JP2006094733A - 癌の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 胃癌及び口腔扁平上皮癌において精度の高い検出方法を提供する。
【解決手段】 ヒト被験者由来細胞染色体の特定の領域におけるDNAコピー数の増加及び/または減少を検出することを特徴とする、in vitroにおける胃癌及び口腔扁平上皮癌の検出方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、胃癌及び/または口腔扁平上皮癌の検出方法に関し、特に被験者由来の細胞の染色体における特定の領域のコピー数の変化を検出することを特徴とする該方法に関する。
社会の高齢化が着実に進行しつつある中で、死亡原因第1位の疾病である癌においては、的確な診断技術並びに優れた医療技術の開発が急務となっている。
胃癌及び/または口腔扁平上皮癌に関しては、腫瘍の疑いのある被験者について、組織形態学に基づいた病理検査を行っている。病理検査では、癌組織の切片標本を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色や、各種免疫染色法等を用いて顕微鏡で観察する。そして、細胞や核の形態、染色の濃淡等に基づいて、癌か良性腫瘍か否か、あるいは進行度などを評価している。
近年の医学・生物学研究の進歩によって、癌の発生・進展のメカニズムが分子レベルで解明されつつある。それに伴って、癌は様々な要因によってゲノムDNAレベルで不可逆的な異常を生じ、その異常が複数積み重なって悪性形質を発現していることが明らかとなってきた。これは、個々の癌で生じているゲノム異常を全染色体にわたって詳細に解析することが可能となれば、癌の多様な悪性形質、いわば癌の個性を的確に把握しうる、ゲノム情報に基づいた客観的指標が得られることを期待させるものである。
近年、Kallioniemi-A らによって染色体CGH法(conparative genomic hybridization法、比較ゲノムハイブリダイゼーション法)が開発された(非特許文献1参照)。染色体CGH法は癌細胞のゲノム増幅・欠失異常領域を一度の実験操作で、また特異的DNAプローブやPCR(polymerase chain reaction)プライマーを必要とすることなく、全染色体にわたってスクリーニングすることが可能な方法である。また最近になって、アレイCGH法という優れた染色体異常解析技術が開発された。これはスライドガラス上にヒトゲノムDNA断片(BACクローン)を高密度にスポットしたゲノムDNAアレイ(BACアレイ)を作製し、このアレイに対して蛍光標識した癌細胞DNAと正常DNAを競合ハイブリダイズさせ、スポット毎の蛍光シグナルを解析することで、癌細胞で生じている染色体コピー数の増加・欠失領域を同定するものである。
カリオニエミ(Kallioniemi-A)ら、「サイエンス(Science)」 (米国) 1992年、第258巻、p.818-821
組織形態学に基づいた病理検査は病理医の経験に大きく依存した主観的方法である。更に、タンパク質の発現の検出や、mRNAの発現を検出するcDNAアレイを用いた検出では、患者の体調やサンプル採取の時間帯等によって変動が大きく、一定した結果が得られないことが多かった。
これまでの種々の研究によれば、癌の種類、すなわち発生臓器、組織、細胞の違いによってゲノム異常のパターンは異なるうえ、逆にある種の異常を有していたとしても、それが癌化の原因となるか否かは往々にして臓器、組織、細胞によって異なることも明らかとなっている。したがって、癌の種類ごとに多症例かつ詳細な分子レベルの解析、そして各検体のゲノム異常とその臨床情報との関連解析が必要である。
本発明者等は、胃癌及び口腔扁平上皮癌に特徴的なゲノム上のコピー数異常領域を見出し、それらの領域における異常の有無を検出することによる癌の診断方法の確立を検討し、染色体CGH法に比べて精度・異常検出解像度が大きく向上し、染色体CGH法では検出が困難であった微細領域に生じる異常をも検出することが可能なアレイCGH法を用いて解析を行った。アレイCGH法は、癌細胞で生じるゲノムコピー数異常領域を、ゲノム全体にわたって、簡便かつ詳細に解析しうる。
本発明者等は、アレイCGH法により、ゲノムDNAを用い、多数の癌臨床摘出検体について全染色体にわたる異常領域解析を行った。具体的には、ヒトゲノムのBACライブラリーにより構成されたDNAマイクロアレイを用いて胃癌及び口腔扁平上皮癌患者から得られたサンプル及び正常サンプルを比較し、各染色体における増幅・欠失等の変化を解析し、正常サンプルと比較して癌患者由来サンプルで統計的に有意なゲノム異常領域を見いだすことに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供する。
(1)ヒト被験者由来の細胞の染色体における、7p15-21、8q21-23、13q22、20p12、及び20q13領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の増加、及び/または1p32-ter、17p12-13、19p13.3、及び22q23領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の減少を検出することを特徴とする、in vitroにおける胃癌の検出方法。
(2)PCK1、TREM1、TBRG4、VSX1、OTOR、CDS2、PCDH8、SOCS-1、TG、PTPN1、MOZ、NOV、WISP1、TOP1、BCR、及びEXT1遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の増幅及び/またはLIS1、DSCR1、KIAA0179、TTY1、RAB1、FHIT、RGS、KDR、DCC、ETS2/E2、GSTT1、SPON2、WHSC1、TXK、NPM1、APC、MLF2、FGF7、MATK、ADMTS1、DSCR6、及びBCK10遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の欠失を検出する、上記(1)記載の検出方法。
(3)ヒト被験者由来の細胞の染色体における、5p13.1-p12、11q13.3、20q11.2、5p13、8q24.2-q24.3、9q34.1、5p13.2、8q24.11-q24.13、8q24.1-q24.3、9q34.1、9q34.3、20q12-q13.1、20q13.1-q13.2、9q34、11q13、11q13.3、20p12.1-p11.23、22q11.21、5q31.1、5q31-32、8q24.3、9qq34、11p15.5-p15.4、11p12-p11、11p11.2、11q13.1、及び11q13.5-q14領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の増加、及び/または18q21、18q21.1、7q33-q35、18q21.3、3p26-p24、4q12-13、4q21、4q25-q27、18q21.3、21q22.1、2q34-q35、3q24、3p14.2、4q11-q12、4q21-q25、7q36、18q21.1、21q21.2、8p11.2-p11.1、1q25、3p25、3p21-p14、4p16.3、4p12、4q26-q27、8q22、10p12、10p11.2、13q22、15q15-q21.1、及び16q12.1領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の減少を検出することを特徴とする、in vitroにおける口腔扁平上皮癌の検出方法。
(4)GDNF、FGF4、DNMT3B、SKP2、DAB2、TG、VAV2、RAD1、EXT1、WISP1、ABL1、NPDC1、TOP1、PTPN1、PAEP、CST6、CCND1、JAG1、PNUTL1、CSF2、PDGFRB、NDRG1、RPL7A、ILK、EXT2、KAI1、BAD、RIN1、GARP遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の増幅及び/またはMBD1、MBD2、POLI、TIM1、DCC、FVT1、BCL2、LMCD1、IGFBP7、FGF5、PITX、SERPINB3、TIAM1、BARD1、RARB、FHIT、KDR、IBSP、SHH、SMAD4、ADAMTS1、FGFR1、TPR、PPARG、Wnt-5a、SPON2、PTTG2、IL2、CTSB、MLLT10、ITGB1、DACH、FGF7、PLK遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の欠失を検出する、上記(3)記載の検出方法。
(5)DNAコピー数の増加及び/または欠失を、BAC(Bacterial Artificial chromosome)クローンとのハイブリダイゼーション、FISH法、LOH法、定量PCR法、またはサザンブロット法によって検出する、上記(1)〜(4)のいずれか記載の方法。
(6)DNAコピー数の増加及び/または欠失を、BACアレイとのハイブリダイゼーションによって検出する、上記(5)記載の方法。
(7)試験サンプル中のDNAを標識する、上記(6)記載の方法。
(8)ヒト染色体7p15-21、8q21-23、13q22、20p12、20q13、1p32-ter、17p12-13、19p13.3、及び22q23領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、胃癌の検出のためのキット。
(9)ヒト染色体5p13.1-p12、11q13.3、20q11.2、5p13、8q24.2-q24.3、9q34.1、5p13.2、8q24.11-q24.13、8q24.1-q24.3、9q34.1、9q34.3、20q12-q13.1、20q13.1-q13.2、9q34、11q13、11q13.3、20p12.1-p11.23、22q11.21、5q31.1、5q31-32、8q24.3、9qq34、11p15.5-p15.4、11p12-p11、11p11.2、11q13.1、11q13.5-q14、18q21、18q21.1、7q33-q35、18q21.3、3p26-p24、4q12-13、4q21、4q25-q27、18q21.3、21q22.1、2q34-q35、3q24、3p14.2、4q11-q12、4q21-q25、7q36、18q21.1、21q21.2、8p11.2-p11.1、1q25、3p25、3p21-p14、4p16.3、4p12、4q26-q27、8q22、10p12、10p11.2、13q22、15q15-q21.1、及び16q12.1領域から選ばれる1以上の染色体領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、口腔扁平上皮癌の検出のためのキット。
(10)上記1種以上のプローブが支持体上に固定されたものである、上記(8)または(9)記載のキット。
(11)更に標識剤を含む、上記(8)〜(10)のいずれか記載のキット。
本発明によって、従来行われていた病理学的検査に比べ、より客観的な情報を提供することが可能であり、癌の的確な診断に大きく寄与するものと考えられる。本発明を用い、従来法に比べてより的確な癌の診断が可能となり、医学的・社会的に多くの恩恵を与えることになると期待される。
本発明は、ヒト被験者由来の細胞の染色体における、7p15-21、8q21-23、13q22、20p12、及び20q13領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の増加、及び/または1p32-ter、17p12-13、19p13.3、及び22q23領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の減少を検出することを特徴とする、in vitroにおける胃癌の検出方法を提供する。
本発明はまた、ヒト被験者由来の細胞の染色体における、5p13.1-p12、11q13.3、20q11.2、5p13、8q24.2-q24.3、9q34.1、5p13.2、8q24.11-q24.13、8q24.1-q24.3、9q34.1、9q34.3、20q12-q13.1、20q13.1-q13.2、9q34、11q13、11q13.3、20p12.1-p11.23、22q11.21、5q31.1、5q31-32、8q24.3、9qq34、11p15.5-p15.4、11p12-p11、11p11.2、11q13.1、及び11q13.5-q14領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の増加、及び/または18q21、18q21.1、7q33-q35、18q21.3、3p26-p24、4q12-13、4q21、4q25-q27、18q21.3、21q22.1、2q34-q35、3q24、3p14.2、4q11-q12、4q21-q25、7q36、18q21.1、21q21.2、8p11.2-p11.1、1q25、3p25、3p21-p14、4p16.3、4p12、4q26-q27、8q22、10p12、10p11.2、13q22、15q15-q21.1、及び16q12.1領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の減少を検出することを特徴とする、in vitroにおける口腔扁平上皮癌の検出方法を提供する。
本発明の方法は、上記の領域のいずれか1つの増加または減少を検出すれば良いが、精度を高めるためには、2つ以上、3つ以上、好ましくは5つ以上、より好ましくは10個以上の領域の増加及び/または減少を検出すれば良い。
本発明の方法において、サンプルとして適当な細胞は胃または口腔扁平上皮細胞である。口腔扁平上皮細胞の例としては、舌、歯肉、軟口蓋、口床(mouth floor)等が挙げられる。
本発明の方法は、上記染色体領域における少なくとも一部の増加及び/または減少を検出することを特徴とする。本明細書において、「少なくとも一部」とは、15bp以上、好ましくは60bp以上、より好ましくは1kb以上、更に好ましくは100kb以上の連続した配列をいう。
ゲノムDNAで生じているコピー数の変化(増加及び欠失)を検出する方法としては、BAC(Bacterial Artificial chromosome)クローンへのテストDNAと対照(正常)DNAの競合ハイブリダイゼーション、あるいは2枚のアレイスライドを使用しての同時ハイブリダイゼーション、FISH(fluorescence in situ hybridization)法、ISH(in situ hybridization)法、定量的PCRによる方法、LOH(loss of heterozygosity)法、サザンブロット法の他、当分野において使用される種々の方法が挙げられ、特に限定するものではない。
FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)法は、間期細胞核あるいは***期染色体展開標本に対し、蛍光標識したプローブDNA(調べたいゲノム領域に相当するDNA配列を有するBACクローン、PCR産物など)をハイブリダイズさせ、それにより得られる蛍光シグナルの数量を蛍光顕微鏡下で計数する手法である。サンプルとしては癌組織病理切片、組織塊を分散処理して調製した細胞などを用い、一般的なFISH法に準じてハイブリダイゼーションを行えばよい。請求項に記しているゲノム領域に相当するDNA配列を蛍光標識したDNAプローブを調製し、サンプル標本に対してハイブリダイゼーションを行い、その後蛍光顕微鏡により蛍光色素のシグナルスポットを計数する。調べたい対象領域と同一染色体上のセントロメア近傍領域(αサテライト配列)に対するプローブを異なる蛍光で標識し、同時にハイブリダイゼーションを行うと、コピー数異常をより正確に評価することが可能となる。
また、BACクローンとのハイブリダイゼーションによって検出する場合、300〜2500個のBACクローンを支持体上に固定したアレイが市販されており(例えばMacrogen社製またはSpectral Genomics社製)、これを利用することが好適である。
国際ヒトゲノム配列決定プロジェクトの一環として、ゲノムDNA断片(鎖長100〜300Kb)をBAC(bacterial artificial chromosome)ベクターにクローン化したヒトゲノムBACライブラリが構築された。ライブラリを構成する各クローンは、ゲノム地図上の位置が確定され(マッピング)、そのDNA配列および、どのような遺伝子がコードされているかといった情報をインターネット上で公開された公的ゲノムデータベース(米国NCBI、米国UCSC等のWebサイトなど)から容易に得ることができるようになっている。ヒトBACライブラリはいくつかの研究グループにより構築され、RPCI(Roswell Park Cancer Institute)ヒトゲノムBACライブラリ、Caltech(California Institute of Technology)ヒトBACライブラリ等がある。韓国Macrogen社でも独自にヒトBACライブラリを構築している。
アレイCGH法は異常の有無を調べたいゲノム領域に相当するDNA配列(BACクローン、PCR産物、合成オリゴDNAなど)(以後プローブDNAと呼ぶ)を固相(スライドグラス、ガラスや金属、樹脂性の板状チップ、マイクロビーズ、繊維状担体など)に共有結合や非共有結合等により固定化したもの(以後プローブアレイと呼ぶ)を用いる。例えばアミノシランで表面をコーティングしたスライドガラス上に、精製したBACクローンDNAをクローンごとにスポットして固定化したものを用いることができる。DNAはBACベクターにゲノムDNAが挿入されたもの、それを超音波等でさらに短いDNAに断片化したもの、PCR等によりBACクローンDNAの一部あるいは全体を増幅させたものなどが考えられる。BACマイクロアレイは市販のものを入手することも可能である(例えば、Macrogen社のGenomArray(商標)、米国Spectral Genomics社のSpectralChip(商標)等)。
アレイCGH法を用いる場合、調べたい対象の癌細胞由来DNA(テストDNA)および対照として正常細胞由来DNA(対照DNA)を用いる。癌細胞DNAは手術摘出腫瘍組織、病理組織切片、生検(バイオプシー)により得た組織などから一般的な手法により抽出精製する。例えば市販のDNA精製キットなどが簡便である。RNAやたんぱく質などの夾雑物はできるだけ除去することが望ましい。また、癌組織内に混在する正常間質細胞等をマイクロダイセクション法などで除いたほうが異常領域の検出感度が高くなる。得られるDNAが微量の場合には、PCR法などで増幅してから用いることも可能である。使用するDNA量としては、アレイの大きさや実験形態にもよるが、スライドグラス上の22mm x 40mmのエリアにアレイ化されていて、蛍光標識法を適用する場合、0.1〜1.0μgのDNAを用いるのが適当である。
検出のために、テストDNAおよび対照DNAに対して、それぞれ異なる標識物質により標識を行う。蛍光色素による直接標識、放射性同位元素、間接標識のための試薬、異なる物理的・光学的特性を有する粒子などを用いることができる。蛍光による直接標識法では、サンプルDNAをテンプレートとしてrandom primer法やnick translation法を用いれば、蛍光標識テストDNAおよび蛍光標識対照DNAを合成できる。Cy3-dCTPあるいはCy5-dCTPなどの蛍光標識核酸を用いてrandom primer法をを適用した場合、鎖長100〜500bpのCy5標識テストDNAおよびCy3標識対照DNAを得ることができる。
標識テストDNAおよび対照DNA溶液に、繰り返し配列をブロックするためCot-1 DNA(50〜100μg)等を加え、エタノール沈殿法などによってDNAに取り込まれなかった標識分子等を除去する。精製された標識DNAおよびCot-1 DNAの混合物はハイブリダイゼーション溶液に溶解する。ハイブリダイゼーション溶液の1例としては、50%ホルムアミド/2xSSC(2xSSC: 2倍濃度の標準クエン酸緩衝液)/10%硫酸デキストラン/4% SDS (SDS: ドデシル硫酸ナトリウム)/100mg/ml 酵母tRNA, pH 7.0がある。標識DNAを溶解したハイブリダイゼーション溶液はDNAを単鎖化するために加熱(上記ハイブリダイゼーション液を使用した場合70℃x10分間)し、その後37℃で60分間インキュベートすることで、サンプルDNA中の非特異的な繰り返し配列をCot-1 DNAでブロックする。
一方、プローブアレイについては、用いたプローブDNAがあらかじめ1本鎖あるいは単鎖化されている場合はそのままハイブリダイゼーションに供し、2本鎖の状態であれば、沸騰水中に1分程度加熱するなどにより単鎖化後、乾燥させてからハイブリダイゼーションに供する。
スライドグラス等の担体への標識DNAの吸着を抑制するために、サケ***由来DNA(10mg/ml)を含むハイブリダイゼーション溶液に30分程度さらした後、精製水で洗浄し、直ちに乾燥させておくとよい。
続いてプローブアレイに対して標識DNAを接触させ、ハイブリダイゼーション反応を行う。上記ハイブリダイゼーション溶液を使用する場合、37℃で24時間から48時間反応させるのが適当であるが、実施形態によって最適な条件を決定したほうがよい。スライドグラスにスポットされたプローブアレイの場合、ハイブリダイゼーション溶液を滴下後カバーグラス等をかけ、湿潤条件下でハイブリダイゼーションを行う。スライドグラスアレイでのハイブリダイゼーション用の市販装置を用いるのもよい。
インキュベート後にアレイを洗浄し、特異的なプローブDNAと標識サンプルDNAの結合を残し、非特異的なハイブリダイゼーション、あるいは吸着しているDNAをプローブDNAから除く。スライドグラスタイプのBACアレイであれば、45℃に加温した50%ホルムアミド/2xSSC, pH7に15分、0.1%SDS/2xSSC, pH7に30分浸漬し、続いて室温の0.1%NP40/0.1Mリン酸緩衝液, pH7に15分、2xSSC, pH7に5分浸漬後、エタノールで濯いで乾燥させるとよい。
もしサンプルDNAの標識に間接法を適用しているのであれば、続いて蛍光標識されたアフィニティ分子を結合させるなどの処理を行う。
各プローブDNAにハイブリダイズしたテストDNA由来のシグナルと対照DNA由来のシグナルの定量的検出を行う。スライドグラスタイプのBACアレイに対し蛍光標識DNAをハイブリダイズさせた場合であれば、レーザースキャナーやCCDカメラなどの定量的検出装置により各プローブ由来DNAの蛍光イメージを取得すればよい。マイクロビーズを担体に用いるのであればフローサイトメーターなどで検出することができる。
各プローブDNAに相当するゲノム領域において、癌細胞でコピー数増加(増幅)が生じていればテストDNAが対照DNAに比べ相対的に多くハイブリダイズし、一方、癌細胞でコピー数減少(欠失)が生じていれば、対照DNAがテストDNAに比べ相対的に多くハイブリダイズすることになる。したがって、アレイ上のプローブDNAごとに、テストDNA由来シグナルと対照DNA由来シグナルの強度を比較することにより、各プローブDNAに相当するゲノム領域において、癌細胞でコピー数増加が生じているか、減少しているか、正常レベルであるのかを判定することができる。
本発明の方法を用い、被験者由来の細胞の染色体において、7p15-21、8q21-23、13q22、20p12、及び20q13領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の増加、及び/または1p32-ter、17p12-13、19p13.3、及び22q23領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の減少が検出された場合に、胃癌の可能性が高いと評価することができる。
また、被験者由来の細胞の染色体において、5p13.1-p12、11q13.3、20q11.2、5p13、8q24.2-q24.3、9q34.1、5p13.2、8q24.11-q24.13、8q24.1-q24.3、9q34.1、9q34.3、20q12-q13.1、20q13.1-q13.2、9q34、11q13、11q13.3、20p12.1-p11.23、22q11.21、5q31.1、5q31-32、8q24.3、9qq34、11p15.5-p15.4、11p12-p11、11p11.2、11q13.1、及び11q13.5-q14領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の増加、及び/または18q21、18q21.1、7q33-q35、18q21.3、3p26-p24、4q12-13、4q21、4q25-q27、18q21.3、21q22.1、2q34-q35、3q24、3p14.2、4q11-q12、4q21-q25、7q36、18q21.1、21q21.2、8p11.2-p11.1、1q25、3p25、3p21-p14、4p16.3、4p12、4q26-q27、8q22、10p12、10p11.2、13q22、15q15-q21.1、及び16q12.1領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の減少が検出された場合に、口腔扁平上皮癌の可能性が高いと評価することができる。
更に、これらの領域に含まれる個々の遺伝子のコピー数の変化を検出しても良い。
具体的には、胃癌の検出のためには、PCK1、TREM1、TBRG4、VSX1、OTOR、CDS2、PCDH8、SOCS-1、TG、PTPN1、MOZ、NOV、WISP1、TOP1、BCR、及びEXT1遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の増幅及び/またはLIS1、DSCR1、KIAA0179、TTY1、RAB1、FHIT、RGS、KDR、DCC、ETS2/E2、GSTT1、SPON2、WHSC1、TXK、NPM1、APC、MLF2、FGF7、MATK、ADMTS1、DSCR6、BCK10遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の欠失を検出することが好ましい。
また、口腔扁平上皮癌の検出のためには、GDNF、FGF4、DNMT3B、SKP2、DAB2、TG、VAV2、RAD1、EXT1、WISP1、ABL1、NPDC1、TOP1、PTPN1、PAEP、CST6、CCND1、JAG1、PNUTL1、CSF2、PDGFRB、NDRG1、RPL7A、ILK、EXT2、KAI1、BAD、RIN1、GARP遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の増幅及び/またはMBD1、MBD2、POLI、TIM1、DCC、FVT1、BCL2、LMCD1、IGFBP7、FGF5、PITX、SERPINB3、TIAM1、BARD1、RARB、FHIT、KDR、IBSP、SHH、SMAD4、ADAMTS1、FGFR1、TPR、PPARG、Wnt-5a、SPON2、PTTG2、IL2、CTSB、MLLT10、ITGB1、DACH、FGF7、PLK遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の欠失を検出することが好ましい。
上記の遺伝子のコピー数の変化を検出する場合、1以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上の遺伝子のコピー数の変化(増幅または減少)を検出する。
本発明の一態様として、BACマイクロアレイ(GenomArray(商標)、韓国マクロジェン社)を用いる。その結果、図4に示すように、正常細胞と比較して、コピー数増加あるいは欠失を生じるゲノム領域がかなりの割合で存在することが判明した。これらの異常のそれぞれが、発癌及び/または癌患者における種々の症状と関連することが予想される。
本発明はまた、ヒト染色体7p15-21、8q21-23、13q22、20p12、20q13、1p32-ter、17p12-13、19p13.3、及び22q23領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、胃癌の検出のためのキットを提供する。
本発明は更に、ヒト染色体5p13.1-p12、11q13.3、20q11.2、5p13、8q24.2-q24.3、9q34.1、5p13.2、8q24.11-q24.13、8q24.1-q24.3、9q34.1、9q34.3、20q12-q13.1、20q13.1-q13.2、9q34、11q13、11q13.3、20p12.1-p11.23、22q11.21、5q31.1、5q31-32、8q24.3、9qq34、11p15.5-p15.4、11p12-p11、11p11.2、11q13.1、11q13.5-q14、18q21、18q21.1、7q33-q35、18q21.3、3p26-p24、4q12-13、4q21、4q25-q27、18q21.3、21q22.1、2q34-q35、3q24、3p14.2、4q11-q12、4q21-q25、7q36、18q21.1、21q21.2、8p11.2-p11.1、1q25、3p25、3p21-p14、4p16.3、4p12、4q26-q27、8q22、10p12、10p11.2、13q22、15q15-q21.1、及び16q12.1領域から選ばれる1以上の染色体領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、口腔扁平上皮癌の検出のためのキットを提供する。
該キットは、上記本発明の方法において好適に使用することができる。プローブの長さは、15bp以上であれば良いが、好ましくは60bp以上、より好ましくは1kb以上、更に好ましくは100kb以上である。
本発明のキットは、上記1種以上のプローブが支持体上に固定された、例えばアレイとすることができる。
キットには更に、上記以外の領域の塩基配列に相補的な塩基配列を有する対照プローブを含ませることができる。また、検出のための蛍光色素等の標識剤を含んでいても良い。キットにはその他、対照サンプルとなる正常ヒト由来DNA、サンプル中のDNAとプローブとの反応のために必要な緩衝液、洗浄液等を適宜含ませることができる。
また、本発明のキットには、検出対象の胃癌及び/または口腔扁平上皮癌である場合に該キットを用いて得られる検出パターンの表示を、例えば説明書において含ませることができる。検出パターンは、例えば図4に示すような異常プロファイルでも良く、あるいはアレイ上で蛍光標識を用いて競合ハイブリダイゼーションまたは同時ハイブリダイゼーションを行った際に得られるスポットの発色を示すものであっても良い。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
染色体CGH解析
104例の胃癌(gastric adenocarcinoma)患者から採取した胃癌細胞サンプルを用い、染色体CGH解析を行った。その結果、DNAコピー数異常を呈した染色体領域は以下の通りであった。結果を図1に示す。
コピー数増加:7p15-21、8q21-23、13q22、20p12、及び20q13領域
コピー数減少:1p32-ter、17p12-13、19p13.3、及び22q23領域
最も頻度が高かったのは、コピー数増加に関しては8q21-23(68%)、コピー数減少に関しては19p13.3(54%)であった。
DNA 倍数性(ploidy)解析
レーザー走査サイトメトリー(Laser scanning cytometry:LSC)を用いて胃癌細胞サンプルを解析し、以下の式:
DAN指標(DI)=腫瘍細胞の各DNA含量(G1/0相)/正常細胞の核DNA含量(G1/0相)
で定義されるDIに基づいて胃癌患者を2つの群に分類した。
(1)1.0<DI≦1.2の場合:DNA二倍体(diploid)腫瘍群(41検体)
この群の腫瘍は、組織病理学的には拡散(diffuse)型に相当し、細胞間で染色体数の変動がない31検体と、変動の見られる10検体が含まれる。
(2)1.2<DIの場合:DNA異倍体(aneuploid)腫瘍群(66検体)
この群の腫瘍は、組織病理学的には腸(intestinal)型に相当し、染色体数の変動がない3検体と、変動の見られる63検体が含まれる。
上記2群のそれぞれについて、実施例1と同様の染色体CGH解析を行った。その結果を図2及び3に示す。二倍体腫瘍群では、コピー数異常(増幅及び欠失の双方)を示した染色体領域の数は5.95±4.34であり、異倍体腫瘍群では15.11±8.64であった。このことから、二倍体腫瘍群では、異倍体腫瘍群と比較して、DNAコピー数異常を呈する染色体領域が有意に少ないことが示される。
また、高頻度に異常が見られた領域中、7p15-21、20p12、20q13の増加は二倍体腫瘍群で有意に出現していた。
Figure 2006094733
BACマイクロアレイ(Macrogen社)を用いたアレイCGH法による胃癌ゲノム異常の解析
大学病院にてインフォームドコンセントのもと患者から提供を受けた胃癌手術摘出検体104症例を解析サンプルとして用いた。
癌組織からゲノムDNAを抽出精製した。対照DNAとしてはヒト正常人胎盤由来DNA(Promega社)を用いた。蛍光標識DNAの調製にはrandom primer法を適用した。1症例の解析につき、癌組織DNA(テストDNA)および正常リンパ球由来DNA(対照DNA)を各0.5μg準備し、マイクロチューブ内に精製水にて21μlとなるよう調製した。これらDNA溶液に2.5x random primer溶液(Invitrogen社 BioPrime DNA Labeling Kit)20μlを加えて混合し、100℃にて5分間加熱後、直ちに氷上に移し、5分間冷却した。続いてdNTP溶液(Macrogen社 MacArray Kit、Solution A)5μl、テストDNAのチューブには1mM Cy5-dCTP(PerkinElmer社)を、対照DNAのチューブには1mM Cy3-dCTP(PerkinElmer社)を各3μl、Klenow Fragment(Invitrogen社 BioPrime DNA Labeling Kit)を1μl (40unit)添加混合した後、37℃のインキュベータ内にて遮光下、16時間インキュベートした。その後、0.5M EDTA溶液(Invitrogen社 BioPrime DNA Labeling Kit)を5μl添加して反応を停止させた。未反応のCyanine-dCTP等を除去するため、DNA精製カラム(Qiagen社 QiaQuick PCR Purification Kit)にDNAをトラップし、80μlのTE緩衝液にて溶出した。
BACマイクロアレイとして、Macrogen社が独自に構築したヒトゲノムBACライブラリ由来のクローン1,440個が3スポットずつスライドグラス上に固定化されたものを使用した(MacArray Kit)。本BACアレイにスポットされたクローンは、すべて両端エンドシーケンスが決定され、ゲノム地図上にマップされている。さらにFISH法によっても染色体上の位置が確認されているとともに、重複してハイブリダイズする領域がないことも確認されている。各クローンは全ゲノム範囲にわたって位置するよう選択されており、平均約2.3Mbの解像度でコピー数異常領域をマッピングすることが可能である。
蛍光標識したテストDNAおよび対照DNA 各80μlおよびCot-1 DNA(Macrogen社 solution B) 50μlを混合し、さらに3M酢酸ナトリウム 20μlおよび氷冷100%エタノール500μlを加えて混合撹拌した。冷凍庫(-25℃)にて60分間置いた後、遠心分離(13,000rpm x 20分)を行った。DNAのペレットを残して上清を除去し、氷冷70%エタノールを500μl加え再度遠心分離(13,000rpm x 5分間)を行った。DNAペレットを残して上清を除去した後、10分間風乾させた。得られたDNAペレットにyeast tRNA(Macrogen社 Solution D)14μlおよびハイブリダイゼーション溶液(Macrogen社 solution C)140μlを添加して遮光下30分間静置してDNAを緩やかに溶解させた。DNAを十分に撹拌溶解させた後、70℃の水浴中で15分間加熱することでDNAを単鎖化し、37℃のインキュベータ内で60分間静置することでCot-1による繰り返し配列のブロッキング反応を行った。
一方、ハイブリダイゼーション溶液(Solution C)45μlにサケ***DNA溶液(Macrogen社 Solution E)15μlを加えて混合し、70℃水浴中で10分間加熱後、氷上で5分間冷却し、ブロッキング溶液とした。BACマイクロアレイ(Macrogen社 MacArray Kit)上にブロッキング溶液55μlを滴下し、液がアレイ全体に行き渡るよう22x60mmのカバーグラスを載せ、室箱中にて30分間インキュベートした。その後カバーグラスを静かに外し、精製水中で10秒間浸漬し、再度新しい精製水に10秒間浸漬した後、100%イソプロパノールに浸漬し、スライド用遠心機にて乾燥させた。
44μlのハイブリダイゼーション溶液をBACマイクロアレイに滴下し、液がアレイ全体に行き渡るよう22x60mmのカバーグラスを載せ、48〜72時間ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後の洗浄は、洗浄液1(50%ホルムアミド/2xSSC, pH7)にて46℃、5分間3回、洗浄液2(0.1% SDS/2xSSC, pH7)にて46℃、10分3回、洗浄液3(0.1%NP-40/0.1Mリン酸緩衝液, pH7)にて46℃、10分間3回、洗浄液4(2xSSC, pH7)にて46℃、2分間3回の洗浄操作を行った。その後、BACマイクロアレイを装置から外し、70%, 85%, 100%の各エタノールシリーズを満たした染色瓶に各1分間ずつ浸漬後、スライド用遠心機にて乾燥させた。
ハイブリダイゼーションおよび洗浄後のアレイはマイクロアレイ用スキャナにてスキャンし、テストDNAおよび対照DNA由来蛍光による画像を取得した。得られた画像データはアレイCGH解析用ソフトウェア(Macrogen社 MacViewer)により解析を行った。アレイスポットごとにCy3およびCy5の蛍光シグナルを測定し、データをノーマライズした後、log2(Cy5/Cy3)値をクローンごとにプロットした。
同様にして合計104症例の胃細胞癌サンプルのゲノム異常プロファイルを解析し、BACクローンごとにコピー数異常の存在頻度を調べた。図4に示すように、多くの症例で共通してコピー数増加あるいは欠失を生じるゲノム領域が存在することが判明した。
これらの高頻度に異常を生じるゲノム異常は、そこにコードされている遺伝子の発現レベルを変化させることなどにより、癌の悪性形質発現に重要な役割を果たしているものと考えられる。
アレイCGH解析の結果、実施例1の染色体CGHで確認された異常箇所と一致してDNAコピー数に異常が見られた。高頻度にコピー数の増加を呈した遺伝子として、PCK1、TREM1、TBRG4、VSX1、OTOR、CDS2、TG、PTPN1、MOZ、NOV、WISP1、TOP1、BCR、EXT1等があり、このうちTG、PTPN1、MOZ、NOV、WISP1、TOP1、BCR、EXT1は癌関連遺伝子として知られているものである。一方、高頻度にコピー数の減少を呈した遺伝子として、RRM、LIS1、PRY、XKRY、TTY1、RAB1、FHIT、RGS、KDR、DCC、ETS2/E2、GSTT1、SPON2、WHSC1、TXK、HPM1、APC、MLF2、FGF7、MATK等があった。
DNAコピー数の増加及び減少を呈した遺伝子を、それぞれその遺伝子座と合わせて表2及び3に示す。
Figure 2006094733
Figure 2006094733
二倍体腫瘍群及び異倍体腫瘍群におけるアレイCGH解析
実施例2で分類した二倍体腫瘍群及び異倍体腫瘍群のそれぞれについて、実施例3と同様のアレイCGH解析を行った結果、二倍体腫瘍群でのDNAコピー数異常は、異倍体腫瘍群における異常に比較すると頻度が少なかった。結果を図5及び6に示す。
また、図5の結果から明らかなように、二倍体腫瘍群において、20q11領域におけるコピー数増加、並びに12p13領域におけるコピー数減少が特徴的であった。この結果は、遺伝子としてはBCRのコピー数増加、及びMFL2のコピー数減少に相当する。
一方、図6の結果から明らかなように、異数性腫瘍群においては、20q11.21、20q11.21、20q12-q13、及び20q13領域におけるコピー数の増加が特徴的であった。この結果は、遺伝子としてはPYGB、DNMT3B、TOP1、及びPTPN1のコピー数の増加に相当する。
高頻度異常発生群における染色体異常領域
実施例2において二倍体腫瘍群に分類された中で、更に細胞間で染色体数の変動が大きい腫瘍群(高頻度異常発生群、10検体)とそれ以外の群(31検体)に分類して染色体異常を再度検討した。その結果、以下の表2に示すように、高頻度異常発生群は異常箇所が非常に多く、特に5p21、6q22、8q21-23、11q14-22、及び20p12領域におけるコピー数の増加、12q24、16p13、16q23-24、19p13、19q13、及び22q13領域におけるコピー数の減少の頻度が極めて高かった(いずれも>50%)。
Figure 2006094733
口腔扁平上皮癌細胞におけるBAC CGH
表5に示す種々の口腔扁平上皮癌細胞系を用い、マクロジェン社のBACクローンを用いて全染色体領域についてDNAコピー数の増幅・減少(欠失)の頻度を解析した。結果を図7及び8に示す。
Figure 2006094733
上記の結果から、対照と比較して特に増幅の頻度が高かった領域は、5p13.1-p12、11q13.3、20q11.2、5p13、8q24.2-q24.3、9q34.1、5p13.2、8q24.11-q24.13、8q24.1-q24.3、9q34.1、9q34.3、20q12-q13.1、20q13.1-q13.2、9q34、11q13、11q13.3、20p12.1-p11.23、22q11.21、5q31.1、5q31-32、8q24.3、9qq34、11p15.5-p15.4、11p12-p11、11p11.2、11q13.1、及び11q13.5-q14領域であり、この領域には、GDNF、FGF4、DNMT3B、SKP2、DAB2、TG、VAV2、RAD1、EXT1、WISP1、ABL1、NPDC1、TOP1、PTPN1、PAEP、CST6、CCND1、JAG1、PNUTL1、CSF2、PDGFRB、NDRG1、RPL7A、ILK、EXT2、KAI1、BAD、RIN1、GARP遺伝子が含まれる。また、特に減少(欠失)の頻度が高かった領域は18q21、18q21.1、7q33-q35、18q21.3、3p26-p24、4q12-13、4q21、4q25-q27、18q21.3、21q22.1、2q34-q35、3q24、3p14.2、4q11-q12、4q21-q25、7q36、18q21.1、21q21.2、8p11.2-p11.1、1q25、3p25、3p21-p14、4p16.3、4p12、4q26-q27、8q22、10p12、10p11.2、13q22、15q15-q21.1、及び16q12.1領域であり、この領域にはMBD1、MBD2、POLI、TIM1、DCC、FVT1、BCL2、LMCD1、IGFBP7、FGF5、PITX、SERPINB3、TIAM1、BARD1、RARB、FHIT、KDR、IBSP、SHH、SMAD4、ADAMTS1、FGFR1、TPR、PPARG、Wnt-5a、SPON2、PTTG2、IL2、CTSB、MLLT10、ITGB1、DACH、FGF7、PLK遺伝子が含まれる。これらの遺伝子について、DNAの増幅頻度の高い順に表6に、欠失頻度の高い順に表7にまとめた。
Figure 2006094733
Figure 2006094733
胃癌細胞サンプルを用いて行った染色体CGH解析の結果を示す。 二倍体腫瘍群サンプルにおいて行った染色体CGH解析の結果を示す。 異倍体腫瘍群サンプルにおいて行った染色体CGH解析の結果を示す。 胃癌細胞サンプルを用いて行ったBAC CGH解析の結果を示す。 二倍体腫瘍群サンプルにおいて行ったBAC CGH解析の結果を示す。 異倍体腫瘍群サンプルにおいて行ったBAC CGH解析の結果を示す。 口腔扁平上皮癌細胞サンプルを用いて行ったBAC CGH解析の結果を示す。 口腔扁平上皮癌細胞サンプルを用いて行ったBAC CGH解析の結果を示す。

Claims (11)

  1. ヒト被験者由来の細胞の染色体における、7p15-21、8q21-23、13q22、20p12、及び20q13領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の増加、及び/または1p32-ter、17p12-13、19p13.3、及び22q23領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の減少を検出することを特徴とする、in vitroにおける胃癌の検出方法。
  2. PCK1、TREM1、TBRG4、VSX1、OTOR、CDS2、PCDH8、SOCS-1、TG、PTPN1、MOZ、NOV、WISP1、TOP1、BCR、及びEXT1遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の増幅及び/またはLIS1、DSCR1、KIAA0179、TTY1、RAB1、FHIT、RGS、KDR、DCC、ETS2/E2、GSTT1、SPON2、WHSC1、TXK、NPM1、APC、MLF2、FGF7、MATK、ADMTS1、DSCR6、及びBCK10遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の欠失を検出する、請求項1記載の検出方法。
  3. ヒト被験者由来の細胞の染色体における、5p13.1-p12、11q13.3、20q11.2、5p13、8q24.2-q24.3、9q34.1、5p13.2、8q24.11-q24.13、8q24.1-q24.3、9q34.1、9q34.3、20q12-q13.1、20q13.1-q13.2、9q34、11q13、11q13.3、20p12.1-p11.23、22q11.21、5q31.1、5q31-32、8q24.3、9qq34、11p15.5-p15.4、11p12-p11、11p11.2、11q13.1、及び11q13.5-q14領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の増加、及び/または18q21、18q21.1、7q33-q35、18q21.3、3p26-p24、4q12-13、4q21、4q25-q27、18q21.3、21q22.1、2q34-q35、3q24、3p14.2、4q11-q12、4q21-q25、7q36、18q21.1、21q21.2、8p11.2-p11.1、1q25、3p25、3p21-p14、4p16.3、4p12、4q26-q27、8q22、10p12、10p11.2、13q22、15q15-q21.1、及び16q12.1領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部におけるDNAコピー数の減少を検出することを特徴とする、in vitroにおける口腔扁平上皮癌の検出方法。
  4. GDNF、FGF4、DNMT3B、SKP2、DAB2、TG、VAV2、RAD1、EXT1、WISP1、ABL1、NPDC1、TOP1、PTPN1、PAEP、CST6、CCND1、JAG1、PNUTL1、CSF2、PDGFRB、NDRG1、RPL7A、ILK、EXT2、KAI1、BAD、RIN1、GARP遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の増幅及び/またはMBD1、MBD2、POLI、TIM1、DCC、FVT1、BCL2、LMCD1、IGFBP7、FGF5、PITX、SERPINB3、TIAM1、BARD1、RARB、FHIT、KDR、IBSP、SHH、SMAD4、ADAMTS1、FGFR1、TPR、PPARG、Wnt-5a、SPON2、PTTG2、IL2、CTSB、MLLT10、ITGB1、DACH、FGF7、PLK遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の欠失を検出する、請求項3記載の検出方法。
  5. DNAコピー数の増加及び/または欠失を、BAC(Bacterial Artificial chromosome)クローンとのハイブリダイゼーション、FISH法、LOH法、定量PCR法、またはサザンブロット法によって検出する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. DNAコピー数の増加及び/または欠失を、BACアレイとのハイブリダイゼーションによって検出する、請求項5記載の方法。
  7. 試験サンプル中のDNAを標識する、請求項6記載の方法。
  8. ヒト染色体7p15-21、8q21-23、13q22、20p12、20q13、1p32-ter、17p12-13、19p13.3、及び22q23領域から選択される1以上の領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、胃癌の検出のためのキット。
  9. ヒト染色体5p13.1-p12、11q13.3、20q11.2、5p13、8q24.2-q24.3、9q34.1、5p13.2、8q24.11-q24.13、8q24.1-q24.3、9q34.1、9q34.3、20q12-q13.1、20q13.1-q13.2、9q34、11q13、11q13.3、20p12.1-p11.23、22q11.21、5q31.1、5q31-32、8q24.3、9qq34、11p15.5-p15.4、11p12-p11、11p11.2、11q13.1、11q13.5-q14、18q21、18q21.1、7q33-q35、18q21.3、3p26-p24、4q12-13、4q21、4q25-q27、18q21.3、21q22.1、2q34-q35、3q24、3p14.2、4q11-q12、4q21-q25、7q36、18q21.1、21q21.2、8p11.2-p11.1、1q25、3p25、3p21-p14、4p16.3、4p12、4q26-q27、8q22、10p12、10p11.2、13q22、15q15-q21.1、及び16q12.1領域から選ばれる1以上の染色体領域の少なくとも一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有する1種以上のプローブを含む、口腔扁平上皮癌の検出のためのキット。
  10. 上記1種以上のプローブが支持体上に固定されたものである、請求項8または9記載のキット。
  11. 更に標識剤を含む、請求項8〜10のいずれか1項記載のキット。
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