JP2006061061A - 遺伝子検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特定の遺伝子配列を、挿入剤を用いて検出する遺伝子検出方法に関し、1本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的に吸着する挿入剤によるバックグランドノイズの影響を無くする。
【解決手段】 検出すべき遺伝子配列に相補的なプローブ核酸を基板に固定するステップと、プローブ核酸と1本鎖に変性された検体核酸とをハイブリダイズ反応させるステップと、ハイブリダイズされた2本鎖核酸に特異的な2本鎖核酸挿入部位と、電気化学活性を有する電気化学活性部位と、両部位を連結する連結部位とからなる挿入剤を添加し、第1の波長の光照射により2本鎖核酸挿入部位と2本鎖核酸を共有結合させるステップと、2本鎖核酸を電解液で満たし、第2の波長の光照射により、共有結合された2本鎖核酸挿入部位を2本鎖核酸から分離するステップと、挿入剤が分離した電解溶液中に電極部を配置し、分離された挿入剤を電気化学的に検出するステップとを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料中に存在する特定の遺伝子配列を高感度に検出するための遺伝子検出方法に関し、より詳細には、挿入剤により電気化学的に遺伝子を検出する技術に関する。
従来の、電気化学的に特定の遺伝子配列を検出するDNAチップは、検出すべき目的遺伝子に対して相補的な塩基配列を有する1本鎖のプローブ核酸を電極表面に固定し、プローブ核酸と1本鎖に変性された遺伝子サンプルとをハイブリダイズさせた後、2本鎖核酸に特異的に結合しかつ電気化学的に活性な挿入剤をプローブ核酸と遺伝子サンプルとの反応系に添加し、電極を介した電気化学的な測定によりプローブ核酸と目的遺伝子サンプルとの2本鎖核酸に結合した挿入剤を検出し、これによりプローブ核酸とハイブリダイズした目的遺伝子サンプルの存在を検出している(特許文献1及び特許文献2)。
ここで、挿入剤は、2本鎖の核酸を認識し、特異的に結合する物質を指す。挿入剤は、何れも分子中にフェニル基等の平板状挿入基を有し、挿入基が2本鎖核酸の塩基対と塩基対の間に介入することによって、2本鎖核酸と結合する。この挿入剤は、2本鎖核酸と一定の速度で塩基対間への挿入、および塩基対間からの離脱が繰り返されている平衡反応による結合である。
さらに、挿入剤として電気的に可逆な酸化還元反応を起こす挿入剤を用いることにより、電気化学的変化の測定によって、2本鎖核酸に結合した挿入剤を検出することができる。電気化学的変化の測定としては、酸化還元時に発生する電流や発光を検出する方法がある。
以上のように、前記検出方法においては、前記挿入剤が2本鎖核酸にのみ特異的に結合すること、また、前記2本鎖核酸に結合した挿入剤の量を検出することが重要となる。しかし、前記挿入剤は、1本鎖の核酸プローブや、該核酸プローブが固定される電極表面にも非特異的に吸着してしまう。そして、この非特異的に吸着した挿入剤は、前記2本鎖核酸に結合した挿入剤の量の検出時に、バックグランドノイズとなり、検出感度を低下させる原因となる。
これを解消するため、前記検出方法においては、前記挿入剤の添加後に、前記1本鎖の核酸プローブ及び電極表面に非特異的な吸着をしている挿入剤を除去するための洗浄が必要となっている。
特許第2574443号公報 特許第3233851号公報
しかしながら、従来の検出方法では、挿入剤と2本鎖核酸間の結合は静電気的相互作用あるいは疎水的相互作用によるものであって、結合力が弱いため、前述したように、前記1本鎖の核酸プローブや、該核酸プローブが固定される電極表面に非特異的に吸着した挿入剤を除去する洗浄工程の際に、2本鎖核酸に挿入させた挿入剤も解離してしまい、逆に検出感度を低下させてしまう、という課題がある。
一方、前記2本鎖核酸に結合した挿入剤が解離しないように考慮した前記洗浄では、該非特異的に吸着した挿入剤の除去が不十分となるため、バックグランドノイズが増加してしまい、検出感度の低下につながる、という課題がある。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、挿入剤の電気化学測定を行うための電極表面に1本鎖の核酸プローブを固定するのではなく、電極とは別の基板上に1本鎖の核酸プローブを固定化しておき、この1本鎖の核酸プローブと目的遺伝子サンプルをハイブリタイズさせた2本鎖核酸に対して、一旦、挿入剤を強固に結合させ、その後、強固に結合された挿入剤のみを分離させる操作を行い、この分離された挿入剤を電気化学的に検出することで、従来の非特異的に吸着する挿入剤によるバックグランドノイズの影響や、洗浄工程による検出感度の低下の問題を無くし、目的遺伝子サンプルとハイブリダイズした前記核酸プローブを高感度に検出可能な遺伝子検出方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑みて、本発明の遺伝子検出方法は、検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有するプローブ核酸を基板に固定させるステップと、
該プローブ核酸と1本鎖に変性された検体核酸とをハイブリダイズ反応させるステップと、
前記ハイブリダイズ反応により形成された2本鎖核酸に対し、前記2本鎖核酸に特異的な光架橋性化合物である2本鎖核酸挿入部位と、電気化学活性を有する電気化学活性部位と、前記2本鎖核酸挿入部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位と、を有する化合物からなる挿入剤を添加した後、第1の波長の光照射により前記2本鎖核酸挿入部位と2本鎖核酸を共有結合させるステップと、
前記ステップの後、2本鎖核酸の周囲を電解溶液で満たし、第2の波長の光照射により、共有結合された2本鎖核酸挿入部位を2本鎖核酸から分離させるステップと、
挿入剤が分離した電解溶液中に電極部を配置し、電解溶液中に分離された前記挿入剤の存在を、前記電極部を介した電気化学的な測定により検出するステップと、
を有することを特徴とする。
以上のように本発明の遺伝子検出方法は、挿入剤の電気化学測定を行うための電極とは別の基板上に1本鎖の核酸プローブを固定化しておき、この1本鎖の核酸プローブと目的遺伝子サンプルをハイブリタイズさせた2本鎖核酸に対して、一旦、挿入剤を強固に結合させ、その後、強固に結合された挿入剤のみを電解溶液中に分離させる操作を行うようにしている。そして、電解溶液中に分離された挿入剤を電極にて電気化学発光させて、電気化学的に測定することで目的遺伝子を検出するようにしている。このため従来問題となっていた、1本鎖の核酸プローブや電極表面に非特異的な吸着をしていた挿入剤によるバックグランド電流やバックグランド発光の影響を無くすることができる。
以下に、本発明の遺伝子検出法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
まず、検体から遺伝子サンプルを抽出する前処理を行う。検体は、痰、血液、糞便、***、唾液、培養細胞、組織細胞、その他遺伝子を有する試料を超音波、振とうなどの物理手段、核酸抽出溶液を用いる化学的手段を用いて抽出する。
試料中の細胞の破壊は、常法により行うことができ、例えば、振とう、超音波等の物理的作用を外部から加えて行うことができる。また、核酸抽出溶液(例えば、SDS、Triton−X、Tween−20等の界面活性剤、又はサポニン、EDTA、プロテア−ゼ等を含む溶液等)を用いて、細胞から核酸を遊離させることもできる。
抽出された長鎖の2本鎖核酸は制限酵素、あるいは超音波などの物理的手段によって任意の長さに切断される。切断された2本鎖核酸は熱処理、あるいはアルカリ変性により1本鎖核酸に分離される。これらの工程により遺伝子サンプルを得る。遺伝子サンプルは、電気泳動による分離等で精製した核酸断片でもよい。
プローブ核酸は、検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有する1本鎖のプローブ核酸であり、生物試料から抽出した核酸を制限酵素で切断し、電気泳動による分離等で精製した核酸、あるいは化学合成で得られた1本鎖の核酸を用いることができる。生物試料から抽出した核酸の場合には、熱処理あるいはアルカリ処理によって、1本鎖の核酸に解離させておくことが好ましい。
このようにして得られたプローブ核酸を固定部に固定する。固定化方法としては、公知の方法が用いられる。例えば固定部がグラシーカーボンである場合、グラシーカーボンを過マンガン酸カリウムで酸化することによって、固定部表面にカルボン酸基を導入する。次いで、該核酸は、末端にアミノ基を有することにより、アミド結合により固定部表面に固定される。実際の固定化方法については、文献(ケー. エム. ミラン(K.M.Millan)外, アナリティカル ケミストリー(Analytical Chemistry),65巻,2317頁,1993年)に詳細が記載されている。また、マイクロアレイで用いられる公知の結合方法(例えばシランカップリング法)を用いることができる。
本発明で用いる固定部材料はプローブ核酸の固定方法によって選択され、金属、半導体、高分子材料など特に限定しないが、挿入剤と吸着もしくは結合を起こさないように親水処理若しくは無電荷状態に保っていることが好ましい。
より具体的には、親水性を有する酸化シリコン、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物、或いは高分子材料である、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、テフロン(登録商標)、ポリフッ化エチレン、メラミン、ナイロン等が挙げられる。
本発明で用いる電極部は特に限定されるものではなく、使用可能な電極材料としては、例えば金、白金、白金黒、パラジウム、ロジウムのような貴金属電極、グラファイト、グラシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カ―ボンペ―スト、カ―ボンファイバ―のような炭素電極、酸化チタン、酸化スズ、酸化マンガン、酸化鉛のような酸化物電極、Si、Ge、 ZnO、 CdS、TiO、GaAsのような半導体電極等が挙げられる。
上記で得られた、プローブ核酸が結合した固定部を、遺伝子サンプルを含む溶液に接触させることにより、プローブ核酸と相補的な配列を有する遺伝子サンプルがハイブリダイズし、2本鎖核酸が形成されるが、ハイブリダイズさせる方法は周知である。
このように2本鎖核酸を形成した後、挿入剤を添加し、2本鎖核酸に挿入させる。その後、光照射を行い、2本鎖核酸と挿入剤との間で共有結合を形成させる。なお、挿入剤の添加は、ハイブリダイゼ−ション反応前に検体試料中に添加することもできる。
上記のような特性を満たす挿入剤は、2本鎖核酸に特異的に挿入し、かつ光照射により2本鎖核酸と共有結合できる2本鎖核酸結合部位と、電気化学活性を有する電気化学活性部位と、前記2本鎖核酸結合部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位を有する化合物である、ことを特徴とする。
例えば、下記一般式(1)で表すことができる。
一般式(1)F − L − I
[但し、Fは電気化学活性基、Lは連結基、そしてIは2本鎖核酸挿入基であって、Iは光照射により2本鎖核酸と光反応する部位を有する]。
一般式(1)において、Iで示される物質は、2本鎖核酸に特異的に挿入し、かつ光照射の波長により2本鎖核酸と共有結合、または切断できる物質であり、感光性挿入剤と呼ばれる物質を用いることができる。
このような感光性挿入剤としては、例えば、フロクマリン誘導体が挙げられ、特にソラレン誘導体が好ましい。ソラレン誘導体は、2本鎖核酸に挿入し非共有的相互作用を起こし、長波長紫外線(310〜390nm)を照射すると安定な共有結合を形成する。さらに、短波長紫外線(210〜290nm)を照射すると共有結合が切断され、感光性挿入剤は2本鎖核酸から解離する。
ソラレン誘導体の具体的な例としては、ソラレン、メトキシソラレン、トリメチルソラレン等が挙げられる。
一般式(1)において、Fで示される物質は、電気化学活性を有する物質であり、電気化学的に検出可能な物質であれば、限定されるものではない。例えば、酸化還元性を有する化合物を挙げることができ、可逆な酸化還元反応時に生じる酸化還元電流を測定することで検出が可能である。
このような酸化還元性を有する化合物としては、例えば、フェロセン、カテコールアミン、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンもしくはビオローゲン等がある。
さらに、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンには、酸化還元反応時に電気化学発光を生じるものもあり、その発光を測定することで検出を行うこともできる。
そして特に、中心金属がルテニウム、オスニウムである錯体は良好な電気化学発光特性を有し、このような良好な電気化学発光特性を有する物質としては、例えば、ルテニウムビピリジン錯体、ルテニウムフェナントロリン錯体、オスニウムビピリジン錯体、オスニウムフェナントロリン錯体等を挙げることができる。
さらに、前記一般式(1)において、連結基Lとして用いることができる基としては、前記電気化学活性基Fと前記2本鎖核酸挿入基Iとを連結するものであれば、そのリンカー配列は特に制限されるものではなく、例えば、アルキル基、−O−基、−CO−基、−NH−基、リン酸基、又はこれらの組み合わせから成る基などを挙げることができる。
以上に説明したような挿入剤を、前記遺伝子サンプルと固定部に固定された前記プローブ核酸をハイブリダイズさせる前もしくは後に添加し、該プローブ核酸と遺伝子サンプルとがハイブリダイズした2本鎖核酸と前記挿入剤とを長波長紫外線照射により共有結合させる。
長波長紫外線の照射により2本鎖核酸への挿入したソラレン部が強固に2本鎖核酸と共有結合するようになり、引き続いて、1本鎖の核酸プローブや、固定部の他の表面に、非特異的に吸着した挿入剤を洗浄したとしても、洗浄等の操作によって抜け落ちることがなくなる。
長波長紫外線の照射後、未反応の挿入剤を含む溶液を除く。さらに、酸化生成した電気化学活性基と電気化学的反応を示す物質、例えばトリプロピルアミンやトリエチルアミンを含む電解溶液中で短波長紫外線照射工程を行う。短波長紫外線は2本鎖核酸に特異的に結合している挿入剤とのみ解離反応を起こし、2本鎖核酸から挿入剤が分離される。
さらにこの電解液中に含まれる挿入剤由来の電気化学的な信号を電極にて測定することにより、2本鎖核酸の存在を高感度に検出することができる。
前記挿入剤由来の電気化学的な信号は、添加する挿入剤の種類により異なるが、酸化還元電流を生じる挿入剤を用いた場合には、ポテンショスタット、ファンクションジェネレータ等からなる計測系で測定できる。一方、電気化学発光を生じる挿入剤を用いた場合には、光電子増倍管等の光検知器を用いて計測が可能である。
図1は、本発明の一実施の形態における遺伝子検出方法の概略を示したものである。固定部1に固定されたプローブ核酸2と検体核酸3をハイブリダイズ反応させ、2本鎖核酸にする(図1(a))。2本鎖核酸に挿入剤を添加し(図1(b))、長波長紫外線5を照射することで挿入剤は特異的に2本鎖核酸と結合する。固定部外の表面に挿入剤が非特異吸着しない場合、挿入剤6は2本鎖核酸にのみ結合する(図1(c))。未反応の挿入剤を洗い流した後、電解溶液中で短波長紫外線7を照射し、2本鎖核酸と結合している挿入剤を解離させる(図1(d))。この解離した挿入剤8由来の電気化学的信号を測定することで、2本鎖核酸を検知することが可能となる。
固定部外の表面に挿入剤が非特異吸着する場合、長波長紫外線10を照射することにより2本鎖核酸と結合した挿入剤11と、固定部外の表面に非特異に飽和吸着する挿入剤9が存在する(図1(c´))。未反応の挿入剤を洗い流した後、電解溶液中で短波長紫外線12を照射し、2本鎖核酸と結合している挿入剤を解離させる(図1(d´))。このとき、基板は挿入剤9が飽和吸着しており、基板解離した挿入剤13は表面へ再吸着することなく電解溶液に拡散される。この挿入剤13由来の電気化学的信号を測定することで、2本鎖核酸を検知することが可能となる。
いずれの場合においても、2本鎖の核酸プローブを測定電極ではなく固定部に固定化し、長波長紫外線で共有結合させ、後に短波長紫外線で分離した挿入剤を固定部と別に設けた電極で検出することで、従来の電極への非特異吸着した挿入剤をバックグラウンドノイズとして検知することなく、非常に高感度な2本鎖核酸検出が可能となる。
本発明による、挿入剤を用いた遺伝子検出方法についてオリゴヌクレオチドを用いて例示する。
(1)プローブ核酸の固定
基板上に、プローブ核酸を固定させるための固定部を設ける。固定部基板上にグラッシーカーボンを配置し、過マンガン酸カリウムで酸化することによって、カーボン表面にカルボン酸基を導入する。
プローブ核酸には、ヒト由来Cytochrome P450の遺伝子配列の5´末端より629−668番目に位置するCCCCCTGGATCCAGATATGCAATAATTTTCCCACTATCATの配列を有する、5´末端のリン酸基を介してアミノヘキシル基を修飾した40塩基のオリゴヌクレオチド(タカラバイオ製、配列表中、SequenceName1の部分に該当)を使用した。なお、オリゴヌクレオチドの配列のA、G、T、Cは、アデニン、グアニン、チミン、シトシンの各塩基を示す。
上記プローブ核酸を、10mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、及び50mMの2−モルホリノエタンスルフォン酸−水酸化ナトリウムの反応混合液(pH5.5)に溶解し、10μMに調整した。その後、固定部領域内に滴下、室温で一昼夜反応させ、主鎖の5´末端に存在するアミノ基と基板表面に存在するカルボキシル基とを共有結合させた。一昼夜反応後、反応混合液を除去し、200mMの2−アミノエタノール、10mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、及び50mMの2−モルホリノエタンスルフォン酸−水酸化ナトリウムの反応混合液(pH5.5)を50μl滴下し、室温で2時間反応させ、遊離状態のカルボキシル基を遮蔽させた。
(2)ハイブリダイゼーション
遺伝子サンプルには、上記プローブ核酸と相補的な5´末端からATGATAGTGGGAAAATTATTGCATATCTGGATCCAGGGGGの配列を有するオリゴデオキシヌクレオチド(タカラバイオ製、配列表中、SequenceName2の部分に該当)を使用した。
遺伝子サンプルは、2×SSCを混合したハイブリダイゼーション溶液に溶解させ、20μMに調整した。この調整した溶液を、プローブ核酸を固定した固定部上に滴下し、60℃の恒温槽内で4時間反応させ、2本鎖核酸を形成させた。
また、上記プローブ核酸と非相補的な配列を有する遺伝子サンプルとして、5´末端のリン酸基を介してアミノヘキシル基を修飾した40塩基のPoly−A配列を有する非相補DNA(5´末端からAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA、タカラバイオ製、配列表中、SequenceName3の部分に該当)を用意し比較を行った。
(3)挿入剤の添加
挿入剤には、下記の(化1)に示すソラレン修飾ルテニウム錯体を使用した。
Figure 2006061061
ソラレン修飾ルテニウム錯体の合成は、以下手順により得ることができる。
まず、公知の方法(バイオケミストリー(Biochemistry),16巻,6号,1058頁, 1977年)により合成した4’−クロロメチル−4,5,8−トリメチルソラレン(0.5g、1.81mmol)を、水酸化ナトリウム溶解 ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で撹拌しながら1,4−ジアミノブタン(0.32g、3.63mmol)を滴下し12時間反応させた。溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Aを得た(収率40%)。
次に、THF60.0mLに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン2.50g(1.35×10−2mol)溶液を窒素雰囲気の容器に注入した後、リチウムジイソプロピルアミド2M溶液16.9mL(2.70×10−2mol)を滴下し、冷却しながら30分撹拌した。一方、同様に窒素気流中で乾燥させた容器に、1,2−ジブロモエタン7.61g(4.05×10−2mol)とTHF10mLとを加え、冷却しながら撹拌させた。
この1,2−ジブロモエタンとTHFとが挿入された容器に、先程の、THFに溶解させた4,4’−ジメチル−2,2’ビピリジン溶液とリチウムジイソプロピルアミド2M溶液とを反応させた反応液をゆっくり滴下させ、2.5時間反応させた。そして、この反応溶液を、2Nの塩酸で中和して、THFを留去した後、クロロホルムで抽出し、さらに、前記溶媒を留去して得た粗生成物をシリカゲルカラムで精製し、生成物Bを得た(収率47%)。
そして、前記生成物A(0.50g、1.52mmol)と前記生成物B(0.49g、1.68mmol)とを、水酸化ナトリウム溶解ジメチルホルムアミド(乾燥)に溶かし、160℃で18時間撹拌させた。そして、この攪拌した溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、生成物Cを得た(収率38%)。
さらに、塩化ルテニウム(III)(2.98g、0.01mol)、及び2,2’−ビピリジン(3.44g、0.022mol)をジメチルホルムアミド(80.0mL)中で6時間還流した後、溶媒を留去した。その後、アセトンを加え、一晩冷却することで得られた黒色沈殿物を採取し、エタノール水溶液170mL(エタノール:水=1:1)を加え、1時間加熱還流を行った。ろ過後、塩化リチウムを20g加え、エタノールを留去し、さらに一晩冷却した。析出した黒色物質は、吸引ろ過で採取し、生成物Dを得た(収率68.2%)。
そして、前記生成物C(0.30g、0.56mmol)と前記生成物D(0.32g、0.66mmol)とを、ジメチルホルムアミドに溶かして6時間還流し、反応後、溶媒を留去させて得た黒紫色の物質に蒸留水を加えて溶解させ、未反応錯体をろ過により除去した後、溶媒を留去した。
得られた粗生成物は、シリカゲルクロマトグラフィー処理により精製し、ソラレン修飾ルテニウム錯体を得た(収率68%)。表1は、前述のようにして得たソラレン修飾ルテニウム錯体のH−NMR結果である。
(表1)
H-NMR(300MHz、DMSOd−6)
σ:
・ 4〜1.8 (6H,m)
・ 4〜2.6 (12H,m)
2.74 (2H,t)
・ 8〜3.1 (6H,m)
・ 31 (2H,s)
6.32 (1H,s)
7.38 (2H,d)
7.54 (7H,m)
7.77 (4H,m)
8.16 (4H,t)
8.70 (2H,d)
8.88 (4H,d)

このようにして得られたソラレン修飾ルテニウム錯体を、10mMのリン酸バッファで2μMに調整した。
この調整した溶液を、2本鎖核酸が形成した固定部に添加し、30分間4℃の冷蔵庫内で暗反応を行った。30分後、長波長紫外光源(UVP製CL1000L型)を用いて波長365nm、5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、ソラレンと2本鎖核酸を共有結合させた。共有結合後、固定部を10mMのリン酸バッファで1分間洗い流した。
(4)電気化学発光測定
本実施例における遺伝子検出方法について、図2を用いて説明する。上記工程の後、固定部基板24と作用極、対極、参照極の電極21を配置した電極基板22を、0.1Mのリン酸バッファおよび0.1Mのトリエチルアミンを混合した電解溶液25に満たす。ここで参照極は、基準電位を求めるためのものである。溶液内で固定部23に対して、短波長紫外光源26(UVP製CL1000型)を用いて波長265nm、5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、挿入剤を2本鎖核酸から分離させ電解溶液に拡散させた。分離した挿入剤を電解溶液中に均一に拡散させるため、電解溶液を軽く攪拌した。
その後、電極21にポテンショスタット29から電圧を印加し、この時に生じた挿入剤由来の電気化学発光の測定を光電子増倍管27(浜松ホトニクス製H7360−01)を用いて行った。なお、電圧の印加は、0Vから1.3Vまで5秒間走査し、電圧走査中における最大発光量を測定した。挿入剤由来の発光量はフォトカウンター28でカウントされ、得られたデータはコントローラPC30に格納される。また、電圧、電流、発光量等のデータはモニタ31でモニタリングすることができる。
図3に本実施例で得られた電気化学発光測定による挿入剤の発光量を示したものである。図3において、相補的な、つまり2本鎖核酸由来の発光量は、非相補的な、2本鎖核酸を形成していない1本鎖核酸由来の発光量と比較して著しく高い値となっており、高感度に2本鎖核酸の検出が可能であることがわかる。また、核酸のない場合はほとんど発光が見られないことから、バックグラウンド発光はほとんど生じないことは明らかである。
本発明による、挿入剤を用いた遺伝子検出方法についてオリゴヌクレオチドを用いて例示する。
(1)〜(3)は実施例1に同じ。
(4)電気化学発光測定
本実施例における遺伝子検出方法について、図4を用いて説明する。固定部基板44を、0.1Mのリン酸バッファおよび0.1Mのトリエチルアミンを混合した電解溶液45に満たす。溶液内で固定部43に対して、短波長紫外光源46(UVP製CL1000型)を用いて波長265nm、5mW/cm2の紫外線を10分間照射し、挿入剤を2本鎖核酸から分離させ電解溶液に拡散させた。挿入剤が拡散した電解溶液を取り出し、作用極、対極、参照極の電極41を配置した電極基板42上に滴下する。
その後、電極41にポテンショスタット49から電圧を印加し、この時に生じた挿入剤由来の電気化学発光の測定を光電子増倍管47(浜松ホトニクス製H7360−01)を用いて行った。なお、電圧の印加は、0Vから1.3Vまで5秒間走査し、電圧走査中における最大発光量を測定した。挿入剤由来の発光量はフォトカウンター48でカウントされ、得られたデータはコントローラPC50に格納される。また、電圧、電流、発光量等のデータはモニタ51でモニタリングすることができる。本実施例により、図3と同様な結果が示された。
本発明にかかる遺伝子検出方法は、光照射による簡便な作業性と、測定のバックグラウンドノイズが極力低減可能であるため、非常に高感度に目的遺伝子を検出可能である。このため、高感度測定が必要な1塩基変異多型や細菌検査、ウイルス検査に有用である。
本発明の実施の形態に係る遺伝子検出方法の概略図 本発明の実施例1に係る遺伝子検出装置の概略図 本発明の実施例に係る遺伝子検出方法により検出した遺伝子サンプルからの最大発光量の測定図 本発明の実施例2に係る遺伝子検出装置の概略図
符号の説明
1,23,43 固定部
2 プローブ核酸
3 検体核酸
4 挿入剤
5,10 長波長紫外線
6,11 2本鎖核酸に結合した挿入剤
7,12 短波長紫外線
8,13 2本鎖核酸から分離した挿入剤
9 固定部に非特異に飽和吸着した挿入剤
21,41 電極
22,42 電極基板
24,44 固定部用基板
25,45 電解溶液
26,46 紫外光源
27,47 光電子増倍管
28,48 フォトカウンター
29,49 ポテンショスタット
30,50 コントローラPC
31,51 モニタ

Claims (9)

  1. 検出すべき遺伝子配列に対して相補的な塩基配列を有するプローブ核酸を基板に固定させるステップと、
    該プローブ核酸と1本鎖に変性された検体核酸とをハイブリダイズ反応させるステップと、
    前記ハイブリダイズ反応により形成された2本鎖核酸に対し、前記2本鎖核酸に特異的な光架橋性化合物である2本鎖核酸挿入部位と、電気化学活性を有する電気化学活性部位と、前記2本鎖核酸挿入部位と前記電気化学活性部位とを連結する連結部位と、を有する化合物からなる挿入剤を添加した後、第1の波長の光照射により前記2本鎖核酸挿入部位と2本鎖核酸を共有結合させるステップと、
    前記ステップの後、2本鎖核酸の周囲を電解溶液で満たし、第2の波長の光照射により、共有結合された2本鎖核酸挿入部位を2本鎖核酸から分離させるステップと、
    挿入剤が分離した電解溶液中に電極部を配置し、電解溶液中に分離された前記挿入剤の存在を、前記電極部を介した電気化学的な測定により検出するステップと、
    を有することを特徴とする遺伝子検出方法。
  2. 請求項1記載の第1の波長が310〜390nmの波長を有する光波であり、第2の波長が210〜290nmの波長を有する光波であることを特徴とする遺伝子検出方法。
  3. 請求項1記載の光架橋性化合物が、フロクマリン誘導体であることを特徴とする遺伝子検出方法。
  4. 請求項3記載のフロクマリン誘導体が、ソラレン誘導体であることを特徴とする遺伝子検出方法。
  5. 請求項1記載の電極部が、作用電極と対電極とからなることを特徴とする遺伝子検出方法。
  6. 請求項1記載の挿入剤中の電気化学発光を示す化合物が、配位子に複素環系化合物を有する金属錯体、ルブレン、アントラセン、コロネン、ピレン、フルオランテン、クリセン、フェナントレン、ペリレン、ビナフチル、オクタテトラエンであることを特徴とする遺伝子検出方法。
  7. 請求項6記載の配位子に複素環系化合物を有する金属錯体が、配位子にピリジン部位を有する金属錯体であることを特徴とする遺伝子検出方法。
  8. 請求項7記載の配位子にピリジン部位を有する金属錯体が、金属ビピリジン錯体、金属フェナントロリン錯体であることを特徴とする遺伝子検出方法。
  9. 請求項8記載の配位子に複素環系化合物を有する金属錯体の中心金属が、ルテニウム、またはオスニウムであることを特徴とする遺伝子検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007304091A (ja) * 2006-04-10 2007-11-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 遺伝子検出方法
JP2011520123A (ja) * 2008-05-08 2011-07-14 ボード・オブ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・テキサス・システム 起電性化学発光で使用する発光ナノ構造化材料

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