JP2005327671A - 電池用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、親水性、耐酸化劣化性、イオン補足性に優れ、高率放電が可能で、長寿命で、さらに自己放電が少ない電池用セパレータを提供することにある。
【解決手段】半芳香族ポリアミド繊維と、1種以上のポリオレフィン繊維とを含有した不織布に、スルホン化処理を施した電池用セパレータ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池等のアルカリ二次電池に好適に使用できるアルカリ電池用セパレータに関する。
アルカリ二次電池は、充放電特性、過充放電特性に優れ、長寿命で繰り返し使用できるため、携帯電話、パソコン、オーディオ機器等の小型電子機器の他に、最近ではハイブリッド自動車、電動自転車等の大型機器にも広く使用されている。このアルカリ二次電池で使用される電池用セパレータの役割としては、正極と負極の分離、短絡防止、電解液の保持、電極反応により生じるガスの透過などが挙げられる。
近年、小型電子機器用途および大型機器用途のどちらにおいても、アルカリ二次電池の高容量化、高出力化、小型化、軽量化、使用可能な温度領域の拡大化等が求められている。特に、機器性能の向上はもちろん、様々な機器への応用の可能性が広がるため、高容量且つ高出力で、さらに自己放電が少ないアルカリ二次電池が待望されている。
アルカリ二次電池用セパレータとしては、ポリオレフィン繊維の不織布やポリアミド繊維の不織布を用いることが知られている。
ポリアミド繊維、特にナイロン6やナイロン66等の脂肪族ポリアミド繊維からなる不織布を用いた場合、繊維自身が耐アルカリ性および親水性に優れていることから、電解液の保液性が良好であり、内部抵抗が低くなり、放電特性に優れるという利点がある。しかし、高温における耐酸化劣化性に劣り、アルカリ二次電池の充電時に発生する酸素ガスによって酸化劣化するという欠点があるため、急速充放電により、電池内部の温度が60〜80℃に上昇した場合、性能低下が著しいという問題があった。
この問題を解決するために、耐アルカリ性、耐酸化劣化性に優れているポリオレフィン繊維からなる不織布を用いることができる。しかし、ポリオレフィン繊維は親水性に劣るため、親水性を付与しなければならない。親水性付与方法としては、熱濃硫酸、発煙硫酸、またはクロル硫酸で処理してスルホン化する方法、フッ素を含む反応ガスで処理する方法などが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
フッ素処理においては、親水性の付与が繊維表面のみであるため、電解液の保液性が不十分なため高率放電が困難という問題があった。
スルホン化処理においては、繊維表面近傍に導入されたスルホン酸基が、イオン性不純物を補足すると推定され、優れた自己放電特性を示すが、親水性の付与が繊維表面のみであるため、電解液の保液性が不十分なため高率放電が困難という問題があった。保液性を改善するためにスルホン化処理を強めると、繊維が劣化して不織布の強度低下が起こり、電池製造時の歩留まりが悪化するという問題があった。
特開平56−3973号公報(第1頁) 特開昭58−175256号公報(第1頁) 特開平1−132042号公報(第1頁)
本発明の課題は、親水性、耐酸化劣化性、イオン補足性に優れ、高率放電が可能で、長寿命で、さらに自己放電が少ない電池用セパレータを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、
(1)芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成される半芳香族ポリアミド繊維と、1種以上のポリオレフィン繊維とを含有した不織布に、スルホン化処理を施したことを特徴とする電池用セパレータ。
(2)半芳香族ポリアミド繊維の含有量が不織布の10〜95質量%であることを特徴とする(1)の電池用セパレータ。
(3)ポリオレフィン繊維の一部または全部を熱溶融させて繊維間が接着されていることを特徴とする(1)または(2)の電池用セパレータ。
(4)スルホン化処理をする前の不織布に、親水化処理としてコロナ放電処理または大気圧プラズマ放電処理を施すことを特徴とする(1)〜(3)の電池用セパレータ。
(5)スルホン化処理をした後の不織布に、さらに界面活性剤処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ放電処理、フッ素ガス処理から選ばれる1つの親水化処理を施すことを特徴とする(1)〜(4)の電池用セパレータ。
(6)半芳香族ポリアミド繊維と1種以上のポリオレフィン繊維を混合した分散スラリーを、湿式抄造法により製造した原布に水流交絡法にて繊維を3次元的に交絡させた後、熱処理によってポリオレフィン繊維の一部または全部を熱溶融させた不織布に、スルホン化処理を施す電池用セパレータの製造方法。
を見出した。
本発明の電池用セパレータ(1)は、親水性の高い上記半芳香族ポリアミド繊維を含有した不織布からなり、親水化処理しなくても、より多くの電解液を保持するため、優れた高率放電が可能となる。また、上記半芳香族ポリアミド繊維は高温下における耐酸化劣化性にも優れているため、高率放電や急速充放電により電池内が高温になった場合にも、脂肪族ポリアミドのような性能低下が無く、長期間に亘って安定した電池特性を示す。さらに該不織布にスルホン化処理を施すことにより、電池内のイオン性不純物を補足すると推定され、優れた自己放電特性を示す。
本発明の電池用セパレータは、上記(2)のように、半芳香族ポリアミド繊維の含有量が不織布の10〜95質量%であることが望ましい。半芳香族ポリアミド繊維の含有量が10質量%より少ない場合、電解液の保液性が不十分であり、十分な高率放電を行うことが困難である。また、半芳香族ポリアミド繊維は、繊維の機械的強度が脂肪族ポリアミド繊維等と比較して小さいため、半芳香族ポリアミド繊維の含有量が95質量%より多い場合、電池用セパレータの機械的強度が低下し、薄い不織布を電池用セパレータに用いた場合、電池製造時の歩留まりが悪化する。
本発明の電池用セパレータにおいて、上記(3)のように、ポリオレフィン繊維の一部または全部を熱溶融させて繊維間を接着しても良い。該繊維の熱溶融による接着は、不織布の機械的強度の向上に有効であり、電池製造時の生産性を向上させる。
本発明の電池用セパレータにおいて、上記(4)のように、スルホン化処理をする前の不織布に、親水化処理としてコロナ放電処理または大気圧プラズマ放電処理を施しても良い。スルホン化処理前に該親水化処理を施すことにより、二酸化硫黄ガス、三酸化硫黄ガス熱濃硫酸、発煙硫酸、またはクロル硫酸などへの濡れ性が向上することにより、より均一な処理とより短時間での処理が可能となり、品質と生産性を向上させる。
本発明の電池用セパレータにおいて、上記(5)のように、スルホン化処理をした後の不織布に、さらに界面活性剤処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ放電処理、フッ素ガス処理から選ばれる1つの親水化処理を施しても良い。スルホン化処理をした後に該親水化処理を施すことにより、電解液の初期濡れ性が向上するため、電池製造時、電池用セパレータを含む極板群が、高密度に捲回されていても、良好な注液性を示す。
本発明の電池用セパレータは、上記(6)のようにして製造される。湿式抄造法を用いることにより、均質な不織布が得られ、水流交絡法により繊維を3次元的に交絡させることにより、機械的強度、保液性、および通気性が向上し、ポリオレフィン繊維の一部または全部を熱溶融させることにより、さらに機械的強度を強くすることができる。
本発明の電池用セパレータは、親水性、耐酸化劣化性、イオン補足性に優れているため、本発明の電池用セパレータを用いたアルカリ二次電池は、優れた高率放電が可能で、長期間に亘って安定した電池特性を示し、自己放電特性も優れるといった秀逸な効果をもたらす。
以下、本発明の電池用セパレータについて、詳説する。
本発明の電池用セパレータ(1)は、半芳香族ポリアミド繊維と、1種以上のポリオレフィン繊維とを含有した不織布からなる。
本発明の電池用セパレータに用いられる半芳香族ポリアミド繊維のポリアミドは、ジカルボン酸成分の60モル%以上が芳香族ジカルボン酸であること、およびジアミン成分の60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンである半芳香族ポリアミドを用いることが好ましい。このポリアミドは、親水性、耐アルカリ性、耐酸化劣化性に優れている。
芳香族ジカルボン酸成分としては、セパレータの耐熱性、耐薬品性の点でテレフタル酸が最も好ましく、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香酸、4,4′−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を1種類以上併用して使用することもできる。
ジカルボン酸として、芳香族ジカルボン酸の含有量は、ジカルボン酸成分の60モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐アルカリ性、耐酸化劣化性、強度などの諸物性が低下するため好ましくない。
上記芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としてはマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を挙げることができ、これらの酸は1種類のみならず2種類以上用いることができる。なかでも不織布の強度、耐薬品性、耐熱性等の点でジカルボン酸成分が100%の芳香族ジカルボン酸であることが好ましい。さらにトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を繊維化・不織布化が容易な範囲内で含有させることもできる。
また、ジアミン成分の60モル%以上は炭素数が6〜12の脂肪族アルキレンジアミンで構成され、かかる脂肪族アルキレンジアミンとしては、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の直鎖または側鎖を有する脂肪族ジアミンなどを挙げることができる。
この脂肪族アルキレンジアミンの含有量は、ジアミン成分の60モル%以上であるが、75モル%以上、特に90モル%以上であることが、耐熱性の点で好ましい。脂肪族ジアミン成分の含有率が60モル%未満の場合には、得られる繊維の耐酸劣化性、強度などが低下する。なかでも耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性の点で1,9−ノナンジアミン、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの併用が好ましい。そして、ジアミン成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなり、かつ1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が40:60〜99:1であることが好ましく、70:30〜95:5であることがさらに好ましい。
本発明の電池用セパレータに用いられるポリオレフィン繊維としては、ポリオレフィン単独からなる繊維、またはオレフィンとその他の単量体との共重合体とからなる繊維、さらに1種以上のポリオレフィンを含む熱可塑性ポリマーの複合繊維をいう。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン等を挙げることができる。また、オレフィンと共重合可能なその他の単量体としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ビニルアルコール(酢酸ビニルを重合後、鹸化)等を挙げることができる。
上記複合繊維に用いることができる熱可塑性ポリマーとしては、半芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、それらの共重合体等のポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等を挙げることができる。
上記複合繊維としては、芯鞘型や分割型の複合繊維を用いることができる。分割型複合繊維の繊維断面における複合形態は、製糸後において分割可能な断面形態の繊維であれば、特に限定されないが、例えば、分割後の単繊維断面形状が楔形やバイメタル型(短冊状)あるいは、これらを組み合わせた貼り合わせ型複合繊維が多く用いられる。
上記分割型複合繊維は、分割容易性の点から、複合繊維を構成する全ての成分が繊維横断面において他の成分により2以上の領域に分割されているのが好ましく、複合繊維横断面における総分割数(総領域数、総層数)が8〜20のものがより好ましい。また、分割容易性、紡糸性の点から鑑みて、各層は繊維長さ方向に実質的に連続していることが好ましい。
上記分割型複合繊維を構成する各領域(層)の繊維径は、電解液に対する吸液性、保液性と分割容易性、電池セパレータ用不織布のセパレート性等の点から、0.6dtex相当以下、特に0.3dtex相当以下が好ましく、通気性を阻害しない点からは、0.01dtex相当以上のサイズであるのが好ましい。なお、この繊維径は、円形断面換算の値をいう。
本発明の電池用セパレータに係わる半芳香族ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維の繊度は、耐リーク性、吸液性、保液性の点から、2.0dtex以下が好ましく、更に好ましくは1.0dtex以下が好ましく、通気性と電池セパレータ用不織布の硬さを阻害しない点から0.01dtex以上が好ましい。
本発明の電池用セパレータ(2)に用いられる半芳香族ポリアミド繊維の含有量は不織布の10〜95質量%であることが望ましい。半芳香族ポリアミド繊維の含有量が10質量%より少ない場合、電解液の保液性が不十分であり、十分な高率放電を行うことが困難となる。また、半芳香族ポリアミド繊維は、繊維の機械的強度が脂肪族ポリアミド繊維等と比較して小さいため、半芳香族ポリアミド繊維の含有量が95質量%より多い場合、電池用セパレータの機械的強度が低下し、薄い不織布を電池用セパレータに用いた場合、電池製造時の歩留まりが悪化する。
本発明の電池用セパレータにおいて、上記半芳香族ポリアミド繊維およびポリオレフィン繊維の繊維長としては、2〜20mmが好ましい。繊維長が20mmを超えた場合、湿式法では繊維の分散が難しくなり、地合不良等が発生し、良好な繊維ウェブの形成ができなくなるといった問題が生じる。一方、繊維長が2mm未満では、電池用セパレータの機械的強度が小さくなる。
本発明の電池用セパレータに用いる不織布の原布は、湿式抄造法、カード法、クロスレイヤー法などの公知の方法によって製造することができる。しかし、カード法、クロスレイヤー法は、繊維長の長い繊維を用いることができるが、均一な原反化が困難で、地合が悪く、透過光で観測すると、斑点模様が見られる。このため、短絡を防ぐために必要な空隙径を得るには、高目付重量にしなければならないという問題がある。
一方、湿式抄造法は、生産速度が上記方法に比べて速く、同一装置で繊維径の異なる繊維や複数の種類の繊維を任意の割合で混合できる利点がある。即ち、繊維の形態もステープル状、パルプ状等と選択の幅は広く、使用可能な繊維径も、極細繊維から太い繊維まで使用可能で、他の方法に比べ、極めて良好な地合の原布が得られる方法である。さらに、分割型複合繊維を用いた場合、該繊維を分割するに当たり、パルパーや高速ミキサーやビーター等の離解機での離解工程、および分散工程で分割型複合繊維をほぼ完全に分割させることができる。このようなことから、極めて応用範囲が広い原布形成法である。そこで、本発明の電池用セパレータに用いる不織布の原布の製造方法としては、湿式抄造法が最適である。
本発明の電池用セパレータは、上記(6)のように、水流交絡法による処理を行うことができる。水流交絡法はノズルから噴射された高圧の水流を上記のようにして得られた原布に当てることにより、繊維を3次元的に交絡させる方法である。水流交絡処理は不織布の機械的強度、保液性、通気性を向上させたり、不織布に柔軟性を付与したり、分割型複合繊維を用いた場合、複合繊維を分割させるといった効果をもたらす。
本発明の電池用セパレータは、上記(3)、(6)のように、得られた不織布を熱処理することにより、該不織布に含有される半芳香族ポリアミド繊維より融点の低いポリオレフィン繊維の一部または全部を熱溶融させることができ、不織布の機械的強度を向上させることができる。熱溶融方法としては、熱風乾燥機(例えば、非接触式、接触式)、熱ロールなどの無加圧法、熱カレンダーなどの加圧法、および湿式抄造時の湿熱接着法など公知の方法を使用できる。また、それら熱溶融方法を組み合わせて使用することで、不織布の機械的強度をさらに向上させることができる。
本発明の電池用セパレータは、さらに自己放電特性を向上させるために、スルホン化処理を施す。スルホン化処理により自己放電特性が向上する理由については、現在のところ完全に解明されていないが、繊維表面近傍に導入されたスルホン酸基がイオン交換能を有することで、自己放電の原因と考えられているイオン性不純物を補足するためと推測され、優れた自己放電特性を示す。
上記スルホン化処理としては、二酸化硫黄ガス、三酸化硫黄ガス等による気相処理法や熱濃硫酸、発煙硫酸、またはクロル硫酸による液相処理法などの公知の方法を使用することができる。
本発明の電池用セパレータは、上記(4)のように、スルホン化処理をする前の不織布に、親水化処理としてコロナ放電処理または大気圧プラズマ放電処理を施すことにより、二酸化硫黄ガス、三酸化硫黄ガス熱濃硫酸、発煙硫酸、またはクロル硫酸などへの濡れ性が向上することにより、より短時間での処理が可能となり生産性を向上させる。
本発明の電池用セパレータは、上記(5)のように、スルホン化処理をした後の不織布に、さらに界面活性剤処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ放電処理、フッ素ガス処理から選ばれる1つの親水化処理を施すことができる。スルホン化処理をした後に該親水化処理を施すことにより、電解液の初期濡れ性が向上するため、電池製造時、電池用セパレータを含む極板群が、高密度に捲回されていても、良好な注液性を示し、減圧装置や遠心装置などの特別な製造装置を必要とせず、生産性を向上することができる。
界面活性剤処理は、界面活性剤溶液中に不織布を含浸するか、この溶液を塗布、若しくはスプレーするかした後、乾燥して、不織布表面の電解液親和性を向上させる表面改質法である。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを使用することができる。
コロナ放電処理は、高電圧発生機に接続した電極と、シリコンラバーなどで被覆した金属ロール間に適度の間隙を設け、高周波で数千〜数万Vの電圧を印加し、コロナ放電を発生させ、この間隙に上記の方法で得られた原布を適度な速度で走らせ、該原布面にコロナ放電により生成したオゾン、あるいは、酸化窒素を反応させて、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ペルオキシド基を生成させる事により、不織布に対する電解液の親和性を向上させる表面改質法である。
大気圧プラズマ処理は、対向する電極の少なくとも一方の電極表面にポリイミド、雲母、セラミック、ガラス等の固体誘電体を配設した誘電体被覆電極を有するプラズマ反応装置に、ヘリウムおよびアルゴンと酸素から本質的になる気体組成物を導入し、大気圧下でプラズマ励起を行って、対向する電極の間に位置する不織布表面を酸化およびエッチングして電解液親和性を向上させる表面改質法である。
フッ素ガス処理は、窒素ガス、あるいはアルゴンガスなどで希釈したフッ素ガスと酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化硫黄ガス等の一種類のガスとの混合ガスを不織布に接触させて、表面にカルボキシル基、カルボニル基、水酸基を生成させて電解液親和性を向上させる表面改質法である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における、部、%は断りのない限り、すべて質量によるものである。
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)60質量部と、芯成分がポリプロピレン(融点165℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(ダイワボウ社製、製品名NBF−H、繊度0.8dtex、繊維長10mm)40質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用い抄き上げ、140℃に設定されたヤンキードライヤーと併設されている熱風フードにより乾燥と芯鞘型繊維の鞘部分を熱溶融させて、坪量62.8g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に、濃度が5質量%の発煙硫酸に10分間浸漬し、スルホン化処理を行った後、アルカリ水溶液中に浸漬して中和処理を行い、水洗し、乾燥した。最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量62.2g/m、厚さ150μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)60質量部と、芯成分がポリプロピレン(融点165℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(ダイワボウ社製、製品名NBF−H、繊度0.8dtex、繊維長10mm)40質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、坪量63.8g/m、幅500mmの不織布を作製した。
該不織布を、80メッシュのプラスチックワイヤーである多孔質支持体上に搬送し、ノズルヘッドを3ヘッド用い、第1ヘッドがノズル径120μm、0.6mmピッチのノズルで水圧70kg/cm、第2ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧90kg/cm、第3ヘッドがノズル径100μm、0.6mmピッチのノズルで水圧120kg/cmで、加工速度が15.0m/分で、表と裏を水流交絡処理を行い、非接触式熱風乾燥機にて140℃で乾燥と芯鞘型複合繊維の鞘成分だけの熱溶融処理を行い、さらに不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施した。次に、濃度が5質量%の発煙硫酸に10分間浸漬し、スルホン化処理を行った後、アルカリ水溶液中に浸漬して中和処理を行い、水洗し、乾燥した。最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量59.2g/m、厚さ143μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)80質量部と、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(クラレ社製、製品名S−030、繊度0.08dtex、繊維長3mm、融点160℃)20質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、エチレンビニルアルコール共重合体繊維を湿熱接着法で熱溶融させて、坪量60.6g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に、濃度が5質量%の発煙硫酸に10分間浸漬し、スルホン化処理を行った後、アルカリ水溶液中に浸漬して中和処理を行い、水洗し、乾燥した。さらに不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施したのち、最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量60.2g/m、厚さ147μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)97質量部と、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(クラレ社製、製品名S−030、繊度0.08dtex、繊維長3mm、融点160℃)3質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、エチレンビニルアルコール共重合体繊維を湿熱接着法で熱溶融させて、坪量39.0g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に、濃度が5質量%の発煙硫酸に10分間浸漬し、スルホン化処理を行った後、アルカリ水溶液中に浸漬して中和処理を行い、水洗し、乾燥した。さらに不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施したのち、最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量39.2g/m、厚さ100μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)95質量部と、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(クラレ社製、製品名S−030、繊度0.08dtex、繊維長3mm、融点160℃)5質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、エチレンビニルアルコール共重合体繊維を湿熱接着法で熱溶融させて、坪量40.2g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に濃度が5質量%の発煙硫酸に10分間浸漬し、スルホン化処理を行った後、アルカリ水溶液中に浸漬して中和処理を行い、水洗し、乾燥した。さらに不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施したのち、最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量40.0g/m、厚さ98μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)50質量部と、芯成分がポリプロピレン(融点165℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(ダイワボウ社製、製品名NBF−H、繊度0.8dtex、繊維長10mm)45質量部、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(クラレ社製、製品名S−030、繊度0.08dtex、繊維長3mm、融点160℃)5質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、エチレンビニルアルコール共重合体繊維を湿熱接着法で熱溶融させて坪量39.3g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に、温度150℃の熱ロールに無加圧で両面を片面30秒間ずつ接触させて、芯鞘型複合繊維の鞘成分だけの熱溶融処理を行ったのち、濃度が5質量%の発煙硫酸に10分間浸漬し、スルホン化処理を行った後、アルカリ水溶液中に浸漬して中和処理を行い、水洗し、乾燥した。さらに不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施したのち、最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量39.7g/m、厚さ105μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)10質量部、芯成分がポリプロピレン(融点165℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(ダイワボウ社製、製品名NBF−H、繊度0.8dtex、繊維長10mm)45質量部、ポリプロピレン繊維(ダイワボウ社製、製品名PZ、繊度0.8dtex、繊維長10mm、融点165℃)40質量部、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(クラレ社製、製品名S−030、繊度0.08dtex、繊維長3mm、融点160℃)5質量部を混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、エチレンビニルアルコール共重合体繊維を湿熱接着法で熱溶融させて坪量38.5g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に、温度150℃の熱ロールに無加圧で両面を片面30秒間ずつ接触させて、芯鞘型複合繊維の鞘成分だけの熱溶融処理を行ったのち、濃度が5質量%の発煙硫酸に10分間浸漬し、スルホン化処理を行った後、アルカリ水溶液中に浸漬して中和処理を行い、水洗し、乾燥した。さらに不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施したのち、最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量38.8g/m、厚さ93μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)5質量部、芯成分がポリプロピレン(融点165℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(ダイワボウ社製、製品名NBF−H、繊度0.8dtex、繊維長10mm)45質量部、ポリプロピレン繊維(ダイワボウ社製、製品名PZ、繊度0.8dtex、繊維長10mm、融点165℃)45質量部、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(クラレ社製、製品名S−030、繊度0.08dtex、繊維長3mm、融点160℃)5質量部を混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、エチレンビニルアルコール共重合体繊維を湿熱接着法で熱溶融させて坪量39.9g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に、温度150℃の熱ロールに無加圧で両面を片面30秒間ずつ接触させて、芯鞘型複合繊維の鞘成分だけの熱溶融処理を行ったのち、濃度が5質量%の発煙硫酸に10分間浸漬し、スルホン化処理を行った後、アルカリ水溶液中に浸漬して中和処理を行い、水洗し、乾燥した。さらに不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施したのち、最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量39.6g/m、厚さ103μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
(比較例1)
ポリプロピレン繊維(ダイワボウ社製、製品名PZ、繊度0.8dtex、繊維長10mm、融点165℃)60質量部と、芯成分がポリプロピレン(融点165℃)、鞘成分がポリエチレン(融点135℃)である芯鞘型複合繊維(ダイワボウ社製、製品名NBF−H、繊度0.8dtex、繊維長10mm)40質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用い抄き上げ、140℃に設定されたヤンキードライヤーと併設されている熱風フードにより乾燥と芯鞘型繊維の鞘部分を熱溶融させて、坪量59.8g/m、幅500mmの不織布を作製した。次にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量59.2g/m、厚さ150μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
(比較例2)
半芳香族ポリアミド繊維(クラレ社製、製品名A−590、繊度0.7dtex、繊維長10mm、融点265℃)80質量部と、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(クラレ社製、製品名S−030、繊度0.08dtex、繊維長3mm、融点160℃)20質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、エチレンビニルアルコール共重合体繊維を湿熱接着法で熱溶融させて、坪量60.6g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に、不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施したのち、最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量60.2g/m、厚さ147μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
(比較例3)
脂肪族ポリアミドである6ナイロン繊維(ユニチカ製、製品名0.6T×TOW−601、繊度0.6dtex、繊維長5mm、融点220℃)80質量部と、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(クラレ社製、製品名S−030、繊度0.08dtex、繊維長3mm、融点160℃)20質量部とを混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーター等の緩やかな撹拌のもと、均一な抄造用スラリーを調成した。この抄紙スラリーを円網抄紙機による湿式法を用いて、エチレンビニルアルコール共重合体繊維を湿熱接着法で熱溶融させて坪量57.9g/m、幅500mmの不織布を作製した。次に、該不織布の両面に電極20mm幅×600mmと、誘電体ハイバロン3.2mmを被覆したアースロールを用いてコロナ処理を施し、最後にロール温度60℃でカレンダー処理を行い、坪量57.7g/m、厚さ154μmの不織布を製造し、電池用セパレータとした。
実施例および比較例で得られた電池用セパレータについて、下記の評価を行い、結果を表1に示した。
<評価方法>
[保液率]
150mm×150mmの試験片を採取し、水分平衡状態の重量(W1)を測定した後、比重1.30の水酸化カリウム水溶液中に1時間浸漬する。その後、水酸化カリウム水溶液中から引き上げ、10分後の重量(W2)を測定し、次の式(1)より保液率を算出した。
保液率(%)=(W2−W1)/W1×100 (1)
[硫黄含有率]
試料片を直径35mmの試料ホルダーにセットして、リガク製の蛍光X線装置System−3270(Rhターゲット、50kV−50mA、)で全元素測定を行った。硫黄含有率は、測定値をファンダメンタルパラメータ法で換算することで算出し、スルホン化処理量の指標とした。
[注液性]
電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペースト式水酸化ニッケル正極(40mm幅)と、ニッケルメッキパンチングメタル基材を用いた水素吸蔵合金負極(40mm幅)を1枚ずつ用い、これらの電極の間に、43mm幅の実施例および比較例で得られた電池用セパレータを介在させて、電池構成機を用いて巻き取り、渦巻状極板群を作製した。該渦巻状極板群を円筒形の金属ケースに収納した後、1N水酸化リチウムを含む7N水酸化カリウム水溶液を主体とするアルカリ電解液を一定量注入し、該電解液を吸収するのに要した時間を測定した。
[電池製造時の不良率]
上記のようにして渦巻状極板群を作製し、円筒形の金属ケースに収納した後、安全弁付きの封印蓋を取り付けて、公称容量が1.7Ahの単3形密閉式ニッケル水素電池を10000個作製した。その後、正極と負極との間に240Vの電圧を印加し、電気抵抗が1kΩ以下のものを不良とみなし、電池製造時の不良率とした。0.1%未満を○、0.1〜0.14%を△、0.15%以上を×として評価した。
上記のようにして製造した電池の内、正常な電池を各電池用セパレータについて30個選別した。電池の化成のため、25℃において、170mA(0.1C)の電流で15時間充電し、1.7A(1C)の電流で端子電圧が0.8Vになるまで放電するという充放電を4回繰り返した。
[高率放電特性]
上記のようにして得られた化成済みの電池10個を用い、25℃で、1.7A(1C)の電流で充電し、満充電に達した後、電池電圧が10mV低下した時点で充電を1時間休止させ、次に30A(17.6C)の電流で終止電圧が0.8Vになるまで放電させる。このとき、放電時間から高率放電容量を求め、比較例1で作製したスルホン化されたオレフィン系繊維のみで構成された電池用セパレータを用いた電池の値を100としたときの指数で表した。100以下を×、101〜104を△、105以上を○として、高率放電特性の指標とした。
[自己放電特性]
上記のようにして得られた化成済みの電池10個を用い、25℃で、1.7A(1C)の電流で充電し、満充電に達した後、電池電圧が10mV低下した時点で充電を1時間休止させ、次に340mA(0.2C)の電流で終止電圧が1.0Vになるまで放電させたときの放電容量を測定しC1とする。そして同様に1.7A(1C)の電流で充電してから、45℃の恒温槽中にて7日間保存し、その後25℃で6時間放冷し、同様に340mA(0.2C)の電流で放電させたときの放電容量を測定しC2とし、次の式(2)から容量維持率を算出した。容量維持率の値が大きいほど、自己放電特性が優れることを示す。
容量維持率(%)=C2/C1×100 (2)
[サイクル寿命]
上記のようにして得られた化成済みの電池10個を用い、45℃で、5Aの電流で充電し、満充電に達した後、電池電圧が10mV低下した時点で充電を1時間休止させ、次に10Aの電流で終止電圧が0.8Vになるまで放電させ、1時間休止させるという充放電サイクルを繰り返した。このような充放電サイクル試験を行って、初期電池容量の60%の容量に達した時点のサイクル数をサイクル寿命とした。サイクル数が300回以下を×、301〜400回を△、401回以上を○として、サイクル寿命の指標とした。
Figure 2005327671
実施例で得られた本発明の電池用セパレータは、親水性が高く、耐酸化劣化性に優れる半芳香族ポリアミド繊維と、1種以上のポリオレフィン繊維とを含有して、さらにスルホン化処理を施した不織布である。
実施例で得られた本発明の電池用セパレータは、親水性が高い半芳香族ポリアミド繊維を含有しているので、ポリオレフィン繊維のみで構成され、実施例と同じくスルホン化処理された比較例1に比べ、電解液の保液性が高く、優れた高率放電特性を示すことが確認できた。また実施例と同じく親水性の高い半芳香族ポリアミド繊維を含有しているが、コロナ処理のみでスルホン化処理を施していない比較例2は、容量維持率がスルホン化処理を施した実施例に比べて小さく、スルホン化処理により自己放電特性が向上することが確認できた。さらに、親水性の高い脂肪族ポリアミド繊維を含有する比較例1は、保液性が高く優れた高率放電特性を示したが、充放電サイクル試験で発生した熱と酸素により酸化劣化することで、サイクル寿命が半芳香族ポリアミド繊維を含有した実施例に比べて悪く、半芳香族ポリアミド繊維の優れた耐酸化劣化性およびサイクル寿命が確認できた。
実施例4〜8のように低坪量の薄い電池用セパレータの場合、上記半芳香族ポリアミド繊維の含有量が95質量部を超える実施例4で得られた電池用セパレータは、機械的強度が弱く、電池製造時の不良が多くなる。また、逆に、実施例8で得られた電池用セパレータのように、上記半芳香族ポリアミド繊維の含有量が10質量部を下回ると、保液率が低く、上記半芳香族ポリアミド繊維含有の効果が発現されない。従って、実施例5〜7のように、上記半芳香族ポリアミド繊維の含有量が10〜95質量部のときに、電池製造時の歩留まりが良く、良好な高率放電特性を示す。
実施例2はスルホン化処理前にコロナ放電処理を施すことにより、スルホン化処理前に親水化処理を施さなかった実施例1に比べ、硫黄含有率の値が大きく、スルホン化処理がより効率的に行われることが確認できた。
実施例3〜8のようにスルホン化処理後に親水化処理を施すことにより、スルホン化処理後に親水化処理を施さなかった実施例1、2に比べ、電解液の初期濡れ性の向上により優れた注液性を示すことが確認できた。
以上、説明したように、本発明の電池用セパレータは、親水性、耐酸化劣化性、イオン補足性に優れているため、本発明の電池用セパレータを用いたアルカリ二次電池は、優れた高率放電が可能で、長期間に亘って安定した電池特性を示し、自己放電特性も優れるといった秀逸な効果をもたらす。

Claims (6)

  1. 芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成される半芳香族ポリアミド繊維と、1種以上のポリオレフィン繊維とを含有した不織布に、スルホン化処理を施した電池用セパレータ。
  2. 半芳香族ポリアミド繊維の含有量が不織布の10〜95質量%であることを特徴とする請求項1記載の電池用セパレータ。
  3. ポリオレフィン繊維の一部または全部を熱溶融させて繊維間が接着されていることを特徴とする請求項1または2記載の電池用セパレータ。
  4. スルホン化処理する前の不織布に、親水化処理としてコロナ放電処理または大気圧プラズマ放電処理を施すことを特徴とする請求項1〜3記載の電池用セパレータ。
  5. スルホン化処理した後の不織布に、さらに界面活性剤処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ放電処理、フッ素ガス処理から選ばれる1つの親水化処理を施すことを特徴とする請求項1〜4記載の電池用セパレータ。
  6. 半芳香族ポリアミド繊維と1種以上のポリオレフィン繊維を混合した分散スラリーを、湿式抄造法により製造した原布に水流交絡法にて繊維を3次元的に交絡させた後、熱処理によってポリオレフィン繊維の一部または全部を熱溶融させた不織布に、スルホン化処理を施す電池用セパレータの製造方法。
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