JP2005292510A - 帯電防止層を有する反射防止フィルム - Google Patents

帯電防止層を有する反射防止フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層からなる積層構造の反射防止フィルムの帯電防止層に屈折率の高い導電性金属酸化物を用いた場合において、反射時の色味を防止した帯電防止層を有する反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】 透明基材フィルム1上に、電離放射線硬化型樹脂を含むハードコート層2、導電性金属酸化物、フッ素樹脂及び/又は空隙を有する微粒子を含む屈折率低減化物質、電離放射線硬化型樹脂、及び、有機溶剤を含む帯電防止層形成用コーティング組成物を用いて形成された帯電防止層3、直接接する下層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層4、をこの順で形成してなる反射防止フィルムである。反射色相が、JIS−Z−8729で規定される色相a* の絶対値7以下、色相b* の絶対値6以下である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、反射時の色味を防止し、しかも、埃が付着することを防止した帯電防止性を有する、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の各種ディスプレイ等の光学物品の表面に用いられる反射防止フィルムに関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のディスプレイ等の光学物品の表示面は、その視認性を高めるために、蛍光灯などの外部光源から照射された光線の反射が少ないことが求められており、反射防止を行うために、透明基材フィルム上に直接又は他の層を介して、下層の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層を形成した反射防止フィルムを光学物品の表面に貼付することが行われている。さらに、光学物品の表面に傷が付くと視認性を悪くするため、反射防止フィルムにハード性能を付与することが行われている。また、プラスチックからなる光学物品は絶縁性であるので静電気等により帯電し、表面に埃が付着すると視野性が悪くなるために、光学物品に帯電防止性を付与することが求められている。
反射防止フィルムにこれらの帯電防止性及びハード性能を付与したものとして、透明基材フィルム上にハードコート層を形成し、その上に金属酸化物を含有させた帯電防止層を形成し、さらにその上に最上層として下層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を形成した帯電防止性反射防止フィルムは、例えば、特開2002−267804号公報(特許文献1)により知られている。特許文献1の反射防止フィルムにおいて、帯電防止層の屈折率は1.60以上1.75以下の範囲であるとしている。
特開2002−267804号公報
帯電防止剤として金属酸化物を含有した帯電防止層の屈折率は、通常、約1.57〜1.75である。透明基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層(屈折率n=1.42以下)からなる積層構造の反射防止フィルムにおいて、低屈折率層を波長550nmにて最低反射率が得られるように調製し、約1.57〜1.75の屈折率の帯電防止層上に、一般的な低屈折率層(n=1.42以下)を積層すると、両者の層の屈折率差が大きいため、反射率カーブがV字となり、可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなり、反射防止フィルムに赤・青味が発生し、屈折率差が大きくなる程、反射時の色味がきつくなるという問題点がある。
図1は、透明基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層からなる積層構造の反射防止フィルムにおける、低屈折率層の屈折率(n1 )を1.37とし、反射防止層の屈折率(n2 )を1.53、1.57、1.61、1.65とした場合における、縦軸に反射率(%)、横軸に光の波長(nm)をとった反射率曲線を示す。図1において実線で示す曲線は、帯電防止層がない場合の反射防止フィルムの反射率曲線を示す。図1によれば、帯電防止層と低屈折率層の屈折率差が大きくなる程、V字曲線のカーブが大となり、短波長域や長波長域の反射率が高くなり、反射防止フィルムにおいて赤・青味の色味がきつくなることが分かる。
そこで本発明は、透明基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層からなる積層構造の反射防止フィルムの帯電防止層に屈折率の高い導電性金属酸化物を用いた場合において、反射時の色味を防止した帯電防止層を有する反射防止フィルムを提供することを目的とする。
前記した課題を解決するための本発明の反射防止フィルムは、透明基材フィルム上に、電離放射線硬化型樹脂を含むハードコート層、導電性金属酸化物、フッ素樹脂及び/又は空隙を有する微粒子を含む屈折率低減化物質、電離放射線硬化型樹脂、及び、有機溶剤を含む帯電防止層形成用コーティング組成物を用いて形成された帯電防止層、直接接する下層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層、をこの順で形成してなる反射防止フィルムであって、反射色相が、JIS−Z−8729で規定される色相a* の絶対値7以下、色相b* の絶対値6以下であることを特徴とする反射防止フィルムである。
色相a* 、色相b* は、JIS−Z−8729(JISハンドブック33「色彩−1996」日本規格協会編集)にて規定されている色座標における指標である。JIS−Z−8729によれば、明度L、色相a* 及び色相b* の3つの値によって、測定対象物の色調が表される。明度Lが大きいほど明度が高いことを示す。また、色相a* は赤味を表し、数値が大きいほど赤味が強いことを示し、−(マイナス)になると赤味が不足していること、言い換えれば緑色味が強いことを示す。さらに、色相b* は黄色味の指標であり、この数値が大きい場合は黄色味が強いことを示し、−(マイナス)になると黄色味が不足して青くなる事を示している。そして、色相a* 及び色相b* のいずれも0の場合は、無色を意味している。
本発明の反射防止フィルムの帯電防止層は、導電性金属酸化物を帯電防止剤として含有し、これに、導電性金属酸化物の屈折率よりも低い屈折率のフッ素樹脂及び/又は空隙を有する微粒子をさらに含有したコーティング組成物により形成されているので、本発明の反射防止フィルムにおける帯電防止層は、従来の導電性金属酸化物を含むコーティング組成物を用いて形成した帯電防止層よりも、屈折率を低く調整することが可能となる。このため、帯電防止層と低屈折率層の屈折率差を調整することができるので、反射防止性を実現でき、しかも、JIS−Z−8729で規定される色相a* の絶対値が7以下、色相b* の絶対値が6以下となる色味の発生を防止できる屈折率に調整した帯電防止層を有する反射防止フィルムを得ることができる。
図2は、本発明の反射防止フィルムの層構成を示す概略断面図である。図2の反射防止フィルムは、透明基材フィルム1上に、ハードコート層2が形成されており、さらにその上に帯電防止層3が形成され、さらにその上に低屈折率層4が形成されている。
帯電防止性層
本発明の反射防止フィルムは、帯電防止層の膜厚が0.05〜0.15μmの時に、埃付着防止のために必要な表面抵抗率が1.0×1013 Ω/□以下を実現できる。1.0×1013 Ω/□〜1.0×1012 Ω/□では帯電するが静電荷が蓄積しないため、フィルムなどに埃付着防止性が得られる。好ましくは、静電荷が帯電するが、すぐ減衰する範囲1.0×1012 Ω/□〜1.0×1010 Ω/□であり、より好ましくは帯電しない範囲1.0×1010 Ω/□以下であり、最も好ましくは1.0×108 Ω/□以下である。
帯電防止層の適性な屈折率
反射防止フィルムによる反射色相が適性となる帯電防止層の適性な屈折率は、その上に積層される低屈折率層の屈折率に依存する。そのために、低屈折率層の屈折率が低くなるほど、適性な反射色相になるように、帯電防止層の屈折率層も低くする必要がある。例えば、低屈折率層の屈折率が1.42である場合は、帯電防止層の屈折率は1.56以下にする必要がある。
導電性金属酸化物
(1)種類
本発明で用いることのできる、導電性金属酸化物は帯電防止剤として用いられ、例えば、酸化錫(SnO2 )、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化アンチモン(Sb2 5 )、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)が挙げられる。
(2)形状;粒径
導電性金属酸化物の形状は特に規定はなく、球状、針状、燐片状いずれであっても構わない。導電性金属酸化物の粒径は0.01μmから0.1μmが好ましい。粒径が0.1μmを超えると、帯電防止層の透明性が損なわれ、0.01μm未満であると導電性金属酸化物の分散が困難となる。
フッ素樹脂
帯電防止層形成用コーティング組成物には、帯電防止層形成用コーティング組成物には、分子中にフッ素を有する重合性化合物又はその重合体であれば、特に限定されないが、電離放射線硬化型のフッ素原子を含有するモノマー及び/又はポリマーが好適に用いられる。フッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂は、低い屈折率を有し、成膜性(皮膜形成能)を有するバインダー成分である。本発明で使用するフッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線で硬化する官能基(単に「電離放射線硬化性基」と呼ぶことがある)を有するか、或いは、電離放射線硬化性基を有することに加えて、熱により硬化する官能基(単に「熱硬化性基」と呼ぶことがある)も有するので、該樹脂を含有する塗工液を被塗工体の表面に塗布し、乾燥し、電離放射線の照射、又は電離放射線の照射と加熱を行うと、塗膜内に架橋結合等の化学結合を形成し、塗膜を効率よく硬化させることができる。
フッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂に含有される「電離放射線硬化性基」は、電離放射線の照射により重合又は架橋等の大分子量化反応を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基であり、例えば、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合のような重合反応、或いは、光二量化を経て進行する付加重合又は縮合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。その中でも、特に、アクリル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合は、紫外線や電子線のような電離放射線の照射により直接、又は開始剤の作用を受けて間接的に光ラジカル重合反応を生じるものであり、光硬化の工程を含む取り扱いが比較的容易なので好ましい。
フッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂に含有されていてもよい「熱硬化性基」は、加熱によって同じ官能基同士又は他の官能基との間で重合又は架橋等の大分子量化反応を進行させて硬化させることができる官能基であり、例えば、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、等を例示することができる。
これらの官能基の中でも水素結合形成基は、無機超微粒子との親和性にも優れており、該無機超微粒子及びその集合体のバインダー中での分散性を向上させるので好ましい。水素結合形成基のうち、特に水酸基が、バインダー成分への導入が容易で、コーティング組成物の保存安定性や熱硬化により無機系の空隙を有する微粒子表面に存在する水酸基との共有結合を形成し、該空隙を有する微粒子が架橋剤として作用し、塗膜強度の更なる向上を図ることができるために好ましい。
塗膜の屈折率を充分に低くするためには、フッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂の屈折率が1.50以下であることが好ましい。
フッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂のうち分子中にフッ素原子を含有及び/又は非含有モノマー及び/又はオリゴマーは塗膜の架橋密度を高める効果が高いほか、分子量が小さいので流動性が高い成分であり、コーティング組成物の塗工適性を向上させる効果もある。
一方、フッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂のうちフッ素原子含有ポリマーは、すでに分子量が大きいので、フッ素原子含有及び/又は非含有モノマー及び/又はオリゴマーと比べて成膜性が高い。このフッ素原子含有ポリマーに上記フッ素原子含有及び/又は非含有モノマー及び/又はオリゴマーを組み合わせると、流動性が高められるので塗工適性を改善することができ、また、架橋密度も高められるので塗膜の硬度や強度を向上させることができる。
エチレン性不飽和結合を有するフッ素原子含有モノマーとしては、例えば、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールなど)、アクリルまたはメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類(例えば下記式1または下記式2で表される化合物)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類、完全または部分フッ素化ビニルエステル、完全または部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
互いに重合可能な重合性官能基を有するフッ素原子含有ポリマーとフッ素原子含有及び/又は非含有モノマーとを組み合わせる場合には、フッ素原子含有ポリマーによりコーティング組成物の成膜性が向上すると共に、フッ素原子含有及び/又は非含有モノマーにより架橋密度と塗工適性が向上し、両成分のバランスによって優れた硬度と強度を塗膜に付与することができるので好ましい。この場合、数平均分子量が20,000〜500,000のフッ素原子含有ポリマーと数平均分子量が20,000以下のフッ素原子含有及び/又は非含有モノマーを組み合わせて用いることにより、塗工適性、成膜性、膜硬度、膜強度などを含めた諸物性のバランスがとり易いので好ましい。
分子中にフッ素を含有するポリマーとしては、上記したようなフッ素原子含有モノマーから任意に選ばれた1又は2以上のフッ素原子含有モノマーの単独重合体又は共重合体、或いは、1又は2以上のフッ素原子含有モノマーと1又は2以上のフッ素非含有モノマーとの共重合体を用いることができる。
具体的には、ポリテトラフルオロエチレン;4−フルオロエチレン−6−フルオロプロピレン共重合体;4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;4−フルオロエチレン−エチレン共重合体;ポリビニルフルオライド;ポリビニルビニリデンフルオライド;アクリルまたはメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類(例えば、次式1又は次式2で表される化合物)の重合体又は共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド、シリコーン等各樹脂のフッ素変性品などを例示することができる。
Figure 2005292510
(式中、R1 は水素原子、炭素数1ないし3のアルキル基またはハロゲン原子を表す。Rfは完全または部分フッ素化されたアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環またはアリール基を表す。R2 およびR3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、ヘテロ環、アリール基または上記Rfで定義される基を表す。R1 、R2 、R3 およびRfはそれぞれフッ素原子以外の置換基を有していても良い。また、R2 、R3 およびRfの任意の2つ以上の基が互いに結合して環構造を形成しても良い。)
Figure 2005292510
(式中、Aは完全または部分フッ素化されたn価の有機基を表す。R4 は水素原子、炭素数1ないし3のアルキル基またはハロゲン原子を表す。R4 はフッ素原子以外の置換基を有していても良い。nは2乃至8の整数を表す。)
その他にも、旭硝子(株)製の商品名サイトップといった市販品を例示することができる。
この中で特に、下記一般式3で示されるポリビニルビニリデンフルオライド誘導体が、屈折率が低く、硬化性官能基の導入が可能で、且つ他のバインダー成分や空隙を有する微粒子との相溶性に優れるために、特に好ましい。
Figure 2005292510
(式中、R5 は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はハロゲン原子を表す。R6 は直接、或いは完全または部分フッ素化されたアルキル鎖、アルケニル鎖、エステル鎖、エーテル鎖を介して、完全または部分フッ素化されたビニル基、(メタ)アクリレート基、エポキシ基、オキセタン基、アリール基、マレイミド基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基を示す。)
具体的には、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等のジアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート誘導体やジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、或いは、これらのラジカル重合性モノマーが重合したオリゴマーを例示することができる。これらのフッ素非含有モノマー及び/又はオリゴマーは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記したフッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂に属するモノマー、オリゴマー、ポリマー、及び、該樹脂に属しないモノマー、オリゴマー、ポリマーを適宜組み合わせて、成膜性、塗工適性、電離放射線硬化の架橋密度、フッ素原子含有量、熱硬化性を有する極性基の含有量等の諸性質を調節することができる。例えば、モノマー、オリゴマーにより架橋密度と加工適性が向上し、ポリマーによりコーティング組成物の成膜性が向上する。
本発明においては、フッ素原子含有電離放射線硬化型樹脂の中から数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算数平均分子量)が20,000以下のモノマーと数平均分子量が20,000以上のポリマーを適宜組み合わせ、塗膜の諸性質を容易に調節することが可能である。
空隙を有する微粒子
「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造をとった結果、或いは微粒子が集合体を形成した結果、気体が屈折率1.0の空気である場合、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の空気の占有率に反比例して屈折率が低下した微粒子及びその集合体のことを言う。例えば、比表面積を大きくすることを目的として製造され、充填用のカラムや表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子や、断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子のうち、本発明に使用できる平均粒子径の範囲のものが好ましく使用できる。
無機の多孔質微粒子としては、例えば、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から本発明で好ましく使用できる粒子径の範囲内のものを、また、無機の中空粒子としては、特開2001−233611号公報で開示されている技術を用いて調製した中空シリカ微粒子が好ましく用いられる。一般的なシリカの屈折率は約1.45であるのに対して、多孔質又は中空シリカは、約1.20〜1.44と低い屈折率を有する。例えば、SiO2 又はSiO2 以外の金属酸化物のシード粒子を分散させた分散溶液中で、シリカ原料と、シリカ以外の無機酸化物原料のアルカリ水溶液を徐々に添加して、シード粒子を核として、シリカとシリカ以外の無機酸化物とからなる微粒子を成長させ、次いで、成長した粒子中の珪素と酸素以外の元素を溶解除去、或いはイオン交換除去することによりシリカ粒子を多孔質化し、次いで、シリカ粒子表面を加水分解性有機化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆する方法により、中空シリカ微粒子を得ることができる。
集合体を形成する無機の微粒子としては、例えば、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体や日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)の中から本発明の好ましく使用できる粒子径の範囲内のものを用いることができる。本発明で使用される平均粒子径5nm〜300nmの微粒子は、一次粒子径5nm〜100nmの微粒子が鎖状に連なって形成されていてもよい。
有機のそれ自身が空隙を有する微粒子は、例えば、特開2002−256004号公報に示されるような、ポリマー層と孔充填層を有する多孔質粒子であって、該孔充填層がフュージティブ物質、置換気体、或いはそれらの組合せであり、一方、該ポリマー層のガラス転移温度が10℃〜50℃である多孔質粒子が挙げられる。
また、集合体を形成する有機の微粒子としては、例えば、市販品として総研化学株式会社製の機能性微粒子凝集体MP−300F(商品名、0.1μmのアクリル凝集粒子として市販されている。)等が好ましく使用できる。
これらのそれ自身が空隙を有する、或いは集合体を形成することで空隙を有する微粒子のうちで、無機成分、特にシリカの空隙を有する微粒子は製造が容易でそれ自身が硬いために、バインダー成分と組合せた時の膜強度も向上するため、好ましく使用することが出来る。
空隙を有する微粒子の一次粒子径は、塗膜に優れた透明性を付与するためには、平均粒子径5nm〜300nmの範囲であることが好ましい。
電離放射線硬化型樹脂
電離放射線硬化型樹脂には、電離放射線の照射を受けた時に直接、又は開始剤の作用を受けて間接的に、重合や二量化等の大分子化を進行させる反応を起こす重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。具体的には、アクリル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性のモノマー、オリゴマーが好ましく、バインダー成分の分子間で架橋結合が生じるように、一分子内に重合性官能基を2個以上、好ましくは3個以上有する多官能のバインダー成分であることが望ましい。しかしながら、その他の電離放射線硬化性のバインダー成分を用いることも可能であり、例えば、エポキシ基含有化合物のような光カチオン重合性のモノマーやオリゴマーを用いてもよい。また、導電性を向上させるには、イオン伝搬性を良好にするような、EO変性など親水性のバインダーであることが好ましい。さらに、分子中に水酸基を残したバインダー成分を用いるのが好ましい。バインダー中の水酸基は、水素結合によりハードコート層や低屈折率層等の隣接層に対する密着性を向上させることが可能となる。
上記の電離放射線硬化型樹脂組成物に好ましく使用されるモノマー類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート誘導体やジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、上記した物のEO変性品、等を例示することができる。
これらに加え、エポキシアクリレート樹脂(共栄社化学製「エポキシエステル」(商品名)や、昭和高分子製「リポキシ」(商品名)等)や各種イソシアナートと水酸基を有するモノマーとがウレタン結合を介して重付加によって得られるウレタンアクリレート樹脂(日本合成化学工業製「紫光」や共栄社化学製「ウレタンアクリレート」)といった数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算数平均分子量)が2万以下のオリゴマー類も好ましく使用できる。
これらのモノマー類やオリゴマー類は塗膜の架橋密度を高める効果が高いほか、数平均分子量が2万以下と小さいので流動性が高い成分であり、コーティング組成物の塗工適性を向上させる効果もある。
さらに、必要に応じて、主鎖や側鎖に(メタ)アクリレート基を有する数平均分子量が2万以上の反応性ポリマーなども好ましく使用することができる。これらの反応性ポリマーは例えば東亞合成製の「マクロモノマー」(商品名)等の市販品として購入することも可能であるし、メタクリル酸メチルとグリシジルメタクリレートとの共重合体をあらかじめ重合しておき、後から共重合体のグリシジル基とメタクリル酸やアクリル酸のカルボキシル基を縮合させることで、(メタ)アクリレート基を有する反応性ポリマーを得ることができる。これら分子量が大きい成分を含むことで、複雑な形状に対する成膜性の向上や硬化時の体積収縮による反射防止積層体のカールや反りの低減が可能となる。
該バインダー樹脂が光硬化型樹脂である場合には、ラジカル重合を開始させるために光開始剤を用いることが望ましい。光開始剤には特に限定されないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物類などが挙げられる。より具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケトン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン等を例示できる。これらのうちでも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、及び、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、少量でも電離放射線の照射による重合反応を開始し促進するので、本発明において好ましく用いられる。これらは、いずれか一方を単独で、又は、両方を組み合わせて用いることができる。これらは市販品にも存在し、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンはイルガキュアー 184(Irgacure 184)の商品名でチバスペシャリティーケミカルズ(株)から入手できる。
溶剤
帯電防止層形成用コーティング組成物には、固形成分を溶解分散するための有機溶剤が必須であり、その種類は特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、或いはこれらの混合物を用いることができる。
それらの中でも、ケトン系の有機溶剤を用いるのが好ましく、ケトン系溶剤を用いて調製すると、基材表面に容易に均一に塗布することができ、かつ、塗工後において溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いので、均一な厚さの大面積塗膜を容易に得ることができるからである。
また、溶剤の量は、各成分を均一に溶解、分散することができ、帯電防止層形成用コーティング組成物の調製後の保存時に凝集を来たさず、かつ、塗工時に希薄すぎない濃度となるように適宜調節する。この条件が満たされる範囲内で溶剤の使用量を少なくして高濃度のコーティング組成物を調製し、容量をとらない状態で保存し、使用時に必要分を取り出して塗工作業に適した濃度に希釈するのが好ましい。固形分と溶剤の合計量を100質量部とした時に、全固形分0.5〜50質量部に対して、溶剤を50〜95.5質量部、さらに好ましくは、全固形分10〜30質量部に対して、溶剤を70〜90質量部の割合で用いることにより、特に分散安定性に優れ、長期保存に適した帯電防止層形成用組成物が得られる。
その他の成分
帯電防止層形成用のコーティング組成物の上記以外の成分には、必要に応じて電離放射線硬化性のバインダー成分の重合開始剤を含有するが、さらに、その他の成分を配合してもよい。例えば、必要に応じて分散剤、紫外線遮蔽剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング剤)などを用いることができる。
帯電防止層形成用コーティング組成物の調製法
帯電防止層形成用コーティング組成物は、既にインキ化されたものを用いても良いし、帯電防止剤、電離放射線硬化型バインダー、光開始剤、溶剤などを組み合わせて調製しても良い。上記各成分を用いて帯電防止層形成用コーティング組成物を調製するには、塗工液の一般的な調製法に従って分散処理すればよい。例えば、導電性微粒子がコロイドの形状であれば、そのまま混合することが可能であるし、粉状であえば、得られた混合物にビーズ等の媒体を投入し、ペイントシェーカーやビーズミル等で適切に分散処理することにより、コーティングのための帯電防止層形成用組成物が得られる。
帯電防止層形成用コーティング組成物は、例えば、スピンコート法、デイップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等の各種方法で基材上に塗布することができる。塗工物は、通常は、必要に応じて乾燥し、その後、紫外線や電子線等の電離放射線を放射して硬化させることにより帯電防止層が形成される。
透明基材フィルム
透明基材フィルムの材質は、特に限定されないが、反射防止フィルムに用いられる一般的な材料を用いることができ、例えば、トリアセテートセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、トリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、(メタ)アクリロニトリル等の各種樹脂で形成したフィルム等を例示することができる。基材の厚さは、通常25μm〜1000μm程度である。
ハードコート層
ハードコート層は、積層体自体に、耐擦傷性、強度等の性能を付与する目的で形成されてなるものであり、本発明における必須構成層である。本発明にあって「ハードコート層」とは、JIS5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験でH以上の硬度を示すものをいう。
ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂組成物を使用して形成することが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂、多価アルコール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート誘導体、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能化合物としてのモノマー類、またはエポキシアクリレート又はウレタンアクリレート等のオリゴマーを使用することができる。
本発明の反射防止フィルムにおけるハードコート層は硬化後の膜厚が0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmの範囲にあることが望ましい。膜厚が0.1μm以下の場合は充分なハードコート性能が得られず、100μm以上の場合は外部からの衝撃に対して割れやすくなるため好ましくない。
低屈折率層
本発明の反射防止フィルムの最上層に積層される低屈折率層は、一般的に用いられている低屈折率層を形成する公知の方法を用いてよい。例えば、シリカやフッ化マグネシウム等の低屈折率無機微粒子とバインダー樹脂を含む塗工液、それらの中空微粒子とバインダー樹脂を含む塗工液、或いはフツ素系樹脂等を含有する塗工液を用いて塗膜を形成するか、或いは低屈折率無機物微粒子を蒸着により薄膜を形成することにより低屈折率層を得ることができる。
反射防止フィルムの物性
本発明による反射防止フィルムは、帯電防止層の膜厚が0.05〜0.15μmの時に、最表面の表面抵抗率が、1.0×1013Ω/□以下となる。好ましくは1.0×108 Ω/□以下となる。また、反射色相が、JIS−Z−8729で規定される色相a* の絶対値7以下、色相b* の絶対値6以下であることを特徴とする反射防止フィルムである。
画像表示装置
本発明の反射防止フィルムは、特に、液晶表示装置(LCD)や陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置の表示面を被覆する多層型反射防止膜の少なくとも一層、特に低屈折率層を形成するのに好適に用いられる。
図3は、本発明の反射防止フィルムを光透過層として含んだ多層型反射防止膜により表示面を被覆した液晶表示装置の一例の断面を模式的に示したものである。液晶表示装置101は、表示面側のガラス基板21の一面にRGBの画素部22(22R、22G、22B)とブラックマトリックス層23を形成してなるカラーフィルター24を準備し、当該カラーフィルターの画素部22上に透明電極層25を設け、バックライト側のガラス基板26の一面に透明電極層27を設け、バックライト側のガラス基板26とカラーフィルター24とを、透明電極層25、27同士が向き合うようにして所定のギャップを空けて対向させ、周囲をシール材28で接着し、ギャップに液晶Lを封入し、背面側のガラス基板26の外面に配向膜29を形成し、表示面側のガラス基板21の外面に偏光フィルム10を貼り付け、後方にバックライトユニット11を配置したものである。
下記の実施例1、2、及び比較例1において、帯電防止層の評価に関して、得られた塗膜の表面抵抗率(Ω/□)の測定については高抵抗率計(ハイレスタ・UP、三菱化学 (株)製)を用い、印加電圧100Vにて積層体最表面の測定を行った。反射率、反射色相の測定は、5℃正反射測定装置を備えた分光光度計(島津製作所 (株)製、UV−3100PC:商品名) を用いて測定した。なお、反射率は、波長550nm付近で極小値となったときの値(最低反射率)を示した。
〔実施例1〕屈折率低減化物質としてフッ素樹脂を用いた場合
本実施例1の帯電防止層形成用コーティング組成物に用いるフッ素樹脂として、1,1,2−トリフルオロアリルオキシモノマー (下記の式4参照)の重合体であって、かつ水酸基を有する重合体に反応性基の付与として、a−Fアクリロイル基と反応させた化合物 (下記の式5参照)を用いて次のようにして、反射防止フィルムを得た。下記の式5の化合物は分子量150,000であり、水酸基の割合は15:85であった。
Figure 2005292510
Figure 2005292510
帯電防止層形成用コーティング組成物の調製
下記組成の成分を混合して屈折率1.53の帯電防止層形成用コーティング組成物を調製した。
インジウム錫酸化物分散液(平均粒径0.3μm、固形成分30%、溶剤:メチルイソブチルケトン) 33.3質量部
上記フッ素樹脂 6質量部
EO変性DPHA(DPEA−12:商品名、日本化薬製) 4質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 0. 5質量部
メチルイソブチルケトン 90. 3質量部
ハードコート層形成用コーティング組成物の調製
下記の組成の成分を配合してハードコート層形成用コーティング組成物を調製した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 30.0質量部
イルガキュア907(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 1.5質量部
メチルイソブチルケトン 73.5質量部
低屈折率層形成用コーティング組成物の調製
下記の組成の成分を配合して屈折率1.37の低屈折率層形成用コーティング組成物を調製した。
空隙を有するシリカゾル(20%メチルイソブチルケトン溶液) 12.85質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 1.43質量部
イルガキュア907(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.1質量部
TSF4460(商品名、GE東芝シリコーン(株)製:アルキルポリエーテル変性シリコーンオイル) 0.12質量部
メチルイソブチルケトン 85.5質量部
反射防止フィルム(基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層)の作製 厚み80μmのトリアセテートセルロース(TAC)フィルム上に、上記ハードコート形成用コーティング組成物をバーコーティングし、乾燥により溶剤を除去した後、紫外線照射装置を用いて照射線量20mJ/ cm2 で紫外線照射を行い、塗膜を硬化させて、膜厚約5μmのハードコート層を作製した。
得られた基材フィルム/ハードコート層からなる積層体上に上記の帯電防止層形成用コーティング組成物をバーコーティングし、乾燥させることにより溶剤を除去した後、紫外線照射装置 (フュージョンUVシステムジャパン (株)製、光源Hバルブ)を用いて、照射線量50mJ/ cm2 で紫外線照射を行い、塗膜を硬化させて、膜厚約90nmの帯電防止層を作製した。
得られた基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層からなる積層体上に、上記の低屈折率層形成用コーティング組成物をバーコーティングし、乾燥させることにより溶剤を除去した後、紫外線照射装置 (フュージョンUVシステムジャパン (株)、光源Hバルブ)を用いて、照射線量200mJ/ cm2 で紫外線照射を行い、塗膜を硬化させて、膜厚約100nmの低屈折率層を作製することにより、本実施例1の反射防止フィルムを得た。本実施例1の反射防止フィルムについて、最低反射率、反射色相、表面抵抗値を上記方法に基づいて測定した結果を下記の表1に示す。
〔実施例2〕 屈折率低減化物質として多孔質シリカを用いた場合
帯電防止層形成用コーティング組成物の調製
下記組成の成分を混合して、屈折率1.51の帯電防止層形成用コーティング組成物を調製した。
インジウム錫酸化物分散液(平均粒径0.3μm、固形成分30%、溶剤:メチルイソブチルケトン) 33.3質量部
空隙を有するシリカゾル(20%メチルイソブチルケトン溶液) 25質量部
EO変性DPHA(DPEA−12:商品名、日本化薬製) 3.75質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製)0.19質量部
メチルイソブチルケトン 64.01質量部
反射防止フィルム (基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層)の作製 厚み80μmのトリアセテートセルロース(TAC)フィルム上に、前記実施例1と同組成のハードコート形成用コーティング組成物を同条件にて塗工した。
得られた基材フィルム/ハードコート層からなる積層体上に、上記の帯電防止層形成用コーティング組成物を前記実施例1と同条件にて塗工、乾燥、硬化し、膜厚約90nmの帯電防止層を作製した。
得られた基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層からなる積層体上に、前記実施例1と同組成の低屈折率組成物を、同条件にて塗工、乾燥、硬化し、膜厚約100nmの低屈折率層を作製して、本実施例2の反射防止フィルムを得た。本実施例2の反射防止フィルムについて、最低反射率、反射色相、表面抵抗値を上記方法に基づいて測定した結果を下記の表1に示す。
〔比較例1〕 屈折率低減化物質を用いない場合
帯電防止層形成用コーティング組成物の調製
下記組成の成分を混合して、屈折率1.60の帯電防止層形成用コーティング組成物を調製した。
インジウム錫酸化物分散液(平均粒径0.3μm、固形成分30%、溶剤:メチルイソブチルケトン) 33.3質量部
PETA(PET−30:商品名、日本化薬製) 10質量部
イルガキュア184(商品名、チバスペシャリティケミカルズ社製) 0.5質量部
メチルイソブチルケトン 90.3質量部
反射防止フィルム (基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層)の作製 厚み80μmのトリアセテートセルロース(TAC)フィルム上に、前記実施例1と同組成のハードコート組成物を同条件にて作製した。
得られた基材フィルム/ハードコート層からなる積層体上に、上記の帯電防止層形成用コーティング組成物を前記実施例1と同条件にて塗工、乾燥、硬化し、膜厚約85nmの帯電防止層を作製した。
得られた基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層フィルム上に、前記実施例1と同組成の低屈折率組成物を、同条件にて塗工、乾燥、硬化し、膜厚約100nmの低屈折率層を作製して比較例1の反射防止フィルムを得た。比較例1の反射防止フィルムについて、最低反射率、反射色相、表面抵抗値を上記方法に基づいて測定した結果を下記の表1に示す。
Figure 2005292510
表1によれば、実施例1、2共に、反射色相について、色相a* が絶対値7以下、色相b* が絶対値6以下であり、反射時の色味が防止されていることが分かる。しかも、最低反射率及び表面抵抗値が良好な範囲であるため、帯電防止性の反射防止フィルムとして良好である。
本発明において帯電防止層形成用コーティング組成物を用いて帯電防止層を形成した反射防止フィルムは、埃が付着することを防止でき、しかも反射時の色味を防止できるので、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のディスプレイ等の光学物品の表面に貼付される反射防止フィルムとして有用である。
透明基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/低屈折率層からなる積層構造の反射防止フィルムにおける、低屈折率層の屈折率(n1 )を1.37とし、反射防止層の屈折率(n2 )を1.53、1.57、1.61、1.65とした場合における、縦軸に反射率(%)、横軸に光の波長(nm)をとった反射率曲線を示すグラフである。 本発明の反射防止フィルムの層構成を示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムを光透過層として含んだ反射防止膜により表示面を被覆した液晶表示装置の一例の断面を模式的に示したものである。
符号の説明
1 透明基材フィルム
2 帯電防止層
3 ハードコート層
4 低屈折率層
10 偏光フィルム
11 バックライトユニット
21 ガラス基板
22 画素部
23 ブラックマトリックス層
24 カラーフィルター
25 透明電極層
26 ガラス基板
27 透明電極層
28 シール材
29 配向膜
101 液晶表示装置

Claims (6)

  1. 透明基材フィルム上に、
    電離放射線硬化型樹脂を含むハードコート層、
    導電性金属酸化物、フッ素樹脂及び/又は空隙を有する微粒子を含む屈折率低減化物質、電離放射線硬化型樹脂、及び、有機溶剤を含む帯電防止層形成用コーティング組成物を用いて形成された帯電防止層、
    直接接する下層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層、
    をこの順で形成してなる反射防止フィルムであって、反射色相が、JIS−Z−8729で規定される色相a* の絶対値7以下、色相b* の絶対値6以下であることを特徴とする色味を抑制した反射防止フィルム。
  2. 前記積層体の表面抵抗値が、1.0×1013Ω/□以下である、請求項1に記載の反射フィルム。
  3. (1)導電性金属酸化物、
    (2)フッ素樹脂、及び/又は、空隙を有する微粒子を含む屈折率低減化物質、
    (3)電離放射線硬化型樹脂、及び、
    (4)有機溶剤、
    を含むことを特徴とする帯電防止層形成用コーティング組成物。
  4. 前記導電性金属酸化物が、粒径0.01〜0.1μmを有する金属または金属酸化物である、請求項2に記載の帯電防止層形成用コーティング組成物。
  5. 前記導電性金属酸化物が、SnO2 、Sb2 5 、ATO、ITO、AZOおよびそれらの混合物からなる群より選ばれるものである、請求項2に記載の帯電防止層形成用コーティング組成物。
  6. ディスプレイの表面に、請求項1又は2に記載の反射防止フィルムを有する、画像表示装置。
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