JP2005303706A - マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器 - Google Patents

マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2005303706A
JP2005303706A JP2004117714A JP2004117714A JP2005303706A JP 2005303706 A JP2005303706 A JP 2005303706A JP 2004117714 A JP2004117714 A JP 2004117714A JP 2004117714 A JP2004117714 A JP 2004117714A JP 2005303706 A JP2005303706 A JP 2005303706A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resonator
microresonator
electrode
shape
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004117714A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuya Nakajima
卓哉 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2004117714A priority Critical patent/JP2005303706A/ja
Publication of JP2005303706A publication Critical patent/JP2005303706A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Micromachines (AREA)
  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

【課題】 広い周波数帯域に亘った所望の通過特性を有するマイクロレゾネータ及びその製造方法、並びに当該マイクロレゾネータを備える電子機器を提供する。
【解決手段】 マイクロレゾネータ10は、電極16と電極18との間に、異なる共振モードで共振するディスク14を備えた構成である。ディスク14は、電極16,18に沿う方向(X方向)に位置変化を生じて共振する共振モードと、X方向に伸縮する形状変化を生じて共振する共振モードとの2つの共振モードで共振する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、固有の共振周波数で微小振動する共振子を備えるマイクロレゾネータ及びその製造方法、並びに当該マイクロレゾネータを備える電子機器に関する。
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて超小型・超高性能の電子部品を製造する研究・開発が盛んに行われている。MEMS技術を用いた電子部品は多岐に亘るが、その一種としてマイクロレゾネータがある。マイクロレゾネータは、例えばシリコン基板等の基板上に酸化膜からなる絶縁膜が形成され、その絶縁膜上に櫛歯状の固定電極の櫛歯と櫛歯状の可動電極(共振子)の櫛歯とが基板表面に対して平行に噛み合わされるように形成された構造である。上記の櫛歯状の可動電極はシリコン基板上に支持されたバネ性を有する支持部に結合されており、このような互いに噛み合う櫛歯状の固定電極と櫛歯状の可動電極との組を支持部の両側に1組ずつ配置した構成である。
かかる構成のマイクロレゾネータは、一方の櫛歯状の固定電極と櫛歯状の可動電極との組に交流電圧を印加することにより、その櫛歯状の固定電極と櫛歯状の可動電極との間に静電引力を発生させ、この静電引力により櫛歯状の可動電極を櫛歯の噛み合い方向(櫛歯の長さ方向)に平面的に押し引きすることによって振動させる。この振動は櫛歯状の可動電極と一体化されたバネ性を持つ支持部に伝達され、他方の同様に噛み合い状態にある櫛歯状の可動電極を平面的に振動させる。
入力側である一方の櫛歯状の固定電極と櫛歯状の可動電極との間で発生した振動が、可動電極の質量とバネ性を持つ支持部の構造で定まるバネ定数で決定される共振周波数に一致したところで共振現象が生じ、この共振周波数が出力側である他方の櫛歯状の固定電極の電極端子から取り出される。かかる構成のマイクロレゾネータは、特定周波数の電気信号を発振する発振子又は複数の周波数を含む電気信号から特定周波数の電気信号をフィルタリングするフィルタとして用いられる。
また、上記の構成以外に、円板形状の共振子を有するマイクロレゾネータも案出されている。このマイクロレゾネータは、シリコン基板等の基板上に形成された絶縁膜上に、円板形状の共振子と、この共振子を挟持するよう配置された電極とを備えており、電極に電気信号を印加したときに生ずる電界により共振子を形状変化(伸縮)させて共振させるものである。上記の櫛歯状の固定電極及び可動電極を備えるマイクロレゾネータの共振周波数は数十KHzのオーダであり、円板形状の共振子を有するマイクロレゾネータの共振周波数は数百MHzのオーダであるため、円板形状の共振子を有するマイクロレゾネータは高周波回路に用いるのに適している。
尚、櫛歯状の固定電極及び可動電極を備えるマイクロレゾネータの詳細については、例えば以下の特許文献1,2を、円板形状の共振子を有するマイクロレゾネータの詳細については、例えば以下の特許文献3を参照されたい。
米国特許第5025346号明細書 米国特許第5537083号明細書 米国特許第6628177号明細書
ところで、上述したマイクロレゾネータの共振周波数は、櫛歯型の固定電極及び可動電極を有するものについては可動電極の質量(厳密には可動電極及び支持部の質量)と支持部のバネ定数とによって定まり、円板形状の共振子を有するものについては共振子の質量、振動モードによって定まる有効質量、及び共振子の変形に対する復元力によって定まる。つまり、マイクロレゾネータの構造によって共振周波数が決定されるため、一旦マイクロレゾネータを形成した後で大幅に共振周波数を変更することはできない。
マイクロレゾネータをフィルタとして用いる場合には、単一周波数の電気信号を通過させる通過特性を有するもの、広い周波数帯域に亘る電気信号を通過させる特性を有するもの、複数の周波数帯域から特定の周波数帯域を切り替えて通過させる通過特性を有するもの等の種々の特性を有するものが必要になる場合がある。例えば、チューナに設けられるフィルタは、複数の周波数帯から特定の周波数を切り替えて通過させる通過特性が必要になる。従来のマイクロレゾネータを用いたフィルタは、構造によって定まる共振周波数を通過帯域としたものが殆どであり、広い周波数帯域に亘る電気信号を通過させる特性を有するもの、又は複数の周波数帯域から特定の周波数帯域を切り替えて通過させる通過特性を有するものの実現は困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、広い周波数帯域に亘った所望の通過特性を有するマイクロレゾネータ及びその製造方法、並びに当該マイクロレゾネータを備える電子機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のマイクロレゾネータは、シリコン基板と、当該シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、当該積層部上に設けられた共振子及び電極とを備えるマイクロレゾネータであって、前記共振子として前記電極に印加される電気信号によって異なる種類の複数の共振モードで共振する共振子を備えることを特徴としている。
この発明によれば、異なる種類の複数の共振モードで共振する共振子を備えているため、電極に印加された電気信号のうち、共振子の異なる共振モードうちの何れかの共振モードの共振周波数に一致した周波数によって共振子が共振する。このため、本発明のマイクロレゾネータをフィルタとして用いた場合には、広い周波数帯域に亘った通過特性を得ることができる。また、各共振子の共振周波数を所望の共振周波数に設定することで、広い周波数帯域に亘った所望の通過特性を得ることができる。
ここで、本発明のマイクロレゾネータは、前記共振子が、位置変化を生じて共振する第1共振モードと形状変化を生じて共振する第2共振モードとを含む共振モードで共振することが望ましい。
また、本発明のマイクロレゾネータは、前記第1共振モードの腹となる位置において前記共振子に取り付けられ、前記積層部上で前記共振子が浮上している状態に前記共振子を支持する支持部を備えることを特徴としている。
この発明によれば、位置変化を生じて共振する第1共振モードの腹となる位置において支持部によって支持部を支持し、積層部上において共振子を浮上した状態にしているため、位置変化により共振子を共振させる上で極めて好適である。
また、本発明のマイクロレゾネータは、前記電極が、前記積層部表面に含まれる第1方向に前記共振子を挟む位置に形成され、前記支持部は、前記第1方向と交差する第2方向における前記共振子の両端部に取り付けられることが望ましい。
また、本発明のマイクロレゾネータは、前記共振子の形状が、円形形状、梁形状、又は一部が櫛歯形状であることを特徴としている。
この発明によれば、共振子の形状が予め定められた一定の形状ではなく、円形形状、梁形状、又は一部に櫛歯形状を有する形状に形成することができるため、通過させる周波数帯域に応じて共振子の形状を設定することができる。例えば、共振子の形状を一部に櫛歯形状を有する形状に設定すると周波数が数十KHzの電気信号を通過させる通過特性が得られ、梁形状に設定すると周波数が数MHz〜数十MHzの電気信号を通過させる通過特性が得られ、円形形状に設定すると周波数が数百MHzの電気信号を通過させる通過特性が得られる。
上記課題を解決するために、本発明のマイクロレゾネータの製造方法は、シリコン基板と、当該シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、当該積層部上に設けられた共振子及び電極とを備えたマイクロレゾネータの製造方法であって、前記積層部上に、異なる種類の複数の共振モードで共振する共振子と、前記積層部表面に含まれる所定の方向に前記共振子を変位可能に支持する支持部を形成する共振子形成工程と、前記所定の方向に前記共振子を挟む電極を形成する電極形成工程とを含むことを特徴としている。
この発明によれば、シリコン基板上に形成された積層部上に異なる種類の複数の共振モードで共振する共振子を形成するとともに所定の方向に共振子を変位可能に支持する支持部を形成し、更にこの方向に共振子を挟む電極を形成しているため、電極に印加された電気信号のうち、共振子の異なる共振モードうちの何れかの共振モードの共振周波数に一致した周波数を有する電気信号を通過させる広い周波数帯域に亘った通過特性を有するマイクロレゾネータを製造することができる。このとき、各共振子の共振周波数を所望の共振周波数に設定することで、広い周波数帯域に亘った所望の通過特性を得ることができる。
また、本発明のマイクロレゾネータの製造方法は、前記共振子形成工程が、前記支持部を、前記所定の方向と交差する方向における前記共振子の両端部に形成する工程であることを特徴としている。
この発明によると、共振子を支持する支持部が共振子の位置変化を生ずる方向と交差する方向における共振子の両端部に形成されるため、位置変化による共振モードを生じさせることはもちろんのこと、形状変化による共振モードを生じさせる上で好適である。
また、本発明のマイクロレゾネータの製造方法は、前記共振子形成工程が、前記積層部上に導電性を有する導電膜を形成する工程と、前記導電膜をパターニングして前記積層部上に前記共振子と前記支持部とを一度に形成する工程とを含むことを特徴としている。
この発明によれば、積層部上に導電膜を形成した後で導電膜をパターニングして共振子と共振子を支持する支持部とを一度に形成しているため、共振子を支持する構造を製造工程を複雑化することなく効率よく形成することができる。
また、本発明のマイクロレゾネータの製造方法は、前記共振子形成工程が、前記共振子を、円形形状、梁形状、又は一部に櫛歯形状を有する形状に形成する工程であることを特徴としている。
この発明によれば、共振子の形状が予め定められた一定の形状ではなく、円形形状、梁形状、又は一部に櫛歯形状を有する形状に形成することができるため、通過させる周波数帯域に応じて共振子の形状を設定することができる。例えば、共振子の形状を一部に櫛歯形状を有する形状に設定すると周波数が数十KHzの電気信号を通過させる通過特性が得られ、梁形状に設定すると周波数が数MHz〜数十MHzの電気信号を通過させる通過特性が得られ、円形形状に設定すると周波数が数百MHzの電気信号を通過させる通過特性が得られる。
また、本発明のマイクロレゾネータの製造方法は、前記電極形成工程が、前記共振子が形成された前記積層部上に中間膜を形成する工程と、前記中間膜上に導電膜を形成し、前記共振子上の導電膜を除去して前記電極を形成する工程とを含むことが望ましい。
また、本発明のマイクロレゾネータの製造方法は、前記電極を形成した後で、前記共振子上に形成された前記中間膜を除去するとともに、前記積層部上に形成された中間膜の一部を残して除去することにより、前記積層部上に前記共振子及び前記支持部浮上させる工程を含むことを特徴としている。
この発明によれば、電極を形成した後で、共振子上の中間膜を除去するとともに積層部上の中間膜の一部を残して除去することで共振子及び支持部を積層部上に浮上させているため、電極への電気信号の印加により共振子に位置変化及び形状変化を生じさせることができる。
また、本発明のマイクロレゾネータの製造方法は、前記導電膜が、ポリシリコンから形成されることを特徴としている。
この発明によれば、加工プロセスが確立されたポリシリコンを用いて導電膜を形成しているため、共振子及び電極の形成を精確且つ容易に行うことができる。とりわけ、共振子の共振周波数を決める要因の一つが共振子の質量であるため、共振子の形成を精確に行えることにより各共振子の共振周波数のばらつきを抑えることができる。
本発明の電子機器は、上記の何れかに記載のマイクロレゾネータ又は上記の何れかに記載のマイクロレゾネータの製造方法を用いて製造されたマイクロレゾネータを備えることを特徴としている。
この発明によれば、半導体素子を製造する技術を用いてシリコン基板上に所望の広い通過波数帯域を有するマイクロレゾネータを形成することができるため、マイクロレゾネータを応用したフィルタを半導体チップ内に集積化することができる。この結果、例えば、発振子、フィルタ、アンプ、混合器、及び検波器等からなる受信回路を1チップ化した半導体素子等の超小型・超高機能の半導体素子を備える電子機器が提供される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるマイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器について詳細に説明する。
〔マイクロレゾネータ〕
図1は、本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータを示す平面図であり、図2は、図1中のA−A線に沿った断面矢視図である。図1及び図2に示すマイクロレゾネータ10は、トランスバーサル型のSAW(Surface Acoustic Wave:弾性表面波素子)フィルタと同様な働きをするフィルタとして構成したものである。尚、以下の説明においては、必要があれば図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。図1及び図2中のXYZ直交座標系は、X軸及びY軸がシリコン基板12の表面に対して平行となるよう設定され、Z軸がシリコン基板12の表面に対して直交する方向に設定されている。
図1に示すマイクロレゾネータ10は、シリコン基板12上に、共振子としてのディスク14を配置するとともに、ディスク14の−X方向に電極16を、+X方向に電極18をそれぞれ配置して、電極16と電極18とによりディスク14を挟んだた構成である。ディスク14及び電極16,18は、例えばシリコン基板12上に形成された導電層としてのポリシリコン(p−SiO)膜を利用して形成される。或いは、SOI(Silicon On Insulator)基板の絶縁膜上に結晶化されているシリコン層を利用して形成される。
ディスク14は円形形状に形成されており、Y方向における両端部においてそれぞれ支持梁15a,15bが取り付けられている。このディスク14は、図2に示す通りシリコン基板12上に浮き上がった状態で支持されている。尚、後述する通り、ディスク14と支持梁15a,15bとは一体形成されている。ディスク14は、電極16と後述する電極24aとの間、又は電極18と後述する電極24aとの間に印加される電気信号により形成される電界によって形状変化(伸縮)及び位置変化(X方向の位置変化)を生じ、印加された電気信号に特定の周波数成分が含まれている場合に共振する。このように、ディスク14は異なる種類の共振モードで共振する。
ディスク14の共振周波数は、形状変化によるものについてはディスク14の質量、振動モードによって定まる有効質量、及びディスク14の変形に対する復元力によって定まり、位置変化によるものについては、ディスク14の質量及び支持梁15a,15bのバネ定数で定まる変位に対する復元力(支持梁15a,15bの弾性力)とによって定まる。ディスク14の共振周波数は、例えば数百MHz程度のオーダであり、ディスク14の形状変化による共振周波数と、ディスク14の位置変化による共振周波数とは異なる周波数に設定されているとする。尚、ディスク14の厚み、径、及び材質を変えることによりディスク14の共振周波数を任意の共振周波数に設定することができる。
電極16は、X方向に延びた形状であって、+X方向における先端部がディスク14の外周形状に合わせて凹形状に形成されているとともに、その先端部がディスク14に対して所定の隙間をもって配置されている。かかる構成の電極16は、電極端子20と電気的に接続されている。また、電極18は、X方向に延びた形状であって、−X方向における先端部がディスク14の外周形状に合わせて凹形状に形成されているとともにその先端部がディスク14に対して所定の隙間をもって配置されている。かかる構成の電極18は、電極端子22に接続されている。電極端子20,22は、外部からの電気信号が供給される端子である。
また、ディスク14の+Y方向及び−Y方向には、支持梁15a,15bをそれぞれ介してディスク14と電気的に導通した電極24a,24bが形成されている。電極24aには支持梁15aの他端が接続されており、電極24bには支持梁15bの他端が接続されている。電極24a,24bは電気的に絶縁された状態でシリコン基板12上に固定されているが、これら電極24a,24bに接続される支持梁15a,15b及び支持梁15a,15bによって支持される共振子14はシリコン基板12上において浮き上がった状態となっている。支持梁15a,15bはディスク14のY方向における端部に取り付けられているため、ディスク14はX方向の位置を生ずることが可能に構成されている。尚、電極24a,24bの一方(図1に示す例では、電極24a)は、電極端子26に接続されている。また、ディスク14の浮上高さは数μm程度である。尚、図2において、ポリシリコン等で形成された電極16,18と絶縁膜30との間の層32は、電極16,18形成する工程において設けられた中間膜である。
本実施形態のマイクロレゾネータ10は、ディスク14自体の形状変化(伸縮)を生じさせるとともに、ディスク14の位置変化を生じさせて共振させる構造である。次に、ディスク14の共振時において生ずる形状変化及び位置変化について説明する。尚、共振時において、共振子14は形状変化による共振と位置変化による共振とが混在した状態で共振するが、以下の説明では理解を容易にするために、各々を分けて説明する。
図3は、共振時において生ずるディスク14の形状変化の一例を示す図である。図3に示す通り、共振子14は電極16,18の長手方向(X方向)に伸縮する形状変化を生ずる。ディスク14に対して電極16,18の少なくとも一方へ向かう引っ張り力が働くと、図3(a)に示す通り、ディスク14はX方向に伸びる。この引っ張り力に対する復元力がディスク14に働くと、図3(b)に示す通り、ディスク14はX方向に縮む。よって、形状変化による共振が生じているときには、ディスク14の周囲部(特に、電極16,18に近接する部位)における形状変化が大きくなり、ディスク14の中心部は形状変化が殆ど生じない節になる。
図4は、共振時において生ずるディスク14の位置変化の一例を示す図である。図4に示す通り、共振子14は電極16,18の間においてX方向に沿った位置変化を生ずる。ディスク14に対して例えば電極18へ向かう引っ張り力が働くと、図4(a)に示す通り、ディスク14は+X方向への位置変化を生ずる。ディスク14の位置変化が生ずると、支持梁15a,15bの弾性力がディスク14に働き、図4(b)に示す通り、ディスク14は−X方向への位置変化を生ずる。このように、位置変化による共振が生じているときには、共振子14と接続梁15a,15bとの接続部が大きな位置変化を生ずる腹になり、電極15a,15bと接続梁15a,15bとの接続部が節になる
以上説明した構成のマイクロレゾネータ10を、例えば発振子として用いる場合には、電極16に接続された電極端子20と接地電極としての電極24aに接続された電極端子26との間に交流電圧を印加する。これらの電極端子間に交流電圧を印加すると、ディスク14と電極16との間に静電引力が発生する。これによってディスク14は、X方向に伸縮する形状変化及びX方向への位置変化を生ずる。
ディスク14の伸縮による振動がディスク14の固有振動数に達すると、ディスク14はその振動数で共振する。ディスク14が共振することによって、電極18に接続された電極端子22から、その固有振動数に応じた発振周波数を有する電気信号が出力される。ここで、本実施形態ではディスク14の形状変化による共振と位置変化による共振とでは共振周波数が互いに異なるため、複数の発信周波数を有する電気信号が電極端子22から出力される。
また、マイクロレゾネータ10をフィルタとして用いる場合には、図5に示す通り、ディスク14の形状変化による共振の共振周波数fを中心とした通過帯域幅Wを有する通過特性と、ディスク14の位置変化による共振の共振周波数fを中心とした通過帯域幅Wを有する通過特性とを合成した通過帯域幅Wの通過特性を有するフィルタとして用いられる。図5は、マイクロレゾネータ10をフィルタとして用いる場合の通過特性の一例を示す図である。マイクロレゾネータ10をフィルタとして用いる場合には、電極端子20と電極端子26との間に交流電圧が印加される。
これらの電極端子間に印加される交流電圧の周波数が、図5に示す通過帯域幅Wに含まれる周波数であればディスク14が共振し、その周波数を有する電気信号が電極端子22から出力される。一方、通過帯域幅Wに含まれない周波数の交流電圧が入力された場合にはディスク14は共振しない。この結果として、その周波数は除去される。このような動作によりマイクロレゾネータ10がフィルタとして用いられる。
以上説明した本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータ10は、異なる種類の共振モードで共振する共振子14を備えているため、各々の共振モードを所望の共振周波数に設定することで、広い周波数帯域に亘った所望の通過特性を有するフィルタを用いることができる。
〔マイクロレゾネータの製造方法〕
図6及び図7は、本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法を示す工程図である。尚、図6及び図7に示す工程図は、図1中のA−A線に沿った断面を示しており、図1及び図2に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。マイクロレゾネータの製造にあたっては、まず、図6(a)に示す通り、シリコン基板12上の全面に酸化膜(SiO)及び窒化膜(Si)からなる絶縁膜30を形成し、次いで絶縁膜30上の全面に亘ってポリシリコン膜34を形成する工程が行われる。
上記のシリコン基板12は両面が研磨されており、厚さが約500μm程度である。また、絶縁膜30は減圧気相成長(減圧CVD(Chemical Vapor Deposition))法を用いて形成され、その厚さは0.1μm程度に設定される。また、ポリシリコン膜34の厚みは、ディスク14の共振周波数等に応じて設定され、例えば数μm〜数十μm程度に設定される。
ポリシリコン膜34を形成すると、ポリシリコン膜34の上面の全面に亘ってフォトレジスト(不図示)を塗布し、このフォトレジストに対して露光処理及び現像処理を行って所定形状のレジストパターンを形成する。次いで、このレジストパターンをマスクとしてポリシリコンに対してエッチング処理を行って、ポリシリコン膜34上のレジストパターンを剥離すると、図6(b)に示す通り、ディスク14が形成される。尚、この工程ではディスク14とともにディスク14に接続される支持梁15a,15b及び電極24a,24bが同時に形成される。
ディスク14、支持梁15a,15b、及び電極24a,24bの形成が終了すると、図6(c)に示す通り、ディスク14、支持梁15a,15b、及び電極24a,24b上及び絶縁膜30上に中間膜32を形成する工程が行われる。この中間膜32は、例えば酸化膜(SiO)を含んで構成され、減圧CVD法を用いて形成される。尚、この中間膜32はディスク14等の表面を酸化することにより形成しても良い。
次いで、図7(a)に示す通り、中間膜32の上面の全面に亘ってポリシリコン膜36を形成する工程が行われる。ここで、ポリシリコン膜36の厚みは、ディスク14の厚みと同程度の数μm〜数十μm程度に設定される。ポリシリコン膜36を形成すると、ポリシリコン膜36の上面の全面に亘ってフォトレジスト(不図示)を塗布し、このフォトレジストに対して露光処理及び現像処理を行って所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
次いで、このレジストパターンをマスクとしてポリシリコン膜36に対してエッチング処理を行い、電極16及び電極18を形成する。尚、この工程では、ディスク14、支持梁15a,15b、及び電極24a,24b上に形成されたポリシリコン膜36のほぼ全てを除去し、図7(b)に示す通り、断面形状が円形の開口Hを形成する。開口Hを形成した後は、ポリシリコン膜36上に形成されているレジストパターンを剥離する。
以上の工程が終了すると、ポリシリコン膜36に形成された開口Hからディスク14を覆う中間膜32をエッチングにより除去するとともに、ディスク14とシリコン基板12との間に形成されている絶縁膜30をエッチングにより除去する工程が行われる。また、この工程では、支持梁15a,15bとシリコン基板12との間に形成されている絶縁膜30のエッチングによる除去も行われる。この工程を経ることで、図7(c)に示す通り、ディスク14がシリコン基板10上において浮き上がった状態にすることができる
以上説明した通り、本実施形態においては、シリコン基板10上に浮き上がった状態のディスク14を形成するとともに、ディスク14を変位可能に両端部で支持する支持梁15a,15cを形成してマイクロレゾネータ10を製造している。このため、ディスク14の異なる共振モードうちの何れかの共振モードの共振周波数に一致した周波数を有する電気信号を通過させる広い周波数帯域に亘った通過特性を有するマイクロレゾネータ10を製造することができる。
〔他の実施形態によるマイクロレゾネータ〕
図8は、本発明の他の実施形態によるマイクロレゾネータを示す平面図であり、図9は図8中のB−B線に沿った断面矢視図である。図8及び図9に示すマイクロレゾネータ40は、上記の実施形態と同様にトランスバーサル型のSAWフィルタと同様な働きをするフィルタとして構成したものである。尚、本実施形態においても、必要があれば図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。
図8に示すマイクロレゾネータ40は、シリコン基板42の表面に形成された酸化膜を含む絶縁膜43上において、櫛歯形状の固定電極と櫛歯形状の可動電極とからなる送信側IDT(Inter Digital Transducer)60及び櫛歯形状の固定電極と櫛歯形状の可動電極とからなる受信側IDT70をX方向に沿って配置し、これらの間に異なる複数の共振モードで共振する共振子80を配置した構成である。送信側IDT60は電極46に接続されており、受信側IDT70は電極48に接続されている。電極46には電極端子50が接続されており、電極48には電極端子52が接続されている。また、シリコン基板42上には接地電極としての電極54が形成されている、この電極54には電極端子56が接続されている
送信側IDT60、受信側IDT70、及び共振子80は、例えばシリコン基板42上に形成された導電層としてのポリシリコン(p−SiO)膜を利用して形成される。或いは、SOI(Silicon On Insulator)基板の絶縁膜上に結晶化されているシリコン層を利用して形成される。送信側IDT60は櫛歯部61を有する固定電極62と櫛歯部63を有する可動電極64とから構成されている。送信側IDT60の固定電極62は、リード線65を介して電極端子50に接続されている。同様に、受信側IDT70は、櫛歯部71を有する固定電極72と櫛歯部73を有する可動電極74とから構成されている。受信側IDT70の固定電極72は、リード線75を介して電極端子52に接続されている。
上記の可動電極64と可動電極74とは、X方向延びる連結ビーム81で連結されている。共振子80は、この連結ビーム81、可動電極64,74、及び後述する方形状のフレームからなる梁部82とから構成されている。共振子80は、連結ビーム81の−X方向における端部に連結された可動電極64の櫛歯部63が固定電極62の櫛歯部61と平面的に噛み合うように、且つ連結ビーム81の+X方向における端部に連結された可動電極74の櫛歯部73が固定電極72の櫛歯部71と平面的に噛み合うように、固定電極62と固定電極72との間に配置されている。
また、固定電極62の櫛歯部61と可動電極64の櫛歯部63とは、それぞれ複数の櫛歯が所定の平面上の隙間(櫛歯ギャップ)をもって、シリコン基板42の表面に平行に噛み合っている。同様に、固定電極72の櫛歯部71と可動電極74の櫛歯部73とは、それぞれ複数の櫛歯が所定の平面上の隙間をもって、シリコン基板42の表面に平行に噛み合っている。櫛歯部63を有する可動電極64及び櫛歯部73を有する可動電極74が共振子80に設けられているため、共振子80は櫛歯部63,73の長手方向に共振する共振モード及びねじれ又は回転を生じて共振する共振モードで共振する。
可動電極64,74に対して一体的に形成されたフレーム状の梁部82は、梁部82に結合された片持ち梁83によって支持されており、片持ち梁83の支持部84がシリコン基板42上に固定された構造になっている。支持部84は接地電極としての電極端子56と導通しているため、共振子80は電位がほぼ接地電位になる。尚、梁部82の外形形状は、特に方形形状に限定されるものではなく、円形形状、長円形状、紡錘形状等の任意の形状に設定することができる。
図9に示す通り、連結ビーム81はシリコン基板42の絶縁膜43の表面よりも上方(+Z方向)に基板面に対して平行に浮き上がった状態で支持されている。従って、連結ビーム81の両端に連結された櫛歯状の可動電極64,74も同様に基板面に平行に浮き上がった状態に配置される。また、可動電極64,74に噛み合う櫛歯状の固定電極62,72も櫛歯の部分が基板面に平行に浮き上がった状態に支持されている。
可動電極64,74及び固定電極62,72の浮上高さ、即ち、シリコン基板42上に形成された絶縁膜43との間隔は2〜3μm程度である。尚、図9において、ポリシリコン等で形成された電極端子50,52及びリード線65,75と絶縁膜43との間の層45は、櫛歯状の固定電極62,72と可動電極64,74との櫛歯部を基板面に平行に浮き上がった構成に形成する際の製造工程において設けられた犠牲層(中間膜)である。
以上説明した構成のマイクロレゾネータ40を、例えば発振子として用いる場合には、櫛歯状の固定電極62の電極端子50と接地電極としての電極端子54との間に交流電圧を印加する。これらの電極端子間に交流電圧を印加すると、マイクロレゾネータ40に設けられる固定電極62の櫛歯部61と可動電極64の櫛歯部63との間に静電引力が発生する。これによって可動電極64が、櫛歯の噛み合い方向(櫛歯の長さ方向、即ちX方向)にバネ性を有する梁部82を介して引き押しされて位置変化を生じて振動する。この振動は可動電極64と一体化されたバネ性を持つ梁部82に伝達され、他方の同様に固定電極72の櫛歯部71と噛み合い状態にある櫛歯部73を備える可動電極74がX方向に振動する。また、共振子80はねじれ又は回転による形状変化を生じ、これによっても振動する。
入力側である一方の櫛歯状の固定電極62と可動電極64との間で発生した位置変化による振動又は形状変化による振動が、共振子80の各々の共振モードの固有振動数に達すると、共振子80はその振動数で共振する。共振子80が共振することによって、他方の櫛歯部71を有する固定電極72に接続された電極端子52から、その固有振動数に応じた発振周波数を有する電気信号が出力される。ここで、位置変化による共振モードの共振周波数は、可動電極64,74を含む共振子80の質量と梁部82のバネ定数で定まる変位に対する復元力(梁部82の弾性力)とによって定まる。
ここで、共振子80の質量をmとし、梁部82のバネ定数をkとすると、固定電極72から出力される電気信号の発振周波数fは以下の(1)式で表される。
=(1/(2・π))・(k/m)1/2 ……(1)
図8及び図9に示すマイクロレゾネータ40を発振子として用いる場合には、その発振周波数の設計目標値は、例えば32kHzに設定される。
また、マイクロレゾネータ40をフィルタとして用いる場合には、図5に示す通過特性と同様に、マイクロレゾネータ40の各共振モードの通過特性を合成した通過特性を有するフィルタとして用いられる。マイクロレゾネータ40をフィルタとして用いる場合には、電極端子50と電極端子54との間に交流電圧が印加される。これらの電極端子間に印加された交流電圧の周波数が、マイクロレゾネータ40の通過帯域幅に含まれる周波数であれば、マイクロレゾネータ40の共振子80が静電力によってX方向に振動し又はねじれ若しくは回転による振動を生じて、その周波数を有する電気信号が電極端子52から出力される。一方、マイクロレゾネータ40の通過帯域幅に含まれない周波数の交流電圧が入力された場合には、マイクロレゾネータ40は共振しない。この結果として、その周波数は除去される。このような動作によりマイクロレゾネータ40が広い通過帯域幅を有するフィルタとして用いられる。
〔他の実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法〕
図10及び図11は、本発明の他の実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法を示す工程図である。尚、図10及び図11に示す工程図は、図8中のB−B線に沿った断面を示しており、図8及び図9に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。まず、図10(a)に示す通り、シリコン基板42上に二酸化珪素(SiO)からなる酸化膜43aを形成する。上記シリコン基板42は両面が研磨されており、厚さが約500μm程度である。また、酸化膜43aは減圧気相成長(減圧CVD(Chemical Vapor Deposition))法を用いて形成され、その厚さは0.1μm程度である。
次に、酸化膜43a上に厚さ0.5μm程度の窒化膜(Si)43bを形成する。この窒化膜43bも減圧CVD法を用いて形成される。尚、これらの酸化膜43a及び窒化膜43bから図9に示した絶縁膜43が形成されている。窒化膜43bを形成すると、次に窒化膜43b上にSiOからなり、厚さが2μm程度の犠牲層45を形成する工程が行われる。
以上の工程が終了すると、犠牲層45の上面の全面に亘ってフォトレジスト(不図示)を塗布し、このフォトレジストに対して露光処理及び現像処理を行って所定形状のレジストパターンを形成する。次いで、このレジストパターンをマスクとして犠牲層45に対してエッチング処理を行うことにより、図10(b)に示す通り、マイクロレゾネータ40の固定電極62,72となるべき箇所及び支持部84となるべき箇所(図8参照)の犠牲層45を除去する。
エッチング処理が完了し、犠牲層45上に形成されているレジストパターンを剥離すると、図10(c)に示す通り、犠牲層45及び露出している窒化膜43b上の全面に亘って厚さが2.0μm程度の導電層としてのポリシリコン(p−SiO)膜60を形成する工程が行われる。ポリシリコン膜47を形成すると、ポリシリコン膜47上に不図示のフォトレジストを塗布し、このフォトレジストに対して露光処理及び現像処理を行って所定形状のレジストパターンを形成する。
レジストパターンを形成すると、ポリシリコン膜47に対してエッチング処理を行い、最終的にマイクロレゾネータ40の固定電極62,72、共振子80(連結ビーム81、可動電極64,74、及び梁部82)、及び片持ち梁83、並びに、電極端子50,52,56及びリード線65,75となるべき部分を残し、それ以外の部分を除去する。エッチング処理を終えて、ポリシリコン膜47上に形成されているレジストパターンを除去すると、図11(a)に示す状態になる。
以上の工程が終了すると、固定電極62の櫛歯部61、固定電極72の櫛歯部71、共振子80(可動電極64,74、連結ビーム81、及び梁部82)、及び片持ち梁83の下方の犠牲層45をエッチングにより除去する。このようなエッチングは、エッチング時間を制御することにより可能である。かかるエッチングを行うことで、マイクロレゾネータ40各々について、図11(b)に示す通り、シリコン基板42上(窒化膜43b上)において、2〜3μm程度の間隔をもって浮上した状態にある共振子80を形成することができる。
以上、本発明の実施形態によるマイクロレゾネータ及びその製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲内において自由に変更が可能である。例えば、図1に示したマイクロレゾネータ10は共振子として円形形状のディスク14を備えており、図8に示したマイクロレゾネータ40は櫛歯状の可動電極64,74を含む共振子を備えていたが、本発明は共振子が以上の形状に制限されることはなく、任意の形状であって良い。例えば、梁(ビーム)形状の共振子を備えていても良い。
〔電子機器〕
図12は、本発明の一実施形態による電子機器としての携帯電話機の外観を示す斜視図である。図12に示す携帯電話機100は、アンテナ101、受話器102、送話器103、液晶表示部104、及び操作釦部105等を備えて構成されている。図13は、図12に示した携帯電話機100の内部に設けられる電子回路の電気的構成を示すブロック図である。
図13に示した電子回路は、携帯電話機100内に設けられる電子回路の基本構成を示し、送話器110、送信信号処理回路111、送信ミキサ112、送信フィルタ113、送信電力増幅器114、送受分波器115、アンテナ116a,116b、低雑音増幅器117、受信フィルタ118、受信ミキサ119、受信信号処理回路120、受話器121、周波数シンセサイザ122、制御回路123、及び入力/表示回路124を含んで構成される。尚、現在実用化されている携帯電話機は、周波数変換処理を複数回行っているため、その回路構成はより複雑となっている。
送話器110は、例えば音波を電気信号に変換するマイクロフォン等で実現され、図12中の送話器103に相当するものである。送信信号処理回路111は、送話器110から出力される電気信号に対して、例えばD/A変換処理、変調処理等の処理を施す回路である。送信ミキサ112は、周波数シンセサイザ122から出力される信号を用いて送信信号処理回路111から出力される信号をミキシングする。尚、送信ミキサ112に供給される信号の周波数は、例えば380MHz程度である。送信フィルタ113は、中間周波数(IF)の必要となる周波数の信号のみを通過させ、不要となる周波数の信号をカットする。尚、送信フィルタ113から出力される信号は不図示の変換回路によりRF信号に変換される。このRF信号の周波数は、例えば1.9GHz程度である。送信電力増幅器114は、送信フィルタ113から出力されるRF信号の電力を増幅し、送受分波器115へ出力する。
送受分波器115は、送信電力増幅器114から出力されるRF信号をアンテナ116a,116bへ出力し、アンテナ116a,116bから電波の形で送信する。また、送受分波器115はアンテナ116a,116bで受信した受信信号を分波して、低雑音増幅器117へ出力する。尚、送受分波器115から出力される受信信号の周波数は、例えば2.1GHz程度である。低雑音増幅117は送受分波器115からの受信信号を増幅する。尚、低雑音増幅器117から出力される信号は、不図示の変換回路により中間信号(IF)に変換される。
受信フィルタ118は不図示の変換回路により変換された中間周波数(IF)の必要となる周波数の信号のみを通過させ、不要となる周波数の信号をカットする。受信ミキサ119は、周波数シンセサイザ122から出力される信号を用いて送信信号処理回路111から出力される信号をミキシングする。尚、受信ミキサ119に供給される中間周波数は、例えば190MHz程度である。受信信号処理回路120は受信ミキサ119から出力される信号に対して、例えばA/D変換処理、復調処理等の処理を施す回路である。受話器121は、例えば電気信号を音波に変換する小型スピーカ等で実現され、図12中の受話器102に相当するものである。
周波数シンセサイザ122は送信ミキサ112へ供給する信号(例えば、周波数380MHz程度)及び受信ミキサ119へ供給する信号(例えば、周波数190MHz)を生成する回路である。尚、周波数シンセサイザ122は、例えば760MHzの発振周波数で発振するPLL回路を備え、このPLL回路から出力される信号を分周して周波数が380MHzの信号を生成し、更に分周して周波数が190MHzの信号を生成する。制御回路123は、送信信号処理回路111、受信信号処理回路120、周波数シンセサイザ122、及び入力/表示回路124を制御することにより携帯電話機の全体動作を制御する。入力/表示回路124は、携帯電話機100の使用者に対して機器の状態を表示するとともに操作者の指示を入力するためのものであり、例えば図12に示した液晶表示部104及び操作釦部105に相当する。
以上の構成の電子回路において、送信フィルタ113及び受信フィルタ118として前述したマイクロレゾネータが用いられている。これら送信フィルタ113及び受信フィルタ118がフィルタリングする周波数(通過させる周波数帯域)は、送信ミキサ112から出力される信号の内の必要となる周波数、及び、受信ミキサ119で必要となる周波数に応じて送信フィルタ113及び受信フィルタ118で個別に設定されている。
携帯電話等の無線機器の使用帯域は有限であり、必ずしも連続した周波数帯域が割り当てられていないことが多い。従って、既に割り当てられている周波数の範囲内での通信容量が許容量を超えると、他の周波数帯域(連続していない周波数帯域)に移行して通信容量を増やすことになる。携帯電話機は利便性を維持するために、複数の周波数帯域に対応した検波回路を複数備えるものが実現されている。
検波回路の一部をなす送信フィルタ113及び受信フィルタ118に相当する従来の部品は、受信ミキサ119等と集積化することはできなかったため、集積化された受信ミキサ119等とは別個の部品として基板上に搭載されており、複数の周波数帯域に対応したものは、各周波数帯域毎の検波回路が受信ミキサ119とは別に設けられていた。これに対し、本実施形態のマイクロレゾネータを備えれば異なる周波数帯域(広い周波数帯域)に亘った通過特性を備えており、しかも受信ミキサ119等と一緒に集積化することができるため、携帯電話機100の大幅な小型化・軽量化を図ることができる。
図14は、本発明の他の実施形態による電子機器としての腕時計の外観を示す斜視図である。図14に示す腕時計200は、発振子として上述したマイクロレゾネータ10,40を備えている。このマイクロレゾネータ10,40の発振周波数は、例えば16kHz、32kHz等の複数の周波数に設定されている。現在一般に設けられている腕時計は発振子としてクオーツ(水晶)発振子を備えるものが多いが、マイクロレゾネータ10を発振子として用いることにより、腕時計200の更なる小型・軽量化を図ることができる。また、本実施形態のマイクロレゾネータは複数の異なる周波数で発振するため、複数の異なる周波数が必要となる回路を備える場合には、各々の回路に必要な周波数を供給することができるという利点がある。
以上、本発明の実施形態によるマイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば上記実施形態においては電子機器として携帯電話機及び腕時計を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の電子機器は携帯電話機及び腕時計に限定される訳ではなく、計時機能を有するコンピュータ、電波時計、ディジタルカメラ、各種の家電製品等の種々の電子機器が含まれる。
また、携帯電話機等の携帯性を有する電子機器のみならずBS放送及びCS放送を受信するチューナ等の据置状態で使用される通信機器も含まれる。更には、通信キャリアとして空中を伝播する電波を使用する通信機器のみならず、同軸ケーブル中を伝播する高周波信号又は光ケーブル中を伝播する光信号を用いるHUB等の電子機器も含まれる。これらの電子機器は、所定の周波数をフィルタリングするため、及び計時機能を実現するためにマイクロレゾネータが用いられる。
本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータを示す平面図である。 図1中のA−A線に沿った断面矢視図である。 共振時において生ずるディスク14の形状変化の一例を示す図である。 共振時において生ずるディスク14の位置変化の一例を示す図である。 マイクロレゾネータ10をフィルタとして用いる場合の通過特性の一例を示す図である。 本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法を示す工程図である。 本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法を示す工程図である。 本発明の他の実施形態によるマイクロレゾネータを示す平面図である。 図8中のB−B線に沿った断面矢視図である。 本発明の他の実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法を示す工程図である。 本発明の他の実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法を示す工程図である。 本発明の一実施形態による電子機器としての携帯電話機の外観を示す斜視図である。 図12に示した携帯電話機100の内部に設けられる電子回路の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の他の実施形態による電子機器としての腕時計の外観を示す斜視図である。
符号の説明
10……マイクロレゾネータ
12……シリコン基板複数
14……ディスク(共振子)
15a,15b……支持梁(支持部)
16,18……電極
30……絶縁膜(積層部)
32……中間膜
34……導電膜
36……ポリシリコン膜(導電膜)
40……マイクロレゾネータ
42……シリコン基板複数
43……絶縁膜(積層部)
43a……酸化膜(絶縁膜)
45……犠牲層(中間膜)
47……ポリシリコン膜(導電膜)
62,72……電極(固定電極)
80……共振子
83……片持ち梁(支持部)

Claims (13)

  1. シリコン基板と、当該シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、当該積層部上に設けられた共振子及び電極とを備えるマイクロレゾネータであって、
    前記共振子として前記電極に印加される電気信号によって異なる種類の複数の共振モードで共振する共振子を備えることを特徴とするマイクロレゾネータ。
  2. 前記共振子は、位置変化を生じて共振する第1共振モードと形状変化を生じて共振する第2共振モードとを含む共振モードで共振することを特徴とする請求項1記載のマイクロレゾネータ。
  3. 前記第1共振モードの腹となる位置において前記共振子に取り付けられ、前記積層部上で前記共振子が浮上している状態に前記共振子を支持する支持部を備えることを特徴とする請求項2記載のマイクロレゾネータ。
  4. 前記電極は、前記積層部表面に含まれる第1方向に前記共振子を挟む位置に形成され、
    前記支持部は、前記第1方向と交差する第2方向における前記共振子の両端部に取り付けられることを特徴とする請求項3記載のマイクロレゾネータ。
  5. 前記共振子の形状は、円形形状、梁形状、又は一部が櫛歯形状であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のマイクロレゾネータ。
  6. シリコン基板と、当該シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、当該積層部上に設けられた共振子及び電極とを備えたマイクロレゾネータの製造方法であって、
    前記積層部上に、異なる種類の複数の共振モードで共振する共振子と、前記積層部表面に含まれる所定の方向に前記共振子を変位可能に支持する支持部を形成する共振子形成工程と、
    前記所定の方向に前記共振子を挟む電極を形成する電極形成工程と
    を含むことを特徴とするマイクロレゾネータの製造方法。
  7. 前記共振子形成工程は、前記支持部を、前記所定の方向と交差する方向における前記共振子の両端部に形成する工程であることを特徴とする請求項6記載のマイクロレゾネータの製造方法。
  8. 前記共振子形成工程は、前記積層部上に導電性を有する導電膜を形成する工程と、
    前記導電膜をパターニングして前記積層部上に前記共振子と前記支持部とを一度に形成する工程と
    を含むことを特徴とする請求項5記載のマイクロレゾネータの製造方法。
  9. 前記共振子形成工程は、前記共振子を、円形形状、梁形状、又は一部に櫛歯形状を有する形状に形成する工程であることを特徴とする請求項8記載のマイクロレゾネータの製造方法。
  10. 前記電極形成工程は、前記共振子が形成された前記積層部上に中間膜を形成する工程と、
    前記中間膜上に導電膜を形成し、前記共振子上の導電膜を除去して前記電極を形成する工程と
    を含むことを特徴とする請求項6から請求項9の何れか一項に記載のマイクロレゾネータの製造方法。
  11. 前記電極を形成した後で、前記共振子上に形成された前記中間膜を除去するとともに、前記積層部上に形成された中間膜の一部を残して除去することにより、前記積層部上に前記共振子及び前記支持部浮上させる工程を含むことを特徴とする請求項10記載のマイクロレゾネータの製造方法。
  12. 前記導電膜は、ポリシリコンから形成されることを特徴とする請求項6から請求項11の何れか一項に記載のマイクロレゾネータの製造方法。
  13. 請求項1から請求項5の何れか一項に記載のマイクロレゾネータ、又は請求項6から請求項12の何れか一項に記載のマイクロレゾネータの製造方法を用いて製造されたマイクロレゾネータを備えることを特徴とする電子機器。
JP2004117714A 2004-04-13 2004-04-13 マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器 Withdrawn JP2005303706A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004117714A JP2005303706A (ja) 2004-04-13 2004-04-13 マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004117714A JP2005303706A (ja) 2004-04-13 2004-04-13 マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005303706A true JP2005303706A (ja) 2005-10-27

Family

ID=35334707

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004117714A Withdrawn JP2005303706A (ja) 2004-04-13 2004-04-13 マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005303706A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007152501A (ja) * 2005-12-06 2007-06-21 Seiko Epson Corp Mems振動子及びその製造方法
JP2007312373A (ja) * 2006-04-20 2007-11-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体装置の製造方法およびこれを用いた半導体装置
JP2009060173A (ja) * 2007-08-29 2009-03-19 Seiko Instruments Inc 発振子及び該発振子を有する発振器
JP2009060172A (ja) * 2007-08-29 2009-03-19 Seiko Instruments Inc 発振子及び該発振子を有する発振器
JP2012029052A (ja) * 2010-07-23 2012-02-09 Ritsumeikan 電極構造要素と振動構造要素を近接して配置する方法およびこれを用いたmemsデバイス
JP2013030905A (ja) * 2011-07-27 2013-02-07 Seiko Epson Corp Mems振動子および発振器

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007152501A (ja) * 2005-12-06 2007-06-21 Seiko Epson Corp Mems振動子及びその製造方法
JP2007312373A (ja) * 2006-04-20 2007-11-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体装置の製造方法およびこれを用いた半導体装置
JP2009060173A (ja) * 2007-08-29 2009-03-19 Seiko Instruments Inc 発振子及び該発振子を有する発振器
JP2009060172A (ja) * 2007-08-29 2009-03-19 Seiko Instruments Inc 発振子及び該発振子を有する発振器
JP2012029052A (ja) * 2010-07-23 2012-02-09 Ritsumeikan 電極構造要素と振動構造要素を近接して配置する方法およびこれを用いたmemsデバイス
JP2013030905A (ja) * 2011-07-27 2013-02-07 Seiko Epson Corp Mems振動子および発振器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4501860B2 (ja) Mems型振動子とその製造方法、フィルタ、並びに通信装置
JP4466563B2 (ja) Mems型共振器及びその製造方法、並びに通信装置
WO2007000929A1 (ja) 圧電共振器、圧電フィルタ、それを用いた共用器及び通信機器
JP4938652B2 (ja) 共振器及びこれを用いたフィルタ
JP4617904B2 (ja) 微小振動子、半導体装置及び通信装置
WO2005107067A1 (ja) フィルタ装置及び送受信機
JP2009130478A (ja) 圧電振動子およびその製造方法
JP2006319642A (ja) 微小共振器、バンドパスフィルタ、半導体装置、及び通信装置
JP2006222562A (ja) 微小共振器、バンドパスフィルタ、半導体装置、及び通信装置
JP4078562B2 (ja) 圧電薄膜共振子の製造方法、圧電薄膜共振子、周波数フィルタ、発振器の製造方法、発振器、電子回路、および電子機器
TWI248697B (en) Micro-resonator and communication apparatus
JP2005303706A (ja) マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器
JP4341288B2 (ja) Mems型共振器及びその製造方法、並びにフィルタ
JP2008177933A (ja) 電気機械素子、並びに信号処理デバイス、通信装置
JP2009088685A (ja) 電気機械素子および半導体デバイス
Li CMOS-MEMS resonators and their applications
JP2005159715A (ja) マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器
JP2005323271A (ja) マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器
JP2005348222A (ja) Memsデバイス及び電子機器
JP2005277861A (ja) マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器
JP2005323039A (ja) マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器
JP2005159620A (ja) マイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器
JP4736735B2 (ja) 静電容量型共振素子、静電容量型共振素子の製造方法および通信装置
JP2005318042A (ja) マイクロレゾネータ及びその製造方法、並びに電子機器
JP2005354583A (ja) Memsデバイスの製造方法、及び電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070703