JP2006096569A - 銅酸化物微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】単分散で、変動係数が小さく、分散安定性の良い酸化第1銅ナノ粒子を製造する方法を提供し、従来法に比して、より低温で効率よく酸化第1銅ナノ粒子を製造しうる方法を提供する。また、インクジェット技術やディスペンサー技術等を用いて、高密度の回路を配線基板上にオンデマンドで形成するインクとして有用な酸化第1銅微粒子分散液を製造する方法を提供する。
【解決手段】
2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させる酸化第1銅微粒子を製造する方法。
【選択図】図1
【解決手段】
2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させる酸化第1銅微粒子を製造する方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェットやディスペンサー等を用いて、高密度の回路を配線基板上にオンデマンドで形成するインク用として有用な酸化第1銅の微粒子およびその分散液を、マイクロ化学プロセス技術による還元反応により製造する方法に関する。
金属の微粒子(以下、「ナノ粒子」ともいう)の製造方法として、例えば、気相中に高温で蒸発させた金属の蒸気を供給し、ガス分子との衝突により急冷させて微粒子を形成する気相法、金属イオンを溶解した溶液に還元剤を添加して金属イオンの還元を行う液相法(溶液法)などが挙げられる。
これらの方法の中で、液相法は比較的安価に大量に合成できる長所を有する。しかし、液相法は通常の場合、撹拌機を備えた反応容器内に金属カチオン溶液と還元剤溶液を添加して行われ、初期の添加によって核形成が起こり、その後の添加によって結晶成長が起こるので、いずれの撹拌方法を用いても、反応容器内を液が循環するために核形成と核成長が並行して起こり、ナノサイズの単分散粒子を得るのが困難である。
機械的撹拌を伴わずに混合する方法も開示されており(特許文献1、特許文献2など)、この方法では添加液の循環はないものの、撹拌が存在しないために混合力が不十分である。機械的撹拌によらずに十分な混合力を保つために、添加液を噴流として、その運動エネルギーによって混合を行う方法が、特許文献3、4に開示されている。この方法では高い運動エネルギーが混合に反映され、かつ添加液の循環をなくすことができるが、噴流の実現に高圧が必要となり、その流量の安定性を欠く欠点をもっている。
これらの方法の中で、液相法は比較的安価に大量に合成できる長所を有する。しかし、液相法は通常の場合、撹拌機を備えた反応容器内に金属カチオン溶液と還元剤溶液を添加して行われ、初期の添加によって核形成が起こり、その後の添加によって結晶成長が起こるので、いずれの撹拌方法を用いても、反応容器内を液が循環するために核形成と核成長が並行して起こり、ナノサイズの単分散粒子を得るのが困難である。
機械的撹拌を伴わずに混合する方法も開示されており(特許文献1、特許文献2など)、この方法では添加液の循環はないものの、撹拌が存在しないために混合力が不十分である。機械的撹拌によらずに十分な混合力を保つために、添加液を噴流として、その運動エネルギーによって混合を行う方法が、特許文献3、4に開示されている。この方法では高い運動エネルギーが混合に反映され、かつ添加液の循環をなくすことができるが、噴流の実現に高圧が必要となり、その流量の安定性を欠く欠点をもっている。
一方、半導体回路の微細化およびその構造の多様化が進む中、プリント基板の配線形成においても、新たな技術の開発が望まれており、金属ナノ粒子の安定した製造方法が必要とされている。
基板配線の形成方法として、従来、スパッタリング、イオンプレーティング、化学気相成長(CVD)等の気相法での金属成膜法が用いられてきたが、オンデマンドに配線を形成することができず、使用できる金属種も限られるなどの点で問題を有していた。
このようは問題を解決する方法として、インクジェットやディスペンサー等の技術を用い、金属を分散したインク(以下、「金属インク」ともいう)を吐出させ、金属の導電パターンを形成する方法が提案されている(特許文献5等参照)。これらの金属インクを用いる方法においては、インク中に分散する金属粒子の平均粒径、その分散性が重要な要素となり、特に、配線の微細化にあわせ、数十nm以下という微粒子を安定に形成することが必要とされる。一方、金属粒子のサイズが数十nm以下になると、その表面積が大きくなり、酸化を受けやすくなるので、抵抗値の増大が無視できなくなる。この傾向は銅や錫等の標準電極電位が低いナノ粒子の場合に顕著であり、インクの保存や取扱いが面倒となるという問題を有する。
基板配線の形成方法として、従来、スパッタリング、イオンプレーティング、化学気相成長(CVD)等の気相法での金属成膜法が用いられてきたが、オンデマンドに配線を形成することができず、使用できる金属種も限られるなどの点で問題を有していた。
このようは問題を解決する方法として、インクジェットやディスペンサー等の技術を用い、金属を分散したインク(以下、「金属インク」ともいう)を吐出させ、金属の導電パターンを形成する方法が提案されている(特許文献5等参照)。これらの金属インクを用いる方法においては、インク中に分散する金属粒子の平均粒径、その分散性が重要な要素となり、特に、配線の微細化にあわせ、数十nm以下という微粒子を安定に形成することが必要とされる。一方、金属粒子のサイズが数十nm以下になると、その表面積が大きくなり、酸化を受けやすくなるので、抵抗値の増大が無視できなくなる。この傾向は銅や錫等の標準電極電位が低いナノ粒子の場合に顕著であり、インクの保存や取扱いが面倒となるという問題を有する。
配線に用いられる金属としては、アルミニウム、金、銀などがあげられるが、安価で高い導電性の得られる銅の利用が特に重要となる。一方、上述のとおり、微細粒子の銅は酸化しやすく取り扱いの上で問題となる。これを解決するため、酸化銅を用いることが考えられるが、酸化第2銅(以下、「CuO」、または「酸化銅(II)」ともいう)は銅の比率が下がるため配線としたときの導電性に問題があり、配線材料として用いるには、酸化第1銅(以下、「Cu2O」または「酸化銅(I)」ともいう)が適している。
しかしながら、酸化第1銅微粒子を、ナノサイズで効率よく単分散に製造した例はなく、安定した製造方法の開発が必要となる。触媒用の微粒子として、酸化第1銅を調製した例はあるが(非特許文献1参照)、酢酸第2銅溶液を230℃で加熱還元処理して、金属銅(以下、「Cu」または「0価の銅」ともいう)をまず調製し、次いで空気中で酸化することにより、酸化第1銅を得るというものである。従来実施されてきた、液相による還元法と同様の方法であるが、加熱を必要とするため工業性、経済性の点で満足できず、自然酸化に委ねる点で純度に疑問が残り、特に、最も重要となる、粒径の制御や分散性に問題があり、配線用銅インクの製造方法として採用できるものではない。
しかしながら、酸化第1銅微粒子を、ナノサイズで効率よく単分散に製造した例はなく、安定した製造方法の開発が必要となる。触媒用の微粒子として、酸化第1銅を調製した例はあるが(非特許文献1参照)、酢酸第2銅溶液を230℃で加熱還元処理して、金属銅(以下、「Cu」または「0価の銅」ともいう)をまず調製し、次いで空気中で酸化することにより、酸化第1銅を得るというものである。従来実施されてきた、液相による還元法と同様の方法であるが、加熱を必要とするため工業性、経済性の点で満足できず、自然酸化に委ねる点で純度に疑問が残り、特に、最も重要となる、粒径の制御や分散性に問題があり、配線用銅インクの製造方法として採用できるものではない。
金属の微粒子を、ナノサイズで、狭い粒子サイズ分布を維持しながら製造する方法として、マイクロ反応場を利用した例が開示されている(特許文献6〜8参照)。しかしながら、ここで実施例として開示されている金属は銅以外の金属であり(アンチモン、亜鉛、白金など)、その合成方法は酸化第1銅に応用できない。また、特許文献6では金属酸化物または水酸化微粒子を混合するものであり、合成とは異なるものである。特許文献7は0価の金属微粒子の製造例であり、上記の触媒の調製例と同様に、再酸化工程が必要であり採用できない。特許文献8は金属カルコゲナイドまたは金属水酸化物微粒子の製造例であり、酸化物を得ようとすれば、酸化のための焼成工程が必要となり採用できるものではない。
本発明は、単分散で、変動係数が小さく、分散安定性の良い酸化第1銅ナノ粒子を製造する方法を提供することを目的とする。さらに、従来法に比して、より低温で効率よく酸化第1銅ナノ粒子を製造しうる方法を提供することを目的とする。
本発明の課題は、以下の手段により達成された。
(1)2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させることを特徴とする酸化第1銅微粒子の製造方法。
(2)前記2価の銅塩溶液がアルカリ性であることを特徴とする(1)記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
(3)前記流路の等価直径が10mm以下であることを特徴とする(1)または(2)記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
(4)前記2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流下で接触させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
(5)モード径が100nm以下、変動係数が40%以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載製造方法により得られる酸化第1銅微粒子。
(6)(5)記載の酸化第1銅微粒子からなる基板配線用銅インク。
(7)2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させることを特徴とする酸化第1銅微粒子分散液の製造方法。
(1)2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させることを特徴とする酸化第1銅微粒子の製造方法。
(2)前記2価の銅塩溶液がアルカリ性であることを特徴とする(1)記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
(3)前記流路の等価直径が10mm以下であることを特徴とする(1)または(2)記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
(4)前記2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流下で接触させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
(5)モード径が100nm以下、変動係数が40%以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載製造方法により得られる酸化第1銅微粒子。
(6)(5)記載の酸化第1銅微粒子からなる基板配線用銅インク。
(7)2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させることを特徴とする酸化第1銅微粒子分散液の製造方法。
本発明の製造方法によれば、単分散で、分散安定性に優れた酸化第1銅ナノ粒子を簡便に製造することができる。また、第2銅から第1銅への還元反応を、有機化合物還元剤を用い、比較的低温(例えば室温近辺の温度)で行うことが可能である。
さらに、本発明の製造方法によれば、インクジェット技術やディスペンサー技術等を用いて、高密度の回路を配線基板上にオンデマンドで形成するインクとして有用な酸化第1銅微粒子分散液を製造することが可能である。
さらに、本発明の製造方法によれば、インクジェット技術やディスペンサー技術等を用いて、高密度の回路を配線基板上にオンデマンドで形成するインクとして有用な酸化第1銅微粒子分散液を製造することが可能である。
本発明の製造方法は、2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させて、酸化第1銅微粒子を得るものである。以下、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
本発明の酸化第1銅微粒子の製造方法おける、2価の銅塩から酸化第1銅を得る還元反応の過程について、以下のスキーム1に示す。スキーム1では、理解を容易にするために、2価の銅塩を酢酸銅(II)として、還元剤をヒドロキシアセトンとして、溶解剤を2−(ジエチルアミノ)エタノールとして、溶媒を水として示しているが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
出発物質として用いられる銅塩は、溶液としたときに適度な液物性が得られるものであれば特に制約はないが、例えば、有機カルボン酸銅(II)塩、硝酸銅(II)塩などが挙げられ、炭素原子数4以下の有機カルボン酸銅(II)塩がより好ましく、酢酸銅(II)塩が特に好ましい。溶媒は2価の銅塩溶液としたとき、適切な濃度とするために用いられ、水が好ましく用いられる。濃度に関しては、流路中で流通状態を制御するために、好ましい液物性が得られるよう定められ、層流に適した液物性とすることが好ましい。好ましい濃度は1〜50質量%であり、5〜30質量%がより好ましく、粘度は0.5〜100mPa・sが好ましく、0.5〜20mPa・sがより好ましい。密度は0.8〜2g/cm3が好ましく、1.0〜1.5g/cm3がより好ましい。
銅塩の水への溶解を補助するため溶解剤が用いられることが好ましく、例えば、N,N−ジアルキルアミノエタノール類が挙げられ、2−(ジエチルアミノ)エタノールが好ましい。溶解剤の好ましい添加量は、銅塩に対して質量比で0.5〜10であり、より好ましくは0.5〜5である。
2価の銅塩溶液はアルカリ性に調製されることが好ましく、水素指数(pH)において7.5以上がより好ましく、8以上が特に好ましい。溶液をアルカリ性にするために、例えば、アルカリ金属水酸化物、有機塩基、有機酸塩を添加することが好ましい。
銅塩の水への溶解を補助するため溶解剤が用いられることが好ましく、例えば、N,N−ジアルキルアミノエタノール類が挙げられ、2−(ジエチルアミノ)エタノールが好ましい。溶解剤の好ましい添加量は、銅塩に対して質量比で0.5〜10であり、より好ましくは0.5〜5である。
2価の銅塩溶液はアルカリ性に調製されることが好ましく、水素指数(pH)において7.5以上がより好ましく、8以上が特に好ましい。溶液をアルカリ性にするために、例えば、アルカリ金属水酸化物、有機塩基、有機酸塩を添加することが好ましい。
還元剤は、2価の銅を1価の銅に還元できるものであれば特に制約はないが、例えば、水素ガス、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、有機物還元剤などが挙げられ、有機物還元剤がより好ましく、ヒロドキシアセトンが特に好ましい。還元剤溶液の液物性(濃度、粘度、密度など)の好ましい範囲は2価の銅塩溶液と同様である。
次に、層流について説明する。管の中に水を流し、その中心軸状に細い管を挿入し着色した液を注入すると、水の流速が遅い間は、着色液は一本の線となって流れ、水は管壁に平行にまっすぐに流れる。しかし、流速を上げ、ある一定の流速に達すると急に水流の中に乱れが生じ、着色液は水流と混じって全体が着色した流れになる。前者の流れを層流(laminar flow)、後者を乱流(turbulent flow)という。
流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるかによって決まる。レイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υx>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υx>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。
この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。
流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるかによって決まる。レイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υx>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υx>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。
この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。
ここで、等価直径(equivalent diameter)とは相当(直)径、とも呼ばれ、機械工学の分野で用いられる用語である。任意断面形状の配管(本発明では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a2/4a=a、一辺aの正三角形管では、
流路内の流通状態において、臨界値を示すレイノルズ数「臨界レイノルズ数(critical Reynolds number)」は必ずしも一定とはいえないが、凡そ次の値が基準となる。
Re<2300 層流
Re>3000 乱流
3000≧Re≧2300 過渡状態
Re<2300 層流
Re>3000 乱流
3000≧Re≧2300 過渡状態
流路の等価直径が小さくなるにつれ、単位体積あたりの表面積(比表面積)は大きくなるが、流路がマイクロスケールになると比表面積は格段に大きくなり、流路の器壁を通じた熱伝達効率は非常に高くなる。流路を流れる流体中の熱伝達時間(t)は、t=deq 2/α(α:液の熱拡散率)で表されるので、等価直径が小さくなるほど熱伝達時間は短くなる。すなわち、等価直径が1/10になれば熱伝達時間は1/100になることになり、等価直径がマイクロスケールである場合、熱伝達速度は極めて速い。
すなわち、等価直径がマイクロスケールであるマイクロサイズ空間ではレイノルズ数が小さいので安定な層流支配のもとでフロー反応を行うことができる。そして層流間の界面表面積が非常に大きいので、層流を保ったまま、界面間の分子拡散により高速で精密な成分分子の混合が可能となる。また、大きな表面積を有する流路壁の利用により精密温度制御、フロー反応の流速コントロールによる反応時間の精密制御なども可能となる。従って、本発明の層流を形成する流路のうち、高度に反応制御可能な場である等価直径を有するマイクロスケールの流路を、マイクロ反応場と定義する。
前記レイノルズ数の説明で示したように、層流の形成は等価直径の大きさだけでなく、濃度、粘度、密度などの液物性を含めた流動条件にも大きく影響される。したがって、層流に適した流路の等価直径は、用いられる溶液の液物性に応じて適宜定めることができ、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは1mm以下である。更に好ましくは10μm〜1mmであり、特に好ましくは20〜300μmである。流路の径または形状は、反応を好ましく促すことができれば、導入口から出口まで一定であっても、異なっていてもよい。
本発明の酸化第1銅微粒子の製造方法では、流路内に層流を形成することが好ましいが、目的とする反応が進行する条件(例えば、液物性、流速など)であればこれに限定されない。さらに、流路の導入口付近は層流であって、出口に向かうにつれ層流がくずれるような条件でもよく、得られる酸化第1銅微粒子の粒径、分散性、溶媒との分離、流路壁面の汚染などの都合により適宜決めることができる。
本発明の酸化第1銅微粒子の製造方法では、流路内に層流を形成することが好ましいが、目的とする反応が進行する条件(例えば、液物性、流速など)であればこれに限定されない。さらに、流路の導入口付近は層流であって、出口に向かうにつれ層流がくずれるような条件でもよく、得られる酸化第1銅微粒子の粒径、分散性、溶媒との分離、流路壁面の汚染などの都合により適宜決めることができる。
本発明の製造方法には、マイクロスケールのサイズの流路(チャンネル)を有する反応装置、一般に「マイクロリアクター」と総称される反応装置を用いることができる(例えば、W. Ehrfeld, V. Hessel, H. Loewe, “ Microreactor ”, 1Ed(2000) WILEY−VCHなど参照)。前記一般のマイクロリアクターには、その断面を円形に換算した場合の等価直径が数μm〜数百μm程度の複数本のマイクロ流路、及びこれらのマイクロ流路と繋がる混合空間が設けられており、このようなマイクロリアクターでは、複数本のマイクロ流路を通して複数の溶液をそれぞれ混合空間へ導入することで、複数の溶液を混合し、又は混合と共に化学反応を生じさせる。
次に、マイクロリアクターによる反応がタンク等を用いたバッチ方式と異なる主な点を説明する。液相の化学反応、二相系の液相の化学反応は、一般に反応液の界面において分子同士が出会うことによって反応が起こるので、微小空間(マイクロ流路)内で反応を行うと相対的に界面の面積が大きくなり、反応効率は著しく増大する。また分子の拡散そのものも拡散時間は距離の二乗に比例する。このことは、スケールを小さくするに従って、反応液を能動的に混合しなくても、分子の拡散によって混合が進み、反応が起こり易くなることを意味している。また、微小空間においては、レイノルズ数(流れを特徴づける無次元の数)が小さいために層流支配の流れとなり、溶液同士が層流状態となっている界面でそれぞれの溶液内に存在する分子の交換が起こり、移動した分子により析出や反応が引き起こされる。
このような特徴を有するマイクロリアクターを用いれば、反応の場として、従来のバッチ方式と比較し、溶液同士の反応時間及び温度の精密な制御が可能になる。またバッチ方式の場合には、特に、反応速度が速い溶液間では混合初期の反応接触面で反応が進行し、さらに溶液間の反応により生成された一次生成物が容器内で引き続き反応を受けてしまう場合があるから、生成物が不均一になったり、混合容器内で生成物の結晶が必要以上に成長して粗大化してしまうおそれがある。これに対して、本発明に用いられるマイクロリアクターによれば、溶液が混合容器内に殆ど滞留することなく連続的に流通するので、溶液間の反応により生成された一次生成物が混合容器内に滞留する間に引き続き反応を受けてしまうことを抑止でき、従来では取り出すことが困難であった純粋な一次生成物を取り出すことも可能になり、また混合容器内での結晶の凝集や粗大化も生じ難くなる。
また、実験的な製造設備により製造された少量の化学物質を大規模の製造設備により多量に製造(スケールアップ)する際には、従来、実験的な製造設備に対し、バッチ方式による大規模の製造設備での再現性を得るために多大の労力及び時間を要していたが、本発明においては必要となる製造量に応じてマイクロリアクーを用いた製造ラインを並列化(ナンバリングアップ)することにより、このような再現性を得るための労力及び時間を大幅に減少できる可能性がある。
流路中へ試薬やサンプルなどを導入して混合するために、流体制御機能を有することが好ましい。特に、マイクロ流路内における流体の挙動は、マクロスケールとは異なる性質を持つため、マイクロスケールに適した制御方式が好ましく、流体制御方式で分類すると、連続流動方式、液滴(液体プラグ)方式など、駆動力分類すると、電気的駆動方式、圧力駆動方式などが挙げられる。本発明における流体制御方法として用いられる方法はその目的によって適宜選ばれるが、連続流動方式の圧力駆動方式が好ましい。
本発明の流路内の温度制御は、流路を持つ装置全体を温度制御された容器中に入れることにより制御してもよいし、金属抵抗線やポリシリコンなどのヒーター構造を装置内に作り込み、加熱についてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマルサイクルを行ってもよい。温度のセンシングは、金属抵抗線を使用する場合はヒーターと同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行うのが好ましく、ポリシリコンを使用する場合は熱電対を用いて検出を行うのが好ましい。また、ペルチェ素子を流路に接触させることによって外部から加熱、冷却を行ってもよい。どの方法を用いるかは用途や流路本体の材料などに合わせて選択される。
本発明において2価の銅塩と還元剤は、流路の中を流れながら、すなわち連続フロー法で接触させられる。そのため反応時間は流路中に滞留する時間で制御される。滞留する時間は等価直径が一定である場合、流路の長さと反応液の導入速度で決まる。流路の長さには特に制限はないが、好ましくは1mm〜10mであり、更に好ましくは5mm〜10mで、特に好ましくは10mm〜5mである。
本発明に用いられる流路の数量は、適宜反応装置にそなえられるものであり、勿論、1つでも構わないが、必要に応じて流路を何本も並列化し(ナンバリングアップ)、その処理量を増大させることが出来る。
本発明の実施に用いるのに好適な反応装置の例を図1〜5に示す。なお、本発明がこれらに限定されないことは言うまでも無い。
図1はY字型流路を有する反応装置(10)の説明図であり、図2はそのI−I線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は使用される微細加工技術により異なるが、台形または矩形に近い形である。流路幅C、流路深さHがマイクロサイズにて作られている場合、導入口11及び導入口12からポンプなどにより注入された溶液は導入流路13aまたは導入流路13bを経由して流体合流点13dにて接触し、安定な層流を形成して反応流路13cを流れる。そして層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの層流に含まれる溶質の混合または反応が行われる。拡散の極めて遅い溶質は、層流間での拡散混合が起きず、排出口14に達した後に初めて混合する場合もある。注入される2つの溶液がフラスコ中で容易に混合するような場合には、流路長Fを長く取れば排出口では液の流れは均一な流れになりうるが、流路長Fが短い時には排出口まで層流が保たれる。注入される2つの溶液がフラスコ中で混合せず層分離する場合は、当然ながら2つの溶液は層流として流れて排出口14に到達する。
図1はY字型流路を有する反応装置(10)の説明図であり、図2はそのI−I線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は使用される微細加工技術により異なるが、台形または矩形に近い形である。流路幅C、流路深さHがマイクロサイズにて作られている場合、導入口11及び導入口12からポンプなどにより注入された溶液は導入流路13aまたは導入流路13bを経由して流体合流点13dにて接触し、安定な層流を形成して反応流路13cを流れる。そして層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの層流に含まれる溶質の混合または反応が行われる。拡散の極めて遅い溶質は、層流間での拡散混合が起きず、排出口14に達した後に初めて混合する場合もある。注入される2つの溶液がフラスコ中で容易に混合するような場合には、流路長Fを長く取れば排出口では液の流れは均一な流れになりうるが、流路長Fが短い時には排出口まで層流が保たれる。注入される2つの溶液がフラスコ中で混合せず層分離する場合は、当然ながら2つの溶液は層流として流れて排出口14に到達する。
図3は片側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置(20)の説明図であり、図4は同装置のIIa−IIa線の断面図であり、図5は同装置のIIb−IIb線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は円かそれに近い形である。円筒管の流路直径D、流路直径Eがマイクロサイズの場合、導入口21及び導入口22からポンプなどにより注入された溶液は導入流路23aと導入流路23bを通じて流体合流点23dにて接触し、安定な円筒層流を形成して反応流路23cを流れる。そして円筒層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの層流に含まれる溶質の混合または反応が行われるのは上記図1の装置と同じである。円筒管型流路をもつ本装置は、上記図1の装置に比べて2液の接触界面を大きく取れること、更に接触界面が装置壁面に接触する部分がないため、固体(結晶)が反応により生成する場合など壁面との接触部分からの結晶成長などがなく、流路を閉塞する可能性が低いのが特徴である。
この他、特願2004−273249号明細書に記載の装置、例えば図1のY字型の反応装置において、出口側の流路もY字型とした装置(同明細書 図3−1)、または、図3の円筒型の装置において、出口側の流路も円筒型とした装置(同明細書 図4)も好適に使用できる。これらの装置を用いると反応と分離が同時にできる。また、最終的に2液が混合してしまって反応が進みすぎたり、結晶が粗大化したりすることを避けることができる。一方の液中に選択的に生成物や結晶が存在する場合には、生成物や結晶を2液が混合してしまう場合に比べて高濃度の状態で得ることができる。また、これらの装置を幾つか連結することにより、抽出操作が効率的に行われるなどのメリットがある。
本発明の製造方法において、2価の銅塩溶液と還元剤溶液をマイクロリアクターに送液する導入口は、目的や溶液の液物性に応じて適宜定められる。2価の銅塩溶液と還元剤が別の導入口より送液されればよく、その他の溶液を追加して送液する場合、導入口を追加してもよく、一方もしくは両方の溶液に添加してもよい。
図3の円筒管型反応装置については、2価の銅塩を含む溶液は内側の導入口(図3の導入口21)を選択して送液されることが好ましい。これは、流路壁面へ銅微粒子の接触を防ぎ、付着による閉塞を抑制するためであり、このため、本発明の製造方法においては、図1のY型反応装置に対して、図3の円筒管型反応装置がより好ましく用いられる。
図3の円筒管型反応装置については、2価の銅塩を含む溶液は内側の導入口(図3の導入口21)を選択して送液されることが好ましい。これは、流路壁面へ銅微粒子の接触を防ぎ、付着による閉塞を抑制するためであり、このため、本発明の製造方法においては、図1のY型反応装置に対して、図3の円筒管型反応装置がより好ましく用いられる。
本発明の製造方法において、高分子分散剤(以下、「ポリマー分散剤」ともいう)および/または界面活性剤を用いることができ、例えば、2価の銅塩溶液に一方または両方を添加することが好ましい。反応過程における、高分子分散剤および界面活性剤の機能については不明な点もあるが、酸化第1銅微粒子の生成後の凝集を抑え、粒径を小さくし、粒子サイズ分布を均一にする作用が考えられる。
これを反応の順を追って説明すると、ポリマー分散剤は2価の銅イオンが配位する性質を有するものが好ましく用いられ、第2銅イオンが溶液中で配位する。次に、配位した状態で還元剤と接触し、2価の銅イオンは1価の銅イオンへと還元される。このとき、1価の銅は酸素原子と結晶格子を形成しつつ凝集していくが、ポリマー分散剤の有する立体構造上の制約により、凝集は一定の範囲で抑えられ、酸化第1銅微粒子のサイズが制御される。さらに、界面活性剤を共存させ、酸化第1銅微粒子を包み込みつつ、溶媒の持つ極性によりその親水基を溶媒側へと配向したコロイド状の粒子とすることにより、分散性に優れる酸化第1銅微粒分散液とすることができる。
これを反応の順を追って説明すると、ポリマー分散剤は2価の銅イオンが配位する性質を有するものが好ましく用いられ、第2銅イオンが溶液中で配位する。次に、配位した状態で還元剤と接触し、2価の銅イオンは1価の銅イオンへと還元される。このとき、1価の銅は酸素原子と結晶格子を形成しつつ凝集していくが、ポリマー分散剤の有する立体構造上の制約により、凝集は一定の範囲で抑えられ、酸化第1銅微粒子のサイズが制御される。さらに、界面活性剤を共存させ、酸化第1銅微粒子を包み込みつつ、溶媒の持つ極性によりその親水基を溶媒側へと配向したコロイド状の粒子とすることにより、分散性に優れる酸化第1銅微粒分散液とすることができる。
本発明の製造方法における、好ましい反応温度は、用いられる2価の銅塩溶液および還元剤の反応活性に応じて適宜定めることができる。従来のバッチ法では、2価の銅の還元反応は容易に進行せず、加熱することが必要となる。本発明の製造方法では、マイクロリアクターを用いた銅の還元反応を行うため、より低温での反応を可能とするものである。工業性、経済性の点から、好ましい反応温度は0℃〜100℃であり、10〜60℃がより好ましい。
送液する流速は目的とする反応が進行する条件であれば特に限定されないが、層流を形成しうる流速がより好ましく、例えば、流速を0.1ml/hr〜1l/hrとすることが好ましく、0.5ml/hr〜100ml/hrがより好ましい。
送液する流速は目的とする反応が進行する条件であれば特に限定されないが、層流を形成しうる流速がより好ましく、例えば、流速を0.1ml/hr〜1l/hrとすることが好ましく、0.5ml/hr〜100ml/hrがより好ましい。
基板配線に用いられる酸化銅微粒子は、良好な導電性を示すよう、銅の比率が高いほど好ましいので酸化第2銅より酸化第1銅が好ましい。ただし、配線材料として利用としたときに許容しうる程度で、0価または2価の銅が多少混入していても構わない(例えば、0.5〜5質量%程度)。一方、基板上でレーザー加熱などにより還元し、金属配線としたときに残存物質が残ってしまうため、炭素原子、窒素原子、酸素原子以外の物質が含まれないことが好ましく、特に、アルカリ金属原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子が含まれないことが好ましい。
このため、反応中に供給される有機化合物(例えば、高分子分散剤、界面活性剤、溶解剤、溶媒など)に上記の原子を含まないことが好ましい。
本発明の製造方法で得られる酸化第1銅微粒子は、単分散で球形であることが好ましい。本発明において、粒径とは粒子の投影面積と等価な円の直径で定められる。微粒子の計測法において、数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、および各種の平均径(長さ平均、面積平均、重量平均など)がある。本発明においては、酸化第1銅微粒子の粒径はモード径で、100nm以下であるが、1〜50nmが好ましく、2〜10nmがより好ましい。粒径が大きすぎると還元後の配線が凸凹になり、比抵抗値が大きくなる。また、本発明において、変動係数(変動係数とは個々の粒径の標準偏差を、粒径の平均に対する百分率で表わしたものである)は40%以下であるが、5〜40%が好ましく、5〜30%がより好ましい。
このため、反応中に供給される有機化合物(例えば、高分子分散剤、界面活性剤、溶解剤、溶媒など)に上記の原子を含まないことが好ましい。
本発明の製造方法で得られる酸化第1銅微粒子は、単分散で球形であることが好ましい。本発明において、粒径とは粒子の投影面積と等価な円の直径で定められる。微粒子の計測法において、数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、および各種の平均径(長さ平均、面積平均、重量平均など)がある。本発明においては、酸化第1銅微粒子の粒径はモード径で、100nm以下であるが、1〜50nmが好ましく、2〜10nmがより好ましい。粒径が大きすぎると還元後の配線が凸凹になり、比抵抗値が大きくなる。また、本発明において、変動係数(変動係数とは個々の粒径の標準偏差を、粒径の平均に対する百分率で表わしたものである)は40%以下であるが、5〜40%が好ましく、5〜30%がより好ましい。
本発明の製造方法により製造される酸化第1銅微粒子分散液の濃度は、特に制限するものではなく、常法により濃縮することもできるが、高濃度が好ましく、低粘度ほど好ましい。好ましくは、分散液の濃度が1〜50質量%であり、10〜50質量%がより好ましく、分散液の粘度は1.0〜10.0mPa・sが好ましく、1.0〜5.0mPa・sがより好ましい。
また、マイクロリアクターの外に多段の限外ろ過装置を設置し、酸化第1銅微粒子分散液中に溶解している塩などを連続的に除去することも好ましい。多段の限外ろ過装置とは、例えばザルトリウスAG社製のVivaFlow50(商品名)のような細いチューブ状の限外ろ過膜を複数直列および/または並列に組合わせたものであり、これに分散媒を添加しながら酸化第1銅微粒子分散液を通すことにより効率的に脱塩および濃縮できる。限外ろ過膜を通すコロイド分散液の流速は、コロイド溶液の濃度、分散剤の種類などにより適宜設定できるが、限外ろ過膜1経路当たり、10ml〜1000mlが好ましく、100ml〜500mlがより好ましい。限外ろ過後のコロイド分散液の伝導度は1mS/cm以下であることが望ましい。
また、マイクロリアクターの外に多段の限外ろ過装置を設置し、酸化第1銅微粒子分散液中に溶解している塩などを連続的に除去することも好ましい。多段の限外ろ過装置とは、例えばザルトリウスAG社製のVivaFlow50(商品名)のような細いチューブ状の限外ろ過膜を複数直列および/または並列に組合わせたものであり、これに分散媒を添加しながら酸化第1銅微粒子分散液を通すことにより効率的に脱塩および濃縮できる。限外ろ過膜を通すコロイド分散液の流速は、コロイド溶液の濃度、分散剤の種類などにより適宜設定できるが、限外ろ過膜1経路当たり、10ml〜1000mlが好ましく、100ml〜500mlがより好ましい。限外ろ過後のコロイド分散液の伝導度は1mS/cm以下であることが望ましい。
本発明の製造方法により製造された酸化第1銅微粒子分散液、およびその濃度を調整した分散液は、インクジェット法、ディスペンサー法などにより基板上に吐出してパターンを形成する、回路配線用の銅インクとして好ましく用いることができる。基板上に吐出された酸化第1銅は、レーザービームなどのエネルギー照射により、還元して、0価の金属銅とすることができる。このとき、分散液中に還元剤を含有させ、エネルギー照射による還元を促進する、特願2003−021009号明細書に開示の方法も好ましく用いることができる。
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
酢酸銅(II)一水和物2.0g(10.0mmol)をフラスコにとり、その中に2−(ジエチルアミノ)エタノール2.6g(22.2mmol)と水を加えて20mlの紫色の均一水溶液を調製した。pHは7.8であった。この溶液をIA液とする。
次にフラスコに90%ヒドロキシアセトン(アセトール)1.65g(20.0mmol)をとり、水を加えて20mlの水溶液を調製した。この溶液をIB液とする。
流路幅A、BおよびCのいずれも100μm、流路長F;12cm、流路深さH;40μmを有するガラスで作製した図1記載のY字型流路を有する反応装置において、テフロン(登録商標)チューブ2本を、コネクターを用いて導入口11、および導入口12に接続し、その先にそれぞれIA液とIB液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。排出口14にもコネクターを用いてテフロン(登録商標)チューブを接続した。室温で、IA液を20μL/min、IB液を20μL/minの送液速度(レイノルズ数約8.5)にて送り出すと流路内で還元反応が起こり、酸化第1銅微粒子の褐色分散液が得られたのでこれをチューブの先端より捕集した。
この分散液の酸化第1銅微粒子の濃度は約5質量%であり、粒径を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、モード径は20.6nm、変動係数20%であり単分散な酸化第1銅微粒子分散液であった。
(実施例1)
酢酸銅(II)一水和物2.0g(10.0mmol)をフラスコにとり、その中に2−(ジエチルアミノ)エタノール2.6g(22.2mmol)と水を加えて20mlの紫色の均一水溶液を調製した。pHは7.8であった。この溶液をIA液とする。
次にフラスコに90%ヒドロキシアセトン(アセトール)1.65g(20.0mmol)をとり、水を加えて20mlの水溶液を調製した。この溶液をIB液とする。
流路幅A、BおよびCのいずれも100μm、流路長F;12cm、流路深さH;40μmを有するガラスで作製した図1記載のY字型流路を有する反応装置において、テフロン(登録商標)チューブ2本を、コネクターを用いて導入口11、および導入口12に接続し、その先にそれぞれIA液とIB液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。排出口14にもコネクターを用いてテフロン(登録商標)チューブを接続した。室温で、IA液を20μL/min、IB液を20μL/minの送液速度(レイノルズ数約8.5)にて送り出すと流路内で還元反応が起こり、酸化第1銅微粒子の褐色分散液が得られたのでこれをチューブの先端より捕集した。
この分散液の酸化第1銅微粒子の濃度は約5質量%であり、粒径を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、モード径は20.6nm、変動係数20%であり単分散な酸化第1銅微粒子分散液であった。
(実施例2)
流路直径D;200μm、流路直径E;620μm、流路長G;10cmを有する図3に記載の円筒流路を有する反応装置に用い、テフロン(登録商標)チューブ2本を、コネクタを用いて導入口21、および導入口22に接続し、その先にそれぞれ実施例1にて調製したIA液とIB液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。室温で、IA液を導入口21から1.0mL/h、IB液を導入口22から5.0mL/hの送液速度(レイノルズ数約3.4)にて送り出すと流路内で酸化第1銅微粒子の褐色分散液が得られたのでこれを排出口24より捕集した。
この分散液の酸化第1銅微粒子の濃度は約1.5質量%であり、粒径を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、モード径15.6nm、変動係数18%であり、単分散な酸化第1銅微粒子分散液であった。透過型電子顕微鏡(TEM)で観測したところ、粒形は丸みを帯びたものであった。
流路直径D;200μm、流路直径E;620μm、流路長G;10cmを有する図3に記載の円筒流路を有する反応装置に用い、テフロン(登録商標)チューブ2本を、コネクタを用いて導入口21、および導入口22に接続し、その先にそれぞれ実施例1にて調製したIA液とIB液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。室温で、IA液を導入口21から1.0mL/h、IB液を導入口22から5.0mL/hの送液速度(レイノルズ数約3.4)にて送り出すと流路内で酸化第1銅微粒子の褐色分散液が得られたのでこれを排出口24より捕集した。
この分散液の酸化第1銅微粒子の濃度は約1.5質量%であり、粒径を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、モード径15.6nm、変動係数18%であり、単分散な酸化第1銅微粒子分散液であった。透過型電子顕微鏡(TEM)で観測したところ、粒形は丸みを帯びたものであった。
(比較例)
実施例1で調製したIA液10mlをナスフラスコにいれ、マグネティックスターラーで激しく攪拌した。その中にシリンジポンプを用いて実施例1で調製したIB液10mlを室温で、1時間かけて滴下した。
得られた褐色分散液中の酸化第1銅微粒子の濃度は約5質量%であり、粒径を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、モード径は200.6nmであった。算術標準偏差は73.7nm、変動係数50%であり粒径分布の広い酸化第1銅微粒子分散液だった。
実施例1で調製したIA液10mlをナスフラスコにいれ、マグネティックスターラーで激しく攪拌した。その中にシリンジポンプを用いて実施例1で調製したIB液10mlを室温で、1時間かけて滴下した。
得られた褐色分散液中の酸化第1銅微粒子の濃度は約5質量%であり、粒径を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、モード径は200.6nmであった。算術標準偏差は73.7nm、変動係数50%であり粒径分布の広い酸化第1銅微粒子分散液だった。
10、20 反応装置本体
11、12、21、22 導入口
13a、13b、23a、23b 導入流路
13c、23c 反応流路
13d、23d 流体合流点
14、24 排出口
11、12、21、22 導入口
13a、13b、23a、23b 導入流路
13c、23c 反応流路
13d、23d 流体合流点
14、24 排出口
Claims (7)
- 2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させることを特徴とする酸化第1銅微粒子の製造方法。
- 前記2価の銅塩溶液がアルカリ性であることを特徴とする請求項1記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
- 前記流路の等価直径が10mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
- 前記2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流下で接触させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化第1銅微粒子の製造方法。
- モード径が100nm以下、変動係数が40%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載製造方法により得られる酸化第1銅微粒子。
- 請求項5の酸化第1銅微粒子からなる基板配線用銅インク。
- 2価の銅塩溶液および還元剤溶液を層流に適した液物性として、層流に適した等価直径を有する流路中に送液することにより該流路の流通過程で接触させることを特徴とする酸化第1銅微粒子分散液の製造方法。
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