JP2006096896A - 異方導電性接着剤の製造方法、異方導電性接着剤及び異方導電膜 - Google Patents

異方導電性接着剤の製造方法、異方導電性接着剤及び異方導電膜 Download PDF

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正道 山本
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秀樹 柏原
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Abstract

【課題】 固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂、潜在性硬化剤及び導電粒子を含有する異方導電性接着剤であって、潜在性硬化剤粒子の凝集物の少ない異方導電性接着剤の製造方法、この製造方法により製造される異方導電性接着剤、及びこの異方導電性接着剤により形成される異方導電膜を提供する。
【解決手段】 固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂、潜在性硬化剤、及び導電粒子を含有する異方導電性接着剤の製造方法であって、前記液状エポキシ樹脂の一部又は全部と潜在性硬化剤を混合した後に濾過し、その濾液に他の成分を配合することを特徴とする異方導電性接着剤の製造方法、この製造方法により製造される異方導電性接着剤、及びこの異方導電性接着剤を膜状に成形して得られることを特徴とする異方導電膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、異方導電膜の形成に用いられる異方導電性接着剤の製造方法に関するものである。本発明は、さらに、この異方導電性接着剤の製造方法により製造される異方導電性接着剤、及びこの異方導電性接着剤により形成される異方導電膜にも関する。
多数の電極(端子)を有する回路や素子の電極間の電気的接続等には、異方導電膜が使用されている。異方導電膜とは、膜の厚み方向の電気抵抗(接続抵抗)が小さく、かつ膜の面方向の絶縁性が高いとの特性(以下異方導電性と言うことがある。)を有する膜であり、例えば、特開2002−235060号公報(特許文献1)等に、絶縁性樹脂(バインダー)に、その硬化剤及び導電粒子を分散したものが開示されている(特許文献1、請求項1)。
ここで、絶縁性樹脂としては、固形エポキシ樹脂と液状のエポキシ樹脂の混合物が使用されている(特許文献1、段落0012〜0015)。又異方導電膜には、保存時においては硬化反応が進行せず、かつ異方導電膜による電極間の接続の際に硬化反応が行われるという性質が要求されるので、硬化剤として、室温では硬化反応の進行しない潜在性硬化剤が使用されている(特許文献1、段落0008)。
このような異方導電膜は、エポキシ樹脂を溶剤に溶解させた溶液中に、潜在性硬化剤および導電粒子を分散させて液状の異方導電性接着剤を作製し、その異方導電性接着剤を成膜するとの方法により製造される(特許文献1、請求項1、段落0019)。より具体的には、次に示すような工程(1)〜(6)により製造されている。
(1)粉砕した潜在性硬化剤粒子を分散媒(溶剤)に分散したものを、フィルター濾過した後、分散媒を乾燥する。
(2)固形エポキシ樹脂を溶剤に溶解し、固形エポキシ溶液を作製する。
(3)前記固形エポキシ溶液、液状工ポキシ樹脂、前記潜在性硬化剤、導電粒子及び必要によりその他添加剤を秤量して、混合する。
(4)得られた混合物を、遠心撹拌、ロール混合、ボールミル混合等の方法により、均一分散させる。
(5)得られた分散液をフィルター濾過して異方導電性接着剤を得る。
(6)この異方導電性接着剤を、表面離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材上に塗布し、溶剤を乾燥させて成膜し、(その後剥離して)異方導電膜を得る(特開平9−115335号公報)。
特開2002−235060号公報 特開平9−115335号公報
潜在性硬化剤粒子は凝集しやすいので、前記の方法においては、凝集物を除去するためフィルター濾過を行う工程(1)が設けられている。しかし、フィルター濾過をしても、分散媒の乾燥の工程にて硬化剤の再凝集が起きる。工程(5)において、分散液のフィルター濾過がされ、凝集された硬化剤の除去もされるが、この濾過において導電粒子も同時に濾過されるため、導電粒子濃度が低下する問題が生じる。一方導電粒子濃度の低下を抑制するため粗いフィルターを用いると凝集された硬化剤が十分に濾過できないとの問題が生じる。
このように従来の方法では、異方導電性接着剤中に硬化剤の凝集物が含まれやすいが、硬化剤の凝集物が含まれる異方導電性接着剤を用いて形成された異方導電膜には、
(1)凝集により硬化剤濃度の粗密が生じ、又凝集粒子の大きさのバラツキにより硬化剤の溶出速度のバラツキも生じ、硬化反応が膜内で均一に進行しない、
(2)凝集物により導電粒子の配向が阻害される、
(3)凝集物の存在により導電粒子濃度に粗密ができ、位置による電気抵抗のバラツキが生じる、
(4)異方導電膜を用いて電極間を接続する際に、凝集した硬化剤が溶け切れずに残り、それが対向電極間に挟み込まれ、導電粒子による電極間の接続を阻害する、
等の問題が生じ、その結果、接続信頼性が低下する。
本発明は、固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂、潜在性硬化剤及び導電粒子を含有する異方導電性接着剤であって、潜在性硬化剤粒子の凝集物の少ない異方導電性接着剤の製造方法を提供することを課題とする。本発明は、さらに、この製造方法により製造される異方導電性接着剤、及びこの異方導電性接着剤により形成される異方導電膜を提供することも課題とする。
本発明者は、前記の課題を達成するため鋭意検討の結果、液状エポキシ樹脂と潜在性硬化剤を混合した後に濾過し、その濾液に、異方導電性接着剤の他の成分を配合する方法によれば、潜在性硬化剤粒子の凝集物の少ない異方導電性接着剤が得られることを見出し、以下に示す構成からなる本発明を完成した。
請求項1の発明は、固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂、潜在性硬化剤、及び導電粒子を含有する異方導電性接着剤の製造方法であって、前記液状エポキシ樹脂の一部又は全部と潜在性硬化剤を混合した後に濾過し、その濾液に他の成分を配合することを特徴とする異方導電性接着剤の製造方法、を提供するものである。
本発明は、液状エポキシ樹脂中に潜在性硬化剤を混合した混合物を、溶剤による希釈を必要とすることなく、濾過することを特徴とする。本発明者は検討の結果、潜在性硬化剤の凝集物の径が、導電粒子の長さ等よりかなり大きい場合であっても、「所定の大きさ」(後述するように数十μm程度)より小さい場合は、凝集物に起因する前記の問題が発生しないこと、とともに、前記「所定の大きさ」以上の径の凝集物の除去に使用するフィルターによれば、液状エポキシ樹脂中に潜在性硬化剤を混合した粘度の高い混合物を、溶剤による希釈なしで濾過可能であることを見出した。本発明者はさらに、液状エポキシ樹脂中に分散されている潜在性硬化剤粒子は、液状エポキシ樹脂の粘度が高いので再凝集せず、「所定の大きさ」以上の径の凝集物を除去すれば、その後再凝集により「所定の大きさ」以上の径の凝集物が発生しないことを見出した。そして、液状エポキシ樹脂中に潜在性硬化剤を混合した混合物を濾過して前記「所定の大きさ」以上の径の凝集物を除去すれば、凝集物に起因する前記の問題が解決できるとの知見を得て、本発明を完成したものである。「所定の大きさ」未満の径の凝集物は、後過程で溶解、分散し、前記の問題を発生しないものと考えられる。
本発明において、液状エポキシ樹脂中に潜在性硬化剤を混合した混合物の濾過は、溶剤による希釈を必要としない。後工程で使用する溶剤等で希釈して濾過することも可能であり、希釈により濾過性は向上するが、硬化剤粒子が溶剤に溶解してライフが短縮するので、好ましくは、硬化剤粒子を溶解する溶剤による希釈なしで濾過が行われる。
前記濾過で用いられるフィルターとしては、径10〜40μmのフィルターが好ましい。請求項2は、この好ましい態様に該当する。径が10μm未満のフィルターを使用する場合、濾過性が低下し、濾過が困難になる場合がある。径が40μmを越えるフィルターを使用する場合、凝集物の除去が不十分になり、前記の「所定の大きさ」以上の径の凝集物が異方導電性接着剤に残存しやすくなり、前記の問題が生じる場合がある。より好ましくは、径20〜30μmのフィルターを使用する場合である。ここで、フィルターの径とは、一般に「公称径」(ステンレスメッシュの場合)、「濾過精度」(ポリプロピレンメッシュの場合)等と呼ばれているもので、その値以上の径の粒子を濾過により除去されることを示す値である。例えば、フィルターの径30μmのフィルターを使用すれば、30μm以上の径の凝集物が除去される。フィルターの材質は、特に限定されないが、例えばステンレスメッシュ、ポリプロピレンメッシュを用いることができる。
溶剤不使用の場合、液状エポキシと硬化剤の混合物は高粘度である。そこで、濾過性を向上し、混合物のフィルターの通過を容易にするために、濾過対象の液状エポキシ樹脂と潜在性硬化剤の混合物を加熱して粘度を低下させて濾過することが好ましい。ただし、硬化反応を防ぐため、加熱温度は、潜在性硬化剤の反応開始温度未満であり、好ましくは、潜在性硬化剤の反応開始温度より10〜25℃程度低い温度まで加熱する。ここで潜在性硬化剤の反応開始温度(活性温度)は、DSC測定により求められる。より具体的には、DSC(示差走査熱量計)を用い、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物を試料として室温から10℃/分で昇温させた時に得られるDSC曲線において、発熱量がピークの1/2となる温度(低温側)での接線とベースラインとの交点の温度を反応開始温度と言う。
請求項3は、この好ましい態様に該当し、前記の異方導電性接着剤の製造方法であって、濾過を、液状エポキシ樹脂と潜在性硬化剤の混合物を、DSC測定における潜在性硬化剤の反応開始温度未満の温度まで加熱して行うことを特徴とする異方導電性接着剤の製造方法を提供するものである。
液状エポキシと硬化剤の混合物の濾過後、その濾液に、他の成分が配合される。ここで、他の成分とは、前記固形エポキシ樹脂、導電粒子等である。通常、固形エポキシ樹脂は、溶剤に溶解されてエポキシ溶液として添加されるので、この場合には、この溶剤も前記他の成分に含まれる。又、液状エポキシの一部が硬化剤と混合されて濾過された場合は、残余の液状エポキシも前記他の成分に含まれる。さらに、他の添加剤等が配合される場合は、この他の添加剤等も前記他の成分に含まれる。
本発明において使用される固形エポキシ樹脂は、常温で固体のエポキシ樹脂である。常温で固形のエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が例示され、中でもエポキシ当量(g/eq)が1000〜10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂を好ましく使用することができる。具体的には、エピコート1256(エポキシ当量:7000〜8500g/eq、分子量約50000)、エピコート1010(エポキシ当量:3000〜5000g/eq、分子量5500)、エピコート1009(エポキシ当量:2400〜3300g/eq、分子量3750)、エピコート1007(エポキシ当量:1750〜2200g/eq、分子量2900)(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等を使用することができる。
固形エポキシ樹脂は、通常溶剤に溶解されてその他の成分と混合される。固形エポキシ樹脂を溶解する溶剤としては、芳香族炭化水素系や含酸素系の溶剤を例示できる。芳香族炭化水素系としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。含酸素系としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、イソプロピルアセテート等の酢酸エステル類や、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、メチルイソブチルカルビノール等のアルコール類を例示できる。含酸素系の中では酢酸エステル類が、硬化剤が溶剤に溶けたり膨潤したりし難いことから好ましい。
本発明において使用される液状エポキシ樹脂は、常温で液状のエポキシ樹脂である。好ましくは、25℃における粘度が、0.1〜200Pa・sのエポキシ樹脂である。この範囲より粘度が低いと、濾過後に潜在性硬化剤の再凝集が生じやすくなり、高いと濾過が困難となる場合がある。請求項4は、この好ましい態様に該当する。より好ましくは25℃における粘度が、0.5〜150Pa・s、さらに好ましくは1〜100Pa・sのエポキシ樹脂である。
常温で液状のエポキシ樹脂としては、分子量200〜500程度の、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル、ビフェニル等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物、脂環エポキシ基を1分子内に2個以上有する脂環式エポキシ化合物等が用いられ、単独にあるいは2種以上を混合して用いることが可能である。具体的には、エピコートEP828(ビスフェノールA型、エポキシ当量:190g/eq、ジャパンエポキシレジン社製)、エピコートEP807(ビスフェノールF型、ジャパンエポキシレジン社製)、EXA7015(水添ビスフェノールA型、DIC製)、EP4088(ジシクロペンタジエン型、旭電化製)、HP4032(ナフタレン型、DIC製)、セロキサイド2021(脂環型、ダイセル化学工業製)等が例示される。中でも、エポキシ当量(g/eq)が180〜200のビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコートEP828等)が好ましく例示される。
固形のエポキシ樹脂に対する液状のエポキシ樹脂の配合比率は、異方性導電膜に対する要求性能に応じて適宜決定することができる。
本発明において使用される潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、アミンイミド、ポリアミン系、第3級アミン系、アルキル尿素系等のアミン系、ジシアンジアミド等、及びこれらの変性物が例示され、これらは単独または2種以上の混合物として使用出来る。
前記の潜在性硬化剤中でも、イミダゾール系潜在性硬化剤が好ましく使用される。イミダゾール系潜在性硬化剤としては、公知のイミダゾール系潜在性硬化剤を使用することができ、具体的にはイミダゾール化合物のエポキシ樹脂との付加物が例示され、イミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾールが例示される。
又、長期保存性と速硬化性という矛盾した特性の両立をより充分に達成するため、潜在性硬化剤は、これらを核とし、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、Ni、Cu等の金属薄膜等で被覆したマイクロカプセル型であることが好ましい。従って、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が特に好ましい。請求項5は、この特に好ましい態様に該当する。
このようなマイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤としては、イミダゾール化合物を尿素やイソシアネート化合物でアダクトし、更にその表面をイソシアネート化合物でブロックすることによりマイクロカプセル化したイミダゾール系潜在性硬化剤や、特にイミダゾールをエポキシ化合物でアダクトし、更にその表面をイソシアネート化合物でブロックすることによりマイクロカプセル化したイミダゾール系潜在性硬化剤を好ましく例示することができる。具体的には、ノバキュアHX3941HP、ノバキュアHX3921HP、ノバキュアHX3721、ノバキュアHX3722、ノバキュアHX3748、ノバキュアHX3088、ノバキュアHX3741、ノバキュアHX3742、ノバキュアHX3613(いずれも旭化成社製)等を挙げることができる。
アミン系潜在性硬化剤としては、公知のアミン系潜在性硬化剤を使用することができ、ポリアミン系潜在性硬化剤(例えば、H−4070S、H−3731S等、ACR社製)、第3級アミン系潜在性硬化剤(H3849S等、ACR社製)、アルキル尿素系潜在性硬化剤(例えばH−3366S等、ACR社製)等を使用することができる。
潜在性硬化剤の異方性接着剤中の含有量は、好ましくは1〜70重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲である。短時間硬化性と保存性の両立の観点から、前記で定義される反応開始温度(活性温度)が、50〜200℃程度のものが好ましく、70〜150℃程度のものがより好ましい。
本発明において使用される導電粒子としては、微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属粉末が好ましい。請求項6は、この好ましい態様に該当する。微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属粉末を用いると、金属粉末の充てん密度を高くすることなしに、接続抵抗(膜の厚み方向の抵抗)を低下させることができるし、金属粉末の充てん密度を高くする必要がないので、隣接する電極間の絶縁性を高く維持することができ、異方導電性が向上する
微細な金属粒子とは粒径10〜500nm程度のものが好ましい。鎖状に繋がった形状としては、平均長さ2〜20μm程度で、鎖の太さと長さの比が10〜100程度のものが好ましく用いられる。微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する金属粉末は、金属のイオンを、3価のチタン化合物等の還元剤を含む溶液に加えることで、液中に析出させて形成することができる(いわゆる還元析出法)。
微細な金属粒子を形成する金属としては、Fe、Ni、Co等の強磁性を有する金属が好ましい。強磁性を有する金属を用いると、それ自体が有する磁性により配向するし、又後述するように磁場を用いて導電粒子の配向を行うことができる。強磁性を有する金属としては、強磁性を有する金属の単体又は強磁性を有する金属を含む複合体が挙げられる。
導電粒子の添加量の好ましい範囲は、用途により変動し特に限定されないが、通常固形、液状エポキシ樹脂の合計100重量部(固形分)に対して、0.01〜20重量部が好ましく、より好ましくは、0.1〜10重量部である。0.01重量部未満では、電極間の電気的接続が充分得られない(接続抵抗が高い)場合が多く、20重量部を越えると、隣接する電極間の絶縁性が不充分となる場合が多くなる。
本発明は、その請求項7において、前記の異方導電性接着剤の製造方法により製造されることを特徴とする異方導電性接着剤を提供する。本発明はさらに、その請求項8において、この異方導電性接着剤を膜状に成形して得られることを特徴とする異方導電膜を提供する。
本発明の異方導電性接着剤は、潜在性硬化剤の凝集粒子が少ないものであり、特に30μm以上の粒径の凝集物がほとんどない。その結果、この異方導電性接着剤より形成される異方導電膜は、大粒径の凝集粒子に起因した前記のような問題が生ぜず、優れた接続信頼性を達成することができる。
本発明の異方導電性接着剤は、接続信頼性に悪影響を及ぼす可能性や、本発明の効果を損なう可能性のない範囲で、前記の必須成分に加えて、無機充填剤、有機充填剤、軟化剤、白色顔料、着色剤、硬化促進剤、重合抑制剤、増感剤、シランカップリング剤、耐熱性、吸水性、密着性を上げるための改質剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、及びこれらの組み合わせから選択される添加剤を含有しても良い。
前記の異方導電膜の形成の際には、前記導電粒子を、膜の厚み方向に配向させる工程を有することが好ましい。導電粒子を膜の厚み方向に配向させることにより、異方導電性がさらに向上する。導電粒子が、強磁性を有する金属からなり、微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有する場合、成膜工程で、異方導電性接着剤が流動性を有する状態で、膜の厚み方向の磁場を加えることにより、容易に配向を行うことができる。請求項9は、この好ましい方法により得られた異方導電膜に該当する。
本発明の異方導電性接着剤の製造方法によれば、異方導電膜の接続信頼性を低下させる大粒径の潜在性硬化剤凝集物が、液状エポキシ樹脂中と潜在性硬化剤の混合物の濾過により除去される。又、濾過後の混合物が高粘度であるため、硬化剤粒子の再凝集がなく、又潜在性硬化剤の乾燥工程等の再凝集を生じる工程も含まない。従って、導電粒子添加後の分散液の濾過の際、大きな径のフィルターを用いても、小粒径の硬化剤が分散した異方導電性接着剤が得られる。分散液の濾過の際、大きな径のフィルターを用いることができるので、導電粒子等の濃度が減少する問題もない。
このような製造方法により得られる本発明の異方導電性接着剤は、小粒径の硬化剤が分散したものである。従って、この異方導電性接着剤より形成された本発明の異方導電膜は、硬化剤濃度の粗密や凝集粒子の大きさのバラツキにより硬化反応が膜内で不均一になる、大きな凝集粒子が残存することにより導電粒子の配向が阻害される、位置による電気抵抗のバラツキが生じる、導電粒子による電極間の接続が阻害される、等の問題を生ぜず、優れた接続信頼性を有する。
次に本発明を実施するための最良の形態を示す。この形態は、本発明の一例であって、発明の範囲を限定するものではなく、発明の趣旨を損なわない範囲で、他の形態への変更が可能である。
(1)粉砕した潜在性硬化剤粒子を分散媒(溶剤)に分散したものを、フィルター濾過した後、分散媒を乾燥する。潜在性硬化剤の凝集粒子を除去する工程であり、従来の製法と同様である。
(2)得られた潜在性硬化剤及び液状エポキシ樹脂を、秤量し混合し、混合物を得る。
潜在性硬化剤及び液状エポキシ樹脂の混合物は、例えばノバキュアHX3941(旭化成エポキシ製)等として市販されており、本発明においても、市販品を用いることができる。
(3)得られた混合物を、DSC測定における潜在性硬化剤の反応開始温度未満の温度まで加熱した後濾過する。濾過に用いられるフィルターとしては、径25μm程度のスレンレスメッシュカートリッジフィルターを用いることができる。
(4)固形エポキシ樹脂を溶剤に溶解し、固形エポキシ溶液を作製する。
(5)前記の工程で得られた固形エポキシ溶液、濾液、導電粒子及び必要によりその他添加剤を秤量して、混合する。
(6)得られた混合物を、遠心撹拌、ロール混合、ボールミル混合等の方法により、均一分散させる。
(7)得られた分散液をフィルター濾過して、本発明の異方導電性接着剤を得る。フィルターとしては、導電粒子等の濃度の減少が生じないような径を有するものを用いることができる。
(8)この異方導電性接着剤を、表面離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材上に塗布し、溶剤を乾燥させて成膜し、その後剥離して、本発明の異方導電膜を得る。
ここで、工程(4)〜(8)は、従来技術の方法と同様に行うことができる。
次に実施例により本発明をより具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例
潜在性硬化剤(反応開始温度:100℃)が液状のビスフェノール型エポキシ樹脂(25℃における粘度:3〜8Pa・s)に分散したノバキュアHX3941(旭化成エポキシ製)を、60℃に加熱しながらステンレスメッシュカートリッジフィルターTMP−25(アドバンテック製、径25μm)を用いて濾過し、小粒径の硬化剤が分散した樹脂溶液(濾液、液状エポキシ樹脂と硬化剤の混合物)を得た。
次に他の接着剤成分として、エピコート828(液状エポキシ樹脂、25℃における粘度:10〜20Pa・s、ジャパンエポキシレジン製)、エピコート1010(固形エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン製)の30%酢酸n−ブチル溶液を固形分比(重量)が50:50となるように混合した。得られた混合液の80重量部に、前記濾液の19重量部、及び導電粒子として後記のNi粉末1重量部を添加して混合し、異方導電性接着剤組成物を得た。
導電粒子としては、微細なNi粒子が直鎖状に繋がった形状を有し、径が200nm、平均長が5μmであるNi粉末を用いた。
前記で作製した異方導電性接着剤組成物を、離型処理したPETフィルム上にドクターナイフを用いて塗布後、磁束密度40000μTの磁場中、80℃で10分間乾燥し、厚さ25μmの異方導電膜を作製した。蛍光顕微鏡にてこの異方導電膜を観察したところ、硬化剤の凝集粒子の最大径は10μmであった。すなわち、径25μmのフィルターを用いて濾過することにより、径が10μmより大きな凝集粒子が除去されている。
比較例
ノバキュアHX3941の濾過を行わない以外は実施例と同様にして、厚さ25μmの異方導電膜を作製した。蛍光顕微鏡にて異方導電膜を観察したところ、硬化剤の凝集粒子の最大径(面方向)は50μmであった。
[接続評価]
電極ピッチが30μm、電極高さが9μmのFPCを用意し、その上に、実施例又は比較例で作製した異方導電膜を、60℃に加熱しながら1kg/cmの圧力で10秒間加圧することにより仮接着した。次に前記FPCに対応する、バンプピッチ30μm、バンプ高さ15μmのバンプを有するICチップを用意し、電極とバンプが向かい合うように異方導電膜上に配置し、200℃に加熱しながら、5kg/cmの圧力で20秒間加圧することにより完全に接着させた。
得られた積層体を、85℃85%RHの高温高湿槽に一定時間(高温高湿曝露時間)静置した後、向かい合う電極−バンプ間の導通抵抗を測定し、その値が1Ω以上の箇所を接続不良とし、不良率を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2006096896

表1の結果より明らかなように、本発明例(実施例)の異方導電膜は、すぐれた接続信頼性を示し、高温高湿の雰囲気に長時間曝露されても、接続信頼性の低下は見られなかった。一方、比較例の異方導電膜は、接続初期より接続不良箇所が存在し、さらに、高温高湿の雰囲気に曝露されることにより、不良率が経時的に増大する。比較例では、大きな径の凝集硬化剤粒子が存在することにより、このような接続不良箇所が生じたものと考えられる。

Claims (9)

  1. 固形エポキシ樹脂、液状エポキシ樹脂、潜在性硬化剤、及び導電粒子を含有する異方導電性接着剤の製造方法であって、前記液状エポキシ樹脂の一部又は全部と潜在性硬化剤を混合した後に濾過し、その濾液に他の成分を配合することを特徴とする異方導電性接着剤の製造方法。
  2. 前記濾過が、径10〜40μmのフィルターを使用して行われることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性接着剤の製造方法。
  3. 前記濾過を、液状エポキシ樹脂と潜在性硬化剤の混合物を、DSC測定における潜在性硬化剤の反応開始温度未満の温度まで加熱して行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の異方導電性接着剤の製造方法。
  4. 前記液状エポキシ樹脂が、25℃における粘度が0.1〜200Pa・sのエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の異方導電性接着剤の製造方法。
  5. 前記潜在性硬化剤が、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の異方導電性接着剤の製造方法。
  6. 前記導電粒子が、微細な金属粒子が鎖状に繋がった形状を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の異方導電性接着剤の製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の異方導電性接着剤の製造方法により製造されることを特徴とする異方導電性接着剤。
  8. 請求項7に記載の異方導電性接着剤を膜状に成形して得られることを特徴とする異方導電膜。
  9. 前記導電粒子を、膜の厚み方向に配向させたことを特徴とする請求項8に記載の異方導電膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010116453A (ja) * 2008-11-12 2010-05-27 Nippon Steel Chem Co Ltd フィルム状接着剤、それを用いた半導体パッケージ及びその製造方法
WO2016157594A1 (ja) * 2015-03-27 2016-10-06 株式会社村田製作所 シート状の接合材料、それを備えた電子部品、接合方法、接合体
WO2022054747A1 (ja) * 2020-09-11 2022-03-17 東レ株式会社 エポキシ樹脂組成物、成形材料および繊維強化複合材料

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