JP2006124264A - 酸化カルシウム分散液およびその製造方法 - Google Patents

酸化カルシウム分散液およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子径が小さく高純度の酸化カルシウムが均一に分散された酸化カルシウム分散液およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】酸化カルシウム分散液は、少なくとも、メジアン粒径(体積基準)が1〜200nm、最大粒子径が10〜1000nmの酸化カルシウム微粒子および有機分散媒を含む。酸化カルシウム分散液の製造方法は、酸化カルシウムの微粒子と有機分散媒と直径5〜200μmのビーズとを容器に充填し、これらを攪拌することにより上記酸化カルシウム分散液を製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は酸化カルシウム微粒子の分散液およびその製造方法に関する。詳しくは粒子径が小さく、均一に分散された高濃度酸化カルシウムの分散液およびその製造方法に関する。
酸化カルシウムは吸湿性が高く、吸湿材、脱水剤として有用である。酸化カルシウムを吸湿材、脱水剤として利用する場合、高活性であることが要求される。そのため粒子は広い表面積を持つナノ粒子であること、脱水作用という面では不活性である水酸化カルシウム、炭酸カルシウムを極力含まないことが望ましい。さらに、酸化カルシウムをナノ粒子化することにより光透過性を有するペーストの製造が可能である。また、取り扱いの面から均一な分散液状での供給が望まれる。
従来、酸化カルシウムは石灰石を1200℃程度に加熱して分解することで製造されてきた。しかし、高温により粒子径が大きく成長し、互いに焼結し硬い物質が生成する。このため、この方法による生成物を粉砕してナノ粒子化するには莫大なエネルギーと時間がかかる。しかし、吸湿材、脱水剤として用いる酸化カルシウムを製造する際には、酸化カルシウムの吸湿を抑制する必要があり、時間がかかる処理は不適切である。また、従来の酸化カルシウムの合成法では粒子径の非常に小さい粒子を、不活性物を含まず分散液にすることは困難であった。また、酸化カルシウムの粒径が細かいほどスラリーの粘度は上昇するため、酸化カルシウムナノ粒子の高濃度スラリーの製造は従来の技術では不可能であった。
本発明は、粒子径が小さく高純度の酸化カルシウムが均一に分散された酸化カルシウム分散液およびその製造方法を提供することを課題としている。
本発明者らは先に有機金属β−ジケトン錯体の気相酸化によるナノ粒子金属酸化物の合成法を開発している。本手法を用いメジアン粒子径が200nm以下の一次粒子を合成することが可能である。この粒子は凝集体で存在するため、凝集を解砕するために50μmの微小ビーズを用い、分散媒として最適な分散媒(アルコール等)を用いることで、均一で微小粒子の酸化カルシウム分散液を調整することを可能とした。分散媒の種類によって分散性は全く異なり、双極子モーメント、粘度などの観点から選択、あるいは選択した溶媒の最適な混合をすることにより安定な酸化カルシウムナノ粒子の分散液を製造しうることを見出した。
また、不活性ガス雰囲気下、短時間処理により酸化カルシウムの不活性化を抑制できることを可能とした。
すなわち、本発明は基本的に以下の〔1〕〜〔22〕の発明からなる。
〔1〕メジアン粒径(体積基準)が1〜200nm、最大粒子径が10〜1000nmの範囲にある酸化カルシウム微粒子および有機分散媒を含むことを特徴とする酸化カルシウム分散液。
〔2〕上記酸化カルシウム分散液中の酸化カルシウム濃度が10〜50(質量)%であることを特徴とする〔1〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔3〕水分量が1,000ppm(質量)未満である有機分散媒を原料として得られたものであることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔4〕上記酸化カルシウム微粒子が、カルシウム錯体を気化し、気相中で酸化して得られたものであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
〔5〕上記酸化カルシウム微粒子が、カルシウム錯体を気化し、気相中で酸化した後、焼成処理して得られたものであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
〔6〕上記カルシウム錯体が、カルシウムとβ−ジケトン化合物との錯体であることを特徴とする〔4〕または〔5〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔7〕上記酸化カルシウム微粒子が、水酸化カルシウムの含有量が5質量%未満、炭酸カルシウムの含有量が1質量%未満であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の酸化カルシウム分散液。
〔8〕上記有機分散媒がアルコール、ニトリル化合物、アミド化合物および多価アルコール誘導体のいずれかであることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の酸化カルシウム分散液。
〔9〕上記アルコールが炭素数3以上のアルコールであることを特徴とする〔8〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔10〕上記有機分散媒が2価アルコール誘導体であることを特徴とする請求項8に記載の酸化カルシウム分散液。
〔11〕上記有機分散媒が、アセトニトリル、1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノールのいずれかであることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の酸化カルシウム分散液。
〔12〕上記有機分散媒が混合分散媒であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の酸化カルシウム分散液。
〔13〕上記有機分散媒がニトリル化合物とアルコールの混合分散媒、芳香族化合物とアルコールの混合分散媒、芳香族化合物とアミン化合物の混合分散媒、エステルとアルコールの混合分散媒、アミド化合物とアルコールの混合分散媒、芳香族化合物とニトリル化合物の混合分散媒および多価アルコール誘導体とアミン化合物の混合分散媒のいずれかであることを特徴とする〔12〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔14〕上記混合分散媒が、トルエンとアルコール、酢酸ブチルとアルコール、NN−ジメチルアセトアミドとアルコール、ジエチレングリコールジメチルエーテルとモノエタノールアミン、ジエチレングリコールジメチルエーテルとジエタノールアミン、ジエチレングリコールジメチルエーテルとトリエタノールアミンの組み合わせのいずれかであることを特徴とする〔12〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔15〕分散剤を含むことを特徴とする〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の酸化カルシウム分散液。
〔16〕上記分散剤がノニオン系界面活性剤から選ばれる1種以上の化合物であること
を特徴とする〔15〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔17〕上記ノニオン系界面活性剤が水酸基を有するものであることを特徴とする〔1
6〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔18〕上記ノニオン系界面活性剤がポリプロピレンオキシド付加グリセリンである事を特徴とする〔16〕に記載の酸化カルシウム分散液。
〔19〕上記有機分散媒が粘性率3.0mPa・s(20℃)以下であることを特徴とする〔1〕〜〔18〕のいずれかに記載の酸化カルシウム分散液。
〔20〕酸化カルシウムの微粒子と有機分散媒と直径5〜200μmのビーズとを容器に充填し、これらを攪拌することにより〔1〕〜〔19〕のいずれかに記載の酸化カルシウム分散液を製造することを特徴とする酸化カルシウム分散液の製造方法。
〔21〕上記攪拌を水分含有量が10ppm(mol)以下の不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする〔20〕に記載の酸化カルシウム分散液の製造方法。
〔22〕容器に充填する有機分散媒の水分量が1,000ppm(質量)未満であるこ
とを特徴とする〔20〕または〔21〕に記載の酸化カルシウム分散液の製造方法。
本発明に係る酸化カルシウム分散液は、脱水性の面で不活性物である水酸化カルシウム、炭酸カルシウムをほとんど含まず酸化カルシウム純度が高いので、吸湿材、脱水剤として非常に有用である。また、酸化カルシウムの粒子が微小で、表面積が大きいため、吸湿材としての性能が高い。また、塗布して膜として使用すると高い透明性の膜が得られる。さらに、酸化カルシウム微粒子を高濃度で分散できるため、コスト面でも非常に有利である。これらの特長の故、本発明の酸化カルシウム分散液は、精密機器、電子材料(有機EL、ELDなど。)への適用が可能となる。
本発明に係る酸化カルシウム分散液の製造方法は、上記のような優れた性質を有する酸化カルシウム分散液を効率よく製造することができる。
以下、本発明に係る酸化カルシウム分散液およびその製造方法について詳細に説明する。
[酸化カルシウム分散液]
本発明に係る酸化カルシウム分散液は、少なくとも酸化カルシウム微粒子と有機分散媒を含んでいる。
酸化カルシウム微粒子は、メジアン粒子径(体積累積分率(粒子の密度が一定なら質量積分率でも同じ値となる)が50%となる粒子径:D50)が1〜200nm、好ましくは5〜150nm、より好ましくは10〜100nmであり、最大粒子径が10〜1000nm、より好ましくは15〜500nm、さらに好ましくは20〜250nm、特に好ましくは50〜150nmである。粒子径が大きい場合、微細加工が不可能となり、光透過性も悪くなる等の問題が発生し、また表面積が小さくなり吸湿効率が下がるので好ましくない。
なお、メジアン粒子径および最大粒子径は、酸化カルシウム分散液を必要に応じて分散媒と同じ有機分散媒により希釈してレーザードップラー法により測定する。メジアン粒子径および最大粒子径の測定は、例えば日機装株式会社製のNanotrac UPA-EX150や同社のMicrotrac UPA-150により行うことができる。
有機分散媒としては特に制限はないが、アルコール、ニトリル化合物、アミド化合物、多価アルコール誘導体等の有機溶媒およびこれらの混合溶媒、並びに芳香族化合物とアルコールの混合分散媒、芳香族化合物とアミン化合物の混合分散媒、エステルとアルコール
の混合分散媒、芳香族化合物とニトリル化合物の混合分散媒、2価アルコール誘導体とアミン化合物の混合分散媒が好ましい。また、静電反発による凝集抑制効果を期待する場合はプロトン性溶媒であることが好ましい。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの炭素数1〜10のものが挙げられ、特に炭素数3以上のアルコールは再凝集抑制効果が高く、吸湿性も低いため好ましい。なかでも1−ブタノールが特に好ましい。
ニトリル化合物はシアノ基(−CN)を有する有機溶媒であり、具体的にはアセトニトリル、スクシノニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリルなどの炭素数1〜10の化合物が挙げられる。なかでもアセトニトリルが特に好ましい。
アミド化合物はアミド基を有する有機溶媒であり、具体的にはホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
多価アルコール誘導体は、多価アルコールの、モノエーテル、ジエーテル、モノエステル、ジエステルが好ましい。
多価アルコール誘導体としては、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセタート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテルなどの2価アルコールの誘導体;グリセリンモノアセタート、グリセリンジアセタート、グリセリントリアセタート、グリセリンジアルキルエーテル(例えば、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、1,3−ジエチルグ
リセリン)などの3価以上の多価アルコール誘導体などが挙げられる。なかでも1−メトキシ−2−プロパノールが特に好ましい。
本発明の酸化カルシウム分散液に使用する有機分散媒を2種類以上の有機分散媒を混合分散媒にすることで、より高濃度の酸化カルシウムの製造が可能になる。以下に好ましい混合分散媒の例を挙げる。
<ニトリル化合物とアルコールの混合分散媒>
混合分散媒に使用するニトリル化合物、アルコールは前記のものを使用できる。
組み合わせとしては、アセトニトリルとアルコール(特に1−ブタノール、1−ヘキサノール)が好ましい。
混合分散媒に対するアルコールの割合は0.005〜50%(質量)であることが好まし
く、さらに好ましくは0.01〜10%、もっとも好ましくは0.01〜0.5%である。
さらに、この混合分散媒に第三の溶媒成分を加えても良い。第三成分としてはアミン化合物などが挙げられる。アミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。
<芳香族化合物とアルコールの混合分散媒>
芳香族化合物としては、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンが挙げられる。アルコールとしては前記のものが使用できる。組み合わせとしては、トルエンと1−ヘキサノール、キシレンと1−ヘキサノール、エチルベンゼンと1−ヘキサノールが好ましい。
混合分散媒に対するアルコールの割合は0.005〜50%(質量)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜10%、もっとも好ましくは0.01〜0.5%である。
さらに、この混合分散媒に第三成分を加えても良い。第三成分としては前記のアミン化合物などが挙げられる。
<芳香族化合物とアミン化合物の混合分散媒>
芳香族化合物は前記のものが使用できる。アミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。組み合わせとしては、キシレンとモノエタノールアミンが好ましい。
混合分散媒に対するアミン化合物の割合は0.005〜50%(質量)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜10%、もっとも好ましくは0.01〜5%である。
<エステルとアルコールの混合分散媒>
エステルとしては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸エチル等が好ましい。アルコールは前記のものが使用できる。組み合わせとしては酢酸ブチルと1−ブタノール、酢酸ブチルと1−ヘキサノール、ピバリン酸アルキルと1−ヘキサノールが好ましい。
さらに、この混合分散媒に第三成分を加えても良い。第三成分としては前記アミン化合物などが挙げられる。
混合分散媒に対するアルコールの割合は0.005〜50%(質量)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜10%、もっとも好ましくは0.01〜0.5%である。
<アミド化合物とアルコールの混合分散媒>
アミド化合物およびアルコールは前記のものが使用できる。組み合わせとしてはN,N
−ジメチルホルムアミドとアルコール(特に1−ブタノール、1−ヘキサノール)、N,
N−ジメチルアセトアミドとアルコール(特に1−ブタノール、1−ヘキサノール)が好ましい。さらに、この混合分散媒に第三成分を加えても良い。第三成分としてはアミン化合物などが挙げられる。
混合分散媒に対するアルコールの割合は0.005〜50%(質量)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜10%、もっとも好ましくは0.01〜0.5%である。
<芳香族化合物とニトリル化合物の混合分散媒>
芳香族化合物およびニトリル化合物は前記のものが使用できる。さらに、この混合分散媒に第三成分を加えても良い。第三成分としてはアミン化合物などが挙げられる。
混合分散媒に対するニトリル化合物の割合は0.005〜50%(質量)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜10%、もっとも好ましくは0.01〜0.5%である。
<多価アルコール誘導体とアミン化合物の混合分散媒>
多価アルコール誘導体およびアミン化合物は前記のものが使用できる。組み合わせとしてはジエチレングリコールジメチルエーテルとアミン化合物(特にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど水酸基を有するもの)が好ましい。さらに、この混合分散媒に第三成分を加えても良い。
混合分散媒に対するアミン化合物の割合が0.005〜50%(質量)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.01〜5%である。
本発明に係る酸化カルシウム分散液は分散剤が添加されていると、流動性や安定性が更に向上するため、分散粒径を更に小さくする事が出来るためにより好ましい。添加する分散剤には特に制限は無いが、ノニオン系界面活性剤が好適に使用され、これらの化合物の中でも特に水酸基を有するものが好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリプロピレンオキシド付加グリセリンなどのエーテル型の界面活性剤や、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのエステルエーテル型の界面活性剤などが挙げられる。これらの中で特に好ましくはポリプロピレンオキシド付加グリセリンが挙げられる。
添加する量は選択する化合物に依存するが、酸化カルシウムに対して0.1〜10質量%の範囲で調整することが好ましい。
分散剤はビーズミルで酸化カルシウムを分散媒に分散させる前の分散媒に添加しても良いし、ビーズミルで分散させた後の分散液に添加しても良いが、ビーズミルで分散させる前に添加した方が更に流動性や安定性が向上するために好ましい。
本発明で原料として用いられる有機分散媒は、水分量が少ないことが好ましく、酸化カルシウムと混合する前の水分量は通常1,000ppm(質量)未満、好ましくは500ppm、より好ましくは100ppm(質量)、さらに好ましくは10ppm(質量)、特に好ましくは5ppm(質量)未満である。水分量が上記範囲にあると、酸化カルシウム分散液は、水酸化カルシウム分量が増加することがなく、着色や増粘の問題が発生することがないため好ましい。このような水分量が少ない有機分散媒は、モレキュラーシーブや酸化カルシウムで脱水することにより得ることができる。
なお、有機分散媒の水分含量は、カール・フィッシャー法による電量滴定式水分測定装置、例えば三菱化学社製CA−06を用いて測定される。
本発明に係る酸化カルシウム分散液は、酸化カルシウムの濃度が好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜50質量%、もっとも好ましくは30〜50質量%である。酸化カルシウムの濃度が上記範囲より小さいと、吸湿効果を得るための酸化カルシウムを準備するのに大量の分散媒が必要となる。また、
上記範囲より大きいと、分散液の粘度が上昇し取り扱いが困難になる。
分散液中の酸化カルシウムの濃度は、分散液の調製時には仕込み量から計算することができ、分散液を調製した後は以下の(a)、(b)の方法などにより確認することができる。
(a)例えば、減圧下ロータリーエバポレーターで分散媒を留去、分散液を大気雰囲気下で200℃まで加熱、などの方法により、分散液から分散媒を除去する。次に、得られた残渣を、塩酸、硫酸などの酸で溶解し純水で希釈した後、原子吸光測定装置(例えば、セイコーインスツルメンツ社製 原子吸光分光光度計SAS−7500A)やICP測定装置(例えば、セイコーインスツルメンツ社製 ICP質量分析装置SPQ−9000)でカルシウム濃度を測定し、分散液の酸化カルシウム濃度を計算により求める。
(b)上記(a)法と同様にして、分散液から分散媒を除去する。次に、熱天秤装置(例えば、セイコーインスツルメンツ社製 TG/DTA6200型)で大気圧下1000℃まで昇温し、残渣である酸化カルシウムの重量を測定し、分散液の酸化カルシウム濃度を計算する。
本発明に係る酸化カルシウム分散液は、酸化カルシウム微粒子の水酸化カルシウムの含有量が5質量%未満、好ましくは1質量%未満であり、炭酸カルシウムの含有量が1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満である。水酸化カルシウムの含有量および炭酸カルシウムの含有量が上記範囲内にあると、脱水性の面で不活性物である水酸化カルシウム、炭酸カルシウムをほとんど含まないので、吸湿材、脱水剤としての性能が優れる。
水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの含有量は、熱天秤装置により測定される。300℃前後で現れる水酸化カルシウムの脱水による重量減少から水酸化カルシウム量を計算し、700℃前後で現れる炭酸カルシウムの脱炭酸による重量減少から炭酸カルシウム量を計算する。
分散媒の粘度は、高濃度の微粒子酸化カルシウム分散液を製造するには小さい方が良く、3.0mPa・s(20℃)以下が好ましく、1.0mPa・s(20℃)以下がより好ましい。なお、混合分散媒である場合には、混合分散媒の粘度が上記範囲であることが好ましい。
[酸化カルシウム分散液の製造方法]
通常、ミクロンサイズ以上の酸化カルシウム粒子をさらに粉砕し、メジアン粒子径を200nm以下にすることは困難である。そこで、分散媒に分散させる前の酸化カルシウムのメジアン粒子径は200nm以下であることが好ましい。
このような粒子径の酸化カルシウム微粒子は例えば、まずカルシウムとβ−ジケトン化合物との錯体(β−ジケトン/カルシウム錯体)、カルシウムアルコキシドなどのカルシウム錯体を気化させ、次にこの気体状のカルシウム錯体を酸化性物質の存在下で燃焼させることにより酸化カルシウム微粒子を得ることができる。
また、酸化カルシウム微粒子は、β−ジケトン/カルシウム錯体の溶液(アルコールなどを溶媒とする)を気化させ、気体状のβ−ジケトン/カルシウム錯体を含む蒸気と、気体状の酸化性物質(空気など)とを混合し、得られた混合物を加熱して該気体状のβ−ジケトン/カルシウム錯体を燃焼させて得ることもできる。
本発明で用いられるβ−ジケトン/カルシウム錯体としては、2,2,6,6−テトラメ
チルヘプタン−3,5−ジオン(DPM・H)、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオ
ン(DMHD・H)または2,4−ペンタンジオン(acac・H)のカルシウム錯体が
好ましく、具体的には例えばCa(DPM)2、Ca(DMHD)2、Ca(acac)2および
これらのn水塩(nは1以上の数)が挙げられる。なお、acac等はacac・H等からH+が脱離して配位子となった状態を示す。
本発明で用いられるカルシウムアルコキシドとしては、カルシウムのメトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、i−プロポキシド、n−ブトキシド、sec−ブトキシド、tert−ブトキシド、t−アミロキシドなどが好ましく、具体的には例えばジメトキシカルシウム、ジエトキシカルシウム、ジ−i−プロポキシカルシウム等が挙げられる。
これらのカルシウム錯体は、2種以上組み合わせて用いることもできる。
気体状のカルシウム錯体としては、固体または液体状のカルシウム錯体を加熱して気化させたもの、カルシウム錯体の溶液を加熱して気化させたもの、これらの混合物などが挙げられる。
気体状のカルシウム錯体は、1種のカルシウム錯体の蒸気であっても、2種以上のカルシウム錯体の混合蒸気であってもよい。2種以上のカルシウム錯体の混合蒸気は、2種以上のカルシウム錯体を混合してから気化させたものでもよいし、気化させてから混合したものでも良い。
カルシウム錯体としてアルコキシドを使用する場合は、アルコキシドが加水分解することがあるため、気化前に分解して収率が低くなったり、配管が閉塞したりするなどの問題が発生する場合がある。したがって、アルコキシドを有機溶媒の溶液として安定化させて気化することも好ましい。
気体状のカルシウム錯体が、カルシウム錯体の溶液を加熱して気化させたものである場合には、1種のカルシウム錯体の蒸気を含むものであっても、2種以上のカルシウム錯体の蒸気を含むものであってもよい。2種以上のカルシウム錯体の蒸気を含む場合には、異なるカルシウム錯体を含む2以上の溶液から気化させたものを混合したものであってもよいし、2種以上のカルシウム錯体を含む溶液から気化させたものであってもよい。
ここでカルシウム錯体の溶液に用いられる溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジオキサン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチリルケトン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、アセチルアセトン、ジイソブチリルメタン、ジピバロイルメタンなどから選ばれる少なくとも1種の溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、溶液の濃度は特に限定されない。
本発明では、気体状のカルシウム錯体のキャリアとして、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いることができる。
本発明で用いられる酸化性物質としては、酸素、酸素と他の気体、例えば窒素、アルゴンなど不活性ガスとを任意の割合で混合した混合ガス、空気、水、亜酸化窒素などが挙げられる。これら酸化性物質は単独で使用しても2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
気体状のカルシウム錯体と酸化性物質とは、カルシウム錯体を燃焼させる前に、それぞれカルシウム錯体が分解する温度未満の温度に予熱してもよいし、気体状のカルシウム錯体と酸化性物質とを混合した後に、カルシウム錯体が分解する温度未満の温度に予熱してもよい。また、気体状のカルシウム錯体と酸化性物質とは、燃焼させる前に混合してもよ
いし、気体状のカルシウム錯体をカルシウム錯体が分解する温度以上の温度に加熱した後、酸化性物質中に放出して、酸化性物質と混合しながら燃焼させてもよい。また、カルシウム錯体が液体状のもの、あるいは有機溶媒に溶解した溶液状のものである場合は液体状のまま酸化性物質と混合しても良い。
カルシウム錯体と酸化性物質の混合は、完全混合状態になるような条件で混合するのが望ましい。
気体状のカルシウム錯体と酸化性物質とは、混合した後燃焼させることが好ましい。燃焼させるには、着火源を用いてもよいし、発火点以上の温度に加熱してもよい。
混合が不十分でカルシウム錯体が完全に燃焼しない場合は、炭化物や水分等の未反応物の残存や、反応時間の長時間化による微粒子の融着などが生じる為、品質や粒径が安定せず、得られる粒子径も概して大きくなるという問題がある。
気体状のカルシウム錯体またはカルシウム錯体を溶解した溶液を気化したものを酸化性物質と混合したあとの混合気体は、カルシウム錯体の濃度が爆発範囲に入っていることが好ましい。範囲外の場合は燃焼が安定せず、好ましくない。カルシウム錯体の蒸気圧が低く、爆発範囲に到達しない場合には助燃剤を使用することが好ましい。助燃剤に特に制限は無いが、例えばカルシウム錯体を溶解した溶液を使用する場合は、この溶液の溶媒を助燃剤とすることが出来る。
酸化性物質は、カルシウム錯体として固体または液体状のカルシウム錯体を加熱して気化させたものを用いる場合にはカルシウム錯体を完全酸化するのに必要な酸素量、気体状のカルシウム錯体としてカルシウム錯体の溶液を加熱して気化させたものを用いる場合には、カルシウム錯体および溶媒を完全酸化するのに必要な酸素量の0.5倍〜40倍モル、好ましくは1〜30倍モル、より好ましくは1〜20倍モルとなる量で用いられる。酸素量が少なすぎると未反応の原料により生成した酸化カルシウム微粒子が凝集する場合がある。多すぎると有機物濃度が爆発限界以下となり燃焼が安定せず好ましくない。
本発明における燃焼温度は400℃以上が好ましく、特に500〜1500℃の範囲が好ましい。燃焼温度が低い場合は未反応原料や不完全燃焼による有機成分の残存などが有り好ましくない。燃焼温度が高すぎる場合は装置材質の劣化による装置寿命の低下やコンタミネーションなどの問題があり好ましくない。
このようにして得られる酸化カルシウム微粒子のメジアン粒径(体積基準)は1〜200nmである。
上述したような方法で酸化カルシウム微粒子を製造するより具体的な方法としては、例えば図1に示すような装置で行う方法がある。図1は、本発明で用いられる酸化カルシウム微粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す説明図である。
β−ジケトン/カルシウム錯体の溶液2は、定量ポンプ4を通じて定量的に加熱気化器6に供給され、ここで気化される。また、加熱気化器6で気化された気体状のβ−ジケトン/カルシウム錯体を含む蒸気は、キャリアガスがマスフローコントローラ4を通じて定量的に加熱気化器6に供給されることにより、定量的に管状加熱炉7入り口の同軸ノズルに供給される。酸化性物質(空気など)1は、マスフローコントローラ3を通じて定量的に予熱器5に供給され、予熱された酸化性物質1は、定量的に管状加熱炉7入り口の同軸ノズルに供給される。この同軸ノズルから供給された、気化したβ−ジケトン/カルシウム錯体と酸化性物質は管状加熱炉7内で急激に混合され、燃焼(酸化反応)して、酸化カルシウムの微粒子となる。生成した酸化カルシウムの微粒子は、捕集器8で捕集される。
このカルシウム酸化物の微粒子は、通常不純物として水酸化カルシウム((Ca(OH)2)や炭酸カルシウム(CaCO3)を含有する。そのため、これらの不純物を酸化カルシウムに変換するため、500℃以上1000℃以下の条件で焼成処理を行うことが好ましい。なお、本発明では、酸化カルシウムの微粒子に含有されるCa(OH)2、CaCO3をCaOに変換する処理を焼成処理という。
なお、酸化カルシウムは非常に吸湿性が高いため、上記の操作中に、わずかな水分などにより、酸化カルシウム(CaO)が水酸化カルシウム(Ca(OH)2)や炭酸カルシウ
ム(CaCO3)となり、酸化カルシウムの不純物となることがある。このため生成した
酸化カルシウムの微粒子の取り出し等の操作は、水分の非常に少ない雰囲気下(例えば乾燥窒素のグローブボックス内)、例えば水分含量が10ppm(mol)以下の雰囲気で行うことが好ましい。
本発明に係る酸化カルシウム分散液は、上記の方法により製造した酸化カルシウムの微粒を上記有機分散媒に分散することにより調製することができる。
なお、上記の方法で得られた酸化カルシウム微粒子は一次粒子が凝集していることがある。この凝集体の解砕には、ビーズミルやジェットミル用いる方法等多種ある。しかし、ナノ粒子の解砕を行うためは、ビーズミルが好ましい。使用するビーズのサイズは、微小であるほど解砕の分散速度の向上と到達粒径の低下が可能なので、直径が5〜200μm、特に10〜100μmのビーズを使用するのが特に好ましい。また、ビーズの素材は、耐摩耗性、酸化カルシウムへの不純物の混入を最小限とする等の観点からジルコニア製であることが好ましい。
この解砕操作時に、有機分散媒を加えておくと、凝集体の解砕と同時に分散液を製造することができる。
ビーズミルを用いて解砕と同時に分散液を製造する方法として具体的には、上述した方法により製造した酸化カルシウムの微粒子と上記有機分散媒と上記ビーズとを容器に充填し、これらを攪拌する。このときのビーズの充填率は、好ましくは85〜95%であり、酸化カルシウムの微粒子は、酸化カルシウムの微粒子と有機分散媒との合計量を100質量%としたときに、好ましくは1〜50質量%となるような量で使用する。また、攪拌時間は所望するメジアン粒径により適宜決定されるが、通常10分〜5時間程度である。
解砕、分散操作時の雰囲気は、酸化カルシウムが気相からの吸湿するのを抑制するため、不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン等の希ガスや、窒素などが挙げられる。使用する不活性ガスの水分量は10ppm(mol)以下が好ましい。水分量が多い場合、分散処理中に分散液が吸湿し、水酸化カルシウムの増加、粘度上昇、着色等の問題があり好ましくない。
また、ビーズミルを用いて解砕と同時に分散液を製造する際に、プレ分散として、超音波や自転公転ミキサーなどで分散液に酸化カルシウムを予め分散しておいても良い。
上述した方法により酸化カルシウム微粒が均一に分散された分散液が得られる。なお、本発明において「酸化カルシウム微粒が均一に分散された分散液」とは、後述する分散液の流動性および安定性の試験において評価がいずれも「○」であるものをいう。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
<メジアン粒径、最大粒径>
粒度分布計:日機装社製、Microtrac UPA−150型を用いて測定した。
測定条件 溶媒:分散媒に用いた溶媒で100倍希釈
<BET表面積>
装置社名:QUANTA CHROME社製 Chem BET−3000
<水酸化カルシウム、炭酸カルシウム量>
熱天秤での方法
熱天秤:セイコーインスツルメンツ社製 TG/DTA6200型
測定温度範囲:30〜1000℃ 昇温10℃/min
2雰囲気、200ml/min
水酸化カルシウム量は、300℃前後で現れる水酸化カルシウムの脱水による重量減少から計算により求めた。
炭酸カルシウム量は、700℃前後で現れる炭酸カルシウムの脱炭酸による重量減少から計算により求めた。
<製造例1>
図1に示すような装置を用いて酸化カルシウム微粒子を製造した。
250℃に加熱した気化器(6)にCa(DPM)2 300g(昭和電工製)およびメタノール 700gの混合溶液を4ml/minの流速で導入、気化した。空気(1)を4
0l/minの量で予熱器(5)へ流し250℃に加熱した。気体状のCa(DPM)2
およびメタノールと、空気とを管状電気炉(7)入り口の同軸ノズルへ供給した。管状電気炉(7)での燃焼温度を950℃とした。燃焼時間は1秒であり、供給した空気中の酸素量はCa(DPM)2およびメタノールを完全酸化するのに必要な酸素量の1.5倍モ
ルの量であった。その結果捕集器(8)に捕集された酸化カルシウム微粒子の収率は90%であった。得られた酸化カルシウム微粒子のメジアン粒径は30nmであった。微粒子の写真を図−2に示す。
得られた微粒子は炭酸カルシウム、水酸化カルシウムを不純物として含有する。これら不純物を除去するため、空気雰囲気下550℃、5時間アニール処理したあと、さらに580℃、3時間アニール処理した。生成酸化カルシウム粒子はBET表面積が20m2
gであり、これは算術平均粒子径で88nmに相当する。熱天秤装置(セイコーインスツルメンツ社製 TG/DTA6200)を用い熱重量測定により水酸化カルシウム、炭酸カルシウムの含量を測定した結果、それぞれ1質量%未満であった。
<実施例1>
製造例1で得た酸化カルシウム粒子を56gと水分量9ppm(質量)の1−ブタノール504gを混合し、超音波処理に1時間付し、均一な懸濁液を得た。この懸濁液を、直径50μmの酸化ジルコニウムビーズを入れたビーズミル(コトブキ技研製、UAM−015)で窒素雰囲気下(水分8ppm(mol))2時間処理し、10質量%の酸化カルシウム分散液を得た。粒度分布は100倍希釈後、粒度分布計で測定し、メジアン粒径84nm、最大粒子径400nmであった。水酸化カルシウム含量は5質量%未満、炭酸カルシウムの含量は1質量%未満であった。
<比較例1>
製造例1で得た酸化カルシウム粒子5gと水分量8ppm(質量)の1−ブタノールを95gを混合し超音波処理に1時間付し、均一な懸濁液を得た。この懸濁液の粒度分布を粒度分布計(日機装製、Microtrac UPA−150)で測定した結果、メジアン径340nm、最大粒子径1370nmであった。
<実施例2〜13>
分散媒の種類と酸化カルシウム濃度を変更して実施例2〜13を行った。
製造例1の2回目のアニール処理を700℃、1時間とした以外は製造例1と同じ方法で製造して得られたBET表面積が18m2/g(算術平均粒子径で100nmに相当)
の酸化カルシウム粒子と表1に記載の分散媒の合計:312gを表1に記載の酸化カルシウム濃度となるように混合し、超音波処理に1時間付し、均一な懸濁液を得た。使用した混合分散媒の水分量はいずれも1000ppm以下であった。この懸濁液を、直径50μmの酸化ジルコニウムビーズを入れたビーズミルで窒素雰囲気下(水分8ppm(mol))2時間処理し、表1に記載の濃度の酸化カルシウム分散液を得た。粒度分布は100倍希釈後、粒度分布計で測定し、メジアン粒径、最大粒子径の値を得た。水酸化カルシウム含量はいずれも5%未満、炭酸カルシウムの含量は1%未満であった。
分散媒の種類、酸化カルシウム濃度および結果は表1に示した。
実施例2の分散液を室温下7日間静置した後、再度粒度分布を測定した。その結果、メジアン径90nm、最大粒子径400nmであり、得られた分散液は非常に安定であることがわかった。
比較例1に比べ、実施例1〜13の分散液のメジアン径、最大粒子径は小さくビーズミルによる2次凝集の解砕が起こったと考えられる。
また、分散処理時に窒素雰囲気下とすることで、酸化カルシウムの吸湿が十分に抑えられた。
<実施例14>
ビーズミルで処理する前に、分散媒−2としてジエタノールアミンを0.9g、分散剤として旭電化工業(株)製GL−100を3.7g懸濁液に添加した他は実施例13と同様にして酸化カルシウム分散液を製造したところ、メジアン径60nm、最大粒子径240nmの値を得た。更にこの分散液を室温下7日間静置した後、再度粒度分布を測定した結果、メジアン径60nm、最大粒子径240nmと全く値は変化しておらず、得られた分散液は非常に安定であることがわかった。
酸化カルシウム濃度:分散液中の酸化カルシウム濃度を示す。
分散媒−1:分散媒−1の種類と濃度(総分散媒中の分散媒−1の濃度)を示す。
分散媒−2:分散媒−2の種類と濃度(総分散媒中の分散媒−2の濃度)を示す。
分散媒略号:DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DMAC=N,N−ジメチルアセトアミド
Diglyme=ジエチレングリコールジメチルエーテル
PGME=1−メトキシ−2−プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
メジアン粒径:分散液中の酸化カルシウムのメジアン粒径(体積基準)を示す。カッコ内は最大粒径を示す。
流動性:分散液の流動性を示す。180ml蓋付き透明ガラス容器50mmφに分散液を50ml入れ、素早く90度倒した際の流動性を観察。測定は室温で行った。
○ … 容器と同時に分散液も倒れる。
△ … 容器を倒した後分散液はゆっくり倒れる。
× … 容器を倒しても分散液は倒れない。
安定性:180mlの蓋付き透明ガラス容器50mmφに分散液を50ml入れ、これを1週間室温保管し、分散液を観察。
○ … 変化無し。
△ … 透明な上澄みが観察される。
× … 沈殿が観察される。
本発明に係る酸化物カルシウム微粒子の製造に用いられる製造装置の一例である。 製造例1で得られた酸化カルシウム微粒子の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 … 酸化性物質
2 … 溶液
3 … マスフローコントロラー
4 … 定量ポンプ
5 … 予熱器
6 … 気化器
7 … 管状加熱炉
8 … 捕集器

Claims (22)

  1. メジアン粒径(体積基準)が1〜200nm、最大粒子径が10〜1000nmの範囲にある酸化カルシウム微粒子および有機分散媒を含むことを特徴とする酸化カルシウム分散液。
  2. 上記酸化カルシウム分散液中の酸化カルシウム濃度が10〜50(質量)%であることを特徴とする請求項1に記載の酸化カルシウム分散液。
  3. 水分量が1,000ppm(質量)未満である有機分散媒を原料として得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化カルシウム分散液。
  4. 上記酸化カルシウム微粒子が、カルシウム錯体を気化し、気相中で酸化して得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
  5. 上記酸化カルシウム微粒子が、カルシウム錯体を気化し、気相中で酸化した後、焼成処理して得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
  6. 上記カルシウム錯体が、カルシウムとβ−ジケトン化合物との錯体であることを特徴とする請求項4または5に記載の酸化カルシウム分散液。
  7. 上記酸化カルシウム微粒子が、水酸化カルシウムの含有量が5質量%未満、炭酸カルシウムの含有量が1質量%未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
  8. 上記有機分散媒がアルコール、ニトリル化合物、アミド化合物および多価アルコール誘導体のいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
  9. 上記アルコールが炭素数3以上のアルコールであることを特徴とする請求項8に記載の酸化カルシウム分散液。
  10. 上記有機分散媒が2価アルコール誘導体であることを特徴とする請求項8に記載の酸化カルシウム分散液。
  11. 上記有機分散媒が、アセトニトリル、1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノールのいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
  12. 上記有機分散媒が混合分散媒であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
  13. 上記有機分散媒がニトリル化合物とアルコールの混合分散媒、芳香族化合物とアルコールの混合分散媒、芳香族化合物とアミン化合物の混合分散媒、エステルとアルコールの混合分散媒、アミド化合物とアルコールの混合分散媒、芳香族化合物とニトリル化合物の混合分散媒および多価アルコール誘導体とアミン化合物の混合分散媒のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の酸化カルシウム分散液。
  14. 上記混合分散媒が、トルエンとアルコール、酢酸ブチルとアルコール、N,N−ジメチ
    ルアセトアミドとアルコール、ジエチレングリコールジメチルエーテルとモノエタノールアミン、ジエチレングリコールジメチルエーテルとジエタノールアミン、ジエチレングリコールジメチルエーテルとトリエタノールアミンの組み合わせのいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の酸化カルシウム分散液。
  15. 分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の酸化カルシウム分散液。
  16. 上記分散剤がノニオン系界面活性剤から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴と
    する請求項15に記載の酸化カルシウム分散液。
  17. 上記ノニオン系界面活性剤が水酸基を有するものであることを特徴とする請求項16に記載の酸化カルシウム分散液。
  18. 上記ノニオン系界面活性剤がポリプロピレンオキシド付加グリセリンである事を特徴とする請求項16に記載の酸化カルシウム分散液。
  19. 上記有機分散媒が粘性率3.0mPa・s(20℃)以下であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液。
  20. 酸化カルシウムの微粒子と有機分散媒と直径5〜200μmのビーズとを容器に充填し、これらを攪拌することにより請求項1〜19のいずれか1項に記載の酸化カルシウム分散液を製造することを特徴とする酸化カルシウム分散液の製造方法。
  21. 上記攪拌を水分含有量が10ppm(mol)以下の不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項20に記載の酸化カルシウム分散液の製造方法。
  22. 容器に充填する有機分散媒の水分量が1,000ppm(質量)未満であることを特徴
    とする請求項20または21に記載の酸化カルシウム分散液の製造方法。
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JP2015010025A (ja) * 2013-07-01 2015-01-19 宇部マテリアルズ株式会社 アルカリ土類金属化合物微粒子分散液及びその製造方法
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