JP2006128286A - 金属セラミック複合体とその接合方法およびこれを用いた放熱基板 - Google Patents

金属セラミック複合体とその接合方法およびこれを用いた放熱基板 Download PDF

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Abstract

【課題】高い放熱特性や優れた耐熱サイクル特性に加え、高い接合強度を有し、割れや絶縁破壊を招くことのない、信頼性が高い放熱基板として用いることのできる金属セラミック複合体を安価に提供する。
【解決手段】セラミック基板2に、銅を主成分とする結合層7a、7bを介して銅または銅合金を主成分とする金属基板を接合した金属セラミック複合体において、上記金属基板を構成する銅または銅合金の平均結晶粒径が2〜100μmであって、平均サブ粒界密度が10mm/mm以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、IGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)素子等の半導体素子、昇華型サーマルプリンターヘッド用基板、面型発熱ヒーター支持基板、サーマルインクジェットプリンターヘッドのヒーター支持基板等の放熱効率を高める目的に用いられる金属セラミック複合体とその接合方法及びそれを用いた放熱基板に関する。
近年、パワートランジスタモジュール用基板やスイッチング電源モジュール用基板等の放熱基板として、セラミック基板上に銅板、アルミニウム板、各種クラッド板等の金属板を接合して回路を構成した放熱基板が広く用いられている。また、このセラミック基板としては、特許文献1〜3で示されているように安価で汎用性が高いアルミナ(Al)基板、または電気絶縁性を有すると共に熱伝導性に優れた窒化アルミニウム(AlN)基板や窒化珪素(Si)基板等が一般的に使用されている。
上述のような銅板等で回路を構成した放熱基板は、例えば図1に示すように、セラミック基板2の一方の表面に銅からなる回路基板3を接合し、他方の表面に銅板4を接合して形成される。
セラミック基板2の表面に各種金属板を接合する手法としては、直接接合法、高融点金属メタライズ法、活性金属法などが用いられる。直接接合法は、例えばセラミック基板2上に、所定形状に打ち抜いて回路を形成した銅板等を接触配置して加熱し、接合界面にCu−CuO、Cu−O等の共晶液相を生成させて、この液相によりセラミック基板2との濡れ性を高め、次いで、この液相を冷却固化させることにより、セラミック基板と銅板等とを直接接合する、いわゆる銅直接接合法(DBC法:Direct Bonding Copper法)である。また、高融点金属メタライズ法は、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの高融点金属をセラミック基板2の表面に焼き付けて金属回路層を一体に形成する方法である。また、活性金属法は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などの4A族元素のような活性を有する金属を含むAg−Cuロウ材層を介してセラミック基板2上に金属板を一体に接合する方法である。この活性金属法によれば、ロウ材層は銅(Cu)および銀(Ag)の主成分により回路基板3との接合強度を高められる一方、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)成分によりロウ材層はセラミック基板2との接合強度が高められる。
なお、具体的な回路の形成方法としては、予めプレス加工やエッチング加工によりパターニングした銅板を用いたり、接合後にエッチング、レーザー等によりパターニングしたりする等の方法が知られている。
これら直接接合法や活性金属法により得られる放熱基板は、いずれもセラミック基板と金属回路板との接合強度が高く、単純な構造を有するため、小型高実装化が可能であり、また製造工程も短縮できる等の効果が得られ、大電流型や高集積型の半導体素子に対応できる等の利点を有している。
しかしながら、上記半導体素子を半田付け等により実装化しようとすると、急激な温度上昇により放熱基板に大きな反りが発生し、セラミック基板2、回路基板3間、あるいはセラミック基板2、銅板4間に隙間ができ、この隙間により放熱特性が低下するという問題があった。
このような問題を解決するため、特許文献1では金属回路板3や銅板4を形成する銅の平均結晶粒径を400μm以上、平均サブ粒界密度を20mm/mm以下、実質的には14〜18mm/mmとした放熱基板が提案されている。
また、特許文献2では上述のような隙間を防止するため、セラミック基板2の表面に活性金属を吸着、熱処理した後、金属めっき、ろう付けを順次施した放熱基板が提案されている。ここで、活性金属の具体的な吸着方法としては、活性金属を溶かした溶液にセラミックス基板2を浸積して吸着する方法や、吸着をより確実にするために感応性付与剤として機能するSnイオンを含む溶液により予めセラミックス基板2の表面に感応性を付与した後、パラジウム(Pd)で置換析出する方法が開示されている。
また、特許文献3では、セラミック基板2と回路基板3及び銅板4の密着性向上のため、回路基板3、銅板4ともに複数に分割し、セラミック基板2を挟んで略面対称に配設した放熱基板が提案されている。
近年、上述のような放熱基板を使用した半導体装置の高出力化,半導体素子の高集積化が急速に進行し、放熱基板に繰り返して作用する熱応力が増加する傾向にあり、このような熱応力に対して十分な接合強度と耐久性が要求されている。
特許第3211856号公報 特開2000−226274号公報 特開2002−343911号公報
しかしながら、上述の放熱基板では、セラミック基板の種類や金属回路板あるいは銅板の接合方法を改良することにより初期の接合強度は高いものの、特許文献1で提案されるように、金属回路板3や銅板4を形成する銅の平均結晶粒径を400μm以上にすると、銅の降伏応力が小さくなり、放熱基板に繰り返して作用する熱応力に耐えきれず、金属回路板3や銅板4の接合端部Dから剥離が発生し、回路の動作不良を引き起こすという問題があった。
また、銅の平均サブ粒界密度が14〜18mm/mmでは、放熱基板の反りを低減できるものの、この範囲では放熱基板が繰り返して受ける熱処理により再結晶化が発生し、この最結晶化に伴って銅が軟化し、銅の機械的特性が低下するという問題があった。
また、特許文献2で提案される接合方法では、パラジウム(Pd)を用いることで密着力の高い放熱基板が得られることが示されているものの、パラジウム(Pd)を溶かした溶液を用いてセラミック基板に吸着させているため、高価なパラジウム(Pd)の収率が低く、安価に製造することができないという問題があった。
また、特許文献3で提案される方法では、金属回路板、銅板とも複数作製するため、製造工程の煩雑化と製造工数の増大、また、金属回路板や銅板の相対的な位置決め精度や厚み精度が要求され、これらの精度調整が煩雑であるという問題もあった。
本発明は上述のような問題を解決するためになされたものであり、高い放熱特性や優れた耐熱サイクル特性に加え、高い接合強度を有し、割れや絶縁破壊を招くことのない、信頼性が高い放熱基板として用いることのできる金属セラミック複合体を安価に提供することを目的とする。
本発明の金属セラミック複合体は、セラミック基板に、銅を主成分とする結合層を介して銅または銅合金を主成分とする金属基板を接合した金属セラミック複合体において、上記金属基板を構成する銅または銅合金の平均結晶粒径が2〜100μmであって、平均サブ粒界密度を10mm/mm以下とするものである。
また、上記結合層のビッカース硬度HVc及び金属基板のビッカース硬度HVsを1GPa以上とするものである。
さらに、上記結合層のビッカース硬度HVc、金属基板のビッカース硬度HVsの関係が
|HVc−HVs|/HVc≦0.85を満たすものである。
またさらに、上記結合層を構成する銅の平均結晶粒径が5μm以下であるとともに、平均サブ粒界密度が10mm/mm以下とするものである。
さらにまた、上記金属基板の0.2%耐力を300MPa以上とするものである。
また、上記セラミック基板、結合層間に、セラミック基板側より第1の中間層及び第2の中間層を順次形成し、上記第1の中間層はモリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とし、前記第2の中間層はニッケル(Ni)またはクロム(Cr)を主成分とするとともにビッカース硬度HViが0.7GPa以上であることを特徴とするものである。
またさらに、上記セラミック基板は、単結晶アルミナまたは多結晶窒化珪素を主成分とすることを特徴とするものである。
さらにまた、本発明の金属セラミック複合体の接合方法は、セラミック基板上に、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とする第1の中間層を形成し、第1の中間層上にニッケル(Ni)またはクロム(Cr)の少なくともいずれか1種を主成分とする第2の中間層を形成した後、銅を主成分とする結合層を形成し、銅または銅合金を主成分とする金属基板を前記結合層に水素雰囲気中で加熱圧着し、圧着した状態で常温より低い温度まで冷却した後、常温に上げて抜圧するものである。
また、上記加熱温度を380〜400℃、冷却温度を−60〜−40℃とするものである。
さらに、本発明の放熱基板は、上記セラミック基板上に、銅を主成分とする所定パターンの回路基板を形成したものである。
またさらに、上記放熱基板は、金属基板の厚み(T1)及び所定パターンの回路基板の厚み(T2)の関係が、|T1−T2|/T1≦0.33を満足するものである。
セラミック基板に、銅を主成分とする結合層を介して銅または銅合金を主成分とする金属基板を接合した金属セラミック複合体において、上記金属基板を構成する銅または銅合金の平均結晶粒径を2〜100μm、平均サブ粒界密度を10mm/mm以下とすることで、金属基板の降伏応力を最適化することができ、金属基板と結合層との密着性を向上させられるとともに、金属セラミック複合体に発生する反りを低減させることができる。
また、上記結合層のビッカース硬度HVc及び金属基板のビッカース硬度HVsを1GPa以上とすることで、金属基板と結合層とを高い加圧力により密着させられる。
さらに、上記結合層のビッカース硬度HVc、金属基板のビッカース硬度HVsの関係を
|HVc−HVs|/HVc≦0.85
とすることで、結合層、金属基板とも接合時に双方に与える損傷を低減させることができ、信頼性の高い金属セラミック複合体とすることができる。
またさらに、上記結合層を構成する銅の平均結晶粒径を5μm以下、平均サブ粒界密度を10mm/mm以下とすることで、金属基板とセラミック基板との密着性を向上させられるとともに、金属セラミック複合体に発生する反りを低減させることができる。
さらにまた、上記金属基板の0.2%耐力を300MPa以上とすることで、金属基板に繰り返し作用する熱応力に対し、耐変形性能が向上し、耐久性が増す。
また、上記セラミック基板、結合層間に、セラミック基板側より第1の中間層及び第2の中間層を順次形成し、上記第1の中間層はモリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とし、前記第2の中間層はニッケル(Ni)またはクロム(Cr)を主成分とするとともにビッカース硬度Hviが0.7GPa以上であることから、接合時における中間層の損傷を防止することができ、さらに金属基板とセラミック基板との密着性を向上させられる。また、第1の中間層は上記セラミック基板、金属基板の各ヤング率の中間のヤング率を有するため、接合後に発生する残留応力を低減することができ、第2の中間層をニッケル(Ni)またはクロム(Cr)を主成分とすることで、前記第1の中間層、金属基板いずれとも濡れ性を上げることができ、接合の信頼性が向上する。また、第1の中間層をチタン(Ti)を主成分とすることで、第1の中間層は耐湿性が良好になり、第2の中間層をニッケル(Ni)またはクロム(Cr)を主成分とすることで、前記第1の中間層、金属基板いずれとも濡れ性を上げることができ、金属セラミック複合体が高湿環境下で用いられても好適である。
またさらに、上記セラミック基板が、アルミナを主成分とすることで、繰り返して作用する熱応力や熱負荷に対し、耐久性、放熱特性ともに良好な金属セラミック複合体とすることができる。また、上記セラミック基板が、窒化珪素を主成分とすることで、窒化珪素は熱伝導率、曲げ強度とも高いため、金属セラミック複合体の厚みが制限を受けるときには好適である。
さらにまた、上記金属セラミック複合体の接合方法において、セラミック基板上に、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とする第1の中間層を形成し、第1の中間層上にニッケル(Ni)またはクロム(Cr)の少なくともいずれか1種を主成分とする第2の中間層を形成した後、銅を主成分とする結合層を形成し、銅または銅合金を主成分とする金属基板を前記結合層に水素雰囲気中で加熱圧着し、圧着した状態で常温より低い温度まで冷却した後、常温に上げて抜圧することで、金属セラミック複合体に発生する反りを一層低減させることができる。
特に、上記加熱温度を380〜400℃、冷却温度を−40〜−60℃にすると、接合強度の確保と反りの低減に有効である。
またさらに、上記金属セラミック複合体は、高い放熱特性と長期信頼性を有するので、各種放熱基板に用いることができ、銅を主成分とする所定パターンの回路が形成された放熱基板に用いても好適である。
さらにまた、金属基板の厚み(T1)及び所定パターンの回路基板の厚み(T2)の関係を|T1−T2|/T1≦0.33とすることで、放熱基板に発生する反りを著しく低減させられる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明は、セラミック基板に、活性金属を主成分とする中間層を介して銅または銅合金を主成分とする金属基板を接合した金属セラミック複合体において、上記金属基板を構成する銅または銅合金(以下、特に断りがない場合、簡便のため、銅または銅合金を単に銅と記す。)の平均結晶粒径を2〜100μm、平均サブ粒界密度を10mm/mm以下としたものである。
このような金属セラミック複合体は、例えば図2に示すように、セラミック基板2の一方の表面に回路基板3としての銅板を接合し、他方の表面に銅板4を接合して形成した放熱基板として用いられる。
ここで、金属基板を構成する銅の平均結晶粒径を2〜100μmとしたのは、平均結晶粒径が100μmを超えると、銅の降伏応力が低過ぎ、金属セラミック複合体に繰り返して熱応力が作用する場合、このような熱応力に耐えきれず、金属回路板3や銅板4の接合端部から剥離が発生し、回路の動作不良を引き起こすからであり、平均結晶粒径が2μm未満では、銅の降伏応力が高過ぎ、接合後に、金属セラミック複合体に発生した大きな反りがそのまま残るからである。
平均結晶粒径を2〜100μmとすることで、上記降伏応力を最適化することができるため、接合時に発生する反りを低減させられるとともに、金属セラミック複合体に熱応力が繰り返し作用しても剥離することのない、信頼性が高い金属セラミック複合体とすることができる。
ところで、銅の欠陥の大きなものとしては、粒子間に存在する粒界と、熱間圧延あるいは冷間圧延によって結晶粒内に発生した亜境界とがある。この亜境界は通常の粒界と区別するためサブ粒界とも呼ばれ、機械的特性を上げるためには、サブ粒界を少なくしなければならない。
本発明で平均サブ粒界密度を10mm/mm以下としたのは、平均サブ粒界密度が10mm/mmを超えると、銅や銅合金の硬度、降伏応力等機械的特性が低くなるからである。
上記平均結晶粒径については、例えば倍率20〜3000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(以下、SEM写真と称す。)を用い、インターセプト法(コード法)により測定することができる。具体的には、サンプル数が10以上、好ましくは20以上となるように数枚のSEM写真より一定長さの直線上にある結晶の粒径を測定し、その平均を算出する。
また、平均サブ粒界密度については、SEM写真より、D=(ΣLi・ni)/Sを用いて算出する。但し、D:平均サブ粒界密度(mm/mm)、Li:あるサブ粒界の長さ(mm)、ni:あるサブ粒界の本数(mm)、S:測定面積(mm)とする。このサブ粒界は、銅の熱間圧延中あるいは冷間圧延によって、結晶粒内を分割する線状欠陥(転移)として発生する。
特に、上記平均結晶粒径が5〜20μm、平均サブ粒界密度が5mm/mm以下であることがより好ましい。
また、上記結合層のビッカース硬度HVc及び金属基板のビッカース硬度HVsを1GPa以上とすることが好適である。このようにすることで、金属基板と結合層とを高い加圧力により密着させられるとともに、繰り返し作用する熱負荷が大きくても金属セラミック複合体は塑性変形しにくくなるからである。
特に、結合層のビッカース硬度HVcを1.2GPa以上、金属基板のビッカース硬度HVsを1.2GPa以上とすることがさらに好適である。
なお、上記ビッカース硬度HVc、HVsは、JIS Z 2244−1998に準拠して測定すればよく、測定に用いる試験荷重は、結合層の厚みに依存し、例えば98.07mNあるいは196mNとする。なお、結合層に与える試験荷重と金属基板に与える試験荷重を変更してもJIS Z 2244−1998においてはHv=0.18909F/d(F:試験荷重(N)、d:くぼみの対角線の長さの平均(mm))としているため、ビッカース硬度は一義的に決まる。
さらに、上記結合層のビッカース硬度HVc、金属基板のビッカース硬度HVsの関係を
|HVc−HVs|/HVc≦0.85とすることが好適であり、このようにすることで結合層、金属基板とも接合時に双方に与える損傷を低減させることができ、信頼性の高い金属セラミック複合体とすることができる。
特に、接合時に双方の接合面が馴染みやすくさせることができ、しかも結合層が薄くても変形しにくいという点からHVc>HVsであって、|HVc−HVs|/HVcの下限を0.4とすることがさらに好適である。
さらに、上記結合層を構成する銅の平均結晶粒径を5μm以下にするとともに、平均サブ粒界密度を10mm/mm以下としても好適である。
ここで、結合層を構成する銅の平均結晶粒径を5μm以下としたのは、平均結晶粒径が5μmを超えると、結合層が数10μm程度と薄い場合、厚み方向における銅の粒子数が少なくなるために、振動を受けやすい環境下では連鎖的に脱粒するおそれが高く、このような脱粒が発生した場合、結合層としての機能が失われるからである。結合層を構成する銅の平均結晶粒径を5μm以下とすることで、金属基板と中間層の密着性は向上し、セラミック複合体に発生する反りも低減させることができる。上記平均結晶粒径は製造上の都合により2〜5μmであることが好適である。
また、結合層の平均サブ粒界密度を10mm/mm以下としたのは、平均サブ粒界密度が10mm/mmを超えると、接合で金属基板と一体化した場合、銅や銅合金の硬度、降伏応力等の機械的特性に影響するからであり、これら機械的特性を維持するためには結合層の平均サブ粒界密度を10mm/mm以下とすることが好ましい。
上記結合層の平均結晶粒径及び平均サブ粒界密度の測定方法については、金属基板で測定した方法と同じ方法を用いればよい。
また、上記金属基板の0.2%耐力は300MPa以上とすることが好適である。
0.2%耐力とは材料に荷重をかけたとき、0.2%の永久歪を与える単位面積当たりの荷重として定義され、金属基板の変形し難さを示す指標である。また、0.2%耐力は、JIS Z 2241−1998に準拠して測定される。上記金属基板の0.2%耐力を300MPa以上としたのは、金属セラミック複合体が放熱基板に用いられる場合、放熱基板に繰り返して作用する熱応力に対し、耐変形性能が向上するからであり、特に金属基板の厚みが薄い場合には有効である。なお、この0.2%耐力は、銅や銅合金等柔らかい金属では降伏応力が測定しにくいため、降伏応力を代替することが多い。
特に、上記金属基板の0.2%耐力が400MPa以上であることが好ましい。
さらに、高い放熱特性が求められる場合には、銅の含有率が99.96%以上と極めて高い、無酸素銅、タフピッチ銅、りん脱酸銅、無産素銅のいずれかからなる金属基板を用いることが好適であり、特に無酸素銅のうち、銅の含有率が99.995%以上の線形結晶無酸素銅あるいは単結晶状高純度無酸素銅を用いることが好ましい。
また、上記セラミック基板、結合層間に、セラミック基板側より第1の中間層及び第2の中間層を順次形成し、上記第1の中間層はモリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とし、前記第2の中間層はニッケル(Ni)またはクロム(Cr)を主成分とするとともにビッカース硬度HViが0.7GPa以上とすることが好適である。
セラミック基板に、銅を主成分とする結合層を直接形成した場合に比べ、セラミック基板、結合層間に中間層を形成し、しかもこの中間層を2層構造とすることで、熱膨張係数を傾斜的に選択することができるため、セラミック基板と金属基板の熱膨張差に起因して発生する応力を低減することができるからである。また、第2の中間層のビッカース硬度Hを0.7GPa以上とすることで、金属基板を接合する際、中間層の変形は防止されるため、損傷が入らず、中間層と金属基板との密着力は向上する。より好ましくは第2の中間層のビッカース硬度Hを0.8GPa以上であり、上記第2の中間層のうちニッケル(Ni)を主成分とすることで、環境に対する負荷を低減することができる。
なお、上記ビッカース硬度Hは、JIS Z 2244−1998に準拠して測定すればよく、測定に用いる試験荷重は、中間層の厚みに依存するが、例えば98.07mNあるいは196mNとする。
上記第1の中間層はモリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とする。第1の中間層は、セラミック基板に対する濡れ性という点からモリブデン(Mo)を主成分とし、マンガン(Mn)がモリブデン(Mo)に対して1〜10質量%含まれているか、あるいはロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とすることが好適である。また、第1の中間層がモリブデン(Mo)を主成分とし、マンガン(Mn)を1〜10質量%含む場合、SiOを微量含んでいることが好ましく、SiOはセラミック基板との接合強度の向上に寄与する。
また、第1の中間層をモリブデン(Mo)またはロジウム(Rh)を主成分とすることで、第1の中間層はセラミック基板、金属基板の各ヤング率の中間のヤング率を有するため、接合後に発生する残留応力を低減することができ、さらに、チタン(Ti)を主成分とすることで、第1の中間層は耐湿性が良好になり、第2の中間層をNiまたはCrを主成分とすることで、前記第1の中間層、金属基板いずれとも濡れ性を上げることができ、金属セラミック複合体が高湿環境下で用いられても好適である。さらに、第2の中間層のビッカース硬度をHを0.7GPa以上とするには後述の手段を用いればよい。
また、上記セラミック基板は、単結晶アルミナまたは多結晶窒化珪素を主成分とすることが好適である。
セラミック基板としてアルミナを主成分とした場合、アルミナの熱膨張係数は金属基板の熱膨張係数に比較的近い上、セラミックの中でも熱伝導率が高いので、繰り返して作用する熱応力に対し、耐久性、放熱特性ともに良好な金属セラミック複合体とすることができる。
特に、アルミナの単結晶体であるサファイヤを用いたセラミック基板とすることが好ましく、セラミック基板を厚くした場合には、熱伝導率が高いために放熱特性が良好となり、セラミック基板を薄くした場合においても、耐電圧特性が低下しにくく、絶縁破壊が発生することもない。また、セラミック基板を窒化珪素を主成分とした場合、窒化珪素は熱伝導率、曲げ強度とも高いため、金属セラミック複合体の厚みが制限を受けるときには有効である。
ここで、主成分とは、セラミック基板の全質量を100%とした場合、主成分となる材質が少なくとも50質量%以上含まれていることをいう。なお、1成分で50質量%以上となるものがない場合には、含有量が多い順に加算し、その合計が初めて50質量%以上となったものを主成分とみなす。
上述のような金属セラミック複合体は、高い放熱特性と長期信頼性を有するので、各種放熱基板に用いることができ、銅を主成分とする所定パターンの回路が形成された放熱基板に用いても好適である。
さらにまた、金属基板の厚み(T1)及び所定パターンの回路基板の厚み(T2)の関係を|T1−T2|/T1≦0.33とすることで、放熱基板に発生する反りを著しく低減させることができる。
上述の関係が|T1−T2|/T1>0.33では、セラミック基板の接合面積が400mm以下では問題ないが、例えば400mmを超えるような大きな接合面積の場合、金属基板側で発生する残留応力と、回路を形成した基板側で発生する残留応力のバランスが悪く、金属セラミック複合体に大きな反りが残る場合があるからである。一方、|T1−T2|/T1≦0.33では、セラミック基板の接合面積が400mmを超えても、両者の残留応力のバランスを制御することができ、金属セラミック複合体に大きな反りは発生せず、特に|T1−T2|/T1<0.2とすることがより好適である。
次に、本発明の金属セラミック複合体の製造方法について説明する。
本発明の金属セラミック複合体は、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム等のいずれかを主成分とする外寸(30〜60)mm×(10〜30)mm×(0.13〜0.4)mmのセラミック基板に、無電解メッキにより、銅を主成分とする厚み10〜20μmの結合層形成後、銅を主成分とする金属基板を水素雰囲気中、例えば200〜420℃で結合層に加熱圧着し、圧着した状態で常温より低い温度まで冷却した後、常温に上げて抜圧することで得られる。
ここで、水素雰囲気中で加熱圧着するのは、金属基板や結合層が酸化して未接合部が発生するのを防止するためであり、圧着した状態で常温より低い温度まで冷却した後、常温に上げて抜圧するのは、常温より低い温度に下げると、金属基板及び結合層は一時的に降伏し変形するが、低い温度から常温に上げると、変形は減少する。その結果、加熱圧着直後に金属セラミック複合体に発生した残留応力及び反りを低減できるからである。なお、本発明において常温とはJIS Z 8703−1983に規定する温度15級に準拠し、20±15℃を指すものとする。
特に、上記加熱温度を380〜400℃、冷却温度を−60〜−40℃とすることが好適であり、加熱温度が380℃未満では金属基板と結合層の界面で未反応の部分が発生することがあり、400℃を超えると、金属セラミック複合体に残留応力が発生しやすくなる。また、冷却温度が−60℃未満では製造コストがかかり、−40℃を超えると、接合面積が大きい場合、発生した反りを十分低減させることができないからである。
ここで、金属基板を構成する銅の平均結晶粒径を2〜100μmにするには、加熱により結晶粒子は成長するので、接合前の銅の平均結晶粒径を例えば、2〜80μmにする。但し、接合後の平均結晶粒径は、加熱、圧着、冷却等における条件設定により変わりやすいので、これら条件に応じて適宜設定すればよい。また、平均サブ粒界密度を10mm/mmにするには、予め平均サブ粒界密度が10mm/mm以下の金属基板を用いるか、加熱圧着後の冷却速度を極力速く、120℃/分以上で冷却するか、あるいはその両者を採用することで達成可能となる。
また、金属基板の硬度は、銅のインゴットを銅板にする工程における焼鈍の温度や時間、あるいは圧延時の加工率やその後の時効処理等の条件によって制御することができ、これらの条件を適正にすることにより所望の硬度を有する金属基板とすることができる。また、金属基板を接合するときの加熱温度によっても硬度は大きく変化し、金属基板のビッカース硬度HVsを1GPa以上にするには、接合時の加熱温度を380℃以上にすればよい。
結合層についても、接合時の加熱温度を380℃以上にすることでビッカース硬度HVcを1GPa以上とすることができる。
さらに、上記結合層のビッカース硬度HVc、金属基板のビッカース硬度HVsの関係を |HVc−HVs|/HVc≦0.85とするには、結合層のビッカース硬度HVcは、結合層の厚みが数10μm程度の場合、少なからずセラミック基板の硬度の影響を受けるため、セラミック基板の材質選定、結合層の厚み調整をすることで可能となる。
また、結合層を構成する銅の平均結晶粒径を5μm以下にするには、これも加熱により結晶粒子は成長するので、接合前の銅の平均結晶粒径を例えば、2〜3μmにする。但し、金属基板と同様、接合後の平均結晶粒径は、加熱、圧着、冷却等における条件設定により変わりやすいので、これら条件に応じて適宜設定すればよい。また、平均サブ粒界密度を10mm/mmにするには、加熱圧着後の冷却速度を極力速く、120℃/分以上で冷却すればよい。
また、金属基板の0.2%耐力を300MPa以上とするには、平均結晶粒径を2〜100μmとした上で、予め鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、リン(P)、クロム(Cr)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を含み、その合計が0.08〜1.0質量%となるようにする。
上記セラミック基板、結合層間に、中間層を形成する場合には、先ずモリブデン(Mo)の粉体を主成分とし、Mnの粉体が1〜10質量%添加されたペーストを塗布し、水素雰囲気または水素と窒素の混合雰囲気中、1300〜1700℃で熱処理することで、第1の中間層を形成する。また、第1の中間層がロジウム(Rh)の場合はメッキで、チタン(Ti)の場合はスパッタリングで形成すればよい。
次いで、第1の中間層上に、無電解メッキにより、NiまたはCrからなる第2の中間層を形成した後、上記結合層を順次形成する。ここで、第1の中間層、第2の中間層の厚みはそれぞれ5〜15μm、1〜3μmとすることが好適である。
ここで、上記第2の中間層の硬度を0.7GPa以上とするには、ニッケル(Ni)を主成分とした場合、Ni−Co、Ni−P、Ni−Co−P、Ni−B、Ni−B−P等の合金被膜を無電解メッキにより形成した後、30分〜2時間、280〜330℃で熱処理することで得られる。特に、非磁性が求められるような環境下では、非磁性であるNi−P、Ni−B、Ni−B−Pのいずれかが好適である。また、Crを主成分とした場合も無電解メッキにより第2の中間層を形成した後、30分〜2時間、280〜330℃で熱処理することで、硬度0.7GPa以上とすることができる。
上述したような金属セラミック複合体は、図1(a)〜(e)に示すように、セラミック基板2上に、銅を主成分とする所定パターンの回路を形成することで放熱基板として好適に用いることができる。この放熱基板は、セラミック基板2の表面に、セラミック基板2側より上記第1の中間層5a、第2の中間層6a、結合層7aを順次形成し、回路基板3を接合する一方、セラミック基板2の裏面にも、セラミック基板2側より上記第1の中間層5b、第2の中間層6b、結合層7bを順次形成し、放熱作用に優れる銅板4を接合したものを用いればよい。
以上、本発明の金属セラミック複合体は、上述の通り放熱特性が良好であるため、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、IGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)素子等半導体素子、昇華型サーマルプリンターヘッド用基板、面型発熱ヒーター支持基板、サーマルインクジェットプリンターヘッドのヒーター支持基板等にも適用させることができる。
以下本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
長さ30mm、幅10mmのセラミック基板の両面に、それぞれ第1の中間層、第2の中間層、銅からなる結合層を順次形成した。第1の中間層、第2の中間層の各材質、その他特性及び結合層の特性は、表1に示す通りとした。
次に、上記セラミック基板の裏側に銅を主成分とする金属基板を、またセラミック基板の表側に銅を主成分とする所定パターンの回路を形成した基板(以下、回路基板と称す。)を水素雰囲気中、390℃で加熱圧着し、圧着した状態で−50℃まで冷却した後、常温に上げて抜圧することにより接合し、放熱基板を得た。なお、金属基板の厚み(T1)、回路基板の厚み(T2)はそれぞれ1.5mm、0.98mmとし、金属基板の平均結晶粒径、平均サブ粒界密度、0.2%耐力、ビッカース硬度HVs、回路基板の厚み(T2)、加熱温度、冷却温度は表1の通りとした。
放熱基板の反りについては、放熱基板の長手方向を表面粗さ計に球状触針を取り付け、チャート紙上に測定を行い、チャート紙にベースラインを引き、ベースラインからの凹量及び凸量を実測し、反り量とした。
0.2%耐力の測定については、放熱基板で測定することはできないため、接合用の金属基板とは別に、0.2%耐力測定用に金属基板を準備して測定した。具体的には、放熱基板を作製するのに与えた熱履歴と同じ熱履歴を前記金属基板に与えた後、JIS Z 2241−1998に準拠して測定した。
また、上記放熱基板を−40℃で30分保持、次いで125℃で3分保持した後、―40℃まで冷却するというサイクルを1サイクルとしたヒートサイクル試験を行い、結合層から金属基板または放熱基板の剥離(部分的なものも含む)が発生したサイクル数を超音波探傷法により確認した。
なお、超音波探傷法で用いる探触子は焦点深度25mmのものを用い、パルス発信器より探触子を介して放熱基板に発振される超音波の周波数を10MHzとした。また、放熱基板は予め水中に浸積し、金属基板側、引き続き回路基板側から超音波を入射させ、接合部から発生する反射波を検出し、倍率1.5倍で反射像を作成した。
この反射像がぼやけたり、白色部が発生したりする場合、剥離が発生していることを示し、表1では、剥離が確認されたサイクル数を示した。表1で≧3000と記入したものは、3000サイクルを過ぎても剥離が確認されなかった試料である。
Figure 2006128286
Figure 2006128286
表1、2からわかるように本発明の範囲外の試料No.21は金属基板の平均結晶粒径が2μm未満であるため、大きな反りが発生している。また、試料No.22は平均結晶粒径が100μmを超えているため、また、本発明の範囲外の試料No.23は平均サブ粒界密度が10mm/mmを超えているため、いずれも0.2%耐力が低く、ヒートサイクル試験初期に結合層から金属基板か回路基板のいずれかが剥離している。
一方、本発明の試料No.1〜20は、反りが小さく、1000サイクルを超えても剥離しなかったため、放熱特性が良好で、信頼性の高い放熱基板と言える。特に、結合層のビッカース硬度HVc及び金属基板のビッカース硬度HVsが1GPa以上の試料No.7,8、結合層のビッカース硬度HVc、金属基板のビッカース硬度HVsの関係が
|HVc−HVs|/HVc≦0.85を満たす試料No.9〜12、結合層を構成する銅の平均結晶粒径を5μm以下、平均サブ粒界密度を10mm/mm以下とした試料No.4〜6、金属基板の0.2%耐力を300MPa以上とした試料No.17,18、及びセラミック基板、結合層間に、セラミック基板側より第1の中間層及び第2の中間層を順次形成し、前記第2の中間層のビッカース硬度HViを0.7GPa以上とした試料No.2,3は反りも小さく、3000サイクルでも剥離が発生しなかったため、信頼性が高く、放熱特性の良好な放熱基板と言える。
(実施例2)
実施例1で用いたセラミック基板より大きい、アルミナ単結晶体からなるセラミック基板(長さ30mm、幅15mm)の両面に、それぞれ第1の中間層、第2の中間層、銅からなる結合層を順次形成した。なお、第1の中間層はモリブデン(Mo)、第2の中間層はリン(P)を微量含むニッケル(Ni)とし、その硬度Hvcを0.7GPa、結合層の平均結晶粒径、平均サブ粒界密度、ビッカース硬度HVcをそれぞれ5μm、12mm/mm、0.8GPaとした。
次に、上記セラミック基板の裏側に銅を主成分とする金属基板を、またセラミック基板の表側に銅を主成分とする回路基板を水素雰囲気中で加熱圧着し、圧着した状態で常温より低い温度まで冷却した後、常温に上げて抜圧することにより接合し、放熱基板を得た。
なお、金属基板の平均結晶粒径、平均サブ粒界密度、0.2%耐力、ビッカース硬度HVs、厚み(T1)はそれぞれ40μm、10mm/mm、250MPa、0.8GPa、
1.5mm、回路基板の厚み(T2)、加熱温度、冷却温度は表2の通りとした。
放熱基板の反り、0.2%耐力、及び金属基板または回路基板の剥離の確認方法については実施例1と同じ方法を用いた。
結果を表3に示す。
Figure 2006128286
表3からわかるように加熱温度を380〜400℃、冷却温度を−60〜−40℃として接合した試料No.25,27〜32,34は反りが小さい上に、3000サイクル以上でも剥離は発生せず、セラミック基板が大きくても良好であることがわかる。
また、金属基板の厚み(T1)、回路基板の厚み(T2)の関係が、|T1−T2|/T1≦0.33を満たす試料No.29〜31は、反りが50μm以下とさらに小さく、良好であることがわかる。
(a)、(b)、(c)、(d)、(e)はそれぞれ本発明の金属セラミック複合体の平面図、AA断面図、背面図、B部拡大図、C部拡大図である。
符号の説明
1:放熱基板
2:セラミック基板
3:回路基板
4:銅板
5a,5b:第1の中間層
6a,6b:第2の中間層
7a,7b:結合層

Claims (11)

  1. セラミック基板に、銅を主成分とする結合層を介して銅または銅合金を主成分とする金属基板を接合した金属セラミック複合体において、上記金属基板を構成する銅または銅合金の平均結晶粒径が2〜100μmであって、平均サブ粒界密度が10mm/mm以下であることを特徴とする金属セラミック複合体。
  2. 上記結合層のビッカース硬度HVc及び金属基板のビッカース硬度HVsが1GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属セラミック複合体。
  3. 上記結合層のビッカース硬度HVc、金属基板のビッカース硬度HVsの関係が|HVc−HVs|/HVc≦0.85
    を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の金属セラミック複合体。
  4. 上記結合層を構成する銅の平均結晶粒径が5μm以下であるとともに、平均サブ粒界密度が10mm/mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属セラミック複合体。
  5. 上記金属基板の0.2%耐力が300MPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属セラミック複合体。
  6. 上記セラミック基板と結合層との間に、セラミック基板側より第1の中間層及び第2の中間層を順次形成し、上記第1の中間層はモリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とし、前記第2の中間層はニッケル(Ni)またはクロム(Cr)を主成分とするとともにビッカース硬度HViが0.7GPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属セラミック複合体。
  7. 上記セラミック基板は、単結晶アルミナまたは多結晶窒化珪素を主成分とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属セラミック複合体。
  8. セラミック基板上に、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、チタン(Ti)の少なくともいずれか1種を主成分とする第1の中間層を形成し、第1の中間層上にニッケル(Ni)またはクロム(Cr)の少なくともいずれか1種を主成分とする第2の中間層を形成した後、銅を主成分とする結合層を形成し、銅または銅合金を主成分とする金属基板を前記結合層に水素雰囲気中で加熱圧着し、圧着した状態で常温より低い温度まで冷却した後、常温に上げて抜圧することを特徴とする金属セラミック複合体の接合方法。
  9. 上記加熱温度が380〜400℃、冷却温度が−60〜−40℃であることを特徴とする請求項8に記載の金属セラミック複合体の接合方法。
  10. 上記セラミック基板上に、銅を主成分とする所定パターンの回路基板を形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属セラミック複合体を用いたことを特徴とする放熱基板。
  11. 上記金属基板の厚み(T1)及び前記回路基板の厚み(T2)の関係が
    |T1−T2|/T1≦0.33
    を満たすことを特徴とする請求項10に記載の放熱基板。
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