JP2005320338A - 可視光感光性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

可視光感光性樹脂組成物およびその用途 Download PDF

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理穂子 鈴木
Atsuo Otsuji
淳夫 大辻
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Hirosuke Takuma
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Abstract

【課題】
可視光領域、特にアルゴンレーザーおよびYAGレーザーの第二高調波に対し、十分な感度を有する組成物であり、可視光レーザー用として優れた感光層を形成する。
【解決手段】
式(44)の化合物で代表されるクマリン化合物およびチタノセン化合物を含有することを特徴とする可視光感光性樹脂組成物。

【選択図】 なし

Description

本発明は、可視光領域の光線に対し高い感度を示す可視光感光性樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは、光重合開始剤組成物に特徴を有する可視光感光性樹脂組成物に関するものである。
エチレン性不飽和二重結合を有する架橋もしくは重合可能な化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマー及びそれらの共重合体、以下、エチレン性化合物と略す)は光重合開始剤の存在により、架橋もしくは重合するという性質を有する。これを利用して、いわゆるフォトポリマーやフォトレジストとして印刷版やプリント基板、IC等を作製するために広く用いられている。近年、光重合反応を用いた情報あるいは画像記録の分野で、従来のフィルム原稿等を用いた紫外線による記録方法に代わり、コンピューターによって電子編集された原稿を、そのまま、高出力レーザーを用いて直接出力し、記録する方法が検討されている。この方法は、レーザーによる直接書き込みにより、記録、画像形成工程が、大幅に簡略化できるという利点をもつ。現在、一般的に使用されている高出力で安定なレーザー光源は、可視領域にその出力波長を有するものが多い。具体的には、波長488nmおよび514.5nmに安定な発振線を持つアルゴンレーザー、あるいは第二高調波(SHGと略す)として532nmに輝線を持つYAGレーザー等が汎用されている。
通常、感光性樹脂組成物は、可視領域にはほとんど感度を有していないため、可視光に感度を有する光重合開始剤組成物(以下、開始剤組成物と略す)が必要である。従来使用されてきた紫外線用の開始剤組成物では、可視領域での感度が低いため使用できなかった。また、ピリリウム塩またはチオピリリウム塩類等の添加で、可視部での感度の向上は可能ではあるが、その感光層の保存安定性が低く、使用するのが困難であった。開始剤組成物は、普通、光重合開始剤および感光性化合物(光増感剤)等の2種以上の化合物から成る。開始剤組成物において、例えば、特開平5−289335号及び特開平6−43642号において、3−置換クマリン化合物とチタノセン化合物の組み合わせが記載されている。しかし、これらでは、未だ感度が不十分である。光重合開始剤組成物に使用できる可視領域に感光性を有する光増感剤として、例えば、7−ジエチルアミノ−3−ベンゾチアゾイルクマリン(慣用名:クマリン−6)、或いは、ビス〔3−(7−ジエチルアミノクマリル)〕ケトン(慣用名:ケトクマリン)が知られているが、これらは最大吸収波長が450nm前後にあるため、アルゴンレーザーの488nmよりは短波長であり、感度が不十分である。また、特開平4−18088号に記載の4−置換−3−ベンゾチアゾイルクマリン化合物は、アルゴンレーザーの488nmには感光しうるものの、514.5nmあるいはYAGレーザー(SHG)の532nmには吸収を殆ど持たず、感度向上の余地を残していた。さらに、特開昭54−66928号に記載の4−シアノクマリン誘導体は、YAGレーザー(SHG)付近に吸収を有するものの、有機溶媒に対する溶解性に乏しく、感光層の形成が非常に困難なばかりでなく、十分な感度が得られなかった。
光重合反応を用いた情報、あるいは画像記録の分野では、実用性に優れた可視光感光性樹脂組成物の要望がある。感光性樹脂は、通常、可視光には感度を有しておらず、可視光レーザーによって直接書き込みを行うためには、可視光に感度を有する開始剤組成物が必要とされる。開始剤組成物に対しては、数々の特性が要求される。該組成物に含まれる光増感剤は、適切な吸収波長および吸光係数を有し、高感度であり、良好な溶媒溶解性や他成分との相溶性を有し、保存安定性がよいことなどが要求特性として挙げられる。しかしながら、光増感剤の分子構造や、光重合開始剤等の開始剤組成物に含まれる他の成分との相互作用により、各特性の発現がどのようにして起こるのかは、現状ではまだ十分に解明されていない。このため、前記要求特性をすべて満足する光増感剤を選択することは困難な作業である。また、こうして選択した光増感剤と相溶性を有し、かつ電子的またはエネルギー的に相互作用してエチレン性化合物を架橋もしくは重合させ得る光重合開始剤を選択することは、困難である。つまり、開始剤組成物を公知材料から類推、選択することは容易なことではない。
本発明の目的は、高出力で安定なレーザー光源であるアルゴンレーザーあるいはYAGレーザー(SHG)等の可視光領域のレーザー光に対して高感度であり、樹脂に対する相溶性、保存安定性に優れる光重合開始剤組成物および感光性樹脂組成物を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ある種のクマリン化合物とチタノセン化合物とを組み合わせて用いることにより、優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
〔1〕エチレン性不飽和二重結合を有する架橋もしくは重合可能な化合物および光重合開始剤組成物を含有し、可視光照射により架橋もしくは重合し得る感光性樹脂組成物において、光重合開始剤組成物が、下記一般式(1)で表されるクマリン化合物とチタノセン化合物とを含有するものであることを特徴とする可視光感光性樹脂組成物、
〔2〕〔1〕の可視光感光性樹脂組成物と溶剤とを含有する可視光感光性材料用インキ、
〔3〕〔2〕の可視光感光性樹脂組成物を、基材上に有してなる可視光感光性材料、に関するものである。
〔式中、R1 及びR2 は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または下記一般式(2)で表される置換基を示し、
(式中、Q1 は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基またはシクロアルキル基を示し、p及びqは各々1〜5の整数を示す)
1 とR2 は互いに結合するか、または骨格内のアミノ基の置換したベンゼン核と結合して環を形成してもよく、R3 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲノアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はスルホン酸基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、−NH−基または−NR4 −基を示し、R4 はアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または下記一般式(3)で表される置換基を示し、
(式中、Q2 は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基またはシクロアルキル基を示し、m及びnは各々1〜5の整数を示す)環Aは置換されていてもよい〕また、本発明は、
〔4〕一般式(4)で表されるクマリン化合物、
〔5〕一般式(5)で表されるクマリン化合物、
〔6〕〔4〕および〔5〕のクマリン化合物を含有する光増感剤、に関するものである。
〔式中、R5 及びR6 は各々、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または前記一般式(2)で表される置換基を示し、ただしR5 とR6 は同時にアルキル基になることはなく、R3 及びXは一般式(1)の場合と同じ意味を示し、環Aは置換されていてもよい〕
〔式中、R7 及びR8 は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基を示し、R7 とR8 は互いに結合するか、または骨格内のアミノ基の置換したベンゼン核と結合して環を形成してもよく、R3 は一般式(1)の場合と同じ意味を示し、R9 はアルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または前記一般式(3)で表される置換基を示し、環Aは置換されていてもよい〕
本発明の一般式(1)で表されるクマリン化合物は、光増感剤として極めて有用性の高い化合物であり、一般式(6)で表されるチタノセン化合物と組み合わせることによって、可視光に対して高感度な光重合開始剤組成物を与える。近年、光重合反応を用いた情報記録の分野で、コンピューターによって電子編集された原稿を、そのまま直接、レーザーを用いて出力し、記録する方式が用いられてきているが、この際使用する感光性材料は、感光層の経時安定性や感度が低く、溶解性、溶解後の保存安定性等に問題があった。しかし、本発明で用いるクマリン化合物とチタノセン化合物とは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物等の感光性樹脂との相溶性がよく、かつ、汎用の塗布溶液に溶解し、支持体上で均一で平滑な塗面を得ることができる。本発明で用いるクマリン化合物とチタノセン化合物とを含有する光重合開始剤組成物は、488nmおよび514.5nmに安定な発振線を持つアルゴンレーザーや第2高調波として532nmに輝線を持つYAGレーザー等の汎用可視レーザーに対して、非常に高い感度を有するため、この光重合開始剤組成物を用いた本発明の可視光感光性樹脂組成物から得られる感光性材料は、これらのレーザーにより高速走査露光が可能である。さらに、高速走査露光によって得られる画像は極めて高解像度の画像である。
以下、本発明について詳しく説明する。本発明の可視光感光性樹脂組成物とは、エチレン性不飽和二重結合を分子中に少なくとも1個有する光架橋または光重合可能な化合物(以下、エチレン性化合物と略す)および光重合開始剤組成物(以下、開始剤組成物と略す)を含有するもので、開始剤組成物が前記一般式(1)で表されるクマリン化合物およびチタノセン化合物とを含有するものである。本発明の可視光感光性樹脂組成物は、特定の開始剤組成物を用いることにより、優れた効果を示し、更に、従来の感光性樹脂組成物は、塗布方式の違いによって感度が大きく変動していたが、本発明の感光性樹脂組成物は、いずれの方式においても安定した感度を示し、市場の要望を十分に満足させるものである。また、本発明の可視光感光性樹脂組成物は、必要であれば、溶剤やその他の感光性樹脂、添加剤を含有するものである。本発明の可視光感光性樹脂組成物に含まれてもよい添加剤としては、例えば、樹脂組成物の空気中での酸化による感度低下を抑制するための酸化抑制剤が挙げられ、具体的には、アクリジン化合物が挙げられる。
本発明における開始剤組成物とは、エチレン性化合物を光照射によって架橋もしくは重合を開始させることの出来る組成物である。該組成物には、光重合開始剤及び光増感剤を含有し、さらに活性化剤や開始補助剤と呼ばれる物質を含有していてもよい。また、本発明の開始剤組成物とは、一般式(1)で表されるクマリン化合物とチタノセン化合物とを必須成分として含有するものである。必要に応じて、その他の公知の光増感剤や光重合開始剤を混合して使用してもよい。チタノセン化合物は、可視部に吸収を有してはいるが、それ単独では感度が不十分であり、また、500nm以上の吸収はわずかであるため、514.5nmのアルゴンレーザーや532nmのYAGレーザー(SHG)では、エチレン性化合物の架橋や重合を起こすことはできない。一方、本発明で使用する一般式(1)で表されるクマリン化合物は、アルゴンレーザーやYAGレーザー(SHG)に感光し得る400〜600nmに吸収を有している。本発明は、これらを組み合わせることにより、可視光領域のレーザー光に対して高感度な開始剤組成物が得られることを見出したこと基にするものである。本発明の可視光感光性樹脂組成物において、チタノセン化合物とは、下記一般式(6)で表すことができる。
(式中、P1 及びP2 は各々未置換または1〜2個のメチル基で置換されたシクロペンタジエニル基を示し、P3 及びP8 は各々フッ素原子、−CF3 基または−CF2 CH3 基を示し、P4 〜P7 及び P9 〜P12は各々水素原子、フッ素原子、−CF3 基、−CF2 CH3 基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基または1−ピローリル基を示す。)
好ましい具体例としては、下記式(7a)〜(7d)で表される化合物を挙げることができる。
本発明で用いる一般式(1)、(4)および(5)で表されるクマリン化合物について説明する。一般式(1)において、R1 及びR2 の例としては、それぞれ独立または同一に、水素原子、炭素数1〜10の分岐してもよいアルキル基;フェニル基等のアリール基;アリル、2−ブテニル、2−ペンテニル基等のアルケニル基;ベンジル基等のアラルキル基;メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、γ−エトキシプロピル基等の炭素数2〜11のアルコキシアルキル基;フェニルオキシメチル、p-メチルフェニルオキシエチル、m-メチルフェニルオキシプロピル、o-メチルフェニルオキシブチル、2,4-ジメチルフェニルオキシペンチル基等のアリールオキシアルキル基;アリルオキシメチル、2-ブテニルオキシエチル、2-ペンテニルオキシプロピル基等のアルケニルオキシアルキル基;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基;ヒドロキシメトキシメチル、ヒドロキシエトキシエチル、2-ヒドロキシプロポキシメチル、3-ヒドロキシプロポキシブチル基等のヒドロキシアルコキシアルキル基;ヒドロキシエトキシエトキシブチル、ヒドロキシプロポキシプロポキシメチル、ヒドロキシメトキシエトキシペンチル、ヒドロキシプロポキシメトキシメチル、ヒドロキシエトキシエトキシエトキシエチル基等のヒドロキシポリエーテル基;メトキシメトキシメチル、メトキシエトキシエチル、エトキシメトキプロピル、エトキシエトキシブチル、γ−エトキシプロポキシペンチル基、メトキシエトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエトキシエトキシエチル等のポリエーテル基等の一般式(2)で表される置換基等が挙げられる。また、R1 とR2 は互いに結合して環を形成するか、骨格内のベンゼン核と環を形成してもよく、例えば下記一般式(8a)〜(8e)の様な環を形成してもよい。
(ここで、R2 およびR3 は、一般式(1)と同じ意味を示し、Q3 〜Q6 は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)
1 及びR2 は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、一般式(2)および一般式(8a)〜(8e)で表される置換基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、および一般式(2)および一般式(8b)で表される置換基であり、さらに好ましくは、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基および一般式(2)で表される置換基であり、特に好ましくは、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基および一般式(2)で表される置換基である。
一般式(4)において、R5 及びR6 は各々、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または一般式(2)で表される置換基である。ただし、R5 及びR6 が同時にアルキル基になることはない。R5 及びR6 は好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または一般式(2)で表される置換基であり、さらに好ましくは、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または一般式(2)で表される置換基である。また、一般式(5)において、R7 及びR8 は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基を示し、R7 とR8 は互いに結合するか、または骨格内のアミノ基の置換したベンゼン核と結合して環を形成してもよく、具体例として、前記一般式(8a)〜(8e)で表される置換基が挙げられる。R7 及びR8 は好ましくは、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基または一般式(8a)〜(8e)で表される置換基であり、さらに好ましくは、アルキル基、アルケニル基または一般式(8a)〜(8e)で表される置換基であり、特に好ましくは、アルキル基または一般式(8b)で表される置換基である。これらの具体例としては、R1 及びR2 と同様のものが挙げられる。
また、一般式(1)、(4)および(5)において、R3 の例としては、水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜10のアルキル基;メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、γ- エトキシプロピル基等の炭素数2〜11のアルコキシアルキル基;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基;クロロメチル、ジクロロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ノナフオロブチル基等の炭素数1〜10のハロゲノアルキル基;水酸基;炭素数1〜10のアルコキシ基;フェニルオキシ、p−メチルフェニルオキシ、m−メチルフェニルオキシ、o−メチルフェニルオキシ、2,4-ジメチルフェニルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ等の炭素数2〜11のアルコキシアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、n−ブチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ、2−メチルフェニルチオ、3−クロロフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ基等のアリールチオ基;スルホン酸基等が挙げられる。
一般式(1)および(4)において、Xは酸素原子、硫黄原子、−NH−基または−NR4 −基を示し、Xは、好ましくは、酸素原子、硫黄原子、−NR4 −基である。R4 はアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または一般式(3)で表される置換基(ポリエーテル基またはヒドロキシポリエーテル基)を示し、好ましくは、アルコキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ポリエーテル基またはヒドロキシポリエ−テル基であり、さらに好ましくは、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ポリエーテル基またはヒドロキシポリエーテル基である。また、一般式(5)において、R9 はアルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または一般式(3)で表される置換基(ポリエーテル基またはヒドロキシポリエーテル基)を示す。R9 は好ましくは、アルコキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ポリエーテル基またはヒドロキシポリエ−テル基であり、さらに好ましくは、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ポリエーテル基またはヒドロキシポリエーテル基である。
一般式(1)、(4)および(5)において、環Aは置換されていてもよく、置換されていてもよい基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル等のアルキル基,メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等が挙げられる。環Aは、好ましくは、未置換または、アルキル基で置換されたベンゼン環である。一般式(4)および(5)で表される化合物は新規化合物であり、溶媒に対する溶解性の点で、本発明で用いられる化合物の中で、好ましい化合物である。本発明の一般式(1)で表されるクマリン化合物は、公知の方法により製造できる。例えば、下記の反応式に従って製造することができる。なお、一般式(4)および(5)で表されるクマリン化合物も同様に製造できる。
一般式(1)で表される化合物は、代表的には、反応促進剤の存在化、一般式(9)と一般式(10)で表される化合物とを反応させることにより製造される。すなわち、一般式(9)で表されるクマリンアルデヒド化合物と一般式(10)で表されるアセトニトリル化合物とのアルドール型の縮合反応により、好適に製造することができる。例えば、一般式(9)で表されるクマリンアルデヒド化合物と一般式(10)で表されるアセトニトリル化合物とを、例えば、「Dyes and Pigments 28(4) ,327-39 (1995)」あるいは独国特許3033159号に開示されている方法で製造することができる。
一般式(9)で表されるクマリンアルデヒド化合物および一般式(10)で表されるアセトニトリル化合物は、公知の製法によって製造できる。一般式(9)で表されるクマリンアルデヒド化合物は、例えば、下記の反応式(化18)に従って製造することができる。すなわち、m−アミノフェノール化合物を、「新実験化学講座14〔II〕,688 〜699 (1977) 日本化学会編」記載のVilsmeier反応によってホルミル化を行うことによって、N−置換サリチルアルデヒド化合物を得ることができる。これを例えば、独国特許2413281号記載の方法によって、あるいは、下記反応式に従って反応させることによって、一般式(9)で表される化合物を得ることができる。
また、一般式(10)で表されるアセトニトリル化合物は、例えば、米国特許4064136号または「J.Chem.Soc., Perkin Trans., (13) 1759 〜1770(1995)」記載の方法によって得ることができる。
本発明の一般式(1)、(4)および(5)で表されるクマリン化合物は、400〜700nmの可視光領域の光、特に、400〜600nmの光を吸収することにより励起され、光硬化性樹脂や、重合開始剤と相互作用を有する化合物である。ここで言う「相互作用」には、励起された本発明の化合物から光硬化性樹脂または重合開始剤へのエネルギー移動や電子移動が包含される。本発明で用いるクマリン化合物は、重合開始剤であるチタノセン化合物と組み合わせると、相互作用が密におこり、可視光に対する感度が非常に向上する。このことから、本発明の光重合開始剤組成物を含有する可視光感光性樹脂組成物は、極めて有用である。
本発明で用いる光硬化性樹脂としては、一般に使用されている光照射により架橋もしくは重合しうる感光性基を有する光硬化性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、特開平3−223759号公報の第2頁右下欄第6行〜第6頁左下欄第16行目に記載の感光性基として(メタ)アクリロイル基を含むアニオン性光硬化性樹脂、感光性基としてシンナモイル基を含む光硬化性樹脂、感光性基としてアリル基を含む光硬化性樹脂等が挙げられる。エチレン性化合物とは、その化学構造中に少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合をもつ化合物であって、モノマー、プレポリマー、2量体、3量体等のオリゴマー、それらの混合物ならびにそれらの共重合体などである。単官能および多官能アクリレート、メタアクリレートが一般的であり、さらに、不飽和カルボン酸およびその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族アルコール化合物または脂肪族ポリオール化合物とのエステル等、特開昭58−15503号公報の第3頁〜第4頁に記載の光硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂は、その種類により、反応性、粘度等が異なるので、2種類以上を組合せて使用してもよい。
本発明の可視光感光性樹脂組成物において、開始剤組成物中には、光増感剤として一般式(1)で表されるクマリン化合物を含む。その他に公知の光増感剤を混合して使用してもよい。一般的に使用されている光増感剤であれば特に限定はされないが、ケトクマリン、クマリン−6および特開平4−18088号に記載されたクマリン化合物等が挙げられる。本発明の可視光感光性樹脂組成物において、本発明の光増感剤の使用量は、光増感剤中に含有される一般式(1)で表されるクマリン化合物の種類や量、相互作用すべき光硬化性樹脂成分の種類により異なるが、通常、光硬化性樹脂成分100重量部当たり、本発明のクマリン化合物の使用量が0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部の範囲内が適当である。本化合物の使用量が0.1重量部より少なすぎると、形成される被膜の感光性が低下する傾向があり、10重量部より多くなると、溶解性の点から、組成物を均一な状態に保つことが困難になる傾向がみられる。
本発明の可視光感光性樹脂組成物においては、チタノセン化合物を光重合開始剤として用いるが、必要があれば、公知の光重合開始剤を併用してもよい。その場合、一般に使用されている光重合開始剤であれば特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、キサントン、チオキサントン、アントラキノン等の芳香族カルボニル化合物;アセトフェノン、プロピオフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α,α’−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン、アセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物;ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロライド等のジフェニルハロニウム塩;四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ヨードホルム等の有機ハロゲン化物、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンベンズアントロン,9−フェニルアクリジン等の複素環式および多環式化合物;2,2'−アゾ(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;鉄−アレン錯体( Iron −Arene Complex:ヨーロッパ特許152377号公報参照);ビスイミダゾール系化合物;N−アリールグリシン系化合物;アクリジン系化合物;芳香族ケトン/芳香族アミンの組み合わせ;一般式(6)に含まれないチタノセン化合物;等が挙げられる。
上記の光重合開始剤と本発明の一般式(6)で表されるチタノセン化合物とを併用する場合、光重合開始剤の合計重量のうち、チタノセン化合物の割合が、好ましくは、30〜100%、さらに好ましくは50〜100%である。また、光重合開始剤の使用量は、臨界的なものではなく、その種類等に応じて広い範囲で変えることができるが、一般的には、前述した光硬化性樹脂固形分100重量部当たり、0.1〜25重量部、好ましくは、0.2〜10重量部の範囲内とすることができる。25重量部を越えて多量に用いると、得られる組成物の安定性が低下する傾向がみられる。本発明の開始剤組成物において、一般式(1)で表されるクマリン化合物と、一般式(6)で表されるチタノセン化合物の成分の割合は、重量比で1:1から1:300の範囲をとることができ、好ましくは1:1から1:30の範囲である。
次に、本発明の可視光感光性樹脂組成物の用途について説明する。本発明の可視光感光性樹脂組成物は、一般に用いられている公知の感光性材料と同様に取り扱うことができる。例えば、本発明の可視光感光性材料インキ(感光液)は、本発明の化合物を含有する可視光感光性樹脂組成物を溶剤に溶解(着色剤に顔料を用いた場合は顔料を微分散)させることにより得られる。また、本発明の可視光感光性材料はこの感光液を、基板上に、例えば、ローラー、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、ダイコーター、スピンコーター等の塗布装置を用いて塗布あるいはスプレー等でコーティングし、乾燥する方法により、これを可視光感光材料として用いることができる。使用する溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、セロソルブアセテート類(メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等)芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素(クロロホルム、トリクロロエチレン、ジクロロメタン等)、アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等)、その他(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等)などが挙げられる。また、支持体としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄等の金属またはそれらを成分とした合金のシート又はこれらの金属で表面を処理したプリント基板、プラスチック、ガラス又はシリコーンウェハー、カーボンなどが挙げられる。
本発明の可視光感光性組成物は、オフセット印刷用PS版に用いることができる。作製する手順としては、先ず前述した有機溶剤により、開始剤組成物、エチレン性化合物、その他の感光性樹脂や添加剤を含む感光性樹脂組成物を固形分濃度1〜40重量%、好ましくは5〜20重量%に希釈する。この感光液をアルミニウム基板上、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥膜厚0.2〜10g/m2 ,好ましくは1〜4g/m2 となるように塗布し、乾燥して感光性樹脂層とする。上記の感光性樹脂層の上には、酸素遮断用のオーバーコート層を設けることが好ましい。オーバーコート層には、ポリビニルアルコール(PVA)を用いる事が出来、平均分子量300〜1000、ケン化率70〜90%のものが好ましい。オーバーコート層作製には、PVAを5〜20重量%水溶液を使用する。このオーバーコート層は、乾燥膜厚0.5〜5μm、好ましくは1〜2μmとなるように塗布を行う。これを乾燥させることにより、PS版が得られる。
また、本発明の可視光感光性組成物は、通常の電着塗装用感光性材料と同様に取り扱うことができ、電着塗装用の塗料として用いることもできる。その場合、最初に光硬化性樹脂を水分散化物とするか、又は水溶化物とする。光硬化性樹脂の水分散化又は水溶化は、〔1〕光硬化性樹脂中にカルボキシル基等のアニオン性基が導入されている場合にはアルカリ(中和剤)で中和するか、又は〔2〕アミノ基等のカチオン性基が導入されている場合には、酸(中和剤)で中和することによって行われる。その際に使用されるアルカリ中和剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジイソブチルアミン等のアルキルアミン類;ジメチルアミノエタノール等のアルキルアルカノールアミン類;シクロヘキシルアミン等の脂環族アミン類;カセイソーダ、カセイカリ等のアルカリ金属水酸化物;アンモニアなどが挙げられる。また、酸中和剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、酪酸等のモノカルボン酸が挙げられる。これらの中和剤は単独でまたは混合して使用できる。中和剤の使用量は光硬化樹脂中に含まれるイオン性基1当量当り、一般に、0.2〜1.0当量、特に0.3〜0.8当量の範囲が望ましい。
水溶化または水分散化した樹脂成分の流動性をさらに向上させるために、必要により、上記光硬化性樹脂に親水性溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を加えることができる。かかる親水性溶剤の使用量は、一般には、樹脂固形成分100重量部当り、300重量部まで、好ましくは100重量部までとすることができる。また、被塗装物への塗着量を多くするため、上記光硬化性樹脂に対し、疎水性溶剤、例えば、トルエン、キシレン等の石油系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;2-エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類等も加えることができる。これらの疎水性溶剤の配合量は、樹脂固形成分100重量部当り、通常、200重量部まで、好ましくは、100重量部以下とすることができる。
電着塗料として可視光感光性組成物の調製は、従来から公知の方法で行うことができる。例えば、前記の中和により水溶化された光硬化性樹脂、本発明の光増感剤、重合開始剤、さらに必要に応じ、含窒素化合物、溶剤及びその他の成分をよく混合し、水を加えることにより調製することができる。このようにして調製された組成物は、通常の方法で、更に水で希釈し、例えば、pHが4〜9の範囲内、浴濃度(固形分濃度)3〜25重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲内の電着塗料(または電着浴)とすることができる。上記のようにして調製された電着塗料は、次のようにして被塗物である導体表面に塗装することができる。まず、浴のpH及び浴濃度を上記の範囲に調整し、浴温度を15〜40℃、好ましくは15〜30℃に管理する。次いで、このように管理された電着塗装浴に、塗装されるべき導体を電着塗料がアニオン型の場合には陽極として、また、カチオン型の場合には陰極として、浸漬、5〜200Vの直流電流を通電する。通電時間は30秒〜5分が適当であり、得られる膜厚は乾燥膜厚で、一般に0.5〜50μm、好適には、1〜15μmである。電着塗装後、電着浴から被塗物を引き上げ水洗いした後、電着塗膜中に含まれる水分などを熱風等で乾燥、除去する。導体としては、金属、カーボン、酸化錫等の導電性材料またはこれらを積層、メッキ等によりプラスチック、ガラス表面に固着させたものが使用できる。
上記のごとくして支持体や導体表面に形成された可視光感光材料、或いは、電着塗装によって得られた可視光感光性電着塗膜は、画像に応じて、可視光で露光し、硬化させ、非露光部を現像処理によって除去することにより、画像を形成することができる。露光のための光源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等の各光源により得られる光源のうち、紫外線を紫外カットフィルターによりカットした可視領域の光線や、可視領域に発振線をもつ各種レーザー等が使用できる。高出力で安定なレーザー光源として、アルゴンレーザー、あるいはYAGレーザーの第2高調波が好ましい。
現像処理は、非露光部膜がアニオン性の場合にはアルカリ水溶液を用いて、また、カチオン性の場合にはpH5以下の酸水溶液を用いて洗い流すことにより行われる。アルカリ水溶液は通常、カセイソーダ、炭酸ソーダ、カセイカリ、アンモニア水など塗膜中に有する遊離のカルボン酸と中和して水溶性を与えることのできるものが、また、酸水溶液は酢酸、ギ酸、乳酸などが使用可能である。また、イオン性基をもたない光硬化性樹脂の場合の現像処理は、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン等の溶剤を使って未露光部を溶解することによって行う。現像した後の塗膜は、水洗後、熱風等により乾燥され、導体上に目的とする画像が形成される。また、必要に応じて、エッチングを施し、露出した導体部を除去した後、レジスト膜を除去し、プリント回路板の製造を行うこともできる。本発明の組成物は、フォトレジストをはじめ、平板や凸版用製版材、オフセット印刷用PS板、情報記録材料、レリーフ像作製材料等幅広い用途への応用が可能である。
以下に、本発明を具体例によって説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は、これらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を示す。
[合成例1]
窒素雰囲気下、3−ホルミル−7−ジエチルアミノクマリン7.4部と2−(2−ベンゾイミダゾリル)アセトニトリル4.7部を無水酢酸75部中で、100℃で2時間反応させた。放冷後、濾過、乾燥して下記式(A)の化合物を4.6部得た。
この化合物の分析結果は以下の通りであった。
・吸収スペクトル;吸収極大〔λmax 〕504nm(クロロホルム中)(ただし、この化合物は、溶媒和により長波長化がおこるため、正確な値の測定が困難であり、参考値である)
・FD−MSスペクトル;m/z=384(M+
・元素分析値(C23204 2
C(%) H(%) N(%)
計算値 71.86 5.24 14.58
実測値 71.87 5.16 14.62
窒素雰囲気下、式(A)の化合物3.3部をDMF36部中に懸濁させ、これを50℃に昇温した。ここへ炭酸カリ0.9部を加え、次にジエチレングリコールメチルエーテルトシレート3.0部を滴下して50℃で2時間反応させた。放冷後、反応液を水60部中に加えた。生じた固体を濾過し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、下記式(B)の化合物を1.2部得た。
この化合物の分析結果は以下の通りであった。
・吸収スペクトル;吸収極大〔λmax 〕488nm(クロロホルム中)
・FD−MSスペクトル;m/z=486(M+
・元素分析値(C28304 4
C(%) H(%) N(%)
計算値 69.12 6.21 11.52
実測値 69.13 6.15 11.46
窒素雰囲気下、下記式(C)の3−アミノフェノール化合物22.3部を、乾燥したDMF80部中に溶解させ、室温でオキシ塩化リン30.6部を滴加し、70℃で7時間反応させた。反応後、反応溶液を氷水200部に排出して、28%アンモニア水で中和した後、酢酸エチルで抽出した。水洗し、濃縮して、下記式(D)のサリチルアルデヒド化合物を21.8部得た。窒素雰囲気下、式(D)の化合物4.5部及びマロン酸ジエチル3.5部をエタノール40部中に溶解させ、ピペリジン0.5部を加えて、7時間還流させた。冷却後、濾過して、下記式(E)の化合物を4.2部得た。下記式(E)の化合物4.0部を水20部に分散させ、35%塩酸25部を加えて、5時間還流した。冷却後、濾過、水洗して、乾燥、下記式(F)の化合物を2.8部得た。窒素雰囲気下、式(F)の化合物2.5部を、乾燥したDMF12部中に溶解させ、室温でオキシ塩化リン2.0部を滴加し、50℃で3時間反応させた。反応後、反応溶液を氷水20部中に排出して、28%アンモニア水で中和した後、濾過した。水洗し、乾燥して、下記式(G)の化合物を2.5部得た。窒素雰囲気下、下記式(G)の化合物1.0部、2-(2- ベンゾチアゾリル) アセトニトリル0.5部およびピペリジン0.24部をエタノール50部中で、3時間還流させた。放冷後、濾過、乾燥して下記式(H)の化合物を1.2部得た。
化合物(H)の分析結果は以下の通りであった。
・吸収スペクトル;吸収極大〔λmax 〕509nm(クロロホルム中)
・FDMSスペクトル;m/z=459(M+
・元素分析値(C26253 3 S)
C(%) H(%) N(%) S(%)
計算値 67.96 5.48 9.14 6.98
実測値 67.92 5.44 9.16 7.05
光硬化性樹脂(高分子バインダー)として、メチルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシフェニルメタクリレート/ベンジルメタクリレート=50/20/10/20の混合物の重合体100部、トリメチロールプロパントリアクリレート55部、重合開始剤として下記式(J)のチタノセン化合物20部、光増感剤として合成例1で得られたクマリン化合物5部、ならびに、溶媒としてメチルセロソルブ 160部を用いて感光液を調製した。この感光液を、乾燥膜圧3.5g/m2 となるように、積層銅板上に、スピンコ−ターを用いて塗布した。乾燥後、ポリビニルアルコール水溶液を塗布し、乾燥させて、オーバーコート層を設けた。上記の感光層に、5.0mJ/cm2 強度のYAGレーザーの第2高調波(532nm)を光照射したところ、速やかに樹脂が硬化することが確認された。露光後、炭酸ナトリウムの0.5%水溶液で現像した。得られたパターンは、現像液による膜減りや、未露光部のレジスト残渣のない良好なものであった。また同様にして得た感光層について、さらに5.0mJ/cm2 強度のアルゴンレーザーで露光し、次いで現像したところ、良好なパターンが得られた。
実施例3におけるクマリン化合物として、合成例1で得られた化合物の代わりに、実施例1で得られた化合物を用いた以外は、実施例3と同様にして、感光層を得た。この感光層は、5.0mJ/cm2 強度のYAGレーザーの第2高調波(532nm)で、速やかに樹脂が硬化することが確認された。また同様にして得た感光層について、さらにらに5.0mJ/cm2 強度のアルゴンレーザーで露光し、次いで現像したところ、良好なパターンが得られた。
実施例3におけるクマリン化合物として、合成例1で得られた化合物の代わりに、実施例2で得られた化合物を用いた以外は、実施例3と同様にして、感光層を得た。この感光層は、5.0mJ/cm2 強度のYAGレーザーの第2高調波(532nm)で、速やかに樹脂が硬化することが確認された。また同様にして得た感光層について、さらにらに5.0mJ/cm2 強度のアルゴンレーザーで露光し、次いで現像したところ、良好なパターンが得られた。
[実施例6〜49]
合成例1、実施例1または実施例2と同様にして合成したクマリン化合物を第1表(表1〜4)にまとめて示した。これらの化合物を用いて、実施例3〜5と同様に評価し、その結果を第1表に示した。得られた感光層について、5.0mJ/cm2 強度のYAGレーザーの第2高調波(532nm)で、また同様にして得た感光層について、さらに5.0mJ/cm2 強度のアルゴンレーザーでで走査露光し、現像した。得られたパターンの状態を下記のように評価した。

Claims (3)

  1. 一般式(4)で表されるクマリン化合物。
    〔式中、R5 及びR6 は各々、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または下記一般式(2)で表される置換基を示し、
    (式中、Q1 は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基またはシクロアルキル基を示し、p及びqは各々1〜5の整数を示す)
    但し、R5 とR6 は同時にアルキル基になることはなく、R3 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲノアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はスルホン酸基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、−NH−基または−NR4 −基を示し、R4 はアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または下記一般式(3)で表される置換基を示し、
    (式中、Q2 は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基またはシクロアルキル基を示し、m及びnは各々1〜5の整数を示す)環Aは置換されていてもよい〕
  2. 一般式(5)で表されるクマリン化合物。
    〔式中、R7 及びR8 は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基またはアラルキル基を示し、R7 とR8 は互いに結合するか、または骨格内のアミノ基の置換したベンゼン核と結合して環を形成してもよく、R3 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲノアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはスルホン酸基を示し、R9はアルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基または下記一般式(3)で表される置換基を示し、
    (式中、Q2 は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基またはシクロアルキル基を示し、m及びnは各々1〜5の整数を示す)環Aは置換されていてもよい〕
  3. 請求項1または2に記載のクマリン化合物を含有する光増感剤。
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