JP3766350B2 - ニッケル粉末分散体の調製方法ならびに導電ペーストの調製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極の形成に用いられる導電ペーストに用いて好適な超微粉ニッケル粉末分散体に関する。また、本発明は、そのような超微粉ニッケル粉末分散体の調製方法および分散性に優れた導電ペーストの調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子材料用導電ペースト、特に積層セラミックコンデンサの内部電極形成用導電ペーストとして、銀、パラジウム、白金、金等の貴金属粉末、あるいはニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、タングステン等の卑金属粉末が用いられている。一般に、積層セラミックコンデンサは、誘電体セラミック層と、内部電極として使用される金属層とを交互に配列し、両外側誘電体セラミック層の両端面に、内部電極の金属層に接続される外部電極を形成した構成となっている。ここで誘電体を構成する材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム等の誘電率の高い材料を主成分とするものが用いられている。一方、内部電極を構成する金属としては、前述した貴金属粉末あるいは卑金属粉末が用いられるが、最近はより安価な電子材料が要求されているため、後者の卑金属粉末が有用視され、特にニッケル粉末膜を誘電体セラミック層に形成して電極とした積層セラミックコンデンサの開発が盛んに行われている。
【0003】
ところで、ニッケル粉末塗膜を電極とした積層セラミックコンデンサは、一般に次のような方法で製造されている。すなわち、チタン酸バリウム等の誘電体粉末を有機バインダーと混合し懸濁させ、これをドクターブレード法によりシート状に成形して誘電体グリーンシートを作成する。一方、内部電極用のニッケル粉末を有機溶剤、可塑剤、有機バインダー等の有機化合物と混合・分散してニッケル粉末ペーストを形成し、これを前記グリーンシート上にスクリーン印刷法で印刷する。次いで、乾燥、積層および圧着し、そして加熱処理にて有機成分を除去した後、1300℃前後またはそれ以上の温度で焼成し、この後、誘電体セラミック層の両端面に外部電極を焼き付けて積層セラミックコンデンサを得る。
【0004】
上記積層セラミックコンデンサは、携帯電話、パソコン等電子機器に広く使われており、近年これら電子機器の軽量化、小型化、また高機能化が急速に進んでいる。これに伴い、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化が要求され、このためには積層数を数百層と多くする必要があり、必然的に電極一層の厚さを薄くし、低抵抗化していかなければならない。このときの一層の厚みは1〜2μmであり、今後さらなる薄層化が要求される。
【0005】
上記のような積層セラミックコンデンサの製造方法において、ニッケル粉末の電極を作成する際ペースト形成用分散剤と混合・分散させるが、このとき粗いニッケル粉末粒子が存在したり、あるいは混合・分散の際ニッケル粒子が凝集し、1〜2μmの一層の厚みよりも粒径の大きい二次ニッケル粉末粒子が存在すると、電極層表面に凹凸が生じ、最終的に積層セラミックコンデンサにしたときショートの原因となり、製品としては使用できなくなる。またニッケル粉末ペーストから有機成分を蒸発させて除去する工程や、その後の焼結工程の際に、金属粉末が膨張・収縮することによって体積変化が生じる。一方、誘電体自身にも焼結によって同様に体積変化が生じる。すなわち、誘電体とニッケル粉末という異なった物質を同時に焼結するため、焼結過程でのそれぞれの物質が異なる温度で膨張・収縮の体積変化を生じるため、積層膜にクラックまたは剥離等のいわゆるデラミネーションと云われる層状構造の破壊が起きるという問題を抱えていた。このデラミネーションの現象は、前記したような粗粒のニッケル粉末粒子あるいは過大に凝集したニッケル粉末粒子が存在すると顕著になる。
【0006】
上記のようなデラミネーションの問題を解決する手段として、従来、種々の方法が提案されている。例えば、特開平8−246001号公報では、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元方法によって製造された、平均粒径が0.1〜1.0μmで、かつタップ密度が特定の式で表される条件を満足するニッケル超微粉を積層セラミックコンデンサの電極に使用することにより、デラミネーションが少なくなることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術は、ある程度デラミネーションを防止する効果はあるものの、ニッケル粉末をペースト形成用分散剤と混合・分散した際の分散性は必ずしも十分ではなく、ニッケル粉末同士が凝集し、粗粉粒子が増加することにより、内部電極の薄層化が困難となり、さらに、電極表面に凹凸が生じることによりショートの原因となったり、また、結果としてデラミネーションの原因となったりしていた。このようにニッケル粉末の導電ペーストを形成する際のニッケル粉末粒子のペースト形成用分散剤に対する分散性については、なお改善の余地が残されている。
【0008】
また、ニッケル粉末を直接ペースト形成用分散剤に加えずに、ニッケル粉末粒子を水にあらかじめ分散させた状態のニッケル粉末分散体として提供することも考慮しうるが、ニッケル粉末ペースト形成時のニッケル粉末の分散程度は満足しうるものではない。
【0009】
本発明は、ペースト形成用分散剤を使用して導電ペーストを形成した際には優れた分散性を示し、結果として積層セラミックコンデンサを作成した際に、電極表面の凹凸によるショートやデラミネーションを防止することを可能とするニッケル粉末体を提供することを課題としている。また、本発明は、ニッケル粉末が高分散した導電ペーストの調製方法を提供することも課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、炭酸水溶液で処理した超微粉ニッケル粉末の水分散体に有機溶媒を添加することによって得られた分散体が、導電ペースト形成用分散剤に添加した際に極めて高いニッケル粉末の分散性を示し、導電ペースト用途、特に積層セラミックコンデンサ用導電ペースト用として好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のニッケル粉末分散体の調製方法は、炭酸水溶液で処理した平均粒径1μm以下の超微粉ニッケル粉末と水溶媒とから成るニッケル粉末水分散体に、有機溶媒を添加し、この有機溶媒によって水溶媒を少なくとも部分的に置換することを特徴としている。なお、ニッケル粉末分散体には、界面活性剤をさらに添加すると好適である。
【0012】
また、本発明のニッケル粉末分散体の調製方法は、塩化ニッケルガスと還元性ガスとを接触反応させる気相反応により、または、熱分解性のニッケル化合物の溶液を噴霧して熱分解することにより、平均粒径1μm以下の超微粉ニッケル粉末を生成し、該ニッケル粉末を適宜水洗したのち、純水を添加して水溶媒濃度が1重量%以上のニッケル水分散体を生成し、次いで炭酸ガスをニッケル水分散体に溶存させ、その後、界面活性剤の存在下で有機溶媒を添加して水溶媒を少なくとも部分的に置換して、置換した水溶媒は除去し有機溶媒濃度が5〜200重量%であるニッケル粉末分散体を生成することを特徴としている。
【0013】
また、本発明の導電ペーストの調製方法は、上記のニッケル粉末分散体に導電ペースト形成用有機分散剤を添加・混練することを特徴とするものである。
【0014】
本発明において「分散性に優れる」とは、超微粉ニッケル粉末粒子の二次粒子への凝集の程度が少なく、レーザー光散乱回折法粒度測定機(Coulter LS230:コールター社製)を用いて溶媒に懸濁させたときの積算粒度分布を測定した場合、平均粒径(D50)および粗粉側粒径(例えばD90)がより小さいことを意味する。さらに、導電ペーストからニッケル粉末の薄膜を形成した場合の膜密度がより大きいことを意味する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従うニッケル超微粉の水分散体ならびに導電ペーストの調製のプロセス例を示すフローシートである。以下、このフローシートの工程順に本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0016】
1.ニッケル粉末
本発明で用いられるニッケル粉末の平均粒径は1μm以下の超微粉である。平均粒径が1μm以下であれば、導電ペースト用、あるいは積層セラミックコンデンサ用として支障のない限り平均粒径に特に制限はない。ただし、近年の電子製品の軽量小型化に伴い、その部品である積層セラミックコンデンサも小型化が要求されるので、その内部電極に使用されるニッケル粉末の粒径もより小さいものが要求される。平均粒径があまりにも小さく、比表面積が大きくなると、導電ペーストあるいは積層セラミックコンデンサを作成する際、粉末粒子同士の凝集が起きたり、また焼結する際の揮発成分が多くなるなどの不具合が生じ易くなる。このような観点から、本発明で用いられるニッケル粉末の平均粒径は、好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.1〜0.6μmの範囲が良く、0.15〜0.4μmであればさらに好適である。
【0017】
また、ニッケル粉末のBET法による比表面積は1〜20m2/gが好ましい。さらに、ニッケル粉末の粒子形状は、焼結特性および分散性を向上させるために球状であることが望ましい。
【0018】
本発明で用いられるニッケル粉末は、気相法や液相法など公知の方法により製造することができる。特に、塩化ニッケルガスと還元性ガスとを接触させることによりニッケル粉末を生成させる気相還元法、あるいは熱分解性のニッケル化合物の溶液を噴霧して熱分解する噴霧熱分解法が好ましい。このような方法によれば、生成するニッケル粉末の粒子径を容易に制御することができ、さらに球状の粒子が効率よく製造することができる。
【0019】
気相還元法においては、気化させた塩化ニッケルのガスと水素等の還元性ガスとを反応させる。この場合、固体の塩化ニッケルを加熱し蒸発させて塩化ニッケルガスを生成してもよい。ただし、塩化ニッケルの酸化防止や吸湿防止、およびネルギー効率を考慮すると、金属ニッケルに塩素ガスを接触させて塩化ニッケルガスを連続的に発生させ、この塩化ニッケルガスを還元工程に直接供給し、次いで還元性ガスと接触させ塩化ニッケルガスを連続的に還元してニッケル粉末を製造する方法が有利である。
【0020】
気相還元反応によるニッケル粉末の製造過程では、塩化ニッケルガスと還元性ガスとが接触した瞬間にニッケル原子が生成し、ニッケル原子同士が衝突・凝集することによって超微粒子が生成し、成長してゆく。そして、還元工程での塩化ニッケルガスの分圧や温度等の条件によって、生成されるニッケル粉末の粒径が決まる。上記のようなニッケル粉末の製造方法によれば、塩素ガスの供給量に応じた量の塩化ニッケルガスが発生するから、塩素ガスの供給量を制御することで還元工程へ供給する塩化ニッケルガスの量を調整することができ、これによって生成するニッケル粉末の粒径を制御することができる。さらに、金属塩化物ガスは、塩素ガスと金属との反応で発生するから、固体金属塩化物の加熱蒸発により金属塩化物ガスを発生させる方法と異なり、キャリアガスの使用を少なくすることができるばかりでなく、製造条件によっては使用しないことも可能である。したがって、気相還元反応の方が、キャリアガスの使用量低減とそれに伴う加熱エネルギーの低減により、製造コストの低減を図ることができる。
【0021】
また、塩化工程で発生した塩化ニッケルガスに不活性ガスを混合することにより、還元工程における塩化ニッケルガスの分圧を制御することができる。このように、塩素ガスの供給量もしくは還元工程に供給する塩化ニッケルガスの分圧を制御することにより、ニッケル粉末の粒径を制御することができ、よって、ニッケル粉末の粒径を安定させることができるとともに、粒径を任意に設定することができる。
【0022】
上記のような気相還元法によるニッケル粉末の製造条件は、平均粒径1μm以下になるように適宜設定される。この場合、例えば、出発原料である金属ニッケルの粒径は約5〜20mmの粒状、塊状、板状等が好ましく、また、その純度は慨ね99.5%以上が好ましい。この金属ニッケルを、まず塩素ガスと反応させて塩化ニッケルガスを生成させる。その際の温度は、反応を十分進めるために800℃以上とし、かつニッケルの融点である1453℃以下とする。反応速度と塩化炉の耐久性を考慮すると、実用的には900℃〜1100℃の範囲が好ましい。次いで、この塩化ニッケルガスを還元工程に直接供給し、水素ガス等の還元性ガスと接触反応させる。この場合、窒素やアルゴン等の不活性ガスを塩化ニッケルガスに対し1〜30モル%混合し、この混合ガスを還元工程に導入してもよい。また、塩化ニッケルガスと共にまたは独立に塩素ガスを還元工程に供給することもできる。このように塩素ガスを還元工程に供給することによって、塩化ニッケルガスの分圧が調整でき、生成するニッケル粉末の粒径を制御することが可能となる。還元反応の温度は、反応完結に十分な温度以上であればよい。ただし、固体状のニッケル粉末を生成する方が取扱いが容易であるので、ニッケルの融点以下が好ましく、経済性を考慮すると900℃〜1100℃が実用的である。
【0023】
このように還元反応を行ってニッケル粉末を生成した後、生成ニッケル粉末を冷却する。冷却に際しては、還元反応を終えた1000℃付近のガス流に窒素ガス等の不活性ガスを吹き込むことにより、400〜800℃程度まで急速冷却することが望ましく、これにより、生成したニッケルの一次粒子同士の凝集による二次粒子の生成を防止して所望の粒径のニッケル粉末を得ることができる。その後、生成したニッケル粉末を、例えばバグフィルター等により分離、回収する。
【0024】
また、噴霧熱分解法によるニッケル粉末の製造方法では、熱分解性のニッケル化合物を原料とする。具体的には、ニッケルの硝酸塩、硫酸鉛、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸鉛、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩、アルコキシ化合物などの1種または2種以上を用いることができる。このニッケル化合物を含む溶液を噴霧して微細な液滴を作る。このときの溶媒としては、水、アルコール、アセトン、エーテル等が用いられる。また、噴霧の方法は、超音波または二重ジェットノズル等の噴霧方法により行うことができる。このようにして微細な液滴とし、これを高温に加熱してニッケル化合物を熱分解し金属ニッケル粉末を生成する。このときの加熱温度は、使用される特定のニッケル化合物が熱分解する温度以上であり、好ましくはニッケルの融点付近である。
【0025】
2.ニッケル粉末水分散体
本発明では、上記のようにして得られたニッケル粉末に対して先ず炭酸水溶液で処理する。具体的には、ニッケル粉末を炭酸水溶液に懸濁させる処理であり、気相還元法、噴霧熱分解法による金属ニッケルの製造方法において、生成したニッケル粉を通常純水で洗浄する際に、その洗浄を炭酸水溶液で行うか、あるいは純水で洗浄を行った後、純水中にニッケル粉を残留させた水スラリー中に炭酸ガスを吹き込むか、あるいは水スラリー中に炭酸水溶液を添加して処理することもできる。特に、気相還元法を採用した場合、このような純水による洗浄の途中あるいは後に、水スラリーの状態で炭酸水溶液と接触させて処理することが好適であり、製造工程の簡略化の面において有利である。
【0026】
炭酸水溶液での処理におけるpHは、5.5〜6.5の範囲が好ましく、5.5〜6.0であればさらに好適である。また、その際の炭酸水溶液の温度は、0〜100℃、好ましくは10〜50℃、特に好ましくは10〜35℃が良い。さらに、処理の方法としては、ニッケル粉末を水に懸濁させたスラリーに炭酸ガスを吹き込みながら炭酸ガスをスラリー中に溶存させると同時に、スラリーを対流させて処理する方法、あるいは、炭酸水溶液にニッケル粉末を懸濁させたスラリーを攪拌して処理する方法が挙げられる。いずれにしても、炭酸水溶液で処理する前または処理の最中に、ニッケル粉末に付着している塩化ニッケル等を除去するために水洗し、必要に応じて液体サイクロン等の湿式分級機により粗粉を除去し、ニッケル粉末の粒度を調整することが望ましい。このように炭酸水溶液中でニッケル粉末を処理することにより、ニッケル粉末表面に付着あるいは吸着した水酸化物が除去され、その結果としてニッケル粉末の分散性がさらに向上する。なお、ニッケル粉末の表面に水酸化物が吸着していると、OH基の極性により粉末どうしが互いに引き合うとともに、親水性(懸濁性)が低下し、その結果、ニッケル粉末が凝集し易くなると推測される。
【0027】
上記のように炭酸水溶液で処理した後、必要に応じて純水で置換あるいは洗浄してニッケル粉末水分散体を形成する。このニッケル粉末水分散体は、水溶媒濃度が1重量%以上、好ましくは5〜300重量%、さらに好ましくは10〜100重量%の水溶媒に、ニッケル粉末を分散させたものである。ここで、「水溶媒濃度」とは分散体中のニッケル粉末の重量に対する水溶媒の重量%を表す。つまりニッケル粉末水分散体は、ニッケル粉末100重量部当たり、水が1重量部以上、好ましくは5〜300重量部、さらに好ましくは10〜100重量部のスラリー状の混合物である。
【0028】
従来のニッケル粉末の製造方法では、上記のようにニッケル粉末を生成した後、同様に水洗するが、ニッケル粉末を製品とするため、この後ニッケル粉末を分離および乾燥し水を含まない粉末状態としていた。しかしながら、本発明では上記のようにニッケル粉末を炭酸水溶液で処理して水分散体を調製した後、ニッケル粉末の乾燥は行わない。具体的には水溶媒濃度が1重量%未満にならないようにすることにより、最終的なニッケル粉末の分散性を向上させる。つまり、本発明におけるニッケル粉末水分散体の好ましい調製方法では、塩化ニッケルガスと水素などの還元性ガスを接触させる気相還元法等によりニッケル粉末を生成し、次いで水洗し、その後炭酸水溶液で処理して、その後ニッケル粉末を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を除去しその後ニッケル粉末を乾燥せずに水溶媒濃度が1重量%以上の水分散体を調製する。
【0029】
また、本発明では、上記のような方法で調製したニッケル粉末の水分散体に界面活性剤を添加することも好ましい態様の一つである。すなわち、界面活性剤の添加により、後述する有機溶媒による水溶媒の置換が容易になるとともに、最終的に優れたペースト特性を発揮する。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤および反応性界面活性剤から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。
【0030】
具体的には、カチオン性界面活性剤としては、脂肪族の1〜3級アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0031】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、アルキルスルホ酢酸塩等のスルホン酸塩、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート等の硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0032】
両イオン性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノ化ルボン酸塩、イニダジリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0033】
非イオン性界面活性剤としては、アルキル基の炭素数が1〜18のポリオキシエチレンモノまたはジアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体等のエーテル型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエーテルエステル類、ポリエチレングルコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型等が挙げられる。
【0034】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム等が挙げられる。
【0035】
反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロペニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0036】
上記の界面活性剤は、単独で使用したり2種以上の組み合わせで使用することもできる。これらの中でも特に、HLB(親水親油バランス)価が通常3〜20である非イオン性界面活性剤が好ましく用いられ、好ましくはHLB価が10〜20の親水性の非イオン界面活性剤が用いられる。具体的には、ノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびそのリン酸塩またはこれらの混合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリンモノステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種または2種以上が特に好ましく用いられる。特に好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびそのリン酸塩またはこれらの混合物である。
【0037】
3.ニッケル粉末分散体(有機溶媒添加)
次に、上記のようにして調製したニッケル粉末の水分散体に有機溶媒を添加する。本発明で用いる有機溶媒としては、アルコール類、フェノール類、エーテル類、アセトン類、炭素数5〜18の脂肪族炭化水素、灯油、軽油、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シリコンオイル等が挙げられる。この中でも水に対する溶解度をある程度もつ有機溶媒が好ましく、アルコール類、エーテル類、またはアセトン類が好ましい。
【0038】
有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、2−メチル−1−プロパノール、イソブタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−エチル−1−ブタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、2−メトキシメトキシエタノール、1−オクタデカノール、n−オクタノール、2,3−エポキシ−1−プロパノール、シクロヘキサノール、ジメチルブタノール、ジメチルプロパノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、1,3−ジメトキシ−2−プロパノール、ジメトキシプロパノール、1−デカノール、1−ドデカノール、トリメチルブタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、フェニルエタノール、2−メチル−2−プロパノール、t−ブタノール、メチルプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、t−ペンチルアルコール、メチルシクロヘキサノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−メトキシブタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、アニリノエタノール、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジフェニルエタンジオール、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオール、cis−1,2−シクロヘキサンジオール、cis−1,4−シクロヘキサンジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、テルピネオール、ブタンジオール、ブテンオール、ブトキシプロパンジオール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、α−テルピオネール、ジエチルエーテル、アセトン、重合度2のポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングルコール、ポリオキシエチレングリコールモノエステルなどが挙げられる。特に、エタノール系のアルコール類を使用することが好ましい。
【0039】
これらの有機溶媒は、単独または2種以上組み合わせて使用することもできる。組み合わせとしては、例えば複数の異種のアルコール類を混合したり、また、水に溶解するアルコール類と水に不溶の例えば飽和炭化水素溶媒などを組み合わせることも好ましい態様である。これとは逆に水に溶解しないα−テルピオネールのような有機溶媒でも、界面活性剤を水分散体あるいは有機溶媒に添加するなど界面活性剤の存在下で用いることによって、水と有機溶媒が効率的に置換され、本発明のニッケル粉末分散体を得ることができる。
【0040】
上記の有機溶媒をニッケル粉末の水分散体に添加し、本発明のニッケル粉末分散体を得る。本発明では、ニッケル粉末分散体中に水溶媒が残留していてもよいが、好ましくは上記有機溶媒を添加した後、分散体から水を除去し、溶媒を添加した有機溶媒と置換することが望ましい。このとき分散体中の水の残留量は、分散体中のニッケル粉末の重量に対し10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下である。したがって、本発明のニッケル粉末分散体は、ニッケル粉末と上記有機溶媒から成る場合と、ニッケル粉末、上記有機溶媒および水から成る場合がある。置換方法としては、有機溶媒を添加した後、数回デカンテーションあるいは濾過によりニッケル粉末を同じ有機溶媒で洗浄し置換する方法、または有機溶媒を添加した後、加熱あるいは減圧下で水を蒸発させる方法を採用することができる。このように有機溶媒と置換することによって、導電ペーストを調製する際、導電ペースト形成用に使用する有機分散剤との相溶性が良好となり、分散性を向上させニッケル粉末の凝集が防止できる。
【0041】
本発明におけるニッケル粉末分散体の有機溶媒の濃度は任意である。ただし、導電ペーストを調製する際の操作性、または保存性を考慮すると、有機溶媒濃度は、5〜200重量%、好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは20〜60重量%が良い。ここで、「有機溶媒濃度」とは、分散体中のニッケル粉末の重量に対する有機溶媒の重量%である。つまり本発明のニッケル粉末分散体は、ニッケル粉末100重量部に対して有機溶媒が5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部、特に好ましくは20〜60重量部のスラリー状の混合物である。
【0042】
また、本発明のニッケル粉末分散体中には、前記したものと同じ界面活性剤を添加してもよく、添加方法は、有機溶媒を添加した後界面活性剤を添加するか、あるいは添加する有機溶媒に予め界面活性剤を添加し混合しておき、この混合物をニッケル粉末の水分散体に添加する。このとき、界面活性剤は、アルコールやアセトンなどの上述した有機溶媒で希釈或いは有機溶媒に溶解させて添加することが望ましく、界面活性剤1重量部に対し希釈する有機溶媒は1〜50重量部、好ましくは10〜40重量部である。界面活性剤を添加することによって、ニッケル粉末水分散体の有機溶媒による置換が促進され、効果的である。また、界面活性剤の作用効率を考慮すると、ニッケル水分散体に予め界面活性剤を添加し、ニッケル粉末表面に界面活性剤を良く分散させた後、有機溶媒を添加し、置換することが望ましい。さらに、上述した気相還元法等の方法で製造したニッケル粉末を水で洗浄し、ニッケル粉末水分散体を調製する際においても、上記界面活性剤を添加することが、最終的に分散性の高いニッケル粉末分散体および導電ペーストを調製するために望ましい。
【0043】
界面活性剤の量比については特に制限はないが、ニッケル粉末の粒子表面に界面活性剤の単一分子被膜が形成され得る程度の量を添加する。通常、ニッケル粉末1kg当たりに使用する界面活性剤は0.0001〜100g、好ましくは0.1〜50g、特に好ましくは0.5〜25gである。
【0044】
以下に、本発明のニッケル粉末分散体の具体的な調製方法を例示する。
(1)炭酸水溶液で処理したニッケル粉末水分散体にアルコール等の有機溶媒を添加し、攪拌し、その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得る。
【0045】
(2)炭酸水溶液で処理したニッケル粉末水分散体にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤を添加し攪拌した後、α−テルピオネール等の有機溶剤を添加し攪拌する。その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得る。
【0046】
(3)炭酸水溶液で処理したニッケル粉末水分散体にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤を添加し攪拌した後、α−テルピオネール等の有機溶剤を添加し、さらにポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含む界面活性剤を添加して攪拌する。その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得る。
【0047】
(4)炭酸水溶液で処理したニッケル粉末水分散体にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤を添加し攪拌した後、さらにポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含む界面活性剤を添加して攪拌し分散させた後、α−テルピオネール等の有機溶剤を添加する。その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得る。
【0048】
(5)炭酸水溶液で処理したニッケル粉末水分散体にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤を添加し攪拌した後、さらにアセトンなどの有機溶媒で希釈したポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含む界面活性剤を添加して攪拌し分散させた後、α−テルピオネール等の有機溶剤を添加する。その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得る。
【0049】
上記方法のうち、(3)〜(5)においては、ニッケル分散体に界面活性剤を添加する。このとき添加する界面活性剤は0.1μm程度またはこれ以下の微粉側のニッケル粉末をある程度凝集させるものが好ましく、これによって後工程での有機溶媒との置換を効率的に行うことができ、最終的に分散性の良い導電ペーストを調製することができる。また、ニッケル分散体を調製する際、デカンテーションにより上澄み液を除去するが、0.1μm以下の微粉は除去しにくく、最終的に得られるニッケル粉末分散体の歩留まりが低下してしまう。しかしながら、上記のように界面活性剤などで微粉をある程度凝集させて調製することによって、歩留まりを向上させることができる。
【0050】
以上のように本発明のニッケル粉末分散体は、ニッケル粉末分散性が極めて良好であり、これを用いて導電ペーストを形成した際には優れた分散性を示し、その結果、積層セラミックコンデンサにした際の電極表面の凹凸によるショートやデラミネーションの防止が図られる。
【0051】
4.導電ペーストの調製
本発明の導電ペーストの調製方法は、上記ニッケル粉末分散体を用い、これに有機分散剤を添加混練する。
【0052】
すなわち、導電ペーストは、上記ニッケル粉末分散体を、テレピネオール、デシルアルコール等の有機溶媒およびエチルセルロースなどのセルロース系の有機樹脂といった有機分散剤に添加し混練させることにより調製する。またフタル酸エステル等の可塑剤も添加することができる。
【0053】
上記のようにして得られた本発明のニッケル粉末分散体は、導電ペーストを形成した際には優れた分散性を示し、その結果、積層セラミックコンデンサを作成した際、ショートやデラミネーションを防止することができる。また、前記ニッケル粉末分散体を用いることにより、ニッケル粉末が高度に分散した導電ペーストの調製が可能となる。
【0054】
【実施例】
以下、具体的な実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
なお、平均粒径、分散剤中に分散させたときの粒度分布、膜密度および水分は以下の方法で測定した。
【0055】
(平均粒径の測定)
電子類微鏡によりニッケル粉末の写真を撮影し、その写真から金属粉末粒子200個の粒径を測定してその平均を算出した。粒径は粒子を包み込む最小円の直径とした。
【0056】
(ペースト形成用分散剤中に分散させたときの粒度分布の測定)
レーザー光散乱回折法粒度測定機(Coulter LS230:コールター社製)を用い、適量のニッケル粉末分散体または乾燥ニッケル粉末をα−テルピネオールに懸濁させてから超音波をかけて3分間分散させ、サンプル屈折率1.8にて金属粉末の粒度を測定し、体積統計値の粒度分布を求めた。なお、表1の粒度分布において、D90、D50、D10は、それぞれ積算粒度で90%、50%、10%のところの粒径(μm)を示しており、特にD90の値(積算粒度が90%の粒径)が大きいほど、導電ペースト形成用分散剤であるα−テルピネオール中でニッケル粉末が凝集していることを示し、逆に値が小さい場合はニッケル粉末が高分散していることを示す。
【0057】
(膜密度の測定)
α-テレピネオールを分散媒としたニッケル粉末55重量%含有したニッケル粉末分散体、または乾燥ニッケル粉末をα-テレピネオールに添加し形成した分散体に、エチルセルロースを10重量%添加し混練してペーストを作成した。一方、表面が平滑なガラス板上に離形フィルムを貼り、その両端を中央に離形フィルムの面が残るように貼り固定した。この離形フィルム上に上記ペーストを表面が均一になるようにフィルムアプリケーターで印刷し膜を形成した。その後80〜200℃で乾燥し、その後乾燥した膜から離形フィルムを剥がし、膜を円形の型で打ち抜いた。打ち抜いた膜の重量および体積を測定して膜密度を算出した。このとき膜の容積は円の面積を測定し、また厚さをマイクロメーターで膜の厚さを数ヶ所測定して平均を求め算出した。
【0058】
[実施例1]
(ニッケル粉末の製造)
図2に示す金属粉末の製造装置によりニッケル粉末を製造する工程を以下説明する。
【0059】
塩化工程
塩化炉1内に、出発原料である平均粒径5mmのニッケル粉末M15kgを、塩化炉1の上端に設けられた原料充填管11から充填するとともに、加熱手段10により炉内雰囲気温度を1100℃とした。次いで、塩素ガス供給管14から塩素ガスを4Nl/minの流量で塩化炉1内に供給し、金属ニッケルを塩化して塩化ニッケルガスを発生させた。この塩化ニッケルガスに、塩化炉1の下側部に設けられた不活性ガス供給管15から塩素ガス供給量の10%(モル比)の窒素ガスを塩化炉1内に供給して混合した。なお、塩化炉1の底部に網16を設け、この網16の上に原料のニッケル粉末Mが堆積するようにした。
【0060】
還元工程
上記のようにして生成された塩化ニッケル−窒素混合ガスを、加熱手段20により1000℃の炉内雰囲気温度とされた還元炉2内に、ノズル17から流速2.3m/秒(1000℃換算)で導入した。同時に還元炉2の頂部に設けられた還元性ガス供給管21から水素ガスを流速7Nl/minで還元炉2内に供給し、塩化ニッケルガスを還元した。塩化ニッケルガスと水素ガスによる還元反応が進行する際、ノズル17先端部からは、LPG等の気体燃料の燃焼炎に似た下方に延びる輝炎Fが形成された。
【0061】
冷却工程
還元反応により生成されたニッケル粉末Pに、還元炉2の下側部に設けられた冷却ガス供給管22から供給した窒素ガスを接触させニッケル粉末Pを冷却し、分離回収した。
【0062】
(ニッケル粉末水分散体の調製)
次いで、回収したニッケル粉末Pを水で洗浄し、最後に純水を加え、次いで炭酸ガスを純水中にバブリングさせることにより溶存させ炭酸水溶液とし、pH5.5〜6.5、40℃で60分処理した。その後ニッケル粉末を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を除去し、さらに純水を加えニッケル粉末の水分散体を得た。このときの水溶媒濃度は60重量%であった。
【0063】
(ニッケル粉末有機溶媒分散体の調製)
上記ニッケル粉末水分散体を2.5kg(ニッケル粉末1kg、水1.5kg)分取し、これにα-テレピネオール1kgを添加し、室温にて攪拌しニッケル粉末を分散させ、さらに120℃で16時間、さらに100℃で48時間乾燥を行いニッケル粉末分散体を得た。このニッケル粉末分散体では、残留水は実質上存在せず、水の全量がα-テレピネオールにより置換された。得られたニッケル粉末分散体中のニッケル粉末の平均粒径、粒度分布、および膜密度を測定し、その結果を表1に示した。
【0064】
【表1】
【0065】
[比較例1]
実施例1で得られたニッケル粉末の水分散体に対して、有機溶媒を添加することなくニッケル粉末水分散体を加熱乾燥して水分を除去し、ニッケル粉末を得た。このニッケル粉末を実施例1と同様に導電ペースト形成用分散剤(α-テレピネオール)に分散させたときの粒度分布および膜密度の測定を行ない、その結果を表1に併記した。
【0066】
[比較例2]
実施例1で得られたニッケル粉末の水分散体について、有機溶媒を添加することなく、実施例1と同様にペースト形成用分散剤(α-テレピネオール)に分散させたときの粒度分布および膜密度の測定を行ない、その結果を表1に併記した。
【0067】
[比較例3]
実施例1におけるニッケル粉末の水分散体の調製において、炭酸水溶液処理を行わなかった以外は実施例1と同様に導電ペースト形成用分散剤(α-テレピネオール)に分散させたときの粒度分布および膜密度の測定を行ない、その結果を表1に併記した。
【0068】
表1に示すように、実施例1のニッケル粉末のSEMによる平均粒径は比較例1〜3のニッケル粉末と同じである。しかしながら、ニッケル粉末の有機溶媒分散体では、比較例1,2は、ニッケル粉末の水分散体に有機溶媒を添加して水と置換しなかったため、D10、D50、D90のいずれも実施例1と比較して大きく、導電ペースト形成用分散剤中でのニッケル粉末の凝集により粒子が粗大化していることが確認された。また、比較例3では、ニッケル粉末の水分散体に有機溶媒を添加して水と置換しているため、比較例1,2と比べるとニッケル粉末粒子の粗大化はやや抑制されているが、炭酸ガスによる処理を行わなかったため、実施例1と比較すると粒子は大きい。特に、実施例1では、D90とD50との差が0.58であることからも、粗粉の比率が少なく導電ペースト形成用分散剤中での凝集が抑えられていることが確認された。さらに、これらペーストを用いて実際に電極層を形成した結果、実施例1のニッケル粉末分散体により形成した導電ペーストでは、比較例1〜3と比較して電極膜の膜密度が大きく、かつ電極層の表面粗さが小さく、導電ペーストを形成した際のニッケル粉末の凝集が少なく、分散性が非常に優れていることが判明した。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のニッケル粉末分散体は、ニッケル粉末分散性が極めて良好であり、これを用いて導電ペーストを形成した際には導電ペースト分散材中で優れた分散性を示し、結果として積層セラミックコンデンサを作成した際、電極表面の凹凸によるショートやデラミネーションの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従うニッケル超微粉の水分散体ならびに導電ペーストの調製のプロセス例を示すフローシートである。
【図2】 本発明の実施例で用いた金属粉末の製造装置の構成を示す縦断面図である。
Claims (20)
- 炭酸水溶液で処理した平均粒径1μm以下の超微粉ニッケル粉末と水溶媒とからなるニッケル粉末水分散体に、有機溶媒を添加し、この有機溶媒によって上記水溶媒を少なくとも部分的に置換することを特徴とするニッケル粉末分散体の調製方法。
- 炭酸水溶液で処理した平均粒径1μm以下の超微粉ニッケル粉末と水溶媒からなるニッケル粉末水分散体に、界面活性剤の存在下に有機溶媒を添加し、この有機溶媒によって上記水溶媒を少なくとも部分的に置換したことを特徴とするニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記ニッケル粉末の平均粒径が0.1〜0.6μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記炭酸水溶液中の処理がpH5.5〜6.5の範囲で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルまたはそのリン酸塩またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記ニッケル粉末分散体中の前記有機溶媒濃度が5〜200重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記有機溶媒がアルコール類であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記ニッケル粉末は、塩化ニッケルガスと還元性ガスとを接触反応させた気相反応生成物、または熱分解性のニッケル化合物の溶液を噴霧して熱分解した噴霧熱分解生成物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 導電ペースト用であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 積層セラミックコンデンサの内部電極用であることを特徴とする請求項9に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 塩化ニッケルガスと還元性ガスとを接触反応させる気相反応により、または、熱分解性のニッケル化合物の溶液を噴霧して熱分解することにより、平均粒径1μm以下の超微粉ニッケル粉末を生成し、この超微粉ニッケル粉末を水洗し、純水を添加して、水溶媒濃度が1重量%以上のニッケル水分散体を生成し、次いで炭酸ガスを上記ニッケル水分散体に溶存させ、その後、界面活性剤の存在下で有機溶媒を添加して水溶媒を少なくとも部分的に置換し、有機溶媒濃度が5〜200重量%であるニッケル粉末分散体を生成することを特徴とするニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記ニッケル水分散体に界面活性剤を添加するか、または前記有機溶媒に界面活性剤を予め混合するか、もしくは有機溶剤添加後に界面活性剤を添加することを特徴とする請求項11に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびそのリン酸塩またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項11または12に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記ニッケル粉末水分散体にアルコール有機溶媒を添加し、攪拌し、その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに、50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得ることを特徴とする請求項11に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 前記ニッケル粉末水分散体に、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル界面活性剤を添加して攪拌した後、α−テルピオネール有機溶剤を添加して攪拌し、その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに、50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得ることを特徴とする請求項11または12に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- ニッケル粉末水分散体にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル界面活性剤を添加して攪拌した後、α−テルピオネール有機溶剤を添加し、さらに、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含む界面活性剤を添加して攪拌し、その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得ることを特徴とする請求項11または12に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- ニッケル粉末水分散体にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル界面活性剤を添加し攪拌した後、さらに、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含む界面活性剤を添加して攪拌し分散させた後、α−テルピオネール有機溶剤を添加し、その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに、50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得ることを特徴とする請求項11または12に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- ニッケル粉末水分散体にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル界面活性剤を添加し攪拌した後、さらに、アセトン有機溶媒で希釈したポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含む界面活性剤を添加して攪拌し分散させた後、α−テルピオネール有機溶剤を添加し、その後静置して水をデカンテーションにて分離し、さらに、50〜150℃に加温して水分を除去してニッケル粉末分散体を得ることを特徴とする請求項11または12に記載のニッケル粉末分散体の調製方法。
- 請求項1または2に記載の調製方法で調製したニッケル粉末分散体に導電ペースト形成用有機分散剤を加え、添加・混練することを特徴とする導電ペーストの調製方法。
- 請求項1または2に記載の調製方法で調製したニッケル粉末分散体に導電ペースト形成用有機分散剤と可塑剤を加え、添加・混練することを特徴とする導電ペーストの調製方法。
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