JP2006029094A - 蓄圧式燃料噴射装置及びその蓄圧式燃料噴射装置を備えた内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コモンレール内圧を高精度に調整することによって適切な燃料の噴射量を得ることが可能な蓄圧式燃料噴射装置及びその蓄圧式燃料噴射装置を備えた内燃機関を提供する。
【解決手段】 コモンレール式燃料噴射装置を備えたエンジンにおける燃料圧送用の高圧ポンプ8を2つのポンプグループ8A,8Bで構成し、それぞれにアクチュエータ88,89を備えさせる。燃料噴射量が比較的少ない運転時、2つのアクチュエータ88,89のうち一方を停止し、他方のアクチュエータ89のみから燃料圧送動作を行うことで、高圧ポンプ8の吸入部から吐出部に亘る燃料流通空間の容量を小さくする。これにより、高圧ポンプ8全体における調量誤差を小さくすることができ、燃料調量精度の向上を図ることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 コモンレール式燃料噴射装置を備えたエンジンにおける燃料圧送用の高圧ポンプ8を2つのポンプグループ8A,8Bで構成し、それぞれにアクチュエータ88,89を備えさせる。燃料噴射量が比較的少ない運転時、2つのアクチュエータ88,89のうち一方を停止し、他方のアクチュエータ89のみから燃料圧送動作を行うことで、高圧ポンプ8の吸入部から吐出部に亘る燃料流通空間の容量を小さくする。これにより、高圧ポンプ8全体における調量誤差を小さくすることができ、燃料調量精度の向上を図ることができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、内燃機関(例えばディーゼルエンジン)の燃料供給系に適用される蓄圧配管(所謂コモンレール)を備えた蓄圧式(コモンレール式)燃料噴射装置及びその蓄圧式燃料噴射装置を備えた内燃機関に係る。特に、本発明は、コモンレール内圧を高精度に調整することを可能にするための対策に関する。
従来より、多気筒ディーゼルエンジン等の燃料供給系として、メカニカルな燃料噴射ポンプ−ノズル方式に比べて制御性に優れた蓄圧式燃料噴射装置が提案されている(例えば、下記の特許文献1及び特許文献2)。
この種の燃料噴射装置は、高圧ポンプによって所定圧力に加圧された燃料をコモンレールに貯留しておき、このコモンレールに貯留した燃料を燃料噴射タイミングに合わせて所定のインジェクタから燃焼室内に噴射する構成となっている。また、エンジンの運転状態に対して最適な噴射条件で燃料が噴射されるように、コントローラが演算処理を行ってコモンレール内燃料圧力(以下、コモンレール内圧という)の制御や各インジェクタの制御を行う。
このように、蓄圧式燃料噴射装置は、燃料噴射量及びその噴射時期に加えて、コモンレール内圧によって決定される燃料噴射圧力をもエンジンの運転状態に応じて制御可能であるため、制御性に優れた噴射装置として注目されている。
また、この種の蓄圧式燃料噴射装置に使用される高圧ポンプとして、例えば下記の特許文献3に開示されているように、複数の燃料圧送系を備えたものも知られている。
特開2000−18052号公報
特開2003−328830号公報
特開2004−84538号公報
ところで、エンジン性能はコモンレール内圧の影響を大きく受け、エンジンの高出力化・低燃費・低エミッション実現のためには、運転状態に応じ低いコモンレール内圧から高いコモンレール圧力まで幅広く、高精度に制御する必要がある。しかし、全エンジン運転領域においてコモンレール内圧を幅広く制御するためには、特に高速・高噴射量条件において高コモンレール内圧の実現のためには、ポンプからレールへ送る燃料容量を大きくする必要がある。上記のようにポンプからレールへ送る燃料量(以下ポンプ吐出量)を大きくすると、ポンプのプランジャ径ならびにリフト量が拡大し、吐出量の制御精度が粗くなり、その結果コモンレール内圧制御精度が悪化するという問題点を有する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジン全運転領域においてコモンレール内圧を高精度に調整することが可能な蓄圧式燃料噴射装置及びその蓄圧式燃料噴射装置を備えた内燃機関を提供することにある。
−発明の概要−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、複数の燃料圧送系を有する高圧ポンプを備えた蓄圧式燃料噴射装置に対し、一部の燃料圧送系を強制的に停止し、ポンプ吐出容量を減少させポンプ吐出制御精度を向上し、レール圧力制御精度を改善することを目的としている。
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、複数の燃料圧送系を有する高圧ポンプを備えた蓄圧式燃料噴射装置に対し、一部の燃料圧送系を強制的に停止し、ポンプ吐出容量を減少させポンプ吐出制御精度を向上し、レール圧力制御精度を改善することを目的としている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、燃料を圧送する燃料圧送手段と、この燃料圧送手段から圧送された燃料を貯留するコモンレールと、このコモンレールから供給された燃料を内燃機関の燃焼室に向けて噴射する燃料噴射弁とを備えた蓄圧式燃料噴射装置を前提とする。この蓄圧式燃料噴射装置に対し、上記燃料圧送手段に、互いに独立した圧送経路を有する複数の燃料圧送ユニットを備えさせる。そして、上記内燃機関の燃料要求量が所定量以下であるとき、一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止して、残りの燃料圧送ユニットのみによってコモンレールに対する燃料圧送動作を行わせる圧送ユニット制御手段を備えさせている。
具体的に、本発明は、燃料を圧送する燃料圧送手段と、この燃料圧送手段から圧送された燃料を貯留するコモンレールと、このコモンレールから供給された燃料を内燃機関の燃焼室に向けて噴射する燃料噴射弁とを備えた蓄圧式燃料噴射装置を前提とする。この蓄圧式燃料噴射装置に対し、上記燃料圧送手段に、互いに独立した圧送経路を有する複数の燃料圧送ユニットを備えさせる。そして、上記内燃機関の燃料要求量が所定量以下であるとき、一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止して、残りの燃料圧送ユニットのみによってコモンレールに対する燃料圧送動作を行わせる圧送ユニット制御手段を備えさせている。
この特定事項により、例えば内燃機関の高速運転時であって内燃機関の燃料要求量が所定量を超えている場合(例えば全ての燃料圧送ユニットを駆動せねばこの燃料要求量が得られない場合)には、全ての燃料圧送ユニットを駆動してコモンレールに対する燃料圧送動作が行われる。これに対し、例えば内燃機関の低速運転時であって内燃機関の燃料要求量が所定量以下である場合(一部の燃料圧送ユニットを駆動させるだけでこの燃料要求量を得ることができる場合)には、圧送ユニット制御手段が、一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止させる。これにより、残りの燃料圧送ユニットのみによってコモンレールに対する燃料圧送動作が行われることになる。このように残りの燃料圧送ユニットのみによってコモンレールに対する燃料圧送動作を行った場合には、全ての燃料圧送ユニットを駆動させた場合に比べて、燃料圧送手段(燃料ポンプ)からの吐出量が1/2と少なくなる。その結果、燃料圧送手段全体における調量誤差を小さくすることができ、調量精度の向上を図ることができる。例えば、数パーセントの調量誤差が生じる可能性のある2つの燃料圧送ユニットを備えたものに対して、一方の燃料圧送ユニットを強制的に停止させた場合には、両方の燃料圧送ユニットを駆動させた場合に比べて調量誤差が1/2になる。これに伴ってコモンレール内圧制御誤差も1/2となる。
上記圧送ユニット制御手段による燃料圧送ユニットの駆動個数の切り換え制御として、具体的には、内燃機関の運転回転数及び燃料噴射弁の燃料噴射量に応じて、全ての燃料圧送ユニットを駆動する動作と一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止する動作とを切り換えるようにしている。例えば、上記運転回転数及び燃料噴射量に応じた燃料圧送ユニットの駆動個数を設定するためのマップを用意しておき、検知した運転回転数及び燃料噴射量に応じてこのマップから燃料圧送ユニットの駆動個数を設定するものなどが掲げられる。なお、エンジン運転状態の検出に燃料噴射量の替わりにエンジン出力トルクを用いることも可能である。
また、上記圧送ユニット制御手段による制御動作を強制解除する場合の動作としては次のものが掲げられる。内燃機関の運転が過渡状態であるか否かを判定する過渡判定手段を備えさせる。そして、圧送ユニット制御手段が、過渡判定手段からの信号を受け、内燃機関の運転が過渡状態であるときには、一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止する動作を解除して全ての燃料圧送ユニットを駆動してコモンレールに対する燃料圧送動作を行わせる構成としている。例えば、内燃機関の回転数を急上昇させる要求が生じた場合などの過渡時には、その要求に応えるべく、コモンレール内圧等の検出値に拘わらず全ての燃料圧送ユニットを駆動してコモンレールに対する燃料圧送動作を行わせるようにする。
更に、圧送ユニット制御手段が、駆動する燃料圧送ユニットの個数を切り換える際、その切り換え判定を行うための判定値にヒステリシスを持たせる構成としている。これにより、燃料圧送ユニットの駆動個数の切り換え動作が頻繁に生じてしまうハンチング現象を回避することができ、燃料圧送手段の駆動動作の安定性を維持できる。
加えて、上述した各解決手段のうち何れか一つに記載の蓄圧式燃料噴射装置を備える内燃機関も本発明の技術的思想の範疇である。
以上の如く、本発明では、互いに独立した複数の燃料圧送ユニットを有する燃料圧送手段を備えた蓄圧式燃料噴射装置に対し、一部の燃料圧送系を強制的に停止し、調量精度の向上が図れるようにしている。これにより、コモンレール内圧を高精度で目標圧力に維持することが可能になり、その結果、燃料噴射弁からの燃料噴射量を適切に制御することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、6気筒舶用ディーゼルエンジンの燃料供給系に備えられた蓄圧式燃料噴射装置に本発明を適用した場合について説明する。
−燃料噴射装置の構成説明−
先ず、本実施形態に係るエンジンに適用される燃料噴射装置の全体構成について説明する。図1は6気筒舶用ディーゼルエンジンに備えられた蓄圧式燃料噴射装置を示している。
先ず、本実施形態に係るエンジンに適用される燃料噴射装置の全体構成について説明する。図1は6気筒舶用ディーゼルエンジンに備えられた蓄圧式燃料噴射装置を示している。
この蓄圧式燃料噴射装置は、ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の各気筒に対応して取り付けられた複数の燃料噴射弁(以下、インジェクタという)1,1,…と、比較的高い圧力(コモンレール内圧:例えば100MPa)の高圧燃料を蓄圧するコモンレール2と、燃料タンク4から低圧ポンプ(フィードポンプ)6を経て吸入した燃料を高圧に加圧してコモンレール2内に吐出する燃料ポンプとしての高圧ポンプ(本発明でいう燃料圧送手段)8と、上記インジェクタ1,1,…及び高圧ポンプ8を電子制御するコントローラ(ECU)12とを備えている。
上記高圧ポンプ8は、例えばエンジンによって駆動され、燃料を運転状態等に基づいて定められる高圧に昇圧して燃料供給配管9を通じてコモンレール2に供給する所謂プランジャ式のサプライ用燃料供給ポンプである。例えば、この高圧ポンプ8は、エンジンのクランク軸に対してギアを介して動力伝達可能に連繋されている。また、この動力伝達のための他の構成として、高圧ポンプ8の駆動軸及びエンジンのクランク軸のそれぞれにプーリを設け、このプーリにベルトを架け渡して動力伝達可能にしたり、各軸にスプロケットを設け、このスプロケットにチェーンを架け渡して動力伝達可能にしてもよい。
各インジェクタ1,1,…は、コモンレール2にそれぞれ連通する燃料配管の下流端に取り付けられている。このインジェクタ1からの燃料の噴射は、例えばこのインジェクタに一体的に組み込まれた図示しない噴射制御用電磁弁への通電および通電停止(ON/OFF)により制御される。つまり、インジェクタ1は、この噴射制御用電磁弁が開弁している間、コモンレール2から供給された高圧燃料をエンジンの燃焼室に向けて噴射する。
また、上記コントローラ12は、エンジン回転数やエンジン負荷等の各種エンジン情報が入力され、これらの信号より判断される最適の燃料噴射時期及び燃料噴射量が得られるように上記噴射制御用電磁弁に制御信号を出力する。同時に、コントローラ12はエンジン回転数やエンジン負荷に応じて燃料噴射圧力が最適値となるように高圧ポンプ8に対して制御信号を出力する。更に、コモンレール2にはコモンレール内圧を検出するための圧力センサ13が取り付けられており、この圧力センサ13の信号がエンジン回転数やエンジン負荷に応じて予め設定された最適値となるように高圧ポンプ8からコモンレール2に吐出される燃料吐出量が制御される。
各インジェクタ1への燃料供給動作は、コモンレール2から燃料流路の一部を構成する分岐管3を通じて行われる。つまり、燃料タンク4からフィルタ5を経て低圧ポンプ6によって取り出されて所定の吸入圧力に加圧された燃料は、燃料管7を通じて高圧ポンプ8に送られる。そして、この高圧ポンプ8に供給された燃料は所定圧力に昇圧された状態でコモンレール2に貯留され、コモンレール2から各インジェクタ1,1,…に供給される。インジェクタ1は、エンジンの型式(気筒数、本形態では6気筒)に応じて複数個設けられており、コントローラ12の制御によって、コモンレール2から供給された燃料を最適な噴射時期に最適な燃料噴射量でもって、対応する燃焼室内に噴射する。インジェクタ1から噴射される燃料の噴射圧はコモンレール2に貯留されている燃料の圧力に略等しいので、燃料噴射圧を制御するにはコモンレール2内の圧力を制御することになる。
また、分岐管3からインジェクタ1に供給された燃料のうち燃焼室への噴射に費やされなかった燃料やコモンレール内圧が過上昇した場合の余剰燃料は、戻し管11を通じて燃料タンク4に戻される。
電子制御ユニットである上記コントローラ12には、気筒番号及びクランク角度の情報が入力されている。このコントローラ12は、エンジン出力が運転状態に即した最適出力になるようにエンジン運転状態に基づいて予め定められた目標燃料噴射条件(例えば,目標燃料噴射時期、目標燃料噴射量、目標コモンレール内圧)を関数として記憶しており、各種センサが検出した現在のエンジン運転状態を表す信号に対応して目標燃料噴射条件(即ち、インジェクタ1による燃料噴射タイミング及び噴射量)を演算により求めて、その条件で燃料噴射が行われるようにインジェクタ1の作動とコモンレール内燃料圧力とを制御している。
図2は燃料噴射量を決定するためのコントローラ12の制御ブロックである。この図2に示すように、燃料噴射量の算出は、ユーザが操作するレギュレータの開度信号を指令回転数算出手段12Aが受け、この指令回転数算出手段12Aがレギュレータの開度に応じた「指令回転数」を算出する。そして、エンジン回転数がこの指令回転数となるように噴射量演算手段12Bが燃料噴射量を演算する。エンジン(内燃機関)Eのインジェクタ1では、この演算により求められた燃料噴射量で燃料噴射動作が行われ、この状態で回転数算出手段12Cが実際のエンジン回転数を算出し、この実際のエンジン回転数と上記指令回転数とを比較して、この実際のエンジン回転数が指令回転数に近付くように燃料噴射量を補正(フィードバック制御)するようになっている。
本形態の特徴とするところは、高圧ポンプ8の駆動状態を、エンジンEの運転状態に応じて切り換え可能になっている点にある。この高圧ポンプ8の駆動状態の切り換え動作について説明する前に上記高圧ポンプ8の概略構成について説明する。
−高圧ポンプ8の説明−
図3は、高圧ポンプ8の概略構成及びこの高圧ポンプ8に対する低圧ポンプ6及びコモンレール2の接続状態を模式的に示す図である。この図3に示すように、本高圧ポンプ8は、第1〜第6の6個のポンプ機構81〜86を備えている。つまり、6個のシリンダとこのシリンダ内で往復移動するピストンとによってポンプ機構81〜86が構成され、それぞれのポンプ機構81〜86には第1〜第6のポンプ室81a〜86aがそれぞれ形成されている。
図3は、高圧ポンプ8の概略構成及びこの高圧ポンプ8に対する低圧ポンプ6及びコモンレール2の接続状態を模式的に示す図である。この図3に示すように、本高圧ポンプ8は、第1〜第6の6個のポンプ機構81〜86を備えている。つまり、6個のシリンダとこのシリンダ内で往復移動するピストンとによってポンプ機構81〜86が構成され、それぞれのポンプ機構81〜86には第1〜第6のポンプ室81a〜86aがそれぞれ形成されている。
また、これらポンプ機構81〜86は互いに異なるタイミングで燃料圧送動作を行うようになっている。具体的には、第1ポンプ機構81の燃料圧送動作が行われた後に第4ポンプ機構84の燃料圧送動作が行われ、以後、第2,第5,第3,第6のポンプ機構82,85,83,86の順で燃料圧送動作が行われていく。本高圧ポンプ8では駆動軸の回転数がエンジンのクランク軸の回転数に一致しており、クランク軸の一回転(高圧ポンプ8の駆動軸の一回転:360°)で6回の燃料圧送動作が行われる構成となっている。言い換えると、クランク軸の60°回転毎に何れかのポンプ機構81〜86が1回の燃料圧送動作を行っていく構成となっている。
また、これら6個のポンプ機構81〜86は第1及び第2の2つのポンプグループ(本発明でいう燃料圧送ユニット)8A,8Bにグループ分けされている。具体的には、第1〜第3ポンプ機構81,82,83が第1ポンプグループ8Aとなり、第4〜第6ポンプ機構84,85,86が第2ポンプグループ8Bとなるようにグループ分けされている。このため、上記低圧ポンプ6の吐出側配管61は第1及び第2の2系統の低圧配管62,63に分岐され、第1低圧配管62が更に第1〜第3ポンプ機構81,82,83に対応した3本の分岐配管62a,62b,62cに分岐されてそれぞれが第1〜第3のポンプ室81a,82a,83aに個別に接続されている。同様に、第2低圧配管63が第4〜第6ポンプ機構84,85,86に対応した3本の分岐配管63a,63b,63cに分岐されてそれぞれが第4〜第6のポンプ室84a,85a,86aに個別に接続されている。尚、各分岐配管62a〜62c,63a〜63cにはポンプ室81a〜86aから低圧ポンプ6側への燃料の逆流を防止するための逆止弁が設けられている。各ポンプ室81a〜86aの吐出側は、各グループ8A,8B毎に備えられた合流空間87,87に接続されており、各合流空間87,87がコモンレール2に上記燃料供給配管9を介して接続されている。尚、各ポンプ室81a〜86aの吐出側にも合流空間87,87からポンプ室81a〜86aへの燃料の逆流を防止するための逆止弁が設けられている。
また、上記第1低圧配管62及び第2低圧配管63のそれぞれには第1及び第2の吐出量制御アクチュエータ88,89が備えられている。これらアクチュエータ88,89は、低圧配管62,63に出没自在なニードル弁88a,89aを備え、このニードル弁88a,89aの突出量によって低圧配管62,63の開口面積を可変にし、これによってポンプ室81a〜86aへの燃料供給量を調整してコモンレール内圧を調整できるようになっている。つまり、コモンレール内圧が低くなるほど低圧配管62,63の開口面積を大きくしてポンプ室81a〜86aへの燃料供給量を増量し、これによってコモンレール内圧を目標圧力まで高めるようになっている。
上記コントローラ12は、ポンプグループ8A,8Bの燃料圧送動作を制御するための圧送ユニット制御手段12Dを備えている。つまり、この圧送ユニット制御手段12Dは、第1ポンプグループ8A及び第2ポンプグループ8Bの両方を駆動させる場合と、第1ポンプグループ8Aを強制的に停止して第2ポンプグループ8Bのみを駆動させる場合とを切り換えるようになっている。
具体的には、圧送ユニット制御手段12Dは、上記各吐出量制御アクチュエータ88,89のニードル弁突出量を制御する。そして、このニードル弁突出量を小さくすることで低圧配管62,63の開口面積を拡大させた場合には、そのポンプグループからの燃料圧送が増大し、逆に、ニードル弁突出量を大きくすることで低圧配管62,63の開口面積を縮小させた場合には、そのポンプグループからの燃料圧送が減少するようになっている。また、ニードル弁突出量を最大にした場合には、低圧配管62,63が全閉状態となり、そのポンプグループからは燃料が圧送されない状態、つまり、そのポンプグループの駆動を停止した状態となる。
より具体的には、圧送ユニット制御手段12Dは、エンジン回転数信号や燃料噴射量信号等を受け、例えばエンジンの高速運転時であってエンジンEの燃料要求量が、両方のポンプグループ8A,8Bを駆動させねば得られない場合には、両方のポンプグループ8A,8Bを駆動してコモンレール2に対する燃料圧送動作を行うことになる(以下、両アクチュエータ駆動状態と呼ぶ)。これに対し、例えばエンジンの低速運転時であってエンジンの要求燃料圧送量が、一方のポンプグループ8Bを駆動させるだけで得ることができる場合には、第1ポンプグループ8Aを強制的に停止させる(第1吐出量制御アクチュエータ88のニードル弁突出量を最大にして第1低圧配管62を全閉にする:以下、片側アクチュエータ駆動状態と呼ぶ)。これにより、第2ポンプグループ8Bのみによってコモンレール2に対する燃料圧送動作が行われることになる。
このように一方のポンプグループ8Bのみによってコモンレール2に対する燃料圧送動作を行った場合には、両方のポンプグループ8A,8Bを駆動させた場合に比べて、調量精度の向上を図ることができるようにしている。例えば第1・2ポンプグループ両方を用いた場合のポンプ最大吐出量を101/minとし、ポンプ吐出量を0から最大値まで制御するのに電流を0から2Aまで変更する必要があるとすると、ポンプの制御分解能は51/min/Aとなる。第2ポンプグループのみ用いた場合、ポンプ最大吐出量は51/minと1/2となるがポンプ吐出量を0から最大値まで制御する電流は0から2Aと変化せず、その結果、ポンプ制御分解能は2.51/min/Aと1/2となる。すなわち、アクチュエータ駆動電流に対する吐出量変化が半分になるので制御分解能を向上でき、調量精度の向上を図ることができる。
図4は、エンジン回転数及び燃料噴射量に応じて上記両アクチュエータ駆動状態と片側アクチュエータ駆動状態とを切り換えるためのマップを示している。このマップにおける領域A(破線の斜線を付した領域)は両アクチュエータ駆動状態となる領域(2アクチュエータ領域)を示し、領域B(一点鎖線の斜線を付した領域)は片側アクチュエータ駆動状態(第2アクチュエータ89のみを駆動する状態:1アクチュエータ領域)を示している。このように、エンジン回転数及び燃料噴射量に応じて、両アクチュエータ駆動状態と片側アクチュエータ駆動状態とが切り換えられるようになっている。
また、図5に示すように、駆動するポンプグループ8A,8Bの個数を圧送ユニット制御手段12Dが切り換える際、その切り換え判定を行うための判定値にヒステリシスを持たせている。この図5においても、2アクチュエータ領域に破線の斜線を付し、1アクチュエータ領域に一点鎖線の斜線を付している。
このように上記判定値にヒステリシスを持たせたことにより、ポンプグループ8A,8Bの駆動個数の切り換え動作が頻繁に生じてしまうハンチング現象を回避することができ、高圧ポンプ8の駆動動作の安定性を維持できる。尚、本形態では、片側アクチュエータ駆動状態でのヒステリシス幅(図5中の幅B1)を両アクチュエータ駆動状態でのヒステリシス幅(図5中の幅A1)の約半分に設定している。これにより、制御精度の向上を図ることができる。
更に、本形態では、コントローラ12が過渡判定手段12Eを備えており、この過渡判定手段12Eからの信号によって圧送ユニット制御手段12Dの制御を強制停止できるようになっている。具体的には、例えば過渡判定手段12Eはレギュレータ開度が急激に大きくなったこと(エンジン回転数を急上昇させる要求が生じたこと)を検知可能であり、エンジンEの運転が過渡状態であるか否かを判定するようになっている。そして、この過渡判定手段12Eからの過渡判定信号を受けた圧送ユニット制御手段12Dは、一部のポンプグループを強制的に停止させるといった上記動作を解除して、両方のポンプグループ8A,8Bを共に駆動させてコモンレール2に対する燃料圧送動作を行わせるようにしている。これにより、上記要求(エンジン回転数を急上昇させる要求)に迅速に対応させることが可能になる。
−その他の実施形態−
以上説明した実施形態では、6気筒舶用ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、4気筒舶用ディーゼルエンジン等、種々の形式のエンジンに対して適用可能である。また、舶用エンジンに限らず、車両用など他の用途に使用されるエンジンへの適用も可能である。
以上説明した実施形態では、6気筒舶用ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、4気筒舶用ディーゼルエンジン等、種々の形式のエンジンに対して適用可能である。また、舶用エンジンに限らず、車両用など他の用途に使用されるエンジンへの適用も可能である。
更に、上記実施形態では、ポンプ機構81〜86を2つのグループに分け、2つのアクチュエータ88,89を備えさせるものについて説明したが、ポンプ機構を3つ以上のグループに分け、3つ以上のアクチュエータを備えさせて、これらのうち選択的に一部のアクチュエータのみを駆動させることによって調量精度の向上を図るようにしてもよい。
1 インジェクタ(燃料噴射弁)
2 コモンレール
8 高圧ポンプ(燃料圧送手段)
8A 第1ポンプ室グループ(燃料圧送ユニット)
8B 第2ポンプ室グループ(燃料圧送ユニット)
12D 圧送ユニット制御手段
12E 過渡判定手段
E エンジン(内燃機関)
2 コモンレール
8 高圧ポンプ(燃料圧送手段)
8A 第1ポンプ室グループ(燃料圧送ユニット)
8B 第2ポンプ室グループ(燃料圧送ユニット)
12D 圧送ユニット制御手段
12E 過渡判定手段
E エンジン(内燃機関)
Claims (6)
- 燃料を圧送する燃料圧送手段と、この燃料圧送手段から圧送された燃料を貯留するコモンレールと、このコモンレールから供給された燃料を内燃機関の燃焼室に向けて噴射する燃料噴射弁とを備えた蓄圧式燃料噴射装置において、
上記燃料圧送手段は、互いに独立した圧送経路を有する複数の燃料圧送ユニットを備えている一方、
上記内燃機関の燃料要求量が所定量以下であるとき、一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止して、残りの燃料圧送ユニットのみによってコモンレールに対する燃料圧送動作を行わせる圧送ユニット制御手段を備えていることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 上記請求項1記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
圧送ユニット制御手段は、内燃機関の運転回転数及び燃料噴射弁の燃料噴射量に応じて、全ての燃料圧送ユニットを駆動する動作と一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止する動作とを切り換えるよう構成されていることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 上記請求項1記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
圧送ユニット制御手段は、内燃機関の運転回転数及び燃料噴射弁のエンジン出力トルクに応じて、全ての燃料圧送ユニットを駆動する動作と一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止する動作とを切り換えるよう構成されていることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 上記請求項1、2または3記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
内燃機関の運転が過渡状態であるか否かを判定する過渡判定手段を備え、
圧送ユニット制御手段は、過渡判定手段からの信号を受け、内燃機関の運転が過渡状態であるときには、一部の燃料圧送ユニットを強制的に停止する動作を解除して全ての燃料圧送ユニットを駆動してコモンレールに対する燃料圧送動作を行わせるよう構成されていることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 上記請求項1、2、3または4記載の蓄圧式燃料噴射装置において、
圧送ユニット制御手段は、駆動する燃料圧送ユニットの個数を切り換える際、その切り換え判定を行うための判定値にヒステリシスを持たせる構成となっていることを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。 - 請求項1〜5のうち何れか一つに記載の蓄圧式燃料噴射装置を備えることを特徴とする内燃機関。
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