JP2008177933A - 電気機械素子、並びに信号処理デバイス、通信装置 - Google Patents

電気機械素子、並びに信号処理デバイス、通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より簡単な素子構造で能率よく高周波領域の電気信号の加工を行うことができる、電気機械素子を提供する。
【解決手段】圧電体膜5に設けられた複数の電極2、3、4と、複数の電極2〜4のうち所要の電極4と誘電体層6を挟んで対向する他の電極7とを有し、誘電体層6を挟む電極4及び7に入力される複数の信号による静電気的な外力により圧電体膜5が駆動し、圧電体膜5の圧電性により誘起される電気信号を出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電駆動型の電気機械素子(いわゆる振動子素子)、この電気機械素子を備えた信号処理デバイス及び通信装置に関する。より詳しくは、機械振動子の共振現象と圧電体の機械電気変換機能を利用してアナログ電気信号、とりわけ高周波(RF)領域の電気信号を加工する、周波数変調、フィルタリングを行う、電気機械素子、この電気機械素子を備えた信号処理デバイス及び通信装置に関する。
マイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製された微小振動子、例えば静電駆動型のMEMS共振器が知られている。このようなMEMS共振器はミシガン大学を始めとする研究機関から提案されている(非特許文献1参照)。
また、静電駆動型のMEMS共振器を高周波信号の周波数変調に応用する試みもミシガン大学を始めとする研究期間から提案されている(非特許文献2、3参照)。
提案されている周波数変換素子は、動作が為されるためには、DCバイアス電圧の供給が不可欠であり、動作信頼性確保のためにはDCバイアス値の制御が必要であった。また、電気機械変換能率は十分に高いとは言えず、そのために、例えば、広い透過帯域幅を持つフィルタを構成することは容易ではない、と言った困難があった。
一方、非特許文献4には、2ポートの積層型の振動子がミキサとして動作できるかもしれないことが開示されている。この振動子301は、図20に示すように、AlN(窒化アルミニウム)層302の上面に上部電極303が形成され、その下面に中間電極304、AlN(窒化アルミニウム)薄膜305及び下部電極306が形成されて構成される。上部電極303、中間電極304及び下部電極306は、全面に形成されている。上部電極303は出力電極、中間電極304は接地電極、下部電極306は入力電極として構成される。このフィルタ・ミキサ301では、RF信号にLO信号が重畳された信号が下部電極306に入力され、AlN薄膜305によりミキシング(混合)される。このとき、両電極306及び304に挟まれたAlN薄膜305が静電気的な力で駆動される。駆動力は印加された電圧の2乗に比例する。従って、2つの入力信号の間の周波数の差(周波数)でのミキシング項が生じる。周波数の差は、所望のIF(周波数)となっており、振動子の共振周波数に一致する。これにより、IF信号はAlN層302による圧電効果により上部電極303から出力される、と記載されている。
C.T-Nguyen, Micromechanical components for miniaturized low-power communications(invited plenary), proceedings,1999 IEEE MTT-S International Microwave Symposium RF MEMS Workshop, June 18, 1999, pp48-77 A.-C.Wong, H.Ding, and C.T.-C.Nguyen, Microwave mixer + filters Technical Digest, IEEE-IEDM, 1998, pp47-474 Fang Chen, Jay Brotz, Umut Arslan, Chiung-Cheng Lo, Tamal Mukherjee, Gary K.Fedder, CMOS-MEMS Resonant RF Mixer-FiltersIEEE2005, pp24-27 「Piezoelectric Aluminum Nitride Vibrating RF MEMS for Radio Front-End Technology」GianlucaPiazza UNIVERSITY OF CALIFORNIA, BERKELEY Fall 2005
既に提案されている素子、例えば、非特許文献2、3で開示されている素子は、静電気的に駆動され、静電気的に出力が成される為にDCバイアス電圧の印加、すなわちDC給電線路が、素子の不可欠の要素である。従って、素子の駆動のためにはDC供給源が必要となる。駆動のためのDC電圧は、通常のCMOSデバイスの駆動電圧より高く、CMOSデバイスと集積化あるいはモジュール化する場合には、昇圧回路などの手段を設ける必要が生ずる。
また、複数の振動子群を組み合わせて素子を構成しようとした場合には、交流信号線路にDC線路を併置する必要があり、DC線路への信号漏洩を抑制するための手段を設ける必要が生じ、素子の複雑さが増すこととなる。
また、静電駆動形の振動子にDCバイアス電圧と交流信号が同時に印加されると、入力信号周波数と同じ周波数を有する駆動力が振動子に印加され、2つの交流信号の混合を目的とする場合には、該駆動力は雑音発生の要因となる。
2つの交流信号を混合し、所望の周波数変換を実現する上で、このような困難を根本的に回避する方法の案出が要請されている。
また、非特許文献4においては、次のような問題がある。AlN薄膜305は圧電体であるか否か明示されていない。AlN薄膜305が膜に配向性を有する圧電体であると、電圧に比例する力が同時に働く。この力ではミキシングはできず、ノイズが発生する。
RF信号にLO信号を重畳する手段が示されていない。単純に2つの信号線路をつなぎ合わせると、信号の逆流など望ましくない事態が起きる。
単純なAlNの2層構造であると、粗い近似で考えた場合、静電気的な力は電極に垂直な方向に働く内力である。従って、上記振動子301の構造では、一様な歪みが1層目のAlN薄膜に発生するのみで、2層目のAlN基体302には直接にはひずみを発生させることができない。1層目に発生したひずみは弾性的に伝播し、1層、2層目を含む振動体の厚み振動を特に効率よく励振させる。このひずみに応答する振動モードの共振周波数はAlN薄膜305の膜厚により決定され、例えば2層目のAlN層302の膜厚が1μmのとき、およそ5GHzとなり、1GHzを下回るIFの周波数の実現は極めて厚い膜でしかなされない。横振動も励振されるが、副次効果であり、能率が悪い。
本発明は、上述の点に鑑み、より簡単な素子構造で能率よく高周波領域の電気信号の加工を行うことができる、電気機械素子を提供するものである。
また、本発明は、上記電気機械素子を備えた信号処理デバイス及び通信装置を提供するものである。
本発明に係る電気機械素子は、圧電体膜と、圧電体膜に設けられた複数の電極と、複数の電極のうち所要の電極と誘電体層を挟んで対向する他の電極とを有し、誘電体層を挟む電極に入力される複数の信号による静電気的な力により圧電体膜が駆動し、圧電体膜の圧電性により誘起される電気信号を出力することを特徴とする。誘電体層としては、真空、気体、固体、液体の何れかを用いることができる。
本発明に係る電気機械素子は、好ましくは、圧電体膜と、この圧電体膜上に設けられた複数の電極とからなる振動片と、振動片と空間を隔てて対面する他の電極とを有し、何れかの電極の組み合わせに交流信号が入力されて振動片が静電駆動し、電気信号が出力されることを特徴とする。
本発明に係る信号処理デバイスは、上記の何れかの電気機械素子を含んで構成されてなることを特徴とする。
本発明に係る通信装置は、送信信号及び/又は受信信号の周波数変換とフィルタリングを行う信号ミキサ・フィルタを備え、信号ミキサ・フィルタとして、上記の何れかの電気機械素子が用いられることを特徴とする。
本発明の電気機械素子では、2つの交流信号の混合を行うことができる。2つの高周波信号の混合がなされ、2つの交流信号の差分にあたる周波数の信号に変換され、かつ、必要な帯域の信号のみが選択されて出力される、という周波数変換とフィルタリングの機能が得られる。
本発明に係る電気機械素子によれば、DC電源なしに交流信号のミキシングなどの加工が成され信号出力を取出すことができる。DC電源が不要であるため、雑音発生要因を除去でき、また素子構造をより簡単化することができる。能率よく高周波領域の電気信号の加工を行うことができる。
本発明に係る信号処理デバイスによれば、上記の電気機械素子を含んで構成されるので、デバイス構造の簡単化を図り、能率のよい高周波信号の処理を行うことができる。
本発明に係る通信装置によれば、信号ミキサ・フィルタとして上記電気機械素子を用いることにより、装置が小型化され、消費電力を抑制することができる。また、信頼性の高い通信装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る電気機械素子は、静電駆動で振動する圧電体膜と、この圧電体膜上に設けられた複数、好ましくは3個以上の電極で構成される振動子であり、何れかの電極の組み合わせに交流信号の入出力が加えられ、さらに、複数の電極のうちの1つの電極には誘電体層、あるいは空間(空気層)を隔て静電気的に振動子を駆動するための他方の電極が設けられ、この他方の電極に交流信号が加えられて構成される。
本実施の形態の微小電気機械デバイスでは、2つの交流信号の混合を行うことができる。とりわけ、圧電体膜とこれに設けられた複数の電極からなる振動片を有した構成では、2つの高周波信号の混合がなされ、必要な帯域の信号が選択され、2つの交流信号の差分の周波数の信号を出力するという、周波数変換とフィルタリングの機能が得られる。
本実施の形態に係る電気機械素子によれば、DC電源なしに交流信号のミキシングなどの加工が成された信号出力を取り出すことできる。DC電源が不要であるため、雑音発生要因を除去でき、また、素子構造をより簡単にすることができる。これにより、素子の信頼性の確保、特性の向上、素子の小型化を実現することができる。本発明の微小電気機械デバイスとなる振動子素子を用いることにより、周波数変換とフィルタリングを行う信号ミキサ・フィルタを、小型かつ簡素化された素子で構成することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳述する。
図1〜図8に、本発明に係る電気機械素子の実施の形態の概念図を示す。本発明の電気機械素子は、マイクロスケール、ナノスケールの振動子素子で構成される。
図1に、本発明に係る電気機械素子(いわゆる振動子)の第1実施の形態を示す。本実施の形態に係る電気機械素子1は、圧電体膜(以下、圧電体薄膜という)5とこの圧電体薄膜5に取り付けられた複数の電極2、3及び4とからなる振動片9と、これら電極2〜4のうちの一つの電極、特に圧電体薄膜5の側端に形成された側面電極4に空間6を隔てて対面して設置された電極、すなわち対向電極7とから構成される。すなわち、圧電体薄膜5による振動片(振動子本体)9は、この薄膜5を挟んで上面(表面)及び下面(裏面)にそれぞれ上部電極2及び下部電極3が形成される共に、薄膜5の側端に側面電極4が形成されて成る。圧電体薄膜5は、本例ではC軸配向のAlN(窒化アルミニウム)膜で構成される。また、圧電体薄膜5の側面電極4に対向する対向電極7は、基板8に支持される。
図1の実施の形態では、圧電体薄膜5は、面内方向に静電的な力で伸縮駆動される。この圧電体薄膜5は、図示しないが、例えばその中央部分、端部、あるいは、その両方で基板に支持される。圧電体薄膜3は、所要の平面的な形状に加工されて、形状に依存した共振特性を有するように形成される。圧電体薄膜5には、上記したように、薄膜の表面、裏面及び側面に上部電極2、下部電極3及び側面電極4が設けられるが、裏面の下部電極3あるいは表面の上部電極2は、接地面(接地電極)あるいは信号出力電極の何れかとなる。本例では、下部電極3が接地面となり、上部電極2が信号出力電極として構成される。
圧電体薄膜5の側端に設けられた側面電極4の外側面と空間6を隔てて対向する対向電極7は、基板8に固定して設けられる。この2つの側面電極4と対向電極7に、それぞれ入力信号(いわゆる入力交流信号)、参照信号(いわゆる参照交流信号)のいずれかがデバイスの設計の都合に合わせて選択され、印加される。本例では側面電極4に入力信号が印加され、対向電極7に参照信号が印加される。側面電極4及び対向電極7に印加される2つの交流信号により圧電体薄膜(いわゆる振動子本体)5には、伸縮振動が誘起される。すなわち、電気機械素子1においては、入力信号と参照信号の2つの信号周波数の差分値が圧電体薄膜5の伸縮振動の共振周波数に一致するときに、伸縮振動が誘起される。振動により圧電体薄膜5には応力(あるいは歪)が発生し、この応力は圧電体薄膜5の圧電定数に従い上部電極2と接地面(下部電極)3間の電圧に変換され、上部電極2から出力信号として出力される。
本実施の形態における電気機械素子(振動子)1は、圧電体薄膜5が円形、あるいは方形であってもよい。圧電体薄膜の周囲に対称に側面電極4を配置し、圧電体薄膜5の重心部で支持し、対称な伸縮振動モードで駆動してもよい。
本実施の形態の電気機械素子1は、平面上から見て例えば、図2Aに示すように、方形の圧電体薄膜5の一方の両端側に配線で接続されるように側面電極4A及び4Bを形成し、この側面電極4A及び4Bに対向して配線で接続されるように対向電極7A及び7Bを基板8に固定的に形成した構成とすることができる。
また、本実施の形態の電気機械素子1は、平面上から見て例えば、図2Bに示すように、圧電体薄膜5を円形に形成し、その周囲を取り囲むように周囲端に円環状の側面電極4を形成し、これに対向する円環状の対向電極7を基板8に固定的に形成した構成とすることができる。
また、本実施の形態の電気機械素子1は、平面上から見て例えば、図2Cに示すように、圧電体薄膜5を方形に形成し、その周囲を取り囲むように周囲端に四角環状の側面電極4を形成し、これに対向する四角環状の対向電極7を基板8に固定的に形成した構成とすることができる。
第1実施の形態に係る電気機械素子1によれば、2つの交流信号の混合を行うことができる。2つの高周波信号の混合がなされ、2つの交流信号の差分にあたる周波数の信号に変換され、かつ、必要な帯域の信号のみが選択されて出力される、という周波数変換とフィルタリングの機能を得ることができる。
また、DC電源なしに交流信号のミキシング等の加工が成された信号出力を取出すことができる。DC電源が不要であるため、雑音発生の要因を除去することができ、また、素子構造の小型化を実現することができる。本実施の形態の電気機械素子となる振動子を用いることにより、周波数変換とフィルタリングを行う信号ミキサ・フィルタを、小型かつ簡素化された素子で構成することができる。本実施の形態では、振動片は、面内方向に静電気的な外力により、励振されるので効果的に面内伸縮振動が励起される。
図3に、本発明に係る電気機械素子(いわゆる振動子)の第2実施の形態を示す。本実施の形態に係る電気機械素子11は、図3Aに示すように、圧電体薄膜5とこの圧電体薄膜5に取り付けられた複数の電極12、13及び14とからなる振動片15と、これら電極12〜14のうちの一つの電極に空間6を隔てて対面して設置された対向電極17とから構成される。すなわち、圧電体薄膜5による振動片15は、この薄膜5を挟んで中央付近の上面(表面)及び下面(裏面)にそれぞれ上部電極12及び第1の下部電極13が形成されると共に、薄膜の裏面の周辺部分に第2の下部電極14が形成されて成る。圧電体薄膜5は、本例ではC軸配向のAlN膜で構成される。また、圧電体薄膜5の第2の下部電極14に対向する対向電極17は、圧電体薄膜5の直下に配置された基板18に支持される。
図3の実施の形態では、圧電体薄膜5は、静電的な力で膜面に垂直な方向に屈曲(伸縮)駆動される。圧電体薄膜5は、例えば円形、方形をなし、本例では円形に加工され、円形の中心で支持部19を介して基板18に支持される。必要に応じて圧電体薄膜5は、その外周部分を対称な形状で基板(図示せず)に支持するようになし、圧電体薄膜5の反りを抑制できるような構成にしてもよい。
圧電体薄膜5には、上記したように、薄膜の表面、裏面に電極が設けられるが、中心付近の裏面に形成された第1の下部電極13あるいは中央付近の表面に形成された上部電極12は、接地面(接地電極)あるいは信号出力電極の何れかとなる。本例では、第1の下部電極13が接地面となり、上部電極12が信号出力電極として構成される。
圧電体薄膜5の裏面の周辺付近に設けた円環状の第2の下部電極14と空間6を隔てて対向する円環状の対向電極17は、基板18に固定して設けられる。2つの円環状の第2の下部電極14と対向電極17には、それぞれ入力信号(いわゆる入力交流信号:入力RF信号)、参照信号(いわゆる参照交流信号:参照RF信号)のいずれかが印加される。本例では第2の下部電極14に参照信号が印加され、対向電極17に入力信号が印加される。それぞれ円環状をなす第2の下部電極14と対向電極17に印加される2つの交流信号により、振動片15には、屈曲(伸縮)振動が誘起される。すなわち、電気機械素子11においては、入力信号と参照信号の2つの信号周波数の差分値が圧電体薄膜5の屈曲(伸縮)共振周波数に一致するときには、屈曲(伸縮)振動が誘起される。振動により圧電体薄膜5には応力(あるいは歪)が発生し、この歪みは圧電体薄膜5の圧電定数に従い上部電極12と接地面(第1の下部電極)13間の電圧に変換され、上部電極12から出力信号として出力される。本実施の形態の電気機械素子11の圧電体薄膜の振動パターンを図3Bに示す。この振動パターンは、周辺フリーの場合の典型的な振動パターン、すなわち中央を腹とする振動パターンとなる。
第2実施の形態に係る電気機械素子11によれば、前述の第1実施の形態の電気機械素子で説明したと同様の作用効果を奏する。
図4に、本発明に係る電気機械素子(いわゆる振動子)の第3実施の形態を示す。本実施の形態に係る電気機械素子21は、図4Aに示すように、圧電体薄膜5とこの圧電体薄膜5に取り付けられた複数の電極22、23、24とからなる振動片25と、これらの電極22〜24のうちの一つの電極に空間6を隔てて対面して設置された対向電極27とから構成される。すなわち、圧電体薄膜5による振動片25は、圧電体薄膜5の上面(表面)の略全面に上部電極22が形成され、その下面(裏面)の周辺付近に第1の下部電極23が形成されると共に、下面中央付近に第2の下部電極24が形成されて構成される。圧電体薄膜5は、本例ではC軸配向のAlN膜で構成される。また、圧電体薄膜5の中央付近の第2の下部電極24に対向する対向電極27は、圧電体薄膜5の直下に対向する基板28の面に支持される。
図4の実施の形態では、圧電体薄膜5が、その膜面に垂直な方向に静電的な力で駆動される。圧電体薄膜5は、例えば、方形、円形をなし、本例では方形に加工され、その両端部分が基板28の壁面に支持され、両端固定の板状振動片となり、形状に依存した共振特性をもつ。圧電体薄膜5は、上記したように、薄膜の表面、裏面に電極が設けられるが、裏面には、2種の電極、すなわち両端付近の第1の下部電極23〔23A及び23B〕と、中央付近の第2の下部電極24とが設けられる。これら電極23、24のうちの一方は、接地面(接地電極)あるいは信号出力電極の何れかとなり、他方は圧電体薄膜5を静電的に駆動する為の電極となる。本例では、第1の下部電極23が接地面となり、第2の下部電極23が静電駆動用の電極となる。圧電体薄膜5の表面に形成された上部電極22は、接地面(接地電極)あるいは信号出力電極の何れかとなる。本例では、上部電極22が信号出力電極となる。
圧電体薄膜5の裏面中央付近に設けられた静電駆動の為の電極となる第2の下部電極24と空間6を隔てて対向する、対向電極27は、基板28に固定して設けられる。この第2の下部電極24と対向電極27の2つの電極に、それぞれ入力信号(いわゆる入力交流信号:入力RF信号)、参照信号(いわゆる参照交流信号:参照RF信号)のいずれかがデバイスの設計の都合に合わせて選択され、印加される。本例では第2の下部電極24に入力信号が印加され、対向電極27に参照信号が印加される。電極24、27に印加される2つの交流信号より圧電体薄膜(いわゆる振動子本体)には、振動が誘起される。すなわち、電気機械素子21においては、入力信号と参照信号の2つの信号周波数の差分値が圧電体薄膜5の共振周波数に一致するときに、対応する振動モードの振動が誘起される。振動により圧電体薄膜5には応力(あるいは歪)が発生し、この歪みは圧電体薄膜5の圧電定数に従い上部電極22と接地面(第1の下部電極)23間の電圧に変換され、出力信号として上部電極22から出力される。本実施の形態の電気機械素子21における圧電体薄膜5の振動パターンは、図4Bに示すように、両端を節とした振動パターンとなる。
第3実施の形態に係る電気機械素子21によれば、前述の第1実施の形態の電気機械素子で説明したと同様の作用効果を奏する。
図5に、本発明に係る電気機械素子(いわゆる振動子)の第4実施の形態を示す。本実施の形態に係る電気機械素子31は、圧電体薄膜5とこの圧電体薄膜5に取り付けられた複数の電極32、33、34及び35とからなる振動片37と、これらの電極32〜35のうちの一つの電極に空間6を隔てて対面して設置された対向電極36とから構成される。すなわち、圧電体薄膜5による振動片37は、圧電体薄膜5の下面(裏面)に第1の下部電極33と第2の下部電極35が形成され、圧電体薄膜5の上面(表面)に少なくとも一つの上部電極32が形成されて構成される。図5では、第1及び第2の下部電極33及び35が対称な形状に形成されると共に、第1の下部電極33に対応する位置に第1の上部電極32が形成され、第2の下部電極35に対応する位置に第2の上部電極34が形成される。圧電体薄膜5は、本例ではC軸配向のAlN膜で構成される。
本実施の形態では、圧電体薄膜5が、その膜面に垂直な方向に静電的な力で駆動される。圧電体薄膜5は、例えば、その両端部分が基板38に支持される。圧電体薄膜5は、所望の板状の形状に加工されて、形状に依存した共振特性をもつ。圧電体薄膜5は、上記したように薄膜の表面、裏面に電極が設けられるが、裏面には、2つの電極、すなわち対称な形状に分割された第1の下部電極33と第2の下部電極35とが設けられる。これら電極33、35のうちの一方は、接地面(接地電極)あるいは信号出力電極の何れかとなり、他方は圧電体薄膜5を静電的に駆動する為の電極となる。本例では、第1の下部電極33が信号出力電極となり、第2の下部電極35が静電駆動用の電極となる。
圧電体薄膜5の表面に設けられた少なくとも一つの上部電極、本例では第1の下部電極33に対向する第1の上部電極32は、接地面(接地電極)あるいは信号出力電極の何れかとなる。本例では、第1の上部電極32が接地面となる。圧電体薄膜5の裏面に設けられた静電駆動の為の電極となる第2の下部電極35と空間6を隔てて対向する対向電極36は、基板48に固定して設けられる。
この第2の下部電極35と対向電極36の2つの電極に、それぞれ入力信号(いわゆる入力交流信号:入力RF信号)、参照信号(いわゆる参照交流信号:参照RF信号)のいずれかが印加される。本例では対向電極36に入力信号が印加され、第2の下部電極35に参照信号が印加される。この場合、第2の下部電極35と、これに対向する位置に形成された第2の上部電極34とが配線などで共通接続され、第2の上部電極34にも同じ参照信号が印加される。電極35、36に印加される2つの交流信号により、圧電体薄膜(振動子本体)5には、振動が誘起される。すなわち、電気機械素子31においては、入力信号と参照信号の2つの信号周波数の差分値が圧電体薄膜5の共振周波数に一致するときに、対応する振動モードの振動が誘起される。本例の下部電極35は、振動片37の中心線(断面を示した図5では、圧電膜5の重心にあたる点)が節となる振動を誘起するに都合のよい配置となっている。この振動により圧電体薄膜5には応力(あるいは歪)が発生し、この応力は圧電体薄膜5の圧電定数に従い第1の下部電極33と接地面(上部電極)32間の電圧に変換され、出力信号として第1の下部電極33から出力される。本実施の形態では参照信号LOが圧電体膜5の両面に設けた電極34、35に同時に印加され、LO信号が印加された圧電体膜5の部分の電場の強さはゼロとなる。このことにより、LO信号による圧電体膜5の不要な励振を避けることができ、出力信号への雑音の混入を低減することができる。
第4実施の形態に係る電気機械素子31によれば、前述の第1実施の形態の電気機械素子で説明したと同様の作用効果を奏する。
図6に、本発明に係る電気機械素子(いわゆる振動子)の第5実施の形態を示す。本実施の形態に係る電気機械素子41は、図6A,Bに示すように、圧電体薄膜5とこの圧電体薄膜5上に設けられた複数の電極42、43及び44とからなり、両端固定の振動片46と、これらの電極42〜44のうちの一つの電極と空間6を隔てて体面する対向電極45とから構成される。すなわち、圧電体薄膜5による振動片46は、圧電体薄膜5の上面(表面)に分割された第1の上部電極42と第2の上部電極43が形成され、圧電体薄膜5の下面(裏面)に略全面にわたって下部電極44が形成されてなる。下部電極44と第1の上部電極42は、接地面(接地電極)あるいは信号出力電極のいずれかとなる。本例では下部電極44が接地面となり、第1の上部電極42が信号出力電極となって出力信号線路に接続される。一方、第2の上部電極43の上部には、空間6を隔てて静電気的に振動片46を駆動するための対向電極45が設けられる。下部電極44は圧電体薄膜5の下地電極を兼ねる。
振動片46となる圧電体薄膜5の両端は基板48に支持され、また対向電極45は例えば基板などの支持部材に支持される。振動片46となる圧電体薄膜5の両端が基板48に支持されるので、圧電体膜5の反りが抑制される。
本実施の形態の電気機械素子41では、圧電体薄膜5上の第2の上部電極43と、空間6を挟んで対向する対向電極45には、それぞれ入力信号(いわゆる入力交流信号:入力RF信号)あるいは参照信号(いわゆる参照交流信号:参照RF信号)のいずれかが印加され、静電的に駆動される。本例では、第2の上部電極43に入力信号が印加され、対向電極45に参照信号が印加され、2つの交流信号の混合がなされる。静電駆動により励振される振動は基板法線方向への圧電体薄膜5のたわみであり、両端固定がなされた振動片46、すなわち圧電体薄膜5の伸縮振動である。励振駆動された圧電体薄膜5の、下部電極(接地電極)44と第1の上部電極42との間に発生する交流電圧信号、すなわち振動膜である圧電体薄膜の圧電定数に支配されて発生する交流電圧信号は、第1の上部電極42に接続された線路を通して出力される。
第5実施の形態に係る電気機械素子41によれば、前述の第1実施の形態の電気機械素子で説明したと同様の作用効果を奏する。
上述した通り、第1実施の形態〜第5実施の形態に係る電気機械素子1、11、21、31及び41は、いわゆるミキサ・フィルタ素子として機能させることができる。ここで、ミキサ・フィルタとは、信号入力と参照入力とを混合して、別の周波数に変換した信号を出力する素子、すなわち、入力した情報信号の周波数変換を行い、その信号から所望の周波数帯域を選択して出力する素子、つまり周波数の変換と選択とを同時に行う素子であると定義する。
次に、ミキサ・フィルタの動作原理を説明する。
例えば、図6の電気機械素子(振動子)41は、静電的に駆動され、2次高調波モード(図6C参照)の振動が励振される。電気機械素子(振動子)41では、圧電体薄膜5による振動片46に設けられた上部電極(第2の上部電極)43に対面して空間6を隔てて対向電極45が設けられる。振動片46と電極43は一体であり、電極43に印加される力は、振動片46に働く外力である。
対面する2つの電極、すなわち上部電極(第2の上部電極)43及び対向電圧45に、それぞれ入力交流信号(RF)と参照交流信号(L0)が入力されると、振動片46には
F∝(VRF−VLO
、なる(静電気)力Fが印加される。
(VRF−VLO =・・+|VRF|×|VLO|×cos(ωRF−ωLO)t+・・
、に比例する力Fは、交流入力信号(RF)と参照交流信号(L0)の差分周波数で印加される力を含んでいる。振動片46の固有な共振周波数が差分周波数に等しくなるよう振動片を設計すると、振動片46は差分信号周波数で共振現象を起こし、振動モードに対応した長手方向への伸縮変形が起き、振動片46の表裏面には周期的に応力T、および歪みSが発生する。
振動片46は、圧電体で作られ、裏面には接地電極(下部電極)44が設けられ、表面には上部電極(第1の上部電極)42が設けられている。振動片46の表面と裏面では応力の印加のされ方は逆となっており、振動片5の中心面(厚み方向の断面でみると線)では応力は零となり、仮想的な接地面となる。振動片46は、(後述するようにAlNであり、)圧電定数d31がゼロではない圧電体であるから、関係式
T=sS+dE
に従い、振動片46の表面と裏面には、極性の異なる電荷が発生する。振動片46の中心面は仮想的な接地とみなすことができる。ここで、Tは応力、Sは歪、sはコンプライアンス行列、dはピエゾ行列、Eは電界である。
この例では、振動片46の裏面の下部電極44は接地されているので、上部電極(第1の上部電極)42に差分周波数信号(IF)が出力される。
圧電体薄膜5は、C軸配向のAlN(窒化アルミニウム)を用いる。C軸配向のAlN薄膜を用いることにより単結晶の場合に近いd31圧電定数を実現することができるので、振動片46の膜面内の伸縮振動を、膜面上に設けられた電極(第1の上部電極)42の交流電圧、すなわち膜裏面の接地電極44に対する交流電圧として、検出することができる。AlN薄膜は、PZTなどの圧電体に比較し誘電率が低いため、振動片46を電気的に通り抜ける雑音を低減することができる。また、AlN薄膜の成膜工程はSi−CMOSの製造工程との馴染みがよく、CMOSデバイスで確立された加工技術を、この電気機械素子41の作製に用いることができ、正確な加工形状を得ることができる。
図7に、本発明に係る電気機械素子(いわゆる振動子)の第6実施の形態を示す。本実施の形態に係る電気機械素子51は、図7Bに示すように、圧電体薄膜5とこの圧電体薄膜5に取り付けられた複数の電極52、53、54とからなる振動片56と、これらの電極52〜54のうちの一つの電極に空間6を隔てて対面して設置された対向電極55とから構成される。すなわち、圧電体薄膜5による振動片56は、圧電体薄膜5の上面(表面)に分割された第1の上部電極52及び第2の上部電極53が形成され、圧電体薄膜5の下面(裏面)に略全面にわたって下部電極54が形成されて構成される。また、一方の第2の上部電極53に対向して対向電極55が設置される。対向電極55は例えば基板58により支持される。
第2の上部電極53及び対向電極55には、それぞれ入力信号(いわゆる入力交流信号:入力RF信号)あるいは参照信号(いわゆる参照交流信号:参照RF信号)のいずれかがデバイスの都合に従って印加される。本例では第2の上部電極53に入力信号が印加され、対向電極55に参照信号が印加される。また、下部電極54と第1の上部電極52は、それぞれ接地面(接地電極)あるいは信号出力電極のいずれかとなる。本例では下部電極54が接地面となり、第1の上部電極52が信号出力電極となる。下部電極54はAlN圧電体薄膜5の下地膜を兼ねる。
本実施の形態では、圧電体薄膜5による振動片56が、両端を固定部である例えば基板58に固定した2次振動子として構成される。この振動片56は、振動の節Pの位置に1つ、あるいは複数の固定点(ポスト)59が設けられる。典型的には、図示するように、振動片56の長さを所望の共振周波数のおよそ2倍に対応するように設定し、両端から、振動片56の長さの1/4の位置に2つのポスト59を設ける。第1及び第2の上部電極52及び53は、この2つのポスト59の間に設けられる。このようにして、所望の共振周波数を持ち、3つの振動の節Pの2つが固定された、2次モード振動子を得ることができる。
第6実施の形態に係る電気機械素子51によれば、前述の第1実施の形態の電気機械素子で説明したと同様の作用効果を奏する。この電気機械素子51の構成ではQ値の高い振動子が得られる。
図8に、本発明に係る電気機械素子(いわゆる振動子)の第7実施の形態を示す。本実施の形態に係る電気機械素子61は、基板62上に第1の空間6Aを隔てて両端が支持部63を介して基板62に固定された振動片64と、振動片64上に第2の空間6Bを隔てて配置した静電駆動のための対向電極68とを設置して構成される。
振動片64は、圧電体薄膜5と、この薄膜5の上面(表面)に形成した分割された第1及び第2の上部電極65及び66と、薄膜5の下面(裏面)に略全面にわたって形成した下部電極67とを有して構成される。支持部63は、振動片64と同様の膜構成で形成される。
第2の上部電極66と対向する、振動片64を静電駆動するための対向電極68は、複合膜70に形成される。複合膜70は、振動片64に第2の空間6Bを隔てて設けられ、その両端が支持部71を介して基板62、本例では振動片64の支持部63の延長部に支持される。複合膜70は、圧電体薄膜75と、この薄膜75を挟んで下面(裏面)に分割して形成された例えば金属膜による第1及び第2の部分72及び68と、上面(表面)に形成した例えば金属膜による部分74とにより構成される。第1及び第2の部分72及び68は、振動片64の第1及び第2の上部電極65及び66に対向して構成され、第2の部分68が対向電極となる。最上層の金属膜74は信号線路、信号取り出しのビア、パッドなどに加工される。支持部71は、複合膜70と同じ膜構成で形成される。
振動片64の下部電極67が接地面(接地電極)となり、第1の上部電極65が信号出力電極となる。また、振動片64の第2の上部電極66と対向電極68は、それぞれ振動片64を静電的に駆動するための電極であり、これら電極66及び68には、それぞれ入力信号(いわゆる入力交流信号:入力RF信号)あるいは参照信号(いわゆる参照交流信号:参照RF信号)のいずれかが印加される。本例では第2の上部電極66に参照信号が印加され、対向電極68に入力信号が印加される。
次に、図9〜図12を参照して、上述した電気機械素子の製造方法の実施の形態を説明する。本例では、図8の第7実施の形態の電気機械素子の製造に適用したものである。他の実施の形態であっても類似の工程で製造することができる。
先ず、図9Aに示すように、例えば、表面に絶縁膜を形成した高抵抗のシリコン基板の表面からなる基板91の上面に、犠牲層薄膜、例えば酸化シリコン犠牲層薄膜(SOG:Spin-on-Glass)膜92Aを成膜する。犠牲層膜92Aの膜厚は、本例では1200nmとする。続けて、所望の形状のレジストマスク(図示せず)を形成し、犠牲層膜92Aを選択的にエッチング加工して、振動子本体を形成する部分に犠牲層92を形成する。
次に、図9Bに示すように、開口93を含んで犠牲層92上に所要膜厚の金属薄膜、例えば、膜厚300nmのMo薄膜94をスパッタ法により成膜する。
続けて、図9Cに示すように、その上に所要膜厚の圧電体薄膜、例えばAlN薄膜95を例えばスパッタ法により1umの厚さに成膜する。
更に続けて、図9Dに示すように、その上に所要の金属薄膜、例えば膜厚300nmのMo薄膜96を成膜する。
次に、図10Eに示すように、Mo薄膜96上に所望の形状のレジストマスク(図示せず)を形成し、ドライエッチング法によりMo薄膜96を選択エッチングしてMo薄膜による第1及び第2の上部電極97及び98を形成する。
次に、図10Fに示すように、レジストマスク(図示せず)を形成し、ドライエッチング法により、AlN薄膜95を選択エッチングし、さらに下層のMo薄膜94を選択的にエッチングして下部電極99を形成し、圧電体振動子本体100を形成する。このドライエッチングで、圧電体振動子本体100の支持部101も同時に形成し、また、支持部101の延長部において下部電極99に達する開口102及び圧電体薄膜95に達する開口103を形成する。さらに、圧電体振動子本体100の幅方向(例えば紙面と直交して離れる方向)端に対応して犠牲層除去のための貫通孔(図示せず)を形成する。
次に、図10Gに示すように、犠牲層薄膜、例えば酸化シリコン犠牲層薄膜(SOG膜)104を成膜する。犠牲層薄膜104の膜厚は、本例では1200nmとする。
次に、図11Hに示すように、所望の形状のレジストマスク(図示せず)を形成し、選択エッチングにより犠牲層薄膜104に信号取り出しのための貫通孔105を形成する。
次に、図11Iに示すように、酸化シリコン犠牲層薄膜104の上に複合膜(屋根薄膜)を形成するための下地金属膜106、例えば、膜厚300nmのMo薄膜をスパッタ法により成膜する。
次に、図11Jに示すように、圧電体振動子本体100の上部電極97及び98と複合膜の下地金属膜106との絶縁を確保する為の孔あるいは溝に対応する所望の形状のレジストマスク(図示せず)を形成し、選択エッチングにより孔あるいは溝107を形成する。同時にこのエッチングにより対向電極118を形成する。
次に、図12Kに示すように、複合膜の一部を構成する圧電体薄膜、例えばAlN薄膜108を、例えば、スパッタ法により1umの厚さに成膜する。
次に、図12Lに示すように、前記のAlN薄膜95に設けた犠牲層を除去するための貫通孔(あるいは溝)の形成と同じように、AlN薄膜108に犠牲層を除去するための貫通孔(図示せず)あるいは溝を、所望の形状のレジストマスク(図示せず)を介してエッチングにより形成する。
また、AlN薄膜108に電極取出し用の貫通孔を形成し、この貫通孔内にビア117を形成する。さらに、AlN薄膜108上に金属膜、例えばMo薄膜をスパッタ法により成膜し、選択エッチングして、AlN薄膜108上に上部金属膜116を形成し、同時にビア117上に下部電極99への信号線路113、第1の上部電極97への信号線路114及び第2の上部電極98への信号線路115、対向電極106への信号線路(図示せず)及びこれら電極パッド(図示せず)を形成する。
次に、図12Mに示すように、ガス化あるいは、微小な粒径のミストにしたフッ酸雰囲気中にウエハーを曝して圧電体振動子本体の周囲の犠牲層104及び92をエッチング除去して空間111及び110を形成する。
このようにして第7実施の形態の電気機械素子61を得る。
本発明の上述した実施の形態に係る電気機械素子は、信号ミキサ・フィルタとして構成することができる。図13に、格子型の信号ミキサ・フィルタに適用した第8実施の形態を示す。
第8実施の形態に係る信号ミキサ・フィルタ131は、図6の第5実施の形態の電気機械素子、すなわち共振周波数の異なる2種類、4個の2次振動子41〔415、416、417、418〕を用いて、格子型構成としている。すなわち、2つの信号線路132と133のそれぞれに高い共振周波数を持つ振動子415、418が接続される。また、信号線路132側の振動子415の入力側と信号線路133の振動子418の出力側との間と、信号線路133側の振動子418の入力側と信号線路132側の振動子415の出力側との間に、所望な同じ共振周波数を持つ振動子416、417が接続される。信号線路132の入力端と信号線路133の入力端にそれぞれ位相が180°異なる信号(平衡信号)が入力される。
すなわち、本実施の形態に係る信号ミキサ・フィルタ131は、共振周波数の異なる2種類の振動子として、図6の振動子41において、圧電体薄膜5を含む、共振周波数の異なる振動片で構成される振動子が用いられる。そして、振動子415では、その第2の上部電極43が信号線路132の入力側に接続され、その第1の上部電極42が信号線路132の出力側に接続される。振動子416では、その第2の上部電極43が信号線路132の入力側に接続され、その第1の上部電極42が信号線路133の出力側に接続される。両振動子415及び416の対向電極45は、共通に接続されて参照信号LOが入力されるようになされる。
振動子418では、その第2の上部電極43が信号線路133の入力側に接続され、その第1の上部電極42が信号線路133の出力側に接続される。振動子417では、その第2の上部電極43が信号線路133の入力側に接続され、その第1の上部電極42が信号線路132の出力側に接続される。両振動子418及び417の対向電極45は、共通に接続される。この信号ミキサ・フィルタ131では、入力端子t11及びt13にそれぞれ180°位相を異にした高周波信号(RF)が入力され、入力端子t15,16に対応する参照高周波信号(LO)が入力される。
第8実施の形態によれば、信号ミキサ・フィルタ131として構成するときは、高周波信号(RF)の搬送周波数を低周波に変換すると同時に必要な帯域内の信号(高周波信号IF)のみを選択的に出力端t12,t14から出力することができ、高周波信号回路の大幅な簡略化を実現できる。
上記ミキサ・フィルタ131は、平衡入力、平衡出力の信号を扱う。このため格子型に振動子、すなわち共振器(一群の並列化された振動子素子)を接続して、平衡入力、平衡出力の信号を扱う。このフィルタ回路を用いることにより、帯域透過特性における、対称性のよい周波数依存性を実現できる。
図14に、上述した実施の形態に係る電気機械素子を、ラダー型の信号ミキサ・フィルタに適用した第9実施の形態を示す。第9実施の形態に係る信号ミキサ・フィルタ121は、共振周波数の異なる2種類、4個の2次振動子41〔411、412、413、414〕を用いて、ラダー型構成としている。図14において、1段目の破線(a)で囲まれた部分はミキサ・フィルタとして機能し、2段目の実線(b)で囲まれた部分はフィルタとして機能する。実線(b)で囲まれた部分では、電極45は機能させない。作製のプロセスの都合で45は作り込んでもよい。図14はこの場合に相当する。
すなわち、この信号ミキサ・フィルタ121では、高周波信号線路122をマイクロストリップ線路で構成し、その信号線路123の入力端子t1及び出力端子t2間に直列に振動子411が接続され、この直列振動子411の入力側とグランド線路(接地面)124間に異なる共振周波数を持つシャント振動子412が接続されて1段目のラダー型ミキサ・フィルタaが構成される。この1段目の直列振動子411とシャント振動子412は、例えば図6の振動子41を用いている。
2段目のラダー型フィルタbは、信号線路123に411と同じ共振周波数を持つ直列振動子413が接続され、この直列振動子413の入力側とグランド線路124間に412と同じ共振周波数を持つシャント振動子414が接続されてなる。2段目の直列振動子413とシャント振動子414は、例えば図6の振動子41において対向電極45を機能させない構成としている。
1段目の直列振動子411とシャント振動子412のそれぞれの対向電極45は共通接続されて端子t3に接続される。直列振動子411は、その第2の上部電極43が信号線路123の入力側に接続され、第1の上部電極42が信号線路123の出力側に接続される。また、シャント振動子412は、その第2の上部電極43が信号線路123の入力側に接続され、第1の上部電極42がグランド線路124に接続される。
2段目の直列振動子413は、その第2の上部電極43が信号線路123の入力側に接続され、第1の上部電極42が信号線路123の出力側に接続される。また、シャント振動子414は、その第2の上部電極43が信号線路123の入力側に接続され、第1の上部電極42がグランド線路124に接続される。
2種類の振動子411、413と振動子412、414は、所望の信号通過帯域特性を得るために共振周波数を互いに違えて設計してある。このため、振動子411、413と振動子412、414としては、圧電体薄膜5による寸法の異なる振動片を用いた振動子が用いられる。
この信号ミキサ・フィルタ121によれば、入力端子t1に高周波信号(RF)を入力し、入力端子t3に参照高周波信号(LO)を入力することにより、所望の帯域内の信号(高周波信号IF)を出力端子t2から出力することができる。
図15に、本発明に係る電気機械素子(振動子)の第10実施の形態を示す。この電気機械素子は信号ミキサ・フィルタとして用いることができる。本実施の形態に係る電気機械素子141は、圧電体膜142、例えばAlN圧電体膜の上面に上部電極143を形成し、下面に中間電極144、誘電体膜145及び下部電極146を順次形成して構成される。上部電極143及び中間電極144は、圧電体膜142の上面及び下面の略全面に形成されるが、下部電極146は誘電体膜145の下面の一部、例えば中央領域に選択的に形成される。下部電極146は入力電極となり、高周波信号RFと参照信号LOを重畳した信号が入力される。中間電極144は接地電極となり、グランド電位が印加される。上部電極143は出力電極となり、IF信号が出力されるように構成される。また、この電気機械素子141、すなわち振動子は、図の断面で示す長手方向の中心部で、支持部(図示せず)で支持されるように構成される。
本実施の形態の電気機械素子141では、下部電極146に高周波信号RFと参照信号LOが重畳して入力されることにより、中間電極144と下部電極146で挟まれた誘電体膜145の一部の領域(破線図示)145aでひずみが極大となり、圧電体膜142が励振して動作し、上部電極143からIF信号が出力される。本実施の形態の場合は、内力の励振で動作させるので、前述した電極間に空間を有する各実施の形態とは振動片の構成原理が異なっている。前述の各実施の形態との構成上に違いは、RF信号が印加される下部電極146が、圧電体膜142と誘電体薄膜145、電極144、143からなる振動片に固定されている点である。
第10実施の形態に係る電気機械素子141によれば、中間電極144と下部電極146との間の膜が誘電体膜145であるため、信号のミキシングを行うことができ、ノイズの発生がなく、信号ミキサ・フィルタとして確実に動作することができる。下部電極146を誘電体膜145の一部に形成して、誘電体膜145の一部にのみ電圧が印加され、振動子の一部分にひずみが発生するように構成されるので、面内方向へのひずみも発生し、能率よく駆動できる。電極146を基板に固定する必要がないので反力による基板の励振をなくすことができる。また、電極間に空間がなく、単純な構造であるので、安価に製造できる。
図16に、本発明に係る電気機械素子(振動子)の第11実施の形態を示す。この電気機械素子は信号ミキサ・フィルタとして用いることができる。本実施の形態に係る電気機械素子151は、圧電体膜152、例えばAlN圧電体膜の上面に分割した2つの上部電極153及び154を形成し、下面に上記上部電極153、154に対応して分割した2つの中間電極155及び156、誘電体膜157、及び上記中間電極156に対応する領域の下部電極158を、順次形成して構成される。下部電極158は入力電極となり、高周波信号RFが入力される。第1の中間電極155は接地電極となり、グランド電位が印加される。第2の中間電極156と第2の上部電極154は入力電極となり、参照信号LOが印加される。第1の上部電極153は出力電極となり、IF信号が出力されるように構成される。(圧電体膜152の上面の両上部電極153及び154の中間に対応する部分にプロセスの都合により凹部159が形成される場合がある。)この電気機械素子141、すなわち振動子は、例えば図の断面で示す長手方向の中心部分(159)に設けられた支持部(図示せず)で支持されるように構成される。
本実施の形態の電気機械素子151では、下部電極158にRF信号が入力され、第2の中間電極156と第2の上部電極154に参照LO信号が入力される。これにより、第2の中間電極157と下部電極158で挟まれた誘電体膜157の一部の領域(破線図示)157aでひずみが極大となり、圧電体膜152が励振して動作し、第1の上部電極153からIF信号が出力される。本実施の形態の場合も、内力の励振で動作させるので、前述した電極間に空間を有する各実施の形態とは振動片の構成原理が異なる。また、前述の各実施の形態との構成上に違いは、RF信号が印加される下部電極158が、圧電体膜152と誘電体薄膜157、電極153、154、155、156からなる振動片に固定されている点である。
第11実施の形態に係る電気機械素子151によれば、第10実施の形態と同様に、中間電極157、156と下部電極158との間の膜が誘電体膜157であるため、信号のミキシングを行うことができ、ノイズの発生がなく、信号ミキサ・フィルタとして確実に動作することができる。下部電極158が分割された第2の中間電極156に対応するように形成され、誘電体膜145の一部にのみ電圧が印加され、振動子の一部分にひずみが発生するように構成されるので、面内方向へのひずみも発生し、能率よく駆動できる。電極158を基板に固定する必要がないので反力による基板の励振をなくすことができる。また、電極間に空間がなく、単純な構造であるので、安価に製造できる。
本発明は、上述した電気機械素子を含んで構成される信号処理するためのデバイス、いわゆる信号処理デバイスを提供することができる。
上述した本発明の実施の形態に係る電気機械素子は、高周波信号を処理するための回路モジュール、例えば電気機械素子(いわゆるMEMS)を含んでなるSoC(システム・オン・チップ)、或いはSiP(システム・イン・パッケージ)等の半導体デバイスにおいて、搬送波信号から所望の信号を選択的に抜き出す回路部を構成することができる。このような構成を採ることにより、優れた性能を有しつつ、小型、省電力の半導体デバイスを顧客に提供することができる。この電気機械素子一例として前述したラダー型構成の信号ミキサ・フィルタがある。
上述の実施の形態に係る電気機械素子は、振動子素子を用いた、例えば、フィルタ、発振器、ミキサなどの高周波デバイス、及びそれらが含まれるSoC(システム・オン・チップ)デバイスモジュール、SiP(システム・イン・パッケージ)デバイスモジュール等の半導体デバイスとして構成することができる。
上述した各実施の形態の圧電体膜振動子は、ミキサ・フィルタとして用いることができる。
本発明は、上述した実施の形態のミキサ・フィルタを備えた通信装置、すなわち例えば携帯電話機、無線LAN機器、無線トランシーバ、テレビチューナ、ラジオチューナ等の、電磁波を利用して通信する通信装置を提供することができる。
先ず、通信装置の参考例を、図17を用いて説明する。
まず送信系の構成について説明すると、Iチャンネルの送信データとQチャンネルの送信データを、それぞれデジタル/アナログ変換器(DAC)201I及び201Qに供給してアナログ信号に変換する。変換された各チャンネルの信号は、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qに供給して、送信信号の帯域以外の信号成分を除去し、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qの出力を、変調器210に供給する。
変調器210では、チャンネルごとにバッファアンプ211I及び211Qを介してミキサ212I及び212Qに供給して、送信用のPLL(phase-locked loop)回路203から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調し、両混合信号を加算器214で加算して1系統の送信信号とする。この場合、ミキサ212Iに供給する周波数信号は、移相器213で信号の位相を90°シフトさせてあり、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが直交変調されるようにしてある。
加算器214の出力は、バッファアンプ215を介して電力増幅器204に供給し、所定の送信電力となるように増幅する。電力増幅器204で増幅された信号は、送受信切換器205と高周波フィルタ206を介してアンテナ207に供給し、アンテナ207から無線送信させる。高周波フィルタ206は、この通信装置で送信及び受信する周波数帯域以外の信号成分を除去するバンド・パス・フィルタである。
受信系の構成としては、アンテナ207で受信した信号を、高周波フィルタ206及び送受信切換器205を介して高周波部220に供給する。高周波部220では、受信信号を低ノイズアンプ(LNA)221で増幅した後、バンド・パス・フィルタ222に供給して、受信周波数帯域以外の信号成分を除去し帯域の選択がなされた信号を、バッファアンプ223を介してミキサ224に供給する。そして、チャンネル選択用PLL回路251から供給される周波数信号を混合して、所定の送信チャンネルの信号を中間周波信号に変換し、バッファアンプ225を介して中間周波回路230に供給する。
中間周波回路230では、供給される中間周波信号をバッファアンプ231を介してバンド・パス・フィルタ232に供給して、中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、除去された信号を自動ゲイン調整回路(AGC回路)233に供給して、ほぼ一定のゲインの信号とする。自動ゲイン調整回路233でゲイン調整された中間周波信号は、バッファアンプ234を介して復調器240に供給する。
復調器240では、供給される中間周波信号をバッファアンプ241を介してミキサ242I及び242Qに供給して、中間周波用PLL回路252から供給される周波数信号を混合して、受信したIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。この場合、I信号用のミキサ242Iには、移相器243で信号を位相を90°シフトさせた周波数信号を供給するようにしてあり、直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。
復調されたIチャンネルとQチャンネルの信号は、それぞれバッファアンプ244I及び244Qを介してバンド・パス・フィルタ253I及び253Qに供給して、Iチャンネル及びQチャンネルの信号以外の信号成分を除去し、帯域の選択がなされた信号をアナログ/デジタル変換器(ADC)254I及び254Qに供給してサンプリングしてデジタルデータ化し、Iチャンネルの受信データ及びQチャンネルの受信データを得る。
次に、上述した本発明の実施の形態のミキサ・フィルタを適用した通信装置の構成例を、図18を参照して説明する。 まず送信系の構成について説明すると、Iチャンネルの送信データとQチャンネルの送信データを、それぞれデジタル/アナログ変換器(DAC)201I及び201Qに供給してアナログ信号に変換する。変換された各チャンネルの信号RFは、本発明のミキサ・フィルタ、例えば図14で示すようなラダー型ミキサ・フィルタ(送信系に用いるときは、図14の(b)のフィルタ部分を省いた構成とする)、260I、260Qに供給して、送信用のPLL(phase-locked loop)回路203から供給される送信周波数に対応した参照信号を混合して変調し、送信信号の帯域以外の信号成分を除去し、その両出力信号、出力I及び出力Qを加算器214で加算して1系統の送信信号とする。この場合、ミキサ・フィルタ260Iチャネルに供給する参照信号は、移相器213で信号を位相を90°シフトさせてあり、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが直交変調されるようにしてある。送信PLL信号およびチャンネル選択PLL信号は必要に応じてアンプ271、272により増幅する。
加算器214の出力は、バッファアンプ215を介して電力増幅器204に供給し、所定の送信電力となるように増幅する。電力増幅器204で増幅された信号は、送受信切換器205と高周波フィルタ206を介してアンテナ207に供給し、アンテナ207から無線送信させる。高周波フィルタ206は、この通信装置で送信及び受信する周波数帯域以外の信号成分を除去するバンド・パス・フィルタである。
受信系としては、アンテナ207で受信した信号を、高周波フィルタ206及び送受信切換器205を介して、本発明のミキサ・フィルタ、例えば図14のラダー型ミキサ・フィルタ261に通過させる。ラダー型ミキサ・フィルタ261では、受信した高周波信号RFの帯域以外の信号成分を除去し、同時に、チャネル選択用PLL回路251から供給される周波数信号LOを混合し、雑音が除去された中間周波数信号IFに変換する。次に信号IFを自動ゲイン調整回路(AGC回路)233に供給して、ほぼ一定のゲインの信号とする。自動ゲイン調整回路233でゲイン調整された中間周波信号IFは、バッファアンプ234を介して復調器240に供給する。
復調器240では、供給される信号をバッファアンプ241を介してミキサ242I及び242Qに供給して、中間周波用PLL回路252から供給される周波数信号を混合して、受信したIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。この場合、I信号用のミキサ242Iには、移相器243で信号を位相を90°シフトさせた周波数信号を供給するようにしてあり、直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。
復調されたIチャンネルとQチャンネルの信号は、それぞれバッファアンプ244I及び244Qを介してバンド・パス・フィルタ253I及び253Qに供給して、Iチャンネル及びQチャンネルの信号以外の信号成分を除去し、帯域の選択がなされた信号をアナログ/デジタル変換器(ADC)254I及び254Qに供給してサンプリングしてデジタルデータ化し、Iチャンネルの受信データ及びQチャンネルの受信データを得る。
本発明の通信装置によれば、ミキサを構成する電気回路が不要となるため、装置が小型化され、消費電力を抑制することができ、また、信頼性の高い通信装置を提供することができる。
上述の例では、無線送信及び無線受信を行う通信装置としたが、有線の伝送路を介して送信及び受信を行う通信装置に適用してもよく、さらに送信処理だけを行う通信装置や受信処理だけを行う通信装置に適用してもよい。
次に、本発明の受信装置の構成例を図19を参照して説明する。アンテナ207で受信した信号を、本発明のミキサ・フィルタ、例えば図14のラダー型ミキサ・フィルタ263に通過させる。ラダー型ミキサ・フィルタ263では、受信した高周波信号RFの帯域以外の信号成分を除去し、同時に、チャネル選択用PLL回路251から供給される周波数信号LOを混合し、雑音が除去された中間周波数信号IFに変換する。必要に応じてチャンネルPLL信号はアンプ273により増幅する。次に信号IFを自動ゲイン調整回路(AGC回路)233に供給して、ほぼ一定のゲインの信号とする。自動ゲイン調整回路233でゲイン調整された中間周波信号は、バッファアンプ234を介して復調器240に供給する。
復調器240では、供給される信号をバッファアンプ241を介してミキサ242I及び242Qに供給して、中間周波用PLL回路252から供給される周波数信号を混合して、受信したIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。この場合、I信号用のミキサ242Iには、移相器243で信号を位相を90°シフトさせた周波数信号を供給するようにしてあり、直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。
復調されたIチャンネルとQチャンネルの信号は、それぞれバッファアンプ244I及び244Qを介してバンド・パス・フィルタ253I及び253Qに供給して、Iチャンネル及びQチャンネルの信号以外の信号成分を除去し、帯域の選択がなされた信号をアナログ/デジタル変換器(ADC)254I及び254Qに供給してサンプリングしてデジタルデータ化し、Iチャンネルの受信データ及びQチャンネルの受信データを得る。
本発明の受信装置によれば、前述の通信装置と同様に、装置の小型化が図られ、消費電力を抑制することができ、また、信頼性の高い受信装置を提供することができる。
上述した本発明の実施の形態に係る電気機械素子を用いることにより、例えば高周波信号のフィルタリングを行うことができる。振動子薄膜の圧電性を利用しているのでDCバイアス電圧の印加が不要であり、電源系が不要となるので信号線路の簡略化ができ、不要な雑音の混入を低減できる。また、振動子の電気機械変換効率が高いので、電気機械素子の前後に配置されるアンプとのインピーダンス整合がより容易になる。
上述した本発明の実施の形態に係る電気機械素子を用いることにより、構造がより簡素になり、工業生産が容易になる。
本発明に係る電気機械素子の第1実施の形態を示す概略構成図である。 A〜C それぞれ第1実施の形態の上面から見た平面図である。 A、B 本発明に係る電気機械素子の第2実施の形態を示す概略構成図及び振動モード図である。 A,B 本発明に係る電気機械素子の第3実施の形態を示す概略構成図及び振動モード図である。 本発明に係る電気機械素子の第4実施の形態を示す概略構成図である。 A,B及びC 本発明に係る電気機械素子の第5実施の形態を示す概略構成図(平面図)、A−A′線上の断面図及び振動モード図である。 A,B及びC 本発明に係る電気機械素子の第6実施の形態を示す概略構成図(平面図)、A−A′線上の断面図及び振動モード図である。 本発明に係る電気機械素子の第7実施の形態を示す概略構成図である。 A〜D 本発明に係る電気機械素子の製造方法の実施の形態を示す製造工程図(その1)である。 E〜G 本発明に係る電気機械素子の製造方法の実施の形態を示す製造工程図(その2)である。 H〜J 本発明に係る電気機械素子の製造方法の実施の形態を示す製造工程図(その3)である。 K〜M 本発明に係る電気機械素子の製造方法の実施の形態を示す製造工程図(その4)である。 本発明に係る電気機械素子を格子型の信号ミキサ・フィルタに適用した第8実施の形態を示す概略構成図である。 本発明に係る電気機械素子をラダー型の信号ミキサ・フィルタに適用した第9実施の形態を示す概略構成図である。 本発明に係る電気機械素子の第10実施の形態を示す概略構成図である。 本発明に係る電気機械素子の第11実施の形態を示す概略構成図である。 参考例に係る通信装置の回路図である。 本発明に係る通信装置の回路図である。 本発明に係る受信装置の回路図である。 非特許文献4に記載されたフィルタ・ミキサの概略構成図である。
符号の説明
1、11、21、31、41、51、61、141、151・・電気機械素子、2、12、22、32、34、42、43、52、53・・上部電極、3、13、14、23、24、33、35、44、54・・下部電極、4・・側面電極、5・・圧電体膜、6・・空間、7、17、27、36、45、55・・対向電極、8、18、28、38、48、58・・基板、9、15、25、37、46、56、64・・振動片、71・・複合膜、121・・ラダー型の信号ミキサ・フィルタ、131・・格子型の信号ミキサ・フィルタ、142、152・・圧電体膜、143、153、154・・上部電極、144、155、156・・中間電極、145、157・・誘電体膜、146、158・・下部電極、260、261・・ラダー型の信号ミキサ・フィルタ

Claims (16)

  1. 圧電体膜と、
    前記圧電体膜に設けられた複数の電極と、
    前記複数の電極のうち所要の電極と誘電体層を挟んで対向する他の電極とを有し、
    前記誘電体層を挟む電極に入力される複数の信号による静電気的な力により前記圧電体膜が駆動し、前記圧電体膜の圧電性により誘起される電気信号を出力する
    ことを特徴とする電気機械素子。
  2. 圧電体膜と、該圧電体膜上に設けられた複数の電極とからなる振動片と、
    前記振動片と空間を隔てて対面する他の電極とを有し、
    前記何れかの電極の組み合わせに交流信号が入力されて前記振動片が静電駆動し、電気信号が出力される
    ことを特徴とする電気機械素子。
  3. 前記振動片の所要の電極と、該所要の電極と空間を隔てて対面する前記他の電極とに入力される2つの交流信号で、前記振動片が静電駆動される
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  4. 前記振動片の外周に空間を隔てて対面し、該振動片の重心に対して対称に設けられた1あるいは複数の前記他方の電極と、
    前記他方の電極に対面して前記振動片の外周部に設けられた電極とに、
    交流信号が印加されて、前記振動片が静電的に駆動して伸縮振動をなし、
    前記振動片の他の所要の電極に電気信号が出力される
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  5. 前記圧電体膜の裏面に第1及び第2の電極が形成され、
    前記圧電体膜の表面に少なくとも1つの第3の電極が形成され、
    前記第2の電極に空間を隔てて対面する前記他方の電極が設けられ、
    前記第1の電極または前記第3の電極は、接地面または信号出力電極の何れかとなし、
    前記第2の電極と前記他の電極にそれぞれ入力交流信号が印加される
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  6. 前記圧電体膜の表面に分割された第1及び第2の電極が形成され、
    前記圧電体膜の裏面に第3の電極が形成され、
    前記第2の電極に空間を隔てて対面する前記他方の電極が設けられ、
    前記第1の電極または前記第3の電極は、接地面または信号出力電極の何れかとなし、
    前記第2の電極と前記他方の電極にそれぞれ入力交流信号が印加される
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  7. 前記振動片が2次振動モードで静電的に駆動される
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  8. 前記振動片に設けられる静電駆動のための電極は、振動の腹をなす部分を含んでなるよう、設けられる
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  9. 前記圧電体膜は、C軸配向のAlN膜である
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  10. 信号ミキサ・フィルタとして構成されている
    ことを特徴とする請求項2記載の電気機械素子。
  11. 前記信号ミキサ・フィルタは、平衡入力、平衡出力の信号を扱うようにして成る
    ことを特徴とする請求項10記載の電気機械素子。
  12. 前記信号ミキサ・フィルタは、格子形に共振器を接続して、平衡入力、平衡出力の信号を扱うようにして成る
    ことを特徴とする請求項11記載の電気機械素子。
  13. 圧電体膜と、
    前記圧電体膜に設けられた複数の電極と、
    前記複数の電極のうち所要の電極と誘電体層を挟んで対向する他の電極とを有し、
    前記誘電体層を挟む電極に入力される複数の信号による静電気的な力により前記圧電体膜が駆動し、前記圧電体膜の圧電性により誘起される電気信号を出力するようにして成る電気機械素子を含んで構成してなる
    ことを特徴とする信号処理デバイス。
  14. 圧電体膜と、該圧電体膜上に設けられた複数の電極とからなる振動片と、
    前記振動片と空間を隔てて対面する他の電極とを有し、
    前記何れかの電極の組み合わせに交流信号が入力されて前記振動片が静電駆動し、電気信号が出力されるようにして成る電気機械素子を含んで構成されてなる
    ことを特徴とする信号処理デバイス。
  15. 送信信号及び/又は受信信号の周波数変換とフィルタリングを行う信号ミキサ・フィルタを備え、
    前記信号ミキサ・フィルタとして、
    圧電体膜と、
    前記圧電体膜に設けられた複数の電極と、
    前記複数の電極のうち所要の電極と誘電体層を挟んで対向する他の電極とを有し、
    前記誘電体層を挟む電極に入力される複数の信号による静電気的な力により前記圧電体膜が駆動し、前記圧電体膜の圧電性により誘起される電気信号を出力するようにして成る電気機械振動子が用いられる
    ことを特徴とする通信装置。
  16. 送信信号及び/又は受信信号の周波数変換とフィルタリングを行う信号ミキサ・フィルタを備え、
    前記信号ミキサ・フィルタとして、
    圧電体膜と、該圧電体膜上に設けられた複数の電極とからなる振動片と、
    前記振動片と空間を隔てて対面する他の電極とを有し、
    前記何れかの電極の組み合わせに交流信号が入力されて前記振動片が静電駆動し、電気信号を出力するようにして成る電気機械振動子が用いられる
    ことを特徴とする通信装置。
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