JP2006066058A - 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006066058A
JP2006066058A JP2005214921A JP2005214921A JP2006066058A JP 2006066058 A JP2006066058 A JP 2006066058A JP 2005214921 A JP2005214921 A JP 2005214921A JP 2005214921 A JP2005214921 A JP 2005214921A JP 2006066058 A JP2006066058 A JP 2006066058A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
recording medium
recording
layer
magnetic recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005214921A
Other languages
English (en)
Inventor
Motoyoshi Murakami
元良 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2005214921A priority Critical patent/JP2006066058A/ja
Publication of JP2006066058A publication Critical patent/JP2006066058A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 高密度記録した場合には、微小な記録磁区を安定して形成することが難しいという課題を有していた。
【解決手段】 ディスク基板11上に、少なくとも記録層15を備え、記録層15が、水素と結合し、希土類金属と局在して安定した結合状態を有する構成の光磁気記録媒体とその製造方法を提供する。これによって、記録層15の磁気異方性を大きく、安定した膜構造を形成できることより、マーク長を小さくした場合にも記録磁区を安定化させることができ、再生信号振幅を低下させることなく、記録密度を大幅に向上できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は書き換えが可能な磁気記録媒体、あるいは、記録媒体に光を入射して温度上昇させながら信号を記録再生する磁気記録媒体とその製造方法、および、その記録再生方法に関する。
光磁気記録媒体や相変化記録媒体等の光記録媒体は大容量・高密度記録が可能な可搬型記録媒体であり、近年のマルチメディア化に伴うコンピュータの大容量ファイルや動画を記録する媒体として需要が急増しつつある。
光記録媒体は一般にプラスチック等の透明な円盤状の基板に記録層を含む多層膜を形成した構成を有する。この光記録媒体に、レーザを照射して、フォーカスサーボ、および、案内溝、あるいは、プリピットを用いて、トラッキングサーボをかけながら、情報の記録、消去を行い、レーザの反射光を用いて信号を再生する。
光磁気記録媒体は、従来、固定磁界を加えて消去した後、反対方向の固定磁界を加えて記録するいわゆる光変調記録が中心であったが、近年、レーザを照射しながら、磁界を記録パターンに従って変調させる磁界変調方式が、1回転で記録(ダイレクトオーバーライト)可能であり、しかも高速で高記録密度であっても正確に記録できる方式として注目を浴びている。また、相変化記録媒体は、光変調記録によりダイレクトオーバーライト可能で、CDやDVDと同じ光学系で再生可能であるために実用化が進められている。
光記録媒体の記録密度の限界は光源のレーザ波長(λ)によって決まる回折限界(〜λ/2NA:NAは対物レンズの開口数)に依存している。また最近は、対物レンズを2枚組にすることで0.8以上のNAをもったシステムが提案されて、開発が活発に行われている。記録再生のためのレーザは従来、基板を通して記録膜に照射されていたが、NAが大きくなるほど光が基板を通過した時の基板の傾き等による収差が大きくなるため、基板厚みを薄くする必要がある。
また、磁気記録媒体では、媒体の改良と、GMRヘッドやTMRヘッド等の実用化により、光記録媒体よりも高記録密度を実現しているが、さらに高密度の磁気記録媒体を実現するためには、記録膜の高密度化技術、熱安定性の向上、および、ディスク−ヘッドのインターフェース技術の改良が必須である。
また、光磁気記録媒体では、磁壁移動によって、見かけ上の再生信号を増大させる技術が考案されている(例えば、特許文献1を参照。)が、記録膜により高密度に記録するという点では課題があった。
さらに、磁気記録の場合には、記録ドメインの微細化、高密度化により、記録磁区の熱安定性の問題が重要な課題となっており、記録磁区の安定性と、情報蓄積メディアとしての信頼性を確保することが必要であった。
特開平6−290496号公報
しかしながら、上記従来の磁気記録媒体では、高密度化した場合には、記録磁区の熱安定性の課題があるため、さらに磁気異方性を増大させる必要があった。
また、FePt系の磁性材料は、磁気異方性は大きい特性を有するが、結晶配勾性を揃えるために、高温でのアニール処理が必要であった。
また、希土類金属−遷移金属系の材料は、アモルファス材料であるために、磁壁移動により、微小な記録マークの磁区が不安定になり消滅するという課題があった。
さらに、いずれの方法でも、記録マークの微細化による高密度記録による安定性と、情報蓄積メディアとしての、十分な長期信頼性を確保する事が難しい、という課題がある。
本発明の目的は、磁気記録再生を行なう記録媒体において、高密度で記録した場合にも、記録情報の安定性を確保し、信号特性に優れた磁気記録媒体を提供することにある。
本発明の他の目的は、光を照射して記録膜の温度を上昇させながら磁気記録再生する記録媒体においても、微細な記録マークの安定性を高め、信号特性に優れた磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは上述のような現状に鑑み、鋭意検討を重ね、以下のような本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の磁気記録媒体は、ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層を備えた記録膜により構成された磁気記録媒体であって、少なくとも記録層は、膜中に水素元素を含有する。以上のように記録層が水素元素を取り込むことにより、記録層の微細な構造の安定化を図ることができる。具体的には、高密度で記録した場合にも、微小な磁区が安定して記録できる記録層を形成でき、その結果、優れた信号特性が得られる。
あるいは、ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層を備えた記録膜により構成された磁気記録媒体は、記録層中に、水素化合物を含有する。以上のように記録層が水素元素を取り込むことにより、記録層の微細な構造の安定化を図ることができる。具体的には、高密度で記録した場合にも、微小な磁区が安定して記録できる記録層を形成でき、その結果、優れた信号特性が得られる。
さらに、水素が記録層中に局在して取込まれていることが好ましい。なお、「水素が局在して取り込まれている」とは、水素元素が、記録層中に均一に分散しているのではなく、特定の元素との結合状態が強固な膜構造を形成している状態を意味する。
あるいはさらに、記録層に取込まれた水素元素は、昇温離脱(TDS)温度500℃以上の結合状態であることが好ましい。
また、記録膜が希土類金属を含み、記録膜中の水素が、記録膜中の希土類金属と局在した結合状態であることが好ましい。この場合は、水素元素が希土類金属との間で、より強固な結合状態と酸素の除去とが可能である。その結果、膜構造が安定しており、高密度で記録した記録ドメインを形成した場合にも、信頼性の高い記録膜を実現できる。希土類金属は、Tb、Gd、Dy、Nd、Ho、Pr、Erの少なくとも一つを含むことが好ましい。
また、記録層がコラム形状の構造を形成していることが好ましい。
さらに、記録層が超格子状の積層構造を形成していることが好ましい。
また、記録層は、水素原子の取込み量が、0.2at.%以上であることが好ましい。
また、記録膜が、複数の層により構成され、記録層の水素含有量が、複数の層中で最大であることが好ましい。
ここで、記録層の膜厚は、20nm以上400nm以下であることが好ましい。
また、記録膜が、中間層を含み、中間層の膜厚は、5nm以上であることが好ましい。
次に、ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体の製造方法は、少なくとも記録層形成前の真空プロセス室の到達真空度が、5×10^(−5)Pa以下であって、真空排気状態での水素分圧が、10^(−8)Pa以上である真空雰囲気を用いて、記録層を膜成長させる。
ここで、水素分圧が、窒素分圧に対して、10倍以上の範囲にあることが好ましい。
また、ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体の製造方法は、少なくとも記録層形成時には、水素を含有する雰囲気中で記録層を膜成長させる。
ここで、水素分圧が、Ne、Ar、KrまたはXeを含有するスパッタリングガスに対して0.2%から20%の範囲内にあることが好ましい。特に、Kr、Xe等のスパッタリングガスを用いた場合は、Ar、Ne等に比べて分子量が小さいため、記録膜中に微細な構造ができやすい。そのため、水素元素を取り込みやすくなり、記録膜を安定化させる上ではさらに効果が大きい。また、この時、低いスパッタリング圧力中で、高いエネルギーでスパッタリングを行うことにより、水素元素以外の酸素、窒素等の特に脱ガスによるガスの影響からのガスを取り込み難くなる。この結果、記録膜と水素元素がより強固に結合され、安定な記録膜を形成できる。
また、記録層の下地となる下地層製膜時の堆積速度が、記録層層製膜時の堆積速度より小さいことが好ましい。
また、この時、記録層は、製膜時の膜堆積速度が、2nm/sec以上20nm/sec以下であることが好ましい。
また、ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体の製造方法であって、少なくとも記録層形成後に、水素を含有する雰囲気中で磁気記録媒体を保持する。
ここで、磁気記録媒体はArを含む真空雰囲気中に保持し、真空雰囲気中のArに対する水素分圧が5%以上であることが好ましい。
また、磁気記録媒体を保持する雰囲気は、1気圧以上に加圧した水素ガスを含む雰囲気中であることが好ましい。
さらに、磁気記録媒体を保持する雰囲気は、窒素に対する水素分圧が、10%以上であることが好ましい。
また、ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体の製造方法であって、少なくとも記録層形成後に、水素ガスを含有する雰囲気中でイオン照射エッチング、プラズマエッチング等のドライエッチングを行う。
ここで、水素分圧が、Arガスに対して0.2%から20%の範囲内にあることが好ましい。
また、磁気記録媒体の記録再生方法は、磁気記録媒体に、レーザ光スポットを照射することにより、水素を含有する記録層を昇温させながらディスク上の情報信号を記録再生する。
なお、本発明の磁気記録媒体は、上記構成に限定されるものではなく、表面性の異なる領域での、磁気特性の違いを利用して、サーボ信号、あるいは、サーボのための基準信号を形成した構成とその製造方法、および、記録再生方法であれば、特に上記した内容に限定されるものではない。
磁気記録媒体において、ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層を備えた構成の磁気記録媒体であって、記録層が水素と結合して安定化したミクロな構造を有する構成により、微細な記録磁区を安定して記録することができる。言い換えると、再生信号振幅を劣化させることなく、記録密度の大幅な向上が可能となる。
また、光を照射して記録膜の温度を上昇させながら磁気記録再生する記録媒体においても、サーボ特性が安定して、信頼性を高めることができ、ディスクの生産性、コストを大幅に向上できる。
さらに、高密度記録での、繰り返し書き換えを行なった場合にも、安定した記録再生特性が得られ、信号特性の優れた信号特性の磁気記録媒体とその製造方法、および、記録再生方法を提供することが実現可能となる。
以下に、実施の形態をもって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り以下の実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態について図面を参照にして詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態1における磁気記録媒体(以下、磁気ディスク)1の構造を示す断面図である。図1において、ポリカーボネートからなる透明なディスク基板11、誘電体層12、その上に、磁性記録膜(再生層13、中間層14、記録層15)、さらには、記録膜を保護する誘電体層16を順次積層した構成である。さらに、その上に、記録膜の保護のためのオーバーコート層17が積層されている。なお、記録層15は、膜面垂直方向に磁気異方性を有する。
磁気ディスク1は、案内溝を有した構成であり、情報を記録するトラックのグルーブ2と、ランド3が形成されている。また、サーボのためのピット領域と、情報を記録するデータ領域とにより構成された場合には、ピット領域は、トラッキングサーボとアドレス検出のための、プリピットが形成されている。
図1で示した本発明の実施の形態1の磁気記録媒体は、レーザ光スポットを記録膜に集光させて、光学ヘッドにより信号を記録、再生検出することによって、高密度に記録された記録マークの記録再生が可能となる磁気記録媒体に適用できる構成である。
本実施の形態の磁気ディスクの記録再生装置では、情報の記録時には、ディスクが回転し、光ヘッドによりレーザ光を照射しながら磁気ヘッドによって、情報信号に伴って変調された記録信号により、変調されて記録される。また、信号再生時には、光学ヘッドにより、偏光面の揃ったレーザ光スポットを照射し、記録磁区からの反射光あるいは透過光の偏光面の回転を検出して再生する。
しかしながら、従来の記録媒体では、特に微細なマークを記録しようとした場合には、磁壁の移動により、記録磁区が拡大する、あるいは、消滅するために、安定した記録ができないという課題があった。また、このことは、記録密度が高密度化されると、特に顕著になり、熱安定性から、長期間保存した場合の、信頼性にも課題を有していた。
ここで、本実施の形態の記録膜についてさらに詳しく説明する。
図1において、ポリカーボネートからなるディスク基板11は、誘電体層12を介して、積層した磁性記録膜(13、14、15)が形成されている。磁性記録膜は、情報を保持しておく記録層15、情報を磁壁の移動によって検出するための再生層13、再生層13と記録層15の間の交換結合を制御するための中間遮断層(あるいは、中間層)14、により構成されている。さらに、磁性記録膜の上には、保護層16、オーバーコート層17が形成されて構成されている。
図1で示した本発明の実施の形態1の磁気記録媒体は、光ビームによる温度勾配により、差し掛かった磁壁を次々と移動させこの磁壁の移動を光学ヘッドにより検出することによって、再生時に信号検出感度を向上させて超解像再生が可能となるDWDD方式を磁気記録媒体に適用できる構成である。
上述した構成に積層した記録膜は磁壁の移動を利用して、再生信号の振幅、および信号量を大きくする方法であるDWDD方式(Domain Wall Displacement Detection)の一例であり、例えば特開平6−290496号公報に記載される如く、大きな界面飽和保磁力を有する磁性膜を記録層とし、小さな界面飽和保磁力を有する磁性膜を磁壁移動する再生層とし、比較的低いキュリー温度を有する磁性膜を切り換えのための中間層として用いている。したがって、再生信号の振幅を大きくするためにはDWDD方式を可能にする磁性膜を用いていれば良く、この膜構成に限るものではない。
上記したDWDD方式の再生原理について、図9を参照しながら説明する。
図9(a)は、回転している磁気ディスクの記録膜の断面を示す図であり、ディスク基板、誘電体層(図示していない)に、再生層113、中間層114、記録層115の3層構成の記録膜により構成され、さらに図示していないが、誘電体層、オーバーコート層あるいは潤滑摺動層が形成されている。
再生層113としては、磁壁抗磁力の小さい磁性膜材料を用いており、中間層114はキュリー温度の小さい磁性膜、記録層115は小さなドメイン径でも記録磁区を安定して保持できる磁性膜を用いている。この磁気記録媒体では、再生層113は、記録トラック間にガードバンド等を形成することにより、閉じていない磁壁を含む磁区構造を形成している。
図に示すように、情報信号は、記録層115に熱磁気記録された記録磁区として形成されている。レーザ光スポットの照射されていない室温での記録膜は記録層115、中間層114、再生層113がそれぞれ強く交換結合しているため、記録層115の記録磁区は、そのまま再生層113に転写形成される。
図9(b)は、(a)の断面図に対応した位置χと記録膜の温度Tとの関係を表す。図示されているように、記録信号の再生時には、ディスクが回転し、トラックに沿ってレーザ光による再生ビームスポットが照射される。この時、記録膜は、図9(b)に示すような温度分布を示し、中間層114(あるいは中間遮断層、スイッチング層)がキュリー温度Tc以上となる温度領域Tsが存在し、再生層113と記録層115との交換結合が遮断される。
また、再生ビームが照射されると、図9(c)の磁壁エネルギー密度σに対する依存性に示すように、図9(a)、(b)の位置に対応するディスク回転方向のχ方向に磁壁エネルギー密度σの勾配が存在するために、図9(d)に示すように、位置χでの各層の磁壁に対して磁壁を駆動させる力Fが作用する。
この記録膜に作用する力Fは、図に示すように磁壁エネルギー密度σの低い方に磁壁を移動させるように作用する。再生層113は、磁壁抗磁力が小さく磁壁の移動度が大きいので、閉じていない磁壁を有する場合の再生層113単独では、この力Fによって容易に磁壁が移動する。従って、再生層113の磁壁は、矢印で示したように、より温度が高く磁壁エネルギー密度の小さい領域へと瞬時に移動する。そして、再生ビームスポット内を磁壁が通過すると、スポット内での再生層113の磁化は光スポットの広い領域で同じ方向に揃う。
この結果、記録磁区の大きさに依らず、再生磁区の大きさは、常に一定の最大振幅になる。このため、光学ヘッド、あるいは、GMRヘッド等の磁気ヘッドを用いて信号再生する場合にも、光ビーム等による温度勾配により、再生層113での転写磁区を拡大することにより、常に一定の最大振幅の信号量になる。
次に、本願発明の実施の形態1の磁気ディスク1の構成と作製方法について詳細に説明する。
図1に示すように、ディスク基板11に、磁性薄膜の記録膜を含む構成に積層して形成されている。ディスク基板11は、記録トラックにピット領域と、データ領域が形成されている。また、本実施の形態の磁気ディスク1のトラックピッチは0.3μmである。
まず、グルーブとランドを有するスタンパを用いて、射出成型により、図に示すような、ディスク基板11を形成する。
次に、直流マグネトロンスパッタリング装置に、Siターゲットを設置し、ディスク基板を基板ホルダーに固定した後、7×10^(−6)Pa以下の高真空になるまでチャンバー内をターボ分子ポンプで真空排気する。この時、ターボ分子で排気することにより、水素の残留量が相対的に大きくなる。そして、真空排気をしたまま0.3Paとなるまでチャンバー内にArガスとN2ガスを導入し、基板を回転させながら、SiNからなる誘電体の誘電体層12を50nm、反応性スパッタリング法により膜形成される。
さらに、Arガスを、0.5Paとなるまでチャンバー内に導入し、基板を回転させながら、Gd、Fe、Coそれぞれのターゲットを用いて、GdFeCoの再生層13を35nm、さらに、Tb、Fe、Co、Crそれぞれのターゲットを用いて、TbFeCoCrの中間層14を20nm、それぞれDCマグネトロンスパッタリング法により形成する。さらに、同じターゲットを用い、Arガスに1.0%分圧のH2を混合したスパッタリングガスを、2.5Paとなるまでチャンバー内に導入してTbFeCoの記録層15を100nm、DCマグネトロンスパッタリング法により形成する。
このように記録層形成時に、水素を含有する雰囲気中で記録層を膜成長させることにより、記録層15に水素元素または水素化合物が取り込まれる。なお、中間層14にも水素が取り込まれていても良いが、記録層15の水素含有量は中間層14や再生層13より多い構成となっている。
この時、具体的には、水素は記録層15中に局在して取込まれている。ここで、「水素が局在して取り込まれている」とは、水素元素が、記録層15中に均一に分散しているのではなく、特定の元素との結合状態が強固な膜構造を形成している状態を意味する。具体的には、この実施の形態では、水素は希土類金属としてのTbと局在した結合状態である。記録層は、希土類金属として、Tb、Gd、Dy、Nd、Ho、Pr、Erの少なくとも一つを含んでいることが好ましい。また、記録層がコラム形状の構造を有している場合は、水素元素はコラム構造の構造単位の中に局在して取り込まれている。あるいは、記録層が超格子状の積層構造を形成している場合は、水素は積層構造の界面中に局在して取り込まれている。
記録層15の膜厚は20nm以上400nm以下であり、中間層14の膜厚は5nm以上である。
ここで、膜組成は、ターゲットの投入パワー比を調整することにより、所望の膜組成に合せることができる。
本願発明の実施の形態の製造方法では、TbFeCoからなる記録層15は補償組成温度が70℃であり、キュリー温度は310℃になるように各ターゲットの投入パワーを設定して組成を調整して製膜し、この組成により、室温での保磁力が18koeと大きく、膜面垂直方向の磁気異方性も大きい記録層が形成できる。また、記録層製膜時に、水素を含有するArガス中でスパッタリングすることにより、情報信号を微小磁区に記録した場合にも、安定した記録磁区を形成できる。また、信号の繰り返し記録再生した場合にも、信号特性の劣化の少ない、優れた記録再生が可能となる。
図2(a)に、本実施の形態の記録層の昇温脱離ガス(TDS)の分析結果を、図2(b)に従来の記録層の昇温脱離ガス(TDS)の分析結果を示す。図2(a)の、本実施の形態の記録層では、昇温時の離脱温度が500℃以上と高温であり、アモルファス材料の記録層でありながら、記録層材料と水素とが強固に結合した構造を有している。しかも、結合状況が、高温側に局在した構造となっている。さらに、記録層材料の各組成元素との相関の分析結果から、希土類金属との結合が非常に強固となっている。この結果、記録層に微細な構造を形成しながら、水素と希土類金属とが結合することにより、膜面垂直方向の磁気異方性の大きい記録層を形成できる。膜面垂直方向の磁気異方性を増大させることで、記録膜の保磁力の増大や、角型比の向上が得られ、より安定な磁気特性を実現できる。この結果、高密度に記録した場合にも、記録磁区の安定した記録膜の形成が可能となる。
これに対して、図2(b)に示すような、従来の記録層では、250℃以下と昇温離脱温度が低く、低温で結合力の弱い水素ガスを多く取込むことにより、磁気異方性低下の要因となっている。また、この水素の取込みを抑制するために、スパッタリング圧力を低くした場合には、ミクロな構造ができ難くなるため、磁壁抗磁力が低下し、磁壁の移動により高密度での安定した記録に課題が生じる。
したがって、水素を多く取込みすぎると、TbFeCo記録層の、膜面垂直方向の磁気異方性が低下する傾向があることから、0.2at%以上、4.0at%以下の水素含有量の記録層、より好ましくは、0.2at%以上、2.0at%以下の水素含有量の記録層、さらに、離脱温度が500℃以上と高温での水素と記録層との結合状態であれば、微細マークを記録した際にも同等以上の安定化が得られる。
図6は、図2(a)(b)それぞれの場合の記録マーク長に対する信号量の依存性を示すグラフであり、これにより以下の事実が明らかである。図2(b)の従来の記録層では、100nm以下のマーク長では、信号量が急激に低下しており、記録層に微細な記録マークを安定して記録することができない。これに対して、図2(a)の本発明の記録層では、50nm以下の微細な記録ドメインを記録することが可能となる。
図7は、水素元素の含有量に対する限界マーク長の依存性を示すグラフであり、これにより以下の事実が明らかである。記録膜中の水素元素の含有量が0.2〜2.0at%であれば、60nm以下の微細なマークを記録膜中に安定して形成することができる。この時、記録膜製造時に、Ne、Ar、KrまたはXeのスパッタリングガスに対して、水素分圧を0.2〜20%にすることで、上記のような組成の水素元素を記録膜中に取り込むことができる。
図8は、Ar、Xeそれぞれのスパッタリング圧力に対する磁気異方性の変化を示すグラフであり、これにより以下の事実が分かる。Xeでスパッタリングするプロセスでは、Arの場合と比べても、より低い圧力での磁気異方性Kuの大きいスパッタリング成膜が可能となる。この結果、スパッタリングされた分子は、より高いエネルギーで基板に付着形成され、記録膜中に水素元素以外の不純物ガスが取り込まれにくくなる。また、磁気異方性も増大するため、より微細な記録ドメインの安定な形成が可能となる。これより、ArよりXeが好ましいことが分かる。つまり、Ne、Arに比べて、Kr、Xeの方が効果が大きい。
従来の磁気記録媒体では、特に微細なマークを記録しようとした場合には、磁壁の移動により、記録磁区が拡大する、あるいは、消滅するために、安定した記録ができないという課題があった。また、このことは、記録密度が高密度化されると、特に顕著になり、熱安定性の問題からも、長期間保存した場合の信頼性にも課題を有していた。
これに対し、本願発明の磁気記録媒体は、ディスク基板上に、記録層を形成した磁気記録媒体であって、記録層が、水素元素を含有して結合した構成により、高密度に記録した場合のマークの安定性を実現できる。また、環境温度等が変化した場合にも、記録膜の微細な構造を安定化させることが出来るため、温度変化に対する安定性に優れた(具体的には、高温放置した場合などの環境変化による膜特性の変化が小さい)、信号特性に優れた磁気記録媒体を実現できるものである。
(実施の形態2)
以下、本発明をその実施の形態について図面を参照にして詳細に説明する。
本発明の実施の形態2における磁気ディスクの構造は、実施の形態1と同様に図1に示すような断面構造を有する。図1において、実施の形態1同様にガラスからなる透明なディスク基板11の上に、誘電体層12を形成している。その誘電体層12上には、再生層13、中間層14、記録層15からなる磁性記録膜、さらに記録膜を保護する誘電体層16を順次積層した構成である。さらに、その上に、記録膜の保護のためのオーバーコート層17が積層されている。
磁気ディスク1は、案内溝を有した構成であり、情報を記録するトラックのグルーブ2と、ランド3が形成されている。また、サーボのためのピット領域と、情報を記録するデータ領域とにより構成された場合には、ピット領域は、トラッキングサーボとアドレス検出のための、プリピットが形成されている。
ここで、本実施の形態の記録膜についてさらに詳しく説明する。
図1において、ガラスからなるディスク基板11は、誘電体層12を介して、積層した磁性記録膜(13、14、15)が形成されている。磁性記録膜は、情報を保持しておく記録層15、情報を磁壁の移動によって検出するための再生層13、再生層と記録層の間の交換結合を制御するための中間遮断層14(あるいは、中間層)、により構成されている。さらに、その上には、保護層16、オーバーコート層17により磁性記録膜を保護する構成となっている。
本発明の実施の形態2の磁気記録媒体は、本願発明の実施の形態1同様に、光ビームによる温度勾配により、差し掛かった磁壁を次々と移動させこの磁壁の移動を検出することによって、再生時の信号検出感度を向上させて超解像再生が可能となるDWDD方式を磁気記録媒体に適用できる構成である。
この構成により、記録磁区の大きさに依らず、再生磁区の大きさは、常に一定の最大振幅になる。このため、光学ヘッド、あるいは、GMRヘッド等の磁気ヘッドを用いて信号再生する場合にも、光ビーム等による温度勾配により、再生層での転写磁区を拡大することにより、信号再生時には、常に一定の最大振幅の信号量になる。
図1で示したような、本発明の実施の形態2の磁気記録媒体は、記録膜が形成されたディスク基板側から、レーザ光ビームを照射し、入射光スポットの偏光面の回転として、磁壁移動により拡大された再生層の磁区を検出することによって、再生時のレーザ光スポットの検出限界よりも、小さい記録マークの記録再生が可能となる磁気記録媒体に適用できる構成である。
次に、本願発明の実施の形態2の磁気ディスクの作製方法について詳細に説明する。
図1に示すように、ガラスを用いたディスク基板11に、磁性薄膜の記録膜を含む構成に積層して形成されている。ディスク基板11は、記録トラックにピット領域と、データ領域を有しており、インプリントにより、ピットとグルーブが形成されている。また、本実施の形態の磁気ディスク1のトラックピッチは0.25μmである。
まず、直流マグネトロンスパッタリング装置に、ターゲットを設置し、ディスク基板を基板ホルダーに固定した後、8×10^(−6)Pa以下の高真空になるまでチャンバー内をターボ分子ポンプで真空排気する。そして、真空排気をしたまま0.4Paとなるまでチャンバー内にArガスとN2ガスを導入し、基板を回転させながら、反応性スパッタリングにより、AlTiN膜からなる誘電体層12が形成される。
そして、真空排気をしたまま真空室を移動し、Arガスを0.6Paとなるまでチャンバー内に導入し、基板を回転させながら、GdFeCoCrの合金ターゲットを用いて、GdFeCoCrの再生層13を30nm、DCマグネトロンスパッタリング法により形成される。次に、真空排気をしたまま真空室を移動し、Arガスを1.5Paとなるまでチャンバー内に導入し、基板を回転させながら、TbFeCoCrの合金ターゲットを用いて、TbFeCoCrの中間層14を20nm、DCマグネトロンスパッタリング法により形成される。そしてさらに、真空排気をしたまま、水素ガス分圧0.5%含有するKrガスを1.0Paとなるまでチャンバー内に導入し、基板を回転させながら、TbFeCoの合金ターゲットを用いて、TbFeCoの記録層15を70nm、DCマグネトロンスパッタリング法により形成される。
ここで、TbFeCo、TbFeCoCr、GdFeCoCrの膜組成は、合金のターゲット組成比と製膜条件を調整することにより、所望の膜組成に合せることができる。
さらに、0.3Paとなるまでチャンバー内にArガスとN2ガスを導入し、基板を回転させながら、AlTiNからなる誘電体の保護層16を4nm、反応性スパッタリング法により膜形成されている。
そして、さらに保護層16の上には、ポリウレタン系材料からなる、紫外線硬化型の樹脂をスピンコータで塗布し、紫外線を照射して硬化させて、オーバーコート層17を形成する。
ここで、TbFeCoからなる記録層15は補償組成温度が−50℃であり、キュリー温度は310℃になるように膜組成を調整して製膜し、記録層15の保磁力Hcは、室温からは温度上昇と共に減少するという膜特性が得られる。
また、本実施の形態の磁気記録媒体では、光ビームを照射した状態での温度勾配により、DWDD方式により信号を再生するため、再生層13は、非晶質で微細な構造を有さず、磁壁移動が容易な膜構造である。これに対して、記録層15は、上述した製造方法により構成により、記録膜に微細な構造を有し、微小磁区を記録した場合にも、安定した記録磁区を形成できる。また、レーザ光スポットを照射して、繰り返し記録再生した場合にも、信号特性に優れた記録再生が可能となる。
図3に、本実施の形態の磁気記録媒体30の構造断面SEM写真を示す。図に示すように、ディスク基板31の上に、誘電体層32、非晶質な膜構造の再生層33、中間制御層34、微細な柱状構造を有する記録層35が形成されている。さらに、その上に、誘電体保護層36が形成された構造を有する。
したがって、従来の磁気記録媒体では、特に微細なマークを記録しようとした場合には、磁壁の移動により、記録磁区が拡大する、あるいは、消滅するために、安定した記録ができないという課題があった。また、このことは、記録密度が高密度化されると、特に顕著になり、熱安定性から、長期間保存した場合の、信頼性にも課題を有していた。
これに対し、本願発明の磁気記録媒体は、ディスク基板上に、図3に示すような、ミクロなコラム構造を有する記録層を形成した磁気記録媒体であって、記録層が、水素元素を含有して結合した構成により、膜構造が安定化し、磁壁のピンニングサイトにより保磁力も増大し、高密度に記録した場合のマークの安定性を実現できる。また、環境温度等が変化した場合にも、記録膜の微細な構造を安定化させることが出来るため、温度変化に対する安定性に優れ、信号特性に優れた磁気記録媒体を実現できるものである。
また、本実施の形態では、トラックピッチが0.25μmであったが、情報の記録されるグルーブ幅が0.6μm以下の構成であって、記録情報の最短のマーク長が0.3μm以下の記録ドメインを記録する構成であれば、より効果が大きい。
さらに、本実施の形態では、ガラスにインプリントによりピットと溝を形成した構成について述べてきたが、フォトポリマーを硬化させて、ピットと溝を形成した構成、あるいは、プラスチック材料の基板を用いた構成であっても、同等の効果が得られる。
以上のように、本実施の形態の構成により、高密度に記録再生した場合にも、安定した記録ドメインが形成でき、さらに優れた再生信号特性が得られる。また、情報トラックでの記録磁区が安定した形状に形成させるために、記録再生時に隣接トラックからのクロスライトおよびクロストークも低減できるものである。
(実施の形態3)
以下、本発明をその実施の形態について図面を参照にして詳細に説明する。
図5は本発明の実施の形態3における磁気ディスク60の構造を示す断面図である。図5において、ガラスからなる透明なディスク基板61、下地誘電体層63、磁性記録膜(64、65、66、67)が設けられている。磁性記録膜は、記録層64、中間層65、制御層66、再生層67から構成されている。さらに、記録膜を保護し磁気ヘッドを摺動させるための保護層68、固体潤滑保護層69が設けられている。
ここで、下地誘電体層63形成前のディスク基板61は、ピットを形成したスタンパを用いて、ガラスのディスク基板61に塗布したフォトポリマー62に転写させて、硬化させた構成である。この構成により、トラッキングサーボとアドレス検出のための、ピットが形成され、記録トラックは、サーボのためのピット領域と、情報を記録するデータ領域とが検出できる構成となる。
図5で示した本発明の実施の形態3の磁気記録媒体は、ディスク基板側からレーザ光ビームを照射し、記録層64が形成された潤滑保護層側から、磁気ヘッドにより信号を記録、再生検出することによって、高密度に記録された記録マークの記録再生が可能となる磁気記録媒体に適用できる構成である。この磁気ヘッドにより信号を記録、再生検出する構成によって、再生時のレーザ光スポットの検出限界よりも、小さい記録マークの記録再生が可能となる磁気記録媒体に適用できる構成である。
ここで、本実施の形態の記録膜は温度Tの上昇と共に、保磁力Hcは減少し、飽和磁化Msは増加する特性を有している。このことにより、GMRヘッドで再生した場合には、再生信号の検出感度を向上させることができる。
本実施の形態の磁気ディスクの記録再生装置では、情報の記録時には、ディスクが回転し、トラックに沿ってレーザ光ビームスポットを照射しながら磁気ヘッドで記録される。この時、記録膜は、高温では保磁力が低下することから、磁気ヘッドでの記録が可能となる。また、信号再生時には、レーザ光ビームを照射して、温度上昇させながら、GMRヘッドにより、記録磁区を検出する。この時、飽和磁化Msは温度と共に上昇し、40℃で極大となるため、昇温させることによりGMRヘッドでの検出感度が向上し、再生信号が増大する。
これに対して、従来の記録媒体では、高密度に微小な磁区を記録した場合には、記録磁区の磁壁が移動することによって、記録マークが不安定になるという課題があった。
さらに、環境温度の変動、記録膜へのレーザ光ビームを照射した際の磁気ディスクの温度上昇等に伴い、浮遊磁界とその温度特性により、記録マークが変化することにより、再生信号が劣化するという課題があった。さらに、クロストーク、クロスイレーズや、記録再生信号の劣化、あるいは再生信号量が低下するという課題を有していた。
次に、本願発明の実施の形態3の磁気ディスク60の構成と作製方法について詳細に説明する。
まずスタンパを用いて、ガラス基板上に塗布したフォトポリマー62に、ピットとグルーブを転写し、紫外線を照射して硬化させることにより、ディスク基板61を形成する。
次に、直流マグネトロンスパッタリング装置に、ターゲットを設置し、ディスク基板を基板ホルダーに固定した後、6×10^(−6)Pa以下の高真空になるまでチャンバー内をターボ分子ポンプで真空排気する。そして、真空排気をしたまま0.3Paとなるまでチャンバー内にArガスとN2ガスを導入し、基板を回転させながら、SiNからなる下地の誘電体層63を35nm、反応性スパッタリング法により膜形成される。
次に、記録層作製時には、0.2%に水素を含有するXeガスを、0.5Paになるように導入し、合金ターゲットを用いて、TbFeCoの記録層64を50nm、DCマグネトロンスパッタリング法により形成される。
さらに、チャンバー内が1.5PaであるArガス雰囲気中で、基板を回転させながら、中間層65、制御層66、再生層67を、それぞれの組成を有する合金ターゲットを用いてスパッタリング順次積層する。ここで、TbFeCo、TbFeCoCr、GdFeCo、の磁性記録膜組成は、ターゲットの投入パワー比を調整することにより、所望の膜組成に合せることができる。
そして、さらに再生層67の上には、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる保護層68をArとCH4の混合雰囲気中で、Cターゲットを用いて、反応性RFスパッタリングにより、5nm形成する。さらに、パーフルオロポリエーテル(以下、PFPE)からなる固体潤滑保護層69を塗布することにより形成する。
この時、本実施の形態の磁気ディスク60のトラックピッチは0.35μmである。
ここで、TbFeCoからなる記録層64は補償組成温度が130℃であり、キュリー温度は320℃になるように合金ターゲット組成を調整して製膜した。この組成により、室温での保磁力が8koeとなる。また、本願発明の磁気記録媒体は、上記製造方法で作製したことにより、ディスク基板上に、希土類金属、あるいは遷移金属との水素化合物を含有した構成により、高密度に記録した場合にも、記録磁区が安定し優れた信号特性の磁気ディスクとその製造方法を実現できる。また、磁気ヘッドにより微小磁区を記録した場合にも、安定した記録磁区を形成でき、繰り返し記録再生した場合にも、信号特性に優れ、また、温度変化に対する安定性に優れた磁気記録媒体を実現できるものである。
また、記録層の保磁力Hcは、室温からは温度上昇と共に減少するという膜特性が得られるため、昇温した状態では保磁力が小さくなり、磁気ヘッドでの記録が容易となり、大きな記録磁界は無くても記録可能である。
また、本実施の形態の磁気記録媒体では、光ビームを照射した状態での温度勾配により、DWDD方式により信号を再生すると、記録層からの信号を転写拡大した再生層は、90℃で飽和磁化Msが極大となる組成であるために、さらに、再生信号の増大効果がある。
また、上記の構成により、微小磁区を記録した場合にも、安定した記録磁区を形成でき、磁気ヘッドにより繰り返し記録再生した場合にも、信号特性に優れた記録再生が可能となる。
上記本実施の形態の磁気ディスク60は、フォトポリマー62をディスク基板61上に塗布した構成について述べてきたが、ガラス基板を直接インプリントした構成、エッチング等により、ディスク基板の表面性を変化させた構成、ガラス基板を直接加工、あるいは、加熱溶融による転写させた構成、平板の金属基板、さらに、プラスチック基板による成形等を用いてもよい。
さらに、本実施の形態では、トラックピッチが0.35μmであったが、情報の記録される記録トラック幅が0.6μm以下の構成であって、記録情報の最短のマーク長が0.35μm以下の記録ドメインを記録する構成であれば、より効果が大きい。
以上のように、本実施の形態の構成により、高密度に記録再生した場合にも、安定した再生信号特性が得られる。さらに、情報トラックでの記録磁区が安定した形状に形成させるために、記録再生時に隣接トラックからのクロスライトおよびクロストークも低減できるものである。
(実施の形態4)
以下、本発明をその実施の形態について図面を参照にして詳細に説明する。
本発明の実施の形態4における磁気ディスク60の構造は、実施の形態3と同様に、図5に示すような断面構造を有する。図5に示すように、ガラスを研磨した平板のディスク基板に、下地誘電体層、記録層、中間層、制御層、再生層からなる磁性記録膜群、さらに、磁性記録膜を保護し、磁気ヘッドを摺動させるための保護層、および、潤滑保護層により構成されている。
磁気ディスク60は、記録トラック上に、サーボとアドレス検出のためのピットが形成され、データ領域に情報が記録される構成を有する。ピットとしては、トラッキングサーボとアドレス検出のために用いられ、凹凸、表面粗さの異なる形状に作製、あるいは磁性記録膜形成後、磁気転写、または、サーボライター等により磁気的に記録形成される。
ここで、凹凸、あるいは、表面粗さ等のディスク基板61の表面形状を変化させてピットを形成する場合は、ガラス原盤にフォトレジスト等を用いて、プリピット状に形成したスタンパを用いて、インプリント等によりディスク基板61に転写させて作製する。
あるいは、イオンエッチングによりピット部の凹凸形状、あるいは、表面粗さ等を制御して、スタンパ、あるいは、ディスク基板に直接形成される。
あるいは、スタンパに形成したプリピットの底面を、イオンエッチングと組み合わせて、表面粗さも変化させた構成も可能である。
図5で示した本発明の実施の形態4の磁気記録媒体は、磁性記録膜(64、65、66、67)が形成された薄膜表面に、保護層68、固体潤滑保護層69を形成し、潤滑層の上から、磁気ヘッドにより信号を記録、再生検出することによって、高密度に記録された記録マークの記録再生が可能となる磁気記録媒体に適用できる構成である。この磁気ヘッドにより信号を記録、再生検出する構成によって、再生時のレーザ光スポットの検出限界よりも、小さい記録マークの記録再生が可能となる磁気記録媒体に適用できる構成である。
ここで、本実施の形態の磁気ディスク60のトラックピッチは0.4μmであり、ピット径は0.35μmである。
次に、本実施の形態の磁気ディスクの記録再生装置では、情報の記録時には、ディスクが回転しながら磁気ヘッドで記録される。この時、記録層64は、保磁力が10koe以下にすることにより、磁気ヘッドでの記録が可能となる。また、信号再生時には、GMRヘッドにより、記録磁区からの信号を検出する。この時、レーザ光を照射する構成であれば、保磁力は温度上昇と共に低下し、飽和磁化Msは温度と共に上昇する特性の記録層を用いて、70℃で極大となる組成に調整すれば、GMRヘッドでの検出感度が向上し、再生信号が増大する。また、前述したDWDD方式と組み合わせて用いて、再生信号振幅をさらに拡大して再生することができる。
次に、本願発明の実施の形態4の磁気ディスク60の作製方法について詳細に説明する。
ここで、次に、本発明の実施の形態における磁気記録媒体を製造するための、製造装置の構成図を図4に示す。図に示すように、磁気記録媒体の製造装置は、脱ガス室41と、メインチャンバー43とが、メインチャンバーのロードアンロード真空室42によりにより接続されて構成されている。また、脱ガス室41は、ロード室44、アンロード室45、加熱室47とつながった構成である。また、メインチャンバー43には、複数のプロセス室51、52、53、54、55、56、57が接続されており、メインチャンバー43を通して磁気ディスクが移動し、それぞれの真空室で膜形成される構成である。
まず、ディスク基板61は、脱ガス室41の大気中からのロード室44から投入され、途中、加熱室47でディスク基板の加熱しながら、脱ガス室41を移動して、ディスク基板61からの吸着ガスの脱ガスを行なう。脱ガス室41のロード室44は、メインチャンバーのロードアンロード室42に接続されており、ディスク基板61を、基板ホルダー、マスクを固定して、真空搬送室40を通して、メインチャンバー43に移動する。
そして、メインチャンバー43から、真空プロセス室51に移動し、8×10^(−6)Pa以下の高真空にターボ分子ポンプで真空排気される。真空プロセス室51では、その雰囲気に真空排気したまま、0.3Paとなるまでチャンバー内にArガスとO2ガスを導入し、基板を回転させながら、TaOからなる下地層63を10nm、反応性スパッタリング法により形成する。
次に、メインチャンバー43を通して、TbFeCo記録層製膜のための真空プロセス室52に移動する。ここで、真空プロセス室52は、7×10^(−6)Pa以下の高真空にターボ分子ポンプで真空排気されているが、この時、真空プロセス室52内の水素の分圧は、2×10^(−8)Paとなっており、窒素、酸素、の含有量に対して、10倍以上の分圧となっている。この水素分圧は、真空排気のためのターボ分子ポンプの回転数により制御できる。そしてこのように真空排気をしたまま、Arガスを1.8Paとなるまで真空プロセス室52内に導入し、基板を回転させながら、TbFeCoの合金ターゲットを用いて、TbFeCoの記録層64を60nm、DCマグネトロンスパッタリング法により形成される。ここで、TbFeCoの膜組成は、合金ターゲットの組成と製膜条件を調整することにより、所望の膜組成に合せることができる。また、真空プロセス室内の水素ガス分圧が大きい製膜条件により、スパッタリング製膜中にTbFeCo記録層64の中に水素が取り込まれ、ミクロな膜構造を形成する。実際、図3の断面構造の観察図と同様に、コラム状の微細な構造を形成できる。
なお、下地層63の製膜時の堆積速度が、記録層64の製膜時の堆積速度より小さい。記録層64は、製膜時の膜堆積速度が、2nm/sec以上20nm/sec以下である。
さらに、メインチャンバー43を通して、真空プロセス室53、54、55と順次移動し、TbFeCoAlの中間層65、TbFeCoCrの制御層66、GdFeCoの再生層67をそれぞれ順次積層して形成する。ここで、TbFeCoAlの中間層65の膜厚は15nm、TbFeCoCrの制御層66の膜厚は10nm、GdFeCoの再生層67の膜厚は35nm、にそれぞれに設定している。
なお、TbFeCoの記録層64の製膜時と同様に、真空プロセス室53、54での、TbFeCoAl中間層65、TbFeCoCr制御層66の膜形成時にも、真空プロセス室53、54内の水素の分圧を、2×10^(−8)Paと大きくした条件で形成する記録層のみの場合と同等以上の効果が得られる。
そして、さらに磁性記録膜(64、65、66、67)の上には、さらに真空プロセス室56に移動して、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる保護層68をArとCH4の混合雰囲気中で、Cターゲットを用いて、反応性RFスパッタリングにより、3nm形成する。さらに、真空プロセス室57で、製膜した磁気ディスク60を冷却した後、ロードアンロード室42を通して、真空装置の外に送り出す。
さらに、パーフルオロポリエーテル(以下、PFPE)からなる固体潤滑保護層69をディッピング装置により引き上げながら塗布することにより、2nmに塗布形成する。
ここで、TbFeCoからなる記録層64は補償組成温度が140℃であり、キュリー温度は330℃になるようにターゲット組成と条件を設定して膜組成を調整して製膜した。
なお、記録層64製膜後に、真空プロセス室52,53で保持する真空中で、水素を20%含むAr雰囲気中に保持し、さらに水素を吸蔵、吸着させる方法を用いてもよい。
このような記録層の組成と、水素元素と結合した構成により、ミクロな膜構造で安定であり、室温での保磁力が10koe以上となる。この結果、磁気ヘッドにより微小磁区を記録した場合にも、安定した記録磁区を形成でき、磁気ヘッドにより繰り返し記録再生した場合にも、信号特性に優れた記録再生が可能となる。
従来の磁気記録媒体では、磁壁移動のために、記録した磁区が拡大、あるいは、収縮による消滅で、微細なマークの記録が安定していないという課題を有していた。また、環境温度の変動、記録膜へのレーザ光ビームを照射した際の磁気ディスクの温度上昇等に伴い、磁気グレインの熱揺らぎが課題となり、記録ドメイン形状が変動する、あるいは、劣化するという課題、あるいは、クロストーク、クロスイレーズ、記録再生信号の劣化といった課題を有していた。
これに対し、本願発明の磁気記録媒体は、簡易な方法で、記録層に水素を含有して記録層を安定化する構成により、高密度に微細な磁区を記録した場合にも、安定した記録特性の磁気記録媒体とその製造方法を実現できる。また、記録層の室温での保磁力も大きく、環境温度等が変化した場合にも、安定した記録磁区を形成できるため信号特性に優れ、信頼性の高い磁気記録媒体を実現できるものである。
以上のように、本実施の形態の構成により、高密度に記録再生した場合にも、安定した再生信号特性が得られる。さらに、情報トラックでの記録磁区が安定した形状に形成させるために、記録再生時に隣接トラックからのクロスライトおよびクロストークも低減できるものである。
(実施の形態5)
以下、本発明をその実施の形態について図面を参照にして詳細に説明する。
本発明の実施の形態5における磁気ディスク60の構造は、実施の形態3同様に、図5に示すような断面構造を有する。図5に示すように、研磨したAl合金からなる金属のディスク基板に、下地層、記録層、中間層、制御層、再生層からなる磁性記録膜群、さらに、磁性記録膜を保護し、磁気ヘッドを摺動させるための保護層、および、潤滑保護層により構成されている。
磁気ディスク60は、記録トラック上に、プリピットと、情報を記録するデータ領域を有する構成である。プリピットは、トラッキングサーボとアドレス検出に用いられており、凹凸、表面粗さの異なるピット、あるいは、サーボライター等による磁気記録によるプリピットが形成されている。
ここで、ディスク基板61が、凹凸、あるいは、表面粗さの異なるプリピットを有する場合には、ピットを形成したスタンパを用いて、インプリントにより金属のディスク基板61に転写し、あるいは、イオンエッチングによりピット部の凹凸形状、あるいは、表面粗さ等を制御して、スタンパ、あるいは、ディスク基板に直接形成される。
このような、凹凸、あるいは、表面粗さを用いたディスク基板上に、AgCu、あるいは、ZnS−SiO2からなる誘電体の下地層63を形成した場合にも、ディスク基板61表面のピットが、下地層63の表面にも形成される。
この結果、ピット部が表面粗さの小さいサーボ用ピットとして形成される。
図5で示したものと同様の構成の、本発明の実施の形態5の磁気記録媒体は、記録膜が形成された潤滑層側から、レーザ光ビームを照射し、磁気ヘッドにより信号を記録、再生検出することによって、再生時のレーザ光スポットの検出限界よりも、小さい記録マークの記録再生が可能となる磁気記録媒体に適用できる構成である。
ここで、本実施の形態の記録膜は温度Tの上昇と共に、保磁力Hcは減少し、飽和磁化Msは極大温度まで増加する特性を有している。
本実施の形態の磁気記録媒体は、情報の記録時には、ディスクが回転し、トラックに沿ってレーザ光ビームスポットを照射しながら磁気ヘッドで記録される。この時、記録膜は、高温では保磁力が低下することから、磁気ヘッドでの記録が可能となる。また、信号再生時には、レーザ光ビームを照射して、温度上昇させながら、GMRヘッドにより、記録磁区を検出する。この時、飽和磁化Msは温度と共に上昇し、100℃で極大となるため、GMRヘッドでの検出感度が向上し、再生信号が増大する。
しかしながら、従来の記録媒体では、記録膜へレーザ光ビームを照射した際に、磁気ディスクの温度上昇と冷却過程での温度変化に伴い、記録磁区が不安定になり、磁壁の移動によって、記録ドメインが劣化するという課題があった。
次に、本願発明の実施の形態5の磁気ディスク60と作製方法について詳細に説明する。
図5に示すように、金属からなる研磨されたディスク基板61に、磁性薄膜の記録膜を含む構成に積層して形成されている。ディスク基板61は、プリピットを設けた記録トラックが形成されており、本実施の形態の磁気ディスク60のトラックピッチは0.3μmである。
まず、図示するように、Al合金のからなるディスク基板61の表面にフォトポリマーを用いてピットを形成し、ピット形状の部分は、マスクを通してイオンガンによりエッチングすることにより、表面粗さをRa0.5nm以上と、Raの異なるプリピットが形成できる。
ここで、磁気的なプリピットを形成する場合には、ディスク基板に記録膜作製後に、磁気転写、あるいは、Raでなく、サーボライター等を用いて記録する。
次に、スパッタリング装置を用いて、記録膜、保護層を作製するが、そのための製造装置は、実施の形態4の図4に示す構成と同様の製膜装置を用いることができる。
まず、スパッタリング装置に、ターゲットを設置し、ディスク基板61を基板ホルダーに固定した後、8×10^(−6)Pa以下の高真空になるまでチャンバー内をターボ分子ポンプで真空排気する。そして、真空排気をしたまま0.2Paとなるまでチャンバー内にArガスを導入し、基板を回転させながら、AgCuからなる金属膜の下地層63を20nmに形成し、さらに、0.4PaのArを導入し、ZnS−SiO2からなる誘電体の下地層63を10nm、RFマグネトロンスパッタリング法により膜形成される。
そして、真空排気をしたままArガスを2.0Paとなるまでチャンバー内に導入し、基板を回転させながら、TbFeCoの合金ターゲットを用いて、TbFeCoの記録層64を80nm、DCマグネトロンスパッタリング法により形成される。ここで、TbFeCoの膜組成は、合金のターゲット組成比と製膜条件を調整することにより、所望の膜組成に合せることができる。
次に、真空プロセス室53の真空中で、水素を20at%以上含有するAr雰囲気中で、イオンガンを用いて、TbFeCo記録層64をエッチングし、さらに、その後、記録層64を、水素を20at%含有する雰囲気中に60秒、保持する。このことにより、水素が記録膜中に取込まれ、希土類金属と安定な結合状態を形成する。
また、この時、エッチング条件を調整することにより、記録層64の表面の平滑性も調整できる。
次に、さらに、チャンバー内が1.5PaであるArガス雰囲気中で、基板を回転させながら、中間層65、制御層66、再生層67を、それぞれの組成を有する合金ターゲットを用いてスパッタリング順次積層する。ここで、TbFeCo、TbFeCoCr、GdFeCo、の磁性記録膜組成は、ターゲットの組成比と製膜条件を調整することにより、所望の膜組成に合せることができる。
そして、さらに再生層67の上には、アモルファスカーボン(αC)からなる保護層68をAr雰囲気中で、Cターゲットを用いて、DCスパッタリングにより、7nm形成する。さらに、パーフルオロポリエーテル(以下、PFPE)からなる固体潤滑保護層69をスピンコータで高速回転で塗布することにより形成する。
ここで、TbFeCoからなる記録層64は補償組成温度が−20℃であり、キュリー温度は310℃になるように膜組成を調整して製膜した。
この結果、本実施の形態の磁気記録媒体では、光ビームを照射した状態での温度、120℃で、飽和磁化Msが極大となり、また、保磁力Hcは、温度上昇と共に減少するという膜特性を有し、微小磁区を記録した場合にも、安定した記録磁区を形成でき、磁気ヘッドにより繰り返し記録再生した場合にも、信号特性に優れた記録再生が可能となる。
このような、本実施の形態の磁気記録媒体は、情報の記録時には、ディスクが回転し、トラックに沿ってレーザ光ビームスポットを照射しながら磁気ヘッドで記録磁界を変調することにより記録される。この時、記録層は、高温では保磁力が低下することから、磁気ヘッドの磁界で記録が可能となる。また、信号再生時には、レーザ光ビームを照射して、温度上昇させながら、上記したDWDD方式を用いて、磁壁移動により、転写磁区を拡大させながら、GMRヘッドにより、再生磁区を検出する。この時、再生層の飽和磁化Msも温度と共に上昇する構成であれば、昇温時に再生信号が極大となるため、GMRヘッドでの検出感度がさらに向上し、再生信号が増大する。
従来の磁気記録媒体では、記録膜へレーザ光ビームを照射した際に、磁気ディスクの温度上昇に伴い、微小な記録磁区が劣化するという課題があった。特に、記録膜へレーザ光ビームを照射した際に、磁気ディスクの温度上昇と冷却過程での温度変化に伴い、記録磁区の信頼性が不安定になり、磁壁の移動によって、記録ドメインが劣化するという保存性の課題があった。また、磁気的にサーボピットを形成した場合には、サーボ信号の特性も変動する、あるいはそれに伴い記録再生特性が低下する等の保存性の課題を有していた。
これに対し、本願発明の磁気記録媒体は、記録層が水素を含有して安定した構造を有することにより、環境温度の変化、あるいは、記録再生時に記録膜にレーザ光ビームを照射した際の磁気ディスクの温度変化にも、微細な記録磁区を安定して記録が可能となる。この結果、光ビーム等により記録膜を昇温させて、GMRヘッド等の磁気ヘッドを用いて信号再生する場合にも、熱耐久性に優れ、信号特性に優れた磁気記録媒体を実現できるものである。
また、本実施の形態では、トラックピッチが0.3μmであったが、情報の記録されるグルーブ幅が0.6μm以下の構成であって、記録情報の最短のマーク長が0.3μm以下の記録ドメインを記録する構成であれば、より効果が大きい。
以上のように、本実施の形態の構成により、高密度に記録再生した場合にも、安定した再生信号特性が得られる。さらに、情報トラックでの記録磁区が安定した形状に形成させるために、記録再生時に隣接トラックからのクロスライトおよびクロストークも低減できるものである。
次に、本実施の形態の磁気記録媒体の記録再生装置について図面を参照にして詳細に説明する。
本発明の実施の形態における磁気記録媒体の記録再生装置は、図10に示すような構成を有する。図10に示すように、スピンドルモータ103に取り付けられた磁気ディスク101は、磁気ヘッド制御、検出回路106でコントロールされた磁気ヘッドにより、信号が記録再生される。また、光学ヘッド104は、レーザ駆動回路105により制御されたレーザ光をディスク上に照射しながら、磁気ヘッドでの記録再生を行なう。この時、制御回路により、モータの回転駆動制御と、レーザ光のサーボ制御等が行われる。
このような構成の記録再生装置を用いて、本実施の形態の磁気ディスクは、水素と安定な結合状態の構造を有する記録層により、表面形状、あるいは磁気的に記録されたピットにより、トラッキングサーボをかけながら、情報の記録再生が可能となる。
ここで、本実施の形態の磁気ディスクでは、水素を含有した安定なマイクロ構造を有する記録層からなる構成により、高密度で微細な記録ドメインを記録した場合にも、安定した記録磁区を実現できるものである。
ここで、光学ヘッドは、磁気ヘッドと分離し反対方向に配置した構成について示してあるが、磁気ヘッドと同じ側から照射する構成、さらに、磁気ヘッドと光学ヘッド、あるいは光源とつながった導波路と一体となった構成であっても良い。
以上のように、本実施の形態の記録再生装置の構成により、微細な磁区を高密度に記録再生した場合にも、安定した記録ドメインを形成し、再生信号を検出できる、優れた記録再生信号特性が得られる記録再生装置を実現できるものである。
以上のように、本実施の形態の構成により、高密度に記録再生した場合にも、安定した記録磁区が形成でき、優れた再生信号が検出でき、しかも、信頼性の高い、磁気記録媒体とその製造方法、および、記録再生方法を実現できるものである。
なお、本実施の形態の記録層では、Ar、Kr、Xeに水素を含有する雰囲気中でスパッタリングする製造方法について述べてきたが、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくともひとつを含有し、混合した不活性ガスを用いても良い。またその時の、水素の分圧は、0.2%から20%、さらには0.2%〜4%であれば、その他の気体と混合した製膜雰囲気であってもよい。またさらに、スパッタリング製膜中に、水素H2の量を変化させながら磁性記録膜を形成する製造方法であっても良い。
また、磁気記録媒体の製造方法は、真空プロセス室の真空中で、水素を20%含むAr雰囲気中に保持し、水素を吸蔵、吸着させて記録膜に取り込む方法について述べてきたが、Arに対してであれば5%以上、窒素等その他のガスであれば、10%以上の分圧であればよい。また、保持する雰囲気も、真空中のみでなく、1気圧以上の加圧雰囲気であってもよい。また、その条件も、保持する雰囲気の水素量と分圧、保持圧力、時間の条件を適宜設定して、記録膜に強い結合状態で取込む製造方法であればよい。
さらに、本実施の形態では、水素を20at%以上含有するAr雰囲気中で、イオンガンを用いて、TbFeCo記録層をエッチングし、記録層に水素を含有する製造方法について述べてきたが、Ne、Ar、Kr、Xeのスパッタリングガスに対して、水素分圧が、0.2%から20%の範囲内にある雰囲気中で、記録層を照射イオンに水素イオンを含むイオン照射エッチング、プラズマエッチング等のドライエッチングを行う製造方法であれば良い。
また、本実施の形態では、7×10^(−6)Pa以下の高真空に真空排気され、水素の分圧が、2×10^(−8)Pa真空プロセス室内に、Arガスを導入して製膜する製造方法について述べてきたが、記録層形成前の到達真空度が、5×10^(−5)Pa以下の真空雰囲気であって、真空排気状態での水素ガス分圧が、1×10^(−8)Pa以上である真空プロセス室に、スパッタリングガスを導入して記録層を膜成長させる製膜する製造方法であれば、同等の効果が得られる。またその時、真空プロセス室の水素分圧が、窒素分圧に対して、10倍以上の範囲にあればよい。
また、本実施の形態の記録層の製造方法では、記録層TbFeCo製膜時に、製膜速度、ディスク基板の回転数を制御することにより、TbとFe、Coの膜のミクロな構造を変化させることができ、磁気異方性の大きい非晶質な膜構造の磁性薄膜を用いても良い。より具体的には、TbFeCoの記録層製膜時に、40rpmで自公転の回転をしながら、それぞれの元素粒子が、0.5nm/secの製膜レートで、それぞれ製膜することにより、上記膜構造が可能である。
また、なお、記録層形成後、あるいはその他の薄膜層形成後に、エッチング工程により、所望の表面粗さに調整した構成であってもよい。
また、本実施の形態の記録層の構成は、磁気的超解像を用いた多層構造について述べてきたが、記録情報を保持しておく記録層を有する構成であれば同様の効果が得られる。この時、単層、あるいは、再生情報の信号量を増大させるための再生層と記録層とで構成され、2層間は磁気的に交換結合されている構成であっても良い。
また、ここで、TbFeCoからなる記録層について述べてきたが、希土類金属−遷移金属合金を用いた磁性薄膜であって、少なくともTb、Gd、Dy、Nd、Ho、Pr、Er等の希土類金属材料のひとつと、Fe、Co、Ni等の遷移金属を含む磁性薄膜であれば良い。
また、GdFeCoCrの再生層について、述べてきたが、GdFeCoAl、あるいはその他の材料組成、あるいは、さらに、それらの材料を用いた構成、あるいは、多層に積層した構成であってもよい。
あるいはさらに、記録層のTbFeCo製膜時に、製膜速度、光ディスク基板の回転数を制御することにより、TbとFe、Coの遷移金属とを、周期構造に積層した構成であっても良い。この時の積層周期としては、2.0nm以下の周期的な積層構造にすることにより、記録層の飽和磁化Msと保磁力Hcとの積Ms・Hcを増大させることができる。実際、1.0nmの積層周期の記録層では、4.0×10^(6)erg/cm3という大きなMs・Hc値が得られ、50nm以下の微小磁区を記録した場合にも、安定した記録磁区を形成でき、繰り返し記録再生した場合にも、信号特性に優れた記録再生が可能となる。
また、本実施の形態の光磁気記録媒体の記録層は、TbとFeとCoの積層周期が0.3nm以上、4nm以下に積層した構成であって、記録層の膜厚を20nm以上、より好ましくは、40nmから200nmに形成した構成であれば、同等の効果が得られる。また、TbとFe、Coの遷移金属が周期的な積層構成に限定されるものではなく、Tb、Fe、Coそれぞれ異なるターゲット、あるいは、それ以外の材料を含む構成であっても、2nm以下の積層周期を有する記録層の構成であればよい。
また、TbFeCoからなる記録層のキュリー温度は300℃から330℃に設定していたが、磁気ヘッドの特性、光学ヘッドによる温度上昇の条件、さらに、環境温度の許容範囲に応じて、少なくとも150℃以上の温度範囲に設定すれば良い。
なお、ここで、磁気記録媒体の磁気特性の変化は、ディスク基板、あるいは下地層の変化ににも依存しており、保磁力、飽和磁化、磁束密度、磁気異方性、あるいはそれらの温度特性等を含めて本願発明の記録層に調整すれば、同等以上の効果が得られる。
また、本実施の形態では、DWDD方式を用いた磁気的超解像を用いた磁気ディスクについて述べてきたが、また、さらに、その膜構成は、再生層、中間層、記録層、あるいはさらに制御層を含む構成について述べてきたが、この構成に限定されるものではなく、RAD、FAD、CAD、あるいは、ダブルマスク方式の磁気的超解像方式、あるいは、MAMMOS方式等の転写した磁区が拡大再生されるような膜構成の磁気記録媒体であっても良い。また、記録膜の構成も、記録層、中間層、再生層の3層構造に限定されず、必要な機能を有した多層膜を形成した構成であれば良い。
また、DWDD方式を用いた磁気記録媒体では、凹凸、あるいは、面粗さの異なるピットを形成したディスク基板について述べてきたが、グルーブ、あるいは、ランドを有し、記録トラック間を分離する構成であっても良い。あるいは、トラック間に案内溝を設けて、アニール処理をする構成であっても良い。このような構成であれば、情報の記録されるトラック間が磁性的遮断され、再生層に転写された記録磁区が容易に磁壁移動する構成を実現でき、DWDD方式での信号特性が、さらに優れた磁気記録媒体を実現できる。このように、グルーブ、あるいは、ランドの凹凸により、記録トラック間の分離を行なうと、0.1μm以下の微小磁区を安定して形成し、DWDD方式による転写磁区の磁壁の移動度を確保でき、再生信号特性に優れた磁気ディスクを実現することができる。さらに、記録再生時に隣接トラックからのクロスライトおよびクロストークも低減できるものである。
なお、ディスク基板の材料は、ガラス、Al合金の金属、ポリカーボネートについて述べてきたが、その他の金属材料、プラスチック材料等を用いても良い。
また、上記本実施の形態の磁気ディスクは、ディスク基板表面にフォトポリマーによりピットを形成した構成、あるいは、インプリント等を用いた方法について述べてきたが、ディスク基板表面を直接エッチングにより加工した構成、あるいは、直接ピットの加工、あるいは、ガラスを加熱溶融して転写させることによりピット形成を行なっても良い。あるいは、インプリント等を用いてフォトポリマーに転写させる方法であっても良い。また、表面粗さを利用したディスク基板の場合には、フォトレジスト原盤を直接エッチングにより加工して作製したスタンパを用いて、ディスク基板に転写させた形成、あるいは、ディスク基板上に形成した下地表面を直接エッチングする方法でも良い。
また、自己組織化された有機の微粒子を塗布したディスク基板上に、記録層を形成する媒体とその製造方法であっても、微粒子のパターンの大きさまで高密度に記録が可能となる。さらに、微粒子を、均一な特性を有し、直径の小さいものを用いれば、さらに高密度での記録が可能となる。あるいは、自己組織化された微粒子の形状を、ディスク基板上に、転写形成した構成であっても良い。特に、微粒子を塗布、あるいは、転写してからエッチング等を行なえば、同等の効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、トラックピッチは、0.25μmから0.4μmのディスク基板について説明してきたが、情報の記録されるグルーブ幅が0.6μm以下の構成であって、記録情報の最短のマーク長が0.3μm以下の記録ドメインを記録する構成であればよい。また、記録トラック、線記録密度が小さくなった場合には、より効果が大きい。
なお、本実施の形態のプリピットの深さ、大きさは限定していないが、より好ましくは、10nmから200nmの範囲にある深さのプリピットを有する構成、またサーボピット、アドレスピット等のプリピットからの信号が磁気ヘッドにより検出可能でできるだけ小さい構成であれば、同等以上の効果を実現できる。
なお、本実施の形態では、表面形状の異なるプリピット、あるいは、磁気的な記録によるプリピットが形成し、アドレスを検出する方法について述べてきたが、グルーブ、あるいは、ランドをウォブルさせてアドレス情報を検出する方法であっても良い。その場合、グルーブ、あるいは、ランドの片側のみをウォブルさせることもできる。
また、ディスク基板と誘電体の下地層との間に、熱伝導率の大きい熱吸収層を形成し、さらに、熱伝導率の小さい層を形成して、ディスク内での温度分布、熱伝導を制御した構成であっても良い。
また、下地層としては、ディスク基板上にSiN、AlTiN、ZnS−SiO2、TaO、AgCuについて述べてきたが、AlTi、AlCr、Cr、Ti、Taあるいはその他の材料の酸化物、あるいは窒化物、あるいはカルコゲン系化合物等のII−VI族、III−V族化合物、あるいはさらに、Al、Cu、Ag、Au、Pt等の金属材料、あるいはそれらを含む混合材料であっても良い。
またこれらの材料を、保護膜材料として用いても良い。
そして、さらに保護層には、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる固体潤滑層をArとCH4の混合雰囲気中で、Cターゲットを用いて、反応性RFスパッタリングにより形成する方法について述べてきたが、CVD等を用いてDLC膜を形成すると、さらに緻密な膜の形成が可能になる。
また、スパッタリングで形成したアモルファスカーボンの保護層について述べてきたが、表面粗さ、Raが小さく、摩擦係数の小さい材料で、膜強度の大きい材料であれば、これに限定されるものではない。
また、さらに保護層として、エポキシアクリレート系からなる樹脂、あるいはウレタン系樹脂を用いて、スピンコートにより5μm程度の均一な膜厚に塗布し、紫外線ランプを照射して硬化、あるいは、熱的に硬化させることにより形成する方法であっても良い。
さらに、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑保護層を塗布する構成について述べてきたが、スピンコート、あるいは、ディッピング等を用いれば良い。また、潤滑層も下地の保護層上で安定した材料であれば良い。
また、本願発明の磁気記録媒体に、テープバーニッシュ処理をさらに追加して、表面を傷つくことなく異物、突起等が除去され、内周から外周端まで膜厚分布で均一で平滑性の良好な塗布する工程を用いても良い。
また、ディスク基板は、両面タイプであっても良い。その場合には、サーボピットは両面に形成し、記録層、保護層の形成を両面に行なう必要がある。また、記録再生装置では、記録膜両面に、磁気ヘッドを取り付けたドライブ構成にする必要がある。
さらに、両面に成膜後、媒体表面をテープバーニッシュ装置に装着し、回転させながら両面を内周から外周に向かってテープバーニッシュすることで、異物、突起等を除去した構成であっても良い。
以上述べてきたように、本願発明の磁気記録媒体では、ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に記録層を備えた構成の磁気記録媒体であって、記録層が水素と結合して安定化したミクロな構造を有する構成により、微細な記録磁区を安定して記録することができ、再生信号振幅を劣化させることなく、記録密度の大幅な向上が可能となる。また、光を照射して記録膜の温度を上昇させながら磁気記録再生する記録媒体においても、サーボ特性が安定して、信頼性を高めることができ、ディスクの生産性、コストを大幅に向上できる。
さらに、高密度記録での、繰り返し書き換えを行なった場合にも、安定した記録再生特性が得られ、信号特性の優れた磁気記録媒体とその製造方法、および、記録再生方法を提供することが実現可能となる。
本発明の磁気記録媒体は、高密度の情報の記録が可能であり、情報蓄積デバイス、メモリー媒体として有用であり、適用が可能である。
本発明の実施の形態1における磁気記録媒体の構成を示す断面図。 (a)本発明の実施の形態における磁気記録媒体の、昇温離脱温度に対する放出元素のプロファイルを示す特性図(b)従来の磁気記録媒体の、昇温離脱温度に対する放出元素のプロファイルを示す特性図。 本発明の実施の形態における磁気記録媒体の断面のSEM観察した特性を示す図。 本発明の実施の形態における磁気記録媒体を製造するための、製造装置を示す構成図。 本発明の実施の形態2における磁気記録媒体の構成を示す断面図。 図2(a)(b)それぞれの場合の記録マーク長に対する信号量の依存性を示す特性図。 水素元素の含有量に対する限界マーク長の依存性を示す特性図。 Ar、Xeそれぞれのスパッタリング圧力に対する、磁気異方性の変化を示す特性図。 本発明の実施の形態における光磁気記録媒体の再生動作の説明のための光磁気記録媒体の断面図と特性図であり、(a)光磁気記録媒体の記録膜の構成(特に磁化の方向)を示す断面図(b)再生動作中の光磁気記録媒体の位置に対する媒体内部での温度分布を示す特性図(c)再生層の磁壁エネルギー密度を示す特性図(d)再生層の磁壁を移動させようとする力を示す特性図。 本発明の実施の形態における磁気記録媒体の記録再生装置の構成を示す図。
符号の説明
1、30、60 磁気ディスク
11、31、61 ディスク基板
12、32 誘電体層
13、33、67 再生層
14、34、65 中間層
15、35、64 記録層
16、36 誘電体層(保護層)
17 オーバーコート層
62 フォトポリマー
66 制御層
68 保護層
69 潤滑層
101 磁気ディスク
102 磁気ヘッド
103 スピンドルモータ
104 光学ヘッド

Claims (29)

  1. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層を含む記録膜を備えた磁気記録媒体であって、
    少なくとも前記記録層は、膜中に水素元素を含有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層を含む記録膜を備えた磁気記録媒体であって、
    前記記録層中に、水素化合物を含有することを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 前記水素が前記記録層中に局在して取込まれていることを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 前記記録層に取込まれた水素元素は、昇温離脱(TDS)温度500℃以上の結合状態であることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の磁気記録媒体。
  5. 前記記録膜が希土類金属を含み、
    前記記録膜中の前記水素が、前記記録膜中の希土類金属と局在した結合状態であることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の磁気記録媒体。
  6. 前記希土類金属は、Tb、Gd、Dy、Nd、Ho、Pr、Erの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。
  7. 前記記録層がコラム形状の構造を形成していることを特徴とする請求項1から6いずれか記載の磁気記録媒体。
  8. 前記記録層が超格子状の積層構造を形成していることを特徴とする請求項1から6いずれか記載の磁気記録媒体。
  9. 前記記録層は、水素原子の取込み量が、0.2at.%以上であることを特徴とする請求項1から8いずれか記載の磁気記録媒体。
  10. 前記記録膜が、複数の層により構成され、
    前記記録層の水素含有量が、前記複数の層の中で最大であることを特徴とする請求項1から9いずれか記載の磁気記録媒体。
  11. 前記記録層の膜厚は、20nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項1から10いずれか記載の磁気記録媒体。
  12. 前記記録膜が、中間層を含み、
    前記中間層の膜厚は、5nm以上であることを特徴とする請求項1から11いずれか記載の磁気記録媒体。
  13. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体の製造方法であって、
    少なくとも記録層形成前の真空プロセス室の到達真空度が、5×10^(−5)Pa以下であって、真空排気状態での水素ガス分圧が、1×10^(−8)Pa以上である真空雰囲気を用いて、前記記録層を膜成長させることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  14. 前記真空プロセス室の前記水素分圧が、窒素分圧に対して、10倍以上の範囲にあることを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒体の製造方法。
  15. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体の製造方法であって、
    少なくとも記録層形成時には、水素を含有する雰囲気中で前記記録層を膜成長させることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  16. 前記水素分圧が、Ne、Ar、KrまたはXeを含有するスパッタリングガスに対して0.2%から20%の範囲内にあることを特徴とする請求項15記載の磁気記録媒体の製造方法。
  17. 前記記録層の下地となる下地層製膜時の堆積速度が、前記記録層の製膜時の堆積速度より小さいことを特徴とする請求項15または16記載の磁気記録媒体の製造方法。
  18. 前記記録層は、製膜時の膜堆積速度が、2nm/sec以上20nm/sec以下であることを特徴とする請求項15記載の磁気記録媒体の製造方法。
  19. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体の製造方法であって、
    少なくとも前記記録層形成後に、水素を含有する雰囲気中で前記磁気記録媒体を保持することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  20. 前記磁気記録媒体はArを含む真空雰囲気中に保持し、真空中のArに対する水素分圧が5%以上であることを特徴とする請求項19記載の磁気記録媒体の製造方法。
  21. 前記磁気記録媒体の保持は、水素を含む1気圧以上に加圧した雰囲気であることを特徴とする請求項19記載の磁気記録媒体の製造方法。
  22. 前記磁気記録媒体の保持は、窒素に対する水素分圧が10%以上の雰囲気であることを特徴とする請求項19記載の磁気記録媒体の製造方法。
  23. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体の製造方法であって、
    少なくとも記録層形成後に、水素ガスを含有する雰囲気中でイオン照射エッチング、プラズマエッチング等のドライエッチングを行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  24. 前記水素分圧が、Ne、Ar、KrまたはXeを含有するスパッタリングガスに対して0.2%から20%の範囲内にあることを特徴とする請求項23記載の磁気記録媒体の製造方法。
  25. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体であって、
    少なくとも記録層形成前の真空プロセス室の到達真空度が、5×10^(−5)Pa以下であって、真空排気状態での水素ガス分圧が、1×10^(−8)Pa以上である真空雰囲気を用いて、前記記録層を膜成長させることを特徴とする磁気録媒体。
  26. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体であって、
    少なくとも記録層形成時には、水素を含有する雰囲気中で前記記録層を膜成長させることを特徴とする磁気記録媒体。
  27. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体であって、
    少なくとも前記記録層形成後に、水素を含有する雰囲気中で前記磁気記録媒体を保持することを特徴とする磁気記録媒体。
  28. ディスク基板上に少なくとも膜面垂直方向に磁気異方性を有する記録層が形成された磁気記録媒体であって、
    少なくとも記録層形成後に、水素ガスを含有する雰囲気中でイオン照射エッチング、プラズマエッチング等のドライエッチングを行うことを特徴とする磁気記録媒体。
  29. 請求項1〜12,25〜28に記載の前記磁気記録媒体または請求項13〜24に記載の前記製造方法によって製造された磁気記録媒体に、レーザ光スポットを照射することにより、前記記録層を昇温させながらディスク上の情報信号を記録再生することを特徴とする磁気記録再生方法。



JP2005214921A 2004-07-27 2005-07-25 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法 Withdrawn JP2006066058A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005214921A JP2006066058A (ja) 2004-07-27 2005-07-25 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004218157 2004-07-27
JP2005214921A JP2006066058A (ja) 2004-07-27 2005-07-25 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006066058A true JP2006066058A (ja) 2006-03-09

Family

ID=36112387

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005214921A Withdrawn JP2006066058A (ja) 2004-07-27 2005-07-25 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006066058A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7535803B2 (en) Method for recording to and reproducing from a magnetic recording medium, recording and reproduction device for the same, and magnetic recording medium
US20060024531A1 (en) Magnetic recording medium and method for manufacturing same, and method for recording and reproducing with magnetic recording medium
US20070243417A1 (en) Magnetic Recording Medium, and Manufacturing Method and Manufacturing Apparatus of the Same, Recording and Reproduction Method of Magnetic Recording Medium, and Recording and Reproduction Apparatus of the Same
US7773343B2 (en) Magnetic recording medium, and manufacturing method, manufacturing apparatus, recording and reproduction method, and recording and reproduction apparatus for the same
US20040057343A1 (en) Magnetic recording medium, method for producing the same and magnetic recording/reproducing apparatus
US20090268599A1 (en) Magnetic recording medium and recording and reproducing method and apparatus for the same
JP3363409B2 (ja) 光メモリ素子及びその製造方法
JPWO2003046905A1 (ja) 光磁気記録媒体及びその製造方法
JP2008071455A (ja) 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生装置と記録再生方法
JP2008198238A (ja) 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法
US7399539B2 (en) DWDD-type magneto-optic recording medium including buffer regions between recording track regions and method of producing the same
JP2006073175A (ja) 磁気記録媒体の記録再生方法、磁気記録媒体の記録再生装置および磁気記録媒体
JP2006066058A (ja) 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生方法
JP2004134064A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法及び磁気記録再生装置
JP3882483B2 (ja) 光記録媒体の製造方法
US7235313B2 (en) Magneto-optical recording medium, method of manufacturing magneto-optical recording medium, method of recording on magneto-optical recording medium, and method of reproduction from magneto-optical recording medium
JP2004185718A (ja) 光磁気記録媒体
JP2004178726A (ja) 情報記録媒体及びその製造方法
JP2005100562A (ja) 光磁気記録媒体
JP2005346784A (ja) 光磁気記録媒体およびその製造方法
JPH07141709A (ja) 光磁気記録媒体
JP2004326920A (ja) 情報記録媒体の製造方法
JP2004164826A (ja) 光磁気記録媒体、光磁気記録媒体の製造方法、光磁気記録媒体の記録方法、および光磁気記録媒体の再生方法
JPH10214440A (ja) 光磁気記録媒体
JP2001126313A (ja) 光情報記録媒体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080606

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080606

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20080718