した後、130℃×1分間の熱処理を施し溶媒を気化させることにより第二の樹脂膜を形成し、透湿防水性布帛を得た。
〈処方4〉
エーテル型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2524(商品名)」固形分25%) 50質量部
ポリウレタン系マット剤溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2525M(商品名)」固形分18%) 100質量部
溶媒(イソプロピルアルコール) 2.5質量部
溶媒(トルエン) 2.5質量部
(実施例4)
処方4に示す組成の重合体溶液を、下記処方5に示す組成で固形分20%、粘度2700mPa・s/25℃の重合体溶液に変更する以外は、実施例3と同様にして、透湿防水性布帛を得た。
〈処方5〉
エーテル型ポリウレタン樹脂溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2524(商品名)」固形分25%) 50質量部
ポリウレタン系マット剤溶液(セイコー化成(株)製、「ラックスキンU2525M(商品名)」固形分18%) 100質量部
着色剤ペースト(大日精化工業(株)製、「セイカセブンBS−1675ブルー(商品名)」固形分30%(但し、バインダー成分10%、シアニン系顔料成分20%)) 1質量部
アルミニウムペースト(昭和アルミパウダー(株)製、「Sap210EA(商品名)」固形分50%) 1質量部
溶媒(イソプロピルアルコール) 2.5質量部
溶媒(トルエン) 2.5質量部
(比較例1)
処方1で用いた水溶性ポリウレタン樹脂溶液(エラストロンE−37)を省く以外は、実施例1と同様の方法により透湿防水性布帛を得た。
(参考例2)
第一工程で用いた格子型のグラビア加工機を、ドット幅0.10mm、73メッシュ、深度230μmのドット型のグラビア加工機に代えて塗布面積の比率を45%から7%に代え、さらに処方1に示す組成の重合体溶液の塗布量を100g/mから16g/mに代える以外は、実施例1と同様の方法により透湿防水性布帛を得た。
(参考例3)
第一工程で用いた格子型のグラビア加工機を、ドット幅0.75mm、34メッシュ、深度230μmのドット型のグラビア加工機に代えて塗布面積の比率を45%から90%に代え、さらに処方1に示す組成の重合体溶液の塗布量を100g/mから200g/mに代える以外は、実施例1と同様の方法により透湿防水性布帛を得た。
以上、実施例、参考例及び比較例により得られた樹脂膜及び透湿防水性布帛の性能及び評価を、下記表1に示す。
表1より明らかなように、実施例1〜4の方法により得られた透湿防水性布帛は、透湿防水性及び樹脂膜の剥離強度の他、風合い、視覚効果にも優れるものであった。
実施例1の方法により得られた透湿防水性布帛は、格子状の落ち着いた白色の視覚効果を有し、実施例2の方法により得られた透湿防水性布帛は、格子状のしっとりした赤色の視覚効果を有していた。さらに、実施例3の方法においては、第二の樹脂膜の形成により、透湿防水性布帛が高い防水性を有しており、実施例4の方法により得られた透湿防水性布帛は、第一の樹脂膜の色彩と第二の樹脂膜の色彩とが異なるため、コントラストに富む視覚効果を有していた。
一方、比較例1の方法においては、第一工程で形成された格子柄の塗布パターンの大半がロールに巻き上げた際に繊維布帛から脱落してパターンの形状が崩れたため、得られた透湿防水性布帛は、視覚効果に劣るものであった。
また、参考例2の方法で得られた透湿防水性布帛は、第一工程における重合体溶液の塗布面積の比率が低いため、実施例1で得られた透湿防水性布帛と比べ風合いがやや硬く、視覚効果及び引裂強力もやや劣るものであった。さらに、参考例3の方法で得られた透湿防水性布帛は、第一工程における重合体溶液の塗布面積の比率が高いため、実施例1で得られた透湿防水性布帛と比べ防水性及び樹脂膜の剥離強度が劣るものであった。

Claims (4)

  1. 繊維布帛の片面に、第一工程として、水溶性物質とポリウレタン樹脂とを含む重合体溶液を非全面状に塗布し、溶媒を気化させることによって非全面状の樹脂層を形成させた後、第二工程として、前記樹脂層を形成した側の面にポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液を全面状に塗布した後、水浴中に浸漬することにより樹脂膜を形成させ、さらに、湯洗を行うことを特徴とする透湿防水性布帛の製造方法。
  2. 第二工程におけるポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液に着色剤が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の透湿防水性布帛の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された第一工程及び第二工程を行った後に、該第二工程で形成された樹脂膜上に、第三工程として、ポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液を全面状に塗布し、溶媒を気化させることにより樹脂膜を形成させることを特徴とする透湿防水性布帛の製造方法。
  4. 第三工程におけるポリウレタン樹脂を主として含む重合体溶液に着色剤が含有されていることを特徴とする請求項3に記載の透湿防水性布帛の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102605623A (zh) * 2012-03-14 2012-07-25 浙江理工大学 一种制备防水透湿涂层织物的方法
KR102202714B1 (ko) * 2020-12-02 2021-01-14 주식회사 하이사이클 커피자루 황마의 업사이클제품 소재화를 위한 가공 방법

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