本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるシリアル伝送装置1の概略構成を示すブロック図である。なお、シリアル伝送装置1は、1つの差動対(1つのチャネル)を用いて、クロック情報を含めてデータの通信を行う。また、シリアル伝送装置1は、クロック情報を含めたデータの通信に、LVDS(Low Voltage Differential Signaling、低電圧差動伝送)方式の信号を用いている。
この図に示すように、本実施形態にかかるシリアル伝送装置1は、送信側回路2および受信側回路3を備えている。また、この図に示す例では、送信側回路2に送信したいデータが用意できた時、リンクイネーブル信号Pをアクティブ「H」にし、送信側から通信開始要求を出力する。受信側回路3は、信号Pを受けると、LVDSバッファ内の電流源を立ち上げ使用可能状態とし、同時にPLLの発振を開始し、受信される同期パターンに同期を試みる。送信側回路(シリアル信号送信装置)2は、ラッチ回路4、分周器5、パラレルシリアル(P/S)変換回路6、シリアルデータ挿入回路7、タイミング制御回路8、同期パターン生成回路9、送信器10Tを備えている。
受信側回路(シリアル信号受信装置)3は、受信器10R、シリアルパラレル(S/P)変換回路11、PLL12、タイミング制御回路13を備えている。なお、受信器10Rには終端抵抗(図示せず)が内蔵されている。
送信側回路2には、入力データ信号Dinおよび入力クロック信号CLKinが外部から入力される。より詳細には、入力データ信号Dinが送信側回路2に備えられるラッチ回路4のデータ入力端子に入力され、入力クロック信号CLKinが送信側回路2に備えられる分周器5およびタイミング制御回路8に入力される。なお、入力データ信号Dinのデータサイズは特に限定されるものではないが、本実施形態では20ビットの場合について説明する。
分周器5は、入力された入力クロック信号CLKinの周波数を1/n倍(nは整数)に下げる(分周する)。なお、本実施形態では、送信側回路2に129.024MHzの入力クロック信号CLKinが入力され、分周器5が入力クロック信号CLKinの周波数を1/24倍の5.376MHzに下げることにより、送信クロック信号TCLKを生成するようになっている。そして、分周器5は、このように生成した送信クロック周波数TCLKを、ラッチ回路4のクロック端子に出力する。
ラッチ回路4は、データ入力端子に入力された入力データ信号Dinを、クロック端子に入力された送信クロック信号TCLKに応じたタイミングで、パラレルシリアル変換回路6に出力する。
パラレルシリアル変換回路6は、入力された入力データ信号(パラレルデータ信号)Dinを、シリアルデータ信号SDに変換し、シリアルデータ挿入回路7に出力する。なお、シリアルデータ信号SDへの変換方法は特に限定されるものではないが、本実施形態では、LVDS方式で、パラレルデータ信号Dinをシリアルデータ信号SDに変換する。
一方、送信側回路2に入力された入力クロック信号CLKinは、上記した分周器5だけでなく、タイミング制御回路8にも入力される。
タイミング制御回路8は、入力された入力クロック信号CLKinと受信側回路3から出力されるPLLロック信号nLOCKとに応じて、同期パターン生成回路9に同期パターン生成指示信号αを出力し、シリアルデータ挿入回路7にシリアルデータ挿入指示信号βを出力する。なお、PLLロック信号nLOCKについては後述する。
同期パターン生成回路9は、タイミング制御回路8からの同期パターン生成指示信号αに応じて、24ビット(bit)の同期パターンSYNC(後述する表1参照)を生成し、シリアルデータ挿入回路7に出力する。
シリアルデータ挿入回路7は、パラレルシリアル変換回路6から入力された20ビットのシリアルデータ信号SDにスタートビット,同期パターン区別ビット,パリティビット,ストップビットを付加した24ビットのデータ信号(シリアル信号)、または、フレームおよびラインの開始または終了を示す24ビットのコマンド信号(シリアル信号)を生成する。そして、生成したデータ信号(データ)またはコマンド信号(コマンド)を、タイミング制御回路8から入力されたシリアルデータ挿入指示信号βに応じて、同期パターンの間に挿入して送信器10Tに出力する。また、シリアルデータ挿入回路7は、送信すべきシリアルデータ信号SD(データ信号またはコマンド信号)がない場合には、同期パターンSYNCを送信器10Tに出力し続ける。また、送信すべきシリアルデータがある場合であっても、nLOCKが「H」の場合(受信側回路3が同期していない場合)は、同期パターンSYNCを出力し続け、シリアルデータを待たせる。なお、本実施形態では、シリアルデータ挿入回路7から送信器10Tに出力されて送信される信号、すなわち、上記した24ビットのデータ信号、コマンド信号、同期パターンを、送信データ信号TDATAとする。
下記の表1は、送信データ信号TDATAのデータフォーマットを示している。
この表に示すように、同期パターンSYNCは、最上位ビット(MSB;Most Significant Bit)から始まる12ビットが全て「1」、13ビット目から最下位ビット(LSB(Least Significant Bit))までの12ビットが全て「0」の、合計24ビットで構成されている。すなわち、同期パターンSYNCは、上記データ信号およびコマンド信号と同じデータ長(1シンボル=24ビット)からなる。
一方、送信データ信号TDATAは、スタートビット(最上位ビット)が「1」となっている。また、次のビット(最上位ビットから2ビット目)が、同期パターンSYNCと送信データ信号TDATAとを区別するための同期パターン区別ビットとして「0」になっている。
そして、その次のビット(最上位ビットから3ビット目)が、データ信号とコマンド信号とを識別するためのデータ/コマンド識別ビットであり、コマンド信号の場合には「1」、データ信号の場合には「0」となる。また、その次のビット(最上位ビットから4ビット目)は、データ信号およびコマンド信号のいずれの場合にもリザーブビットとして「0」が割り振られている。
また、データ信号およびコマンド信号のいずれの場合にも、ストップビット(最下位ビット)は「0」となっており、その直前のビット(最上位ビットから23ビット目)には、エラーチェックのためのパリティビットが割り振られている。
そして、最上位ビットから5ビット目〜22ビット目までは、コマンド信号およびデータ信号の内容を示すビットとなっている。
コマンド信号の場合、最上位ビットから5ビット目〜19ビット目までは全て「0」となっており、20ビット目〜22ビット目までで、コマンド信号の内容が示されている。すなわち、20ビット目〜22ビット目のうち、22ビット目のみが「1」の場合にはフレームの開始を示し、21ビット目のみが「1」の場合にはフレームの終了を示し、20ビット目のみが「0」の場合にはラインの開始を示し、20ビット目のみが「1」の場合にはラインの終了を示している。
データ信号の場合、5ビット目〜22ビット目までの間に、例えば、8ビット×2、16ビット、18ビット、RGB565(16ビット)、RGB666(18ビット)などのデータ信号が、表1に示すように割り振られる。
送信器10Tは、シリアルデータ挿入回路7から入力された送信データ信号TDATAを、1対の差動信号TxPおよびTxNに変換し、送信クロック信号TCLKに応じたタイミングで、正端子から信号線14Pに差動信号TxPを出力し、負端子から信号線14Nに差動信号TxNを出力する。なお、図1に示すように、送信器10T、受信器10R、PLL12(PLL12内に備えられるVCO25)に入力されるリンクイネーブル信号Pは、図示しない制御部より入力される。
図2は、入力データ信号Din、送信クロック信号TCLK、差動信号TxP、差動信号TxNの関係を示すタイミングチャートである。この図に示すように、20ビットの入力データ信号Dinが、1シンボル=24ビットの差動信号TxPおよびTxNに変換され、送信クロック信号TCLKの立ち上がりに応じたタイミングでスタートビットから順に出力される。
なお、本実施形態にかかるシリアル伝送装置1では、LVDS方式を採用しているので、シリアルデータ信号SDを送信しない期間、同期パターンSYNCを送信し続けても、消費電力は同期パターンを送信しない場合とほとんど変わらない。
受信側回路3に備えられている受信器10Rは、信号線14Pおよび信号線14Nを介して送信側回路2に備えられている送信器10Tと接続されている。そして、受信器10Rは、送信器10Tから出力された差動信号TxPおよびTxNを差動信号RxPおよびRxNとしてそれぞれ受信し、受信した差動信号RxPおよびRxNを基に、送信器10Tによって差動信号TxPおよびTxNに変換される前の送信データ信号TDATAを再現した受信データ信号RDATA、すなわち、上記の表1に示した24ビットのデータ信号またはコマンド信号または同期パターンSYNCに変換する。そして、変換した受信データ信号RDATAを、シリアルパラレル変換回路11およびPLL12に出力する。
PLL(Phase Locked Loop、位相固定ループ)12は、受信データ信号RDATAに同期させた周波数信号を発生させる。より詳細には、PLL12は、出力する周波数信号(発振信号)PLL_OUTの位相を、初期化時には受信データ信号RDATAに含まれる同期パターンSYNCに同期させ、データ信号またはコマンド信号の受信時には、受信データ信号RDATAに含まれるデータ信号またはコマンド信号に同期させてロック(固定)する。すなわち、PLL12は、図3に示すように、データ送信中には、受信データ信号RDATAに含まれるスタートビットおよびストップビットを用いて出力信号PLL_OUTの位相を同期させ、受信データ信号RDATAがない時には、連続送出されてくる同期パターンを用いて出力信号PLL_OUTの位相を同期させる。そして、PLL12は、上記のように同期させた出力信号PLL_OUTをタイミング制御回路13に出力する。
また、PLL12は、位相のロック状態を検出し、検出結果を示すPLLロック信号nLOCKを送信側回路2に備えられるタイミング制御回路8に出力しており、通信中にロックが外れた場合(位相がずれた場合)には、PLLロック信号nLOCKを「L(固定通知信号)」から「H(固定解除信号)」に切り替える。
図4は、シリアル伝送装置1の初期化時における同期シーケンスを示している。この図に示すように、シリアル伝送装置1では、送信器10Tと受信器10Rとの間で伝送される1対の差動信号TxP(RxP)およびTxN(RxN)に含まれる、12ビットの「1」と12ビットの「0」との繰り返しパターンからなる同期パターンSYNCに基づいて、PLL12の出力信号PLL_OUTを受信データ信号RDATAに同期させる。なお、この同期処理は、リンクイネーブル信号Pにより、PLLの発振を開始し、さらに同期パターンに位相をロックすることにより行なわれる。そして、同期が確立すると、出力信号PLL_OUTの位相を同期させてロックしたことを示す信号(PLLロック信号nLOCK=「L」)を送信側回路2に送信し、データ送信が可能となる。なお、PLL12の詳細については後述する。
タイミング制御回路13は、PLL12からの出力に応じた出力クロック信号CLKoutをシリアルパラレル変換回路11および受信側回路3の外部(後段の回路)に出力する。
シリアルパラレル変換回路(コマンド/データ認識回路、信号判別手段)11は、タイミング制御回路13から入力された出力クロック信号CLKoutに基づいて、受信器10Rから入力された受信データ信号RDATAをシリアルパラレル変換し、同期パターンであるか、コマンドあるいはデータであるかを判別し、コマンドあるいはデータである場合のみ出力データ信号Doutを生成し、受信側回路3の外部(後段の回路)に出力する。これにより、共通の信号線を用いて送信された同期パターンと、コマンド信号またはデータ信号(シリアル信号)とを判別し、コマンド信号およびデータ信号に対応するパラレル信号のみを適切に出力することができる。
ここで、受信側回路3の構成について、さらに詳しく説明する。図5は、受信側回路3の構成を示すブロック図である。この図に示すように、PLL12は、リファレンス発生器21、基準信号発生器22、位相比較器23、LPF24、VCO25を備えている。
リファレンス発生器21は、受信データ信号RDATAのエッジ(受信データ信号RDATAのスタートビットの立ち上がりエッジ)を示すリファレンス信号REF_Rを発生させ、位相比較器23に出力する。
基準信号発生器22は、VCO25の発振信号(PLL12の出力信号)PLL_OUTのパルスが24回入力される毎に特定の1パルス分だけ「H」となりエッジ比較期間を示すエッジ信号REF_EDGEを発生させ、受信データ信号RDATAのエッジと比較するため、出力信号PLL_OUTの上記エッジ信号REF_EDGEのエッジを抽出した、位相のずれを検出するための基準信号REF_PLLを生成し、位相比較器23に出力する。
位相比較器23は、リファレンス発生器21から入力されるリファレンス信号REF_Rと、基準信号発生器22から入力される基準信号REF_PLLとを比較し、比較結果に基づいてVCO25の発振周波数を制御するための制御信号PC_OUTを生成し、LPF24に出力する。
また、位相比較器23は、PLL12(VCO25)の出力信号PLL_OUTの位相と受信データ信号RDATAの位相との同期状態を検出し、両信号が同期してロックされている場合には「L」、同期しておらずロックされていない場合には「H」となるPLLロック信号nLOCKを生成し、送信側回路2および基準信号発生器22に出力する。
LPF24は、位相比較器23から入力された制御信号PC_OUTの高周波成分を除去し、低周波成分をVCO25に出力する。
VCO25は、LPF24から入力される制御信号に基づく周波数の発振信号PLL_OUTを生成し、タイミング制御回路13に出力する。また、この発振信号PLL_OUTは、上記したように、基準信号発生器22にフィードバックされるようになっている。
図6は、リファレンス発生器21および基準信号発生器22の一構成例を示す回路図である。なお、この図に示す例は、リファレンス発生器21と基準信号発生器22とを、1つの回路で構成した例(リファレンス・基準信号発生器21a)を示している。ただし、リファレンス発生器21および基準信号発生器22の構成はこれに限るものではなく、例えば、両者をそれぞれ別の回路で構成してもよい。
図6に示すリファレンス・基準信号発生器21a(リファレンス発生器21および基準信号発生器22)は、1個のフリップフロップ31と23個のフリップフロップ32とからなるシフトレジスタ30、フリップフロップ33、インバータ素子34、OR回路35、AND回路36、フリップフロップ37、インバータ素子38を備えている。
また、リファレンス・基準信号発生器21aには、受信器10Rから出力された受信データ信号RDATA、VCO25から出力された発振信号PLL_OUT、図示しない制御部から出力されたリセット信号nRES、位相比較器23から出力されたPLLロック信号nLOCKが入力される。
発振信号PLL_OUTは、シフトレジスタ30を構成する各フリップフロップのクロック端子CK、および、インバータ素子34に入力される。インバータ素子34は、発振信号PLL_OUTの「H」と「L」を反転させ、フリップフロップ33のクロック端子CKに出力する。
リセット信号nRESは、フリップフロップ31のセット入力端子SB、各フリップフロップ32のリセット入力端子RB、フリップフロップ33のリセット入力端子RBに入力される。
フリップフロップ31の出力端子Qは、1段目のフリップフロップ32のデータ入力端子Dに接続されている。また、2段目以降のフリップフロップ32のデータ入力端子Dは、その前段のフリップフロップ32の出力端子Qに接続されている。これにより、最終段のフリップフロップ32の出力端子Qからの出力(シフトレジスタ30の出力)は、VCO25の発振信号PLL_OUTのパルスが24回入力される毎に1パルス分だけ「H」となる。
なお、このシフトレジスタ30の出力信号は、フリップフロップ31のデータ入力端子D、フリップフロップ33のデータ入力端子D、OR回路35の入力端子Aに入力され、また、位相比較器23にエッジ信号REF_EDGEとして出力されるようになっている。
フリップフロップ33は、データ入力端子Dに入力されたシフトレジスタ30からの出力信号を、インバータ素子34によって反転されてクロック端子CKに入力される発振信号PLL_OUTに応じたタイミングで、出力端子Qから位相比較器23に基準信号REF_PLLとして出力する。これにより、VCO25の発振信号PLL_OUTのパルスが24回入力される毎に1パルス分だけ「H」となる信号であって、「L」から「H」への立ち上がりが発信信号PLL_OUTの立ち下がりと一致した信号である基準信号REF_PLLが位相比較器23に出力される。
OR回路35は、上記したように一方の入力端子(端子A)に、シフトレジスタ30の出力信号が入力され、他方の入力端子(端子B)に、位相比較器23から出力されたPLLロック信号nLOCKが入力される。そして、OR回路35は、シフトレジスタ30から出力された信号、または、位相比較器23から出力されたPLLロック信号nLOCKのいずれかが「H」である場合に、出力端子XからAND回路36の入力端子Bに、信号EDGE_ENを出力する。したがって、この信号EDGE_ENは、発振信号PLL_OUTと受信データ信号RDATAとが同期していない期間中(PLLロック信号nLOCKが「H」の期間中)は常時「H」となり、また、発振信号PLL_OUTと受信データ信号RDATAとが同期しているとき(PLLロック信号nLOCKが「L」のとき)にはシフトレジスタ30の出力信号が「H」となる1クロック分だけ「H」になる。
AND回路36の他方の入力端子(端子A)には、受信器10Rから出力された受信データ信号RDATAが入力される。そして、AND回路36は、OR回路35から入力された信号EDGE_EN、および、受信器10Rから入力された受信データ信号RDATAの両方が「H」の場合に、出力端子Xからフリップフロップ37のクロック端子CKに、「H」の信号を出力する。
フリップフロップ37のデータ入力端子Dには常時「H」の信号VDDが入力されている。また、リセット入力端子RBには、1段目のフリップフロップ32の出力端子Qからの出力信号が、インバータ素子38を介して入力されている。これにより、1段目のフリップフロップ32の出力信号がインバータ素子38によって反転されてクロック端子CKに入力される。そして、フリップフロップ37は、クロック端子CKに入力されるAND回路36の出力信号に応じて、位相比較器23にリファレンス信号REF_Rを出力する。これにより、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりは、受信データ信号RDATA(同期パターンSYNCまたはデータ信号またはコマンド信号)のスタートビットの立ち上がりと一致する。また、リファレンス信号REF_Rの立ち下がりは、同期が確立していない時(PLLロック信号nLOCKが「H」の時)には、受信データ信号RDATA(同期パターンSYNC)の立ち下がりに一致し、同期確立時(PLLロック信号nLOCKが「L」の時)には、REF_EDGEが「H」になった後、PLL_OUTの2回目のパルスの立ち上がりと一致する。
図7は、位相比較器23の構成例を示す回路図である。この図に示すように、位相比較器23は、位相比較部40とPLLロック信号生成部41とを備えている。
位相比較部40は、リファレンス信号REF_Rと基準信号REF_PLLとの立ち上がりエッジを検出し、両者の位相差に比例したパルスを出力するものであり、インバータ素子42,43、2入力のNAND回路44〜49、4入力のNAND回路50、3入力のNAND回路51,52、2入力のAND回路53、トライステートゲート54からなる。
インバータ素子42には、基準信号REF_PLLが入力される。そして、インバータ素子42は、入力された基準信号REF_PLLを反転してNAND回路44の入力端子Bに入力させる。
NAND回路44の入力端子Aには、3入力のNAND回路51の出力端子Xから出力される出力信号PUが入力される。そして、NAND回路44では、3入力のNAND回路51の出力信号PUとインバータ素子42を介して入力される基準信号REF_PLLを反転させた信号とが、共に「H」の場合に「L」を出力し、その他の場合には「H」を出力する。なお、このNAND回路44の出力は、NAND回路45の入力端子A、4入力のNAND回路50の入力端子A、3入力のNAND回路51の入力端子Aにそれぞれ入力される。
NAND回路45の入力端子Bは、NAND回路46の出力端子Xに接続されている。そして、NAND回路45は、入力端子AおよびBに入力される信号が共に「H」の場合には「L」、その他の場合には「H」を、NAND回路46の入力端子A、NAND回路50の入力端子B、NAND回路51の入力端子Bにそれぞれ出力する。
NAND回路46の入力端子Bには、NAND回路50の出力が入力される。そして、NAND回路46は、入力端子AおよびBに入力される信号が共に「H」の場合には「L」、その他の場合には「H」を、NAND回路45の入力端子Bに出力する。
インバータ素子43には、リファレンス信号REF_Rが入力される。そして、インバータ素子43は、入力された基準信号REF_Rを反転してNAND回路49の入力端子Aにさせる。
NAND回路49の入力端子Bには、3入力のNAND回路52の出力端子Xから出力される出力信号PDが入力される。そして、NAND回路49では、NAND回路52の出力信号PDとインバータ素子43を介して入力される基準信号REF_Rを反転させた信号とが、共に「H」の場合に「L」を出力し、その他の場合には「H」を出力する。なお、このNAND回路49の出力は、NAND回路48の入力端子B、4入力のNAND回路50の入力端子D、3入力のNAND回路52の入力端子Cにそれぞれ入力される。
NAND回路48の入力端子Aは、NAND回路47の出力端子Xに接続されている。そして、NAND回路48は、入力端子AおよびBに入力される信号が共に「H」の場合には「L」、その他の場合には「H」を、NAND回路47の入力端子B、4入力のNAND回路50の入力端子C、3入力のNAND回路52の入力端子Bにそれぞれ出力する。
NAND回路47の入力端子Aには、NAND回路50の出力が入力される。そして、NAND回路47は、入力端子AおよびBに入力される信号が共に「H」の場合には「L」、その他の場合には「H」を、NAND回路47の入力端子Aに出力する。
4入力のNAND回路50は、入力端子A〜Dに入力された信号が全て「H」の場合には「L」、その他の場合には「H」を、3入力のNAND回路51の入力端子C、3入力のNAND回路52の入力端子A、NAND回路46の入力端子B、NAND回路47の入力端子Aにそれぞれ出力する。
3入力のNAND回路51は、入力端子A〜Cに信号が全て「H」の場合には「L」、その他の場合には「H」を、AND回路53の入力端子A、NAND回路44の入力端子Aにそれぞれ出力する。
3入力のNAND回路52は、入力端子A〜Cに信号が全て「H」の場合には「L」、その他の場合には「H」を、AND回路53の入力端子B、NAND回路49の入力端子B、トライステートゲート54にそれぞれ出力する。
AND回路53は、入力端子AおよびBに入力された信号が共に「H」の場合には「H」、その他の場合には「L」をトライステートゲート54にコントロール信号として出力する。
トライステートゲート54は、「H」および「L」の出力に加えて、このどちらでもない(両者の中間の)ハイインピーダンスZ(出力の接続が切り離された状態と等価)を出力することができる。より詳細には、トライステートゲート54は、AND回路53からの出力が「H」の場合、3入力のNAND回路52の出力にかかわらず、ハイインピーダンスZを出力信号PC_OUTとしてLPF24に出力する。そして、AND回路53からの出力が「L」の場合、3入力のNAND回路52の出力に応じて、NAND回路52の出力が「H」の場合には「H」を、NAND回路52の出力が「L」の場合には「L」を、出力信号PC_OUTとしてLPF24に出力する。
これにより、位相比較部40では、VCO25の発振信号(基準信号REF_PLL)の位相が進んでいる場合には3入力のNAND回路51が出力信号PUを「L」にしてVCO25の制御電圧を下降させ、VCO25の発振信号の位相が進んでいる場合には3入力のNAND回路51が出力信号PDを「L」にしてVCO25の制御電圧を上昇させる。
PLLロック信号生成部41は、フリップフロップ55、インバータ素子56、AND回路57、セレクタ回路58、フリップフロップ59、インバータ素子60を備えている。
フリップフロップ55およびフリップフロップ59のクロック端子CKには、VCO25の出力する発振信号PLL_OUTが入力される。また、フリップフロップ55およびフリップフロップ59のリセット入力端子RBには、リセット信号nRESが入力される。
また、フリップフロップ55のデータ入力端子Dには、リファレンス信号REF_Rが入力される。なお、このリファレンス信号REF_Rは、AND回路57の入力端子(端子A)にも入力されている。
フリップフロップ55は、入力端子Dに入力されたリファレンス信号REF_Rを、クロック端子CKに入力されるVCO25の出力する発振信号PLL_OUTに応じたタイミングで、インバータ素子56に出力する。
インバータ素子56は、入力された信号を反転させてAND回路57の入力端子(端子C)に出力する。セレクタ回路58には、AND回路57の出力端子Xからの出力信号と、フリップフロップ59の出力信号と、エッジ信号REF_EDGEとが入力され、エッジ信号REF_EDGEが「L」の時はフリップフロップ59の出力信号を、エッジ信号REF_EDGEが「H」の時はAND回路57の出力信号をフリップフロップ59のデータ入力端子Dに出力する。
フリップフロップ59は、入力端子Dに入力された信号を、クロック端子CKに入力されるVCO25の発振信号PLL_OUTに応じたタイミングで、インバータ素子60に出力するとともに、セレクタ回路58にフィードバックする。
インバータ素子60は、入力された信号を反転させ、PLLロック信号nLOCKとして、基準信号発生器22および送信側回路2に出力する。
これにより、PLLロック信号生成部41は、PLL12の出力信号PLL_OUTが受信データ信号RDATAに同期している場合には「L」を、同期していない場合には「H」をPLLロック信号nLOCKとして出力するようになっている。
次に、受信側回路3の動作について、タイミングチャートを用いて説明する。図8(a)および図8(b)は、PLL12の出力信号PLL_OUTが受信データ信号RDATAに同期していない場合(同期確立していない場合)の信号波形を示したタイミングチャートである。また、図8(a)は、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相が進んでいる場合を示しており、図8(b)は、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相が遅れている場合を示している。
図8(a)に示すように、リファレンス・基準信号発生器21aにおけるOR回路35の出力信号EDGE_ENは、PLL12の出力信号PLL_OUTと受信データ信号RDATAとが同期していない場合には、PLLロック信号nLOCKが「H」なので、常に「H」となっている。
このため、リファレンス・基準信号発生器21aにおけるAND回路36の入力端子Bには「H」が入力されているので、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりおよび立ち下がりは、受信データ信号RDATAの立ち上がりおよび立ち下がりと一致している。図8(a)では、受信データ信号RDATAが同期パターンSYNCである場合を示しており、この場合、リファレンス信号REF_Rは、スタートビットからの12ビットが「H」、その後の12ビットが「L」となる。
また、基準信号REF_PLLの立ち上がりはPLL12の出力信号PLL_OUTの立ち下がりと一致しており、基準信号REF_PLLの立ち上がりは、PLL12の出力信号PLL_OUTの次の立ち下がりと一致している。なお、基準信号REF_PLLは、出力信号PLL_OUTの1パルス(1周期)分だけ「H」となっており、その立ち上がりおよび立ち下がりは、出力信号PLL_OUTの立ち下がりと一致している。
そして、リファレンス信号REF_Rの立ち上がり前に基準信号REF_PLLの立ち上がりがあった場合、位相比較器23におけるNAND回路51の出力信号PUが「H」から「L」に切り替わる。その後、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりがあると、NAND回路51の出力信号PUが「L」から「H」に戻る。これにより、受信データ信号RDATAの位相と、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相との位相差が検出される。なお、位相比較器23におけるNAND回路52の出力信号PDは、この間「H」のままとなっている。そして、これにより、位相比較器23(位相比較部40)からの出力信号PC_OUTは、NAND回路51の出力信号PUが「L」になっている期間だけ、ハイインピーダンス(Hi−Z)状態から「H」に切り替わる。
なお、図8(a)の例では、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相が、受信データ信号RDATAの位相に対して、半クロック以上進んでいる。このように、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相が受信データ信号RDATAの位相に対して半クロック以上ずれている場合、送信されたデータを適切に受信することができない。したがって、適切な受信を行うためには、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相を、受信データ信号RDATAの位相に対して、半クロック以内の誤差で同期させてロックすることが好ましい。
一方、図8(b)に示すように、基準信号REF_PLLの立ち上がりよりも前にリファレンス信号REF_Rの立ち上がりがあった場合、位相比較器23におけるNAND回路52の出力信号PDが「H」から「L」に切り替わる。その後、基準信号REF_PLLの立ち上がりがあると、NAND回路52の出力信号PDが「L」から「H」に戻る。これにより、受信データ信号RDATAの位相と、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相との位相差が検出される。なお、位相比較器23におけるNAND回路51の出力信号PUは、この間「H」のままとなっている。そして、これにより、位相比較器23(位相比較部40)からの出力信号PC_OUTは、NAND回路52の出力信号PDが「L」になっている期間だけハイインピーダンス(Hi−Z)状態から「L」に切り替わる。
図9(a)および図9(b)は、PLL12の出力信号PLL_OUTが受信データ信号RDATAに同期していない状態から、同期している状態に移行する際(同期確立時)の信号波形を示したタイミングチャートである。なお、図9(a)は、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相が、受信データ信号RDATAに対して半クロック以上進んでいる状態から、位相進みが半クロック以内となる場合を示している。また、図9(b)は、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相が、受信データ信号RDATAに対して半クロック以上遅れている状態から、位相遅れが半クロック以内となる場合を示している。
図9(a)に示すように、PLL12の出力信号PLL_OUTと受信データ信号RDATAとが同期していない場合(両者の位相差が半クロック(受信データ信号RDATAの周期の1/2倍以上)以上の場合)には、PLLロック信号nLOCKが「L」なので、リファレンス・基準信号発生器21aにおけるOR回路35の出力信号EDGE_ENは常に「H」となっている。このため、リファレンス・基準信号発生器21aにおけるAND回路36の入力端子Bには「H」が入力されているので、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりおよび立ち下がりは、受信データ信号RDATAの立ち上がりおよび立ち下がりと一致している。
また、基準信号REF_PLLの立ち上がりはPLL12の出力信号PLL_OUTの立ち下がりと一致しており、基準信号REF_PLLの立ち上がりは、PLL12の出力信号PLL_OUTの次の立ち下がりと一致している。
そして、受信データ信号RDATAのストップビットの受信を開始した後、リファレンス信号REF_Rの立ち上がり前に基準信号REF_PLLの立ち上がりがあった場合、位相比較器23におけるNAND回路51の出力信号PUが「H」から「L」に切り替わる。その後、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりがあると、NAND回路51の出力信号PUが「L」から「H」に戻る。これにより、受信データ信号RDATAの位相と、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相との位相差が検出される。なお、位相比較器23におけるNAND回路52の出力信号PDは、この間「H」のままとなっている。そして、これにより、位相比較器23(位相比較部40)からの出力信号PC_OUTは、NAND回路51の出力信号PUが「L」になっている期間だけ、ハイインピーダンス(Hi−Z)状態から「H」に切り替わる。
そして、この位相比較器23からの出力信号PC_OUTは、LPF24を介してVCO25に入力され、VCO25では、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相を遅らせて受信データ信号RDATAに同期させるように、発振周波数が制御される。
その後、PLL12の出力信号PLL_OUTの24パルスごとに一回、上記と同様の位相差の検出作業が行われる。そして、PLL12の出力信号PLL_OUTと受信データ信号RDATAとの位相差が半クロック以内になった場合(同期が確立した場合)、PLL12の出力がロックされ、PLLロック信号nLOCKが「L」に切り替えられる。なお、これにより、リファレンス・基準信号発生器21aにおけるOR回路35の出力信号EDGE_ENは、シフトレジスタ30の出力が「H」の期間、すなわち、PLL12の出力信号PLL_OUTの1パルス分に相当する期間だけ、「H」となる。
一方、図9(b)に示すように、基準信号REF_PLLの立ち上がりよりも前にリファレンス信号REF_Rの立ち上がりがあった場合、位相比較器23におけるNAND回路52の出力信号PDが「H」から「L」に切り替わる。その後、基準信号REF_PLLの立ち上がりがあると、NAND回路52の出力信号PDが「L」から「H」に戻る。これにより、受信データ信号RDATAの位相と、PLL12の出力信号PLL_OUTの位相との位相差が検出される。なお、位相比較器23におけるNAND回路51の出力信号PUは、この間「H」のままとなっている。そして、これにより、位相比較器23(位相比較部40)からの出力信号PC_OUTは、NAND回路51の出力信号PUが「L」になっている期間だけ、ハイインピーダンス(Hi−Z)状態から「H」に切り替わる。
そして、この位相比較器23からの出力信号PC_OUTは、LPF24を介してVCO25に入力され、VCO25ではPLL12の出力信号PLL_OUTの位相を進ませて受信データ信号RDATAに同期させるように、発振周波数が制御される。
その後、PLL12の出力信号PLL_OUTの24パルスごとに一回、上記と同様の位相差の検出作業が行われる。そして、PLL12の出力信号PLL_OUTと受信データ信号RDATAとの位相差が半クロック以内になった場合(同期が確立した場合)、PLL12の出力がロックされ、PLLロック信号nLOCKが「L」に切り替えられる。なお、これにより、リファレンス・基準信号発生器21aにおけるOR回路35の出力信号EDGE_ENは、シフトレジスタ30の出力が「H」の期間、すなわち、PLL12の出力信号PLL_OUTの1パルス分に相当する期間だけ、「H」となる。
図10(a)および図10(b)は、PLL12の出力信号PLL_OUTが受信データ信号RDATAに同期している場合(同期確立後、データ通信中の場合)の信号波形を示したタイミングチャートである。
リファレンス・基準信号発生器21aにおけるOR回路35の出力信号EDGE_ENは、PLL12の出力信号PLL_OUTが受信データ信号RDATAに同期しており、PLLロック信号nLOCKが「L」となっている場合、シフトレジスタ30の出力が「H」の期間、すなわち、PLL12の出力信号PLL_OUTの1パルス分に相当する期間だけ、「H」となる。
そして、OR回路35の出力信号EDGE_ENが「H」の期間中に受信データ信号RDATAの立ち上がり(「0」から「1」への変化)があると、AND回路36の出力が「H」となり、リファレンス信号REF_Rが「H」に切り替わる。なお、フリップフロップ37のリセット端子RBには1段目のフリップフロップ32の出力が反転されて入力されるので、リファレンス信号REF_Rは、「H」に切り替わった後、PLL12の出力信号PLL_OUTのパルスが2回発生したときに、「L」に戻される。
また、基準信号REF_PLLは、シフトレジスタ30の出力が「H」の期間中に、PLL12の出力信号PLL_OUTの立ち下がりがあった場合に、「H」となる。そして、その次のPLL12の出力信号PLL_OUTの立ち下がりで「L」に戻る。
そして、図10(a)に示すように、基準信号REF_PLLの立ち上がりが、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりよりも早い場合、位相比較器23に備えられているNAND回路51の出力信号PUが、基準信号REF_PLLの立ち上がりと同時に「L」となり、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりと同時に「H」に戻る。そして、NAND回路51の出力信号PUが、「L」の期間中、位相比較器23の出力信号PC_OUTがハイインピーダンス状態から「H」に切り替わる。これにより、シリアル伝送装置1では、受信データ信号RDATAの位相とPLL12の出力信号PLL_OUTの位相とのずれを小さくするようにVCO25を制御する。
一方、図10(b)に示すように、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりが、基準信号REF_PLLの立ち上がりよりも早い場合、位相比較器23に備えられているNAND回路52の出力信号PDが、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりと同時に「L」となり、基準信号REF_PLLの立ち上がりと同時に「H」に戻る。そして、NAND回路52の出力信号PDが、「L」の期間中、位相比較器23の出力信号PC_OUTがハイインピーダンス状態から「L」に切り替わる。これにより、シリアル伝送装置1では、受信データ信号RDATAの位相とPLL12の出力信号PLL_OUTの位相とのずれを小さくするようにVCO25を制御する。
また、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりと、基準信号REF_PLLの立ち上がりとの差(受信データ信号RDATAとPLL12の出力信号PLL_OUTとの位相差)が半クロック以内の場合、PLLロック信号nLOCKは引き続き「L」とされ、PLL12のロックが継続される。
図11(a)および図11(b)は、PLL12の出力信号PLL_OUTが受信データ信号RDATAに同期している状態から、同期が外れる状態に移行する際(同期が外れた時)の信号波形を示したタイミングチャートである。
リファレンス・基準信号発生器21aにおけるOR回路35の出力信号EDGE_ENは、PLL12の出力信号PLL_OUTが受信データ信号RDATAに同期しており、PLLロック信号nLOCKが「L」となっている場合、シフトレジスタ30の出力が「H」の期間、すなわち、PLL12の出力信号PLL_OUTの1パルス分に相当する期間だけ、「H」となる。
そして、OR回路35の出力信号EDGE_ENが「H」の期間中に受信データ信号RDATAの立ち上がり(「0」から「1」への変化)があると、AND回路36の出力が「H」となり、リファレンス信号REF_Rが「H」に切り替わる。なお、フリップフロップ37のリセット端子RBには1段目のフリップフロップ32の出力が反転されて入力されるので、リファレンス信号REF_Rは、「H」に切り替わった後、PLL12の出力信号PLL_OUTのパルスが2回発生したときに、「L」に戻される。
また、基準信号REF_PLLは、シフトレジスタ30の出力が「H」の期間中に、PLL12の出力信号PLL_OUTの立ち下がりがあった場合に、「H」となる。そして、その次のPLL12の出力信号PLL_OUTの立ち下がりで「L」に戻る。
そして、図11(a)に示すように、基準信号REF_PLLの立ち上がりが、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりよりも早い場合、位相比較器23に備えられているNAND回路51の出力信号PUが、基準信号REF_PLLの立ち上がりと同時に「L」となり、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりと同時に「H」に戻る。そして、NAND回路51の出力信号PUが、「L」の期間中、位相比較器23の出力信号PC_OUTがハイインピーダンス状態から「H」に切り替わる。
そして、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりと、基準信号REF_PLLの立ち上がりとの差(受信データ信号RDATAとPLL12の出力信号PLL_OUTとの位相差)が半クロック以内の場合、PLLロック信号nLOCKは引き続き「L」とされ、PLL12のロックが継続される。
一方、受信データ信号RDATAとPLL12の出力信号PLL_OUTとの位相差が半クロック以上になった場合、PLL12のロックが外れ、PLLロック信号nLOCKは「H」に切り替えられる。
また、図11(b)に示すように、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりが、基準信号REF_PLLの立ち上がりよりも早い場合、位相比較器23に備えられているNAND回路52の出力信号PDが、リファレンス信号REF_Rの立ち上がりと同時に「L」となり、基準信号REF_PLLの立ち上がりと同時に「H」に戻る。そして、NAND回路52の出力信号PDが、「L」の期間中、位相比較器23の出力信号PC_OUTがハイインピーダンス状態から「L」に切り替わる。
そして、受信データ信号RDATAとPLL12の出力信号PLL_OUTとの位相差が半クロック以内の場合、PLLロック信号nLOCKは引き続き「L」とされ、PLL12のロックが継続される。
一方、受信データ信号RDATAとPLL12の出力信号PLL_OUTとの位相差が半クロック以上になった場合、PLL12のロックが外れ、PLLロック信号nLOCKは「H」に切り替えられる。
以上のように、本実施形態にかかるシリアル伝送装置1は、データ信号またはコマンド信号の送信側回路2から受信側回路3への伝送を開始する前に、データ信号およびコマンド信号を伝送する信号線と共通の信号線を用いて、データ信号およびコマンド信号と同じデータ長で、かつ、スタートビットとストップビットとが異なる値からなる同期パターンSYNCを伝送する。そして、受信側回路3では、PLL12が、出力信号PLL_OUTの位相を、受信器10Rによって受信した受信データ信号RDATAに含まれる同期パターンSYNCに基づいて制御することにより、データ信号およびコマンド信号の位相に同期させる。
これにより、シリアル伝送装置1では、クロック信号を送信することなく、上記データ信号および上記コマンド信号と共通の信号線によって送信される同期パターンに基づいて、受信側回路3を送信側回路2に同期させることができる。したがって、送信側回路2と受信側回路3との間で、ノイズや静電気等の外乱に対する信頼性の高い信号伝送を行うことができる。また、クロック信号を伝送するための専用の信号線を備える必要がないので、装置構成の簡略化、小型化を図ることができる。
また、シリアル伝送装置1では、受信側回路3に備えられるPLL12が、受信データ信号RDATAの位相とPLL12の出力信号PLL_OUTの位相とを同期させて固定し、PLLロック信号nLOCKを「L」にする(同期が確立したことを示す信号を送信側回路2に送信する)。そして、送信側回路2は、同期が確立した後に、コマンド信号またはデータ信号の伝送を開始する。
より詳細には、PLL12に備えられる位相比較器23内のPLLロック信号生成部41が、受信データ信号RDATA(同期パターンSYNC)とPLL12の出力信号PLL_OUTとの同期を検出し、同期が確立した場合に、送信側回路2に備えられるタイミング制御回路8に送信しているPLLロック信号nLOCKを「H」から「L」に切り替える。そして、送信側回路2では、PLLロック信号nLOCKが「L」に切り替えられた後に、コマンド信号またはデータ信号の伝送を開始する。
これにより、シリアル伝送装置1では、送信側回路2と受信側回路3とが確実に同期している状態で、コマンド信号およびデータ信号の伝送を行うことができる。
また、シリアル伝送装置1では、上記データ信号または上記コマンド信号を送信していない期間は、同期パターンSYNCの送信側回路2から受信側回路3への送信を継続する。これにより、受信側回路3におけるPLL12において、同期パターンSYNCに基づくPLL12の出力信号PLL_OUTと受信データ信号RDATAとの同期を継続的に行い、また、同期したPLL12の出力信号PLL_OUTの位相をロックして、同期状態を保つことができる。
また、シリアル伝送装置1では、コマンド信号またはデータ信号を伝送している期間中、伝送しているコマンド信号またはデータ信号を用いて、受信データ信号RDATAとPLL12の出力信号PLL_OUTとの同期状態を検出する。
より詳細には、PLL12に備えられたリファレンス・基準信号発生器21a(リファレンス発生器21)が受信データ信号RDATAのスタートビットの立ち上がりと同時に立ち上がるリファレンス信号REF_Rを生成する。そして、リファレンス・基準信号発生器21a(基準信号発生器22)が、PLL12の出力信号PLL_OUTにおける特定のパルス(24パルス中の1パルス)の立ち下がりと同時に立ち上がる基準信号REF_PLLを生成する。そして、PLL12に備えられる位相比較器23内のPLLロック信号生成部41が、受信データ信号RDATA(データ信号またはコマンド信号)とPLL12の出力信号PLL_OUTとの同期を検出し、同期している場合には、送信側回路2に備えられるタイミング制御回路8に送信しているPLLロック信号nLOCKを「L」に保ち、同期が外れた場合には、送信側回路2に備えられるタイミング制御回路8に送信しているPLLロック信号nLOCKを「H」に切り替える(同期が外れたことを示す信号を生成して送信側回路2に送信する)。そして、同期状態が確保されている場合には、引き続きコマンド信号またはデータ信号の伝送を継続する。
これにより、データ信号またはコマンド信号の受信中に、PLL12の出力信号PLL_OUTと受信データ信号RDATA(データ信号またはコマンド信号)との同期が外れた場合、送信側回路2にそのことを通知することができる。このため、送信側回路2は、データ信号およびコマンド信号の送信を停止させ、同期パターンSYNCの送信を開始する。したがって、より信頼性の高い信号伝送を行うことができる。
また、シリアル伝送装置1では、位相比較器23における位相比較部40が、上記のように生成されたリファレンス信号REF_Rの立ち上がりと基準信号REF_PLLの立ち上がりとを比較した結果に基づいて、受信データ信号RDATAの位相とPLL12の出力信号PLL_OUTの位相とのずれを小さくするようにVCO25の発振周波数と位相とを制御する。
これにより、シリアル伝送装置1では、データ信号またはコマンド信号と同時にクロック信号を伝送することなく、送信側回路2と受信側回路3とを適切に同期させた状態で、データ信号またはコマンド信号のシリアル伝送を行うことができる。したがって、クロック信号を伝送するための専用の信号線(差動対)を備える必要がないので、装置構成の簡略化、小型化を図ることができる。
また、シリアル伝送装置1では、送信側回路2から受信側回路3への伝送にLVDS方式を用いている。LVDS方式による信号伝送は、信号を送信している期間中と、送信していない期間中とで、消費電力がほとんど変わらないという特性がある。このため、シリアル伝送装置1では、データ信号またはコマンド信号を伝送していない期間中に、同期パターンを継続的に伝送しているが、同期パターンを伝送しない場合と消費電力はほとんど変わらない。
なお、本実施形態では、20ビットの入力データ信号を伝送するために、スタートビット、同期パターン区別ビット、パリティビット、ストップビットを付加した24ビットの送信データ信号TDATAを生成して伝送する構成について説明したが、送信データ信号TDATA(受信データ信号RDATA)のデータサイズはこれに限るものではなく、入力データのデータサイズに応じて適宜決定すればよい。
また、本実施形態では、同期パターンとして、前半の12ビットが「1」、後半の12ビットが「0」という構成の信号を用いたが、同期パターンの構成はこれに限るものではない。データ信号およびコマンド信号と同じデータ長を有し、スタートビットとストップビットとが異なる値からなるものであればよい。なお、同期パターンは、データ信号およびコマンド信号と区別できることが好ましい。また、同期パターンは、1シンボル(本実施形態では24ビット)中で、「1」と「0」との変化が1度だけある信号であることが好ましい。
また、本実施形態では、送信側回路2に備えられる送信器10Tと受信側回路3に備えられる受信器10Rとの間で、LVDS方式の伝送を行う場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、LVDS方式以外の差動伝送方式で信号をシリアル伝送するものであってもよく、あるいは、差動伝送方式以外の伝送方法をもちいてもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。