JP2005325080A - パントテン酸カルシウム及びビタミン類を含む組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
【解決手段】 パントテン酸カルシウムと少なくとも1種のビタミン類とを固体状態の混合物として含む組成物であって、該パントテン酸カルシウムが下記の工程:(1)結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを混合して均一混合物を調製する工程;(2)上記工程(1)で得られた均一混合物を吸湿させて結晶性パントテン酸カルシウムを調製する工程;及び(3)上記工程(2)で得られた結晶性パントテン酸カルシウムを用いて、上記工程(1)及び(2)を繰り返す工程を含む方法により得ることができ、粉末X線回折パターンにおいて回折角(2θ)5.1°における回折強度I5.1と回折角(2θ)16°における回折強度I16.0との比(I5.1/I16.0)が1以上である結晶性パントテン酸カルシウムである上記組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、結晶性パントテン酸カルシウムとビタミン類とを含む安定な組成物に関する。
パントテン酸カルシウム(calcium pantothenate:モノカルシウム・ビス[(R)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニネート];以下、本明細書において「PC」と略す場合がある。)は日本薬局方に収載された医薬品であり、パントテン酸欠乏症の予防及び治療や、接触皮膚炎、急性又は慢性湿疹などの治療に広く用いられている。パントテン酸カルシウムの固体粉末についてはアモルファス形態の製品が知られているが、この製品は吸湿性であることから、湿気を帯びて粉末が固まってしまうという問題があり、製造、保存、運搬、及び使用に際して注意が必要である。一方、結晶型の固体粉末としては、α−型、β−型、及びγ−型の無溶媒結晶、並びに溶媒付加結晶として4CH3OH・1H2O付加晶及び1水和物結晶が知られている(これらの結晶形の詳細については、稲垣ら、Chem. Pharm. Bull., 24, pp.3097-3102, 1976を参照のこと)。これらの結晶型PCは非吸湿性であることが知られている。
結晶性パントテン酸カルシウムの製造については、メタノール等有機溶媒にて結晶化させたPCを水に溶解した後濃縮し、メタノールを加えて加熱し、非吸湿性の針状晶(m.p.195-196℃)を得る方法(Levy, H. et al., J. Amer. Chem. Soc., 63, pp.2846-2847, 1941)、メタノール溶液より上記レヴィーらとは異なる結晶(m.p.153.5-154℃)を得る方法(舟橋ら,理化学研究所報告,22, 681, 1943)、メタノール溶液に適当量の水を加えて結晶を晶出させる方法(特公昭40-2330号公報)、含水メタノール溶液から光学活性体を晶出させる方法(特公昭49-27168号公報)、メタノール溶液からPCを回収する方法(特開昭53-108921号公報)、マグネシウム乳酸塩などとの組成物を調製する方法(特開平3-123729号公報)、醗酵液からの回収において、約50 W/V% 程度の高濃度PC水溶液にメタノールを90V/V%となるように添加する方法(特開平9-286号公報)、及び形質転換体を用いてPCを製造するあたり、約45-55 W/W% 程度の高濃度PC溶液にメタノールを添加する方法(特開平9-135687号公報)が提案されている。また、結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを含む均一混合物を吸湿させることにより、実質的に有機溶媒を用いずに結晶性の非吸湿性パントテン酸カルシウムを製造する方法(国際公開WO01/98255)も知られている。
一方、パントテン酸カルシウムにビタミン類を混合するとパントテン酸カルシウム及び該ビタミン類の劣化が促進されることが知られいる。特に、パントテン酸カルシウムと水溶性ビタミン(アスコルビン酸、ビタミンB6、ビタミンB1、ビタミンB2、又はニコチン酸アミドなど)とを混合した場合にはパントテン酸カルシウム及び水溶性ビタミンの両者に著しい劣化が生じる。パントテン酸カルシウムとビタミン類とを含む組成物においてこれらの成分の安定性を改善するためにいくつかの提案がなされている。例えば、特開2003-128543号公報には、アスコルビン酸とパントテン酸カルシウム組成物(マグネシウム又はカルシウムの乳酸塩又は炭酸塩を含む)とからなる固形製剤が開示されている。また、組成物中でのビタミン類の安定性を高めるために、例えば、多価アルコール、親水性非イオン性界面活性剤などの補助剤を用いる手段も提案されている。しかしながら、これらの手段では、安定化のための成分の配合が必須であるところから、単位重量あたりのパントテン酸カルシウムの含有率が低下してしまい、製剤が嵩高くなるという問題がある。
また、アモルファス状のパントテン酸カルシウムの粉体は水中に投入したときに凝集して溶解しにくい塊となってしまい、溶解に時間がかかるという問題を有している。この問題を回避するために、水中に投入したときに速やかに細かく分散し、均一な水溶液を短時間に調製できる性状を有するパントテン酸カルシウムのの提供が望まれている。
本発明の課題は、パントテン酸カルシウムとビタミン類とを含む安定な組成物を提供することにある。また、本発明の別の課題は、パントテン酸カルシウムを含む水溶液を効率的に調製する方法を提供することにある。
本発明者らは、国際公開WO01/98255に記載された方法に従って結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを含む均一混合物を吸湿させて結晶性パントテン酸カルシウムを製造した後、得られた結晶に再度アモルファス状パントテン酸カルシウムを加えて均一混合物とし、その混合物を吸湿させて結晶性パントテン酸カルシウムを製造し、さらに得られた結晶性パントテン酸カルシウムを用いて同様の工程を複数回繰り返すことにより、新規な結晶性パントテン酸カルシウムを製造できることを見出した。得られた結晶性パントテン酸カルシウムは、粉末X線回折により既知のβ−型結晶と主要ピークの回折角(2θ)が一致するが、2θが5.1°及び16.0°におけるピークの強度が既知のβ−型結晶とは逆転しているという特徴を有している。
本発明者らは、この新規な結晶性パントテン酸カルシウムを用いて製剤化の研究を鋭意行なううちに、この結晶性パントテン酸カルシウムとビタミン類とを固体状態で混合した組成物では、アモルファス状パントテン酸カルシウムを用いたときに比べてパントテン酸カルシウム及び該ビタミン類の劣化が顕著に抑制されていること、及び該結晶性パントテン酸カルシウムを用いるとアモルファス状パントテン酸カルシウムを用いる場合に比べてはるかに効率的に水溶液を調製できることを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、パントテン酸カルシウムと少なくとも1種のビタミン類とを固体状態の混合物として含む組成物であって、該パントテン酸カルシウムが下記の工程:
(1)結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを混合して均一混合物を調製する工程;
(2)上記工程(1)で得られた均一混合物を吸湿させて結晶性パントテン酸カルシウムを調製する工程;及び
(3)上記工程(2)で得られた結晶性パントテン酸カルシウムを用いて、上記工程(1)及び(2)を繰り返す工程
を含む方法により得ることができる結晶性パントテン酸カルシウムであることを特徴とする組成物が提供される。
上記の結晶性パントテン酸カルシウムは粉末X線回折で回折角(2θ)が5.1°、10.3°、11.9°、16.0°、及び18.9°の位置にピークを有するが、回折角(2θ)が5.1°における回折強度と回折角(2θ)が16°における回折強度との比が1以上、好ましくは1から3の範囲、さらに好ましくは1.5から2.5の範囲である。
上記発明の好ましい態様によれば、医薬組成物、加工食品、動物飼料、及び化粧料組成物からなる群から選ばれる上記の組成物、ビタミン類が水溶性ビタミンである上記の組成物、水溶性ビタミンがアスコルビン酸である上記の組成物が提供される。また、本発明により上記組成物の製造のための上記の結晶性パントテン酸カルシウムの使用が提供される。さらに、パントテン酸カルシウムと少なくとも1種のビタミン類とを固体状態の混合物として含む組成物においてパントテン酸カルシウム及び/又は該ビタミンの安定性を高める方法であって、パントテン酸カルシウムとして上記の結晶性パントテン酸カルシウムを用いることを特徴とする方法が本発明により提供される。
別の観点からは、本発明により、乾燥状態の固体パントテン酸カルシウムに水性媒体を添加して水溶液を調製する方法であって、該パントテン酸カルシウムが上記の結晶性パントテン酸カルシウムであることを特徴とする方法が提供される。
本発明の組成物では、パントテン酸カルシウム及びビタミン類の安定性が顕著に改善されているので、長期間の保存や流通過程を経た後にも上記の各有効成分の含有量の低下が軽減される。また、本発明の方法によれば、パントテン酸カルシウムを用いて水溶液を調製するにあたり、効率的に水溶液を調製することが可能である。
本明細書において用いられる「結晶性」という用語は、実質的に完全に結晶からなる物質のほか、少量のアモルファス部分を含む物質を包含するが、パントテン酸カルシウムが完全にアモルファスの状態(粉末X線回折で実質的にピークが確認できない状態)の物質は除かれる。「結晶性」という用語は、アモルファス部分を少量含む物質を排除するものと解釈してはならない。また「アモルファス状」とは、粉末X線回折で実質的にピークが確認できない状態を意味している。
本発明の組成物に含まれる結晶性パントテン酸カルシウムは、下記の工程:
(1)結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを混合して均一混合物を調製する工程;
(2)上記工程(1)で得られた均一混合物を吸湿させて結晶性パントテン酸カルシウムを調製する工程;及び
(3)上記工程(2)で得られた結晶性パントテン酸カルシウムを用いて、上記工程(1)及び(2)を繰り返す工程
を含む方法により得ることができる新規物質である。
上記の工程(1)及び(2)は国際公開WO01/98255に記載されており、この刊行物に具体的に記載された方法に従って行なうことができる。国際公開WO01/98255の開示の全てを参照により本明細書の開示に含める。
上記工程(1)は、結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを混合して、結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを含む均一混合物を製造する工程である。結晶性パントテン酸カルシウムとしては、非吸湿性の結晶性パントテン酸カルシウムを用いることが好ましく、例えば、非吸湿性のβ−型結晶(本明細書において「β−型結晶」とは、Chem. Pharm. Bull., 24, pp.3097-3102, 1976に記載されたβ−型結晶を意味している)を用いることができる。β−型結晶以外にα−型結晶、γ−型結晶、又は1水和物結晶などを含む混合物、あるいはβ−型結晶以外の結晶性パントテン酸カルシウムを用いることもできる。原料として用いるアモルファス状パントテン酸カルシウムの製造方法は特に限定されないが、例えば、水溶液を噴霧し、熱風乾燥してアモルファス状の粉末を製造する方法や、メタノール溶液中より晶出させた結晶を濾取後、温熱風で乾燥してアモルファス状の粉末を製造する方法により製造されたものを好適に用いることができる。
原料として用いるパントテン酸カルシウムは、なるべく精製度の高いものであることが望ましい。例えば、合成法、発酵法、遺伝子組み換え技術を応用した方法などの方法で製造したパントテン酸カルシウムを用いることができ、再結晶又は通常の精製手段により精製して、結晶性パントテン酸カルシウム又はアモルファス状パントテン酸カルシウムを製造すればよい。
結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを混合する方法は特に限定されないが、通常は、粉体状に調製された結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを機械的に混合することにより均一混合物を製造することが望ましい。原料として用いる結晶性パントテン酸カルシウム又はアモルファス状パントテン酸カルシウムの粉体の粒径は特に限定されないが、例えば、20〜500μm程度である。均一混合物の調製は、固体、好ましくは粉体の混合手段として当業界で汎用されている方法により行うことができる。
均一混合物を調製する際の温度及び湿度は特に限定されないが、例えば混合は室温下に通常の湿度下、例えば40〜80%RH(%RHは相対湿度を示す。以下同様である。)で行うことができる。均一混合物の調製を適宜の加温・加湿状態で行うこともでき、このようにすることで第2工程を同時に行うことも可能である。結晶性パントテン酸カルシウム及びアモルファス状パントテン酸カルシウムの混合割合は特に限定されず、次工程での吸湿条件や所望の結晶性パントテン酸カルシウムの種類などに応じて、当業者が適宜選択できる。一般的には、均一混合物の全重量に対して、結晶性パントテン酸カルシウムを10重量%以上、好ましくは30重量%程度の割合とすればよい。
上記工程(2)は、上記工程(1)で得られた結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを含む均一混合物を吸湿させる工程である。一般的には、この吸湿工程は、上記均一混合物を適宜の温度及び湿度下に静置し、あるいは適宜の温度及び湿度下で攪拌することにより行うことができる。温度及び湿度は、アモルファス状パントテン酸カルシウムが非吸湿性の結晶性パントテン酸カルシウムとして結晶化するために十分な湿度及び温度下で行われる。このような温度及び湿度は、例えば、均一混合物の種類や所望の非吸湿性パントテン酸カルシウムの種類などに応じて、国際公開WO01/98255の実施例に記載された例8と同様な試験を行うことにより当業者が容易に決定することができる。例えば、室温〜80℃程度の範囲の温度、30〜90%RH、好ましくは40〜80%RH程度の湿度のなかから適宜の組み合わせを選択することができる。
吸湿にあたり、攪拌を行う場合の手段は特に限定されず、通常の機械的攪拌装置を用いることができる。工業的な規模で効率的に目的物の製造を行なうためには、一般的には攪拌は必須である。なお、本明細書において用いられる「攪拌」という用語は、通常の攪拌操作のほか、攪拌と同様の物理的効果を達成できる手段(例えば、振動、流動、超音波撹拌など)を含めて、最も広義に解釈する必要がある。上記工程(2)で得られた非吸湿性の結晶性パントテン酸カルシウムは、好ましくは、非吸湿性の結晶性パントテン酸カルシウムから実質的になり、アモルファス部分を実質的に含まない結晶性物質として調製されることが好ましい。なお、均一混合物の調製に用いた結晶性パントテン酸カルシウムとは異なる種類の結晶性パントテン酸カルシウムを含む非吸湿性の結晶性パントテン酸カルシウムが得られる場合があるが、工程(2)においてβ−型結晶が得られることが好ましい。上記工程(2)で得られた結晶性パントテン酸カルシウムは、乾燥等の処理を施すことなく工程(3)の原料として用いてもよいが、必要に応じて乾燥を行なった後に工程(3)の原料として用いてもよい。乾燥手段は特に限定されず、当業界で利用可能な乾燥機を用いて適宜の条件により乾燥を行なうことができる。
上記工程(3)は、上記工程(2)で得られた結晶性パントテン酸カルシウムを原料として用いて、上記工程(1)及び(2)を繰り返す工程である。この工程は、上記に説明した方法と同様に行なうことができる。繰り返し数は特に限定されないが、少なくとも1回、好ましくは2回以上、より好ましくは5回以上、特に好ましくは8回以上である。繰り返し数の上限は特に限定されないが、流動性の改善効果は10回を超えた繰り返しで低減する場合があるので、工業的生産コストの観点から10回以下程度である。
上記の方法で得られる結晶性パントテン酸カルシウムは、粉末X線回折において特徴的なピークパターンを有していることを特徴としている。この結晶性パントテン酸カルシウムは、粉末X線回折において回折角(2θ)が5.1°、10.3°、11.9°、16.0°、及び18.9°の位置にピークを有するが、これらのピークのうち、回折角(2θ)5.1°における回折強度I5.1と回折角(2θ)16.0°における回折強度I16.0との比(I5.1/I16.0)が1以上であり、好ましくは1から3の範囲(本明細書において「から」で示される数値範囲は下限及び上限の数値を含む範囲である)、より好ましくは1.5から2.5の範囲である。
従来、「β−型結晶」が知られており(Chem. Pharm. Bull., 24, pp.3097-3102, 1976)、この結晶は回折角(2θ)5.1°における回折強度I5.1と回折角(2θ)16.0°における回折強度I16.0の比(I5.1/I16.0)が1未満であり、上記の方法により得られる結晶性パントテン酸カルシウムとは明確に区別できる。粉末X線回折測定における回折角2θの値は、通常よく用いられる銅のKα特性X線を用いた場合の角度であり、角度の精度は約±0.1°である。また、晶出により得られたβ−型結晶性パントテン酸カルシウムが針状晶であるのに対して、上記の方法により得られる結晶性パントテン酸カルシウムは外観においても上記β−型結晶とは異なっており、アモルファス形態のパントテン酸に類似している。
上記工程(3)により、特に乾燥等の処理を施すことなく所望の結晶性パントテン酸カルシウムが得られるが、得られた結晶性パントテン酸カルシウムは、上記工程(3)の後に、必要に応じて乾燥及び整粒などの適宜処理に付することができる。乾燥手段は特に限定されず、当業界で利用可能な乾燥機を用いて適宜の条件により乾燥を行うことができる。
本発明の組成物は、上記の方法で得られる上記結晶性パントテン酸カルシウムと、少なくとも1種のビタミン類とを固体状態の混合物として含む組成物である。固体状態の混合物とは、それぞれ乾燥状態の粉末や顆粒などの形態の上記結晶性パントテン酸カルシウムとビタミン類とが、互いに接触した状態で存在する混合物を意味している。本発明の組成物では、パントテン酸カルシウム及びビタミン類の安定性が改善されており、長期保存後にも両者の成分の含有量低下が軽減される。
本発明の組成物の用途は特に限定されないが、例えば、医薬組成物、化粧料組成物、加工食品、又は動物飼料などであることが好ましい。医薬組成物には、ヒトの病気の予防、診断、及び治療に用いられる医薬組成物のほか、いわゆる医薬部外品や、ヒト以外の哺乳類動物の病気に用いられる医薬組成物などが含まれる。医薬組成物としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤(例えば、素錠、フィルムコーティング錠、薄層糖衣錠、糖衣錠、チュアブル錠、二層錠など)、カプセル剤、粉末吸入剤、又は乾燥粉末形態で提供される用時溶解型の注射剤などを挙げることができる。化粧料組成物としては、例えば、パウダー、ファンデーションなどを挙げることができる。もっとも、これらは例示のためのものであり、これらに限定されることはない。
ビタミン類としては、水溶性ビタミン又は脂溶性ビタミンのいずれを用いてもよい。水溶性ビタミンとしては、例えば、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、チアミン(ビタミンB1)およびその塩並びにそれらの誘導体、リボフラビン(ビタミンB2)およびその塩並びにそれらの誘導体、ピリドキシン(ビタミンB6)およびその塩並びにそれらの誘導体、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル、アスコルビン酸(ビタミンC)及びその塩並びにそれらの誘導体、葉酸、ビオチン、ビタミンB12、リポ酸、イノシトール、塩化コリンなどを挙げることができる。脂溶性ビタミンとしては、例えば、レチノールおよびその誘導体、ビタミンEおよびその誘導体、ビタミンPおよびその誘導体、ビタミンKおよびその誘導体などを挙げることができる。ビタミン類としては水溶性ビタミンが好ましく、アスコルビン酸、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド、塩酸チアミン、及びリボフラビンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のビタミンが好ましい。ビタミン類は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物において、上記の方法で製造される結晶性パントテン酸カルシウムとビタミン類との比率は特に限定されないが、例えば、重量比で0.01〜10程度、好ましくは0.05〜2程度である。
本発明の組成物には、上記の結晶性パントテン酸カルシウム及びビタミン類のほかに1種又は2種以上の他の成分が含まれていてもよい。また、本発明の組成物は、例えば造粒などの適宜の手段により任意の形状に成形されていてもよい。そのようにして得られる例えば造粒物などの形態の成形物と1種又は2種以上の成分とを混合して、さらに別の組成物を調製してもよい。このような目的で用いられる成分は、本発明の組成物の用途により当業者が適宜選択可能であり、その種類は特に限定されない。例えば、医薬組成物であれば、通常用いられる製剤用添加物(例えば医薬品添加物など)を用いることができ、化粧料では化粧料用添加物を用いることができ、加工食品では食品添加物などを用いることができる。
上記の成分の一例を挙げれば、例えば、アミノ酸、脂質、糖、ホルモン、酵素、核酸などの生理活性物質、ササミ、小麦粉、米糠などを挙げることができる。また、結合剤として、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン、プルラン、α化澱粉、糊化澱粉、アラビアゴム、ゼラチン、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、L-アラビノース、D-キシロース、D-2-デオキシリボース、D-リボース、D-およびL-ガラクトース、D-グルコース、D-マンノース、D-フルクトース、L-ソルボース、L-フコース、L-ラムノース、D-グルコサミン、D-ソルビトール、D-マンニトール、ガラクチトール、エリスリトール、セルビオース、ゲンチオビース、イソマルトース、コージビオース、ラクトース、ラクチトール、ラミナリビオース、マルトース、メリビオース、ニゲロース、ソホロース、ショ糖、パラチノース、トレハロース、パラチニット、デキストリン、ステアリン酸およびその誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、トウモロコシデンプン、アスパルテーム、ステビア、アセスルファム、サッカリン、アミノアルキルメタクリレート共重合体、メタクリル酸共重合体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミンアセテート、乳糖、キシリトール、マルチトール、粉末還元糖水飴、アラビトール、リビトール、グルシトール、コーンフラワー、小麦粉、米糠、綿実粕、アルギン酸ナトリウム、カラーギーナン、カゼイン、グルテン、カードラン、グアガムなどを含んでいてもよい。
また、無機塩として、食塩、炭酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸鉄、ヘム鉄、フェリチン、リン酸第二鉄、コハク酸第一鉄、フマル酸第一鉄、乳酸鉄、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸第一鉄、三二酸化鉄、クエン酸第二鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、グルコン酸第一鉄、塩化第二鉄、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫化セレン、グルコン酸銅、硫酸銅、塩化銅、硫酸マンガン、グリセロリン酸マンガン、塩化マンガン、次亜リン酸マンガン、グルコン酸マンガン、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム、リン酸マグネシウム(II)、リン酸マグネシウム(III)、炭酸カルシウムマグネシウム、牛骨粉、魚骨粉、帆立貝殻粉末、牡蠣殻粉末、貝殻粉末、卵殻粉末、乳清カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カリウム、ヨウ化カリウムなどを含んでいてもよい。さらに、香料として、例えば、ハッカ油、ユーカリ油、桂皮油、ウイキョウ油、チョウジ油、オレンジ油、レモン油、ローズ油、フルーツフレーバー、バナナフレーバー、ストロベリーフレーバー、ミントフレーバー、ペパーミントフレーバー、dl-メントール、l-メントールなどを含んでいてもよい。矯味剤として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、アスパルテーム、ステビア、サッカリン、グリチルリチン二カリウム、ソーマチン、アセスルファームを含んでいてもよい。もっとも、これらは単なる例示として挙げたものであり、上記の成分はこれらに限定されることはない。
以下に組成物の例を挙げるが、これらは単なる例示として挙げたものであり、用いられる成分の種類や配合量はこれらに限定されることはない。
組成物例1:ビタミン細粒剤
ビタミンB6 30 mg
ビタミンB2 3 mg
ニコチン酸アミド 15 mg
本発明の結晶性パントテン酸カルシウム
100 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 30 mg
乳糖 822 mg
計 1000 mg
組成物例2:ドッグフード(加工品)
ササミ 21 g
小麦粉 42.95 g
大豆タンパク 9 g
ブドウ糖 5 g
塩化ナトリウム 1 g
ソルビン酸 0.05 g
ビタミンB6 6 g
ニコチン酸アミド 5 g
本発明の結晶性パントテン酸カルシウム
10 g
計 100 g
組成物例3:動物用飼料プレミックス
ビタミンK3 0.2 g
葉酸 0.2 g
ビタミンB6 20 g
ビタミンB1 16 g
ビオチン 0.1g
ニコチン酸アミド 20 g
本発明の結晶性パントテン酸カルシウム
18 g
炭酸マンガン 20 g
硫酸亜鉛 12 g
硫酸鉄 5 g
米糠 888.5 g
計 1000 g
別の観点から提供される本発明の方法は、パントテン酸カルシウムに水性媒体を添加して水溶液を調製する方法において、パントテン酸カルシウムとして上記方法で得られた上記の結晶性パントテン酸カルシウムを用いることを特徴としている。上記の結晶性パントテン酸カルシウムはアモルファス状のパントテン酸カルシウム粉末に比べて水中で微細に分散するため、水に均一に溶解するまでの時間が短縮される。従って、上記の結晶性パントテン酸カルシウムを用いることにより、例えば輸液や飲料などの工業的な製造において、パントテン酸カルシウムを水性媒体に投入して溶解するための作業時間及び作業コストを大幅に軽減することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
粉末X線回折装置としては理学電機株式会社 MultiFlex 2kw(水平型ゴニオメータ)を用い、X線回折測定には下記の条件を用いた。
X線管球ターゲット:Cu
管電圧:40kV
管電流:20mA
X線の単色化:モノクロメータ法+PHA(波高分析機 微分モード)
スリット:発散スリット 1°
散乱スリット 1°
受光スリット 0.15 mm
サンプリング間隔 0.02°
走査速度:5°/min.
測定には、サンプルチェンジャ(ASC-6A)を使用し、回転数は60rpmとした。サンプルホルダーは、貫通形試料板にサンプルを0.8g充填するか、又は試料板(底深タイプ深さ約2 mm)を用いた。静置用容器にあるサンプル全量を乳鉢に移し、乳棒で全体に荒い粒が無くなるまで粉砕を行い、取り扱い説明書に記載の方法で各サンプルホルダーに試料充填を行った。
電子顕微鏡観察では試料に蒸着を施し、走査型電子顕微鏡を用いた。設定倍率は約200倍、約2000倍である。
粉体物性の測定はホソカワミクロン株式会社製パウダテスタPT-N型を用い、手順書に従って、極一般的な方法で各測定を3回行い、その平均値を採用した。
パントテン酸カルシウムのアモルファス状粉末は、パントテン酸カルシウム水溶液をスプレードライヤーにて乾燥して得た。
参考例1:β−型針状晶の製造
稲垣ら(Chem. Pharm. Bull., 24, pp.3097-3102, 1976)に記されている方法に準じてβ−型結晶性パントテン酸カルシウムを得た。まず、パントテン酸カルシウムのアモルファス造粒物(第一ファインケミカル株式会社製)5 gを10 wt%含水エタノール 100 gによく攪拌して完全に溶解し、25℃にて静置した。1日後に析出した結晶を減圧濾過し、室温減圧乾燥を行った。この結晶を粉末X線回折装置で分析したところ、回折角(2θ)5.1°における回折強度I5.1は、回折角(2θ)16.0°における回折強度I16.0より明らかに大きく、稲垣ら(Chem. Pharm. Bull., 24, pp.3097-3102, 1976)に記述されているβ-型結晶の粉末X線回折パターンと一致した(図1)。また、この結晶の電子顕微鏡観察(図2及び3)より、得られた結晶は長さ数10μm程度の微細な針状晶であることが確認された。
参考例2:β−型針状晶の大量製造
10 wt%含水エタノール 200 gにパントテン酸カルシウム(アモルファス状粉末) 40 gを加え、室温にて均一になるように超音波をかけながら溶解した。このとき一部析出が始まって若干濁る場合がある。この懸濁水溶液を40℃で加温しながら攪拌した。その後、数十分間で析出が進み、明らかに白濁して粘度が上昇した。流動性があるうちに析出した結晶を減圧濾過し、得られた結晶の塊をほぐしてエバポレーターを用いて40℃で減圧乾燥を数時間行った。乾燥した結晶を150μm篩の上で軽く潰しながら整粒した。粉体物性の測定に充分な量を取得するために、上記の操作を3回繰り返して合計77gの結晶を得た。
篩を通した結晶を粉末X線回折で分析したところ、参考例1で得られた結晶と同一であり、I5.1はI16.0より明らかに大きく、稲垣ら(Chem. Pharm. Bull., 24, pp.3097-3102, 1976)に記載の回折パターンと一致していた(図4)。また電子顕微鏡による外観観察(図5及び6)では、同様に長さ数10μmの微細な針状晶であることが確認できた。
参考例3:アモルファス状パントテン酸カルシウムの製造
パントテン酸カルシウム水溶液をスプレードライヤーにて乾燥し、アモルファス状パントテン酸カルシウムを得た。このアモルファス状パントテン酸カルシウムの水分値は2〜3%(カールフィッシャー法)であり、粉末X線回折を測定したところ、実質的なピークは観測されなかった。
参考例4:新規結晶性パントテン酸カルシウムの製造
含水エタノール溶液より得られたβ−型結晶1 gに対して参考例2のパントテン酸カルシウムのアモルファス状粉末1 gをよく混合し、得られた混合物を60℃、50%RHの環境下でバットに薄く広げて7時間以上静置し、全量が結晶性パントテン酸カルシウムとなった粉体を得た。得られた粉体は若干固化している場合があるので、その場合には、参考例2と同様にして150μmの篩の上で固形物を崩して篩を通して整粒した。
得られた結晶性パントテン酸カルシウムに対して、再び同量のパントテン酸カルシウムのアモルファス状粉末をよく混合し、上記と同様にして、混合物を60℃、50%RH環境下でバットに薄く広げて7時間以上静置し、全量が結晶性パントテン酸カルシウムになった結晶を得た。この操作を合計8回繰り返して、結晶性パントテン酸カルシウムを約230g得た。この操作において、最初に用いたβ−型結晶、1度目の操作で得られた結晶性パントテン酸カルシウム、2度目の操作で得られた結晶性パントテン酸カルシウム、3度目の操作で得られた結晶性パントテン酸カルシウム、4度目の操作で得られた結晶性パントテン酸カルシウム、及び8度目の操作で得られた結晶性パントテン酸カルシウムの粉末X線回折チャートを図7及び8に示す。
混合及び吸湿の操作を繰り返すことによって、回折角(2θ)5.1°における回折強度I5.1は相対的に減少し、回折角(2θ)16.0°における回折強度I16.0は相対的に増加することが認められ、8回目の操作で最終的に得られた結晶性パントテン酸カルシウムでは回折角(2θ)5.1°における回折強度I5.1と回折角(2θ)16.0°における回折強度I16.0の比(I5.1/I16.0)が約1.9倍であった。また8回目の操作で得られた結晶性パントテン酸カルシウムの電子顕微鏡写真(図9及び10)から明らかなとおり、この結晶性パントテン酸カルシウムには数10μm以上の結晶特有の角がある針状晶はほとんど含まれておらず、原料であるアモルファス状粉末(図11及び12)と類似の外観を呈していた。
試験例1
参考例4で得られた結晶性パントテン酸カルシウム(結晶性PC)を用いて、下記の処方1に従って組成物を調製した。この組成物をガラス瓶に入れ、栓は開放のまま、25℃、RH60%の条件下2週間放置した。2週間後にその混合末のパントテン酸カルシウムとアスコルビン酸の含有量を測定した。比較のため、参考例3で得たアモルファス状パントテン酸カルシウム(アモルファス状PC)を用いて下記の処方1に従って比較組成物を調製し、同様に試験を行った。結果を表1に示す(表中、含有量は残存率を示す)。表1に示された結果から明らかなとおり、アスコルビン酸が共存するときに、参考例4で得た結晶性パントテン酸カルシウムを使用すると、アモルファス状パントテン酸カルシウムを用いるよりも、パントテン酸カルシウムに顕著な安定性の改善が認められた。
<処方1>
パントテン酸カルシウム 1 g
アスコルビン酸 1 g
計 2 g
試験例2
参考例4で得られた結晶性パントテン酸カルシウムを用いて、下記の処方2に従って組成物を調製した。この組成物をガラス瓶に入れ、栓は開放のまま、40℃,75%RHの条件下2週間放置した。2週間後にその混合末のパントテン酸カルシウムとアスコルビン酸カルシウムの含有量を測定した。比較のため、参考例3で得たアモルファス状パントテン酸カルシウムを用いて下記の処方2に従って比較組成物を調製し、同様に試験を行なった。結果を表2に示す(表中、含有量は残存率を示す)。表2に示された結果から明らかなとおり、アスコルビン酸カルシウムが共存するとき、参考例4で得た結晶性パントテン酸カルシウムを使用すると、アモルファス状パントテン酸カルシウムを用いた場合よりもパントテン酸カルシウムは安定であった。またアスコルビン酸カルシウムも、参考例4で得た結晶性パントテン酸カルシウムを使用すると、アモルファス状パントテン酸カルシウムを用いた場合よりも安定であった。
<処方2>
パントテン酸カルシウム 1 g
アスコルビン酸カルシウム 1 g
計 2 g
試験例3
参考例4で得た結晶性パントテン酸カルシウムを使用し、表3に示すビタミンプレミックスを製造し、各ビタミンの安定性を調べた。保存条件を表4に示す。比較のため、参考例3で得たアモルファス状パントテン酸カルシウムを使用して同じ処方にて組成物を調製し、各ビタミンの安定性を試験した。表5に結果を示す(含有量は残存率を示す)。表5に示された結果から明らかなように、参考例4で得た結晶性パントテン酸カルシウムを用いたときには、参考例3で得たアモルファス状パントテン酸カルシウムを用いた場合よりもビタミンB6及びビタミンB1は安定であった。
試験例4
参考例4で得た結晶性パントテン酸カルシウムと参考例3で得たアモルファス状パントテン酸カルシウムの溶出性について、日本薬局方の溶出試験法にしたがって試験を行い比較した。表6に溶出試験条件示す。図13及び表7に結果を示す。これらの結果から明らかなとおり、参考例4で得た結晶性パントテン酸カルシウムは、参考例3で得たアモルファス状パントテン酸カルシウムより溶出性が優れていた。
参考例1で製造したβ−型結晶の粉末X線回折パターンを示した図である。 参考例1で製造したβ−型結晶の電子顕微鏡写真である。 参考例1で製造したβ−型結晶の電子顕微鏡写真(拡大写真)である。 参考例2で製造したβ−型結晶の粉末X線回折パターンを示した図である。 参考例2で製造したβ−型結晶の電子顕微鏡写真である。 実施例2で製造したβ−型結晶の電子顕微鏡写真(拡大写真)である。 参考例4における繰り返し工程での生成物の粉末X線回折パターンの変化を示した図である。図中、(A)は種晶として使用したβ−型結晶の粉末X線回折パターンを示し;(B)は繰り返し1度目の生成物の粉末X線回折パターンを示し;(C)は繰り返し2度目の生成物の粉末X線回折パターンを示す。 参考例4における繰り返し工程での生成物の粉末X線回折パターンの変化を示した図である。図中、(D)は繰り返し3度目の生成物の粉末X線回折パターンを示し;(E)は繰り返し4度目の生成物の粉末X線回折パターンを示し;(F)は繰り返し8度目の生成物の粉末X線回折パターンを示す。 参考例4で製造した結晶性パントテン酸カルシウムの電子顕微鏡写真である。 参考例4で製造した結晶性パントテン酸カルシウムの電子顕微鏡写真(拡大写真)である。 参考例2で製造したアモルファス状粉末の電子顕微鏡写真である。 参考例2で製造したアモルファス状粉末の電子顕微鏡写真(拡大写真)である。 参考例4で得た結晶性パントテン酸カルシウムと参考例2で得たアモルファス状パントテン酸カルシウムの溶出試験結果を示した図である。

Claims (8)

  1. パントテン酸カルシウムと少なくとも1種のビタミン類とを固体状態の混合物として含む組成物であって、該パントテン酸カルシウムが下記の工程:
    (1)結晶性パントテン酸カルシウムとアモルファス状パントテン酸カルシウムとを混合して均一混合物を調製する工程;
    (2)上記工程(1)で得られた均一混合物を吸湿させて結晶性パントテン酸カルシウムを調製する工程;及び
    (3)上記工程(2)で得られた結晶性パントテン酸カルシウムを用いて、上記工程(1)及び(2)を繰り返す工程
    を含む方法により得ることができる結晶性パントテン酸カルシウムであることを特徴とする組成物。
  2. 上記結晶性パントテン酸カルシウムが粉末X線回折で回折角(2θ)が5.1°、10.3°、11.9°、16.0°、及び18.9°の位置にピークを有し、かつ回折角(2θ)が5.1°における回折強度と回折角(2θ)が16°における回折強度との比が1以上である結晶性パントテン酸カルシウムである請求項1に記載の組成物。
  3. 組成物が医薬組成物、加工食品、動物飼料、及び化粧料組成物からなる群から選ばれる請求項1又は2に記載の組成物。
  4. ビタミン類が水溶性ビタミンである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 水溶性ビタミンがアスコルビン酸又はその塩である請求項4に記載の組成物。
  6. パントテン酸カルシウムと少なくとも1種のビタミン類とを固体状態の混合物として含む組成物においてパントテン酸カルシウム及び/又は該ビタミンの安定性を高める方法であって、パントテン酸カルシウムとして請求項1に記載の方法により得ることができる結晶性パントテン酸カルシウムを用いることを特徴とする方法。
  7. 乾燥状態の固体パントテン酸カルシウムに水性媒体を添加して水溶液を調製する方法であって、該パントテン酸カルシウムが請求項1に記載の方法により得ることができる結晶性パントテン酸カルシウムであることを特徴とする方法。
  8. パントテン酸カルシウムを含む水溶液を調製するために用いる請求項1に記載の方法により得ることができる結晶性パントテン酸カルシウム。
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