JP2006057265A - せん断力補強方法、せん断力補強構造及びせん断補強部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 せん断力が作用する既設のRC構造体の中間壁Wのせん断力補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴としている。
(1)既設のRC構造体の中間壁Wを貫通する、せん断補強部材20を設置するための補強部材挿入孔10を穿孔する工程。
(2)補強部材挿入孔10に充填材30を充填する工程。
(3)せん断補強鉄筋21と、その基端部に設けられている基端プレートヘッド23とを補強部材挿入孔10に挿入して、前記せん断補強鉄筋21の先端部に先端プレートヘッド22を固定して中間壁Wの内部に、せん断補強部材20を配置する工程。
【選択図】 図2
Description
(1)前記鉄筋コンクリート構造物を貫通する、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
(3)線材と、前記線材の基端部に設けられている当該線材より断面形状が大きい基端側定着部材と、を前記鉄筋コンクリート構造物の一面側から前記補強部材挿入孔に挿入して、前記鉄筋コンクリート構造物の他面側から挿入された前記線材より断面形状が大きい先端側定着部材に、前記線材の先端部を固定して前記鉄筋コンクリート構造物内に、せん断補強部材を配置する工程。
(1)前記鉄筋コンクリート構造物を貫通する、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)線材と、前記線材の基端部に設けられている、当該線材より断面形状が大きい基端側定着部材と、を前記鉄筋コンクリート構造物の一面側から前記補強部材挿入孔に挿入する工程。
(3)前記鉄筋コンクリート構造物の他面側から、前記線材より断面形状が大きい先端側定着部材を挿入し、前記線材の先端部に固定して前記鉄筋コンクリート構造物内に、せん断補強部材を配置する工程。
(4)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
(1)前記鉄筋コンクリート構造物を貫通する、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)線材と、前記線材の基端部に設けられている、当該線材より断面形状が大きい基端側定着部材と、を前記鉄筋コンクリート構造物の一面側から前記補強部材挿入孔に挿入する工程。
(3)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
(4)前記鉄筋コンクリート構造物の他面側から、前記線材より断面形状が大きい先端側定着部材を挿入し、前記線材の先端部に固定して前記鉄筋コンクリート構造物内に、せん断補強部材を配置する工程。
ここで、線材は異形鉄筋や丸鋼鉄筋に限定されるものではなく、炭素線材、鋼棒、PC鋼より線等、あらゆる線材が適用可能である。また、本明細書において、定着部材の「幅寸法」は、定着部材の形状が矩形、多角形であれば対角線長、円形であれば直径、楕円形であれば長辺長に統一するものとする。
また、補強部材挿入孔10は、せん断補強鉄筋21の鉄筋径よりも大きく、且つ基端プレートヘッド23の幅寸法よりも小さい内径の一般部12と、補強部材挿入孔10の基端部に形成された、基端プレートヘッド23の幅寸法よりも大きい内径の拡幅部11と、補強部材挿入孔10の先端部に形成された、先端プレートヘッド22の幅寸法よりも大きい内径の拡幅部11とから構成されている。
第1の実施の形態(以下、単に「第1実施形態」という場合がある)に係る補強方法は、(1)補強部材挿入孔穿孔工程と、(2)充填材充填工程と、(3)補強鉄筋挿入工程と、(4)せん断補強部材配置工程、の各工程を主要部として構成されている。
本工程は、既設RC構造体の中間壁を貫通する、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を穿孔する工程である。
そして、補強部材挿入孔10の拡幅部11の穿孔が完了したら、当該孔内に穿孔のために生じたコンクリート粉を除去する。
本工程は、図2(a)に示すように、補強部材挿入孔穿孔工程において穿孔された補強部材挿入孔10の一般部12に充填材30を圧入機械Mにより充填する工程である。
可塑性のあるセメント系モルタルは、セメントとシリカヒュームや石英粉などのポゾラン物質と増粘材と水とから構成される材料で、上向きに充填しても流れ落ちることのない性質を有している充填材30であるため、補強部材挿入孔10の方向に限定されることなく、充填することが可能である。なお、充填材30の材質等は、同様の特性を有するものであれば、これに限定されるものではない。また、充填材30の補強部材挿入孔10への充填は、圧入機械Mによる充填に限定されるものではなく、その他、公知の方法により充填してもよい。
本工程は、図2(b)に示すように、充填材充填工程において一般部12に充填材30が充填された補強部材挿入孔10にせん断補強鉄筋21と、せん断補強鉄筋21の基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋21より断面形状が大きい基端プレートヘッド23とを挿入する工程である。
ここで、基端プレートヘッド23とせん断補強鉄筋21との接合方法は、摩擦圧接Aに限定されるものではなく、ガス圧接接合やアーク溶接接合等、その一体化が可能であればよい。また、基端プレートヘッド23の形状は、四角形に限定されるものではなく、その他の多角形、円形、楕円形でもよい。
本工程は、図2(c)及び(d)に示すように、補強部材挿入孔10の右側から、せん断補強鉄筋21より断面形状が大きい先端プレートヘッド22を挿入し、せん断補強鉄筋挿入工程において補強部材挿入孔10に挿入されたせん断補強鉄筋21の先端部に固定した後、拡幅部11内の空間11aに、充填材30を充填することで、中間壁Wの内部に、せん断補強部材20を配置する工程である。
図5(b)は、同様に異形鉄筋(D22)を用い、RC部材中に直径32mmの補強部材挿入孔を穿孔し、当該補強部材挿入孔に、厚さ16mm、直径が45mmの円形状の基端プレートヘッドを有するせん断補強部材と比較例とを挿入して、各せん断補強部材の引張応力と、抜け出し変位の関係を求めたものである。
第2の実施の形態(以下、単に「第2実施形態」という場合がある)に係る補強方法は、(1)補強部材挿入孔穿孔工程と、(2)補強鉄筋挿入工程と、(3)せん断補強部材配置工程、(4)充填材充填工程と、の各工程を主要部として構成されている。
本工程は、第1の実施の形態において説明した補強部材挿入孔穿孔工程と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本工程は、図6(a)に示すように、補強部材挿入孔穿孔工程において中間壁Wに貫通された補強部材挿入孔10にせん断補強鉄筋21と、せん断補強鉄筋21の基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋21より断面形状が大きい基端プレートヘッド23とを挿入する工程である。
本工程は、図6(b)に示すように、補強部材挿入孔10の右側から、せん断補強鉄筋21より断面形状が大きい先端プレートヘッド22を挿入し、せん断補強鉄筋挿入工程において補強部材挿入孔10に挿入されたせん断補強鉄筋21の先端部に固定することで、中間壁Wの内部に、せん断補強部材20を配置する工程である。
本工程は、図6(c)及び(d)に示すように、せん断補強部材20が設置された補強部材挿入孔10に充填材30を充填する工程である。
そして、注入管31から公知の注入装置を利用して充填材30を一般部12に注入(充填)する。なお、充填材30の注入は、空気抜き管32から充填材30が排出されるまで行うものとし、一般部12とせん断補強鉄筋21との隙間を完全に充填する。また、一般部12の両端には、その周囲がシール材24により介装された先端プレートヘッド22及び基端プレートヘッド23により遮蔽されているため、充填材30が漏洩することがない。
また、第2実施形態によるせん断補強のメカニズム及び定着効果は、第1実施形態で記載した内容と同様なため詳細な説明は省略する。
第3の実施の形態(以下、単に「第3実施形態」という場合がある)に係る補強方法は、(1)補強部材挿入孔穿孔工程と、(2)補強鉄筋挿入工程と、(3)充填材充填工程と、(4)せん断補強部材配置工程、の各工程を主要部として構成されている。
本工程は、第1の実施の形態において説明した補強部材挿入孔穿孔工程と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本工程は、図7(a)に示すように、補強部材挿入孔穿孔工程において中間壁Wに貫通された補強部材挿入孔10にせん断補強鉄筋21と、せん断補強鉄筋21の基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋21より断面形状が大きい基端プレートヘッド23とを挿入する工程である。
本工程は、図7(b)に示すように、せん断補強鉄筋21が設置された補強部材挿入孔10の一般部12に充填材30を充填する工程である。
本工程は、図7(c)及び(d)に示すように、補強部材挿入孔10の右側から、せん断補強鉄筋21より断面形状が大きい先端プレートヘッド22を挿入し、せん断補強鉄筋挿入工程において補強部材挿入孔10に挿入されたせん断補強鉄筋21の先端部に固定した後、拡幅部11内の空間11aに、充填材30を充填することで、中間壁Wの内部に、せん断補強部材20を配置する工程である。
また、第3実施形態に係る先端プレートヘッド22の構成は、第1実施形態に示した構成と同様なため、詳細な説明は省略する。
また、第3実施形態によるせん断補強のメカニズム及び定着効果は、第1実施形態で記載した内容と同様なため詳細な説明は省略する。
またせん断補強鉄筋の先端に固定する先端プレートヘッドは、容易に取り付けることができるが、固定度は高く、せん断補強鉄筋の定着の効果を十分に発揮することができる。
また、補強部材挿入孔10は、充填材30により外部と遮断されるので、補強後の耐久性の観点で劣化の抑制を期待できる。
特に、本発明の補強方法の対象とするRC構造体は、前記実施形態に限られず、橋梁の壁式橋台等であってもよい。
また、せん断補強部材の挿入間隔・挿入数は、前記実施形態に限られず、適宜に定めることができる。
また、前記各実施形態の基端プレートヘッドは、四角形の鋼板プレートを摩擦圧接によりせん断補強鉄筋に固定してなる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、基端プレートヘッドに雌ネジを構成することで、せん断補強鉄筋の基端部にも先端部と同様に雄ネジを加工しせん断補強鉄筋を基端プレートヘッドにねじ込む構成やせん断補強鉄筋にネジ鉄筋を使用しせん断補強鉄筋を基端プレートヘッドにねじ込む構成としてもよい。
10 補強部材挿入孔
11 拡幅部
20,20’,20” せん断補強部材
21,21’,21” せん断補強鉄筋(線材)
22 先端プレートヘッド(先端側定着部材)
23 基端プレートヘッド(基端側定着部材)
30 充填材
c 斜めひび割れ
fc 圧縮応力
ft 引き抜き力
G 地盤
R1 主鉄筋
R2 配力鉄筋
S せん断力
W 中間壁(鉄筋コンクリート構造物)
Claims (11)
- せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート構造物の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴とするせん断力補強方法。
(1)前記鉄筋コンクリート構造物を貫通する、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
(3)線材と、前記線材の基端部に設けられている当該線材より断面形状が大きい基端側定着部材と、を前記鉄筋コンクリート構造物の一面側から前記補強部材挿入孔に挿入して、前記鉄筋コンクリート構造物の他面側から挿入された前記線材より断面形状が大きい先端側定着部材に、前記線材の先端部を固定して前記鉄筋コンクリート構造物内に、せん断補強部材を配置する工程。 - せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート構造物の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴とするせん断力補強方法。
(1)前記鉄筋コンクリート構造物を貫通する、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)線材と、前記線材の基端部に設けられている、当該線材より断面形状が大きい基端側定着部材と、を前記鉄筋コンクリート構造物の一面側から前記補強部材挿入孔に挿入する工程。
(3)前記鉄筋コンクリート構造物の他面側から、前記線材より断面形状が大きい先端側定着部材を挿入し、前記線材の先端部に固定して前記鉄筋コンクリート構造物内に、せん断補強部材を配置する工程。
(4)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。 - せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート構造物の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴とするせん断力補強方法。
(1)前記鉄筋コンクリート構造物を貫通する、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)線材と、前記線材の基端部に設けられている、当該線材より断面形状が大きい基端側定着部材と、を前記鉄筋コンクリート構造物の一面側から前記補強部材挿入孔に挿入する工程。
(3)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
(4)前記鉄筋コンクリート構造物の他面側から、前記線材より断面形状が大きい先端側定着部材を挿入し、前記線材の先端部に固定して前記鉄筋コンクリート構造物内に、せん断補強部材を配置する工程。 - 前記補強部材挿入孔を穿孔する工程は、前記線材の直径よりも大きく、且つ前記基端側定着部材の幅寸法及び先端側定着部材の幅寸法よりも小さい内径の一般部を穿孔する工程と、
前記補強部材挿入孔の基端部に形成されて、前記基端側定着部材の幅寸法よりも大きい内径の拡幅部を穿孔する工程と、
前記補強部材挿入孔の先端部に形成されて、前記先端側定着部材の幅寸法よりも大きい内径の拡幅部を穿孔する工程と、からなることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のせん断力補強方法。 - 既設の鉄筋コンクリート構造物と、この鉄筋コンクリート構造物を貫通するように形成された補強部材挿入孔の内部に配設されるせん断補強部材と、前記補強部材挿入孔に充填される充填材と、からなるせん断力補強構造であって、
前記せん断補強部材が、線材と、前記線材の基端部と先端部にそれぞれ固定された基端定着部材及び先端定着部材とから構成されており、
前記補強部材挿入孔が、前記線材の直径よりも大きく、且つ前記基端定着部材の幅寸法よりも小さい内径の一般部と、前記補強部材挿入孔の基端部に形成されて、前記基端定着部材の幅寸法よりも大きい内径の拡幅部とから構成されていることを特徴とする、せん断力補強構造。 - 前記補強部材挿入孔の先端部に、該補強部材挿入孔の前記一般部よりも大きい内径を有する拡幅部が形成されていることを特徴とする、請求項5に記載のせん断力補強構造。
- 既設の鉄筋コンクリート構造物を貫通するように形成された補強部材挿入孔の内部に配設されるせん断補強部材であって、
前記補強部材挿入孔の延長よりも短い長さの線材と、前記線材の直径よりも大きな幅寸法を有し、該線材の基端部及び先端部にそれぞれ固定された基端側定着部材及び先端側定着部材とから構成されていることを特徴とする、せん断補強部材。 - 前記線材には、その先端部に雄ネジ部材が一体に形成されており、
前記先端側定着部材は、厚さ寸法が前記線材の直径の80%乃至120%、幅寸法が前記線材の直径の200%乃至300%の円形又は多角形の形状をした鋼製プレートからなり、当該鋼製プレートには、雌ネジが形成されており、この雌ネジに前記線材の雄ネジ部材をねじ込むことにより前記線材の先端部に固定されてなることを特徴とする、請求項7に記載のせん断力補強部材。 - 前記線材には、その先端部に雄ネジが加工されており、
前記先端側定着部材は、厚さ寸法が前記線材の直径の80%乃至120%、幅寸法が前記線材の直径の200%乃至300%の円形又は多角形の形状をした鋼製プレートからなり、この鋼製プレートには、雌ネジが形成されており、この雌ネジに前記線材の雄ネジをねじ込むことにより前記線材の先端部に固定されてなることを特徴とする、請求項7に記載のせん断力補強部材。 - 前記線材は、ネジ鉄筋から構成されてなり、
前記先端側定着部材は、厚さ寸法が前記線材の直径の80%乃至120%、幅寸法が前記線材の直径の200%乃至300%の円形又は多角形の形状をした鋼製プレートからなり、この鋼製プレートには、雌ネジが形成されており、この雌ネジに前記線材をねじ込むことにより前記線材の先端部に固定されてなることを特徴とする、請求項7に記載のせん断力補強部材。 - 前記基端側定着部材は、厚さ寸法が前記線材の直径の30%乃至120%、幅寸法が前記線材の直径の200%乃至300%の円形又は多角形の形状をした鋼製プレートが前記線材の基端部に固定されてなることを特徴とする、請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のせん断力補強部材。
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