JP2005350625A - アクリル系粘着剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

アクリル系粘着剤組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱曲面接着性と初期粘着力が両立できるように低分子成分の生成量を適度にコントロールできるアクリル系粘着剤の製造方法、並びに当該製造方法で得られる有機溶剤型のアクリル系粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50〜100重量部とこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体50〜0重量部とを含有するアクリル系単量体を、開始剤を用いて有機溶剤中で重合させる工程を含むアクリル系粘着剤の製造方法において、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応のうち、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、開始剤を用いてアクリル系単量体を有機溶剤中で重合させるアクリル系粘着剤の製造方法、並びに当該製造方法で得られる有機溶剤型のアクリル系粘着剤組成物に関する。
従来、アクリル系粘着剤を溶液重合で作製する方法としては、重合前段で主反応を行い、重合率を上げるために未反応単量体を重合させるべく、主反応よりも温度を大きく上昇させて、熟成反応を行うのが一般的であった(例えば、特許文献1〜2参照)。しかしながら、この方法では重合率は上昇するものの、高温で一気に熟成反応するために、低分子成分が多く生じすぎてしまい、その結果、重量平均分子量/数平均分子量の値も大きくなり、耐熱性や曲面接着性が悪化するという課題があった。
また、アクリル系粘着剤を溶液重合で作製する他のよく知られた方法として、特許文献3〜4に開示されているように、低分子成分の生成を極力少なくするために、重合温度と熟成温度を同じ温度で行う方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法では、逆に低分子成分の生成が非常に少なくなり、その結果、重量平均分子量/数平均分子量の値が小さくなり、被着体との界面での濡れ性が悪くなることにより、初期の粘着力が低下するという問題があった。
特開平10−130305号公報 特開2002−69411号公報 特許第3357100号公報 特開平5−70752号公報
そこで、本発明の目的は、上記のような事情に照らし、耐熱曲面接着性と初期粘着力が両立できるように低分子成分の生成量を適度にコントロールできるアクリル系粘着剤の製造方法、並びに当該製造方法で得られる有機溶剤型のアクリル系粘着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、アクリル系単量体の溶液重合に際し、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応のうち、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で少なくとも二回行われることにより、溶液重合を完結させるようにすると、耐熱性や曲面接着性と粘着力が両立できるアクリル系粘着剤を製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のアクリル系粘着剤の製造方法は、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50〜100重量部とこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体50〜0重量部とを含有するアクリル系単量体を、開始剤を用いて有機溶剤中で重合させる工程を含むアクリル系粘着剤の製造方法において、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応のうち、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われることを特徴とする。
本発明の製造方法によると、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われるため、実施例の結果が示すように、低分子成分の生成を適度にコントロールしながら、主反応が終了した重合体の重合率を更に高めることができる。その結果、耐熱曲面接着性と初期粘着力が両立できるアクリル系粘着剤を製造することができる。
上記において、前記開始剤の10時間半減期温度と、前記主反応温度、および二回の熟成温度が以下の関係にあることが好ましい。
a)開始剤の10時間半減期温度−11[℃]≦主反応温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度−3[℃]
b)開始剤の10時間半減期温度−2[℃]≦1回目の熟成温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度+4[℃]
c)開始剤の10時間半減期温度+5[℃]≦2回目の熟成温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度+9[℃]
このように温度条件を設定することで、主反応では効率良く重合反応を行って適度な重量平均分子量の重合体が得られ、1回目の熟成反応では低分子成分の生成を適度に抑えながら重合率を高めることができ、更に二回目の熟成反応で、一定量の低分子成分を生成させながら、重合率を高めることができる。
また、前記開始剤の10時間半減期温度が、60℃〜75℃であることが好ましい。このような開始剤を用いると、耐熱曲面接着性と初期粘着力に優れたアクリル系粘着剤組成物が得られ易くなる。
また、前記有機溶媒は、芳香族系有機溶剤を50重量%以上含有するものであることが好ましく、特に前記芳香族系有機溶剤がトルエンであることが好ましい。芳香族有機溶剤は活性炭に吸着し易く、溶剤回収装置での使用に都合が良く、またコスト的も優れている。
本発明の有機溶剤型のアクリル系粘着剤組成物は、上記いずれかに記載のアクリル系粘着剤の製造方法で製造され、重量平均分子量が40万〜70万、重量平均分子量/数平均分子量が4〜8であり、重量平均分子量10万以下の重合体を全重合体中の20〜30重量%含有することを特徴とする。このような、アクリル系粘着剤組成物は、適度な重量平均分子量、分子量分布、低分子量成分を有するため、耐熱曲面接着性と初期粘着力に優れたものとなる。
本発明の製造方法には、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とを含有するアクリル系単量体を用いる。その際、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、必要に応じて、これと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体を加える。
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、全アクリル系単量体中、50〜100重量部の割合で用いられ、また、上記の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体は、全アクリル系単量体中、50〜0重量部の割合で用いられる。
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)メタクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、性能、コスト、汎用性から、アルキル基の炭素数が2〜10であるものが好ましく、特に、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
また、上記の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。モノエチレン性不飽和単量体としては、性能、コスト、汎用性から(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好適に用いられる。
これらのうち、(メタ)アクリル酸のようなカルボキシル基含有モノマーは、通常は1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部、より好ましくは1〜3重量部を(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部と共重合して用いられる。
本発明の製造方法は、上記のアクリル系単量体を、開始剤を用いて有機溶剤中で重合させる工程を含む。重合開始剤は、溶液中に一括して添加しても良いし、滴下して添加しても良い。
重合開始剤の添加量は、モノマー100重量部に対して0.001〜5重量部程度が好ましい。重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤など特に限定されるものではない。また、重合開始剤は1種類を選択し使用しても良いし、複数の開始剤を併用しても良い。
本発明において、複数の開始剤を使用する場合、複数の開始剤の中で最も添加部数の多い開始剤の10時間半減期温度を、本発明でいうところの10時間半減期温度と定義する。また、複数の開始剤の中で最も添加部数の多い開始剤が2種類以上である場合は、その中で10時間半減期温度が最も高い温度である開始剤の10時間半減期温度を本発明でいうところの10時間半減期温度と定義する。なお、10時間半減期温度とは、ベンゼン中で開始剤が分解・半減するまでに10時間かかる場合の温度条件を指し、開始剤の熱に対する特性を示す指標である。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)(10時間半減期温度:65℃)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下、AMBNという)(10時間半減期温度:67℃)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(10時間半減期温度:67℃)、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸(10時間半減期温度:68℃)などが挙げられる。過酸化物系開始剤としては過酸化ベンゾイル(10時間半減期温度:74℃)などが挙げられる。
また、開始剤の10時間半減期温度は、60℃〜75℃であるとなおよい。60℃未満であると重合反応が起こらなかったり、重合率が低下したりする。75℃を超えると低分子成分が重合初期に多く生成しすぎ耐熱曲面接着性が悪化する。より好ましくは、開始剤の10時間半減期温度は63〜68℃である。
なかでも、アゾ系開始剤は、これを用いたラジカル重合により上記のアクリル系単量体を付加重合させたときに、有機過酸化物やその他のラジカル開始剤を用いて付加重合させたときよりも、開始剤の分解物が加熱発生ガス成分としてアクリル系重合体中に残留しにくいので、アゾ系開始剤が好適に用いられる。
本発明の製造方法は、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応とを有し、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われることを特徴とする。その際、熟成反応の温度は、主反応の温度より高いことが好ましく、2回目の熟成温度は1回目の熟成温度より高いのが好ましい。より好ましくは、1回目の熟成温度が主反応の温度より5℃以上高く、2回目の熟成温度が1回目の熟成温度より5℃以上高い場合である。
重合初期の段階で低分子成分の生成を抑制するために、主反応は次に示す温度で行うのが好ましい。
開始剤の10時間半減期温度−11[℃]≦主反応温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度−3[℃]
ここでいう主反応とは、重合開始後に重合率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上となるまでの反応のことをいう。重合率が80%未満であると、多くの残存モノマーが熟成反応、つまり高温で重合されることにより、低分子成分が多く生成しすぎ、耐熱曲面接着性が悪化する。ここでいう重合率とは次のように決定される値である。
アクリル系重合体の溶液約1gを正確に秤量し、乾燥機を用いて130℃で3時間乾燥させ、再度秤量する。この乾燥重量を溶液重量で除して求めた固形分測定値(%)と、重合時の仕込み比から求めた固形分計算値(%)から、以下の式により、重合率を求めた。
重合率(%)=固形分測定値(%)/固形分計算値(%)×100
本発明においては、前述のアクリル系単量体を前述の開始剤を用いて、溶液重合する。その際、用いる有機溶剤には、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶液、シクロへキサン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶液、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤などがある。これらの有機溶剤は、その1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合使用してもよい。
本発明では芳香族有機溶剤が50重量%以上であることが好ましい。一般的に有機溶剤型粘着剤の作製には多くの有機溶剤を使用する。これは石油資源の枯渇の問題や、有機溶剤の大気放出という観点から好ましいことではない。よって、製造時に使用した有機溶剤は回収し、再利用されることが好ましい。そういった観点から見ると、芳香族有機溶剤は活性炭に吸着し易く、溶剤回収装置での使用に都合が良く、またコスト的も優れている。
上記以外の有機溶媒としては、酢酸エチルやメチルエチルケトン(MEK)のようなケトン類が挙げられるが水蒸気脱着タイプの溶剤回収装置では爆発の問題が有り、コスト的も高い場合が多い。また、メタノールやエチルアルコール、アルコール類もあるが、活性炭に吸着し難い、コスト的に高いという問題が有る。また、これら有機溶媒の1部は親水性が高く、水質汚染を生じる可能性があると言う問題も有る。よって、有機溶剤型粘着剤の作製に用いる有機溶剤としてはコスト、溶剤回収装置の効率、環境への負荷、使いやすさ等を考慮すると、芳香族有機溶剤をメインの溶剤、つまり芳香族有機溶剤が50重量%以上であることが良い。また、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。また、用いる芳香族有機溶剤は、コスト、汎用性の面からトルエンがより好ましい。
本発明でいうところの溶液重合は、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応のうち、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われる。まず主反応が行われ、主反応終了後に温度を上昇させ、温度一定で一回目の熟成反応を行い、その後さらに温度を上昇させ、温度一定で二回目の熟成反応を行う。各熟成反応は、温度一定に保っている時間が1時間以上であることが好ましい。1時間未満であると、十分な反応が行われず、二段階に分ける意味が無くなるからである。
また、前記開始剤の10時間半減期温度と、前記主反応温度、および二回の熟成温度が以下の関係にあることが好ましい。
a)開始剤の10時間半減期温度−11[℃]≦主反応温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度−3[℃]
b)開始剤の10時間半減期温度−2[℃]≦1回目の熟成温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度+4[℃]
c)開始剤の10時間半減期温度+5[℃]≦2回目の熟成温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度+9[℃]、である。
より好ましい主反応温度、熟成温度は以下の関係にある。
a)開始剤の10時間半減期温度−10[℃]≦主反応温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度−1[℃]
b)開始剤の10時間半減期温度−2[℃]≦1回目の熟成温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度+2[℃]
c)開始剤の10時間半減期温度+5[℃]≦2回目の熟成温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度+9[℃]である。
ここで、主反応は上式の温度で少なくとも4時間以上実施することが好ましい。なお、熟成反応を3回以上とする場合、例えば1回目の熟成反応をb)の温度範囲で2種以上の温度で行ったり、2回目の熟成反応をc)の温度範囲で2種の温度で行ったりすればよい。
主反応温度が開始剤の10時間半減期温度−11[℃]未満であると、重合反応が生じなかったり、生じたとしても反応に長時間を要したりして生産効率が悪く、また得られた重合体の重量平均分子量が非常に大きくなり、初期粘着力が悪化する。また、主反応温度が開始剤の10時間半減期温度−3[℃]を超えると、得られた重合体の重量平均分子量が小さくなり、耐熱曲面接着性が悪化する。
また、1回目の熟成温度が開始剤の10時間半減期温度−2[℃]未満であると、主反応温度とあまり変わらず、熟成の意味を持たない。また、1回目の熟成温度が10時間半減期温度+4[℃]を超えると、一気に低分子成分が多くできてしまい、熟成反応を二回に分ける意味が小さくなる。
最後に一定量の低分子成分を生成させるために、二回目の熟成温度は開始剤の10時間半減期温度+5[℃]以上である。開始剤の10時間半減期温度+5[℃]未満であると、重合率が低下したり、低分子成分の生成が少なく、重量平均分子量/数平均分子量が小さくなりすぎ、初期粘着力が悪化してしまう。一方、二回目の熟成温度が開始剤の10時間半減期温度+9[℃]を超えると、一気に多くの低分子成分が生成し、初期粘着力が悪化する。このように、熟成反応を異なる温度でニ回行うのは、低分子量成分の生成を、少なすぎず、多すぎず、という具合にコントロールするためである。
本発明の有機溶剤型のアクリル系粘着剤組成物は、本発明の製造方法にて作製されたものであり、その重量平均分子量は、40万〜70万、より好ましくは45万〜60万である。重量平均分子量が40万未満であると、耐熱曲面接着性悪化する。70万を超えると初期粘着力が悪化する。
また、アクリル系粘着剤組成物は、分子量分布の指標となる、重量平均分子量/数平均分子量が4〜8、好ましくは5〜7である。重量平均分子量/数平均分子量が4未満になると、低分子成分が少なすぎ、初期粘着力が悪化する。8を超えると低分子成分が多くなりすぎ、耐熱曲面接着性が悪化する。
更に、アクリル系粘着剤組成物は、重量平均分子量10万以下の重合体が全体の20〜30重量%含有されることが好ましい。20重量%未満になると、初期粘着力が悪化する。30重量%を超えると耐熱曲面接着性が悪化する。
本発明においては、必要により、上記特徴を損なうことない範囲で、従来公知の各種の添加剤、たとえば、粘着付与剤、架橋剤、充填剤、顔料、染料、老化防止剤などを通常の使用量で配合することができる。また、アクリル系粘着剤組成物を使用する際に、架橋剤、硬化剤、触媒などを添加することも可能である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(分子量)
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で分子量を測定した。具体的には東ソー社製HLC8120GPCを用いた。カラムはカラムサイズ6.0mmI.D.×150mmのTSKgel superHM−H/H4000/H3000/H2000を用いた。THFを溶離液として、流速0.6ml/min、カラム温度40℃、20μlの注入量で屈折率計(RI)を検出機として測定を行った。この時注入するポリマー濃度は0.1wt%(THF溶液)であった。また、フィルターを通してサンプルは注入前にゴミを除去した。
(粘着力の測定)
作製した両面テープを20mm×200mmに裁断し、被着体のSUS304板とポリプロピレン(PP)板に2kgのローラーを1往復させて貼り付け、23℃、50%RHの環境下で30分放置後測定を行った。テンシロン(島津社製)を用い、クロスヘッドスピード300mm/minで引張り、180°ピールの接着力を測定した。
(保持力の測定)
作製した両面テープを10mm×100mmに裁断し、ベークライト板に貼り付け(10mm×20mm)、荷重500g、温度40℃で1時間のズレを測定した。
(耐熱曲面接着性)
両面テープを20mm×180mmに裁断してサンプルを作製した。これを0.4mm厚さのアルミ板(20mm×180mm)へ貼り合せて試験片とした。この試験片を2mm厚さのABS板(30mm×200mm)とポリプロピレン(PP)板(30mm×200mm)へ常温(23℃)下にてラミネーターを用いて強圧着し、24時間放置した。その後、図1のように弦190mmの長さに湾曲させて、70℃雰囲気に72時間投入し、各被着体からの浮き高さを測定した。
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート、および撹拌装置を備えた反応容器で、n−ブチルアクリレート100重量部、アクリル酸2重量部、酢酸ビニル8重量部、2‐ヒドロキシエチルアクリレート0.1重量部、及び重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)(10時間半減期温度:65℃)0.2重量部をトルエン/酢酸エチル(=5/5重量比)の混合溶媒172重量部に添加した。その後、室温で1時間、窒素還流を行い、次いで昇温し、主反応として58℃で6時間重合反応を行い、その後昇温し、一回目の熟成反応を65℃で2時間行い、その後さらに昇温し、二回目の熟成反応を72℃で2時間行った。得られたアクリル系粘着剤の重量平均分子量は60万、重量平均分子量/数平均分子量は5.0、重量平均分子量10万以下の重合体は全体の20重量%であった。
実施例2
有機溶媒をトルエン/酢酸エチル(=8/2重量比)の混合溶媒、主反応を56℃で6時間、熟成反応を64℃で2時間行い、その後さらに昇温し、二回目の熟成反応を73℃で3時間行った以外は実施例1と同様にしてアクリル系粘着剤を作製した。得られたアクリル系粘着剤の重量平均分子量は55万、重量平均分子量/数平均分子量は6.2、重量平均分子量10万以下の重合体は全体の22重量%であった。
実施例3
有機溶媒をトルエン/酢酸エチル(=9/1重量比)の混合溶媒、主反応を60℃で6時間、熟成反応を66℃で3時間行い、その後さらに昇温し、二回目の熟成反応を74℃で1時間行った以外は実施例1と同様にしてアクリル系粘着剤を作製した。得られたアクリル系粘着剤の重量平均分子量は52万、重量平均分子量/数平均分子量は6.9、重量平均分子量10万以下の重合体は全体の27重量%であった。
実施例4
実施例1と同じ反応容器で、n−ブチルアクリレート75重量部、2‐エチルヘキシルアクリレート25重量部、アクリル酸3重量部、4‐ヒドロキシブチルアクリレート0.05重量部、及び重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)(10時間半減期温度 65℃)0.08重量部をトルエン溶媒に添加した。その後、室温で1時間、窒素還流を行い、次いで昇温し、主反応として60℃で6時間重合反応を行い、その後昇温し、一回目の熟成反応を66℃で1時間行い、その後さらに昇温し、二回目の熟成反応を74℃で3時間行った。得られたアクリル系粘着剤の重量平均分子量は46万、重量平均分子量/数平均分子量は5.1、重量平均分子量10万以下の重合体は全体の20重量%であった。
比較例1
熟成を行わずに、58℃で12時間主反応を行った以外は、実施例1と同様にしてアクリル系粘着剤を作製した。得られたアクリル系粘着剤の重量平均分子量は65万、重量平均分子量/数平均分子量は3.5、重量平均分子量が10万以下の重合体は全体の14重量%であった。
比較例2
熟成を行わずに、72℃で8時間主反応を行った以外は、実施例2と同様にしてアクリル系粘着剤を作製した。得られたアクリル系粘着剤の重量平均分子量は38万、重量平均分子量/数平均分子量は4.2、重量平均分子量が10万以下の重合体は全体の18重量%であった。
比較例3
熟成を二回に分けずに75℃で3時間行った以外は、実施例3と同様にしてアクリル系粘着剤を作製した。得られたアクリル系粘着剤の重量平均分子量は50万、重量平均分子量/数平均分子量は8.2、重量平均分子量10万以下の重合体は全体の33重量%であった。
比較例4
熟成を二回に分けずに、80℃で3時間行った以外は、実施例4と同様にしてアクリル系粘着剤を作製した。得られたアクリル系粘着剤の重量平均分子量は36万、重量平均分子量/数平均分子量は5.6、重量平均分子量10万以下の重合体は全体の25重量%であった。
[アクリル系粘着テープの作製]
実施例1〜4及び比較例1〜4で作製したアクリル共重合体100重量部に、粘着付与樹脂として夕マノル803(ロジンフェノール樹脂:荒川化学工業製)を10重量部、エステルガムH(水添ロジングリセリンエステル:荒川化学工業製)を10重量部、ペンタリンCJ(重合ロジンペンタエリスリトールエステル:理化ファインテク)を10重量部配合し、さらに架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製の商品名「コロネ−トL」)を2重量部を加えて、アクリル系粘着剤溶液とした。このアクリル系粘着剤溶液をシリコーン系剥離剤を塗布した剥離ライナー(商品名 NS‐50、リンテック社製)に塗布し、100℃で3分乾燥して厚さ70μmの粘着剤層を設け、これを不織布基材(大福製紙株式会社製『SP原紙−14』)の両面に貼り合せ、その後50℃で48時間加熱することにより架橋硬化させ、両面テープを作製した。
これらを用いて、粘着力、保持力、及び耐熱曲面接着性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2005350625
上記の表1から明らかなように、アクリル系単量体を溶液重合する場合に、本発明の構成を採用する実施例1〜4の方法によれば、本発明の構成を採用しない比較例1〜4の方法に比べて、低分子成分の生成量を適度にコントロールでき、そのため耐熱曲面接着性と初期粘着力が両立できていることがわかる。
実施例等における耐熱曲面接着性の測定方法を示す説明図

Claims (6)

  1. アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体50〜100重量部とこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体50〜0重量部とを含有するアクリル系単量体を、開始剤を用いて有機溶剤中で重合させる工程を含むアクリル系粘着剤の製造方法において、重合前段の主反応と重合後段の熟成反応のうち、重合後段の熟成反応がそれぞれ異なる温度で二回以上行われることを特徴とするアクリル系粘着剤の製造方法。
  2. 前記開始剤の10時間半減期温度と、前記主反応温度、および二回の熟成温度が以下の関係にある請求項1記載のアクリル系粘着剤の製造方法。
    a)開始剤の10時間半減期温度−11[℃]≦主反応温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度−3[℃]
    b)開始剤の10時間半減期温度−2[℃]≦1回目の熟成温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度+4[℃]
    c)開始剤の10時間半減期温度+5[℃]≦2回目の熟成温度[℃]≦開始剤の10時間半減期温度+9[℃]
  3. 前記開始剤の10時間半減期温度が、60℃〜75℃である請求項1又は2に記載のアクリル系粘着剤の製造方法。
  4. 前記有機溶媒は、芳香族系有機溶剤を50重量%以上含有するものである請求項1〜3いずれかに記載のアクリル系粘着剤の製造方法。
  5. 前記芳香族系有機溶剤がトルエンである請求項4記載のアクリル系粘着剤の製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載のアクリル系粘着剤の製造方法で製造され、重量平均分子量が40万〜70万、重量平均分子量/数平均分子量が4〜8であり、重量平均分子量10万以下の重合体を全重合体中の20〜30重量%含有することを特徴とする有機溶剤型のアクリル系粘着剤組成物。
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