JP2006093329A - 熱電変換素子の電極形成方法 - Google Patents

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義康 伊藤
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Abstract

【課題】熱電変換材料の表面に、緻密で高品位、密着力の高いコーティング皮膜を形成し、簡便且つ低コストで電極を得る。
【解決手段】ショットコーティング技術を用い、BiTeなどからなる熱電変換材料の表面に、粒径が0.5〜200μmのニッケル、鉄、コバルト、アルミニウムなどからなり、銅より融点の低い金属粉末を常温・大気中で、200〜1000m/sで高速噴射することによって、金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱電変換材料の表面に金属皮膜または金属を主成分とする電極皮膜をコーティングした熱電変換素子の電極皮膜の形成方法に関する。
最近、エネルギーの有効利用手段の一つとして、ゼーベック効果やペルチェ効果などの熱電効果を有する熱電変換モジュールにより、熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換するようにしたものがある。
この熱電変換モジュールは、熱電変換材料の表面に金属皮膜又は金属を主成分とする電極皮膜が形成されたP型素子、N型素子と呼ばれる熱電変換素子とこれら両素子を接合する電極とから構成されている。
従来、上記熱電変換素子となる熱電変換材料の表面に電極皮膜を形成するには、各種のコーティングプロセスが使用されている(例えば、特許文献1)。これは金属粉末をプラスト装置で吹付けて、各種基材表面に皮膜を形成するものである。
ところで、金属のコーティング方法としては、溶射法、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD法)、メッキ法などがある。
溶射法は、コーティングする材料を種々の熱源(プラズマ、アーク、ガス炎など)で溶かして、基材表面に吹付けて皮膜を形成する方法であり、電気、電子機器の電極形成、原動機の耐食・耐摩耗コーティング、鉄骨・橋梁などの耐食コーティングなどに幅広く使用されている。
物理蒸着法(PVD法)は、真空中でコーティングする材料を種々の方法で蒸発させ、基材表面に蒸着させて皮膜を形成するもので、真空蒸着法、スパッタ蒸着法、モレキュラービーム蒸着法などがあり、光学機器の反射鏡面、工具、半導体実装基板、装飾品など、機能性コーティングとして幅広く使用されている。
化学蒸着法(CVD法)は、高温における化合物の分解又は化合のガス反応により、基材表面に皮膜成分の析出、あるいは基材との反応により皮膜を形成する方法であり、アルミナイシング処理に代表される耐食コーティングや、熱CVD、プラズマCVD、レーザCVDによる太陽電池、工具、半導体実装基板などに幅広く使われている。
メッキ法は、電解液中における電気化学的反応により、基材表面に皮膜を形成する方法であり、古くから機械部品の耐食、耐摩耗コーティングとして幅広く使われている。
従来、金属コーティングの対象となる基材の種類に応じた溶射法、物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)、メッキ法などから、コーティングプロセスが選定されて使われている。
特開平10−280165号公報
しかしながら、あらゆる種類の基材へのコーティングが可能で、膜質、皮膜の密着性、成膜速度、プロセスの簡便性、環境低負荷などの要求特性を全て満足するプロセスは確立されていないのが現状である。そのため、高品位な皮膜が得られる新プロセスの開発と、生産性の向上に関する開発は継続的に続けられている。
ところで、熱変換材料の電極形成には、従来から使われてきた実績のある溶射法やメッキ法があるが、溶射法は生産性には優れているものの得られる皮膜の導電性が劣るという問題があり、またメッキ法は緻密で導電性に優れた皮膜が得られるが、生産性に劣るという問題がある。
本発明は、上記の点を考慮してなされたもので、熱電変換材料の表面に緻密で、密着力に優れたコーティング皮膜が形成できると共に、極めて簡便且つ低コストで、しかも環境に優しい熱電変換素子の電極形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らはショットコーティングという革新的なコーティング技術を開発した。従来から、ショットピーニングという固体粒子を材料表面に噴射して、祖面化や硬化させる技術が良く知られている。
本発明者らは、200μm以下の軟質金属をプラスチック基材表面に高速噴射すると、初期に基材表面にエロージョンが生じるものの、その後基材表面にサブミクロンから数百μmの皮膜が形成されることを確認した。
従来の金属コーティング技術は、金属粉末を高温で溶融して吹付ける溶射法や、真空中で金属を蒸発させるPVD法(物理蒸着法)、高温での化合物の分解または化合によるCVD法(化学蒸着法)などが挙げられる。
これに対して、ショットコーティングは、常温・大気中の基材表面に金属粉末を高速噴射させることにより金属皮膜を形成するプロセスである。このプロセスでは、緻密で、密着力に優れた金属皮膜が得られると共に、当然のことながら極めて簡便で且つ低コスト、環境に優しいプロセスである。
本発明においては、熱電変換材料の表面に緻密で密着力の高い電極を形成するコーティング手法を提案し、その中でも熱電変換材料と電極材料の種類、コーティング条件等を限定することにより、高品位な膜質で、密着力の高い金属層を形成した熱電変換素子とその電極形成方法を提供するものである。
請求項1に対応する発明は、熱電変換材料に粒径が0.5〜200μmの金属粉末を常温・大気中で、200〜1000m/sの速度で高速噴射することにより、金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜を形成する。
金属粉末を熱電変換材料の端面に高速噴射すると、最初に熱電変換材料の端面にエロージョンが生じるものの、その後熱電変換材料端面に金属皮膜が形成されることを確認した。この皮膜は、エロージョンにより基材表面が粗面化し、金属粉末が塑性変形及び一部が溶融することによって密着し、密着強度の高い皮膜が得られる。また、コーティングする金属粉末は高温に加熱・溶融されていないため、酸化が少なく、気孔率の低い緻密で高品位な皮膜が得られる。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の熱電変換素子の電極形成方法において、前記金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜は、銅より融点の低い金属の粉末を高速噴射して形成される。
請求項3に対応する発明は、請求項1に対応する発明の熱電変換素子の電極形成方法において、前記金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜は、銅より硬さの低い金属の粉末を高速噴射して形成される。
請求項4に対応する発明は、請求項1に対応する発明の熱電変換素子の電極形成方法において、前記金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜は、銅よりヤング率の低い金属の粉末を高速噴射して形成される。
上記請求項2乃至請求項4に対応する発明のような条件を満足する金属粉末を選定することによって、より緻密で高品位な膜質で、密着力の高い電極が得られる。
請求項5に対応する発明は、請求項1に対応する発明の熱電変換素子の電極形成方法において、前記熱電変換材料は、ビスマス、テルル、鉛、シリコン、ゲルマニウム、イリジウム、アンチモン、セレン、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、砒素、パラジウムを主成分とする化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含み、前記金属粉末は、ニッケル、鉄、コバルト、アルミニウム、銅、銀、錫、亜鉛、モリブデン、タングステン及びこれらの合金あるいは複合材料からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む。
上記の組合せの熱電変換材料と金属粉末を選定することによって、より緻密で高品位な膜質で、密着力の高い電極が得られる。
請求項6に対応する発明は、請求項1に対応する発明の熱電変換素子の電極形成方法において、空気、窒素、アルゴン、酸素、ヘリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を含む搬送ガスを用いて前記金属紛末を高速噴射する。
搬送ガスは、金属粉末の特性や、皮膜に要求される純度、材料組成を考慮して選択される。
請求項7に対応する発明は、請求項1に対応する発明の熱電変換素子の電極形成方法において、前記熱電変換材料の表面に形成された金属皮膜又は金属を主成分とする皮膜は、気孔率10%以下である。
請求項8に対応する発明は、請求項1に対応する発明の熱電変換素子の電極形成方法において、前記熱電変換材料の表面に形成された金属皮膜又は金属を主成分とする皮膜は、平均表面粗さが200μmRa以下である。
ショットコーティングにより形成された金属皮膜は、常温・常厚で搬送されるため、酸化等の影響が少なく、気孔や酸化物の含有量の少ない緻密で高品位な皮膜が得られる。
請求項9に対応する発明は、請求項1乃至請求項8に対応する発明の何れかの電極形成方法により、熱電変換材料の表面に電極皮膜が形成された熱電変換素子とする。
本発明による熱電変換素子の電極形成方法は、熱電変換材料と電極用の金属粉末材料の組合せやコーティング条件を限定することにより、緻密で高品位、密着力の高いコーティング皮膜が簡便且つ低コストで得られる。
本発明の実施形態について、以下の実施例及び比較例を参照して具体的に説明する。
以下に本発明における第1の実施形態を表1により説明する。
Figure 2006093329
縦、横、厚さが5×5×5mmの熱電変換材料に、粒径0.5〜200μmのアルミニウム粉末を、室温大気中、200〜1000m/s、ここでは300m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、アルミニウム皮膜を約100μmの膜厚でコーティングした(実施例1)。
同様に実施例1と同じ熱電変換材料にアルミニウム皮膜を大気中プラズマ溶射法、蒸着法を用いてほぼ同等な膜厚を形成し、比較例1,2とした。
実施例1及び比較例1,2について、得られた皮膜の膜質、熱電変換材料と皮膜の密着性、成膜速度、プロセスの簡便性、コスト、耐環境性について評価した結果を表1にまとめた。
ショットコーティング法は、大気中のプラズマ溶射法、蒸着法に比べて、得られた皮膜の膜質、基板と皮膜の密着性、成膜速度、プロセスの簡便性、コスト、耐環境性の観点から、優れた特性を示すことが分かる。
これに対して、大気中プラズマ溶射法は、成膜速度が速く、厚膜のものまで形成可能であるが、皮膜中の気孔率が高く、さらに含まれる酸化物の含有量も多い。また、コーティング効率が低く、コスト高となってしまう。
また、真空蒸着法は、高品位な膜質の皮膜が得られるが、成膜速度が遅く、また真空チャンバー内でのバッジ処理となるため、簡便性・コストの面でマイナスとなってしまう。
このように第1の実施形態では、熱電変換材料に粒径が0.5〜200μmの金属粉末を常温・大気中で、200〜1000m/sの速度で高速噴射することにより、金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜を形成したものである。
ここで、金属粉末の噴射速度は熱電変換材料の組合せや形成する膜厚により選択されるが、200m/s未満の速度で高速噴射した場合、粉末が基材に衝突したときのエネルギーが小さく、皮膜が形成されない。また、1000m/sを超える速度で皮膜を形成した場合、基材のエロージョン摩耗が大きくなり、安定した膜厚の皮膜が得られにくく、皮膜中の残留応力が高くなり、皮膜の剥離が起こり易いことから、金属粉末の噴射速度として200〜1000m/sの範囲に限定した。
また、金属粉末の粒径として0.5μm未満では、高速噴射されたときの衝突エネルギーが小さく、皮膜が形成されない領域が生じる。また、200μmを超える粒径の金属粉末を吹付けると、基材のエロージョン摩耗が大きくなり、安定した膜厚の皮膜が得られにくく、皮膜の形成が困難となる傾向を示すことから、金属粉末の粒径として0.5〜200μmの範囲に限定した。
このように熱電変換材料の表面に金属粉末を高速噴射して金属皮膜を形成することで、エロージョンにより基材表面が粗面化し、金属粉末が組成変形及び一部が溶融することによって密着し、密着強度の高い皮膜が得られる。また、コーティングする金属粉末は高温に加熱・溶融されていないため、酸化が少なく、気孔率の低い緻密で高品位な皮膜が得られる。
次に本発明における第2の実施形態を表2により説明する。
Figure 2006093329
縦、横、厚さが5×5×5mmの熱電変換材料BiTeに、粒径0.5〜200μmのアルミニウム粉末を、室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いてアルミニウム皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(実施例1)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料BiTeに、粒径0.5〜200μmの銅粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、銅皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(実施例2)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料PbTeに粒径0.5〜200μmの銀粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、銀皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(実施例3)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料PbTeに粒径0.5〜200μmの亜鉛粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、亜鉛皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(実施例4)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料SiGeに粒径0.5〜200μmのニッケル粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、ニッケル皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(実施例5)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料PbTeに粒径0.5〜200μmの鉄粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、鉄皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(実施例6)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料IrSbに粒径0.5〜200μmのコバルト粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、コバルト皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(比較例3)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料IrSbに粒径0.5〜200μmの錫粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、錫皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(比較例4)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料BiTeに粒径0.5〜200μmのモリブデン粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、モリブデン皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(比較例5)。
同様に5×5×5mmの熱電変換材料BiTeに粒径0.5〜200μmのタングステン粉末を室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けるショットコーティング法を用いて、タングステン皮膜を約200μmの膜厚でコーティングした(比較例6)。
以上のようにして得られたコーティング皮膜の気孔率は、水銀圧入法を用いて測定した。次に熱電変換材料と電極皮膜の密着力を調べるため、電極皮膜に治具を取付けて引張試験を行い、引張強度を測定した。表面粗さは、形成した電極皮膜の表面の平均表面粗さ(Ra)を測定した。金属酸化物の重量割合は、酸素量を燃焼法により求め、金属酸化物としての重量割合を算出したものである。
表2に実施例及び比較例のコーティング皮膜の気孔率、熱電変換材料と電極皮膜材料の密着強度、皮膜表面の表面粗さ、皮膜中に含まれる酸化物含有量を示す。銅より融点、あるいは硬さ、あるいはヤング率の低い金属粉末を高速噴射した実施例においては、皮膜中の気孔率が低く、密着強度もバラツキなく安定して高い強度を示し、表面粗さも小さく、酸化物含有量も大幅に少ない皮膜が得られた。
以上のように上記材料の組合せでは、熱電変換材料上に、高品位な膜質で優れた密着強度の電極皮膜を得ることができる。
次に本発明における第3の実施形態を説明する。
前述した第1の実施形態で記載した熱電変換材料の皮膜形成工程において、ショットコーティングにより電極皮膜を熱電変換材料上に形成した。このとき、異なる条件で形成された電極皮膜を持つ複数種類の試験体を作成した。
この場合、具体的には(1)コーティング皮膜材料の粉末粒径、(2)ショットコーティングプロセスにおける粉末の噴射速度、(3)ショットコーティングプロセスにおける金属粉末の搬送ガスという複数の条件を対象に、複数の形成条件によって複数種類の電極皮膜を作製した。
そして、これらの条件対象ごとに、複数種類の電極コーティングに対して、得られた皮膜の膜厚及びバラツキの測定を行った。
以下に各条件に関して具体的に設定した複数種類の電極皮膜形成条件と、その複数種類の形成条件によって形成された電極皮膜を持つ複数種類の試験体の評価結果について表3及び表4により説明する。
Figure 2006093329
Figure 2006093329
(1)コーティング皮膜材料の粉末粒径
表3は、電極皮膜材料の粉末粒径を変えて、第1の実施形態と同じ条件でショットコーティングした場合の膜厚を示したものである。ここで用いた粉末の粒径は、粉末をレーザ解析法により求めた50%粒径とした。
5×5×5mmの熱電変換材料BiTeに粒径0.2μmと10μmと150μmと250μmのアルミニウム粉末を、室温大気中、200〜1000m/sの噴射速度で、一定時間吹付け、アルミニウム皮膜をショットコーティングし、これを実施例1とした。
表3から明らかなように、10μm及び150μmの粒径の金属粉末を高速噴射すると、バラツキの小さい膜厚の皮膜が容易に形成される。これに対して、200μmより大きな粒径の粉末を用いると、基材のエロージョン摩耗が大きくなり、0.5μm未満の粉末では、高速噴射されたときの衝突エネルギーが小さく、皮膜が形成されない領域が生じる。また、200μmを超える粒径の粉末を吹付けると、基板材料のエロージョン摩耗が大きくなり、安定した膜厚の皮膜が得られにくい。
表3においては、熱電変換材料BiTeにアルミニウム粉末を高速噴射したときの結果を示したが、その他の材料の組合せを用いた場合も同様な結果が見られた。
以上のように熱電変換材料に金属粉末を高速で吹付けるショットコーティングにおいて、金属粉末の粒径が0.5μm〜200μmの場合、高品位な膜質で、密着性の優れた皮膜が簡便に低コストになし得る。
(2)ショットコーティングプロセスにおける粉末の噴射速度
表4に示すように、5×5×5mmの熱電変換材料BiTeに粒径0.5〜200μmのアルミニウム粉末を、室温大気中、50m/sと200m/sと600m/sと1200m/sの噴射速度で、一定時間吹付けるショットコーティングを用いて、アルミニウム皮膜をコーティングした(実施例2)。
表4に示す結果から明らかなように、金属粉末の噴射速度が200m/s及び600m/sの両方とも、安定した膜質の皮膜が形成されるのに対し、1200m/sを超える速度で皮膜を形成した場合、基板材料の表面がエロージョンを起こし、所定膜厚の皮膜が得られにくく、また皮膜中の残留応力が高くなり、剥離が起こり易くなる。
これに対して、50m/s以下の速度で皮膜を形成した場合、速度が遅過ぎるため、粉末が基板材料に衝突したときのエネルギーが小さく、皮膜が形成されていない領域が生じ、その部分では膜厚が不均一となる。また、200〜1000m/sの速度で皮膜を形成した場合、所定膜厚の皮膜が得られ易く、また皮膜中の残留応力が低いため、密着性の高い皮膜が得られる。
次に本発明の第4の実施形態を表5により説明する。
Figure 2006093329
前述した第1の実施形態乃至第3の実施形態における熱電変換素子の電極形成工程で、ショットコーティングにより電極皮膜を熱電変換材料上に形成した。このとき、搬送ガスが異なる条件で形成されたコーティング皮膜を持つ複数種類の試験体を作製した。
このようにして得られた電極皮膜の気孔率は、水銀圧入法を用いて測定した。次に基板材料と皮膜の密着力を調べるため、電極皮膜に治具を取付けて引張試験を行い、引張強度を測定した。表面粗さは、形成した電極皮膜の表面の平均表面粗さ(Ra)を測定した。金属酸化物の重量割合は、酸素量を燃焼法により求め、金属酸化物としての重量割合を算出したものである。
5×5×5mmの熱電変換材料BiTeに粒径0.5〜200μmのアルミニウム粉末を室温で、空気、窒素、アルゴン、酸素、ヘリウムで搬送し、200〜1000m/sの噴射速度で吹付けてショットコーティングした。搬送ガスを変えても、アルミニウム皮膜の気孔率、密着強度、表面粗さ、酸素含有量に関しては顕著な差は認められなかった。
このように本発明の第1の実施形態乃至第4の実施形態において、熱電変換材料と電極皮膜の材料の組合せについて材料特性を限定するか、又は具体的な組合せを示すコーティング条件を規定することにより、高品位な膜質で密着力の高い電極皮膜を形成した熱電変換素子を得ることができる。さらに、上記のように電極皮膜を形成した熱電変換素子では、皮膜が強固に接合でき、要求される特性を十分に引き出せるため、プロセスを簡略化でき、構造も単純化できるため、部品を小型化することができる。

Claims (9)

  1. 熱電変換材料の表面に粒径が0.5〜200μmの金属粉末を常温・大気中で、200〜1000m/sで高速噴射することにより、金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜を形成したことを特徴とする熱電変換素子の電極形成方法。
  2. 請求項1記載の熱電変換素子の電極形成方法において、前記金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜は、銅より融点の低い金属の粉末を高速噴射して形成されることを特徴とする熱電変換素子の電極形成方法。
  3. 請求項1記載の熱電変換素子の電極形成方法において、前記金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜は、銅より硬さの低い金属の粉末を高速噴射して形成されることを特徴とする熱電変換素子の電極形成方法。
  4. 請求項1記載の熱電変換素子の電極形成方法において、前記金属皮膜又は金属を主体とした電極皮膜は、銅よりヤング率の低い金属の粉末を高速噴射して形成されることを特徴とする熱電変換素子の電極形成方法。
  5. 請求項1記載の熱電変換素子の電極形成方法において、前記熱電変換材料は、ビスマス、テルル、鉛、シリコン、ゲルマニウム、イリジウム、アンチモン、セレン、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、砒素、パラジウムを主成分とする化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種を含み、前記金属粉末は、ニッケル、鉄、コバルト、アルミニウム、銅、銀、錫、亜鉛、モリブデン、タングステン及びこれらの合金あるいは複合材料からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする熱電変換素子の電極形成方法。
  6. 請求項1記載の熱電変換素子の電極形成方法において、空気、窒素、アルゴン、酸素、ヘリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種を含む搬送ガスを用いて前記金属紛末を高速噴射することを特徴とする熱電変換素子の電極形成方法。
  7. 請求項1記載の熱電変換素子の電極形成方法において、前記熱電変換材料の表面に形成された金属皮膜又は金属を主成分とする皮膜は、気孔率10%以下であることを特徴とする熱電変換素子の電極形成方法。
  8. 請求項1記載の熱電変換素子の電極形成方法において、前記熱電変換材料の表面に形成された金属皮膜又は金属を主成分とする皮膜は、平均表面粗さが200μmRa以下であることを特徴とする熱電変換素子の電極形成方法。
  9. 請求項1乃至請求項8に記載の何れかの電極形成方法により、熱電変換材料の表面に電極皮膜が形成された熱電変換素子。
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