JP2008020325A - 無線機能付腕時計 - Google Patents

Abstract

【課題】内蔵するアンテナの受信感度の劣化を防止し、小型化を容易とする。
【解決手段】無線機能付腕時計は、アンテナコイルを有し、所定の電波を受信するためのアンテナと、受信した電波に基づいて各種処理を行う処理回路が形成された回路基板５０と、を備え、アンテナと回路基板５０とを、当該無線機能付腕時計の厚さ方向に垂直な平面に対するそれぞれの正射影が重なり合うように配置し、処理回路は、実装部品および配線用パターンＰを備え、アンテナコイルの平面に対する正射影の領域ＣＡには、配線用パターンＰのみを配置する
【選択図】図７

Description

本発明は、無線機能付腕時計に係り、特に時刻標準電波を受信して時刻修正を行う無線機能付腕時計に関する。

従来、ケース内部にアンテナを内蔵する無線機能付きの腕時計が販売などされている（例えば、特許文献１参照）。
さらに、近年では、無線機能付の腕時計として太陽電池内蔵の電波修正時計、いわゆる、ソーラー電波修正時計が販売されている。
このソーラー電波修正時計の構成部品、とりわけ、回路部品は一般的なアナログ電子時計と比較して多くの素子を使用するため、実装面積や配線面積が多く必要となり、男性用の大型のものが主流であった。
特開２００１−３３５７１（図１）

ところで、ソーラー電波修正時計の普及および需要の増加に伴い、女性用のソーラー電波修正時計のニーズが高まっている。
一方、女性用の小型ソーラー電波修正時計は、男性用のものと比較して小型化が必要であり、構成部品を収納する容積も小さいため、機能を削減することなく小型化を図るのは困難であるという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、内蔵するアンテナの受信感度の劣化を防止し、機能を削減を抑制しつつ小型化を容易とすることができる無線機能付腕時計を提供することにある。

上記課題を解決するため、無線機能付腕時計は、アンテナコイルを有し、所定の電波を受信するためのアンテナと、受信した前記電波に基づいて各種処理を行う処理回路が形成された回路基板と、を備え、前記アンテナと前記回路基板とを、当該無線機能付腕時計の厚さ方向に垂直な平面に対するそれぞれの正射影が重なり合うように配置し、前記処理回路は、実装部品および配線用パターンを備え、前記アンテナコイルの前記平面に対する正射影の領域には、前記配線用パターンのみを配置することを特徴としている。
上記構成によれば、アンテナの受信動作が実装部品によるシールド効果あるいは実装部品に起因するノイズの影響を受けることがない。

この場合において、前記アンテナコイルの前記平面に対する正射影と前記配線用パターンの前記平面に対する正射影との重なり部分の面積の、前記アンテナコイルの前記平面に対する正射影の面積に対する比率が所定の比率以下とされているようにしてもよい。
また、前記重なり部分には、前記配線用パターンを構成するベタパターンの配置が禁止されているようにしてもよい。ここで、ベタパターンとは、通常の配線パターンに対し比較的広い面積を有する配線用パターンであり、例えば、接地用パターンなどのように比較的大電流を流せる配線用パターンを言うものとする。
さらに、前記配線用パターンは、検査用の配線パターンを含むようにしてもよい。
さらにまた、前記電波は、時刻標準電波であり、前記処理回路は、受信した前記時刻標準電波に基づいて時刻修正を行うための時刻修正回路を含むようにしてもよい。

本発明によれば、アンテナを配置しなければならないことによって回路基板の面積を減少させることがなく、アンテナの受信特性を維持することが可能となり、機能を維持しつつ小型化を容易とすることができるる。

次に本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
図１は、実施形態に係る無線機能付腕時計としてのソーラー充電式電波時計（以下、腕時計という）の外観構成を示す図である。
また、図２は図１の腕時計の断面構造の概要を示す図である。
腕時計１は、大別すると、時計ケース２と、この時計ケース２に連結された一対のバンド（帯状体）３とを備えている。
時計ケース２は、ステンレス、チタン等の金属材またはプラスチック等の樹脂材で形成され、その内部に、図２に示すように、貫通孔２Ａを有している。

時計ケース２の貫通孔２Ａには、時計表側から順に、文字板１０、ソーラーパネル２０、ムーブメント３０が積層配置されており、文字板１０上には、ムーブメント３０の秒車３１、２番車３２、筒車３３に各々連結された秒針５、分針６及び時針７からなる３つの表示指針が配置され、この貫通孔２Ａの時計表側がカバーガラス４０で封止され、裏側が裏蓋４１で封止されている。このカバーガラス４０と時計ケース２との間、及び、裏蓋４１と時計ケース２との間には各々パッキン４２、４３が配置されて時計ケース２内の密封性が確保されている。また、時計ケース２の外側には、竜頭８と操作ボタン９とが設けられている。
この腕時計１の文字板１０は、光透過性を有する材料で形成されており、カバーガラス４０及び文字板１０を通過した太陽光等の光がソーラーパネル２０に照射される。この光を受けてソーラーパネル２０が発電し、発電電力がムーブメント３０に取り付けられた二次電池３８（図３参照）に充電される。そして、この二次電池３８の電力によりムーブメント３０が駆動して現在時刻を表示する。

図３は、ムーブメントを裏蓋側から見た平面図である。
図４は、ムーブメントから回路基板及び回路押さえ板を外した状態を示す平面図である。
ムーブメント３０は、基材となる略円板形状の地板８１を備えている。この地板８１には、複数の表示指針５〜７を回転駆動するための、秒車３１、２番車３２および筒車３３を含む輪列機構３５と、２つのモータ３６Ａ、３６Ｂと、時刻標準電波としての長波標準電波（例えば、日本ＪＪＹ：４０ｋＨｚ／６０ｋＨｚ、アメリカＷＷＶＢ：６０ｋＨｚ、ドイツＤＣＦ７７：７７．５ｋＨｚ）を受信するアンテナユニット３７と、電源として機能する二次電池３８などが配置されている。なお、図３及び図４において、腕時計１は、ムーブメント３０の３時位置から延びてその先端に竜頭８が連結される巻き真８Ａを備えている。

図４に示すように、地板８１の中央領域には、輪列機構３５が配置され、この輪列機構３５を取り囲む外側の環状の領域には、２つのモータ３６Ａ、３６Ｂ、アンテナユニット３７及び二次電池３８等が配置される。
ここで、輪列機構３５を取り囲む外側の環状の領域は、図３および図４に示すように、一方のモータ３６Ａが配置された第一領域（略０時−３時領域）ＡＲ１と、他方のモータ３６Ｂが配置された第二領域（略３時−６時領域）ＡＲ２と、アンテナユニット３７が配置された第三領域（略６時−９時領域）ＡＲ３と、二次電池３８が配置された第四領域（略９時−１２時（０時）領域）ＡＲ４との４つに区分することができる。
このように腕時計１においては、地板８１の限られた平面スペースに比較的大型の４部品（二個のモータ３６Ａ、３６Ｂ、アンテナユニット３７、二次電池３８）を上下に重ねることなくバランスよく配置している。

輪列機構３５の各歯車の軸は、一端が地板８１に支持されるとともに、他端が地板８１の裏蓋４１側に設けられた輪列受け４５に支持されている。この輪列機構３５は、大別すると、時針７及び分針６用の輪列機構と、秒針５用の輪列機構とに分けられ、時針７及び分針６用の輪列機構がモータ３６Ａによって駆動されるとともに、秒針５用の輪列機構がモータ３６Ｂによって駆動される。すなわち、モータ３６Ａが時針７及び分針６を駆動する時分モータとして機能し、モータ３６Ｂが秒針５を駆動する秒針モータとして機能するように構成されている。
本実施形態の腕時計１では、時針７及び分針６と、秒針５とを独立駆動可能な２モータ式を採用することにより、アンテナユニット３７により受信した長波標準電波に含まれるタイムコードに従って時刻を調整する場合に、秒針５、分針６及び時針７を一つのモータで駆動する場合に比して時刻調整時のモータ駆動量を減らすことができ、時刻調整の短時間化及び時刻調整に伴う電力消費量の低減を図ることができる。

図５はアンテナユニットの外観図である。
アンテナユニット３７は、バーアンテナとして構成されており、大別すると、図５（および図３）に示すように、コア（バー）３７Ａと、アンテナコイル３７Ｂと、アンテナフレーム３７Ｃと、を備えている。
ここで、コア３７Ａは、平板状アモルファス材を数十枚積層してなる積層アモルファス材、あるいは、フェライトといった強磁性体材から形成されている。
アンテナコイル３７Ｂは、アンテナフレーム３７Ｃに支持されているコア（バー）３７Ａの周りに銅線などのリード線をコイル状に巻き回したものである。

このアンテナユニット３７は、長波標準電波（詳細には、長波標準電波の磁界成分）の時間変動に応じて、電磁誘導により、アンテナコイル３７Ｂに誘導起電力（誘導起電圧）が発生する。そして、誘導起電力によるコイル両端の電位の変動が受信信号として検出される。
図６は、ムーブメント近傍の断面概念図である。
また、このムーブメント３０には、図３および図６に示すように、地板８１の裏蓋４１側に輪列受け４５との間に間隔を空けて回路基板５０が配置され、この回路基板５０は、回路押さえ板５１によって地板８１に固定されている。

図７は、回路基板を時計表側（＝地板側）から見た場合の平面図である。
図８は、回路基板を裏蓋側から見た場合の平面図である。
この回路基板５０は、地板８１（ムーブメント３０）の略全面を覆う略円板形状に形成されている。この回路基板５０には、モータ３６Ａのコイル部分に対応する領域に窓部５０Ａが設けられ、モータ３６Ｂのコイル部分に対応する領域に窓部５０Ｂが設けられ、輪列機構３５の裏蓋４１側に飛び出る部分（秒車３１、２番車３２、筒車３３の軸部分）に対応する領域に設けられた窓部５０Ｃが設けられている。そして、これらの窓部５０Ａ、５０Ｂ、５０Ｃとの干渉を避けつつ、回路基板５０を地板８１側に近接配置させてムーブメント厚の増加を防いでいる。
この回路基板５０には、時計表側（地板８１側）の面に、受信ＩＣ５５、マイクロコンピュータ５６及び水晶振動子５７等の電子部品が実装部品として実装されており、これら実装部品が、アンテナユニット３７、ソーラーパネル２０、モータ３６Ａ、３６Ｂ及び二次電池３８に電気的に接続されることによって、この回路基板５０は、この腕時計１全体を制御する回路部を構成する。

受信ＩＣ５５は、マイクロコンピュータ５６に接続され、マイクロコンピュータ５６の制御の下、アンテナユニット３７を介して長波標準電波を受信し、受信した長波標準電波から現在時刻情報を示すタイムコードを復号する。周知の通り、タイムコードには、現在時刻の分を示す分情報と、現在時刻の時を示す時情報と、現在日を表す日情報（その年の１月１日からの通算日）とが含まれ、これらの情報が受信ＩＣ５５からマイクロコンピュータ５６へ出力される。
マイクロコンピュータ５６は、この腕時計１の各部を中枢的に制御するものあり、ＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ及び水晶振動子５７を発振させる発振回路等の各種回路を有し、モータ３６Ａ、３６Ｂの駆動制御、長波標準電波の受信制御及び時刻修正、ソーラーパネル２０の発電電力を二次電池３８に充電する制御及び二次電池３８に蓄電された電力を各部に供給する電源制御といった各種処理を行う。
本構成では、回路基板５０が、アンテナユニット３７も含めて地板８１（ムーブメント３０）の略全面を覆うため、回路基板５０の面積を広く確保でき、実装部品（電子部品）や配線の配置領域を広く確保することができる。

ここで、アンテナユニット３７の回路基板５０上での配置について詳細に説明する。
本実施形態においては、腕時計１の厚さ方向に垂直な平面、すなわち、地板８１と平行な平面を仮定し、アンテナユニット３７と回路基板５０とを、仮定した平面に対するそれぞれの正射影が重なり合うように配置する。そして、回路基板５０上の実装部品および配線用パターンＰを備え、アンテナコイル３７Ｂの仮定した平面に対する正射影の領域、すなわち、図７および図８に示すコイル領域ＣＡには、配線用パターンＰのみを配置するようにしている。

この場合において、アンテナコイル３７Ｂの仮定した平面に対する正射影と、配線用パターンＰの仮定した平面に対する正射影と、の重なり部分の面積の、アンテナコイル３７Ｂの仮定した平面に対する正射影の面積に対する比率が所定の比率以下となるようにされている。
これは、配線用パターンＰによりアンテナコイル３７Ｂがシールドされ、受信効率が低下してしまうのを防止するためである。

したがって、より配線用パターンＰの影響を低減するために、アンテナコイル３７Ｂの仮定した平面に対する正射影に対応する領域には配線用パターンＰを構成するベタパターンが配置されないようにしている。ここで、ベタパターンとは、通常の配線パターンに対し比較的広い面積を有する配線用パターンであり、例えば、接地用パターンなどのように比較的大電流を流せる配線用パターンを言うものとする。このようなベタパターンは、アンテナ３７に対して、シールドとして働くため、受信特性を悪化させる方向に機能するため、このようなパターンを配置しないようにしているのである。
さらに、アンテナコイル３７Ｂの仮定した平面に対する正射影に対応する領域に配置する配線用パターンＰとしては、できる限り信号が流れないものが好ましいため、本実施形態では、電気特性検査用の配線を配置し、回路基板５０の裏蓋４１側の面には、電気特性検査用のチェック端子ＴＣ（プラス端子ＴＡ、マイナス端子ＴＢ）を設けるようにしている。

また、回路基板５０の側面部には、図７に示すように、マイクロコンピュータ５６の所定端子にパターン配線で電気的に接続された操作検出用接点６０と、マイクロコンピュータ５６を含む各種電子部品の電源入力端子にパターン配線で電気的に接続されたプラス側電源用接点７０とが設けられている。
操作検出用接点６０は、操作ボタン９に対応する位置（４時位置に相当）に設けられ、このムーブメント３０を組み立てると、この操作検出用接点６０の外側（回路基板５０の外周側）に、回路押さえ板５１に設けられた接点ばね６５（図３参照）が離間して配置される。この接点ばね６５には、操作ボタン９の先端に当接し、操作ボタン９が押下操作されると、接点ばね６５が操作検出用接点６０に接触し、この接触がボタン操作としてマイクロコンピュータ５６に検出されることとなる。

以上の説明のように、本実施形態によれば、腕時計という大きさが制限される状態で、時計ケース内へのアンテナの配置および機能削減の回避に伴う基板面積の確保という相反する目的を達成しつつ、アンテナに対する回路基板からの影響を抑制し、アンテナの受信特性を維持することが可能となり、ひいては、女性用の小型ソーラー電波修正時計を構成する場合でも、男性用のソーラー電波修正時計と比較して機能を必要以上に削減することがない。

以上の説明においては、アンテナコイルの仮定した平面に対する正射影の領域には、配線用パターンのみを配置するようにしていたが、実装部品であってもノイズ源とならない実装部品や、実装部品の一部が含まれてもその影響が小さい場合などには、適用が可能である。

以上の説明においては、ムーブメント３０は、婦人用時計を目的として従来のソーラー充電式電波時計用ムーブメントよりもさらに小型化を図ったムーブメントとして構成し、２モータ式を採用する場合を示したが、これに限らず、全ての表示針を一個のモータで駆動する１モータ式を採用してもよい。

また、ムーブメント３０を男性用時計用とした場合、あるいはデザインの観点から比較的大型のものにした場合には、地板８１が大きくなる分、３個あるいは４個以上のモータを容易に配置することが可能である。
以上の説明においては、腕時計としてアナログ時計を説明したが、デジタル時計であっても同様に適用が可能である。

以上の説明においては、無線機能付腕時計として、電波修正時計を例として説明したが、近距離無線通信など他の無線機能を有する腕時計についても本発明の適用が可能である。

実施形態に係る無線機能付腕時計としてのソーラー充電式電波時計の外観構成を示す図である。 図１の腕時計の断面構造の概要を示す図である。 ムーブメントを裏蓋側から見た平面図である。 ムーブメントから回路基板及び回路押さえ板を外した状態を示す平面図である。 アンテナユニットの外観図である。 ムーブメント近傍の断面概念図である。 回路基板を時計表側（＝地板側）から見た場合の平面図である。 回路基板を裏蓋側から見た場合の平面図である。

符号の説明

１…腕時計、２…時計ケース、２Ａ…貫通孔、５…秒針、６…分針、７…時針、８…竜頭、１０…文字板、２０…ソーラーパネル、３０…ムーブメント、８１…地板、３５…輪列機構、３６Ａ…モータ、３６Ｂ…モータ、３７…アンテナユニット、３７Ａ…コア、３７Ｂ…アンテナコイル、３７Ｃ…アンテナフレーム、３８…二次電池、５０…回路基板、５６…マイクロコンピュータ、６０…操作検出用接点、７０…プラス側電源用接点、５５…受信ＩＣ、ＣＡ…コイル領域、Ｐ…配線用パターン、ＴＡ…プラス端子、ＴＢ…マイナス端子、ＴＣ…チェック端子。

Claims (5)

1. アンテナコイルを有し、所定の電波を受信するためのアンテナと、
   受信した前記電波に基づいて各種処理を行う処理回路が形成された回路基板と、を備え、
   前記アンテナと前記回路基板とを、当該無線機能付腕時計の厚さ方向に垂直な平面に対するそれぞれの正射影が重なり合うように配置し、
   前記処理回路は、実装部品および配線用パターンを備え、前記アンテナコイルの前記平面に対する正射影の領域には、前記配線用パターンのみを配置することを特徴とする無線機能付腕時計。
2. 請求項１記載の無線機能付腕時計において、
   前記アンテナコイルの前記平面に対する正射影と前記配線用パターンの前記平面に対する正射影との重なり部分の面積の、前記アンテナコイルの前記平面に対する正射影の面積に対する比率が所定の比率以下とされていることを特徴とする無線機能付腕時計。
3. 請求項２記載の無線機能付腕時計において、
   前記重なり部分には、前記配線用パターンを構成するベタパターンの配置が禁止されていることを特徴とする無線機能付腕時計。
4. 請求項１ないし請求項３のいずれかに記載の無線機能付腕時計において、
   前記配線用パターンは、検査用の配線パターンを含むことを特徴とする無線機能付腕時計。
5. 請求項１ないし請求項４のいずれかに記載の無線機能付腕時計において、
   前記電波は、時刻標準電波であり、
   前記処理回路は、受信した前記時刻標準電波に基づいて時刻修正を行うための時刻修正回路を含むことを特徴とする無線機能付腕時計。
   
   

Images