JP2005503120A - Fgfダイマー化に関する方法及び生成物 - Google Patents

Fgfダイマー化に関する方法及び生成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、FGFダイマー化に関する方法および産物である。特に、FGFダイマーの組成物が提供される。治療上の使用を含むそれらの組成物を使用する方法もまた、提供される。いくつかの局面について、本発明は、相互に連結した2つのFGFモノマーを含む、改変FGFダイマーの薬学的組成物を提供し、ここで、このダイマーは、天然のFGFダイマーからの、少なくとも1つの改変、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。本発明の他の局面は、相互に連結した、2つのFGFモノマーを含む安定化された改変FGFダイマーの組成物であり、ここでこのダイマーは、天然のFGFダイマーからの、少なくとも1つの改変を含む。

Description

【背景技術】
【0001】
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、形態形成、ならびに腫瘍の新脈管形成のような疾患のプロセスを包含する広範囲の生理学的プロセスに関連する(Ornitz,D.M.(2000)Bioessays 22(2),108―12;Taipale,J.ら(1997)Faseb J 11(1),51―9;Hanahan,D.ら(1996)Cell 86(3),353―64)。FGFファミリーは、共に多くの細胞型の潜在的なマイトジェンである、よく特徴づけられた酸性FGF(FGF1)および塩基性FGF(FGF2)を含む、少なくとも20のメンバーから構成される。FGFのシグナル伝達は、最初に、細胞表面のFGFレセプター(FGFR)と、免疫グロブリン様ドメインおよびチロシンキナーゼドメインからなる膜貫通ポリペプチドとの高親和性の相互作用により、媒介される。異なったアイソフォームFGFRに結合するFGFは、特異的なチロシン残基のリン酸化転移の前の、レセプター二量化の引き金となると考えられている(Schlessinger,J.ら(1995)Cell 83(3),357−60)。リン酸化されたチロシン残基は、次に、細胞増殖、細胞移動、および細胞生存に至る、他のシグナル伝達タンパクを活性化する。
【0002】
その有力なFGFR、FGF2、および他のFGFファミリーのメンバーへの適切な提示のために、ヘパリン/ヘパラン硫酸様のグルコサミノグルカン(HLGAG)と相互作用させる。グルコサミンとウロン酸の二糖類の繰り返しから構成されるHLGAGは、長さが不均一(10〜100個の二糖類単位)、および化学組成が不均一である(各々の二糖類単位の差次的な硫酸化、アセチル化、およびエピマー化を含む)。(Guimond,S.ら(1993)J Biol Chem 268(32),23906−14)。プロテオグリカンの一部分として、細胞外マトリックス中、および細胞表面上で見出されるHLGAGは、FGFRへのFGF2の結合を促進する、FGF2とFGFR結合部位との特異的な低親和性の相互作用によりFGF2活性を調整する(Faham,S.ら(1996)Science 271(5252),1116−20;Ornitzら(1995)Science 268(5209),432−6;Kan,Mら(1993)Science 259(5103),1918021)。HLGAGは、以下を含む多くのメカニズムによりFGF2誘導によるFGFR活性化を促進する。FGF2の拡散速度を調節すること(Dowd,C.J.ら(1999)J Biol Chem 274(8),5236−44;Flaumenhaft,R.ら(1990)J Cell Biol 111(4),1651−9)、および、おそらくは、FGF2およびFGFRの両方との相互作用によるFGF2−FGFR結合の特異性を決定づけること(Guimond,S.E.ら(1999)Curr Biol 9(22),1343−6;Kan,M.ら(1999)J Biol Chem 274(22),15947−52)。
【0003】
FGFがFGFレセプターと相互作用し、そして、シグナル伝達を開始する場合、FGFの状態に関連する混同が、先行技術に存在する。アポ―FGFおよびFGF−HLGAGの結晶構造の調査は、隣接した分子間の実質的なタンパク質−タンパク質相互作用と共に、シス型で優先的なFGF2の自己会合の提案へと導いた(Venkataraman,G.ら (1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(2),845−50)。しかし、NMR研究は、FGFオリゴマー化の異なる様式、すなわち、表面にある2つのシステイン間の、可能なジスルフィド結合形成をともなう、対称FGF2ダイマーを予測している(Moy,F.J.ら:(1997)Biochemistry 36(16),4782−91)。さらに、最近解析された、FGF1−十糖類の共通の結晶(co−crystal)は、FGF−FGF接触を含まないFGFトランスダイマーを示す。(DiGabriele,A.D.ら(1998) Nature 393(6687),812−7,二量化のメカニズムは、FGFファミリーの他のメンバー(すなわち、FGF2)まで広げられ得るか、または広げられ得ない。さらに最近FGF−FGFRおよびFGF−FGFR−HLGAG複合体のいくつかの結晶学的研究は、FGF2:FGFR1(Plotnikov,A.N.ら(1999) Cell 98(5),641−50),FGF1:FGFR2(Plotnikov,A.N.ら (2000)Cell 101(4),413−24),FGF2:FGFR2(Plotnikov,A.N.ら (2000)Cell101(4),413−24),FGF1:FGFR2(Stauber,D.J.ら (2000)Proc Natl Acad Sci USA 97(1),49−54)を含み、その複合体においては、FGF−FGF接触がなく、2つのFGFRに結合した2つのFGFの集合体を示す。従って、相反する生化学的、および生物物理学的な証拠は、FGFのオリゴマー化が、FGFRによるシグナル伝達に重要であるか否かそして、重要である場合、タンパク質接触、またはタンパク質接触がないかのいずれかを含むFGFダイマー化のどの様式が、FGFのシグナル伝達を媒介するのか不明である。この問題は、FGF、FGFR、およびHLGAG間の3次元の複合体の2つの最近の結晶構造(Schlessinger,J.ら(2000)Mol Cell 6(3),743−50;Pellegrini,L.ら(2000)Nature 407(6807),1029−34)が、顕著に多様な幾何学的構造とともに、複合体についての異なる化学量論を示すことを考慮するとき、折り合う。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
いくつかの局面において、本発明は、FGFダイマーは生物学的に活性であり、そしてFGFRのリン酸基転移を生じることが発見された。先行技術の研究は、インビトロでHLGAGがFGFオリゴマー化を促進することを示した(Ornitz,D.M.ら (1992) Mol Cell Biol 12(1),240−7;Herr,A.B.ら (1997) J Biol Chem 272(26),16382−9;Spivak−Kroizman,T.ら(1994)Cell 79(6),1015−24)。しかし、直接的な証拠がないために、この生化学的な現象が、FGF2シグナル伝達に重要であったかどうかは、不明であった。さらに、FGF−FGFの相互作用の異なる様式が、種々の研究で観察されており、たとえあったにしても、FGFオリゴマー化のどの様式が生物学的に関連するのかという疑問を誘っている。FGF2オリゴマー化の提案された様式を体系的に探索するため、およびシグナル伝達におけるFGF−FGF相互作用の重要性を評価するために、立体配座の研究および分子工学技術を使用することで、FGF二量化がFGFの生物活性に重要であることが、本発明によって発見された。本明細書中に記載されているデータは、実質的に非共有結合のタンパク質−タンパク質の接触を含むFGFダイマーが容易に形成され、そしてそれらがシグナル伝達を媒介し得ることを示す。
【0005】
いくつかの局面について、本発明は、相互に連結した2つのFGFモノマーを含む、改変FGFダイマーの薬学的組成物を提供し、ここで、このダイマーは、天然のFGFダイマーからの、少なくとも1つの改変、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。本発明の他の局面は、相互に連結した、2つのFGFモノマーを含む安定化された改変FGFダイマーの組成物であり、ここでこのダイマーは、天然のFGFダイマーからの、少なくとも1つの改変を含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物のFGFダイマーは安定化されている。他の実施形態において、上記薬学的組成物は、滅菌されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、2つのFGFモノマーはFGF2である。好ましい実施形態において、上記改変は、2つのモノマーを連結するリンカー分子であり、より好ましくは、このリンカー分子はペプチドである。いくつかの実施形態におけるFGFダイマーは組み換えDNA技術(例えば、配列番号5の配列を有する核酸の発現、または機能的等価物の発現による)によって生成されたタンパク質である。他の実施形態では、少なくとも1つのFGFモノマーは、配列番号1、またはその機能的改変体に対応するアミノ酸配列を有する。必要に応じて、このペプチドリンカーは、GAL、GAR、またはGARGである。いくつかの実施形態において、このペプチドリンカーは、RGDのように、プロテアーゼ部位、またはインテグリン結合配列を含む。
【0008】
他の実施形態において、上記改変は、少なくとも1つのFGFモノマーの中にあり、そして、天然のFGFモノマーには存在しないシステイン残基である。例えば、少なくとも1つのFGFモノマーには、配列番号7に対応するアミノ酸配列またはその機能的に等価な改変体に対応するアミノ酸配列を有し得るが、ここで、FGFモノマーは、アミノ酸番号81(配列番号2)において、少なくとも1つのシステイン残基を含む。あるいは、上記薬学的組成物は、配列番号7、またはその機能的に等価な改変体に対応するアミノ酸配列を有する、少なくとも1つのFGFモノマーを含むが、ここで、FGFモノマーは、アミノ酸番号100(配列番号3)において、少なくとも1つのシステイン残基を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、配列番号7、またはその機能的に等価な改変体に対応するアミノ酸配列を有する両方のFGFモノマーを含むが、ここで、これらのFGFモノマーは、各々のアミノ酸番号81および100(配列番号4)において、少なくとも1つのシステイン残基を含む。必要に応じて、少なくとも1つの天然に存在するシステインは、保存的または非保存的な置換を含む。他のさらなる実施形態において、これら両方のFGFモノマーは、天然のFGFモノマーには存在しないシステイン残基を含む。
【0009】
従って、上記組成物は、配列番号2、配列番号3、または配列番号4に対応するアミノ酸配列を有する、少なくとも1つのFGFモノマーを有するFGFダイマーを含み得る。
【0010】
2つのFGFモノマーは、例えば、ジスルフィド結合のような化学結合によって相互に連結される。
【0011】
他の実施形態において、FGFダイマーの改変は、少なくとも1つのFGFモノマーにおいてであり、そして、上記改変は、上記モノマーの9N−末端アミノ酸残基のうち、少なくとも1つ、または全ての欠失がある。この欠失は、上記モノマーのうち、1つまたは両方であり得る。上記モノマーのN末端はまた、プロテアーゼ部位、またはインテグリン結合配列と置換され得る。
【0012】
必要に応じて、上記ダイマーは、HLGAGと複合体を形成し得、そして/または、FGFダイマーは、微粒子中に処方され得る。
【0013】
別の局面において、本発明は、相互にペプチドリンカーを介して連結される、2つのFGFモノマーから構成されるFGFダイマーであり、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアの中に処方される。いくつかの実施形態において、上記ダイマーは、HLGAGと複合体を形成する。他の実施形態において、少なくとも1つのFGFモノマーは、配列番号1、またはその機能的に等価な改変体に対応するアミノ酸配列を有する。
【0014】
ペプチドリンカーは、種々の長さ、または種々の配列のリンカーであり得る。いくつかの好ましいリンカーは、GAL、GAR、およびGARGを含むが、これらには限定されない。必要に応じて、ペプチドリンカーは、プロテアーゼ部位、またはRGDのようなインテグリン結合配列を含む。
【0015】
他の局面において、本発明は、シグナル伝達を促進する有効量で、細胞を、請求項1−25、または28−34のうち、いずれか1つのFGFダイマーと接触させることによってシグナル伝達を促進する方法である。
【0016】
他の局面において、本発明は、発作の処置方法、新脈管形成の促進方法、側副血管形成の促進方法、神経再生の促進方法、創傷治癒の促進方法、神経系疾患(すなわち、中枢神経系疾患または末梢血管系疾患)の治療方法またはその予防方法、または心疾患および心臓手術における心筋損傷の予防方法のような治療方法に関連する。これらの方法は、相互に連結した2つのFGFモノマー、または本発明の他のFGFダイマー、および薬学的に受容可能なキャリアから構成される安定化FGFダイマーを、その障害を治療するか、または所望の生物学的効果が得られる有効量で、それを必要とする被験体に投与することによって行われる。好ましくは、上記FGFダイマーは、本明細書に記載される任意の薬学的組成物の形態をとる。いくつかの実施形態において、被験体はヒトである。他の実施形態において、上記FGFダイマーは、被験体に投与される前に、HLGAGと共にプレインキュベートされる。
【0017】
他の局面において、本発明は、相互に連結した2つのFGFモノマー、または本発明の他のFGFダイマーから構成される安定化FGFダイマーを、FGFRを活性化させる有効量で、それを必要とする被験者に投与することによりFGF感受性障害の治療、または予防する方法である。
【0018】
さらなる他の局面において、本発明は、本発明のいずれか1つの上記FGFダイマーと化合物のライブラリーを接触し、そしてFGFダイマー結合化合物を同定するために、上記FGFダイマーに結合する化合物を同定することにより、FGFダイマー結合化合物を同定するスクリーニングアッセイである。必要に応じて、この方法は、上記FGF結合化合物が、FGFレセプターとのFGFダイマー相互作用をブロックし得るか否かを決定することによって、FGF結合化合物が、FGFインヒビターであるか否かを決定する工程を包含する。
【0019】
他の局面において、本発明は、被験体にFGFインヒビターを投与することによって被験体におけるFGF活性を阻害するためのアッセイおよび方法に従って同定される、FGFダイマー結合化合物またはFGFインヒビターの組成物に関連する。
【0020】
他の局面において、本発明は、癌の処置方法、新脈管形成の阻害方法、または慢性炎症の処置方法のような、FGFインヒビターを使用する治療方法に関連する。これらの治療方法もまた、本発明のFGFインヒビター、および薬学的に受容可能なキャリアを、その障害を処置するか、または所望の生物学的効果を得るための有効量で、それを必要とする被験体に投与することによって行われる。いくつかの実施形態において、被験体はヒトである。
【0021】
本発明の各々の限定は、本発明の種々の実施形態を包含し得る。従って、任意の1つの要素、または要素の組み合わせを含む本発明の限定の各々は、本発明の各々の局面に包含され得ることが予測される。
【0022】
(詳細な説明)
本発明は、生物学的に活性なFGFダイマーおよびその使用に関する。FGFダイマーは、生物学的に活性であることが、本発明に従って、発見された。FGFダイマーは、いくつかの局面において、生物学的活性を強く増強した。FGFの治療的使用を記載する以前の大部分の研究は、FGFモノマーの使用について記載されてきた。さらに、以前の研究は、モノマー形態のFGF2が、活性なシグナル伝達複合体を形成し得ることを示唆してきた(Pantoliano,M.Wら(1994)Biochemistry 33(34),10229−48;Pye,D.A.ら(1999)J Biol Chem 274(19),13456−61)。例えば最近の研究において、モノマーFGFとヘパリンドデカサッカリドのプールとが共有結合した複合体は、インビトロにおいて細胞増殖を促進し得ることが見出された(Pye,D.A.ら(1999)J Biol Chem 274(19),13456−61)。しかし、本明細書中で観察されたように(データは、実施例の節において示される)、この複合体は、H−チミジン取り込みの促進において複合体化されていないFGFより活性が小さかった。対照的に、この研究において示されたダイマーFGF(dFGF)構築物は、生物学的アッセイにおいて、外来のHLGAGに対する活性について減縮した依存性を有する野生型FGFよりも、数倍強力である。本発明は、FGFダイマーが、モノマーと比較して有意に改善された生物学的活性を有するという知見に、少なくとも一部は基づく。
【0023】
増殖因子およびサイトカインによって媒介されるいくつかのシグナル伝達経路は、レセプターのダイマー化を促進するためのその細胞表面レセプターへのリガンドの結合(細胞内シグナル伝達カスケードの活性化を導く重要な工程)(Heldin,C.H.(1995)Cell 80(2),213−23)を包含する。生物学的シグナルを生成するためにFGFがFGFRと相互作用する際のFGFの構造、コンフォメーションおよびオリゴマー状態が、は、不明である。本発明の研究は、治療的に重要なクラスの化合物の開発を導いた、FGF−FGFR相互作用の重要な特徴を同定した。一般的に言うと、FGF2が、オリゴマー形成についての優先傾向を持つことが、見出され、そして、本明細書中に記載された研究は、このオリゴマー形成界面がタンパク質−タンパク質の接触に関与する、という事実を指摘する。さらに、これらの生化学的知見に基づくダイマー化FGF(dFGF)構築物は、強力な生物学的活性を持つことが見出された。従って、FGFダイマーは、FGFダイマー形成および付随するシグナル伝達の強力な媒介物質である。
【0024】
FGF2結晶構造の広範な分析に基づくジスルフィド媒介連続的ダイマー(システイン変異体)の合理的設計を通して、本発明者らは、(A)野生型FGF2(これは、表面に同数のシステインを有するが、位置が異なる)と比較した場合の形成されるオリゴマーの量の著しい増大、(B)システイン変異体とヘパリンとのプレインキュベートによるより高いオリゴマー形成、ならびに(C)観察されたオリゴマーが、特定のタンパク質接触に関与することおよびそれがジスルフィドにより媒介されること、を実証した。上記の知見は、FGF2分子が、連続的様式において、特定のFGF−FGF相互作用を介して自己集合するモデルを強く支持し、そしてHLGAGは、FGF2分子間の分子間相互作用を安定化する「足場」を提供するために役立ち得る。
【0025】
活性FGF2ダイマーが、FGF−FGFR共結晶構造において観察されるFGF2ダイマー(これは、タンパク質−タンパク質接触を欠く)と対比して、タンパク質−タンパク質接触に関与するか否かを決定するために、タンデムに連結されたダイマー化FGF2(dFGF2)分子が、コンフォメーションの研究および遺伝子工学ツールを使用して構築された。ダイマー化タンパク質の中の2つのFGF2分子の間の短い距離が、非接触ダイマー様式の優先性を低くしつつ、実質的なFGF−FGF相互作用を可能とするように、dFGF2を設計し、それによって、本発明者らは、FGF2ダイマーの接触が生物学的活性を導き得るか否かを、分析することを可能にした。本発明者らは、質量分析を通して、dFGF2がFGFRと1:2の比で相互作用することを示し、このことは、dFGF2が、FGFRのダイマーに結合し得ることを示唆する。さらに、これらの結果は、1つの様式において、実質的なタンパク質の接触(これによって、FGF2およびそのレセプターが、相互作用し得る)が、FGFRのFGF2ダイマーへの結合を介することに関連することを示す。これらの生化学的知見は、実施例に記載される、dFGF2分子の生物学的な活性により支持される。
【0026】
FGF2ダイマーの接触が、生物学的活性を導き得るか否かを試験するために、dFGF2を、2つの独立の細胞培養アッセイに供した。SMC増殖およびHUVEC生存アッセイの両方から、dFGF2は、野生型FGF2と比較して高められた生物学的活性を示した。この効果は、SMCアッセイにおいて特に顕著であり、この場合、dFGF2は、野生型に比べて数倍活性であり、HLGAGの非存在下においてその存在下と比較して、活性が30%低いだけであった(細胞表面HLGAGの非存在下において、活性が有意に減じられた野生型FGF2と対照的である)。これらの知見は、FGF−FGF相互作用が十分であると予想されるdFGF2が、そのレセプターと活性なシグナル伝達複合体を形成することを実証した。さらに、塩素酸塩処理されたSMCの増殖は、dFGF2が、シグナル伝達についてHLGAG依存性がより少ないことを実証した。これらのデータは、HLGAGがFGF2活性を調節する機構の1つは、ダイマー様式の2つのFGF2 分子の安定化によって、レセプターのダイマー形成を促進することによることを示唆する。dFGF2はすでにダイマー形成しているので、レセプターに対する適切な提示のためのdFGF2のHLGAG依存性は、野生型FGF2に比べてより低い。このdFGF構築物はまた、インビボにおいて、野生型FGFによりさらに強力なプロ脈管形成因子であることが、見出された。従って、このことは、実質的なタンパク質−タンパク質接触に関与するdFGF構築物が、細胞の表面にて活性なシグナル伝達複合体を形成するという、説得力のある証拠を提供する。
【0027】
従って、生化学的アッセイ、細胞培養アッセイ、およびインビボアッセイは、FGF2ダイマーが、活性シグナル伝達複合体に含まれることを実証し、このことは、FGF−FGF相互作用がないことを示す、異なるFGF2−FGFR結晶構造についての先行技術データと一致しない。このような不一致は、固有の複雑さおよびFGF系の多方面にわたる性質を反映し得る。可能性のある説明のひとつは、FGF−FGFRの異なる構造上の配置が、シグナル伝達複合体の異なる状態すなわち「オン」状態または「オフ」状態を反映し得る。従って、非接触FGF2ダイマー形成は、不活性複合体を導き得るが、タンパク質−タンパク質相互作用に関与するFGF2ダイマー形成の様式は、その後のオリゴマー形成およびシグナル伝達を促進することによる協同的なFGF2−FGFR相互作用を導き得る。
【0028】
従って、いくつかの局面において、本発明は、FGFダイマーの組成物に関する。本明細書中で使用される場合、「FGFダイマー」とは、2つのFGFモノマーが互いに連結して形成されたFGFダイマーをいう。FGFダイマーはまた、本明細書中でdFGFとも称される。FGFダイマーは、ダイマー状態を維持するために安定化された、改変されたFGFダイマーおよびネイティブFGFダイマーを含む。
【0029】
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、線維芽細胞および内皮細胞に対し有糸***誘発性であるウシの脳または下垂体組織に由来するその活性について、はじめに記載された。脳由来の原発性マイトジェンは、下垂体から単離された原発性マイトジェンとは異なることが、後に示された。これらの2つの因子は、それぞれ、酸性FGFおよび塩基性FGF(現在、FGF1およびFGF2としても知られている)と名付けられた。なぜならば、これらは、同様の生物学的活性を持つが、それらの等電点が異なるからである。
【0030】
FGFであると考えられるタンパク質の巨大なファミリーが存在することが、今日既知である。線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、少なくとも23の異なるメンバーからなり、これらは、広範なスペクトルの細胞型に対し、概してマイトジェンとして作用する。例えば、FGF2は、インビトロにおいて内皮細胞、脈管平滑筋細胞、線維芽細胞および概して中胚葉由来または神経外胚葉由来の細胞(心臓の筋細胞および骨格の筋細胞を含む)に対するマイトジェンである(Gospodarowiczら、J.Cell.Biol.70:395−405,1976;Gospodarowiczら、J.Cell.Biol.89:568−578,1981およびKardami,J.Mol.Cell.Biochem.92:124−134,1990)。インビボにおいて、FGF2は、鳥類の心臓発達において重要な役割を果たすこと(Sugiら、Dev.Biol.168:567−574,1995およびMimaら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.92:467−471,1995)、およびイヌの冠状側副の発生を誘導すること(Lazarousら、Circulation 94:1074−1082,1996)が示されてきた。細胞の増殖を刺激するマイトジェンの応答を誘発することに加えて、線維芽細胞増殖因子は、非マイトジェン様式で応答するために、多数の細胞型を刺激し得る。これらの活性として、創傷領域への細胞移動の促進(走化性)、新しい血管形成の開始(新脈管形成)、神経再生および神経生存の調節(神経栄養性(neurotrophism))、内分泌機能の調節、特定の細胞性タンパク質発現の刺激または抑制、細胞外マトリクスの生成および生存が挙げられる(Baird,A.およびBohlen,P.,Handbook of Exp.Pharmacol.95(1):369−418,Springer,1990)。これらの性質は、創傷治癒、神経修復、側副血管形成などを促進するための治療的アプローチにおいて線維芽細胞増殖因子を使用するための基礎を提供する。例えば、線維芽細胞増殖因子は、心疾患および心臓の手術における心筋層の損傷を最小化することが示唆されてきた(Francoの米国特許第4,378,347号)。
【0031】
FGFファミリーの全てのメンバーは、ヘパリンに結合しそして種を超えて構造上のホモロジーを保持する。このことは、その構造/機能的関連性の保存を示唆する(Ornitzら、J.Biol.Chem.271(25):15292−15297,1996)。本明細書中で使用される場合、タンパク質が、FGFファミリーの他のメンバーに対する有意な配列のホモロジーおよび3次元構造のホモロジー、インビトロまたはインビボでのアッセイにおけるFGF様活性、ならびにヘパリンまたはヘパリン様物質に対する結合を示すとき、そのタンパク質はFGFファミリーのメンバーである。
【0032】
FGFシグナル伝達は、主に細胞表面FGFレセプター(FGFR)(免疫グロブリン様ドメインおよびチロシンキナーゼドメインから構成される膜貫通ポリペプチド)との高い親和性相互作用を通して媒介される。FGFRの異なるアイソフォームに結合するFGFは、レセプターダイマー形成を誘導し、次いでチロシン残基特異的なリン酸基転移を起こすと考えられている。リン酸化されたチロシン残基は、順番に他のシグナル伝達タンパク質を活性化し、細胞の増殖、移動および生存を導く。本発明者らは、FGFの種々の結晶構造を広く分析し、そしてFGFシグナル伝達のモデルを提案してきた。このモデルにおいて、FGF2の2つの分子は、優先的に31A軸に沿って会合し、そしてヘパリンサッカリドは、ダイマーを安定化するためにFGF2に結合し得る。ダイマー形成の他の様式(33A軸に沿う)もまた、提案される。
【0033】
本発明に従う好ましいFGFは、FGF2であり、いくつかの実施形態において、ヒトFGF2が、好ましい。用語「FGF2」が、本明細書中で使用される場合、生物学的活性を示す任意の線維芽細胞増殖因子2のことをいう。FGF2は、ネイティブFGF2(配列番号1)として認識される155アミノ酸のタンパク質、活性を示す短縮型形態、胎盤FGFのような伸張した形態、より高い分子量のN末端が伸張した形態およびこれらのうちのいずれかの機能的に等価なFGF2誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、特に、哺乳動物組織から抽出される天然のFGF2および任意の種に由来するDNAから発現される組み換えポリペプチドを含む。
【0034】
FGF2の3次元構造は、決定されている(Eriksson,E.A.ら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.88:3441−3445(1991),Zhang,Jら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.88:3446−3450(1991)およびZhu,H.ら、Science 251:90−93(1991))。FGF2全体の構造は、3つの側面の各々が、6つの逆平行ストランドからなるβ−シートバレルを形成する2つのβ−ストランドで構成される、三方錐として記載され得る(Eriksson,E.A.ら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.88:3441−3445(1991))。この角錐の基部は、バレルの端部の1つを閉じるために、角錐の3つの側面から伸びるさらなる6つのβストランドから構築される(合計12)。従って、3回転リピートが、ポリペプチド鎖の折り畳みにおいて観察され、そして偽3回転軸は、分子の底部の中心を通り、そして角錐の頂点に向かって伸びる。FGFファミリーのタンパク質の中で保存されたアミノ酸のうち、大部分は、FGF2のコアβ−ストランド領域の中に位置される。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「改変されたFGFダイマー」とは、2つのFGFモノマーが互いに連結して形成されたFGFダイマーであって、ここで、このダイマーは、ネイティブFGFダイマーからの少なくとも1つの改変を含む。この改変は、一方または両方のFGFモノマーのアミノ酸配列内であり得るか、または連結それ自体であり得る。例えば、改変されたFGFダイマーは、リンカー分子によって連結された、2つの天然に存在するFGFモノマーから構成され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、改変されたFGFダイマーは、安定化される。安定化されるダイマーは、通常、モノマーのFGFが、ダイマー化複合体に留まるよりも、モノマーがダイマー化複合体に留まるより高い見込みを持つ。この安定化されるダイマーは、種々の機構を通して成し遂げられる。例えば、FGFのダイマー構造を安定化するためにリンカー分子が、使用され得る。相互作用が、ネイティブFGFモノマー間の非共有結合的相互作用よりも安定なダイマー形態のFGFを形成する限り、共有結合性の相互作用または他の非共有結合性相互作用はまた、ダイマーを安定化するために使用され得る。
【0037】
安定化されたFGFダイマーが、FGFモノマーまたはネイティブダイマーより改善された活性を持つことが、驚くべきことに、本発明に従って発見された。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「連結された」または「連結」とは、2つの実体が、任意の物理化学的手段によって、互いに結合されることを意味する。連結がFGFモノマーの有効性またはこのダイマーのFGFRとの結合特異性を実質的に損なわないような性質であることは、重要である。これらのパラメーターに留意する限り、当業者に公知の共有結合的または非共有結合的な任意の連結が、使用され得る。本発明に従う連結は、リンカー分子および化学連結を含む。このような連結の手段および方法は、当業者に周知である。
【0039】
FGFダイマーの薬学的組成物に関して使用される場合、FGFダイマーにおけるFGFの連結されたモノマーとは、組成物中の少なくとも50%より多くのFGFモノマーが、ダイマー状態であることをいう。好ましくは、少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%のFGFモノマーが、ダイマー形態である。
【0040】
本明細書中で使用される場合、「リンカー分子」とは、2つのモノマーの間に間接的な連結を形成する分子である。いくつかの実施形態において、このリンカー分子は、スペーサー分子であり、これは、各モノマーに共有結合的、または非共有結合的のいずれかによって、付着される。スペーサーをモノマーに付着するための方法の1つは、連結を容易にするためのモノマー上の官能基の使用および/またはその連結を容易にするためにモノマーの間に置かれたリンカー基の使用である。別の方法は、モノマーおよびリンカーの両方の単一のプロセスでの合成を包含し、これによって、ダイマーの構成要素が、同一の実体において1つであると見なされ得る。例えば、組換えDNA方法論を使用して、タンパク質が発現される場合に、連結ペプチドが2つのモノマーを接続するように適応されたモノマーおよび架橋ペプチドの両方をコードする核酸構築物が、ダイマーを生成するために使用され得る。間接的な連結のためのこれらおよび他の方法は、本発明によって包含されることが意図される。
【0041】
共有結合の具体的な例として、二官能性の架橋分子が使用される共有結合が挙げられる。この架橋分子は、ホモ二官能性またはヘテロ二官能性であり得、結合体化される分子の性質に依存する。ホモ二官能性の架橋剤は、同一の反応基を2つ有する。ヘテロ二官能性の架橋剤は、連続的な結合反応を可能にする、2つの異なる反応基を有する。以下の基の1つ以上と反応する、種々の型の市販の架橋剤が、利用可能である:1級アミン、2級アミン、スルフヒドリル、カルボキシル、カルボニルおよび炭水化物。これらのリンカー分子はまた、非共有結合を使用してモノマーに付着され得る。非共有結合複合体は、直接的な手段または間接的な手段によってなされ得、疎水的相互作用、イオン性相互作用および他の親和性相互作用が挙げられる。この連結分子はまた、改変され得、その結果、生理学的環境において切断可能ではないかまたは生理学的環境において切断可能となる。このような分子は、分解に耐性であり得る。
【0042】
好ましい実施形態において、リンカー分子は、FGFモノマーと共に組換え技術を使用して産生されるペプチドである。この方法によって産生されるFGFダイマーの例は、実施例の節において示される。例示的なFGFダイマーは、配列番号6のアミノ酸配列を有する。このFGFダイマーは、配列番号5の配列を有するDNAから発現される。簡単に言うと、FGFダイマーを発現する発現ベクターが、生成される。この発現ベクターは、機能的融合タンパク質を生成するために作動可能に配置された、2つのFGFモノマーおよびリンカーペプチドについての配列を含む。これを、図4において概略的に示す。ダイマーを生成するために有用なリンカーの例の1つは、GALである。他のリンカーとして、GARおよびGARGが挙げられるが、これらに限定されない。GALリンカーの1つのモノマーのN末端と他のモノマーのC末端との間の距離は27Åである。このFGFの2つのモノマーの間の距離は、結晶構造においては約42Åと観察された。形質転換体におけるFGF1ダイマーにおけるモノマーの間の距離は、約70Åである。FGF2については、27Åが好ましい。
【0043】
従って、本開示の観点において、当業者は、標準的な技術(組換え技術、直接合成、変異誘発などを含む)によってFGFダイマーを生成し得る。例えば、組換え技術を用いて、配列番号5における適当なコドンが置換され得、標準的な部位特異的変異誘発技術によって所望のアミノ酸置換がなされ得る。明らかに、部位特異的変異についての開始点としての遺伝コードの縮重のみに起因して、配列番号5と異なる任意の配列がまた使用され得る。次いで、変異核酸配列は、適切な発現ベクター中にライゲーションされ、そしてE.coliのような宿主中で発現され得る。次いで、得られた改変FGFダイマーは、当該分野において周知の技術(実施例中以下に開示される技術を含む)によって精製され得る。好ましくは、FGFダイマーは実質的に純粋である。本明細書中で使用される場合、用語「実質的に純粋」は、タンパク質が基本的にその意図される使用について実質的なかつ適切な程度他の物質を含まないことを意味する。例えば、タンパク質配列決定または薬学的調製物の生成において有用であるために、特にこのタンパク質は、十分に純粋であり、かつその宿主細胞の他の生物学的構成要素を含まない。
【0044】
別のセットの実施形態において、本発明の改変FGFダイマーをコードする単離核酸が提供される。核酸について本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、以下を意味する:(i)例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅された;(ii)クローニングによって組換え的に生成された;(iii)切断およびゲル分離によって精製された;または(iv)例えば、化学合成によって合成された。単離された核酸は、当該分野において周知の組換えDNA技術によって容易に操作され得る核酸である。従って、ベクター中に含まれるヌクレオチド配列であって、5’および3’の制限部位が公知であるか、またはそれについてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列が開示されているヌクレオチド配列は単離体と考えられるが、その天然の宿主中にその天然の状態で存在する核酸配列は単離体と考えない。単離された核酸は、実質的に精製され得るが、必要はない。例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター内で単離された核酸は、それが存在する細胞中の物質を極めて少ないパーセンテージ含み得る点で純粋でない。しかし、用語が本明細書中で使用されるように、このような核酸は単離される。なぜならば、核酸は、当業者に公知の標準的な技術によって容易に操作可能であるからである。
【0045】
本明細書中で使用される場合、コード配列および調節配列は、調節配列の影響下または制御下にコード配列の発現または転写を置くような方法で、これらが共有結合される場合、「作動可能に連結した」といわれる。コード配列が、機能的タンパク質に翻訳されるために、コード配列は、調節配列に作動可能に連結される。5’調節配列中のプロモーターの導入が、コード配列の転写を生じる場合、および2つのDNA配列間の結合の性質が(1)フレームシフト変異の導入も生じず、(2)コード配列の転写を指向するプロモーター領域の能力にも干渉せず(3)タンパク質に翻訳される対応するRNA転写物の能力に干渉しない場合、2つのDNA配列は、作動可能に連結されるといわれる。従って、プロモーター領域がDNA配列の転写をもたらし得る場合、プロモーター領域はコード配列に作動可能に連結され、その結果、生じた転写物は、所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得る。
【0046】
遺伝子発現のために必要とされる調節配列の好ましい性質は、種または細胞型の間で変化し得るが、一般に、必要に応じて転写および翻訳の開始にそれぞれ関連する5’非転写配列および5’非翻訳配列(例えば、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配列など)を含む。特に、このような5’非転写調節配列は、作動可能に連結した遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。プロモーターは、構成的または誘導可能であり得る。調節配列はまた、所望される場合、エンハンサー配列または上流アクチベーター配列を含み得る。
【0047】
本明細書中で使用される場合「ベクター」は、異なる遺伝的環境間の輸送のため、または宿主細胞における発現のために制限消化(restriction)およびライゲーションによって、その中に所望の配列が挿入され得る、任意の多数の核酸であり得る。ベクターは、代表的にDNAから構成されるが、RNAベクターもまた利用可能である。ベクターとしては、プラスミドおよびファージミドが挙げられるが、これらに限定されない。クローニングベクターは、宿主細胞中で複製し得、そして1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位(ベクターが決定可能な様式で切断され、そしてその中に所望のDNA配列がライゲーションされ得る)によって、さらに特徴づけられ得るベクターであり、その結果、新しい組換えベクターは、宿主細胞中でその複製能力を保持する。プラスミドの場合において、所望の配列の複製は、プラスミドが宿主細菌内でコピー数を増加するように何度も生じるか、または宿主が有糸***により複製されるように宿主当たり1回のみ生じる。ファージの場合、複製は、溶解期の間に活発に生じるか、または溶原期の間に受動的に生じ得る。発現ベクターは、その中に所望のDNA配列が、制限消化およびライゲーションによって挿入され得るベクターであり、その結果、その所望の配列は調節配列に作動可能に連結され、そしてRNA転写物として発現され得る。ベクターは、ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞またはされていない細胞の同定における使用に適した1つ以上のマーカー配列をさらに含み得る。マーカーとしては、例えば、抗生物質または他の化合物に対する耐性または感受性のいずれかを増加または減少するタンパク質をコードする遺伝子、その活性が当該分野において公知の標準的なアッセイ(例えば、β−ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)によって検出可能である酵素をコードする遺伝子、および形質転換またはトランスフェクトされた細胞、宿主、コロニーまたはプラークの表現型に明らかに影響する遺伝子が挙げられる。好ましいベクターは、ベクターが作動可能に連結するDNAセグメント中に存在する構造遺伝子産物を自立増殖および発現し得るベクターである。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントな条件」は、当業者に公知のパラメーターをいう。ストリンジェントな条件の1つの例は、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02%Ficoll、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン(BSA)、25mM NaHPO(pH7)、0.5%SDS、2mM EDTA)中で65℃でのハイブリダイゼーションである。SSCは、0.15M 塩化ナトリウム/0.15M クエン酸ナトリウム(pH7)であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり;そしてEDTAは、エチレンジアミン四酢酸である。使用され得、同程度のストリンジェンシーを生じる他の条件、試薬などがある。当業者はこのような条件に精通しており、故にこれらは本明細書中で提供されない。当業者はまた、適切な核酸の単離の前に慣用的に単離されるような分子の発現について細胞をスクリーニングするための方法論に精通している。従って、本発明の改変FGFダイマーのホモログおよび対立遺伝子、ならびに同じものをコードする核酸は、慣用的に入手され得、そして本発明は、開示される特定の配列に制限されることを意図されない。
【0049】
原核生物系について、宿主に適合し得る種由来の複製部位および制御配列を含むプラスミドベクターが、使用され得る。適切なプラスミドベクターの例としては、pBR322、pUC18、pUC19などが挙げられ;適切なファージベクターまたはバクテリオファージベクターとしては、λgt10、λgt11などが挙げられ;そして適切なウイルスベクターとしては、pMAM−neo、pKRCなどが挙げられる。好ましくは、本発明の選択されたベクターは、選択された宿主細胞中で自律増殖する能力を有する。有用な原核生物の宿主としては、E.coli、Flavobacterium heparinum、Bacillus、Streptomyces、Pseudomonas、Salmonella、Serratiaなどのような細菌が挙げられる。
【0050】
原核生物細胞中で本発明の改変FGFダイマーを発現するために、モノマーの核酸配列およびリンカーを機能的原核生物プロモーターに作動可能に連結する必要がある。このようなプロモーターは、構成的であるか、またはより好ましくは調節可能(すなわち、誘導可能もしくは抑制解除可能)のいずれかであり得る。構成プロモーターの例としては、バクテリオファージλのintプロモーター、pBR322のβ−ラクタマーゼ遺伝子配列のblaプロモーター、およびpPR325のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子配列のCATプロモーターなどが挙げられる。誘導可能な原核生物プロモーターの例としては、バクテリオファージλの主要右プロモーターおよび主要左プロモーター(PおよびP)、E.coliのtrp、recA、lacZ、lacI、およびgalプロモーター、B.subtilisのα−アミラーゼ(Ulmanenら、J.Bacteriol.162:176〜182(1985))、およびζ−28−特異的プロモーター(Gilmanら、Gene sequence 32:11〜20(1984))、Bacillusのバクテリオファージのプロモーター(Gryczan:The Molecular Biology of the Bacilli,Academic Press,Inc.,NY(1982))、ならびにStreptomycesプロモーター(Wardら、Mol.Gen.Genet.203:468〜478(1986))が挙げられる。
【0051】
原核生物プロモーターは、Glick(J.Ind.Microbiol.1:277〜282(1987));Cenatiempo(Biochimie 68:505〜516(1986));およびGottesman(Ann.Rev.Genet.18:415〜442(1984))によって総説される。
【0052】
原核生物細胞における適切な発現はまた、コード配列の上流のリボソーム結合部位の存在を必要とする。このようなリボソーム結合部位は、例えばGoldら(Ann.Rev.Microbiol.35:365〜404(1981))によって開示される。
【0053】
原核生物細胞は、正常な真核生物のグリコシル化と共に本発明の改変FGFダイマーを生成しないので、グリコシル化が所望される場合、真核生物宿主による本発明の改変FGFダイマーの発現が可能である。好ましい真核生物宿主としては、例えば、酵母、真菌、昆虫細胞、哺乳動物細胞、インビボ培養物または組織培養物のいずれかが挙げられる。宿主として有用であり得る哺乳動物細胞としては、HeLa細胞、線維芽細胞起源の細胞(例えば、VEROもしくはCHO−K1)またはリンパ起源の細胞(例えば、ハイブリドーマSP2/0−AG14もしくは骨髄腫P3×63Ag8)およびこれらの誘導体が挙げられる。好ましい哺乳動物宿主細胞としては、SP2/0およびJ558L、ならびに神経芽細胞腫株(例えば、正確な翻訳後プロセシングについてより良好な能力を提供し得るIMR332)が挙げられる。移植可能な器官の胚細胞および成熟細胞もまた、本発明のいくつかの局面に従って有用である。
【0054】
さらに、植物細胞はまた、宿主として利用可能であり、そして植物細胞に適合し得る制御配列(例えば、ノパリンシンターゼプロモーターおよびポリアデニル化シグナル配列)が利用可能である。
【0055】
別の好ましい宿主は、昆虫細胞(例えば、Drosophilaの幼虫)である。昆虫細胞を宿主として用いる場合、Drosophilaアルコールデヒドロゲナーゼプロモーターが使用され得る(Rubin,Science 240:1453〜1459(1988))。あるいは、バキュロウイルスベクターが、昆虫細胞中で本発明の改変FGFダイマーを大量に発現するために操作され得る(Jasny,Science 238:1653(1987);Millerら:Genetic Engineering(1986)、Setlow,J.K.ら(編),Plenum,Vol.8,pp.277〜297)。
【0056】
酵母がグルコースリッチな培地中で増殖される場合、解糖酵素をコードする遺伝子由来のプロモーターエレメントおよび終末エレメントを組み込み、かつ大量に生成される任意の一連の酵母遺伝子配列発現系がまた、利用され得る。公知の解糖遺伝子配列もまた、非常に効率的な転写制御シグナルを提供し得る。酵母はまた、翻訳後ペプチド改変を実行し得るという実質的な利点を提供する。強力なプロモーター配列、および酵母中で所望のタンパク質を生成するために利用され得る多くのコピー数のプラスミドを利用する、多数の組換えDNAストラテジーが存在する。酵母は、クローン化哺乳動物遺伝子配列産物上のリーダー配列を認識し、そしてリーダー配列を保有するペプチド(すなわち、プレペプチド(pre−peptide))を分泌する。
【0057】
広範な種々の転写調節配列および翻訳調節配列が、宿主の性質に依存して用いられ得る。転写調節シグナルおよび翻訳調節シグナルは、ウイルス供給源(例えば、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、シミアンウイルスなど)に由来し得、ここで、調節シグナルは、高レベルの発現を有する特定の遺伝子配列と関連する。あるいは、哺乳動物発現産物(例えば、アクチン、コラーゲン、ミオシンなど)由来のプロモーターが用いられ得る。転写開始調節シグナルは、抑制または活性化を可能にするように選択され得、その結果、遺伝子配列の発現が調節され得る。温度を変化させることによって、発現が抑制または開始され得る温度感受性調節シグナル、あるいは化学的(例えば、代謝)調節に供される調節シグナルが、目的の調節シグナルである。
【0058】
上記で開示されるように、真核生物宿主中での本発明の改変FGFダイマーの発現は、真核生物調節領域の使用を必要とする。一般に、このような領域は、RNA合成の開始を指向するのに十分なプロモーター領域を含む。好ましい真核生物プロモーターとしては、例えば、マウスメタロチオネインI遺伝子配列のプロモーター(Hamerら、J.Mol.Appl.Gen.1:273〜288(1982));疱疹ウイルスのTKプロモーター(McKnight,Cell 31:355〜365(1982));SV40初期プロモーター(Benoistら、Nature(London)290:304〜310(1981));酵母gal4遺伝子配列プロモーター(Johnstonら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)79:6971〜6975(1982));Silverら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81:5951〜5955(1984))が挙げられる。
【0059】
広く知られているように、真核生物mRNAの転写は、最初のメチオニンをコードするコドンで開始される。この理由のために、真核生物プロモーターと本発明の改変FGFダイマーをコードするDNA配列との間の連結が、メチオニンをコードし得るいかなる介入コドン(すなわち、AUG)も含まないことを保証することが好ましい。このようなコドンの存在は、融合タンパク質の形成(AUGコドンが、改変FGFダイマーコード配列と同じリーディングフレーム中にある場合)を生じるか、またはフレームシフト変異(AUGコドンが、改変FGFダイマーコード配列と同じリーディングフレーム中にない場合)を生じる。
【0060】
1つの実施形態において、所望の遺伝子配列を宿主細胞染色体に組み込み得るベクターが用いられる。導入されたDNAをその染色体中に安定に組み込んでいる細胞は、発現ベクターを含む宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導入することによってまた、選択され得る。例えば、このマーカーは、栄養要求性宿主に原栄養性を提供し得るか、または殺生物剤耐性(例えば、抗生物質、重金属などに対して)を供し得る。選択マーカー遺伝子配列は、発現されるDNA遺伝子配列に直接連結され得るか、または同時トランスフェクトによって同じ細胞中に導入され得る。さらなるエレメントがまた、FGF mRNAの最適な合成のために必要とされ得る。これらのエレメントは、スプライスシグナル、ならびに転写プロモーター、エンハンサーおよび終末シグナルを含み得る。このようなエレメントを組み込むcDNA発現ベクターとしては、Okayama,Molec.Cell.Biol.3:280(1983)に記載されるものが挙げられる。
【0061】
好ましい実施形態において、導入された配列は、レシピエント宿主中で自律複製し得るプラスミドベクターまたはウイルスベクター中に組み込まれる。任意の広範な種々のベクターが、この目的のために用いられ得る。特定のプラスミドベクターまたはウイルスベクターの選択において重要な因子としては、以下が挙げられる:ベクターを含むレシピエント細胞が、ベクターを含まないレシピエント細胞から容易に認識および選択され得ること、特定の宿主において所望されるベクターのコピー数、ならびに異なる種の宿主細胞間でベクターを「往復」させ得ることが所望されるか否か。好ましい原核生物ベクターとしては、E.coli中で複製し得るようなプラスミド(例えば、pBR322、ColE1、pSC101、pACYC184、およびπVX)が挙げられる。このようなプラスミドは、例えば、Samblookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Sambrook,Fritsch&Maniatis(編),Cold Spring Harbor laboratory,1989)によって開示される。Bacillusプラスミドとしては、pC194、pC221、pT127などが挙げられる。このようなプラスミドは、Gryczan(The Molecular Biology of the Bacilli,Academic Press,NY(1982),pp.307〜329)によって開示される。適切なStreptomycesプラスミドとしては、pIJ101(Kendallら、J.Bacteriol.169:4177〜4183(1987))、およびΦC31のようなstreptomycesバクテリオファージ(Chaterら、Sixth International Symposium on Actinomycetales Biology,Akademiai Kaido,Budapest,Hungary(1986),pp.45〜54)が挙げられる。Pseudomonasプラスミドは、Johnら(Rev.Infect.Dis.8:693〜704(1986))、およびIzaki(Jpn.J.Bacteriol.33:729〜742(1978))によって総説される。
【0062】
好ましい真核生物プラスミドとしては、例えば、BPV、EBV、SV40、2−ミクロンサークルなど、またはそれらの誘導体が挙げられる。このようなプラスミドは、当該分野で周知である(Botsteinら、Miami Wntr.Symp.19:265〜274(1982);Broach,The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces:Life Cycle and Inheritance,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,p.445−470(1981);Broach,Cell 28:203−204(1982);Bollonら、J.Clin.Hematol.Oncol.10:39−48(1980);Maniatis,Cell Biology:A Comprehensive Treatise,Vol.3,Gene Sequence Expression,Academic Press,NY,pp.563−608(1980))。他の好ましい真核生物ベクターは、ウイルスベクターである。例えば、ポックスウイスル、ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよび様々なレトロウイスルを使用し得るが、これらに限定されない。これらのウイルスベクターとしては、インサートDNAまたはインサートRNAの発現を引き起こすための、DNAウイスルかまたはRNAウイスルのいずれかが挙げられ得る。さらに、改変されたFGFダイマーポリペプチドをコードするDNAまたはRNAは、直接細胞に注射され得るか、または、微粒子に接着された後に、細胞膜を通って推進され得る。
【0063】
一旦、構築物を含むベクターまたはDNA配列が発現のために調製されると、このDNA構築物は、任意の種々の適切な手段(すなわち、形質転換、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈降、直接マイクロインジェクションなど)によって、適切な宿主細胞に導入され得る。ベクターの導入後、レシピエント細胞は、選択培地(ベクター含有細胞の増殖について選択する)中で増殖される。クローニングされた遺伝子配列の発現は、改変されたFGFダイマーの産生を生じる。これは、このような形質転換された細胞において、または分化へのこれらの細胞の誘導(例えば、ブロモデオキシウラシルの神経芽細胞種細胞などへの投与による)後に起こり得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、改変されたFGFダイマーは、短縮化FGFモノマーから構成される。例えば、1つ以上のアミノ酸は、タンパク質の折り畳みまたはこのタンパク質の活性を変更することなく、タンパク質のN末端から除去され得る。操作され得るFGFモノマー内の特異的な部位および領域の詳細な分析は、表1中に表される。表1中に表された情報に基づいて、ダイマーのFGFを生成するために使用されるモノマーの変異体を構築することが可能である。変異体は、生物学的活性、安定化などを変更し得る。
【0065】
【表1】
Figure 2005503120
Figure 2005503120
例えば、N102R、L98Eなどの変異体を使用して、非共有結合性相互作用を介するダイマー化を促進することが可能である。これらの変異体は、隣接するタンパク質間のイオン性相互作用によって安定化した非共有結合性ダイマーを形成するように設計される。変異される残基は、ダイマーの安定化のために、「ダイマー化界面(dimerizatino interface)」に位置付けられる。さらに、ダイマー化は、共有結合性のジスルフィド結合(例えば、R81C/S100C/C87S/C69S)、または(酸化状態下で)ジスルフィド結合によって安定化された共有結合性ダイマーを形成するように設計されたcys変異体を使用することで、促進され得る。これらの型のFGF改変の両方は、以下に記載される化学結合の定義内である。
【0066】
作製され得る他の変異は、以下を生じる:還元型ヘパリン結合(例えば、これらの変異体は、ヘパリン結合部位で変異を有し、その結果、変異された残基(例えば、K−−>A)は、ヘパリンと相互作用しない);還元型レセプター結合(例えば、これらの変異体は、FGFのレセプター結合部位で変異を有し、その結果、変異された残基は、FGFRと相互作用しない)。いくつかの局面において、ダイマー化を防止するため(例えば、コントロールまたは競合物について)に、または、FGF活性を防止するために、FGFモノマーを改変することもまた所望され得る。ダイマー化(非共有結合性)は、例えば、2つのタンパク質間の干渉をブロックするために、変異残基を導入することによってダイマー化を破壊するように設計されたY124Rを用いて阻害され得る。
【0067】
本明細書中の記述において、配列番号7中に開示された9N末端残基の欠失を有するネイティブFGF2のアミノ酸残基および残基位置に対して参照がなされる。特に、残基および残基位置は、FGFの特定の残基または残基位置に「対応する」といわれる。当業者に明らかなように、これらの位置は、相対的であり、従って、1つ以上の残基の挿入または欠失は、下流の残基の番号付けを変更する効果を有する。特に、N末端の挿入または欠失は、全ての後ろの残基の番号付けを変更する。従って、本明細書中で使用される場合、組換え改変FGF2ダイマー中の残基は、標準的配列比較プログラムを使用して整列される場合、全長FGF2の残基に「対応する」といわれる。多くのこのような配列アライメントプログラムが、現在は、当業者に利用可能であり、そして、配列比較におけるこれらのプログラムの使用が標準的になっている。本明細書中で使用する場合、対応するネイティブFGF残基によって、組換え改変FGFダイマーの残基の位置に言及するこの慣習は、N末端の挿入または欠失を含む実施形態だけでなく、内部の挿入または欠失にも及ぶべきである。
【0068】
さらに、本明細書中の記述において、組換えFGFまたはFGFダイマー中の1つのアミノ酸の別のアミノ酸への特定の置換は、「保存的置換」といわれる。本明細書中で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」または「保存的置換」は、置換されたアミノ酸残基が、置きかえられるアミノ酸残基と類似の荷電を有し、そして、置きかえられる残基と類似かまたはより小さいサイズを有するアミノ酸置換をいう。アミノ酸の保存的置換としては、以下の群内のアミノ酸の間でなされる置換が挙げられる:(a)低分子非極性アミノ酸A、M、I、LおよびV;(b)低分子極性アミノ酸G、S、TおよびC;(c)アミドアミノ酸QおよびN;(d)芳香族アミノ酸F、YおよびW;(e)塩基性アミノ酸K、RおよびH;ならびに(f)酸性アミノ酸EおよびD。電荷が中性で、より小さい残基である残基を置きかえる置換はまた、この残基が異なる群である場合(例えば、より小さいイソロイシンを用いたフェニルアラニンの置換)でさえ、「保存的置換」と見なされる。用語「保存的アミノ酸置換」はまた、アミノ酸アナログまたは改変体の使用もいう。
【0069】
アミノ酸の置換、付加または欠失を作製するための方法は、当該分野で周知であり、そして、以下の実施例中に詳細に記載される。用語「保存的置換」、「非保存的置換」、「非極性アミノ酸」、「極性アミノ酸」および「酸性アミノ酸」は、先行技術の用語を用いて、全て一貫して使用される。これらの用語のそれぞれは、当該分野で周知であり、そして、標準的な生化学の教科書(例えば、Geoffrey Zubay,Addison−Wesley Publishing Co.,1986版による「Biochemistry」)を含む多数の出版物中に広範に記載されており、この出版物は、保存的置換および非保存的置換、ならびに極性、非極性または酸性としてのそれらの定義を導くアミノ酸の特性を記載する。
【0070】
置換を行うことに先立って置換の正確な効果を予測することが困難な場合でさえ、当業者は、この効果が、慣用的なスクリーニングアッセイ、好ましくは本明細書中に記載の生物学的アッセイによって評価され得るということを理解する。ペプチド特性(温度安定性、疎水性、タンパク質分解に対する感受性、またはレセプターとの相互作用の能力を含む)の改変は、当業者に周知の方法によってアッセイされる。タンパク質化学および構造のさらなる詳細な記載について、Schulz,G.Eら、Principles of Protein Structure,Springer−Verlag,New York,1979,およびCreighton,T.E.,Proteins:Structure and Molecular Principles,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,1984を参照のこと。
【0071】
さらに、アミノ酸置換のいくつかは、非保存的置換である。置換が活性部位または結合部位から遠い特定の実施形態において、非保存的置換は、この置換がネイティブFGFの三次構造特性を保存する限り、許容され、これによって、活性部位および結合部位は保存される。非保存的置換(例えば、上記の群(または上記に示さない2つの他のアミノ酸群)内ではなく群間での)は、(a)置換領域におけるペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルク、の維持に対して、それらの効果がより顕著に異なる。
【0072】
本発明のタンパク質はまた、20種の標準的アミノ酸に加えて、天然に存在しないアミノ酸残基を含有し得る。天然に存在しないアミノ酸としては、トランス−3−メチルプロリン、2,4−メタノプロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、N−メチル−グリシン、アロ−スレオニン、メチルスレオニン、ヒドロキシエチル−システイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニル−アラニン、4−フルオロフェニルアラニン、4−ヒドロキシプロリン、6−N−メチルリジン、2−アミノイソ酪酸、イソバリンおよびα−メチルセリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質に組込むための種々の方法が、当該分野で公知である。例えば、ナンセンス変異が、化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを使用して抑制されるインビトロ系が、使用され得る。アミノ酸の合成方法およびrRNAをアミノアシル化する方法が、当該分野で公知である。ナンセンス変異を含むプラスミドの転写および翻訳は、E.coli S30抽出物ならびに市販される酵素および他の試薬を含む無細胞系で実施される。タンパク質は、クロマトグラフィーによって精製される。例えば、Robertsonら、J.Am.Chem.Soc.113:2722,1991;Ellmanら、Meth.Enzymol.202:301,1991;Chungら、Science 259:806−09,1993;およびChungら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10145−49,1993を参照のこと。第2の方法において、翻訳は、変異mRNAおよび化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションによって、Xenopus卵母細胞中で実行される(Turcattiら、J.Biol.Chem.271:19991−98,1996)。第3の方法において、E.coli細胞は、置換される中性アミノ酸(例えば、フェニルアラニン)の非存在下で、かつ、所望の天然に存在しないアミノ酸(例えば、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、または4−フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養される。天然に存在しないアミノ酸は、その天然の対応物の代わりにタンパク質中に組込まれる。例えば、Koideら、Biochem.33:7470−76,1994を参照のこと。天然に存在するアミノ酸残基は、インビトロの化学的改変によって、天然に存在しない種に転換され得る。化学的改変は、部位特異的突然変異と組合せて、置換の範囲をさらに拡大し得る(WynnおよびRichards,Protein Sci.2:395−403,1993)。
【0074】
さらに、リンカー配列およびN/C末端タグは、所定の目的のために、他の配列(例えば、インテグリン結合配列、プロテアーゼ部位(例えば、切断を操作するためのリンカー中の)、エピトープなど)を用いて置換され得る。
【0075】
FGFダイマーを生成する際に使用されるFGF DNAは、天然でも、組換えでも、合成でもよい。従って、DNA出発物質は、組織または組織培養物から単離されるか、従来の方法を使用してオリゴヌクレオチドから構築されるか、商業的に得られるか、または、線維芽細胞からFGFをコードするRNAを単離すること、および、対応する二本鎖DNAを合成するために鋳型として使用される一本鎖cDNAを合成するためにこのRNAを使用することによって調製される。
【0076】
用語「化学結合」は、本明細書中で使用される場合、2つのモノマー間の直接的な結合をいう。この直接的な結合は、共有結合であっても、非共有結合であってもよい。いくつかの好ましい実施形態において、化学結合は、共有結合性のジスルフィド結合であり、この結合は、モノマーに組込まれている2つのシステイン残基の間の相互作用から生じる。ジスルフィド結合を生成し得る、モノマー中に組込まれたシステインを有するモノマーの例としては、配列番号2〜4に記載の配列を有するモノマーが挙げられる。化学結合を有するこれらの型のFGFダイマーを生成するための方法は、実施例の項中に記載される。
【0077】
本発明の改変されたFGFダイマーに加えて、本発明のいくつかの実施形態および局面は、天然に存在するFGFダイマーを利用する。好ましくは、天然に存在するFGFダイマーは安定化される。安定化剤としては、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン、ヘパリンフラグメント、へパラン硫酸およびデルマタン硫酸)、またはグルカン硫酸(例えば、デキストラン硫酸、Tri3オリゴサッカリド、およびシクロデキストリン硫酸)が挙げられるが、これらに限定されない。この型の安定化FGFモノマーは、例えば、EP251 806、EP267 015、EP312 208、EP345 660、EP406 856、EP408 146、WO89−12464、WO90−01941およびWO90−03797中に記載される。
【0078】
FGFの「天然の」ダイマー化を増強するHLGAGは、一般に、2−O硫酸化およびN−硫酸化を有する、8〜10のモノサッカリド単位長のオリゴサッカリドである。HLGAGはまた、ヘパリンまたはそのフラグメントから取得され得る。Tri3は、これが短く(3サッカリド長)かつ、硫酸化されているという両方の点で、ダイマー化を促進する独特のHLGAGである。このことは、Science 268:432中でOrnitzらによって以前に記載されている。
【0079】
本発明のFGFダイマーは、重要な治療的有用性および診断的有用性を有する。例えば、FGFダイマーは、血管形成、細胞増殖、および/または細胞生存を促進し得、従って、組織修復(例えば、創傷、やけど、骨折、外科的擦過傷、胃腸性潰瘍などの治癒)、ならびに虚血組織の新生血管形成を介した虚血および心筋梗塞の間の組織修復において適用される。FGF2はまた、長期初代骨髄培養物中の特定の造血系統を維持する際、および造血前駆細胞の生存および可能な分化のために、有効である。
【0080】
本発明のFGFダイマーは、ネイティブFGFと同じ任意の目的のために使用され得る。例えば、FGFダイマーは、新脈管形成を促進するために使用され得る。本発明は、種々のインビトロ法、インビボ法およびエキソビボ法において有用である。
【0081】
FGFダイマーは、例えば、新脈管形成を促進する方法において使用され得る。この方法において、新脈管形成を促進するのに有効な量FGFダイマーが、この処置を必要とする被験体に投与される。本明細書中で使用される場合、新脈管形成は、刺激に応答した、組織中での新しい血管の形成である。新脈管形成を促進するための方法は、何らかの理由(例えば、組織の適切な血流を欠乏させる冠状動脈疾患または末梢動脈疾患の結果)で、血液灌流が欠乏する虚血組織の処置において、特に有用である。新生血管形成または新脈管形成は、新しい動脈の増殖および発達である。これは、脈管系の正常な発達(損傷修復を含む)にとって重要である。
【0082】
新脈管形成が所望される障害としては、例えば、以下が挙げられる:胃腸管の様々な潰瘍疾患(例えば、限局性回腸炎、潰瘍性大腸および消化性潰瘍(十二指腸または胃));組織損傷(例えば、やけど、創傷、術後組織、血栓症、動脈硬化);筋−骨格状態(例えば、骨折、靱帯および腱の修復、腱炎および滑液包炎);皮膚状態(例えば、小さなやけど、切り傷、裂傷、とこずれ);緩慢な治癒および慢性潰瘍(例えば、糖尿病で見られる緩慢な治癒および慢性潰瘍);ならびに、虚血および心筋梗塞の間の組織修復において。
【0083】
従って、本発明の方法は、大脳虚血の処置について有用である。大脳虚血は、一過的な欠損かまたは永続的な欠損かのいずれかを生じ得、そして、大脳虚血を経験した患者における神経学的損傷の重篤度は、虚血事象の強度および持続期間に依存する。一過的な虚血発作は、脳への血流がほんの一瞬だけ妨害され、そして、一時的な神経欠損を生じるものであり、これは、しばしば、24時間未満で消える。TIAの症状としては、顔もしくは肢のしびれまたは衰弱、明確に話す能力および/または他人の演説を理解する能力の欠如、視力の喪失もしくは視力の不明瞭さ、および眩暈の感覚が挙げられる。永続的な大脳虚血発作(attack)(発作(stroke)とも呼ばれる)は、脳への血流のより長い妨害によって引き起こされ、これは、いずれかの血栓塞栓症から生じる。発作は、ニューロンの欠損を生じ、代表的には、改善され得るが完全に回復しない神経学的欠損を生じる。血栓塞栓的発作は、血栓または塞栓による頭蓋外または頭蓋内の血管の閉塞に起因する。発作が、血栓または塞栓のどちらかによって引き起こされるかを区別することはしばしば困難であるので、用語「血栓塞栓症」は、これらの機構のいずれかによって引き起こされる発作をカバーするように使用される。
【0084】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、FGFダイマーを使用する、急性血栓塞栓発作の処置に関する。急性発作は、神経学的損傷を含む医学的症候群であり、これは、脳への血液供給の妨害である虚血性事象から生じる。
【0085】
発作の処置のための単独または別の治療剤と組合わせたFGFダイマーの有効な量は、発作から生じるインビボでの脳損傷を減少させるために十分な量である。脳損傷の減少は、そうしなければ本発明の処置なしで血栓塞栓性発作を被る被験体において生じる脳損傷のすべての予防である。いくつかの生理学的パラメータは、脳損傷の減少を評価するために使用され得、脳損傷の減少としては、例えば、前処置した患者のパラメータ、未処置発作患者または血栓崩壊剤単独で処置した発作患者と比較して、より小さな梗塞サイズ、改善された局所脳血流、および減少した頭蓋内圧が挙げられる。
【0086】
FGFダイマーは、発作を処置するために単独でかまたは治療剤と組合わせて使用され得る。発作の処置において有用な治療剤の例としては、抗凝固剤、抗血小板物質、および血栓崩壊剤が挙げられる。
【0087】
抗凝固剤は、血液成分の凝固を防ぎ、従って血餅形成を防ぐ。抗凝固剤としては、ヘパリン、ワルファリン、クマジン(coumadin)、ジクマロール、フェンプロクーモン、アセノクマロール、ビスクマ酢酸エチル、およびインダジオンの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
抗血小板物質は、血小板凝集を阻害し、そして一過性の虚血性発作または発作を経験した患者において血栓塞栓性発作を防止するために頻繁に使用される。抗血小板物質としては、アスピリン、チエノピリジン誘導体(例えば、チクロポジン(ticlopodine)およびクロピドグレル(clopidogrel))、ジピリダモールおよびスルフィンピラゾン、ならびにRGD模倣物そしてまた抗トロンビン剤(例えば、ヒルジン(これに限定されない))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
血栓崩壊剤は、血栓塞栓性発作を引き起こす血餅を溶解する。急性静脈性血栓塞栓症および肺塞栓の処置に使用されている血栓崩壊剤は、当該分野において周知である(例えば、Hennekensら、J Am Coll Cardiol;v.25(7supp),p.18S〜22S(1995);Holmesら、J Am Coll Cardiol;v.25(7suppl),p.10S〜17S(1995)を参照のこと)。血栓崩壊剤としては、プラスミノゲン、a2−抗プラスミン、ストレプトキナーゼ、抗ストレプラーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)、およびウロキナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中において使用される場合、「tPA」は、ネイティブなtPAおよび組換えtPA、ならびにネイティブなtPAの酵素活性またはフィブリン溶解性活性を保持する改変された形態のtPAを含む。tPAの酵素活性は、その分子がプラスミノゲンをプラスミンに変換する能力を評価することによって測定され得る。tPAのフィブリン溶解性活性は、Carlsonら、Anal.Biochem.168,428〜435(1988)によって記載される精製血餅溶解アッセイおよびその改変された形態のような、当該分野において公知の任意のインビトロ血餅溶解活性によって決定され得る。
【0090】
FGFダイマーはまた、神経変性疾患を処置および予防するために、そして神経再生および脊髄修復を促進するために有用である。FGFは、直接的にかまたは隣接細胞に作用することによって間接的にかのいずれかで、ドーパミン作動性神経の生存および代謝の調節に関わる(Dal Tosoら、J.Neurosci.,8(3):733〜745(1988))。パーキンソン病を特徴付ける黒質ドーパミン作動性ニューロンの変性は、通常、線条への生来のドーパミン供給の低下を増大させるための薬理学的介入を用いて処置される。胚性黒質組織を使用するニューロン移植片はまた、げっ歯類および霊長類において実験的に誘導された振せん麻痺ならびにいくらかのヒト振せん麻痺患者の軽減についてのいくらかの潜在能力を示してきた。FGFダイマーは、神経細胞を処置するために使用されて、患者中にドーパミン作動性細胞を移植する前に、分化中のドーパミン作動性細胞または分化したドーパミン作動性細胞を産生し得る。用語「ドーパミン作動性神経組織」とは、成熟状態において、有意な数のドーパミン作動性細胞体を含むことが公知であるCNSの領域由来の組織をいう。
【0091】
初代培養物に由来するかまたは神経幹細胞の増殖した前駆体(precursor)の子孫に由来する、分化したドーパミン作動性細胞の精製された集団は、レシピエントの脳のドーパミン欠損領域中に移植され得る。あるいは、ドーパミン作動性細胞の形成を誘導する培養培地中で培養された細胞は、分化プロセスの完了前に脳中へ移植され得る。移植に続いて、ドーパミン作動性細胞の分化は、インビボで完了され得る。細胞を精製するための任意の適切な方法が使用され得るか、または細胞は、他の神経細胞と一緒に移植され得る。ドーパミン作動性細胞またはドーパミンン欠損の領域近傍の前駆細胞の移植についての任意の適切な方法が、使用され得る。CNSへの細胞(例えば、線維芽細胞)懸濁液の注入についてのGageらへの米国特許第5,082,670号に教示される方法は、FGFダイマーを用いて調製された分化したドーパミン作動性細胞の注入のために使用され得る。さらなるアプローチおよび方法は、Neural Grafting in the Mammalian CNS,BjorklundおよびStenevi編、(1987)において見出され得る。異種移植片および/または同種移植片は、移植細胞の生存を増強するための免疫抑制技術の適用または宿主寛容の誘導を必要とし得る。
【0092】
FGFダイマーは、心筋梗塞、うっ血性心不全、肥大型心筋症および拡張型心筋症に関連した障害の処置において使用され得る。本発明のFGFダイマーはまた、心臓発作に続く梗塞のサイズを制限するため、血管形成術後または動脈血管内膜切除術後の新脈管形成および創傷治癒を促進するため、冠状副行循環を発達させるため、眼における脈管再生のため、糖尿病性足潰瘍のような乏しい循環に関連した合併症について、薬理学的方法を用いる冠状再灌流後の、発作(上記されるような)のため、および新脈管形成が有利である他の適応のために有用であり得る。FGFダイマーは、心筋細胞新生および/もしくは過形成の誘導、冠状副行形成の誘導、または壊死性の心筋領域のリモデリングの誘導のいずれかによって、心臓機能を改善するために有用であり得る。
【0093】
さらに、骨形成におけるFGFについての役割は、最近、個々の場合において報告されている(例えば、Biomaterials 11,38〜40(1990))。鉱化した組織の増量が、組換えヒトFGFを充填(charge)され、そしてラットの筋肉中に移植された鉱物質除去した骨マトリクス(DBM)移植片において見出されたことが、Acta Orthop.Scand.60,(4)473〜476(1989)に報告されている。従って、FGFダイマーはまた、骨のリモデリングおよび修復における使用を見出す。骨リモデリングは、組織質量および骨格構造が維持される動的過程である。この過程は、主要な役割を果たすと考えられる2つの細胞型を含む、骨吸収と骨形成との間の平衡である。これらの細胞は、骨芽細胞および破骨細胞である。骨芽細胞は、基質を合成し、基質が新しい骨になるように沈着させる。
【0094】
FGFダイマーはまた、神経系疾患の処置について有用であり得る。神経系疾患は、中枢神経系または末梢神経系の疾患であり得る1つ以上の神経細胞に関わる疾患である。中枢神経系の疾患または障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:病態生理学的合併症(例えば、ヘルニア形成および脳水腫);先天異常および発生疾患(例えば、神経管欠損および脊髄空洞症および水脊髄症);周産期脳損傷(例えば、脳性小児麻痺);外傷(例えば、実質性損傷(振とう症など)、外傷性脈管損傷(例えば、血腫および外傷性クモ膜下出血および外傷性実質内血腫)、および脊髄損傷);脳血管疾患(例えば、低酸素症、虚血症および梗塞、非外傷性頭蓋内出血、血管先天異常、高血圧性脳血管疾患);感染(例えば、髄膜炎、慢性髄膜脳炎(例えば、結核性髄膜炎および慢性髄膜炎、神経梅毒、ライム病)、ウイルス性脳炎、海綿状脳障害、真菌感染);脱髄疾患(例えば、多発性硬化症および急性播種性脳脊髄炎);変性疾患(例えば、アルツハイマー病、ピック病、振せん麻痺、ハンティングトン病、フリートライヒ運動失調);代謝の遺伝疾患(CNSに影響する);毒性および後天性の代謝性疾患(例えば、ビタミン欠乏症);ならびに神経皮膚症候群(例えば、神経線維腫症(NF1、NF2)、結節硬化症およびフォン・ヒッペル−リンダウ疾患)。
【0095】
末梢神経系の疾患または障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:炎症性ニューロパシー(例えば、ギヤン−バレー症候群および慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー);感染性ニューロパシー(例えば、らい病、ジフテリア(diptheric)ニューロパシー、および水痘−帯状疱疹ウイルス(CNSにも影響し得る));遺伝性ニューロパシー(例えば、遺伝性運動および感覚ニューロパシーI(HMSN I)、HMSN II、HMSN III、遺伝性感覚および自立神経ニューロパシーI(HSAN I)、HSAN II、HSAN III、副腎脳白質ジストロフィー、家族性アミロイド多発ニューロパシー、ポルフィリン症、レフサム病);ならびに後天性代謝性および毒性ニューロパシー(例えば、代謝性要因および栄養性要因、毒性要因由来または外傷によって誘導される、成人発症糖尿病メリティス(mellitus)によって誘導する末梢ニューロパシー)。
【0096】
FGFダイマーはまた、FGFが、他に有用な任意の他の適応症についても有用である。この組成物が、ネイティブなFGFと同様な作用機構を有するが、より高い効力を有するので、これらの化合物は、ネイティブなFGFと同一の使用のいずれかについて有用である。これらは、上記の疾患およびFGFが有用な任意の他の適応症を含む。
【0097】
一般的には、治療目的のために投与された場合、本発明の処方物は、薬学的に受容可能な溶液で適用される。このような調製物は、慣用的に、薬学的に受容可能な濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合性のキャリヤ、アジュバント、および必要に応じて他の治療成分を含有し得る。
【0098】
いくつかの局面において、組成物は、被験体に送達するために処方される。組成物が、被験体に非毒性である材料中にある場合、この組成物は、被験体への送達のために処方される。例えば、SDS緩衝液中に処方される材料は、被験体への送達のために処方されない。ある実施形態において、FGFダイマーもまた、より効率的または持続的に放出する送達を促進する送達ビヒクル中に含まれる。これらのビヒクルは、以下により詳細に記載される。
【0099】
本発明の組成物は、それ自体で(ニート)または薬学的に受容可能な塩の形態において投与され得る。医療において使用される場合、この塩は、薬学的に受容可能であるべきだが、薬学的に受容可能でない塩は、その薬学的に受容可能な塩を調製するために都合よく使用され得、そして本発明の範囲から除外され得ない。このような薬理学的および薬学的に受容可能な塩としては、以下の酸から調製された塩が挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、薬学的に受容可能な塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、カルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩)として調製され得る。
【0100】
適切な緩衝剤としては、酢酸および塩(1〜2%W/V);クエン酸および塩(1〜3%W/V);ホウ酸および塩(0.5〜2.5%W/V);およびリン酸および塩(0.8〜2%W/V)が挙げられる。適切な防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%W/V);クロロブタノール(0.3〜0.9%W/V);パラベン(0.01〜0.25%W/V)およびチメロサール(0.004〜0.02%W/V)が挙げられる。
【0101】
本発明は、医療使用のための薬学的に受容可能な組成物を提供し、この組成物は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリヤおよび必要に応じて他の治療成分と一緒にFGFダイマーを含有する。ある実施形態において、薬学的組成物は、インビボでの送達用に処方される。送達の好ましい様式としては、持続性放出キャリヤの使用が挙げられる。用語「薬学的に受容可能なキャリヤ」とは、本明細書中において使用され、そして以下により完全に記載される場合、ヒトまたは他の動物に投与するために適切な1つ以上の適合性の固体または液体充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。本発明において、用語「キャリヤ」とは、適用を容易にさせるために活性成分が混合された、有機成分または無機成分、天然物または合成物を意味する。薬学的組成物の成分はまた、所望される薬学的有効性を実質的に損なう相互作用が存在しないような様式で、FGFダイマーと、そして互いに混合され得る。
【0102】
種々の投与経路が、利用可能である。選択される特定の様式は、当然、選択される特定のFGFダイマー、処置される特定の条件および治療的効力のために要求される投薬量に依存する。本発明の方法は、概して、医学的に受容可能な(臨床的に受容不可能な有害な効果を引き起こさない有効レベルのFGF活性を生じる任意の様式を意味する)任意の投与様式を用いて実施され得る。好ましい投与様式は、非経口経路である。用語「非経口」としては、皮下注射、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨下の注射または注入の技術が挙げられる。他の投与様式としては、経口、粘膜、直腸、膣、舌下、鼻腔内、気管内、吸入、眼、経皮などが挙げられる。
【0103】
経口投与について、化合物は、当該分野において周知の薬学的に受容可能なキャリヤと活性化合物を混合することにより容易に処方され得る。このようなキャリヤは、本発明の化合物を、処置されるべき被験体による経口摂取のために、錠剤、丸剤、糖剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして処方されることを可能にする。経口使用のための薬学的な調製物は、所望の場合、適切な補助剤を添加した後、得られた混合物を必要に応じて粉砕し、そして顆粒混合物を加工して、錠剤または糖剤コアを得て、固体賦形剤として得られ得る。適切な賦形剤は、特に、充填剤(filler)(例えば、糖類(ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールが挙げられる);セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、イネデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン(gelatin)、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、および/またはポリビニルピロリドン(PVP))である。所望の場合、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))が、添加され得る。必要に応じて、経口処方物はまた、内部酸状態を中和するための生理食塩水もしくは緩衝液中に処方され得るか、またはいずれのキャリヤもなしに投与され得る。
【0104】
糖剤コアは、適切な剤皮とともに提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が、使用され得、この糖溶液は、必要に応じて、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポル(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール、ならびに/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含み得る。染料または顔料は、種々の組み合わせの活性化合物用量の同定またはこの用量を特徴付けるために、錠剤または糖剤剤皮に添加され得る。
【0105】
経口的に使用され得る薬学的調製物としては、ゼラチン製のプッシュ−フィット(push−fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび柔軟剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)から作製された、ソフトで密封されたカプセルが挙げられる。プッシュ−フィットカプセルは、混合剤中に、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または滑沢剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)、ならびに必要に応じて安定剤と共に、活性成分を含み得る。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、または流動ポリエチレングリコール)中に溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与のために処方されるミクロスフェアもまた使用され得る。このようなミクロスフェアは、当該分野において十分に特徴付けられている。経口投与のための全ての処方物は、このような投与について適切な投薬量であるべきである。
【0106】
頬側投与について、組成物は、従来型の様式で処方された錠剤または舐剤の形態を取り得る。
【0107】
吸入による投与について、本発明に従う使用のための化合物は、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体)の使用とともに、加圧されたパックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレー状態の形態で都合良く送達され得る。加圧されたエアロゾルの場合において、投薬単位は、計算した量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。この化合物および例えば、ラクトースまたはデンプンベースの適切な粉末の粉末混合物を含む、吸入器または注入器に使用するためのゼラチンの、例えば、カプセルまたは薬包(cartridge)が、処方され得る。
【0108】
化合物は、その化合物が全身に送達されることが望ましい場合、注入による(例えば、ボーラス注入または連続注入)による非経口投与のために処方され得る。注入のための処方物は、添加保存剤を有する単位投薬形態で(例えば、アンプルでまたは複数用量の容器で)提供され得る。この組成物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁物、溶液またはエマルジョンのような形態をとり、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤のような処方剤を含み得る。
【0109】
非経口投与のための薬学的処方物は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注入懸濁物として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油)、もしくは合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)、またはリポソームが挙げられる。水性注入懸濁物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランのような、懸濁物の粘度を上げる物質を含み得る。必要に応じて、この懸濁物はまた、適切な安定化剤または化合物の溶解度を上げ、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする適切な薬剤を含む。
【0110】
あるいは、活性化合物は、使用前には、適切なビヒクル(例えば、滅菌された、発熱物質を含まない水)を用いる構成のための散剤形態であり得る。
【0111】
化合物は、座剤または停留浣腸(例えば、従来の座剤の基剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリド)を含む)のような直腸組成物または膣組成物中に処方され得る。
【0112】
前述の処方物に加えて、化合物はまた、蓄積組成物として処方され得る。このような長時間作用性処方物は、適切なポリマー性物質もしくは疎水性物質(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいはわずかに溶解性の誘導体として(例えば、わずかに溶解性の塩として)処方され得る。
【0113】
薬学的組成物はまた、適切な固相キャリアもしくはゲル相キャリアまたは賦形剤を含み得る。そのようなキャリアまたは賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
適切な液体または固体の薬学的調製物形態は、例えば、吸入のための水溶液または生理食塩水であり得るか、マイクロカプセル化され得るか、蝸牛殻化され(encochleated)得るか、微小金粒子上にコーティングされ得るか、リポソーム内に包含され得るか、噴霧され得るか、エアロゾルであり得るか、皮膚に移植するためのペレットであり得るか、または皮膚に引っかき入れられるように鋭い物体上に乾燥され得る。この薬学的組成物としては、顆粒剤、散剤、錠剤、コーティングされた錠剤、(マイクロ)カプセル剤、座剤、シロップ剤、エマルジョン、懸濁剤、クリーム、ドロップ剤または活性化合物の遅延放出を伴う調製物もまた挙げられ、これらの中で、調製物の賦形剤ならびに添加剤および/または補助剤(例えば、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、腫脹剤、潤滑剤、香料、甘味料または可溶化剤)は、上記のように習慣的に使用される。この薬学的組成物は、種々の薬物送達系における使用に適する。薬物送達に関する方法の短い概説については、Langer,Science 249:1527−1533,1990を参照のこと。
【0115】
この組成物は、単位投薬形態で都合よく供給され得、薬学の技術分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。全ての方法は、活性FGFダイマーを、1つ以上の副成分を構成するキャリアとの結合に導く工程を包含する。一般的に、これらの組成物は、ポリマーを、液体キャリア、細かく分割された固体キャリア、または両方との結合に、一様かつ完全に導くことによって調製され、次いで、必要な場合、産物を成形する。ポリマーを、凍結乾燥して保存し得る。
【0116】
他の送達系としては、徐放性(time−release)送達系、遅延放出送達系または徐放性(sustained release)送達系が挙げられる。そのような系は、本発明のFGFダイマーの繰り返し投与を回避し得、被験体および医師に対する利便性を増加する。多くの型の放出送達系が、利用可能であり、そして当業者に公知である。これら放出送達系としては、ポリマーベースの系(例えば、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリ無水物ならびにポリカプロラクトンである);非ポリマー系(これらは、コレステロール、コレステロールエステルのようなステロールならびにモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドのような脂肪酸または天然脂肪を含む脂質である);ヒドロゲル放出系;シラスチックの系;ペプチドベースの系;ワックスコーティング、従来の結合剤および賦形剤を使用した圧縮された錠剤、部分的に融合したインプラント(partially fused implant)などが挙げられる。特定の例としては:(a)米国特許第4,452,775号(Kent);同第4,667,014号(Nestorら);ならびに同第4,748,034号および同第5,239,660号(Leonard)に見出される、ポリサッカライドが、ある形態でマトリクス内に含まれる侵食系、そして(b)米国特許第3,832,253号(Higuchiら)および同第3,854,480号(Zaffaroni)に見出される、活性成分が、制御された速度でポリマーを通じて浸透する拡散系が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ポンプベースのハードウェア送達系が使用され得、このうちいくつかは移植に適合する。
【0117】
被験体は、任意のヒトまたは非ヒト脊椎動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット)である。
【0118】
本発明はまた、スクリーニングアッセイを含む。本発明の1つのスクリーニングアッセイは、FGFダイマー結合化合物を同定するために有用である。このアッセイは、化合物のライブラリーを本発明のFGFダイマーと接触させる工程、およびFGFダイマーを結合する化合物を同定して、FGFダイマー結合化合物を同定する工程を包含する。このアッセイは、必要に応じて、FGF結合化合物がFGFダイマーのFGFレセプターとの相互作用をブロックし得るか否かを決定することによって、FGF結合化合物がFGFインヒビターであるか否かを決定するさらなる工程を包含し得る。これらの型のアッセイは、技術分野では慣用的である。現在、当業者は、本発明において開示される教示に基づいて、これらのアッセイを実行することが可能である。従って、FGFダイマーは、低分子またはペプチドライブラリーのような化合物のライブラリーをスクリーニングするために使用し得る。本発明はまた、これらのアッセイで同定される分子(例えば、FGFダイマー結合化合物およびFGFインヒビター)の組成物を包含する。FGFインヒビターを、被験体への投与によってこの被験体におけるFGF活性を阻害するために使用し得る。これらのインヒビター化合物は、新脈管形成を抑制するために特に有用であり、従って、これらのインヒビター化合物は、強力な抗癌剤である。これらのインヒビターはまた、慢性的な炎症の処置に対して有用である。
【0119】
以下の実施例は、本発明の実施の特定の例を示すために提供され、本発明をこれらの実施例に限定するとは解釈されるべきではない。当業者には明らかなように、本発明は、種々の組成物および方法への適用が見出される。
【0120】
(実施例)
(材料)
アンピシリン、イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)、1,10−フェナントロリン、塩素酸ナトリウムおよびジチオトレイトール(DTT)はSigma(St.Louis,MO)製であった。組換えヒト野生型FGF2は、Scios Nova(Mountain View,CA)からの贈与物であった。発現ベクターpET14bの改変体は、Washington UniversityのD.Ornitzからの寛大な贈与物であった。ヘパリンナトリウムUSPブタ腸粘膜は、Kabi Pharmacia(Franklin,OH)製であった。Ready−Gel(15%ポリアクリルアミドゲル)、Bradfordアッセイキット、免疫ブロットアッセイキットおよび銀染色キットは、Bio−Rad(Hercules,CA)製であった。
【0121】
(システイン変異体の部位特異的突然変異誘発、タンパク質発現および精製)
部位特異的突然変異誘発を、以前に記載されたように2段階PCR手順によって実施した(Higuchi,R.(1990)PCR Protocols:A guide to Methods and Applications(Innis,M.Aら、編),Academic Press,San Diego)。PCR産物を、pCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)にサブクローニングした。挿入物を、pET14b発現ベクターの改変体にNdeI/SpeI部位を通じてサブクローニングした。組換えタンパク質を発現するために、BL21細胞の一晩培養物を、アンピシリン(400mg/L)を補充した500mlのLB培地2つに移し、細胞密度が約0.5のOD600に達するまで、37℃で振盪して増殖させた。IPTG(1mM)を加え、タンパク質発現を2時間誘導した。Ni−クロマトグラフィーによるタンパク質精製を、以前に記載されるように実施した(Ernst,S.ら、(1996)Biochem J 315(Pt 2),589−97;Padera,R.ら、(1999)Faseb J 13(13),1677−87)。タンパク質の純度を、非還元条件下で、SDS−PAGEによって評価し、そして濃度を、Bradfordアッセイによって、コントロールとして組換え野生型FGF2を使用して、決定した。
【0122】
(酸化的架橋)
精製タンパク質を、10kDa分子量カットオフ膜(Millipore,Beverly,MA)を使用して、HEPES緩衝液に緩衝液交換した。酸化的架橋を、100μlの反応容積中で、50μgのタンパク質(最終30μM)を750μMのCu2+−フェナントロリン(25mM CuSOと130mMのフェナントロリンの1対1混合物から作られる)と共に、室温で10分間インキュベーションすることによって実施した。より長いインキュベーション時間(2時間まで)は、形成されるオリゴマーの量を有意には増加しなかった。ヘパリン処理のために、タンパク質を、架橋の前に3μMのヘパリンと共に1時間インキュベーションした。タンパク質対ヘパリンの比は、10対1であり、この比は、FGF2ダイマー形成について最適であることが以前に示された(Davis,J.ら、(1999)Biochem J341(Pt 3),613−20)。他の反応条件を、図3の説明文に示す。この反応を、0.1M EDTAおよび10mMヨード酢酸を用いて停止した。架橋した生成物を、15%非還元SDS−PAGEゲルでの電気泳動、引き続いて銀染色によって分析した。
【0123】
(コンフォメーションの研究)
コンフォメーションの研究を、Silicon Graphicsワークステーション(Mountain View,CA)で、Insight IIパッケージ(Molecular Simulations,Burlington,MA)を用いて実施した。FGF2−FGFR1結晶構造のFGF2ダイマーの座標(エントリー:1CVS)および遊離FGF2の座標(エントリー:4FGF)を、Protein Data Bankから得た。連続的なダイマーを、31Å軸に沿って座標を並進することによって、4FGFから構築した。
【0124】
この実験で使用されたリンカーは、GALという配列を有するトリペプチドを含有した。しかし、結晶構造のほとんどにおいて、FGF2のN末端およびC末端がディスオーダー(disorder)しているので、モデル化したリンカーは、トリペプチド配列およびFGF2のディスオーダーした残基を含有した。このリンカーの配列は、Cterm−GAL−Ntermの形態であり、ここで、CtermおよびNtermは、それぞれFGF2のディスオーダーしたC末端およびN末端である。ディスオーダーしたN末端から残基を除去することによって、異なる長さのリンカーを獲得し得る。各リンカーに対する最も最適な構造を、以下のように得た。リンカーについての構造の組合せを、Insight IIのホモロジーモデリングを使用して、レセプター結合ダイマーおよび連続ダイマーの両方において、一方のFGF2モノマーのC末端からもう一方のFGF2モノマーのN末端まで作成した。各FGF2ダイマーでランダムに作成されたリンカー構造由来の良好な開始構造を、収束するまでニュートン−ラプソン法を使用して、エネルギー最小化に供した。ポテンシャルを、Consistent Valence力場を用いて値を決定した。モノマー間のN末端とC末端との交換は、架橋されたダイマーモデルにおいて有意な変化を導かず、従って、この交換は、結果の解釈に影響しなかった。
【0125】
(ダイマーまたはdFGF2の構築物)
コンフォメーションの研究からの結果に基づいて、FGF2の2つのDNA配列を、図4Aに概略を述べられているように発現ベクターに、ライゲーションし、そしてサブクローニングした。NdeI/SacI部位は、PCRによって第1の配列の5’末端および3’末端に導入されたのに対して、SacI/SpeI部位は、第2の配列の5’末端および3’末端に導入された。第1および第2の配列の両方は、最初の9つのN末端残基が除去されたFGF2をコードする。dFGF2の精製を容易にするために、6×Hisタグおよびトロンビン切断部位を、PCRによって第1の配列の5’末端に導入し、T7タグおよび別のトロンビン切断部位を、第2の配列の3’末端に同様に導入した。第1の配列のPCR産物をpCR2.1−TOPO(内部のSpeI部位を有する)にサブクローニングする際、SacI/SpeIの二重消化を実施して、ベクターの線状化をした。第2の配列からのPCR産物を、同様にサブクローニングし、そしてこの挿入物を、SacI/SpeIの二重消化によって除去した。線状化されたベクターと第2の配列からの挿入物との間のライゲーションによって、2つの直列に連結したFGF2 DNA配列の融合DNAを得た。DNA配列決定を実施し、融合したDNA配列の同一性を確認した。タンパク質発現および精製を、Ni−クロマトグラフィーの後で、T7アフィニティーカラムを製造業者(Novagen,Madison,WI)によって記載されるように使用した以外は、上記のように実施した。生化学的研究を実施し、dFGF2が、適切に折りたたみされていることを確認した。野生型FGF2のネイティブ型に対するモノクローナル抗体を使用した免疫ブロットによって、Ni−クロマトグラフィーおよびT7アフィニティークロマトグラフィーからの溶出物が、抗体によって、濃度依存的に認識されることが示された。
【0126】
(CD分光法)
dFGF2を、1μMに濃縮し、10mMリン酸ナトリウム(pH7.2)に緩衝液を交換した。dFGF2のCD分光法を、1mmの光路長(Starnz,Atascadero,CA)を有する石英セル中で、室温で実施した。データを、195nm〜260nmの間、Aviv 62SD分光偏光計で20回のスキャンの平均として記録した。
【0127】
(タンパク質質量分析)
MALDI−MSを、FGF2、FGFR1、およびHLGAGデカサッカライドの溶液を10mMリン酸ナトリウム(pH7.0)中20μMに希釈することによって、実施した。このサンプルの1μlに、製造業者(Novagen,Madison,WI)によって記載されるように、トロンビン切断によって6×HisタグおよびT7タグを除去された、当モル量のdFGF2形態を加えた。このサンプルを、4℃で30分間、平衡化した。次いで、1μlのこのサンプルを、50%アセトニトリル中の飽和シナピン酸溶液1μLと共に、MALDI標的上に、直ちにスポットした。乾燥後、このサンプルを水で洗浄し、窒素気流下で乾燥し、そして、質量スペクトル分析にかけた。MALDI−MSスペクトルを、337nm窒素レーザーを装着したVoyager Elite反射タイムオブフライト装置(Voyager Elite reflection time−of−flight instrument)(PerSeptive Biosystems,Framingham,MA)を使用して、直線モードで取得した。ディレイドエクストラクション(Delayed extraction)を使用して、分解能を上げた(25kV、グリッド(grid)(91%)、ガイドワイヤ(guide wire)(0.25%)、パルスディレイ(pulse delay)(350ns)、ローマスゲート(low mass gate)(2000))。本文に示されるように、全ての種は、それらの理論値の0.1%以内であった。
【0128】
(SMC増殖アッセイ)
ウシ大動脈から単離された平滑筋細胞(SMC)は、10%仔ウシ血清(BCS)、2mM L−グルタミンおよび抗生物質を補充した増殖培地中で維持された。SMCの増殖アッセイを、トリチウムの取り込みによって測定し、その測定を、以下のように実施した。細胞を、95%のコンフルーエンスで分割し、24ウェルプレートにウェル当たり1mlで播種した。24時間後、細胞を、0.1% BCSを補充した培地でさらに24時間、血清飢餓した。適量の増殖因子を、各試験されたタンパク質濃度について、8ウェルに加えた。75mM塩素酸ナトリウムを、各条件について、半分のウェルに加えた。21時間後、[H]チミジン(1μCi/ml)を、各ウェルにアプライし、3時間インキュベーションした。細胞を、PBSで洗浄し、続いて、0.5mlの1M NaOHを加えた。各ウェルの内容物を、5mlのScintiSafe Plus 50%(Fischer,NJ)シンチレーション流体で満たされたシンチレーションバイアルに移した。総[H]チミジン取り込みを、液体シンチレーション計数によって測定した。
【0129】
(HUVEC生存アッセイ)
継代(passage)3または4におけるヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、20%ウシ胎児血清(FBS)を補充した培地M199(BioWhittaker,Walkerville,MD)中で1%ゼラチンをコーティングした組織培養皿で培養した。24時間後、HUVECを、37℃で少しの間トリプシン処理し、PBSで2度洗浄し、そして、0.5% FBSおよび1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む培地中に懸濁した。この細胞を、フィブロネクチン様ポリマーでコーティングした96ウェルプレート(Sigma,St Louis,MO)上に、1ウェル当たり約1〜2×10の密度で、播種した。適量の増殖因子を、マルチチャンネルピペットを使用して、ウェルに加えた。各実験条件を、6つの異なるウェル中で試験した。細胞生存性を、18時間後、比色MTSアッセイ(Promega,Madison,WI)を使用して、490nmでの吸収を測定することによって、評価した。
【0130】
(マウス角膜における脈管形成アッセイ)
FGF2とスクラルファートとを含むペレットまたはスクラルファートのみを含むペレットを、Kenyonらによって記載されるように調製した(Kenyon,B.M.ら、(1996)Inves Ophthalmol Vis Sci 37(8),1625−32)。簡単には、適量のmFGF2(5μgおよび20μg)およびdFGF2(5μg)を含む滅菌dFGF2溶液の懸濁物を調製し、そして5分間高速真空化した。エタノール中12%のHydron(10μl)を加え、そして、懸濁物を、オートクレーブ滅菌されたナイロンメッシュに置いた。このメッシュを、Hydronの薄いフィルムで覆われた繊維の2つの層の間に積み重ねた。滅菌ペトリ皿上で30分間の乾燥の後、このメッシュの繊維を顕微鏡下で解体した。解剖顕微鏡の補助により、均一の大きさにしたペレットを、作製された約200のペレットから選択した。各ペレットは、約1.5pmolおよび約6pmolのmFGF2または約0.7pmolのdFGF2を含んだ。FGF2を含まないコントロールペレットもまた調製した。
【0131】
ペレット移植について、Sprague Dawleyラット(オス、400〜450g、n=5)を、ケタミン(80mg/kg)またはキシラジン(10mg/kg)で麻酔した。手術用顕微鏡を使用して、角膜実質内直線状切開術を、縁と平行に2mm離して、外科用刀(Bard Parker no.15,Becton Dickenson,Franklin Lakes,NY)を使用して実施した。層状マイクロポケット(micropocket)を、縁の方に切開した。単一のペレットを、宝石商用(jeweler’s)摂子を用いて、ポケットの底に置いた。移植後6日目に、角膜新脈管形成を、スリットランプを使用して写真撮影し、新脈管形成の領域を、記載されるように評価した(Kenyon,B.M.ら、(1996)Inves Ophthalmol Vis Sci 37(8),1625−32)。
【0132】
(結果)
(本研究に関するフレームワーク)
FGF2の三次元構造を、溶液NMRおよび結晶構造解析を含む種々の生物物理学的技術(Faham,S.ら、(1996)Science 271(5252),1116−20;Moy,F.J.ら、(1997)Biochemistry 36(16),4782−91;DiGabriele,A.D.ら、((1998)Nature 393(6687),812−7;Plotnikov,A.N.ら、(1999)Cell 98(5)641−50;Plotnikov,A.N.ら、(2000)Cell 101(4),413−24;Stauber,D.J.ら、(2000)Proc Natl Acad Sci USA 97(1),49−54;Schlessinger,J.ら、(2000)Mol Cell 6(3),743−50;Moy,F.J.ら、(1996)Biochemistry 35(42),13552−61;Zhang,J.D.ら、(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88(8),3446−50;Eriksson,A.E.ら、(1993)Protein Sci 2(8),1274−84)によって、完全に解明した。全ては、遊離状態であろうと、HLGAGリガンドへの結合していようと、またはレセプターと複合体形成していようとも、FGF2に関してほぼ同じ基本構造を示唆した。これらの3つの構造全ての分析は、FGF2上に3つの直交表面が存在することが示唆する。図に示されるように、第1の表面は、FGF2の高親和性タンパク質レセプターへの結合へ関与していた。厳密な生化学的研究および部位特異的突然変異誘発研究を通じて、第2の直交表面のHLGAG結合へ関与していた。最初の2つの表面の両方に直交する第3の表面は、FGF2オリゴマー化へ関与していた。
【0133】
第3の表面中では、生化学的研究および構造研究により、HLGAGの存在下および非存在下の両方でのFGF2のオリゴマー形成の異なるモデルが示された(Venkataraman,G.ら(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(2),845−50;Moy,F.J.ら(1997)Biochemistry 36(16),4782−91;DiGabriele,A.D.ら(1998)Nature 393(6687),812−7)。図2に概略的に示されるように、HLGAG誘導性のFGF2のダイマー化の3つの様式が有り得る。特異的なタンパク質−タンパク質の接触は、連鎖的FGF2ダイマー化および対称的FGF2ダイマーの両方に関係する(それぞれ図2(A)および図2(C))が、HLGAGに架橋されたダイマーにもサンドイッチダイマー(図2(B))にも関係しない。FGF2が11Åのスペーサーを有するアミン特異的な化学的架橋物質を使用して、ヘパリンの非存在下でダイマー化およびオリゴマー形成を可能とすることが初期に実証された(Davis,J.C.ら(1999)Biochem J 341(Pt3),613−20)。しかし、この組成物は、全く精製されず、そして生化学的活性について試験されなかった。このダイマー組成物は、生化学的なアッセイにおいて操作され、そして薬学的に受容可能でない毒性物質においてのみ処方された。この観察は、提案された図2(B)中のHLGAGで架橋されたダイマーとは一致しない。なぜなら、このFGFサンドイッチモデルにおいて、近接するFGF2の分子の互いに近位な分子上の残基が全く存在せず、そしてこのような場合は11Åのスペーサーを用いる共有結合性の架橋が利用可能であるからである(以下のさらなる実験もまた、このダイマーの様式とは一致しない)。従って、本発明者らは、タンパク質の接触を関係させるダイマーモデル(図2(A)および図2(C)に示される)のどちらがHLGAGによって媒介されるFGF2のダイマー化を正確に表すか否かを決定する、最初の実験に着目した。
【0134】
FGFダイマー化を調査するためのストラテジー:FGF2上の表面に露出されるシステイン残基を介した酸化的架橋 − FGF2分子間の近位の接触の存在を確立するため、およびFGF2ダイマー化の異なる様式の間を識別するために、本発明者らは、銅フェナントロリン(ジスルフィド結合形成のために広範に使用される酸化剤(Bisaccia,F.ら(1996)Biochem Biophys Acta 1292(2)281−88))を使用して、FGF2のシステイン残基を標的とする酸化的架橋実験を実施した。このアプローチは、2つのFGF2分子の間のジスルフィド結合の導入を介して、FGF分子間の原子距離相互作用について探査することを見込む。以下に考察されるように、FGF2において表面に露出されるシステイン残基を利用することにより、そしてFGF2表面上にシステイン残基を合理的に導入することを介して、本発明者らはFGF2ダイマー化の可能性ある様式を系統立てて探索した。
【0135】
野生型FGF2の酸化的架橋− FGF2において4つのシステインが存在し、そのうちの2つが表面に露出されて(C69およびC87)、そのうち2つがタンパク質コアに包埋される(C25およびC92)。野生型FGF2において、2つの露出されたシステイン(C69およびC87)の表面位置はお互いに90°で関係する。FGF2の野生型構造における表面に露出されたシステイン残基を活用して、本発明者らは、図2(C)のFGF2ダイマー化(このモデルは2つのFGF2分子間の容易な架橋を予測する)の提案される対称性様式を試験するために、酸化的架橋研究を実施した。穏やかな酸化条件の下で、野生型のFGF2は、へパンリンの存在下でも非存在下でも極僅かのオリゴマー形成しか示さなかった(図3(A)、レーン1およびレーン2、いくつかのコントロール実験を実施して、データの信頼性を確実にし、そしてそれらを以下に記載する)。有意なダイマーまたはオリゴマーが存在しないことは、FGF−FGFインターフェースが分子接触に関係しないか、またはその接触は2つの表面露出したシステインがダイマーのインターフェースの位置ではないかのいずれかを示唆する。本発明者らの観察は、提案された対象様式のFGF2ダイマー化(ここで、ダイマー化は各モノマーのC69の間のジスルフィド結合形成によって媒介される(Moy,F.Jら(1997)Biochemistry 36(16),4782−91))と一致しない。
【0136】
システイン変異の合理的な設計− 従来の研究において、本発明者らは当時利用可能な全てのFGF2結晶構造体について徹底的な分析を実施して、そして2ユニットの細胞軸に沿って保存されたタンパク質−タンパク質インターフェース(p−p’およびq−q’)を同定した(Venkataraman,G.ら(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(2),845−50)。本発明者らの分析に基づき、本発明者らはFGF2分子が連続様式で好ましく自己会合されて、そしてHLGAGの結合はFGF2のダイマー化およびオリゴマーを安定化し、それらが引き続いてシグナル伝達のためにFGFRに提供される、FGF2ダイマー化モデルを提案した。このモデルにおいて、オリゴマー形成の方向(図2(B))に沿って変換された非共有結合のFGF−FGF相互作用は、FGF2のオリゴマー形成を導くと予想される。このモデルが実際にFGFのオリゴマー形成の形態を記す場合、本発明者らは隣接するFGF2の分子間のタンパク質−タンパク質インターフェースの付近にシステイン残基を置換することによって、穏和な酸化条件の下で分子間のジスルフィド結合が形成され得ることを予測する。この様式で形成された連続的なダイマーは、有意なタンパク質−タンパク質の接触によって安定化される。この仮説の試験に向けた最初の段階として、本発明者らは、システイン残基に変異を導入する場合、ジスルフィド結合が酸化的架橋の際に容易な様式で生成され得る、p−p’インターフェースにおける候補残基対を探索した。立体構造的な研究により、本発明者らは、図3(B)に概略的に表されるように、R81およびS100がシステインに変異される場合に最適なジスルフィド結合形成が達成されることを見出した。導入された2つのシトシンは、FGF2の向かい合う側に位置し、その結果分子内ジスルフィド結合の形成は好ましくない。2つの本来のシトシン(C69およびC87)をセリンに変異させて、その結果FGF2の元のアミノ酸配列中の表面のシステインの総数は同じに維持される。4つの変異(R81C/S100C/C69S/C87S)を有するこのタンパク質は、以降ではシステイン変異体として参照される。このシステイン変異体を、Experimantal Proceduresで記載されるような、部位特異的変異誘発により構築した。このタンパク質は、野生型に匹敵する、細胞増殖を刺激する生化学的活性を保持し、このことは導入された変異がタンパク質のフォールディングを全体的には変更しないことを示唆した。
【0137】
システイン変異体の酸化的架橋− 野生型に適用するのと全く同じ酸化条件の下では、システイン変異体は、野生型FGF2と比較して、明らかに多量のオリゴマーを生成した。特に、オリゴマー形成の範囲は、このタンパク質をヘパリンとプレインキュベートすることによって、向上した(図3(A)、レーン3およびレーン4)。さらに、インターフェースでのこれらシステインのうちの片方を欠いた変異体FGF(すなわち、R81C変異体またはS100C変異体のいずれか)の架橋は、有意に低いオリゴマー形成を生じた。このことはさらに、設計したC81およびC100の間のジスルフィド結合の形成を介して共有結合のダイマーを形成することを示唆した。併せると、これらの観察は、FGF2ダイマー化の経時的様式を強く支援し、そしてまたFGF2オリゴマーの範囲および安定性が、HLGAGとの結合によって増加されることを示唆する(Venkataraman,G.ら(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(2),845−50)。いくつかの制御を実施して、特定のシステイン媒介性FGF2オリゴマー形成の信頼性を確立した。DTTのような還元剤の添加は、観察されるダイマーおよびオリゴマーをモノマーに転換した(図3(C)、レーン4)。このことは、本来の架橋パターンがジスルフィドに結合したオリゴマーの結果であることを示した。また、システイン変異体が架橋よりも先に変性される場合、オリゴマー形成は廃止され(図3(C)、レーン3)、このことはオリゴマー形成がタンパク質の天然の構造を介して媒介されて、そして観察されるオリゴマーが非特異的なタンパク質の凝集に起因して形成されるのではないことを示唆した。さらに、2つのシステイン(C25およびC92)はタンパク質のコアに埋没するので、これら残基はタンパク質が架橋中に解かれる場合に、観察されるオリゴマー形成に潜在的に貢献し得る。この可能性を除外するために、システイン変異体の元のアミノ酸配列を、2つのコアのシステイン残基をセリンに置換することによってさらに変更した(すなわち、さらなるC25S/C92S変異を導入した)。これら2つのさらなる変異の導入は、架橋パターンを変化させずに、さらに表面に露出されるC81およびC100のみがジスルフィド誘導性のオリゴマー形成に貢献することを示した。併せると、これらの酸化的架橋の研究は、FGF2のモノマーが実質的なタンパク質−タンパク質インターフェースを介して経時的なダイマーを形成し、そしてこの相互作用がHLGAGとの結合によってさらに促進されるというモデルを支持する。これらの結果は、オクタサッカライドを有するFGF2の分析的な超遠心分離、外因性のHLGAGの添加したFGF2、または添加しないFGF2の化学的架橋および質量分析(Ornitz,D.M.ら(1992)Mol Cell Biol 12(1)240−7;Herr,A.B.ら(1997)J Biol Chem 272(26),16382−9;Davis,J.C.ら(1999)Biochem J 341(Pt3),613−20;Venkataraman,G.ら(1999)Proc Natl Acad Sci USA 96(5),1892−7)に挙げられる他の実験研究と一致する。
【0138】
架橋されたダイマーは、さらなる生化学的および生物学的な特徴付けのために精製することが困難であることが明らかになった。従って、本発明者らは、立体構造的な研究および遺伝子操作ツールの組み合わせを使用する、FGF2ダイマーを構築するための代替のストラテジーを採用して、FGF2ダイマーの生物学的重要性の調査を可能とした。この後者の点は特に重要である。なぜなら、上記の生化学的研究はシスFGFダイマーが溶液中で実際に好ましく生じるが、一方で非生理学的な条件(すなわち、高いタンパク質濃度、1:10のヘパリン:タンパク質比率、など)の下でのみ形成し得ることを示すからである。しかし、定めたFGF2ダイマーを構築して、そしてその生物学的活性を試験することにより、本発明者らは、生化学的研究により示されたオリゴマーの形式が、ビズ(viz.)(実質的なタンパク質の接触に関するシスダイマー)が細胞表面で活性なシグナル伝達複合体を形成し得るか否かを決定し得る。
【0139】
接触および非接触のFGF−FGF相互作用を探索するために、リンカーを介してタンデムに連結されたFGF2ダイマーの作製:ダイマーFGF2の設計 − FGF−FGFR相互作用の立体構造的な研究により、レセプターのクラスター形成がFGFダイマーと結合するレセプターによって促進されるという提案が導かれた(Venkataraman,G.ら,(1999)Proc Natl Acad Sci USA 96(7),3658−63)。しかし、活性なシグナル伝達複合体であると提案される、2:2のFGF−FGFR複合体の最近解明された構造体は、2つのFGF分子の間には全く接触のないことを明らかにした(Plotnikov,A.N.ら(1999)Cell 98(5),641−50;Plotnikov,A.N.ら(2000)Cell 101(4),413−24;Stauber,D.J.ら(2000)Proc Natl Acad Sci USA 97(1),49−54;Schlessinger,J.ら(2000)Mol Cell 6(3),743−50;Pellegrini,L.ら(2000)Nature 407(6807),1029−34)。
【0140】
FGF−FGF相互作用がFGFRの結合および付随するシグナル伝達に重要であるか否かを決定するために、本発明者らは、トリペプチドリンカーを含むダイマー化FGF2タンパク質を作製することにより、FGF2の分子をシスダイマー形式に「させた(force)」。このタンパク質のN末端から残基を削除することにより、本発明者らは2つのFGFの間のリンカーのサイズを調節し得た。提案された活性なFGF2−FGFRの結晶構造体を含む全てのFGF2の結晶構造体において障害である、少なくとも15個のN末端残基が存在するので、本発明者らは、これらの削除がタンパク質の折りたたみに優位には影響しないことを期待した。FGF−FGF相互作用の2つの形式の間の差異を促進する最適なリンカー配列の長さを見出すために、本発明者らは、方法の節において概要が示されるように、FGF−FGF相互作用の両方の様式においてFGF2モノマーを結合し得る、異なる長さを有するリンカー配列の組み合わせを探索した。本発明者らの立体配置研究は、9残基がN末端から削除されたリンカーが、連続的なダイマーにおいて2つのFGF2の分子に最適に結合するが、FGF2−FGFR1結晶構造において観察された2つのFGF2分子を繋ぐ場合に、高度に制約された構造をとることを示した。トリペプチドリンカーを含むダイマータンパク質(dFGF2と称される)、および各々9つのN末端残基が除去された2つのFGF2(C末端をN末端と繋げられる)を、構築した(図4)。この作製されたdFGF2ダイマーは、FGF2−FGFR1構造体において観察される、接触しているFGF2ダイマーと非接触のFGF2ダイマーとの間を識別する、理想的な候補である。このタンパク質を、実験手順の節において記載されるように、E.coliにおいて発現させて、そして2つのクロマトグラフィー工程により精製した。
【0141】
dFGF2の生化学的活性を調査する前に、本発明者らはdFGF2が正しくフォールディングされることを確認するための生化学的な研究を実施した。第1に、実験手順の節において述べられるように、本発明者らはイムノブロットによってタンパク質の全体的なフォールディングを評価した。このdFGF構築物は、野生型FGFの約2倍のレベルで染まった。さらに、精製されたタンパク質を1%SDSの存在下で熱変性した場合、イムノブロットにおける強度は、バックグラウンドのレベルまで劇的に低減した。上記の結果は、dFGF2がこのタンパク質の抗体により認識されるエピトーブに関して正しくフォールディングされたことを示唆する。全体の二次構造を評価するために、dFGF2の近UV円二色性(CD)分光法の帯域を分析した。このCD分光は、200nm付近で負の最小値を示し(図5)、これは、天然のモノマーのFGF2(mFGF2)の特徴である(Davis、J.C.ら、(1999)Biochem J 341(Pt3),613−20)。さらに、dFGF2は、ヘパリン−POROSカラムに結合し、そして1.8M NaCl(mFGF2についての1.2M NaClと比較して)においてのみ溶出された。この後者の結果は、dFGF2が正しくフォールディングされたことを示唆するだけでなく、dFGF2が、おそらくは2つの連結したFGFユニットとヘパリンカラムとの間の協調的な結合相互作用を介して、HLGAGに対してmFGF2が有するよりも高い親和性を有することもまた、示唆する。このような場合、次いでdFGF2は活性に関して、外因性のHLGAGへの低減した依存性を有し得る。本発明者らは、機能性条件を以下に探索し、これはdFGF2活性に対するHLGAGの効果を包含する。
【0142】
FGF2−FGFR−HLGAGの相互作用の化学量論 − 質量分析を使用して、dFGF2がFGFR2への結合に関して、野生型FGF2と競合し得るか否かを決定した。dFGF2の予備的なMALDI分析は、37,066DaのdFGF2について予想された重量と一致する種を生じた。次工程として、本発明者らは、HLGAGの存在下および非存在下の両方において、野生型FGF2−FGFR相互作用の性質を調査した。これらの研究は、HLGAGの非存在下では、野生型FGF2がFGFRに1:1の化学量論で結合することを示し(図6(A))、このことはFGF−FGFR結晶構造体と一致した(Plotnikov,A.N.ら(1999)Cell 98(5),641−50;Plotnikov,A.N.ら(2000)Cell 101(4),413−24)。しかし、HLGAGデカサッカライド(FGF2に高い親和性を有して結合することが公知であり、そしてFGF2媒介性シグナル伝達を支持する、三硫酸化ジサッカライドの繰り返しユニットからなる)の添加は、検出可能な2:2:1のFGF:FGFR:HLGAG複合体の構造(図6(B))を生じ、このことはまたFGF1について観察された三成分複合体と一致した(Pellegrini,L.ら(2000)Nature407(6807),1029−34)。この複合体へのdFGF2の添加は、dFGF2:FGFRの新規の1:2複合体の形成を生じた(図6(B)の差込)。特に、本発明者らは、デカサッカライドが結合したdFGF:FGFRの種を全く検出し得なかった。この種の不在は、この複合体が溶液中で実際には形成しないためか、またはこの複合体がこの実験の条件下ではイオン化されずに検出されることのいずれかであり得る。さらに、種々の種のイオン化効率は紛れもなく互いに異なっており、より巨大な種(特に、デカサッカライドを含む巨大な種)はより小さな種よりもイオン化に対して反応性が低いので、この場合に形成される複合体の量の定量的な見積もりは保証されない。しかし、1:2のdFGF:FGFR複合体の検出は、この種が実際に、細胞表面で存在するdFGF:FGFR複合体に近似である種を、タンパク質レベルで形成することを示唆する。
【0143】
併せると、これらの結果は、(1)タンパク質接触を有するdFGF2の1つのモジュールが、レセプターのダイマー化を支持し得ること、(2)FGFRに結合するFGFにおけるHLGAGの役割の1つがFGFおよび/またはFGFRのオリゴマー形成を支持することであること、および(3)FGFオリゴマー形成の生化学的な1つの形式およびレセプター結合が、実質的なタンパク質−タンパク質の接触とダイマーを関係付けること、を示す。質量分析を介して観察された複合体が生化学的な役割を有するか否かを決定するために、本発明者らは、いくつかの細胞ベースの系においてdFGF2のシグナル伝達を行う能力を試験した。
【0144】
dFGF2の生化学的活性 − FGF−FGFの接触がシグナル伝達に関係するか否かを試験するために、dFGF2を、以下の細胞培養物アッセイにおいてその生化学的活性についてアッセイした。dFGF2の***促進性を、クロレートを用いて、または用いずに処理されたSMCについて試験した。クロレート処理はHLGAGの生合成を阻害し、それによって細胞表面のHLGAGを除去するので、シグナル伝達についてのdFGF2の活性へのHLGAG結合の依存性を評価し得る。活性な細胞表面HLGAG(クロレート未処理)を用いると、野生型およびdFGF2の両方は、SMCに対する増殖応答を媒介することにおいて、活性であった(図7(A))重要なことに、野生型およびdFGF2による最大の増殖の半分を達成するために必要とされるモル濃度は、それぞれ270pMおよび60pMだった。従って、dFGF2は、これらの培養条件下での細胞増殖促進において、野生型と比較して4.5倍以上の活性を示した。クロレート処理されたSMCにおいて、野生型は増殖において中程度の応答を生じるのみだったが、増殖応答の著明な増加はdFGF2によって示され、HLGAGの除去された細胞における完全な増殖の約80%を達成した(図7(B))。このSMC増殖アッセイからの結果は、dFGF2によるシグナル伝達について、より高い増殖刺激能力およびより低いHLGAG依存性を示した。
【0145】
SMC細胞に加えて、FGF2は、内皮細胞の細胞生存を誘導するその能力について周知である、潜在的な脈官形成因子である。従って、本発明者らは、HUVECにおいてdFGF2の細胞生存を促進する能力を決定した。生細胞のミトコンドリアの完全性を反映する呈色性MTS色素を使用して、HUVEC生存アッセイは、添加された増殖因子によって媒介される血管内皮細胞の生存率を測定する高感度な方法を提供する。血清除去されたHUVECにおいて、細胞生存率は、10%の血清中の増殖の約50%であった(図8)。野生型およびdFGF2の種々の濃度の添加は、用量依存的に細胞生存率を部分的に回復し得る。繰り返すと、dFGF2はモルベースでHUVECの生存を刺激することにおいて野生型よりもより活性であり、SMCにおいて観察された、その亢進された能力と一致していた。併せると、2つの独立した細胞型からのdFGF2の生化学的アッセイは、ダイマー構成物がFGFRに結合してそして活性化して、生化学的アッセイによって測定されるような、種々の下流のシグナル伝達を導くことを実証する。
【0146】
dFGF2のインビボの能力。上記のインビトロの知見を拡張するために、実験的なインボモデルにおいて、dFGF2の脈官形成を誘導する能力を調査した。ラットの角膜嚢アッセイを使用して、並行して、mFGF2およびdFGF2の能力を比較して、この結果を図8に示す。予想されたとおり、FGF2を含まないコントロールペレット(すなわち、全く脈官形成刺激がない)は、認められる脈官形成を誘導し得なかった(図9(A))。mFGF2は、用量依存的に脈官形成応答を誘導し、タンパク質レベル1.5pmolでは脈官形成をほとんど誘導せず(図9(B))、そして6pmolではより強力な脈官形成を誘導した(図9(C))。従って、mFGF2によって誘導された脈官形成の範囲は実際に、誘導された血管の長さおよびそれらの血管の外周の両方によって反映される。mFGF2と比較して、dFGF2は、より低濃度の0.7pmolでラットの角膜中の強力な脈官形成を誘導した(図9(D))。dFGF2を用いて誘導された血管は、「時計時間(clock hours)」によって、または角膜輪部周辺の脈官形成の範囲によって測定すると、より長く、より広い外周で、そしてより多量であった。実際に0.7pmolのdFGF2は、8倍より高いレベル(ビズで、6pmol)のmFGF2よりも、よりよい脈官形成刺激性であった。従って、dFGF2の生化学的能力は、インビトロの細胞培養物実験において測定されたように、インビボの動物モデルにおいて保持され、このことは、このdFGF2構成物が潜在的な生化学的メディエーターであることを示唆する。
【0147】
以上に記された明細書は、当業者が本発明を実践し得るに十分であると考えられる。本発明は、これら実施例が、本発明の一局面の単一の例示および他の機能的に等価な実施形態が本発明の範囲内であるように意図されるので、提供される実施例によって範囲を限定されるものではない、。本明細書中に示され、そして記載される改変に加えて本発明の種々の改変が、前出の記載から当業者に明らかとなるであろうし、そしてそれら改変は添付の特許請求の範囲内である。本発明の利点および目的は、本発明の各実施形態に必ずしも包含されていない。
【0148】
本明細書中に記載される全ての引用文献、特許および特許公開は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は、FGF2上の種々の結合部位の分析を示す。FGF2分子の表面は、平行6面体の面に近似され得る。6面のうちで、2つの対向する面がレセプター結合部位を示し(紙面の内側の面および外側の面を示す)、一方、他の4面(オリゴマー化およびヘパリン結合として示す)が、FGFが会合し得る方向を示す。3つのオリゴマー化の方向のうち2つは、同一面に沿って並べられる。これら2つの方向に沿ったFGF2分子の翻訳が、FGF2オリゴマー化の基礎を形成する。
【図2】図2は、FGF二量化の提唱された様式を図示する。黒三角、または白三角のいずれかが、異なる配向を区別するために、各々のFGF分子内に示される。FGF内の円形の刻み目は、ヘパリン結合ドメインを示す。HLGAGを、ビーズの鎖として示す。(A)シスに非対称的に配向する2つのFGF分子は、「サイドバイサイド(side―by―side)」様式で、HLGAGと同一面に結合する(Herr,A.B.ら(1997)J Biol Chem 272(26),16382−9;Venkataraman,G.ら(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(2),845−50;Venkataraman,G.ら(1999)Proc Natl Acad Sci USA 96(5),1892−7)。(B)2つのFGF分子は、「ヘッドトゥヘッド(head―to―head)」様式で、HLGAGの軸に対してトランスに配向される(DiGabriele,A.D.ら(1998) Nature 393(6687),812−7)。(C)4つのFGF分子は、HLGAGと、シスおよびトランスの両方で相互作用する(Moy,F.J.ら(1997)Biochemistry 36(16),4782−91)。ここで留意すべきことは、シスの相互作用に関して、上記FGF2分子が、(A)のダイマーにとは対照的に、対称の関係にある。
【図3A】図3Aは、酸化的架橋の研究を示す。(A)野生型FGF2およびシステイン変異体の酸化的架橋。野生型FGF2は、ヘパリン有り(レーン1)、またはヘパリン無し(レーン2)で酸化された。少量のダイマーが検出された。このことは、展開したタンパク質間の架橋反応から生じると考えられる。FGF2ダイマー化のモデルに基づいて設計された、システイン変異体(Venkataraman,G.ら(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93(2),845−50)は、野生型と同一条件下で、ヘパリン有り(レーン3)、またはヘパリン無し(レーン4)で酸化された。全ての反応生成物は、銀染色の前に、非還元SDS−PAGE(15%)を使用して分離された。システイン変異体によって達成されるオリゴマー化の程度は、野生型に匹敵した。
【図3B】図3Bは、酸化的架橋の研究を示す。(B)システイン変異体中のタンパク質―タンパク質、およびタンパク質―HLGAGの相互作用の概要図。2つのシステイン変異体の分子が示され、各々、縞四角(p部)および白四角(p’部)で示される2つのダイマー境界面を有する。2つの溶媒に曝露されたシステイン(各々、p’部、およびp部の近くに示されるような、C81およびC100)は、境界面で相互に極めて近く位置するように、操作された。
【図3C】図3Cは、酸化的架橋の研究を示す。(C)システイン変異体のダイマー化およびオリゴマー化は、タンパク質のネイティブの構造によって媒介された。レーン1はシステイン変異体のみ;レーン2はヘパリン無しで酸化されたシステイン変異体;レーン3はレーン2と同一であるが、タンパク質を、酸化的架橋前に熱/SDS変性処理した、レーン4はレーン2と同一であるが、1mM DTTで処理した。システイン変異体の酸化的架橋を、変性処理または還元処理のいずれかで、破壊した。
【図4A】図4は、dFGF2の操作、クローニング、および精製を示す。(A)スキームは、2つのFGF2遺伝子の連結、およびタンパク質発現のための発現ベクターの中へのFGF2遺伝子のサブクローニングを示す。制限酵素部位(NdeI,SacI,およびSpeI)をPCRによって、FGF2 cDNAの5’末端、および3’末端に導入した。(B)2つの直列に連結したFGF2 cDNAを有する、発現ベクターの制限消化を示す。レーン1は発現ベクターのNdeI/SpeI消化、レーン2はNdeI/SacI消化、およびレーン3はSacI/SpeI消化。(C)(A)の遺伝子構築物の発現の際に得られたタンパク質産物の概要図。N末端のHisタグ、C末端のT7タグ、および2つのトロンビン切断配列(灰色四角)は、タンパク質精製を促進させることを示す。矢印は、トロンビン切断の位置を示す。(D)野生型mFGF2(レーン1)および野生型dFGF2(レーン2)は、還元条件下で、SDS−PAGEによって分離される。分子の大きさを、横に示す。
【図4B】図4は、dFGF2の操作、クローニング、および精製を示す。(A)スキームは、2つのFGF2遺伝子の連結、およびタンパク質発現のための発現ベクターの中へのFGF2遺伝子のサブクローニングを示す。制限酵素部位(NdeI,SacI,およびSpeI)をPCRによって、FGF2 cDNAの5’末端、および3’末端に導入した。(B)2つの直列に連結したFGF2 cDNAを有する、発現ベクターの制限消化を示す。レーン1は発現ベクターのNdeI/SpeI消化、レーン2はNdeI/SacI消化、およびレーン3はSacI/SpeI消化。(C)(A)の遺伝子構築物の発現の際に得られたタンパク質産物の概要図。N末端のHisタグ、C末端のT7タグ、および2つのトロンビン切断配列(灰色四角)は、タンパク質精製を促進させることを示す。矢印は、トロンビン切断の位置を示す。(D)野生型mFGF2(レーン1)および野生型dFGF2(レーン2)は、還元条件下で、SDS−PAGEによって分離される。分子の大きさを、横に示す。
【図4C】図4は、dFGF2の操作、クローニング、および精製を示す。(A)スキームは、2つのFGF2遺伝子の連結、およびタンパク質発現のための発現ベクターの中へのFGF2遺伝子のサブクローニングを示す。制限酵素部位(NdeI,SacI,およびSpeI)をPCRによって、FGF2 cDNAの5’末端、および3’末端に導入した。(B)2つの直列に連結したFGF2 cDNAを有する、発現ベクターの制限消化を示す。レーン1は発現ベクターのNdeI/SpeI消化、レーン2はNdeI/SacI消化、およびレーン3はSacI/SpeI消化。(C)(A)の遺伝子構築物の発現の際に得られたタンパク質産物の概要図。N末端のHisタグ、C末端のT7タグ、および2つのトロンビン切断配列(灰色四角)は、タンパク質精製を促進させることを示す。矢印は、トロンビン切断の位置を示す。(D)野生型mFGF2(レーン1)および野生型dFGF2(レーン2)は、還元条件下で、SDS−PAGEによって分離される。分子の大きさを、横に示す。
【図4D】図4は、dFGF2の操作、クローニング、および精製を示す。(A)スキームは、2つのFGF2遺伝子の連結、およびタンパク質発現のための発現ベクターの中へのFGF2遺伝子のサブクローニングを示す。制限酵素部位(NdeI,SacI,およびSpeI)をPCRによって、FGF2 cDNAの5’末端、および3’末端に導入した。(B)2つの直列に連結したFGF2 cDNAを有する、発現ベクターの制限消化を示す。レーン1は発現ベクターのNdeI/SpeI消化、レーン2はNdeI/SacI消化、およびレーン3はSacI/SpeI消化。(C)(A)の遺伝子構築物の発現の際に得られたタンパク質産物の概要図。N末端のHisタグ、C末端のT7タグ、および2つのトロンビン切断配列(灰色四角)は、タンパク質精製を促進させることを示す。矢印は、トロンビン切断の位置を示す。(D)野生型mFGF2(レーン1)および野生型dFGF2(レーン2)は、還元条件下で、SDS−PAGEによって分離される。分子の大きさを、横に示す。
【図5】図5は、dFGF2の構造的特性を示す。dFGF2の近UV CDスペクトルを示す。dFGF2を、1μMまで濃縮し、そして10mMのリン酸ナトリウム(pH7.2)へと緩衝液を交換した。データを、195nmと260nmの間で、平均20回の走査で記録した。200nm近くで観察される、特徴的な強力な負のCDシグナルは、適切に折り畳まれたFGF2を示す。
【図6A】図6Aは、FGFR2に対するdFGF2の競合的結合を示す。(A)野生型FGF2およびFGFR2の外部ドメインの混合物のMALDI−MSのプロフィール。マススペクトルで観察されたものは、FGF2ダイマー(m/z 30,214)およびFGF2三量体(m/z 45,132)、FGFR2モノマー(m/z 24,888)およびFGFR2ダイマー(m/z 49,572)、ならびに1:1のFGF2−FGFR2複合体(m/z 39,896)についての(M+H)イオンである。FGF2およびFGFR2についての理論的な分子量は、各々、15114および24864である。
【図6B】図6Bは、FGFR2に対するdFGF2の競合的結合を示す。(B)均質なHLGAG十糖類の存在下のFGF2/FGFR2混合物のマススペクトル。十糖類(Deca)のFGF2/FGFR2への添加は、m/z 82,650(Deca有り)、またはm/z 79,872(Deca無し)で観察される(M+H)イオンを有する2:2のFGF2:FGFR2複合体の形成を促進する。2つのダイマーFGFR2についての(M+H)イオンもまた、最初にアポ複合体を示すm/z 49,692、および2番目に2:1のFGFR2:Deca複合体であるm/z 52,474で観察される。挿入図、上記に示したDeca/FGF2/FGFR2の混合物に添加されるdFGF2のマススペクトル。3つの高分子量の複合体が観察される:Deca有り、またはDeca無しの2:2のFGF2:FGFR2複合体、およびDeca無しの1:2のdFGF2:FGFR2複合体である。
【図7】図7は、SMC増殖アッセイを例示する。血清枯渇SMCを、指示されたモル濃度の(野生型(黒丸)およびdFGF2(逆白三角)で刺激した。SMCを、(A)塩素酸塩なしかまたは(B)75mMの塩素酸塩を添加して増殖した。37℃にて21時間後、[H]チミジンを3時間加えた。細胞を回収し、洗浄し、そして測定された[H]チミジン取り込みを、カウントした。野生型およびdFGF2についての最大のカウント/分は、それぞれ約6000および約5000であった。dFGF2の増殖曲線は、野生型の左側にシフトしている。野生型およびdFGF2による最大半減増殖についてのモル濃度は、それぞれ270pMおよび60pMである。
【図8】図8は、HUVEC生存アッセイを記載する。血清枯渇HUVECを、指示された濃度の野生型およびdFGF2で刺激したか、またはいずれの増殖因子も用いずに刺激した。10%FCSを補った細胞を、ポジティブコントロールとして用いた。18時間後、細胞生存度を、MTS試薬を使用して比色定量的に決定した。野生型およびdFGF2の両方は、血清枯渇後のHUVEC生存度を回復し、そしてdFGF2は、野生型より低いモル濃度にて同一レベルの細胞生存度を達成した。
【図9AB】図9ABは、dFGF2のインビボにおける効力を詳述する。(A)コントロールとしてbFGFを含まない、(B)1.5pモル mFGF2、(C)6.0pモル mFGF2または(D)0.7pモルdFGF2、を含むHydronペレットを用いる移植後6日目におけるラット角膜の細隙灯写真。ペレット移植の領域を、矢印で示す。このコントロールペレットは、有意な脈管形成応答を誘導しなかったが、dFGF2を含有するペレットは、四肢の血管からはじまる強い血管新生応答を誘導し、移植の6日後にはペレットに達した。mFGF2を含有するペレット(B,C)は、より弱く誘導したが、移植の6日後での脈管形成応答は、まだ検出可能であった。表において、角膜脈管形成応答の程度を、直線の長さおよび円周で時計の時間として示した。*は、標準誤差を示す。
【図9CD】図9CDは、dFGF2のインビボにおける効力を詳述する。(A)コントロールとしてbFGFを含まない、(B)1.5pモル mFGF2、(C)6.0pモル mFGF2または(D)0.7pモルdFGF2、を含むHydronペレットを用いる移植後6日目におけるラット角膜の細隙灯写真。ペレット移植の領域を、矢印で示す。このコントロールペレットは、有意な脈管形成応答を誘導しなかったが、dFGF2を含有するペレットは、四肢の血管からはじまる強い血管新生応答を誘導し、移植の6日後にはペレットに達した。mFGF2を含有するペレット(B,C)は、より弱く誘導したが、移植の6日後での脈管形成応答は、まだ検出可能であった。表において、角膜脈管形成応答の程度を、直線の長さおよび円周で時計の時間として示した。*は、標準誤差を示す。

Claims (74)

  1. 組成物であって、該組成物は、互いに連結された2つのFGFモノマーを含む、安定化した、改変されたFGFダイマーを含み、ここで、該ダイマーは、ネイティブFGFダイマー由来の少なくとも1つの改変を含む、組成物。
  2. 薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、互いに連結された2つのFGFモノマーを含む改変されたFGFダイマーおよび薬学的に受容可能なキャリアを含み、ここで、該ダイマーは、ネイティブFGFダイマー由来の少なくとも1つの改変を含む、薬学的組成物。
  3. 前記改変されたFGFダイマーが安定化されている、請求項2に記載の薬学的組成物。
  4. 前記組成物が滅菌されている、請求項2に記載の薬学的組成物。
  5. 前記ダイマーが、ネイティブFGFダイマー由来の少なくとも2つの改変を含む、請求項2に記載の薬学的組成物。
  6. 前記ダイマーが、ネイティブFGFダイマー由来の少なくとも5つの改変を含む、請求項2に記載の薬学的組成物。
  7. 前記2つのFGFモノマーが、FGF2である、請求項2に記載の薬学的組成物。
  8. 前記改変が、前記2つのモノマーを結合するリンカー分子である、請求項2に記載の薬学的組成物。
  9. 前記リンカー分子がペプチドである、請求項8に記載の薬学的組成物。
  10. 前記FGFダイマーが、組換えDNA技術によって産生されるタンパク質である、請求項2に記載の薬学的組成物。
  11. 前記FGFダイマーが、配列番号5の配列を有する核酸の発現によって産生されるタンパク質である、請求項9に記載の薬学的組成物。
  12. 少なくとも1つのFGFモノマーが、配列番号1に対応するアミノ酸配列、またはそれらの機能的に等価な改変体を有する、請求項2に記載の薬学的組成物。
  13. 前記改変が、前記FGFモノマーの少なくとも1つにおいて存在し、そして前記ネイティブFGFモノマーにおいて存在しないシステイン残基である、請求項2に記載の薬学的組成物。
  14. 請求項13に記載の薬学的組成物であって、ここで、少なくとも1つのFGFモノマーは、配列番号7に対応するアミノ酸配列、またはそれらの機能的に等価な改変体を有するが、該FGFモノマーは、アミノ酸番号81(配列番号2)において少なくとも1つのシステイン残基を含む、薬学的組成物。
  15. 請求項13に記載の薬学的組成物であって、ここで、少なくとも1つのFGFモノマーは、配列番号7に対応するアミノ酸配列、またはそれらの機能的に等価な改変体を有するが、該FGFモノマーは、アミノ酸番号100(配列番号3)において少なくとも1つのシステイン残基を含む、薬学的組成物。
  16. 請求項13に記載の薬学的組成物であって、ここで、FGFモノマーの両方は、配列番号7に対応するアミノ酸配列、またはそれらの機能的に等価な改変体を有するが、該FGFモノマーは、アミノ酸番号81およびアミノ酸番号100(配列番号4)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのシステイン残基を含む、薬学的組成物。
  17. 天然に存在するシステインの少なくとも1つが、保存的置換または非保存的置換を含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
  18. 前記FGFモノマーの両方が、前記ネイティブFGFモノマーにおいて存在しないシステイン残基を含む、請求項13に記載の薬学的組成物。
  19. 少なくとも1つのFGFモノマーが、配列番号2に対応するアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の薬学的組成物。
  20. 少なくとも1つのFGFモノマーが、配列番号3に対応するアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の薬学的組成物。
  21. 少なくとも1つのFGFモノマーが、配列番号4に対応するアミノ酸配列を有する、請求項13に記載の薬学的組成物。
  22. 前記2つのFGFモノマーが、化学結合によって互いに連結される、請求項2に記載の薬学的組成物。
  23. 前記2つのFGFモノマーが、ジスルフィド結合によって互いに連結される、請求項2に記載の薬学的組成物。
  24. 前記改変が、前記FGFモノマーの少なくとも1つにおいて存在し、かつ該モノマーの9個のN末端アミノ酸残基のうちの少なくとも1つの欠失である、請求項2に記載の薬学的組成物。
  25. 前記モノマーの9個のN末端アミノ酸残基全てが欠失されている、請求項24に記載の薬学的組成物。
  26. 前記FGFモノマーの両方が、前記9個のN末端アミノ酸残基のうちの少なくとも1つの欠失を含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
  27. 前記ダイマーが、HLGAGと複合体化されている、請求項2に記載の薬学的組成物。
  28. 前記ペプチドリンカーが、GAL、GAR、およびGARGからなる群より選択される、請求項9に記載の薬学的組成物。
  29. 前記ペプチドリンカーが、プロテアーゼ部位またはRGDのようなインテグリン結合配列を含む、請求項9に記載の薬学的組成物。
  30. 前記モノマーのN末端において、プロテアーゼ部位またはインテグリン結合配列からなる群より選択される配列をさらに含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
  31. 前記FGFダイマーが、微粒子中に処方される、請求項2〜30のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
  32. FGFダイマーであって、該FGFダイマーが、ペプチドリンカーを介して互いに連結された2つのFGFモノマーより構成されるFGFダイマーを含む、FGFダイマー。
  33. 薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項32に記載のFGFダイマー。
  34. 前記FGFダイマーが、被験体への送達のために処方される、請求項32に記載のFGFダイマー。
  35. 前記ダイマーが、HLGAGと複合体化されている、請求項34に記載のFGFダイマー。
  36. 少なくとも1つのFGFモノマーが、配列番号1に対応するアミノ酸配列またはそれらの機能的に等価な改変体を有する、請求項32に記載のFGFダイマー。
  37. 前記ペプチドリンカーが、GAL、GAR、およびGARGからなる群より選択される、請求項32に記載のFGFダイマー。
  38. 前記ペプチドリンカーが、プロテアーゼ部位またはRGDのようなインテグリン結合配列を含む、請求項32に記載のFGFダイマー。
  39. シグナル伝達を増進させるための方法であって、該方法は、以下の工程:
    シグナル伝達を増進させるために有効な量の請求項1〜30または32〜36のいずれか1項に記載のFGFダイマーと、細胞とを接触させる工程、
    を包含する、方法。
  40. 発作を処置するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    互いに連結された2つのFGFモノマーより構成される安定化したFGFダイマーおよび薬学的に受容可能なキャリアを、発作を処置するために有効な量で、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  41. 前記安定化したFGFダイマーが請求項1に記載の組成物である、請求項40に記載の方法。
  42. 発作を処置するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    請求項2〜30または請求項32〜38のいずれか1項に記載のFGFダイマーの組成物を、発作を処置するために有効な量で、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  43. 前記被験体がヒトである、請求項40に記載の方法。
  44. 前記被験体に前記FGFダイマーを投与する前に、HLGAGと一緒にプレインキュベートする工程をさらに包含する、請求項40に記載の方法。
  45. 新脈管形成を促進するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    互いに連結された2つのFGFモノマーより構成される安定化したFGFダイマーおよび薬学的に受容可能なキャリアを、新脈管形成を促進するために有効な量で、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  46. 前記安定化したFGFダイマーが請求項1に記載の組成物である、請求項45に記載の方法。
  47. 新脈管形成を促進するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    請求項2〜30または請求項32〜38のいずれか1項に記載のFGFダイマーの組成物を、新脈管形成を促進するために有効な量で、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  48. 前記方法が、創傷治癒を促進するための方法である、請求項45に記載の方法。
  49. 前記方法が、側副血管形成を促進するための方法である、請求項45に記載の方法。
  50. 前記FGFダイマーを、前記被験体に投与する前に、HLGAGと一緒にプレインキュベートする工程をさらに包含する、請求項45に記載の方法。
  51. 神経再生を促進するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    互いに連結された2つのFGFモノマーより構成される安定化したFGFダイマーおよび薬学的に受容可能なキャリアを、神経再生を促進するために有効な量で、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  52. 前記安定化したFGFダイマーが請求項1に記載の組成物である、請求項51に記載の方法。
  53. 神経再生を促進するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    請求項2〜30または請求項32〜38のいずれか1項に記載のFGFダイマーの組成物を、神経再生を促進するために有効な量でそれらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  54. 前記FGFダイマーを、前記被験体に投与する前に、HLGAGと一緒にプレインキュベートする工程をさらに包含する、請求項51に記載の方法。
  55. 心疾患および心臓手術における心筋損傷を予防するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    心筋損傷を予防するために有効な量の、互いに連結された2つのFGFモノマーおよび薬学的に受容可能なキャリアより構成される安定化したFGFダイマーを、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  56. 前記安定化したFGFダイマーが請求項1に記載の組成物である、請求項55に記載の方法。
  57. 心疾患および心臓手術における心筋損傷を予防するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    心筋損傷を予防するために有効な量の、請求項2〜30または請求項32〜38のいずれか1項に記載のFGFダイマーの組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  58. 前記FGFダイマーを、前記被験体に投与する前に、HLGAGと一緒にプレインキュベートする工程をさらに包含する、請求項55に記載の方法。
  59. 神経系疾患を処置または予防するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    神経系疾患を処置または予防するために有効な量の、互いに連結された2つのFGFモノマーおよび薬学的に受容可能なキャリアより構成される安定化したFGFダイマーを、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  60. 前記安定化したFGFダイマーが請求項1に記載の組成物である、請求項59に記載の方法。
  61. 神経系疾患を処置または予防するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    神経系疾患を処置または予防するために有効な量の、請求項2〜30または請求項32〜38のいずれか1項に記載のFGFダイマーの組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  62. 前記神経系疾患が、中枢神経系の疾患である、請求項59に記載の方法。
  63. 前記神経系疾患が、末梢神経系の疾患である、請求項59に記載の方法。
  64. FGFダイマー結合化合物を同定するためのスクリーニングアッセイであって、該アッセイは、以下の工程:
    化合物のライブラリーと請求項1〜25または28〜34のいずれか1項に記載のFGFダイマーとを接触させる工程、およびFGFダイマー結合化合物を同定するためにFGFダイマーに結合する化合物を同定する工程
    を包含する、アッセイ。
  65. 請求項64に記載のアッセイに従って同定された、FGFダイマー結合化合物。
  66. 請求項64に記載のアッセイであって、該アッセイはさらに、前記FGF結合化合物がFGFダイマーとFGFレセプターとの相互作用をブロックし得るかどうかを決定することにより、該FGF結合化合物がFGFインヒビターであるかどうかを決定する工程を包含する、アッセイ。
  67. 請求項66に記載のアッセイに従って同定された、FGFインヒビター。
  68. 請求項67に記載のFGFインヒビターを前記被験体に投与することによって、被験体におけるFGF活性を阻害するための方法。
  69. 癌を処置するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    癌を処置するために有効な量の、請求項67に記載のFGFインヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  70. 新脈管形成を阻害するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    新脈管形成を阻害するために有効な量の、請求項67に記載のFGFインヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  71. 慢性炎症を処置するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    慢性炎症を処置するために有効な量の、請求項67に記載のFGFインヒビターおよび薬学的に受容可能なキャリアを、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  72. FGF感受性障害を処置または予防するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    FGFRを活性化するために有効な量の、請求項2〜30または請求項32〜38のいずれか1項に記載のFGFダイマーの組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  73. FGF感受性障害を処置または予防するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    FGFRを活性化するために有効な量の、互いに連結された2つのFGFモノマーより構成される安定化したFGFダイマーおよび薬学的に受容可能なキャリアを、それらを必要とする被験体に投与する工程
    を包含する、方法。
  74. 前記安定化したFGFダイマーが請求項1に記載の組成物である、請求項73に記載の方法。
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