JP2005335333A - スクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】環境保全に配慮された遮光層３０ａを有する基材シート３０上に当落等を表す個別情報１１が印刷され、易剥離層３２を介してスクラッチ隠蔽層３４が施され、最表面にフレキソ印刷によるフルカラー印刷層３６が設けられているスクラッチ隠蔽層付印刷物１であって、該フルカラー印刷層３６の調子再現性に優れる表面を有し、さらにスクラッチオフ後のＯＣＲによる読取り適性と機械搬送適性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷物及びその製造方法の提供にある。
【解決手段】中間に遮光層３０ａを有する基材シート３０は、坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２
の範囲で、その片面の個別情報１１が印刷される印刷領域に白インキによる白色下地アンカー層３１が施され、その反射率は７０％以上であるスクラッチ隠蔽層付印刷物１である。
【選択図】図１

Description

本発明は、籤券等スクラッチ隠蔽層付印刷物に関するものであり、さらに詳細には、スクラッチ隠蔽層上にフルカラー印刷層を設けて偽造防止とデザイン性の向上を図り、かつスクラッチオフ後の当落等を表す個別情報の機械読み取り適性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法に関する。

従来、例えば、インスタント籤券やゲーム用のカードなどにおいて、「当たり」、「外れ」あるいは等級、それらに該当する絵柄や記号などの個別情報を隠蔽するために、隠蔽性とスクラッチオフ性（引っ掻き落とし易さ性）を有するインキによりその個別情報を隠蔽し、購入した顧客あるいは販売所等がそのスクラッチ隠蔽層をコインや爪等でスクラッチオフしてこの個別情報を視認あるいは読み取るスクラッチ隠蔽層付印刷物が知られ、種々の分野で利用されている。

上記のスクラッチ隠蔽層付印刷物として、例えば図３の積層断面図に示すように、用紙などでなる基材シート（３０）の上に絵柄、文字、数字などの個別情報（１１）が印刷されていて、その個別情報（１１）を覆うように透明な剥離ニスなどによる易剥離層（３２）が形成され、その易剥離層（３２）の上にアルミニウム粉末等を含むスクラッチ隠蔽層（３４）が施されているもので、さらにこのスクラッチ隠蔽層（３４）を隠してデザイン性と美粧性を備え、かつこのスクラッチ隠蔽層（３４）の再生という偽造防止のためのフルカラー印刷層（３６）が最表面の全面に設けられているスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）がある（例えば、特許文献１参照。）。

上記のスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）を購入した顧客あるいは販売した販売所等がコインや爪、あるいは専用のスクラッチ剥離装置等でスクラッチ隠蔽層（３４）をスクラッチオフ（引っ掻き落とすこと）して、「当たり」、「外れ」など、あるいはそれに該当する絵柄、記号などの個別情報（１１）を目視で、あるいは個別情報（１１）がバーコードや暗証記号等視認では内容が判らないものの場合などでは専用のＯＣＲ（光学式文字記号読取り装置）による読取りで認識できるようになっている。

なお、上記専用のＯＣＲによる読み取りは、上記のように販売所等でバーコードや暗証記号等を個別情報（１１）とする場合の他、例えば籤券（スクラッチ隠蔽層付印刷物）の発行元で回収された当たり券や売れ残った券の決算処理をする場合、大量のＯＣＲによる読み取りが必要となる。従ってスクラッチ隠蔽層付印刷物にはＯＣＲによる読み取り適性とその機械搬送適性が要求されるものである。

しかし、上記フルカラー印刷層（３６）の形成に用いる印刷方式は、通常のオフセットプロセスインキであるとインキの粘度が高く、印刷時にスクラッチ隠蔽層（３４）が剥がれる危険性がある。また、いわゆるゴム系のカラーインキを用いるとスクラッチインキと同じ物性を確保できるから ゴム系樹脂を採用するのが好ましい。よって、このようなイキを用いたフルカラー印刷は、アニロックスローラを介してインキを転移するフレキソ印刷法であるとゴム系樹脂を選定することができ、また、低粘度での印刷を実現できるので最適として採用されている。

しかし、このフレキソ印刷は、特に高速印刷する場合、使用される用紙（基材シート）の表面平滑度が低いとフルカラー印刷を構成する網点が抜ける（飛ぶ）現象が発生し、十分なフルカラー（色階調）の再現ができないという問題点があった。

また、上記スクラッチ隠蔽層付印刷物（１）を、スクラッチオフ前（不正）に強光源にかざして当落等を表す個別情報（１１）の内容を見られないようにするため、例えば図４の積層断面図に示すように、基材シート（３０）の裏面で個別情報（１１）が印刷されている部分に黒色系（濃茶、濃紺等）のインキでべた印刷して遮光層（３０ａ）を形成しているものがある。

しかしながら、上記のように裏面に黒べただけの遮光層（３０ａ）を設けたものでは、個別情報（１１）の印刷濃度を高くして上記で述べたＯＣＲによる（読み取り）適性を満たす必要性があることから、遮光層（３０ａ）の濃度を低くして、個別情報（１１）のＰＣＳ値（ベースとのコントラスト）を上げる必要があり、そのため遮光層（３０ａ）に十分な遮光性を確保することが困難になるという問題点に加え、裏面のデザイン性に欠け、さらに裏面に説明文等を入れるスペースが制限されるという問題点があった。

上記のような十分な遮光性の確保やデザイン性、説明文等のスペースの確保等問題を解決する方法として、紙と紙の間にアルミニウム箔を積層した遮光紙を基材シートとする方法があるが、このアルミニウム箔を積層した遮光紙は、廃棄物としての焼却処理やその焼却灰の埋め立てで有害ガスが発生するなど環境上問題があることから、例えば図５の積層断面図に示すように、基材シート（３０）の中間に環境問題のない遮光層（３０ａ）を設けたものがあり、具体的には、例えば塗工紙の塗工面に強光源からの光を遮る黒色系の塗料からなる高遮光層（３０ａ）を形成し、この高遮光層（３０ａ）上に接着剤を介して別の塗工紙の塗工面を接着して高遮光性の基材シート（３０）とする方法のものがある（例えば、特許文献２参照。）。

以下に、上記先行技術文献を示す。
特開平１１−１５７２６６号公報 特開２００３−１５５６９８号公報

しかし、上記の中間に遮光層を設けた基材シートでは、裏面のデザイン性や説明文等のスペースの確保の問題は解決できるが、例えば少なくとも個別情報が印刷される側の塗工紙が薄い（厚みがない）場合には、ＯＣＲによる（読み取り）適性を満たす必要性から遮光層（３０ａ）に十分な遮光性の確保が困難になり、しからば塗工紙を厚みのあるものとすると、ＯＣＲの搬送適性に不具合が発生する。すなわち搬送部に曲がった箇所があり、例えば厚いと曲がり難い塗工紙（基材シート）が対応できなくなり搬送トラブルが発生したり、２枚差し防止機能部のスプリングの制御ができないといったトラブルである。

本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、裏面にデザイン性と説明文等を入れるスペースが確保でき、かつ環境保全に配慮された遮光層を有する基材シート上に文字、数字などの個別情報が印刷され、該個別情報を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施され、このスクラッチ隠蔽層を覆うようにフルカラー印刷層が最表面の全面に設けられているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記基材シートが高速のフレキソ印刷方式でもフルカラー印刷層の調子再現性に優れる表面を有し、さらにスクラッチオフ後のＯＣＲによる読み取り適性に優れ、かつＯＣＲの機械搬送適性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法を提供することにある。

本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項１の発明では、中間に遮光層を有する基材シートの片面に、当落や等級等を表す個別情報が印刷され、該印刷された個別情報を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施され、該スクラッチ隠蔽層上を含め該基材シートの片面全面にフルカラー印刷層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記基材シートは、坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２ の範囲であり、該基材シートの片面の個別情報が印刷される部分に白インキによる白色下地アンカー層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。

また、請求項２の発明では、前記白色下地アンカー層は、反射率７０％以上であることを特徴とする請求項１記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。

また、請求項３の発明では、前記印刷された個別情報のＰＣＳ値がＢフィルターで０．７以上、Ｈフィルターで０．７５以上であることを特徴とする請求項１乃至２のいずれかに記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。

また、請求項４の発明では、少なくとも前記基材シートの個別情報およびフルカラー印刷層が形成されている面のＪＩＳ−Ｐ−８１１９に準拠した平滑度が１００秒以上であることを特徴とする請求項１記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。

また、請求項５の発明では、中間に遮光層を有する基材シートの片面に、当落や等級等を表す個別情報を印刷し、該印刷した個別情報を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施し、該スクラッチ隠蔽層上を含め該基材シートの片面全面にフルカラー印刷層を形成するスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記基材シートに、坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２ の範囲のものを使用し、この基材シートの片面の個別情報を印刷する部分に白インキによる白色下地アンカー層を形成せしめることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。

また、請求項６の発明では、前記白色下地アンカー層を反射率７０％以上になるように形成せしめることを特徴とする請求項５記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。

また、請求項７の発明では、前記印刷した個別情報のＰＣＳ値をＢフィルターで０．７以上、Ｈフィルターで０．７５以上にすることを特徴とする請求項５乃至６のいずれかに記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。

さらにまた、請求項８の発明では、前記フルカラー印刷層の形成を、フレキソ印刷法で行い、少なくとも前記基材シートの前記個別情報およびフルカラー印刷層が形成される面のＪＩＳ−Ｐ−８１１９に準拠した平滑度が１００秒以上のものを使用することを特徴とする請求項５記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。

上記請求項３および請求項７でいうＰＣＳ値とは、Ｐｒｉｎｔ Ｃｏｎｔｒａｓｔ Ｓｉｇｎａｌの略で、コントラストを（個別情報の）画線と（ベース）被印刷体の相対反射率で表し、次式で計算される濃度であって、
ＰＣＳ＝（被印刷体の反射率）−（画線の反射率）／（被印刷体の反射率）
で表される。

本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。

即ち、上記請求項１に係る発明によれば、中間に遮光層を有する基材シートの片面に、当落や等級等を表す個別情報が印字され、該印字された個別情報を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施され、該スクラッチ隠蔽層上を含め該基材シートの片面全面にフルカラー印刷層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記基材シートを、坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２ の範囲の薄いものとすることによって、ＯＣＲの搬送部で容易に曲げられ、かつ２枚差し防止機能部での制御ができる搬送適性に優れ、さらに基材シート片面の個別情報が印字される部分に白インキによる白色下地アンカー層を施すことによって、たとえ中間に遮光層が施された薄い基材シートでも、この白インキによる白色下地アンカー層で遮光層が隠蔽され、スクラッチオフ後の濃度のある個別情報を読み取るためのＯＣＲ（読取り）適性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。

上記基材シートの坪量が１８０ｇ／ｍ２ を越えると、白色下地アンカー層がなくとも白色度が維持されるが、ＯＣＲの搬送部で曲がらなくなり、かつ２枚差し防止機能部での制御ができなくなって搬送に関する機械適性を満たさなくなり、逆に７５ｇ／ｍ２ に満たないと基材シートが搬送するには薄過ぎるのでジャミング現象を起こし易くなるので好ましくない。

また、上記請求項２に係る発明によれば、白色下地アンカー層の反射率を７０％以上とすることによって、基材シートの中間にある遮光層の黒さをこの白色で隠蔽し、基材シートの薄さをカバーし、ＯＣＲの読取り適性を向上させることができる。

また、上記請求項３に係る発明によれば、前記印刷された個別情報のＰＣＳ値をＢフィルターで０．７以上、Ｈフィルターで０．７５以上とすることによって、個別情報を読み取るＯＣＲ（読取り）適性に優れ、誤読取りや読取り不良などのないスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。

また、上記請求項４に係る発明によれば、少なくとも前記基材シートの個別情報およびフルカラー印刷層が形成される面のＪＩＳ−Ｐ−８１１９に準拠した平滑度を１００秒以上とすることによって、高速のフレキソ印刷法によっても、網点飛びなどのない調子再現性に優れたフルカラー印刷層が形成されたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。

また、上記請求項５に係る発明によれば、中間に遮光層を有する基材シートの片面に、当落や等級等を表す個別情報を印刷し、該印刷した個別情報を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施し、該スクラッチ隠蔽層上を含め該基材シートの片面全面にフルカラー印刷層を形成するスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２ の範囲の薄い基材シートを用いることによって、ＯＣＲの搬送部で容易に曲げられ、かつ２枚差し防止機能部での制御ができて、ＯＣＲの搬送適性に優れるようになり、さらに基材シート片面の個別情報が印刷される部分に白インキによる白色下地アンカー層を設ける製造方法とすることによって、たとえ中間に遮光層が施された薄い基材シートとしても、この白インキによる白色下地アンカー層で遮光層を隠蔽し、スクラッチオフ後の濃度のある個別情報を読み取るためのＯＣＲ（読取り）適性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。

また、上記請求項６に係る発明によれば、白色下地アンカー層を反射率７０％以上になるように形成せしめる製造方法とすることによって、基材シートの中間にある遮光層の黒さをこの白色で隠蔽し、基材シートの薄さをカバーし、ＯＣＲの読取り適性を向上させることができる。

また、上記請求項７に係る発明によれば、前記印刷した個別情報のＰＣＳ値をＢフィルターで０．７以上、Ｈフィルターで０．７５以上にするように個別情報と白インキによるアンカー層と中間に遮光層を有する基材シートの厚みとのバランスをとった製造方法とすることによって、ＯＣＲによる読取り適性に優れるスクラッチ隠蔽層の製造方法とすることができる。

さらにまた、上記請求項８に係る発明は、フルカラー印刷層の形成を、フレキソ印刷法で行い、少なくとも前記基材シートの個別情報およびフルカラー印刷層が形成される面のＪＩＳ−Ｐ−８１１９に準拠した平滑度を１００秒以上とすることによって、高速のフレキソ印刷でも網点飛び（抜け）などがなく調子再現性に優れたフルカラー印刷層を形成するスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。

従って本発明は、籤券等表面にフルカラー印刷層を設けたスクラッチ隠蔽層付印刷物で、当落等を表す個別情報の機械読み取り適性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷およびその製造方法として、優れた実用上の効果を発揮する。

以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。

本発明は、例えば図１の積層断面図に示すように、２枚の塗工紙（３０ｂ）の間に、アルミニウムレスで環境に配慮された黒色系の塗料でなる遮光層（３０ａ）を有する基材シート（３０）を用い、その上の個別情報の印刷領域（１１ａ）に酸化チタン等を多く含有する白インキによる白色下地アンカー層（３１）が設けられ、この白色下地アンカー層（３１）上に、透明なインクジェット用のインク受理層（３３）が設けられ、このインク受理層（３３）上にインクジェット方式で当落等を表す個別情報（１１）が印字され、この個別情報（１１）を覆うように透明な剥離ニスでなる易剥離層（３２）が形成され、この易剥離層（３２）上にスクラッチオフ性と隠蔽性に優れるスクラッチ隠蔽層（３４）を設け、このスクラッチ隠蔽層（３４）を含め、基材シート（１１）の表面全面に、絵柄等でなるフルカラー印刷層（３６）を形成した、フルカラーの調子再現性に優れ、スクラッチ隠蔽層（３４）のスクラッチオフ後の図３の正面図に示すように、個別情報（１１）の確認（検証）のたのＯＣＲの読み取り適性と搬送適性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）である。

また、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）は、図２の積層断面図に示すように、スクラッチ隠蔽層（３４）上に、このスクラッチ隠蔽層（３４）を覆い隠蔽するための白色インキによる白色隠蔽層（３５）を全面に形成し、その白色隠蔽層（３５）上にフルカラー印刷層（３６）を形成して、このフルカラーの色相を含む調子再現性に優れるようにすることもできる。

上記のように、請求項１に係る発明は、図１または図２に示す２枚の塗工紙（３０ｂ）の間に黒色系の塗料でなる遮光層（３０ａ）を有する基材シート（３０）に、坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２ の範囲の薄い基材シート（３０）を用い、さらにこの薄い基材シート（３０）の上で、個別情報（１１）が印字される部分に白インキによる白色下地アンカー層（３１）を設けたスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）である。

このように中間に黒色系の塗料でなる遮光層（３０ａ）を有する基材シート（３０）に薄いものを用いることによって、ＯＣＲの曲がり部分の多い搬送部でも容易に曲げられて搬送トラブルがなくなり、かつ２枚差し防止機能部での制御ができるようになる。さらに基材シート（３０）上に白インキによる白色下地アンカー層（３１）を設けることによって、中間に遮光層（３０ａ）が施された薄い基材シート（３０）としても、その薄い分（
薄いと透けて見える）をこの白インキによる白色下地アンカー層（３１）でこの遮光層（３０ａ）の黒さを隠蔽して補うようになるので、その結果印字された個別情報（１１）のＰＣＳ値を大きくすることになり、よってＯＣＲの読取り適性と搬送適性に優れたスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）を提供することができる。

また、上記請求項２に係る発明は、例えば図１または図２に示すように、基材シート（１１）上に形成される白色下地アンカー層（３１）の反射率を７０％以上とするもので、白インキの白色顔料（酸化チタン等）の含有量にもよるがこの白色下地アンカー層（３１）の厚みを略１μｍ以上とすることで得られる。

また、上記請求項３に係る発明は、例えば、図１または図２に示すスクラッチ隠蔽層（３４）をスクラッチオフした図３の正面図に示すように、印刷領域（１１ａ）に印刷された個別情報（１１）のＰＣＳ値をＢフィルターで０．７以上、Ｈフィルターで０．７５以上とするものである。

このように高いコントラストのＰＣＳ値とすることによって、スクラッチオフ後の個別情報（１１）を読み取るＯＣＲ（読取り）適性に優れ、誤読取りや読取り不良などのないスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）とすることができる。

また、上記請求項４に係る発明は、例えば図１または図２に示す基材シート（３０）を構成する塗工紙（３０ｂ）の個別情報（１１）が印刷される側の面のＪＩＳ−Ｐ−８１１９に準拠した平滑度を、１００秒以上のものとしたスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）である。

このように基材シート（３０）の表面の平滑度を１００秒以上と極平滑なものとすることによって、ゴム系のフルカラーインキを用い、高速のフレキソ印刷によっても、網点飛び（抜け）などのなく調子再現性に優れたフルカラー印刷層（３６）が最表面に形成され、美粧性とデザイン性に優れ購買意欲を煽るスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）とすることができる。

また、上記請求項５乃至８に係る発明は、上記スクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、特に請求項８では、例えば図１または図２に示すスクラッチ隠蔽層付印刷物（１）を構成するフルカラー印刷層（３６）の形成に、図４（ａ）および図４（ｂ）に示すように、アニロックスロール（２３）を介してフレキソインキ（２２）をフレキソ印刷版（４０）に転移するフレキソ印刷法で成される。

さらに具体的には、例えば図４（ａ）に示すように、インキ壺（２０）中のゴム系の樹脂でなるフレキソインキ（２２）が回転するアニロックスロール（２３）でかき上げられ、余分なインキをドクターブレード（３１）で掻き落とし、このインキを版胴（２６）に巻かれたフレキソ印刷版（４０）に転移され、圧胴（２７）の押圧で基材シート（１１）にフルカラー印刷層が形成される。

また、図４（ｂ）に示すように、インキ壺（２０）中のゴム系の樹脂でなるフレキソインキ（２２）を回転するファンテンロール（２８）でかき上げ、それをアニロックスロール（２３）に転移するフレキソ印刷方式とすることもできる。

以下に本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を構成する各層等の材料やその製法などについて詳細に説明する。

まず、基材シート（３０）としては、２枚の塗工紙（３０ｂ）で構成され、例えば坪量
８０ｇ／ｍ２ を越えないアート紙、上質コート紙、中質コート紙、軽量コート紙、微塗工紙、キャストコート紙などで、両面塗工および片面塗工のいずれでもよいが、少なくとも表面には塗工面がくるように積層され、その塗工面の反射率が略５０％以上のものが好ましく、さらにその平滑度が１００秒以上の用紙が挙げられ、その間に設ける遮光層（３０ａ）と合わせ、坪量が坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２ の範囲内のものを使用することができる。

また、２枚の塗工紙（３０ｂ）の間に設ける遮光層（３０ａ）としては、従来のようにアルミニウム箔を使用せず、環境に配慮された黒色系の塗料で、例えば、カーボンブラック等固形分が３０〜４０重量％含有するグラビアインキを用い、１０〜３０ｇ／ｍ２ （ウエット）の塗工量でグラビアコートやロールコートなどにより、一方の塗工紙に１〜数回の刷り重ねで得ることができる。

上記で遮光層（３０ａ）が施された塗工紙（３０ｂ）の塗工面に接着剤を介してもう一方の塗工紙（３０ｂ）を積層して環境に配慮された基材シート（３０）とすることができる。

また、白色下地アンカー層（３１）としては、例えば酸化チタン等白色顔料を多く（略３０重量％）含むグラビア用、フレキソ用あるいはスクリーン用の白インキが挙げられ、それぞれの印刷法によりパターンコートで得られ、反射率７０％以上を確保するようにする。

また、当落や等級等を表す文字、数字、記号（バーコードや暗証記号を含む）、それらに該当する絵柄などでなる個別情報（１１）の印刷法として、上記のようなインクジェット方式のほか、例えばレーザー光による電子式トナーの転写方式、サーマルヘッドによる感熱リボン転写方式あるいはドットインパクト方式などが挙げられ、上記インクジェット方式の場合は、図１に示すようにポリアセタール樹脂を主体とした透明なインキ受理層（３３）を設けた方が好ましく、その他の方式ではこのインキ受理層（３３）を必要としない。

また、上記個別情報（１１）を覆うように設け、この個別情報（１１）を保護するとともに、この上に設けるスクラッチ隠蔽層（３４）を剥離（スクラッチオフ）し易くするための透明な易剥離層（３２）が設けられるが、この易剥離層（３２）としては、例えばポリウレタンアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂に添加剤としてシリコンやワックス（ポリエチレンワックス等）を５％以下添加したものをスクリーン印刷、グラビア印刷方式等で得られる。さらに例えば、紫外線硬化型オフセットインキのビヒクル（印刷インキの着色顔料を除いた成分）にシリコンやワックスなどを僅かに添加したＵＶ剥離ニスを用いて、オフセット印刷法にて部分塗布で得ることもできる。

また、上記スクラッチ隠蔽層（３４）としては、例えば隠蔽性を付与するアルミニウム粉、アルミナ白等体質顔料を含めた着色顔料、凝集破壊（団塊）性のあるＳＢＲ、ＮＢＲ等合成ゴム系樹脂をトルエン等有機溶剤に溶解分散させたスクラッチインキを用いるか、あるいは例えば上記材料等を水に分散せしめたエマルジョン型スクラッチインキで形成することもできる。

また、最表面のフルカラー印刷層（３６）に美粧性を与え、かつスクラッチ隠蔽層（３４）の色（グレー系）を隠蔽するために施す白色隠蔽層（３５）としては、酸化チタンを主体とした顔料が分散しているグラビア用あるいはフレキソ用白インキを用い、それぞれの印刷方式でスクラッチ隠蔽層（３４）を含め略全面に厚み５μｍ程度の印刷で得ることができる。

さらにまた、最表面に設けるフルカラー印刷層（３６）としては、上述したように、例えばグラビア印刷用のプロセスインキでもよいが、スクラッチ隠蔽層（３４）と同様のスクラッチオフ性をよくするため、ＳＢＲ、ＮＢＲ等合成ゴム系の樹脂を溶剤に溶解分散させたフルカラー（プロセス）インキが好ましく、その印刷法としては、アニロックスロールを介してインキを版に転移するフレキソ印刷法が好適に使用して、白色隠蔽層（３５）上全面に形成し、表面に美粧性とデザイン性を付与し、購買意欲を煽るようにすることができる。

本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一実施の形態を側断面で表した説明図である。 本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一実施の形態を側断面で表した説明図である。 本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一実施の形態を説明するもので、スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたときの正面図である。 本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を構成するフルカラー印刷層の印刷方式を説明するもので、（ａ）は、その一事例を示す側面図であり、（ｂ）は、他の一事例を示す側面図である。 従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例を側断面で表した説明図である。 従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一事例を側断面で表した説明図である。 従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一事例を側断面で表した説明図である。

符号の説明

１‥‥スクラッチ隠蔽層付印刷物
１１‥‥個別情報
１１ａ‥‥印刷領域
２０‥‥インキ壺
２１‥‥ドクターブレード
２２‥‥フレキソインキ
２３‥‥アニロックスロール
２６‥‥版胴
２７‥‥圧胴
３０‥‥基材シート
３０ａ‥‥遮光層
３０ｂ‥‥塗工紙
３１‥‥白色下地アンカー層
３２‥‥易剥離層
３３‥‥インキ受理層
３４‥‥スクラッチ隠蔽層
３５‥‥白色隠蔽層
３６‥‥フルカラー印刷層
４０‥‥フレキソ印刷版

Claims (8)

1. 中間に遮光層を有する基材シートの片面に、当落や等級等を表す個別情報が印刷され、該印刷された個別情報を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施され、該スクラッチ隠蔽層上を含め該基材シートの片面全面にフルカラー印刷層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記基材シートは、坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２ の範囲であり、該基材シートの片面の個別情報が印刷される部分に白インキによる白色下地アンカー層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。
2. 前記白色下地アンカー層は、反射率７０％以上であることを特徴とする請求項１記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
3. 前記印刷された個別情報のＰＣＳ値がＢフィルターで０．７以上、Ｈフィルターで０．７５以上であることを特徴とする請求項１乃至２のいずれかに記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
4. 少なくとも前記基材シートの個別情報およびフルカラー印刷層が形成されている面のＪＩＳ−Ｐ−８１１９に準拠した平滑度が１００秒以上であることを特徴とする請求項１記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
5. 中間に遮光層を有する基材シートの片面に、当落や等級等を表す個別情報を印刷し、該印刷した個別情報を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施し、該スクラッチ隠蔽層上を含め該基材シートの片面全面にフルカラー印刷層を形成するスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記基材シートに、坪量７５〜１８０ｇ／ｍ２ の範囲のものを使用し、この基材シートの片面の個別情報を印刷する部分に白インキによる白色下地アンカー層を形成せしめることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
6. 前記白色下地アンカー層を反射率７０％以上になるように形成せしめることを特徴とする請求項５記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
7. 前記印刷した個別情報のＰＣＳ値をＢフィルターで０．７以上、Ｈフィルターで０．７５以上にすることを特徴とする請求項５乃至６のいずれかに記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
8. 前記フルカラー印刷層の形成を、フレキソ印刷法で行い、少なくとも前記基材シートの前記個別情報およびフルカラー印刷層が形成される面のＪＩＳ−Ｐ−８１１９に準拠した平滑度が１００秒以上のものを使用することを特徴とする請求項５記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。

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