JP2006093161A - 走査形電子顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対物レンズ8の電子ビーム通路に加速円筒9を配置し、一次電子ビームの後段加速電圧10を印加する。また、試料12に重畳電圧13を印加して加速円筒9と試料12の間に一次電子ビームに対する減速電界を形成する。試料12から発生された二次電子や反射電子等の二次信号23は、試料直前の電界(減速電界)で加速円筒9内に吸引され、加速円筒9より上方に配置された二次電子検出器により検出される。
【選択図】図1
Description
成等を表す二次元の走査像を得る走査形電子顕微鏡に関し、特に低加速電圧領域で分解能
の高い走査像を得るのに好適な走査形電子顕微鏡に関する。
電又は磁界レンズで細い電子ビーム(一次電子ビーム)とし、この一次電子ビームを走査
偏向器を用いて観察する試料上に走査し、一次電子ビーム照射で試料から二次的に発生す
る二次電子又は反射電子等の二次信号を検出し、検出信号強度を一次電子ビーム走査と同
期して走査されているブラウン管の輝度変調入力とすることで二次元の走査像を得る。一
般の走査形電子顕微鏡では、負電位を印加した電子源と接地電位にある陽極間で電子源か
ら放出された電子を加速し、接地電位にある検査試料に電子ビームを走査している。
よる寸法測定や電気的動作の検査)に使われるようになった結果、絶縁物を帯電なしに観
察できる1000ボルト以下の低加速電圧で10nm以下の高分解能が要求されるように
なってきた。
のエネルギーのバラツキを原因とする色収差による電子ビームのぼけである。低加速電圧
の走査形電子顕微鏡では、この色収差によるぼけを小さくするため、放出される電子ビー
ムのエネルギーのバラツキの小さい電界放出形の電子源が主に用いられている。しかし、
電界放出形の電子源をもってしても、500ボルトでの空間分解能は10〜15nmが限
界で、ユーザの要求を満たせないものとなっている。
最終の加速電圧より高い電圧値に設定し、接地電位にある対物レンズと負電位を印加され
た検査試料の間で一次電子を減速することで最終の低加速電圧へ設定する方法がある(参
照:アイ・トリプルイー,第9回アニュアルシンポジュウム オン エレクトロン イオ
ン アンド レーザ テクノロジーのプロシーデング,176〜186頁,IEEE 9th
Annual Symposium on Electron, Ion and Laser Technology)。
、二次電子が減速電界で鏡体内に引き込まれ検出することが困難であること、絶縁性の高
い試料ステージを必要とすることから、市販装置に採用された例はほとんどない。
物レンズと試料との間に印加された電界で対物レンズの開口内に吸引された二次電子又は
反射電子等の二次信号を対物レンズを通過した後に検出する手段を設けることで二次信号
検出の問題を解決し、また、対物レンズ通路に後段加速手段を設けることで試料に印加す
る負電位を実用可能な値にまで低下させ、市販装置に採用できる構造としたものである。
る走査偏向器と、一次電子ビームを収束する対物レンズと、一次電子ビームの照射により
試料から発生する二次信号を検出する二次信号検出器とを含み、試料の二次元走査像を得
る走査形電子顕微鏡において、対物レンズの電子ビーム通路に配置された加速円筒と、加
速円筒に一次電子ビームの後段加速電圧を印加する手段と、加速円筒と試料の間に一次電
子ビームに対する減速電界を形成する手段とを備え、二次信号検出器を加速円筒より電子
源側の位置に配置したことを特徴とする。
電位が印加されることに起因する取扱いの問題を解決することができ、低加速電圧の領域
において色収差を軽減した走査形電子顕微鏡を実現することができる。
反射板で発生した二次電子を吸引する吸引手段と、吸引した二次電子を検出する検出手段
を含むことができる。吸引手段は電界とこれに直交する磁界で作り、電界による一次電子
ビームの偏向を磁界によって打ち消すようにすることができる。この方式の二次信号検出
法は、加速円筒を設けない場合、又は加速円筒を0V(接地電位)とした場合にも適用可
能である。
トで構成してもよいし、一次電子ビームを通過させる開口を有する蛍光体と螢光体の発光
を検出する光検出器で構成してもよい。
いずれか一方又はその両方とすることができる。2箇所に二次信号検出器を設けた場合に
は、そのいずれか一方の検出信号を用いて走査像を形成することもできるし、2つの検出
器の検出信号を演算して走査像を形成することもできる。いずれの方法によって走査像を
形成するかは、走査像倍率又は予め与えられた観察条件に応じて自動的に選択するように
してもよい。この2個の二次信号検出器を用いる方式も、加速円筒が設けられていない場
合、又は加速円筒を0V(接地電位)とした場合に適用可能である。
ムに対しては所望の偏向を与えるが試料側から吸引された二次信号に対しては偏向を与え
ないようにすることができる。この静電偏向と磁界偏向を組合せる偏向方法は、加速円筒
が設けられていない場合にも適用できる。
する電圧と電子源に印加する電子銃電圧の比を一定に保ちながら後段加速電圧及び試料印
加電圧を制御すると、試料から発生した二次信号のクロスオーバー点を一定位置に維持す
ることが可能である。
レンズ中心を一致させることで、減速電界によって形成される静電レンズ作用による走査
像の歪をなくすことができる。
加することで上磁極に加速円筒を兼用させると、前記磁界レンズと静電レンズの中心を一
致させることが容易になる。
速電圧より高くすることができ、対物レンズで発生する収差によるビームのぼけを少なく
することができる。また、電子ビーム通路内に反射板を設けることにより、これまで困難
であった二次電子又は反射電子等の二次信号を効率良く検出することができる。
出電極2との間に引出電圧3を印加すると、放出電子4が放出される。放出電子4は、引
出電極2と接地電位にある陽極5の間でさらに加速(減速の場合もある)される。陽極5
を通過した電子ビームのエネルギー(加速電圧)は電子銃加速電圧6と一致する。本発明
では、この陽極5を通過した一次電子ビーム7を、さらに対物レンズ8を貫通して設けら
れた加速円筒9で後段加速する。対物レンズ8内を通過するときの電子ビームのエネルギ
ーは、電子銃加速電圧6と加速円筒9に印加される後段加速電圧10の和になる。この後
段加速された一次電子ビーム11を試料12に印加した負の重畳電圧13で減速し、所望
の加速電圧にする。この方法の実質の加速電圧は後段加速電圧10に関係なく、電子銃加
速電圧6と重畳電圧13の差になる。
査偏向器16で走査偏向を受けた後、対物レンズ8の通路に設けられた加速円筒9でさら
に後段加速電圧10の加速を受ける。後段加速された一次電子ビーム11は、対物レンズ
8で試料12上に細く絞られる。対物レンズ8を通過した一次電子ビーム11は、対物レ
ンズ8と試料12間に作られた減速電界17で減速され、試料12に到達する。
速電圧よりも高くなっている。この結果、最終的な加速電圧の一次電子ビームを対物レン
ズ8に通す場合に比較すると、対物レンズでの色収差が減少し、より細い電子ビーム(高
分解能)が得られる。対物レンズ8の一次電子ビームの開き角は、コンデンサレンズ14
の下方に置かれた絞り18で決められる。絞り18のセンタリングは調整つまみ19で行
う。図では機械的な調節を行っているが、絞り18の前後に静電又は磁界偏向器を設け、
電子ビームを偏向させて調整してもよい。
12上を走査されるが、このとき上走査偏向器15と下走査偏向器16の偏向方向と強度
は、走査した電子ビームが常に対物レンズ8の中央を通るように調整されている。試料
12は重畳電圧13が印加された試料ホルダ20の上に固定されている。試料ホルダ20
は絶縁台21を介して試料ステージ22に載せられ、水平位置の調整が可能になっている
。
8と試料12間に作られた減速電界17は二次電子23に対しては加速電界として働くた
め、対物レンズ8の通路内に吸引され、対物レンズ8の磁界でレンズ作用を受けながら昇
っていく。対物レンズ8内を通過した二次電子23は対物レンズ8と下走査偏向器16の
間に置かれた吸引電極24の横方向電界で吸引され、吸引電極24のメッシュを透過した
後、10kV(正電位)が印加されたシンチレータ25で加速され、シンチレータ25を
光らせる。発光した光はライトガイド26で光電子増倍管27に導かれ電気信号に変換さ
れる。光電子増倍管27の出力はさらに増幅され、ブラウン管(図示せず)の輝度変調入
力になる。
電子ビームの加速電圧は最終のエネルギーよりも高いことであり、特に色収差を支配する
対物レンズ8を通過するときは更に後段加速が加わっていることである。典型的な例では
、電子銃加速電圧:1000ボルト,後段加速電圧:1000ボルト,試料12への負の
重畳電圧:500ボルトで、実質の加速電圧:500ボルトである。対物レンズ8を通過
するときは2000ボルトになっているため色収差は約50%に減少し、加速電圧を500
ボルトとした場合には15nmであったビーム径(分解能)が、7nmに改善される。
た。この方法は重畳電圧13が高くなると二次電子23のエネルギーが高くなるため、そ
れに相応して吸引電極24に与える電圧を高くする必要がある。その結果、一次電子ビー
ム(陽極5を通過した一次電子ビーム7)をも偏向してしまう問題が生じる。
。本実施例では、電子線通路に中央孔28のある反射板29を設ける。反射板は、金,銀
,白金等、電子照射によって二次電子を発生しやすい材料が表面にコーティングされてい
る。陽極5を通過した一次電子ビーム7は反射板29の中央孔28を通過した後、加速円
筒9に入る。中央孔28の径は、走査偏向器15,16で偏向した電子ビームが反射板
29に衝突しない大きさに設定される。試料12で発生し重畳電圧13で加速された二次
電子23は、対物レンズ8のレンズ作用で発散しながら加速円筒9を通過し、反射板29
の裏面に衝突する。二次電子と軌道は異なるが、試料12で発生した反射電子も同様に反
射板29の裏面に衝突する。
様にシンチレータ25,ライトガイド26,光電子増幅管27を経て電気信号に変換され
る。この方式の特長は、試料に印加する重畳電圧13が高く二次電子23の加速が高くな
っても、検出しているのは加速を受けていない反射板29で作られた二次電子30である
ため、吸引電極24に与える電圧が低くてよいことである。そのため、吸引電極24の発
生する電界が陽極5を通過した一次電子ビーム7に与える影響を小さくすることができる
。ここでは吸引された二次電子の検出にシンチレータ25を用いたが、チャンネルプレー
トやマルチチャンネルプレート等の電子検出増幅器を用いてもよい。
した例である。この構造にすると、前述した吸引電界Eによる一次電子ビームの偏向を補
正することができる。すなわち、陽極5を通過した一次電子ビーム7の偏向を磁界Bによ
る偏向で補正する。ここで31′,31″は吸引電界を作る電界偏向電極で、31″は二
次電子30が透過できるようにメッシュになっている。32′,32″は直交磁場偏向コ
イルである(磁界Bを発生するコイル32′,32″は、図にはシンボリックに表示して
ある)。この直交磁場偏向コイル32′,32″が作る磁界Bは電界Eと直交し、磁界B
の強さは加速された電子ビーム7が受ける電界Eによる偏向を打ち消すように調整されて
いる。この実施例では直交磁場偏向コイル32を一組としているが、直交磁場偏向コイル
を角度を持って配置された二組とすれば、各組のコイルに流す電流等を調整することによ
って電界との直交度を厳密に調整することができる。直交磁場偏向コイル32を二組とす
る代わりに電界偏向電極を二組として電界の方向を調整しても、電界と磁界の直交度を厳
密に調整することが可能であることは言うまでもない。
られていない場合、あるいは加速円筒9を接地した場合にも有効に動作する。
信号検出器が上走査偏向器15と絞り18の間に設けられている。図2と同様に反射板
29に中央孔28が設けられているが、ここでは一次電子ビームはまだ走査偏向をされて
いないため、中央孔28の大きさは最小一次電子ビームの開口角を制限する絞り18と同
じ径であっても良い。図の実施例では、絞り18の下方に直径0.1mm の中央孔28を持
った反射板29が設置されている。絞り18と反射板29を共用することも可能である。
子ビームが衝突しない大きさに設定されていた。中央孔28の大きさを典型的な例で比較
すると、下方に設置した場合は3〜4mmの大きさが必要であるが、上方に設置した場合に
は0.1mm 以下でよい。このように、反射板を走査偏向器の上方に設置すると反射板の中
央孔を充分小さくできることから、二次電子の反射板による捕獲効率が向上する。
置は対物レンズ8の色収差係数を小さくするもので、より高分解能を追及する形状である
。試料ステージ22も対物レンズ8内に設けられる。
走査偏向器15の上に上検出器33が、下走査偏向器16と加速円筒9の間に下検出器
34が設けられている。上検出器33及び下検出器34は、図3及び図4に示すように、
それぞれ反射板29a,29b,電界偏向電極31a,31b,直交磁界偏向コイル32a
,32b,シンチレータ25a,25b,ライトガイド26a,26b,光電子増倍管
27a,27bを備える。
は反射電子を上検出器33で検出することができる。上検出器33で検出される二次信号
は試料12から垂直方向に出射した二次電子と反射電子を多く含むことから、下検出器
34とはコントラストの異なった像が得られる。例えば、半導体素子の製造プロセスにお
けるコンタクトホールの検査において、下検出器34を用いると周囲からコンタクトホー
ルの部分を強調した像が得られ、上検出器33を用いるとコンタクトホールの底部の精細
な像が得られる。また、両検出器33,34の信号を演算することにより試料の特徴を強
調したコントラストを作ることも可能である。
予め決められた条件で自動的に選択するようにしても良い。例えば観察倍率が2000倍
以下では下検出器34を選択し、それより高い倍率では上検出器33を選択する。また、
観察する試料によって選択するようにしても良い。この場合には、観察する試料の種類を
装置に入力する等の手続きを行う。例えば、半導体素子のコンタクトホールの観察が入力
された場合には、ホール内部を強調する上検出器33を自動的に選択し、表面のレジスト
を観察する場合には下検出器34を選択する。
を接地しても、その効果は大きく、十分実用的である。
マルチチャンネルプレート35は円板状で、一次電子ビームを通す中央孔28が設けられ
ている。また、マルチチャンネルプレート35の下方にはメッシュ37が設けられ、接地
されている。このような構成において、陽極5を通過した一次電子ビーム7はマイクロチ
ャンネルプレートの中央孔28を通過した後、対物レンズで収束されて試料に照射される
。試料で発生した二次電子23は、メッシュ37を通過してチャンネルプレート35に入
射する。チャンネルプレート35に入射した二次電子23は、チャンネルプレート35の
両端に印加された増幅電圧38で加速,増幅される。増幅された電子39はアノード電圧
40でさらに加速されてアノード41に捕獲される。捕獲された二次電子信号は増幅器
42で増幅された後、光変換回路43で光信号44に変換される。光信号44に変換する
のは、増幅器42がチャンネルプレート本体35の増幅電圧38でフローテングになって
いるためである。光信号44は接地電位の電気変換回路45で再び電気信号に変換され、
走査像の輝度変調信号として利用される。
得ることも可能である。この場合、増幅器42,光変換回路43,電気変換回路45が分
割に相当する数だけ必要であること、分割された信号を演算する信号処理が行われること
はいうまでもない。
て単結晶シンチレータ46は、例えば円柱状のYAG単結晶を斜めに切断し、その切断面
に一次電子ビームを通過させるための開口部47を設けたものであり、その先端部には金
属又はカーボン等の導電性薄膜48がコーティングされ、導電性薄膜48は接地されてい
る。試料12から発生した二次電子23がシンチレータ46を照射することで発光した光
は、斜め部分で反射し、円柱の部分が構成するライトガイドで光電子増倍管27に導かれ
検出,増幅される。なお、本実施例ではシンチレータ46の発光部とライトガイドを共に
YAG単結晶により構成するものとして説明したが、二次電子を検出する発光部のみを
YAG単結晶あるいは螢光体とし、ライトガイドをガラスや樹脂などの透明体で構成する
ようにしても良い。
次電子)23は対物レンズ8の磁場内を通過するためレンズ作用を受け、二次電子のクロ
スオーバ49が作られる。もし、レンズ作用で二次電子がシンチレータ46の開口47に
焦点を結ぶと、ほとんどの二次電子が開口47を通過してしまい検出できなくなる。そこ
で焦点を反射板前後に結ぶように調整し、検出効率を上げている。実施例では、加速電圧
(実質の加速電圧)を変えたときに二次電子の焦点位置を変化させないように、後段加速
電圧、試料に印加する重畳電圧を制御している。
界を通過するときの電子の加速電圧をVとして、変数I・N/V1/2 の関数である。一次
電子がレンズ磁界を通過するときの加速電圧は、Voを電子銃加速電圧、Vbを加速円筒
に印加する後段加速電圧とするとき、(Vo+Vb)である。試料位置(焦点距離)が一定
であることから、I・N/(Vo+Vb)1/2 は常に一定値(=a)になる。二次電子がレ
ンズ磁界を通過するときの加速電圧は、試料に印加する重畳電圧をVrとするとき、
(Vr+Vb)で、変数I・N/V1/2は次式で表される。
=a{1+(Vb/Vo)}1/2/{(Vr/Vo)
+(Vb/Vo)}1/2
この式から、Vr/Vo,Vb/Vo比を一定で制御すれば、二次電子の焦点位置は一
定になる。すなわち、Vr/Vo,Vb/Vo比を一定として後段加速電圧Vb及び試料
の重畳電圧Vrを制御すれば、加速電圧(実質の加速電圧)に依存することなく二次電子
の焦点位置を一定に制御できる。
8と試料12の間に制御電極36が設けられ、これに制御電圧50が印加されている。こ
の制御電極36には電子ビームが通過する孔が開いている。この制御電極36で、加速円
筒9と試料12の間で試料12の表面に加わる電界強度を制御する。この構成は、試料に
強い電界が印加されると不都合な場合に有効である。例えば、半導体集積回路の形成され
たウェーハの強電界による素子破損の問題がある場合である。
題に有効である。より具体的には試料(ウェーハ)の側面,裏面が絶縁体で覆われてしま
うような場合、レターディングのための電気的な接続をすることが出来ない。また試料
(ウェーハ)12は、試料ホルダ20と対物レンズ8の間で作られた電界中にあり、制御
電極がない場合、試料ホルダ20に印加した重畳電圧13と接地電位にある対物レンズ8
の中間の電位しか印加されないため、正常な観察が出来なくなるからである。
るいは試料ホルダ20より数十ボルト正電位とすることで、素子の破損やウェーハが試料
ホルダ20の電位から浮いてしまうことを防ぐことができる。この場合、制御電極36が
常に試料(ウェーハ)を覆うような充分な大きさにする。
設け、該制御電極60に試料ホルダ20に印加する重畳電圧13と同一の電圧を印加する
。試料ホルダ20と同一電位の制御電極60を試料(ウェーハ)12上に設置すると、ウェ
ーハは同一電位の金属で囲まれることになり、該ウェーハは囲んでいる金属の電位と同電
位になる。厳密には陽極5を通過した一次電子ビーム7を通す開口59からの電界の侵入
が金属の電位との誤差になる。この誤差は概略、試料(ウェーハ)12の面積と開口59
の面積の割合である。例えばウェーハが8インチで開口59の直径が10mmであると、面
積比は1/400で電位の誤差は1%となり十分小さな値となる。
に印加することが可能となる。
どと電気的な接続ができない場合であっても、レターディングのための電圧を印加するこ
とが可能となる。
に位置する部分を重畳電圧13を印加するための導電体で形成することで、上述の如くウ
ェーハは同一電位の金属で囲まれることになる。試料ホルダはそのものが導電体であって
も良く、また試料ホルダ内に導電体を挿入しても良い。
60には試料ホルダ20に印加される重畳電圧13と同じ電圧が印加されている。これに
より、試料(ウェーハ)12は同一電圧の印加された試料ホルダ20と制御電極60で囲
まれることになり、前述したように試料(ウェーハ)12が絶縁膜で覆われていても、重畳
電圧13の電圧を試料(ウェーハ)に印加させることが出来る。
59の大きさは観察しようとする視野を妨げない大きさとする。この実施の態様では開口
59の大きさは直径4mmである。制御電極60と試料(ウェーハ)12との間隔が1mmなの
で、直径4mmの視野があることになる。また減速電界が開口59を通して、ウェーハまで
到達しているため、二次電子を効率よく対物レンズ8上に引き上げることが出来る。開口
径を小さくした場合は、減速電界が試料(ウェーハ)12に到達しないが、ウェーハを傾
斜したり、試料に凹凸がある場合にはこのような条件の方がよく、非点収差の発生や視野
ずれを低減することが出来る。
ここでもし、試料(ウェーハ)12の中心点から大きく外れたところを観察対象としたと
き、試料(ウェーハ)12を大きく移動させる必要がある。このとき試料(ウェーハ)
12が、制御電極60から外れると、試料(ウェーハ)12の電位が変化し、一定のレタ
ーディング電圧を印加することが出来なくなる。
て制御電極を形成している。この構成によりステージ22によって試料(ウェーハ)12
の位置が変化しても一定のレターディング電圧を印加でき、更に対物レンズ8と試料(ウ
ェーハ)12間に生ずる電界による素子破壊を防止できる。
ことが望ましい。具体的には8インチウェーハの全面を観察するための制御電極の直径は
直径400mmの大きさにする。このような構成によってウェーハを如何に移動させても、
ウェーハに印加される電圧を一定に保つことができる。
スリットが形成された形状のものとすることによって、真空排気性を向上させることもで
きる。この場合、孔径,スリット幅はウェーハと制御電極の間隔よりも小さいことが望ま
しい。
12に照射されると、二次電子62が発生する。発生した二次電子62は一次電子63c
に対する減速電界で逆に加速されて対物レンズ8の上方に導かれる。この際対物レンズ8
の磁界によって、レンズ作用を受けるため図に示すように焦点を作りながら対物レンズ8
上に導かれる。
子30は対向して置かれた負電位の印加された偏向電極31′と正電位の印加された偏向
電極31″の作る電界で偏向される。偏向電極31″はメッシュで作られているので二次
電子30はメッシュを通過してシンチレータ25で検出される。32″,32′は偏向コ
イルであり、偏向電極31′,31″の作る電界と直交した磁界を作り、偏向電極31′
,31″の作る電界による一次電子線ビーム63bの偏向作用を相殺している。
走査することにより発生する汚染(コンタミネーション)を減少させることも可能である
。
12,試料ホルダ20,絶縁台21,試料ステージ22等の構成要素は真空筐体66に納
められている。尚、真空排気系は図示を省略している。
料交換作業や、真空筐体66内を大気にすることを避けなければならない。換言すれば、
電子ビームを試料12上に走査させているときだけ重畳電圧13を印加するようにすれば
よい。
加速電圧6が印加されている第1の条件と、電界放射陰極1と試料12の間に設けられた
バルブ69,バルブ70の両者が開いている第2の条件と、試料交換機構67が試料12
を試料ステージ22に乗せるために通過するバルブ71が閉じている第3の条件とが全て
満たされたときのみ、スイッチ72が閉じて試料12に重畳電圧13が印加される制御が
行われている。
おり、スイッチ72が開放されると試料12にチャージされた電荷は試料ホルダ20,放
電抵抗73,試料ステージ22(試料ステージ22は接地されている)を介して一定の時
定数のもとに速やかに放電され、試料12の電位が下がるようになっている。放電抵抗は
重畳電圧13の電源に内蔵しても良い。
加速電圧の印加が可能となり、更に真空筐体66の真空が設定値以上のときのみバルブ
69,70が開放されるようなシーケンスが組み込まれていることは言うまでもない。
13が印加されるものとして説明したが、これらのうちの1つ或いは2つの条件が満たさ
れたときにスイッチ72が閉じるようにしても良い。
試料ステージ22を持った走査型電子顕微鏡に適用したものである。この実施の態様では
制御電極76は試料75内の上部上面を覆うように取り付けられている。また見方によっ
ては対物レンズの形状に沿って配置されているともいえる。対物レンズの形状は試料12
の移動を妨げないように形成されており、図12のように傾斜装置を備えたような装置の
場合、試料12に向かって先鋭的な形状を有している。このような条件下で形成された対
物レンズに沿って制御電極を形成することによって、試料の移動を妨げることなく制御電
極を配置することが可能となる。
12が試料ホルダ20と制御電極76に包囲されるようになっている。この構成によれば
試料(ウェーハ)12の表面に電界が生じない。20aは試料(ウェーハ)12が傾いた
状態を示している。74は試料ステージ22に組み込まれた傾斜機構である。この実施の
態様では傾斜したときに制御電極76と試料(ウェーハ)12の間で作る電界が変化しな
いように制御電極76の開口65の直径は、開口65と試料12の距離より小さくするこ
とが望ましい。なお、制御電極76に印加する電圧を試料12に印加する電圧より、数十
V正電位とすることで二次電子の検出効率を向上することが出来る。
圧と、制御電極に印加される電圧に基づく複合的な電界の作用を考慮し、所望の電位が試
料に印加されるように、試料と制御電極のそれぞれに印加される電圧を設定することが望
ましい。
この場合は傾斜することにより観察位置ずれが生じるが、予め傾斜角とずれの量を計測し
、電子ビームを偏向する。あるいは試料ステージ22を水平移動させる等の補正を行うこ
とにより、このずれをなくすことも可能である。この実施の形態での制御電極76は対物
レンズ8の特性に影響を与えないように非磁性体の材料で作られている。
必ずしもこのように配置する必要はない。即ち最低限、試料の移動範囲に沿って形成され
ていればよく、このような構成によっても試料が、試料ホルダと制御電極に包囲されるこ
とになる。なおこれまで試料ホルダを、本願発明で言うところの導電体として説明してき
たが、例えば導電体を試料ホルダ上或いは下に配置するようにしても良い。また上述して
きた実施の態様の場合、試料以上に導電体を大きく形成することで、試料(ウェーハ)が
制御電極と導電体にほぼ包囲され、一定のレターディング電圧を印加することを可能なら
しめている。
ンズ8と試料12の間に接地するのではなく、励磁コイル78,上磁路77,下磁路79
から構成される対物レンズ8のなかで、試料12に対向する位置にある下磁路79を上磁
路77と電気的に絶縁し、これに重畳電圧13を印加している。下磁路79に印加する電
位を試料12より正電位として二次電子を効率よく対物レンズ8上に導くことも可能であ
る。
向器の上に二次電子検出器を設ける場合には、試料で発生した二次電子が走査偏向器を通
過するときに走査偏向器で偏向される。このため電子ビームの走査偏向角が大きくなる低
倍率時に二次電子の偏向も大きくなり、電子ビーム通路の内壁に衝突してしまい検出でき
なくなる可能性がある。本実施例はこの問題を解決したものである。走査偏向器は8極の
静電偏向器51a〜51hと、磁界偏向器52a〜52dで構成されている。
,51bに正電位を、51d,51e,51fに負電位を印加して偏向電界Exを作る。
ここで、図14に示すように、電極51a,51eには大きさVxの電位を印加し、その
両側の電極51h,51b,51d,51fにはその1/21/2 の大きさの電位を印加す
る。これは均一な電界を作る方法として良く知られた方法である。電界と同時に、磁界偏
向器52のコイル52a,52cに電流Ixを流し、図示するように電界Exと直交する
方向の磁界Bxを作る。この電界Exと磁界Bxは下方から来る二次電子に対しては偏向
を打ち消し、上方からの一次電子に対しては強めあうように働く。
界による偏向θ(E)の差となる。
=L/8・Ex/Vr−(e/2m)1/2BxL/Vr1/2
ここで、Lは電界と磁界の作用距離、eとmはそれぞれ電子の電荷と質量、Vrは二次
電子が走査偏向器を通過するときの加速電圧である。ExとBxの比を下式とすると、下
方から来る二次電子は偏向を受けないことになる。
一方、一次電子の偏向に関しては、磁界偏向に電界偏向が加算され、下式のようになる
。式中、Voは電子銃加速電圧である。
=(e/2m)1/2BxL/Vo1/2+L/8・Ex/Vo1/2
従って、二次電子を偏向しない条件での偏向角θ(o)は下式のようになる。
ここまではx軸方向への偏向について説明した。y軸方向への偏向も同様にして行う。
すなわち、電極51cの電位をVyに、電極51b,51dの電位をVy/21/2 にし、
電極51gの電位を−Vyに、電極51f,51hの電位を−Vy/21/2 にして、y軸
方向の偏向電界Eyを発生する。同時に、磁界偏向器のコイル52b,52dに電流Iy
を流して電界Eyと直交する磁界Byを発生する。この電界Eyと磁界Byは、前述と同
様に、下方から来る二次電子に対しては偏向を打ち消し、上方から来る一次電子に対して
は強め合うような大きさとされる。
偏向電極の電位は、図14に図示したように、x軸方向への偏向電位とy軸方向への偏向
電位を足し合わせたものとなる。なお、実際の装置では、この偏向器を上走査偏向器と下
走査偏向器の2段とし、偏向した一次電子が対物レンズのレンズ中心を通るようにする。
そして、偏向電極の電位Vx,Vy及び偏向コイル電流Ix,Iyを上記の関係を維持し
ながら時間変化させることにより試料上で所望の一次電子ビームの走査が実現される。
レンズ中心の関係について説明する。図15(a)は、磁界形対物レンズ8の中心CBと
加速円筒9と試料12の間に形成される静電レンズの中心CEが一致していない場合の問
題点を説明する図である。この場合、後段加速された一次電子ビーム11は磁界レンズの
中心CBを通るように偏向されるが、静電レンズの中心CEからは距離dだけずれて通過
する。ずれ量dが大きくなると静電レンズのレンズ作用に球面収差が加わり、走査像が歪
んでしまう。
で作られる静電レンズのレンズ中心CEを一致させた例を示す。本実施例は、対物レンズ
8の上磁極53を試料12に対面するように突出させ、静電レンズの形成される試料12
と加速円筒9の間に磁界を作ることで両レンズの中心を一致させたものである。この結果
、後段加速された一次電子ビーム11が静電レンズのレンズ作用を受けることがないため
、歪のない走査像を得ることができた。
の構造を示す。これまで示した実施例では、対物レンズ8の電子ビーム通路内部に加速円
筒9を挿入していた。この場合、加速円筒が作る静電レンズと対物レンズの作る磁界レン
ズの軸中心がずれると分解能の低下を招くため、両者の機械的中心を精度良く合わせる必
要がある。この実施例はこの点に着目したもので、対物レンズ8の上磁極53を下磁極
54の端部レベルまで突出させて、試料12に対面させる。さらに、上磁極53を絶縁板
55で対物レンズの残部から電気的に絶縁し、これに後段加速電圧10を印加している。
兼用となっているため、前述したような静電レンズと磁界レンズのずれを生じることがな
い。また、磁界レンズの上磁極53が試料12に直接対面し、しかもこれに後段加速電圧
が印加されていることから、軸中心ばかりでなく、静電レンズと磁界レンズのレンズ中心
の位置をも一致させることができる。
銃加速電圧、7…陽極5を通過した一次電子ビーム、8…対物レンズ、9…加速円筒、
10…後段加速電圧、11…後段加速された一次電子ビーム、12…試料、13…重畳電
圧、14…コンデンサレンズ、15…上走査偏向器、16…下走査偏向器、17…減速電
界、18…絞り、19…調整つまみ、20…試料ホルダ、21…絶縁台、22…試料ステ
ージ、23…二次電子、24…吸引電極、25…シンチレータ、26…ライトガイド、
27…光電子増幅管、28…中央孔、29…反射板、30…反射板で作られた二次電子、
31…電界偏向電極、32…直交磁界偏向コイル、33…上検出器、34…下検出器、
35…チャンネルプレート本体、36…制御電極、37…メッシュ、39…増幅された電
子、40…アノード電圧、41…アノード、42…増幅器、43…光変換回路、44…光
信号、45…電気変換回路、46…単結晶シンチレータ、47…開口、48…導電性コー
ティング、49…二次電子のクロスオーバ、50…制御電圧、51a〜51h…静電偏向
電極、52a〜52d…磁界偏向コイル、53…上磁極、54…下磁極、55…絶縁板。
Claims (14)
- 電子源と、電子源から発生した一次電子ビームを試料上に走査する走査偏向器と、前記一次電子ビームを収束する対物レンズと、一次電子ビームの照射により試料から発生する二次信号を検出する二次信号検出器とを含み、試料の二次元走査像を得る走査形電子顕微鏡において、
前記対物レンズの電子ビーム通路に配置された加速円筒に一次電子ビームを加速する正電圧を印加する手段と試料に負電圧を印加する手段とを備え、前記加速円筒と試料の間に一次電子ビームを減速する電界を形成し、前記二次信号検出器を前記加速円筒より前記電子源側の位置に配置したことを特徴とする走査形電子顕微鏡。 - 前記二次信号検出器は、一次電子ビームを通過させる開口を有する導電性の反射板と、前記反射板で発生した二次電子を吸引する吸引手段と、吸引した二次電子を検出する検出手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記吸引手段は、電界とこれに直交する磁界で作られ、前記電界による一次電子ビームの偏向を前記磁界によって打ち消すことを特徴とする請求項2に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記二次信号検出器は、一次電子ビームを通過させる開口を有するマルチチャンネルプレートであることを特徴とする請求項1に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記二次電子検出器は、一次電子ビームを通過させる開口を有する蛍光体と前記螢光体の発光を検出する光検出器で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記加速円筒と前記走査偏向器の間に前記二次信号検出器が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記走査偏向器と前記電子源の間に前記二次信号検出器が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記加速円筒と前記走査偏向器の間に第1の二次信号検出器が設けられ、前記走査偏向器と前記電子源の間に第2の二次信号検出器が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記第1又は第2の二次信号検出器の検出信号を用いて、あるいは前記第1及び第2の二次信号検出器の検出信号を演算して走査像を形成することを特徴とする請求項8に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記第1又は第2の二次信号検出器の検出信号を単独で用いるか、あるいは前記第1及び第2の二次信号検出器の検出信号を演算して用いるかの選択を、走査像倍率又は予め与えられた観察条件に応じて自動的に選択することを特徴とする請求項9に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記走査偏向器が静電偏向と磁界偏向の組合せであり、一次電子ビームに対しては所望の偏向を与えるが試料側から吸引された二次信号に対しては偏向を与えないように調整されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記加速円筒に印加する後段加速電圧と前記電子源に印加する電子銃電圧の比、及び試料に印加する電圧と前記電子源に印加する電子銃電圧の比が一定に保たれていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記対物レンズの磁界が作るレンズ中心と、前記加速円筒と試料の間に形成される静電レンズのレンズ中心が一致していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の走査形電子顕微鏡。
- 前記対物レンズの上磁極を残部から電気的に絶縁し、前記絶縁した上磁極を前記加速円筒に変えて用いることを特徴とする請求項1に記載の走査形電子顕微鏡。
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