JP2006105864A - アンテナ及び電波時計 - Google Patents

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JP2006105864A JP2004294994A JP2004294994A JP2006105864A JP 2006105864 A JP2006105864 A JP 2006105864A JP 2004294994 A JP2004294994 A JP 2004294994A JP 2004294994 A JP2004294994 A JP 2004294994A JP 2006105864 A JP2006105864 A JP 2006105864A
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Abstract

【課題】 アンテナの近傍に金属が存在する場合に、該金属に生じる渦電流損によるアンテナの受信効率の劣化を抑制すること。
【解決手段】 コイル24の外周面、及び、コイル24が巻回されていないコア22の両端部を覆うように、磁性層である磁性膜26aを設ける。磁性膜26aは、例えばコイル24を巻回させたコア22を、磁性体粉末を溶かした磁性体溶液中に浸すことで形成する。この場合、溶液中の磁性体粉末が、コイル24の外表面及びコイル24が巻回されていないコア22の両端部に付着してほぼ一様な磁性膜26aが形成されたアンテナ20Aを、容易に製造することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、アンテナ及び電波時計に関する。
現在、各国(例えばドイツ、イギリス、スイス、日本等)において、時刻データ即ちタイムコード入りの長波標準電波が送出されている。我が国(日本)では、2つの送信所(福島県及び佐賀県)より、図27に示すようなフォーマットのタイムコードで振幅変調した40kHz及び60kHzの長波標準電波が送出されている。タイムコードは、正確な時刻の分の桁が更新される毎即ち1分毎に、1周期60秒のフレームで送出されている。
近年では、このようなタイムコード入り標準電波を受信して現在時刻データを修正する、いわゆる電波時計が実用化されている。電波時計は、所定時間毎に、内蔵しているアンテナを介して標準電波を受信し、増幅復調してタイムコードを解読することにより現在時刻を修正している。
電波時計に内蔵される受信アンテナとしては、一般的にバーアンテナが用いられている。図28(a)に、従来のアンテナの概略構成を示す。同図によれば、従来のアンテナ20Zは、フェライトやアモルファス等の磁性体で形成される棒形状のコア22と、コア22の周囲に銅等の導線を巻回させて成るコイル24と、を備えて構成される。
そして、このアンテナ20Zを標準電波による磁界(以下、「信号磁界」と称する。)中に置くと、該磁界は、アンテナ20Zに対して次のように作用する。尚、標準電波は波長が数Kmに及ぶ長波を使用しているため、その磁界成分の大きさはアンテナサイズの範囲において、位置によって変わらない平行磁界とみなして良い。ここで、説明を簡明にするため、信号磁界を同図(b)に示すような平行磁界であるとして、以下、説明する。
即ち、信号磁界中に、軸線が磁界方向と平行になるようにコア22を置くと、同図(c)に示すように、信号磁界による磁束(以下、「信号磁束」と称する。)M1は、周囲空間よりも比透磁率が高いコア22に集中する。また、同図(d)に示すように、アンテナ20Zのコイル24に交流電力を与えると、コイル24に流れる交流電流の時間変化に応じた(即ち、向き及び大きさが変化する)磁束M3が発生する。
従って、アンテナ20Zを信号磁界中に置くと、同図(e)に示すように、信号磁束M1がコア22に集中してコイル24と鎖交し、コイル24には、レンツの法則に従い、コイル24内部での信号磁束M1の変化を妨げる向きに磁束(以下、「発生磁束」と称する。)M2を発生させるような誘導起電力Vが生じる。尚、信号磁界は交流磁界であり、信号磁束M1は大きさや向きが周期的に変化する。従って、誘導起電力Vは交流電力となり、発生磁束M2は、信号磁束M1の時間的変化に追従してその大きさや向きが周期的に変化する交流磁界となる。
そして、コイル24に生じた誘導起電力Vは、コイル24に接続された受信回路Sによって検出される。受信回路Sには、受信したい標準電波の周波数(40kHz又は60kHz)に同調させるための同調コンデンサCressや損失抵抗Raが含まれている。
このように構成される従来のアンテナ(バーアンテナ)において、標準電波の受信感度は、コイル内部での磁界の強さ(即ち、磁束密度)に依存する。そこで、より多くの信号磁束をコイル内に通過させて受信感度を向上させるべく、コア(磁性体)の両端部の断面積を大きくし、より多くの磁束を捕捉可能としたアンテナが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭55−91237号公報
ところで、アンテナの近傍に金属が存在する場合、アンテナの受信感度が劣化(低下)するという問題があった。即ち、アンテナに発生した磁束(発生磁束)の一部が近傍金属を通過することでこの金属に渦電流が流れて渦電流損が発生し、アンテナの受信感度が劣化する。このため、例えば腕時計型の電波時計において、アンテナや時計モジュール等を内部に配置する時計ケースや裏蓋を金属形成した場合、発生磁束がこの金属形成された時計ケースや裏蓋を通過することで生じる渦電流損により、アンテナの受信感度の劣化が避けられなかった。この問題は、電波時計に限らず、小型ラジオ等、電波を受信するアンテナを備えた電子機器であれば何れでも生じ得る。
上記事情に鑑み、本発明は、アンテナの近傍に金属が存在する場合に、該金属に生じる渦電流損によるアンテナの受信効率の劣化を抑制することを目的としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
コア(例えば、図4のコア22)と、
このコアに巻回されたコイル(例えば、図4のコイル24)と、
このコイルの外表面に設けられた磁性層(例えば、図4の磁性膜26a)と、
を備えることをアンテナ(例えば、図4のアンテナ20A)である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアンテナにおいて、
前記磁性層は、透磁率が異なる複数の磁性層が積層されて成ることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のアンテナにおいて、
前記複数の磁性層の間に絶縁層(例えば、図2の絶縁シート29)が設けられていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のアンテナにおいて、
前記磁性層は、透磁率が前記コアより小さい磁性部材で成ることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のアンテナにおいて、
前記磁性層は、磁性溶液の塗布により形成されて成ることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載のアンテナにおいて、
前記コイルは、前記コアの中央部分に巻回されており、
前記磁性層は、前記コイルの外表面から前記コイルが巻回されていない前記コアの両端部分にかけて設けられている、
ことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、
コア(例えば、図21〜図23のコア22)と、このコアに巻回されたコイル(例えば、図21〜図23のコイル24)とを備え、金属部材(例えば、図21〜図23の時計ケース10や裏蓋12)に近接して配置されるアンテナ(例えば、図21〜図23のアンテナ20D)において、
前記コイルの外表面に、前記金属部材との距離に応じて透磁率が異なる複数の磁性層(例えば、図21〜図23の磁性膜26c,26d)が設けられていることを特徴とするアンテナである。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のアンテナにおいて、
前記コイルは、前記コアの中央部分に巻回されており、
前記磁性層は、前記コイルの外表面から前記コイルが巻回されていない前記コアの両端部分にかけて設けられている、
ことを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、
請求項1〜8の何れか一項に記載のアンテナと、
このアンテナによる受信電波に基づいて標準タイムコードを生成するタイムコード生成手段(例えば、図9のタイムコード生成部700)と、
現在時刻を計時する計時手段(例えば、図9の計時回路部800)と、
前記タイムコード生成手段によって生成された標準タイムコードに基づいて、前記計時手段により計時された現在時刻データを修正する時刻修正手段(例えば、図9のCPU100)と、
を備える電波時計(例えば、図9の腕時計1)である。
また、請求項10に記載の発明は、
コア(例えば、図21〜図23のコア22)と、このコアに巻回されるコイル(例えば、図21〜図23のコイル24)とを有する標準電波受信用のアンテナ(例えば、図21〜図23のアンテナ30D)が、金属ケース内(例えば、図21〜図23の時計ケース10)に配置された電波時計(例えば、図21〜図23の腕時計4)において、
前記金属ケース内面に、前記アンテナと前記金属ケース内面との距離に応じて透磁率の異なる磁性層(例えば、図21〜図23の磁性膜26c,26d)が設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、コイルの外表面に磁性層が設けられたアンテナを実現できる。アンテナに発生した磁束(発生磁束)は、コイルの外表面に設けられた磁性層に引き寄せられて磁性層を通過する、或いは、磁性層の近傍を通過するように分布する。従って、例えばアンテナの近傍に金属が存在する場合に、発生磁束がこの近傍金属を通過することで生じる渦電流損を抑制して、アンテナの受信感度の劣化を抑制できる。
また、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載のアンテナの磁性層を、透磁率の異なる複数の磁性層から成るようにしても良い。
また、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載のアンテナにおける複数の磁性層の間に、絶縁層が設けることとしても良い。これにより、磁性層内での渦電流の発生を防止し、アンテナの受信感度の劣化を更に抑制できる。
また、請求項4に記載の発明によれば、磁性層の透磁率がコアより小さいアンテナを実現できる。磁性層の透磁率がコアの透磁率より小さいため、例えば標準電波といったコアを通過すべき信号の磁束(信号磁束)が磁性層を通過してしまうことを防止し、アンテナの受信感度の劣化を防止できる。
また、請求項5の記載の発明によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載のアンテナにおいて、磁性層が、磁性溶液の塗布により形成されて成るアンテナを実現できる。ここで「磁性溶液」とは、アモルファスやフェライトといった磁性体の粉末を、例えば有機溶液型接着剤等の溶媒に溶かした液体である。この磁性溶液をコイルの外表面に塗布することで、磁性溶液中の磁性体の粉末が付着して磁性層が形成される。
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか一項に記載のアンテナにおいて、磁性層が、コイルの外表面からコイルが巻回されていないコアの両端部分にかけて設けられたアンテナを実現できる。
また、請求項7に記載の発明によれば、コアとコイルとを備え、金属部材に近接して配置されるアンテナにおいて、コイルの外表面に、金属部材との距離に応じて透磁率が異なる複数の磁性層が設けられたアンテナを実現できる。磁性層の透磁率は金属部材の透磁率よりも大きいので、アンテナの発生磁束は、コイルの外表面に設けられた磁性層に引き寄せられて磁性層を通過する、或いは、磁性層の近傍を通過するように分布して、金属部材を殆ど通過しない。従って、発生磁束が金属部材を通過することで生じる渦電流損を抑制して、アンテナの受信感度の劣化を抑制できる。また、例えば金属部材との距離がより短い(即ち、金属部材に近い)程、磁性層の透磁率を大きく(高く)、金属部材との距離がより長い(即ち、金属部材に遠い)程、磁性層の透磁率を小さく(低く)することで、例えば標準電波といったコアを通過すべき信号磁束が磁性層を通過することを防止して、アンテナの受信感度の劣化を更に抑制できる。
また、請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載のアンテナにおいて、磁性層が、コイルの外表面からコイルが巻回されていないコアの両端部分にかけて設けられたアンテナを実現できる。
また、請求項9に記載の発明によれば、請求項1〜8の何れか一項に記載のアンテナを備えた電波時計を実現できる。従って、例えば時計ケースが金属形成される等、アンテナに近接して金属部材が配置される場合であっても、発生磁束がこの金属形成された時計ケースを通過することで生じる渦電流損を抑制して、アンテナの受信感度の劣化を抑制できる。
請求項10に記載の発明によれば、標準電波受信用のアンテナが金属ケース内に配置され、この金属ケース内面に、アンテナと金属ケース内面との距離に応じて透磁率の異なる磁性層が設けられた電波時計を実現できる。磁性層の透磁率は金属ケースの透磁率よりも大きいので、アンテナの発生磁束は、磁性層を通過するように分布して金属ケースを殆ど通過しない。従って、発生磁束が金属ケースを通過することで生じる渦電流損を抑制し、アンテナの受信感度の劣化を抑制できる。
以下、図面を参照して、本発明に好適な実施形態を説明する。尚、以下では、腕時計型の電波時計に本発明を適用した場合を説明するが、本発明を適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態を説明する。
<腕時計の構造>
図1は、第1実施形態における腕時計1の平面図である。同図によれば、腕時計1は、時計モジュールを内部に収納する、金属形成された時計ケース10を備えている。時計ケース10の外周部分であって6時及び12時の位置それぞれには、これをユーザの手首に装着するための時計バンド60が取り付けられているとともに、時計ケース10の外周側面には、腕時計1の各種機能の実行を指示するためのスイッチ11が設けられている。
図2は、腕時計1のA−A´矢視断面図(12時−6時断面図)であり、図3は、腕時計1の背面図である。図3では、裏蓋12と、アンテナ20Aの下方部分に相当する回路押さえ38の一部分を透視した状態で示している。図2、図3によれば、時計ケース10は、ステンレスやチタン等の金属により、環状の短柱形状に形成されている。また、時計ケース10の12時及び6時の位置の側方部分には、時計バンド60を取り付けるための延出部が形成されており、この延出部には、時計バンド60を取り付けるピンを通す孔部が形成されている。
時計ケース10の上端部(図2中、上側)には、この上端部を塞ぐように時計ガラス17がパッキン16を介して嵌められており、時計ケース10の下端部(図2中、下側)には、この下端部を塞ぐように裏蓋12がOリング13を介して取り付けられている。裏蓋12は、ステンレスやチタン等の強度が強い金属により、厚みが薄いほぼ平板状に形成されている。
時計ケース10の内部には、時刻計時を司る時計モジュールやアンテナ20A等が配置されている。時計モジュールは、上部ハウジング31a及び下部ハウジング31bを備える。上部ハウジング31aの上面にはソーラセル34が配置され、更にその上方には文字板32が配置されており、この文字板32の上面にはリング状の見切り板15が配置されている。また、文字板32の6時寄りの位置に形成された開口部32aの下方には、時刻等を表示する液晶パネル33が上部ハウジング31aに支持されて配置されている。即ち、腕時計1を正面から見たときに、文字板32に形成された開口部32aを介して、液晶パネル33に表示された時刻が視認できるようになっている。また、下部ハウジング31bには、二次電池37が組み込まれている。
上部ハウジング31aと下部ハウジング31bとの間には、アナログ指針機構35や、標準電波を受信するアンテナ20A、アンテナ20A等を接続してこれらを制御するLSI基板36が配置されている。
LSI基板36が有する回路要素としては、CPU等の制御ICと、アンテナ20Aのコイル24と銅等のリード線で電気的に接続されてコイル24に生じた誘導起電力Vを検出し、検出した電気信号を増幅、又は復調して標準電波に含まれる時刻データ(即ち、タイムコード)を取り出す受信回路と、発振回路を有して現在時刻を計時する計時回路と、がある。制御ICは、受信回路で取り出された時刻データに基づいて計時回路による計時時刻を修正し、修正した現在時刻を液晶パネル33に表示させる、或いは修正した時刻を示すようにアナログ指針機構35を制御して指針35aを運針させる等の処理を行う。
アナログ指針機構35は、文字板32の中央部に形成された軸孔からその上方に延びる指針軸と、この指針軸に取り付けられた時針や分針等の指針35aとを有し、指針35aを文字板32の上方で運針させる。
図4(a)は、第1実施形態におけるアンテナ20Aの外観図であり、同図(b)は、コアの軸方向に沿ったアンテナ20Aの断面図である。同図によれば、アンテナ20Aは、フェライトやアモルファス等の磁性材料で形成されたコア22と、このコア22の中央部分に、銅等の導線をほぼ均一な厚みで巻回させて成るコイル24と、磁性膜26aとを備えて構成される。
磁性膜26aは、コイル24の外周面全体、及び、コイル24が巻回されていないコア22の両端部を覆うように設けられた、磁性材料から成る膜(磁性層)である。この磁性膜26aの比透磁率は数十程度であり、数千程度であるコア22の比透磁率よりも遥かに小さい。
ここで、磁性膜26aは、例えば次のように形成される。
図5は、アンテナ20Aにおける磁性膜26aの形成方法の一例を説明する図である。同図に示すように、コア22とコイル24とを備えるアンテナ部品を、溶液層92内に満たされた磁性体溶液94に浸す。磁性体溶液94は、フェライトやアモルファス等の磁性体の微小粉末を、エポキシ樹脂といった有機溶液型接着剤に溶かした(混合した)液体である。尚、磁性体溶液として、磁性体粉末に代えてアルミや銅等の金属粉末を溶かした溶液を用いることとしても良い。
そして、所定時間をおいた後、このアンテナ部品を溶液層92から取り出すと、図4に示したように、アンテナ部品(コア22及びコイル24)の外表面を覆うように磁性膜26aが形成される。詳細には、コイル24の外周面と、コイル24が巻回されていないコア22の両端部の外表面とに、磁性体溶液94中の磁性粉末がほぼ一様に付着することで磁性膜26aが形成される。
このとき、磁性体溶液94の濃度(溶液中の磁性粉末の密度、即ち有機溶液型接着剤に溶かす磁性粉末の量)を変化させることで、形成される磁性膜26aの透磁率を調整することができる。つまり、磁性体溶液94の濃度を高く(濃く)することで形成される磁性膜26aの透磁率を高くし、濃度を小さく(薄く)することで形成される磁性膜26aの透磁率を低くすることができる。
アンテナ20Aは、図2、図3に示すように、時計ケース10の内部において12時寄りの位置に、コア22の軸線が3時−9時方向と平行に配置されている。また、アンテナ20Aは、コア22の両端部それぞれが上部ハウジング31aにより支持されて、時計ケース10の内周面及び裏蓋12の上面(時計ケース10の内部側の面)とは間隔をおいて配置されている。
そして、アンテナ20Aは、標準電波による磁界(信号磁界)中に置かれると、図6(a)に示すように、この信号磁界による磁束(信号磁束)M1が、周囲空間よりも透磁率が高いコア22に集中してコイル24に鎖交する。そして、コイル24には、鎖交した(コイル24内部を通過した)信号磁束M1の変化を妨げる向きに磁束(発生磁束)M2を発生させるような誘導起電力Vを生じる。尚、標準電波は大きさや向きが周期的に変化する交流信号であるので、コイル24に生じる誘導起電力Vは交流電力となり、発生磁束M2は、信号磁束M1の時間変化に追従して大きさや向きが変化する交流磁界となる。
一般的に、磁束は、磁気抵抗ができる限り小さい経路を取るように分布する。つまり、発生磁束M2は、透磁率が空気中、又は時計ケース10より高い磁性膜26aを通過する、或いは、磁性膜26aに引き寄せられてアンテナ20Aの近傍を通過するように分布する。即ち、同図(b)に示す磁性膜26aを備えない場合と比較して、発生磁束M2の、コア22の半径方向(同図では、上下方向)への広がりが小さくなる。
<磁束分布>
このように構成される腕時計1において、標準電波による信号磁束M1に対するアンテナ20Aの発生磁束M2は、図7、図8に示すように分布する。
図7、図8は、第1実施形態における磁束分布を示す図である。図7は、腕時計1の概略平面図を示し、図8は、腕時計1の3時−9時概略断面図を示している。図7、図8では、磁束の分布を理解し易くするため、時計ケース10内においてアンテナ20Aのみを示している。
図6に示したように、アンテナ20Aの発生磁束M2は、磁性膜26aの近傍に集中して分布する。このため、図7に示すように、発生磁束M2は時計ケース10を殆ど通過せず、時計ケース10には、金属に磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じない。また、図8に示すように、発生磁束M2は裏蓋12を殆ど通過せず、裏蓋12には、金属に磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じない。
従って、時計ケース10及び裏蓋12には、発生磁束M2の通過による渦電流損が殆ど生じないため、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Aの受信効率の劣化(低下)が抑制される。尚、磁性膜26aの透磁率はコア22の透磁率より遥かに小さいので、アンテナ20Aが受信すべき標準電波による信号磁束M1が、コア22を通過することを妨げない。
<腕時計の内部構成>
図9は、腕時計1の内部構成を示すブロック図である。同図によれば、腕時計1は、CPU100と、入力部200と、表示部300と、ROM400と、RAM500と、電波受信装置620と、タイムコード生成部700と、計時回路部800と、発振回路部820と、を備えて構成される。また、発振回路部820を除く各部はバス900によって接続され、発振回路部820は計時回路部800に接続されている。
CPU100は、所定のタイミング或いは入力部200から入力された操作信号に応じてROM400に格納されたプログラムを読み出してRAM500に展開し、該プログラムに基づいて腕時計1を構成する各部への指示やデータの転送等を行う。具体的には、例えば所定時間毎に電波受信装置620を制御して標準電波の受信処理を実行し、タイムコード生成部700から入力された標準タイムコードに基づいて計時回路部800で計数される現在時刻データを修正する。
入力部200は、腕時計1の各種機能の実行を指示するためのスイッチ11を含み、このスイッチ11が操作されると、対応する操作信号をCPU100に出力する。
表示部300は、文字板32やCPU100によって制御されるアナログ指針機構35、液晶パネル33を含み、計時回路部800によって計時された現在時刻を表示する。
ROM400は、腕時計1にかかるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、本実施の形態を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する。
RAM500は、CPU100の作業領域として用いられ、ROM400から読み出されたプログラムやCPU100で処理されたデータ等を一時的に記憶する。
電波受信装置620はアンテナ20Aを有しており、アンテナ20Aで受信した標準電波の不要な周波数成分をカットして該当する周波数信号を取り出し、この周波数信号を対応した電気信号に変換した信号をタイムコード生成部700へ出力する。
タイムコード生成部700は、電波受信装置620から入力された電気信号をデジタル信号に変換し、標準時刻コードや積算コード、曜日コード等の時計機能に必要なデータを含む標準タイムコードを生成してCPU100に出力する。
計時回路部800は、発振回路部820から入力される信号を計数して現在時刻を計時し、計時した現在時刻データをCPU100に出力する。発振回路部820は、常時一定周波数のクロック信号を出力する回路である
<作用・効果>
以上のように、第1実施形態によれば、腕時計1において、時計ケース10内に配置されるアンテナ20Aは、コイル24の外表面、及び、コイル24が巻回されていないコア22の両端部を覆う磁性膜26aを備えて構成される。そして、標準電波による信号磁束M1に対するアンテナ20Aでの発生磁束M2は、磁性膜26aを通過する、或いは、磁性膜26aに引き寄せられてコイル24の外表面近傍を通過するように分布し、時計ケース10及び裏蓋12を殆ど通過しない。従って、時計ケース10及び裏蓋12には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じないので、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Aの受信感度の劣化(低下)が抑制される。
また、コア22及びコイル24から成るアンテナ部品を磁性体溶液94中に浸すことで、コイル24及びコイル24が巻回されていないコア22の両端部を覆う、ほぼ一様な磁性膜26aを形成することができる。このとき、磁性体溶液94の濃度を変化させることで、形成される磁性膜26aの透磁率を調整することができる。このため、近傍金属に起因する受信感度の劣化を抑制したアンテナを、容易に製造することができる。
<変形例>
尚、上述した実施形態では、アンテナ20Aは、コイル24の外表面と、コイル24が巻回されていないコア22の両端部とを覆うように磁性膜26aが設けられることとしたが、図10に示すように、コイル24の外表面のみに磁性膜を設けることとしても良い。図10(a)は、コイル24の外表面のみに磁性膜26a−1を設けたアンテナ20A−1の外観図であり、同図(b)は、アンテナ20A−1のコア22の軸方向に沿った断面図である。この場合、例えばコア22の両端部をマスキングして磁性体溶液94に浸したり、或いは、コイル24の外表面部分に磁性体溶液92を塗る(塗装する)といったことにより、コイル24の外表面にのみ磁性膜26a−1を形成する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。
第2実施形態において、上述した第1実施形態と同一の構成要素については同符合を付し、詳細な説明を省略する。
<腕時計の構造>
図11は、第2実施形態における腕時計2の12時−6時断面図であり、図12は、腕時計2の概略平面図である。また、図13は、図12における腕時計2のC−C´矢視概略断面図である。図12、図13では、時計ケース10内におけるアンテナ20B及び磁性膜26bの配置を理解し易いよう、時計ケース10内部においてアンテナ20B及び磁性膜26bのみを示している。
図11〜図13によれば、腕時計2において、時計ケース10内にはアンテナ20Bが配置されている。アンテナ20Bは、コア22と、コイル24とを備えて構成される。そして、アンテナ20Bは、時計ケース10の内部において12時寄りの位置に、コア22の軸線が3時−9時方向と平行に配置されている。
また、裏蓋12の上面、及び、時計ケース10の内周面には、磁性層である磁性膜26bが設けられている。詳細には、磁性膜26bは、裏蓋12の上面の内、アンテナ20Bとの対向部分(図12では、12時寄りの上部約1/3部分)と、時計ケース10の内周面の内、アンテナ20Bとの対向部分(裏蓋12上面の上記対向部分に相当する部分。図12では、12時寄りの上部約1/3部分)にかけて設けられている。この磁性膜26bの比透磁率は数十程度であり、数千程度であるコア22の比透磁率より遥かに小さい。
磁性膜26bは、例えば次のように形成される。
図14は、磁性膜26bの形成方法の一例を示す図である。同図に示すように、時計ケース10に取り付け前の裏蓋12の一部分(時計ケース10に取り付けた際に、アンテナ20Bとの対向部分に相当する部分)を、溶液層92に満たされた磁性体溶液94中に浸す。そして、所定時間をおいた後、この裏蓋12を溶液層92から取り出すと、裏蓋12には、部分的にほぼ一様な磁性膜26bが形成される。また、時計ケース10については、時計ケース10の内周面の該当部分に磁性体溶液94を塗るといったことにより、磁性膜26bを形成することができる。
尚、裏蓋12を取り付けた時計ケース10の一部分(アンテナ20Bの対向部分に相当する部分)を磁性体溶液94中に浸すことで、裏蓋12及び時計ケース10の表面に、部分的に磁性膜26bを形成することとしても良い。
<磁束分布>
このように構成される腕時計2において、標準電波による信号磁束M1に対するアンテナ20Bの発生磁束M2は、次のように分布する。
即ち、図12に示すように、アンテナ20Bの周囲空間の内、アンテナ20Bと時計ケース10の内周面とが対向する空間P1において、発生磁束M2は、磁気抵抗がより小さい磁性膜26bを通過するように分布し、時計ケース10を殆ど通過しない。このため、時計ケース10には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じない。
また、図13に示すように、アンテナ20Bの周囲空間の内、アンテナ20Bと裏蓋12の上面とが対向する空間P2において、発生磁束M2は、磁気抵抗がより小さい磁性膜26bを通過するように分布し、裏蓋12を殆ど通過しない。このため、裏蓋12には、磁束が金属を通過することによる渦電流損が殆ど生じない。
従って、時計ケース10及び裏蓋12には、発生磁束M2による渦電流損が殆ど生じないため、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Bの受信効率の劣化が抑制される。
尚、磁性膜26bは、裏蓋12の上面及び時計ケース10の内周面において、全面ではなく部分的に設けられているので、アンテナ20Bが受信すべき標準電波による信号磁束M1が、コア22を通過することを妨げない。
<作用・効果>
以上のように、第2実施形態によれば、腕時計2では、裏蓋12の上面の内、アンテナ20Bとの対向部分と、時計ケース10の内周面の内、アンテナ20Bの対向部分とに磁性膜26bが設けられている。そして、標準電波による信号磁束M1に対するアンテナ20Bの発生磁束M2は、磁性膜26bを通過するように分布し、時計ケース10及び裏蓋12を殆ど通過しない。従って、時計ケース10及び裏蓋12には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じないので、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Bの受信感度の劣化を抑制できる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を説明する。
第3実施形態は、第1実施形態の腕時計1において、アンテナ20Aを、図15に示すアンテナ20Cに置き換えた実施形態である。以下、第3実施形態において、上述した第1、第2実施形態と同一の構成要素については同符合を付し、詳細な説明を省略する。
<アンテナ>
図15は、第3実施形態におけるアンテナ20Cを示す図である。同図(a)は、アンテナ20Cの外観図を示し、同図(b)は、コア22の軸方向に沿ったアンテナ20Cの断面図を示している。同図に示すように、アンテナ20Cは、コア22と、コイル24と、磁性シート28a,28b,28c(以下、包括的に「磁性シート28」と称する。)とを備えて構成される。そして、アンテナ20Cは、時計ケース10内において12時寄りの位置に、コア22の軸方向が3時−9時方向と平行に配置されている。
磁性シート28a,28b,28cは、コイル24の外表面を包むように重ねて設けられている。具体的には、コイル24の外表面を覆うように磁性シート28aが密着して巻かれて設けられ、その外表面に磁性シート28bが密着して巻かれて設けられ、更にその外表面に磁性シート28cが密着して巻かれて設けられている。即ち、コイル24の外表面には、磁性シート28a,28b,28cが層を成すように設けられている。
また、磁性シート28a,28b,28cは、透磁率がそれぞれ異なる。具体的には、磁性シート28aの透磁率が最も大きく、磁性シート28bの透磁率が次に大きく、そして、磁性シート28cの透磁率が最も小さい。即ち、アンテナ20Cでは、3枚の磁性シート28a,28b,28cが、コイル24に近い程、透磁率が大きくなるように設けられている。但し、磁性シート28a,28b,28cそれぞれの透磁率は、コイル22の透磁率よりは小さい。
尚、同図に示すアンテナ20Cでは、3枚の磁性シート28a,28b,28cを備えているが、勿論これは何枚であっても良い。この場合、コイル24に近い(内側)ほど透磁率が大きくなるよう、各磁性シート28を順に重ねて設ける。
磁性シート28は、例えば図16の拡大断面図に示すように、PCパーマロイといった磁性体粉末MP1や金属粉末MP2を、クロロブレンゴムといった絶縁部材I中に、均一に分散、埋没させたシート状の部材である。ここで、磁性体粉末MP1や金属粉末MP2は、その直径が、例えばナノメートルオーダの微小粉末である。そして、分散、埋没されている磁性体粉末MP1や金属粉末MP2の密度によって、磁性シート28の透磁率が変化する。
また、この磁性シート28は、外部磁界に対する遮蔽効果を持つ。
図17は、磁性シート28の減衰特性の一例を示す図であり、横軸を周波数、縦軸を減衰率としたグラフを示している。同図によれば、この磁性シート28は、10[Hz]から100[Hz]までの信号に対して約80[%]の減衰率を持ち、信号が100[Hz]を超えると減衰率が低下していく特性を持つ。特に、標準電波は40[KHz]或いは60[KHz]の信号であり、この範囲に対しては52〜53[%]の減衰率を有している。
<磁束分布>
図18、図19は、第3実施形態における発生磁束M2の分布図である。図18は、第3実施形態における腕時計3の概略平面図を示し、図19は、腕時計3の3時−9時概略断面図を示している。図18、図19では、磁束の分布を理解し易くするため、時計ケース10内においてアンテナ20Cのみを示している。
図18、図19に示すように、発生磁束M2は、その大部分が磁性シート28a,28b,28cに遮蔽されて、アンテナ20Cの周囲空間に漏れ出る磁束(漏れ磁束)が極めて少ない。従って、時計ケース10及び裏蓋12を通過する発生磁束M2が極めて少ないので、時計ケース10及び裏蓋12には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じない。このため、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Cの受信感度の劣化が抑制される。
また、発生磁束M2は、アンテナ20Cから離れるに従って磁束密度が小さく(磁界が弱く)なる。このため、透磁率が異なる複数の磁性シート28を、コイル24に近いほど透磁率が大きく、コイル24から離れるに従って透磁率が小さくなるように設けることで、アンテナ20Cの外部空間に漏れ出る発生磁束M2を効率良く遮蔽するとともに、アンテナ20Cが受信すべき標準電波による信号磁束M1が磁性シート28に遮蔽されてコア22を通過できずにアンテナ20Cの受信効率が劣化してしまうことを防止できる。
<作用・効果>
以上のように、第3実施形態によれば、腕時計3において、時計ケース10内に配置されるアンテナ20Cは、コイル24の外表面を覆うように、透磁率が異なる複数の磁性シート28a,28b,28cが層を成すように巻かれて設けられている。そして、標準電波による信号磁束M1に対するアンテナ20Cの発生磁束M2は、これらの磁性シート28a,28b,28cによって遮蔽され、アンテナ20Cの外部空間への漏れ磁束は極めて少なくなる。即ち、時計ケース10及び裏蓋12を通過する発生磁束M2が極めて少なくなり、時計ケース10及び裏蓋12には、磁束が金属を通過することによる渦電流損が殆ど生じないので、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Cの受信感度の劣化が抑制される。
<変形例>
尚、上述したアンテナ20Cにおいて、複数の磁性シート28a,28b,28cそれぞれの間に、絶縁層である絶縁シートを設けることとしても良い。図20は、磁性シート28a,28b,28cそれぞれの間に絶縁シート29を設けたアンテナ20C−1を示す図であり、コア22の軸方向に沿ったアンテナ20C−1に断面図を示している。絶縁シート29とは、絶縁材料から成るシート状の部材である。磁性シート28の間に絶縁シート29を設けることで、磁性シート28内での渦電流の発生を防止し、アンテナ20C−1の受信効率の劣化を更に抑制できる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を説明する。
第4実施形態において、上述した第1〜第3実施形態と同一の構成要素については同符合を付し、詳細な説明を省略する。
<腕時計の構造>
図21は、第4実施形態における腕時計4の12時−6時断面図であり、図22は、腕時計4の概略平面図であり、図23は、腕時計4の3時−9時概略断面図である。図22、図23では、時計ケース10内におけるアンテナ20Dの配置を理解し易くするため、時計ケース10内においてアンテナ20Dのみを示している。
図21〜図23によれば、時計ケース10内には、アンテナ20Dが配置されている。アンテナ20Dは、コア22と、コイル24と、磁性膜26c,26dとを備えている。そして、アンテナ20Dは、時計ケース10の内部において12時寄りの位置に、コア22の軸方向が3時−9時方向と平行に配置されている。
磁性膜26c,26dは、コイル24の外表面にコア22の軸方向に沿って設けられた磁性部材からなる膜(磁性層)であり、金属部材との対向部分に設けられている。具体的には、磁性膜26cは、コイル24の外表面において、時計ケース10との対向部分(図21中、コイル24の右部分)に設けられている。また、磁性膜26dは、コイル24の外表面において、裏蓋12との対向部分(図21中、コイル24の下部分)に設けられている。
磁性膜26c,26dの比透磁率は数十程度であり、数千程度であるコア22の比透磁率より遥かに小さい。また、磁性膜26c,26dの透磁率はそれぞれ異なり、近傍金属との間の距離が短い(近傍金属により近い)方が大きくなっている。図21では、アンテナ20Dと時計ケース10の内周面との間の距離の方が、アンテナ20Dと裏蓋12の上面との間の距離よりも短い。このため、磁性膜26cの透磁率の方が、磁性膜26dの透磁率よりも大きくなっている。
また、磁性膜26c,26dは、磁性体溶液をコイル24の外表面に塗布することで形成される。塗布する磁性体溶液の濃度が濃いほど、形成される磁性膜26c,26dの透磁率が高くなる。従って、磁性膜26cは、磁性膜26dよりも濃度が高い磁性体溶液を塗布することで形成される。このとき、塗布する磁性体溶液の濃度を可変することで、形成される磁性膜26c,26dの透磁率を調整することができる。
<磁束分布>
このように構成される腕時計4において、信号磁束M1に対するアンテナ20Dの発生磁束M2は、次のように分布する。
即ち、図22に示すように、磁性膜26cを含む空間P3において、発生磁束M2は、磁性膜26cに引き寄せられて磁性膜26cを通過する、或いは、磁性膜26cの近傍を通過するように分布し、時計ケース10を殆ど通過しない。このため、時計ケース10には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じない。
また、図23に示すように、磁性膜26dを含む空間P4において、発生磁束M2は、磁性膜26dを通過する、或いは、磁性膜26dの近傍を通過するように分布し、裏蓋12を殆ど通過しない。このため、裏蓋12には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じない。
従って、時計ケース10及び裏蓋12には、発生磁束M2の通過による渦電流損が殆ど生じないため、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Dの受信効率の劣化が抑制される。
<作用・効果>
以上のように、第4実施形態によれば、腕時計4において、アンテナ20Dは、コイル24の外表面の内、金属部材である時計ケース10及び裏蓋12との対向部分それぞれに磁性膜26c,26dを設けて構成されている。そして、標準電波による信号磁束M1に対するアンテナ20Dの発生磁束M2は、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12それぞれと対向する空間において、磁性膜26c,26dを通過する、或いは、磁性膜26c,26dの近傍を通過するように分布し、時計ケース10及び裏蓋12を殆ど通過しない。このため、時計ケース10及び裏蓋12には、磁束が金属を通過することによる渦電流損が殆ど生じないので、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Dの受信効率の劣化が抑制される。
また、発生磁束M2は、アンテナ20Dから離れるに従って磁束密度が小さく(磁界が弱く)なり、磁性体は、透磁率が大きい程、より遠くの磁束をも引き寄せることが可能である。このため、磁性膜26c,26dを、それぞれの近傍金属(即ち、時計ケース10又は裏蓋12)との間の距離に応じた透磁率のものとすることで、近傍金属に起因する受信感度の劣化を効率良く抑制したアンテナを製造することができる。
<変形例>
尚、上述したアンテナ20Dでは、コイル24の外表面のみに磁性膜26c,26dが設けられることとしたが、コイル24の外表面に加え、コイル24が巻回されていないコア22の両端部分を覆うように磁性膜26c,26dが形成されることとしても良い。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態を説明する。
第5実施形態において、上述した第1〜第4実施形態と同一の構成要素については同符合を付し、詳細な説明を省略する。
<腕時計の構造>
図24は、第5実施形態における腕時計5の12時−6時断面図を示し、図25は、腕時計5の概略平面図を示している。また、図26は、図25における腕時計5のD−D´矢視断面図を示している。図25、図26では、時計ケース10内におけるアンテナ20Eの配置を理解し易くするため、時計ケース10内においてアンテナ20Eのみを示している。
図24〜図26によれば、腕時計5において、時計ケース10内にはアンテナ20Eが配置される。アンテナ20Eは、コア22と、コイル24とを備えている。そして、アンテナ20Eは、時計ケース10内において12時寄りの位置に、コア22の軸方向が3時−9時方向と平行に配置されている。
時計ケース10の内周面の内、アンテナ20Eとの対向部分(図25では、12時寄りの上部約1/3部分)には、磁性層である磁性膜26eが設けられている。また、裏蓋12の上面の内、アンテナ20Eの対向部分(時計ケース10内周面の上記対向部分に相当する部分。図25では、12時寄りの上部約1/3部分)には、磁性層である磁性膜26fが設けられている。
磁性膜26e,26fの比透磁率は数十程度であり、数千程度であるコア22の比透磁率より遥かに小さい。また、磁性膜26e,26fの透磁率はそれぞれ異なり、近傍金属との間の距離が短い(近傍金属により近い)方が、透磁率が大きくなっている。図24では、アンテナ20Eと時計ケース10の内周面との間の距離の方が、アンテナ20Eと裏蓋12の上面との間の距離よりも短い。このため、磁性膜26fの透磁率の方が、磁性膜26eの透磁率よりも大きくなっている。
また、磁性膜26e,26fは、磁性体溶液を塗布することで形成される。上述のように、塗布する磁性体溶液の濃度が高い程、形成される磁性膜26e,26fの透磁率が高くなる。従って、磁性膜26eは、磁性膜26fよりも濃度が高い磁性体溶液を塗布することで形成される。このとき、塗布する磁性体溶液の濃度を可変することで、形成される磁性膜26e,26fの透磁率を調整することができる。
<磁束分布>
このように構成される腕時計5において、標準電波による信号磁束M1に対するアンテナ20Eの発生磁束M2は、次のように分布する。
即ち、図25に示すように、アンテナ20Eの周囲空間の内、磁性膜26eを含む空間P5において、発生磁束M2は、磁性膜26eを通過するように分布し、時計ケース10を殆ど通過しない。このため、時計ケース10には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じない。
また、図26に示すように、アンテナ20Eの周囲空間の内、磁性膜26fを含む空間P6において、発生磁束M2は、磁性膜26fを通過するように分布し、裏蓋12を殆ど通過しない。このため、裏蓋12には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じない。
従って、時計ケース10及び裏蓋12には、発生磁束M2の通過による渦電流損が殆ど生じないため、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Eの受信効率の劣化が抑制される。
<作用・効果>
以上のように、第5実施形態によれば、腕時計5では、時計ケース10の内周面の内、アンテナ20Eとの対向部分に磁性膜26eが設けられているとともに、裏蓋12の上面の内、アンテナ20Eと対向部分に磁性膜26fが設けられている。そして、標準電波による信号磁束M1に対するアンテナ20Eでの発生磁束M2は、磁性膜26e,26fを通過するように分布し、時計ケース10及び裏蓋12を殆ど通過しない。このため、時計ケース10及び裏蓋12には、金属を磁束が通過することによる渦電流損が殆ど生じないので、金属形成された時計ケース10及び裏蓋12に起因するアンテナ20Eの受信感度の劣化を抑制できる。
また、発生磁束M2は、アンテナ20Eから離れるに従って磁束密度が小さく(磁界が弱く)なる。このため、磁性膜26e,26fそれぞれの透磁率を、アンテナ20Eとの間の距離に応じた値に適当に調整することで、近傍金属に起因する受信感度の劣化を効率良く抑制したアンテナを製造することができる。
[変形例]
以上、5つの実施形態を説明したが、本発明の適用は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
第1実施形態における腕時計の正面図。 第1実施形態における腕時計の断面図。 第1実施形態における腕時計の背面図。 第1実施形態におけるアンテナの構成図。 第1実施形態における磁性膜の形成方法の一例。 図4のアンテナでの磁束分布図。 第1実施形態における発生磁束の分布図。 第1実施形態における発生磁束の分布図。 腕時計の内部構成図。 コイルの外表面のみに磁性膜を設けたアンテナの構成図。 第2実施形態の腕時計の断面図。 第2実施形態における腕時計の概略平面図。 第2実施形態における腕時計の概略断面図。 第2実施形態における磁性膜の形成方法の一例。 第3実施形態におけるアンテナの構成図。 磁性シートの構造図。 磁性シートの減衰特性図。 第3実施形態における発生磁束の分布図。 第3実施形態における発生磁束の分布図。 磁性シート間に絶縁シートを設けたアンテナの構成図。 第4実施形態における腕時計の断面図。 第4実施形態における腕時計の概略平面図。 第4実施形態における腕時計の概略断面図。 第5実施形態における腕時計の断面図。 第5実施形態における腕時計の概略平面図。 第5実施形態における腕時計の概略断面図。 タイムコードのフォーマット。 従来のアンテナの構成及び信号磁界の作用を示す図。
符号の説明
1,2,3,4,5 腕時計
10 時計ケース
12 裏蓋
20A,20B,20C,20D,20E アンテナ
22 コア
24 コイル
26a,26b,26c,26d,26e,26f 磁性膜(磁性層)
28a,28b,28c 磁性シート(磁性層)
29 絶縁シート(絶縁層)
M1 信号磁束
M2 発生磁束

Claims (10)

  1. コアと、
    このコアに巻回されたコイルと、
    このコイルの外表面に設けられた磁性層と、
    を備えるアンテナ。
  2. 前記磁性層は、透磁率が異なる複数の磁性層が積層されて成ることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記複数の磁性層の間に絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
  4. 前記磁性層は、透磁率が前記コアより小さい磁性部材で成ることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のアンテナ。
  5. 前記磁性層は、磁性溶液の塗布により形成されて成ることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のアンテナ。
  6. 前記コイルは、前記コアの中央部分に巻回されており、
    前記磁性層は、前記コイルの外表面から前記コイルが巻回されていない前記コアの両端部分にかけて設けられている、
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアンテナ。
  7. コアと、このコアに巻回されたコイルとを備え、金属部材に近接して配置されるアンテナにおいて、
    前記コイルの外表面に、前記金属部材との距離に応じて透磁率が異なる複数の磁性層が設けられていることを特徴とするアンテナ。
  8. 前記コイルは、前記コアの中央部分に巻回されており、
    前記磁性層は、前記コイルの外表面から前記コイルが巻回されていない前記コアの両端部分にかけて設けられている、
    ことを特徴とする請求項7に記載のアンテナ。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載のアンテナと、
    このアンテナによる受信電波に基づいて標準タイムコードを生成するタイムコード生成手段と、
    現在時刻を計時する計時手段と、
    前記タイムコード生成手段によって生成された標準タイムコードに基づいて、前記計時手段により計時された現在時刻データを修正する時刻修正手段と、
    を備える電波時計。
  10. コアと、このコアに巻回されるコイルとを有する標準電波受信用のアンテナが、金属ケース内に配置された電波時計において、
    前記金属ケース内面に、前記アンテナと前記金属ケース内面との距離に応じて透磁率の異なる磁性層が設けられていることを特徴とする電波時計。
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