JP2003145689A - 積層フィルム、画像表示保護フィルムおよびそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

積層フィルム、画像表示保護フィルムおよびそれを用いた画像表示装置

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JP2003145689A
JP2003145689A JP2002215136A JP2002215136A JP2003145689A JP 2003145689 A JP2003145689 A JP 2003145689A JP 2002215136 A JP2002215136 A JP 2002215136A JP 2002215136 A JP2002215136 A JP 2002215136A JP 2003145689 A JP2003145689 A JP 2003145689A
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meth
film
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真人 河野
Kiyoshige Maeda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低屈折率と高屈折率の薄膜を交互に積層した反
射防止フィルムにおいて、組成、構造を高度に制御した
高屈折率層を形成することで、帯電防止性、高透明性等
に優れていて、特に反射防止フィルムとして好適に用い
られる積層フィルムを提供する。 【解決手段】基材フィルム(a)の少なくとも片面に、
多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するハードコ
ート層(b)、錫含有酸化インジウム粒子を含有する導
電層(c)、含フッ素系共重合体を含有する樹脂層
(d)を積層してなる積層フィルムにおいて、導電層
(c)が、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有す
るバインダー成分(A)、平均一次粒子径0.5μm以
下の錫含有酸化インジウム粒子(B)、光重合開始剤、
を含有し、かつバインダー成分(A)と酸化インジウム
粒子(B)の重量混合割合〔(A) /(B) 〕が10/9
0〜30/70であることを特徴とする積層フィルムで
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレー表示
面またはその偏光板などの表面に配される反射防止フィ
ルム用として、特に高透明性、帯電防止性にも優れた積
層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、テレビ、パソコンモニター等のデ
ィスプレーの表示装置では、太陽光や蛍光灯等の外光が
表面で反射されて外側の景色が映り込むため、表示画像
の視認性が悪くなるという問題があった。この問題を解
決するために、低屈折率と高屈折率の薄膜を交互に積層
して光の反射を防止する方法が行なわれている。さら
に、該構成において、高屈折率層として透明金属薄膜を
成膜することで帯電防止性を付与する方法が知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低屈折
率と高屈折率の薄膜を交互に積層して光の反射を防止す
る方法において、従来の透明金属薄膜の成膜方法として
は、基材上に錫含有酸化インジウム(ITO)等の金属
酸化物を真空蒸着や、スパッタリング、イオンプレーテ
ィングなどの気相法により成膜させる方法、ゾル−ゲル
法、熱分解法により成膜させる方法(例えば、特公平0
6−085001号公報、特公平07−046570号
公報)等が知られている。
【0004】真空蒸着法、スパッタリング法及びイオン
プレーティング法は、従来より最も広く用いられている
膜形成方法であり、これらの方法を用いて成膜を行った
場合、低表面抵抗かつ高透明性の高屈折率薄膜を得るこ
とが出来る。しかしながら、上記方法で成膜を行う場
合、成膜に最適な条件範囲が狭く、製膜装置の設備費が
高価であるという欠点がある。また、ゾル−ゲル法及び
熱分解法により成膜する方法は、400℃以上の高温で
焼成する必要があるため、基材の材質に制約があるなど
問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために次のような手段を採用する。
【0006】アクリル系樹脂等の透明性に優れた特定の
バインダー溶液に、特定粒径かつ特定量のITO等の導
電性粒子を分散させ、高度に凝集構造を制御した塗料を
基材に塗布し、約200℃以下の温度で乾燥、光硬化で
高屈折率薄膜を成膜させる塗工法により、低表面抵抗か
つ高透明性の反射防止積層フィルムを形成する。
【0007】すなわち本発明の積層フィルムは、基材フ
ィルム(a)の少なくとも片面に、多官能(メタ)アク
リレート化合物を含有するハードコート層(b)、錫含
有酸化インジウム粒子を含有する導電層(c)、含フッ
素系共重合体を含有する樹脂層(d)を積層してなる積
層フィルムであり、かつ該導電層(c)が、多官能(メ
タ)アクリレート化合物を含有するバインダー成分
(A)、平均一次粒子径0.5μm以下の錫含有酸化イ
ンジウム粒子(B)、光重合開始剤、を含有し、かつバ
インダー成分(A)と酸化インジウム粒子(B)の重量
混合割合〔(A) /(B) 〕が10/90〜30/70で
あることを特徴とする積層フィルムであり、また、本発
明の画像表示保護フィルムは、上記積層フィルムからな
ることを特徴とするものであり、本発明の画像表示装置
は、上記画像保護フィルムを、粘着層または接着剤層を
介して、画像表面および/またはその前面板の表面に貼
着してなることを特徴とするものであり、これによって
上記目的が達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の積層フィルムは、基材フ
ィルム(a)の少なくとも片面に、多官能(メタ)アク
リレート化合物を含有するハードコート層(b)、錫含
有酸化インジウム粒子を含有する導電層(c)、含フッ
素系共重合体を含有する樹脂層(d)を積層してなるも
のである。
【0009】本発明における基材フィルム(a)は、表
示素材として用いるためには、光線透過率が高く、ヘイ
ズ値が低いことが好ましい。例えば、400〜800n
mでの光線透過率は好ましくは40%以上、より好まし
くは60%以上であり、また、ヘイズ値は好ましくは5
%以下、より好ましくは3%以下である。これら条件を
満たすことにより、表示部材として用いたときに、鮮明
性に優れるので好ましい。また、このような効果を発揮
する点で、光線透過率の上限値は99.5%程度まで、
またヘイズ値の下限値は0.1%程度までが実用的な範
囲である。
【0010】基材フィルム(a)を構成する樹脂素材
は、特に限定されるものではなく、公知のプラスチック
基材フィルム(a)に用いられる樹脂素材の中から適宜
選択して用いることができる。このような基材フィルム
(a)用の樹脂素材として、例えば、ポリエステル系、
ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ジアセテート系、
トリアセテート系、ポリスチレン系、ポリカーボネート
系、ポリメチルペンテン系、ポリスルフォン系、ポリエ
ーテルエチルケトン系、ポリイミド系、フッ素系、ナイ
ロン系およびアクリレート系などの樹脂が挙げられる。
【0011】これらの樹脂の中でも、ポリエチレンテレ
フタレート等のポリエステル系樹脂、トリアセチルセル
ロース等のアセテート系樹脂、およびポリメチルメタク
リレート等のアクリレート系樹脂が、透明性に優れかつ
光学的異方性がないので、光学的および強度的な観点か
ら好ましく、また均一性にも優れており好ましく用いら
れる。特に、光学特性、機械特性の点から、ポリエステ
ル系樹脂からなる基材フィルム(a)が特に好ましい。
【0012】このポリエステル系樹脂としては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−
α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,
4′−ジカルボキシレート等が挙げられる。また、これ
らポリエステルには、さらに他のジカルボン酸成分やジ
オール成分が20モル%以下共重合されていてもよい。
中でも品質、経済性等を総合的に判断すると、ポリエチ
レンテレフタレートが特に好ましい。
【0013】これら構成樹脂成分は1種のみ用いても、
2種以上併用してもいずれでもよい。
【0014】また、本発明で用いられる基材フィルム
(a)の厚みは特に限定されるものではないが、機械的
強度と熱伝導性の点から、通常5〜800μm、好まし
くは10〜250μmである。また、2枚以上のフィル
ムを公知の方法で貼り合わせたものでもよい。
【0015】また、この基材フィルム(a)は、ハード
コート層(b)を設ける前に、各種表面処理(例えば、
コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、エッチン
グ処理、あるいは粗面化処理など)を施したものでもよ
い。または、接着促進のための表面コーティング(例え
ばポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエステルアク
リレート系、ポリウレタンアクリレート系、ポリエポキ
シアクリレート系、チタネート系化合物など)を行った
後に、ハードコート層(b)を設けてもよい。特に、親
水基含有ポリエステル樹脂にアクリル系化合物をグラフ
ト化させた共重合体と架橋結合剤とからなる組成物を下
塗りしたものは、接着性が向上し、耐熱性、耐水性など
の耐久性に優れるので、基材フィルム(a)として好ま
しい。
【0016】本発明におけるハードコート層(b)は、
基材フィルム(a)の上に形成され、(メタ)アクリレ
ート化合物を含むことが必須である。(メタ)アクリレ
ート化合物は、活性光線照射によりラジカル重合し、形
成される膜の耐溶剤性や硬度を向上させる。具体的に
は、メチル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)
アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、などの単官能アクリレート化合物が挙げられ
る。さらに、(メタ)アクリロイル基が分子内に2個以
上の多官能(メタ)アクリレート化合物は、耐溶剤性等
が向上するので本発明においては特に好ましい。多官能
(メタ)アクリレートの具体例には、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペ
ンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単
量体は、1種または2種以上を混合して使用してもよ
い。
【0017】ハードコート層(b)の厚さは、用途に応
じて適宜選択されるが、通常1μm〜50μm、好まし
くは2μm〜30μmである。ハードコート層(b)の
厚さが、この範囲内にあれば、適度な表面硬度が得ら
れ、傷が付きにくく、また、硬化膜が脆くなりにくく、
表面硬度化フィルムを折り曲げたときにハードコート層
(b)にクラックが入りにくいので好ましい。
【0018】本発明における導電層(c)は、ハードコ
ート層(b)の上に形成され、錫含有酸化インジウム
(ITO)粒子(B)とバインダー成分(A)を含むこ
とが必須である。
【0019】本発明では、該ITO粒子は、市販品を利
用してもよく、或いは公知の方法で製造することもでき
る。例えば、製造方法としては、錫とインジウムの各塩
化物が溶解した酸性溶液をアルカリで中和して錫/イン
ジウムの水酸化物を共沈させ、この共沈物を焼成する方
法が挙げられる。なお、ITO粒子は、(In+Sn)に対
するSnの含有量が1〜15モル%、好ましい3〜10%
の範囲のものが導電性が高いので好ましい。
【0020】導電性を構成するITO粒子については、
平均1次粒子径(BET法により測定される球相当径)
が0.5μm以下の粒子であることが必要である。該平
均粒子径が、この範囲を超えると、生成される被膜(導
電層(c))の透明性を低下させる。好ましくは、0.
001〜0.3μm、より好ましくは0.005〜0.
2μmの粒子径のものが用いられる。該平均粒子径が、
この範囲内にあれば、該無機粒子が凝集しにくいので生
成被膜(導電層(c))のヘイズ値は増加が抑えられ、
いずれの場合も、所望の透明性とすることが容易となり
好ましい。
【0021】導電層(c)を構成するバインダー成分
(A)は、(メタ)アクリレート化合物が用いられる。
(メタ)アクリレート化合物は、活性光線照射によりラ
ジカル重合し、形成される膜の耐溶剤性や硬度を向上さ
せるため好ましく、さらに、(メタ)アクリロイル基が
分子内に2個以上の多官能(メタ)アクリレート化合物
は、耐溶剤性等が向上するので本発明においては特に好
ましい。例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)ア
クリレートや、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、
エチレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシ
アヌル酸エステルトリ(メタ)アクリレート等の3官能
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリ
レート等が挙げられる。
【0022】導電層(c)を構成するバインダー成分
(A)は、ITOの分散性を向上させるため、カルボキ
シル基や、リン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有
する(メタ)アクリレート化合物が使用できる。具体的
には、酸性官能基含有モノマーとしては、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、2−メタクリロイルオキシ
エチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタ
ル酸などの不飽和カルボン酸、モノ(2−(メタ)アク
リロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェ
ニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェ
ート等のリン酸(メタ)アクリル酸エステル、2−スル
ホエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その
他、アミド結合、ウレタン結合、エーテル結合などの極
性を持った結合を有する(メタ)アクリレート化合物が
使用できる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレートオ
リゴマー等の、ウレタン結合を有している樹脂であれ
ば、極性も高く導電性無機粒子の分散性がよくなるので
特に好ましい。
【0023】本発明でハードコート層(b)および導電
層(c)を形成する際に、塗布したバインダー成分の硬
化を進めるために開始剤を使用してもよい。該開始剤と
しては、塗布したバインダー成分を、ラジカル反応、ア
ニオン反応、カチオン反応等による重合および/または
架橋反応を開始あるいは促進せしめるものであり、従来
から公知の各種光重合開始剤が使用可能である。具体的
には、ソジウムメチルジチオカーバメイトサルファイ
ド、ジフェニルモノサルファイド、ジベンゾチアゾイル
モノサルファイド及びジサルファイド等のサルファイド
類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−
クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン等のチオキサントン誘導体;ヒドラゾン、アゾビスイ
ソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゼンジアゾニウ
ム塩等のジアゾ化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノ
ン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、
ベンジルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノ
ン、2−アミノアントラキノン、2−クロロアントラキ
ノン等の芳香族カルボニル化合物;p−ジメチルアミノ
安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、
D−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、p−ジエチルアミ
ノ安息香酸イソプロピル等のジアルキルアミノ安息香酸
エステル;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイ
ドロパーオキサイド等の過酸化物;9−フェニルアクリ
ジン、9−p−メトキシフェニルアクリジン、9−アセ
チルアミノアクリジン、ベンズアクリジン等のアクリジ
ン誘導体;9,10−ジメチルベンズフェナジン、9−
メチルベンズフェナジン、10−メトキシベンズフェナ
ジン等のフェナジン誘導体;6,4’,4”−トリメト
キシ−2、3−ジフェニルキノキサリン等のキノキサリ
ン誘導体;2,4,5−トリフェニルイミダゾイル二量
体、2−ニトロフルオレン、2,4,6−トリフェニル
ピリリウム四弗化ホウ素塩、2,4,6−トリス(トリ
クロロメチル)−1,3,5−トリアジン、3,3’−
カルボニルビスクマリン、チオミヒラーケトン、2,
4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン
オキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−
(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、2
−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリ
ノフェニル)−ブタノン等が挙げられる。
【0024】また、酸素阻害による感度の低下を防止す
るために、光重合開始剤にアミン化合物を共存させても
よい。このようなアミン化合物としては、例えば、脂肪
族アミン化合物や、芳香族アミン化合物等の不揮発性の
ものであれば、特に限定されない。例えば、トリエタノ
ールアミン、メチルジエタノールアミン等が適当であ
る。
【0025】本発明において、導電層(c)の構成成分
の配合割合は、バインダー成分(A)とITO粒子
(B)との重量割合〔(A) /(B) 〕が10/90〜3
0/70であることが必要であり、好ましくは15/8
5〜25/75である。ITO粒子(B)が前記範囲よ
り少ないと、得られる膜は透明性十分であっても導電性
が悪くなり、逆に多過ぎると得られる膜の各種物理的、
化学的強度が悪くなるので好ましくない。光重合開始剤
の量は、バインダー成分(A)100重量部に対して、
通常、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは
1.0〜15.0重量部の範囲で添加される。かかる好
ましい範囲内であれば、光重合が適度に進行し、硬度及
び耐擦傷性を満足させるために長時間の光照射をする必
要がなく、未硬化になりにくく、また、多量添加による
塗膜の導電性、耐摩耗性、耐候性等の機能低下が起こり
にくくなる。
【0026】本発明の導電層(c)の構成成分は、以上
説明したバインダー成分(A)、ITO粒子(B)、光
重合開始剤を必須構成成分とし、更に必要に応じて、例
えば、重合禁止剤や、硬化触媒、酸化防止剤、分散剤、
レベリング剤、シランカップリング剤等の各種添加剤を
含有してもよい。
【0027】本発明では、この導電層(c)の構成成分
に、導電性の付与を目的としてポリピロールおよびポリ
アニリン等の導電性ポリマー、金属アルコレートおよび
キレート化合物などの有機金属化合物を、さらに含有さ
せることができる。また、この導電層(c)の構成成分
に、表面硬度の向上を目的として、アルキルシリケート
類およびその加水分解物、コロイダルシリカ、乾式シリ
カ、湿式シリカ、酸化チタン等の無機粒子、コロイド状
に分散したシリカ微粒子等を、さらに含有させることも
できる。
【0028】本発明の導電層(c)によって所望水準の
帯電防止性が付与されるためには、該導電層(c)の表
面抵抗値が1011Ω/□以下であることが好ましく、
更に好ましくは107Ω/□以上1010Ω/□以下で
ある。
【0029】本発明における導電層(c)は、鮮明性、
透明性の点から、全光線透過率が好ましくは40%以
上、さらに好ましくは50%以上の層である。
【0030】本発明の導電層(c)の厚さは0.01〜
1.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.
03〜0.2μm、更に好ましくは0.06〜0.12
μmである。
【0031】本発明における樹脂層(d)は、導電層
(c)の上に形成され、含フッ素系共重合体を含むこと
が必須であり、主として、主鎖中にビニルエーテル構造
を含む含フッ素系共重合体から構成される。含フッ素系
共重合体は、フッ素含量が30重量%以上であって、ポ
リスチレン換算による数平均分子量が5000以上であ
るフッ素含有オレフィン鎖を有することが好ましい。
【0032】この含フッ素系共重合体は、含フッ素化合
物及びビニルエーテル含有化合物を含む硬化性組成物を
重合反応させることによって得られるものであり、好ま
しくは、フッ素含有オレフィン化合物、このフッ素含有
オレフィン化合物と共重合可能なビニルエーテル含有化
合物、アゾ基含有ポリシロキサン化合物、及び、必要に
応じて配合される反応性乳化剤からなる硬化性組成物を
重合反応させることにより得ることができる。
【0033】含フッ素系共重合体を構成する、上記フッ
素含有オレフィン化合物は、少なくとも1個の重合性の
不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子を有す
る化合物であり、その具体例としては、例えば、(1)
テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、3,
3,3−トリフロロプロピレン等のフロロオレフィン
類;(2)アルキルパーフロロビニルエーテル類もしく
はアルコキシアルキルパーフロロビニルエーテル類;
(3)パーフロロ(メチルビニルエーテル)、パーフロ
ロ(エチルビニルエーテル)、パーフロロ(プロピルビ
ニルエーテル)、パーフロロ(ブチルビニルエーテ
ル)、パーフロロ(イソブチルビニルエーテル)等のパ
ーフロロ(アルキルビニルエーテル)類;(4)パーフ
ロロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフ
ロロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類;その他
を挙げることができる。これらの化合物は、単独で、ま
たは2種以上を併用することができる。以上のうち、特
にヘキサフロロプロピレン、パーフロロアルキルパーフ
ロロビニルエーテルまたはパーフロロアルコキシアルキ
ルパーフロロビニルエーテルが好ましく、さらにはこれ
らを組み合わせて使用することが好ましい。
【0034】含フッ素系共重合体を構成する、上記フッ
素含有オレフィン化合物と共重合可能なビニルエーテル
含有化合物としては、具体例としては、メチルビニルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエ
ーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニ
ルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブ
チルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n
−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテ
ル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシル
ビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のア
ルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエ
ーテル類等を挙げることができる。
【0035】また、含フッ素系共重合体を構成する、上
記の単量体成分以外に、必要に応じて、フッ素含有オレ
フィン化合物と共重合可能な他の単量体化合物を共重合
させることもできる。例えば、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸
ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等
のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキ
シエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキ
シ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル
酸エステル類;(4)(メタ)アクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシ
ル基含有単量体化合物等を挙げることができる。
【0036】含フッ素系共重合体を構成する、上記ビニ
ルエーテル含有化合物や他の単量体化合物は、架橋性化
合物と反応するような官能基を有していることが好まし
い。官能基としては、水酸基またはエポキシ基が好まし
く、その両方を有するものであってもよい。
【0037】上記水酸基を含有するビニルエーテル含有
化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニル
エーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2
−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシ
ブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエ
ーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−
ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニ
ルエーテル類を挙げることができる。また、エポキシ基
を含有するビニルエーテル含有化合物としては、ビニル
グリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0038】上記水酸基を含有する他の単量体化合物と
しては、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテ
ル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロー
ルモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル
類;アリルアルコール;ヒドロキシエチル(メタ)アク
リル酸エステル;その他を挙げることができる。また、
エポキシ基を含有する他の単量体化合物としては、例え
ば、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グ
リシジル、クロトン酸グリシジルエステル、マレイン酸
メチルグリシジルエステル等を挙げることができる。
【0039】なお、含フッ素系共重合体を構成する、こ
れらの単量体化合物は、単独で、または2種以上を併用
することができる。
【0040】これら単量体化合物のうち、含フッ素化合
物を含む硬化性組成物を重合反応させて硬化させる際の
収率を高くする点からは、アルキルビニルエーテル類、
シクロアルキルビニルエーテル類、またはカルボン酸ビ
ニルエステル類が好適に使用される。一方、共重合され
るフッ素の含量を高くする点からは、例えばメチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニ
ルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル等の低分子量単量体を用いることが好ましい。さら
に、硬化性組成物を硬化した後の薄膜の硬度を高くし、
屈折率を低いものとするためには、イソプロピルビニル
エーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ピバリン
酸ビニル等の分岐状単量体を使用することが有効であ
る。
【0041】含フッ素系共重合体を構成する、前記アゾ
基含有ポリシロキサン化合物は、ポリシロキサンセグメ
ントとアゾ基とを有する化合物である。このアゾ基含有
ポリシロキサン化合物としては、アゾ基含有ポリジメチ
ルシロキサンを用いることができる。
【0042】含フッ素系共重合体を形成するために用い
る硬化性組成物には、反応性乳化剤を一成分として含有
させることが好ましい。この反応性乳化剤成分を用いる
ことにより、塗布液中に含まれる含フッ素系共重合体
を、良好な塗布性およびレベリング性でもって塗布する
ことができる。この反応性乳化剤としては、特にノニオ
ン性反応性乳化剤を用いることが好ましい。
【0043】樹脂層(d)を構成する含フッ素系共重合
体において、フッ素含有オレフィン化合物成分に由来す
る構造単位は20〜70モル%が好ましく、より好まし
くは25〜65モル%、さらに好ましくは30〜60モ
ル%である。フッ素含有オレフィン化合物成分に由来す
る構造単位の割合が、かかる好ましい範囲内であれば、
得られる含フッ素系共重合体中のフッ素含量が過少とな
ることはないので、得られる樹脂層(d)は適度な屈折
率が得られ、また、塗布液の均一性が悪化することはな
く均質な塗布皮膜の形成が容易となり、透明性および基
材への密着性が十分得られるので好ましい。
【0044】含フッ素系共重合体において、ビニルエー
テル構造含有化合物成分に由来する構造単位は10〜7
0モル%が好ましく、より好ましくは15〜65モル
%、さらに好ましくは30〜60モル%である。ビニル
エーテル構造含有化合物成分に由来する構造単位の割合
がかかる好ましい範囲内であれば、塗布液の均一性が良
好となり均質な塗布皮膜の形成が容易となり、また、透
明性および低反射率の光学特性が良好となるので好まし
い。
【0045】また、このビニルエーテル構造含有化合物
成分として、水酸基またはエポキシ基などの反応性官能
基を含有する単量体を使用することにより、得られる硬
化性樹脂組成物を塗布剤として用いた場合の硬化膜の強
度を向上させることができるので好ましい。水酸基また
はエポキシ基を含有する単量体の全単量体における割合
は20モル%以下であることが好ましく、より好ましく
は1〜20モル%、さらに好ましくは3〜15モル%で
ある。この割合が20モル%以下であれば、得られる樹
脂層(d)は光学的特性が良好となり、また、硬化膜が
脆弱なものとなりにくく好ましい。
【0046】含フッ素系共重合体において、ポリシロキ
サン化合物成分に由来する構造単位の割合は、一般式 −Si(R1)(R2 )O− (式中、R1 およびR2 は、同一でも異なってもよく、
水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基またはア
リール基を示す。) で表されるポリシロキサンセグメントが好ましくは0.
1〜20モル%、より好ましくは0.1〜15モル%、
さらに好ましくは0.1〜10モル%となる割合であ
る。上記一般式で表されるポリシロキサンセグメントの
割合がかかる好ましい範囲内にあれば、得られる樹脂層
(d)は透明性に優れ、また、塗布時にハジキ等が発生
しにくくなる。
【0047】含フッ素系共重合体において、反応性乳化
剤成分由来の構成単位の割合は、通常10モル%以下で
あることが好ましく、より好ましくは0.1〜5モル%
である。この割合が10モル%以下であれば、得られる
樹脂層(d)が粘着性を帯びず取り扱いが容易となり、
また、塗布剤の耐湿性が良好となり好ましい。
【0048】本発明における樹脂層(d)には、さら
に、架橋性化合物を配合することが好ましく、所望の硬
化性を付与し、硬化特性を改善するために有効である。
【0049】該架橋性化合物としては、例えば各種アミ
ノ化合物や、ペンタエリスリトール、ポリフェノール、
グリコール等の各種水酸基含有化合物、その他を挙げる
ことができる。該架橋性化合物として用いられるアミノ
化合物は、フッ素化合物中に存在する水酸基またはエポ
キシ基と反応可能なアミノ基、例えばヒドロキシアルキ
ルアミノ基およびアルコキシアルキルアミノ基のいずれ
か一方または両方を合計で2個以上含有する化合物であ
り、具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合
物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化
合物等を挙げることができる。メラミン系化合物は、一
般にトリアジン環に窒素原子が結合した骨格を有する化
合物として知られているものであり、具体的には、メラ
ミン、アルキル化メラミン、メチロールメラミン、アル
コキシ化メチルメラミン等を挙げることができるが、1
分子中にメチロール基およびアルコキシ化メチル基のい
ずれか一方または両方を合計で2個以上有するものが好
ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとを
塩基性条件下で反応させて得られるメチロール化メラミ
ン、アルコキシ化メチルメラミン、またはそれらの誘導
体が好ましく、特に硬化性樹脂組成物に良好な保存安定
性が得られる点、および良好な反応性が得られる点でア
ルコキシ化メチルメラミンが好ましい。架橋性化合物と
して用いられるメチロール化メラミンおよびアルコシ化
メチルメラミンには特に制約はなく、例えば文献「プラ
スチック材料講座[8]ユリア・メラミン樹脂」(日刊
工業新聞社)に記載されている方法で得られる各種の樹
脂状物の使用も可能である。また、尿素化合物として
は、尿素の他、ポリメチロール化尿素その誘導体である
アルコキシ化メチル尿素、ウロン環を有するメチロール
化ウロンおよびアルコキシ化メチルウロン等を挙げるこ
とができる。そして、尿素誘導体等の化合物についても
上記の文献に記載されている各種樹脂状物の使用が可能
である。
【0050】この架橋性化合物の使用量は、含フッ素系
共重合体100重量部に対し、70重量部以下であるこ
とが好ましく、より好ましくは3〜50重量部、さらに
好ましくは5〜30重量部である。架橋性化合物の使用
量がかかる好ましい範囲内であれば、塗布・硬化により
形成される薄膜の耐久性が十分に得られ、含フッ素系共
重合体との反応においてゲル化を回避することができ、
しかも硬化膜が低屈折率のものとなり、硬化物が脆いも
のとならないので好ましい。
【0051】本発明における樹脂層(d)は、含フッ素
系共重合体と架橋性化合物とを含む硬化性組成物を、導
電層(c)上に塗布した後、乾燥・硬化せしめることに
より形成することが好ましい。この塗布後の乾燥工程で
含フッ素系共重合体と架橋性化合物との硬化反応を生じ
させるための加熱温度としては、30〜150℃の範囲
が好ましく、より好ましくは50〜120℃の範囲であ
る。加熱温度が係る好ましい範囲内にあれば、反応が適
度に進行し、目的とする反応の他に架橋性化合物中のメ
チロール基やアルコキシ化メチル基同士の反応による橋
掛け反応が生じることはなく、ゲルが生成しないので好
ましい。
【0052】本発明における樹脂層(d)を形成するた
めの硬化性組成物には、樹脂層(d)の表面硬度の向上
を目的として、さらに、アルキルシリケート類およびそ
の加水分解物、コロイダルシリカ、乾式シリカ、湿式シ
リカ、酸化チタン等の無機粒子、コロイド状に分散した
シリカ微粒子等を含有させることが好ましく、更に好ま
しくはコロイド状に分散したシリカ微粒子を含有させ
る。
【0053】該シリカ微粒子の粒径は平均1次粒子径
(球相当径:BET法)が0.001〜0.2μmのも
のが一般に好ましく使用できるが、より好ましくは0.
005〜0.1μmの粒子径のものが、さらに好ましく
は、0.006〜0.07μmの粒子径のものが用いら
れる。該平均粒子径が、この範囲内にあれば、生成被膜
(樹脂層(d))の透明性は良好となり、表面硬度が向
上しやすくなり好ましい。また、該シリカ微粒子の形状
は、球状、数珠状が好ましく用いられるが、特にこれに
限られない。
【0054】また、該シリカ微粒子の配合割合範囲は含
フッ素系共重合体などの有機樹脂成分の合計量1重量部
に対して好ましくは0.01〜20倍重量部、より好ま
しくは0.05〜10倍重量部、さらに好ましくは、
0.1〜2倍重量部である。
【0055】本発明の積層フィルムの樹脂層(d)表面
が低反射性となるためには、樹脂層(d)の屈折率と厚
さの積が、対象光線(通常可視光線)の波長の1/4と
なるようにすることが好ましい。したがって、樹脂層
(d)においては、該樹脂層(d)の厚さdと該樹脂層
(d)の屈折率nの積の4倍が380〜780nmの範
囲にあることが好ましい。すなわち、該樹脂層(d)に
おける屈折率nと厚さdの関係は下記式(1)を満足す
る範囲内の厚さであることが好ましい。
【0056】n・d=λ/4 ・・・式(1) (ここで、λは可視光線の波長範囲で、通常380nm
≦λ≦780nmの範囲となる。) さらに、本発明の積層フィルムの樹脂層(d)表面が低
反射性となるためには、樹脂層(d)の屈折率は導電層
(c)の屈折率よりも小さいこと、即ち、樹脂層(d)
と導電層(c)との屈折率比樹脂層(d)/導電層
(c)が1.0未満であることが好ましく、さらに好ま
しくは0.6〜0.95である。また、該樹脂層(d)
の屈折率は1.47以下であることが好ましく、更に好
ましくは1.35〜1.45である。樹脂層(d)の屈
折率がこの範囲内にあれば、該樹脂層(d)を形成する
際の塗布液の塗工性が十分となり、また、低反射性が十
分となり好ましい。この屈折率は、アッベ屈折率計を使
用し、日本工業規格JIS K7105に基づき測定す
る。
【0057】本発明の積層フィルムに低反射性が付与さ
れるためには、樹脂層(d)の好ましい厚さ範囲は0.
01〜1.0μmであり、更に好ましくは0.07〜
0.12μmである。
【0058】本発明の積層フイルムには、基材フィルム
(a)の多官能(メタ)アクリレート化合物を含有する
ハードコート層(b)、錫含有酸化インジウム粒子を含
有する導電層(c)、含フッ素系共重合体を含有する樹
脂層(d)を有する面の反対面に粘着層または接着層を
設けることができる。粘着層または接着層としては、2
つの物体をその粘着作用により接着させるものであれば
特に限定しない。粘着層または接着層を形成する粘着剤
または接着剤としては、ゴム系、ビニル重合系、縮合重
合系、熱硬化性樹脂系あるいはシリコーン系などを用い
ることができる。この中で、ゴム系の粘着剤または接着
剤としては、ブタジェン−スチレン共重合体系(SB
R)、ブタジェン−アクリロニトリル共重合体系(NB
R)、クロロプレン重合体系、イソブチレン−イソプレ
ン共重合体系(ブチルゴム)などを挙げることができ
る。ビニル重合系の粘着剤または接着剤としては、アク
リル樹脂系、スチレン樹脂系、酢酸ビニル−エチレン共
重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系などを挙
げることができる。縮合重合系の粘着剤または接着剤と
しては、ポリエステル樹脂系を挙げることができる。熱
硬化樹脂系の粘着剤または接着剤としては、エポキシ樹
脂系、ウレタン樹脂系あるいはホルマリン樹脂系などを
挙げることができる。これらの樹脂は単独で使用しても
よく、また2種以上混合して使用しても良い。
【0059】さらに、粘着剤または接着剤は溶剤型と無
溶剤型のいずれでも使用することができる。粘着層また
は接着剤の形成は、上記のような粘着剤または接着剤を
用いて、塗布等通常行われている技術を用いて実施され
る。さらに、粘着剤または接着剤に着色剤を含有させて
も良い。これは、粘着剤または接着剤に例えば、顔料や
染料などの着色剤を混合して用いることによって容易に
達成される。着色剤を含有している場合、積層フイルム
として550nmでの光線透過率が40〜80%の範囲
内であることが望ましい。
【0060】次に、本発明の積層フィルムの製造方法に
ついて説明する。
【0061】本発明の積層フィルムは、基材フィルム
(a)の少なくとも片面に、多官能(メタ)アクリレー
ト化合物を含有するハードコート層(b)、錫含有酸化
インジウム粒子を含有する導電層(c)、含フッ素系共
重合体を含有する樹脂層(d)を積層することにより製
造することができる。
【0062】本発明において導電層(c)および樹脂層
(d)は、各構成成分を、好ましくは溶媒で分散させた
塗布液を調整し、その塗布液を基材フィルム(a)上に
塗布した後、乾燥・硬化させることによって形成するこ
とができる。
【0063】本発明の導電層(c)形成において使用さ
れる溶剤としては、本発明の組成物の塗布又は印刷作業
性を改善し、またITO粒子の分散性を改善するために
配合するものであり、バインダー成分(A)を溶解する
ものであれば、従来から公知の各種有機溶媒を使用する
ことができる。特に、本発明においては、組成物の粘度
の安定性、乾燥性の観点から沸点が60〜180℃の有
機溶媒が好ましく、更に、そのうち酸素原子を有する有
機溶媒がITO粒子との親和性がよいので好適である。
かかる有機溶媒としては、具体的には、例えば、メタノ
ールや、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロ
ヘキサノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、イソプロピル
アセトン、メチルエチルケトン、ジアセチルアセトン、
アセチルアセトン等が好適に挙げられる。これらは単一
で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよ
い。
【0064】また、有機溶媒の量は、塗布手段や、印刷
手段に応じ作業性のよい状態の粘度に組成物がなるよう
に任意の量配合すればよいが、通常組成物の固形分濃度
が60重量%以下、好ましくは、50重量%以下になる
程度が適当である。本発明の光硬化性導電膜形成用組成
物の調製としては、任意の方法が採用可能であるが、通
常バインダー成分(A)を有機溶媒で溶解させた溶液中
に、ITO粒子(B)を添加し、ペイントシェーカー
や、ボールミル、サンドミル、三本ロール、アトライタ
ー、ホモミキサー等の分散機により分散させ、しかる
後、光重合開始剤(C)を添加し、均一に溶解させる方
法が適当である。
【0065】また、樹脂層(d)を形成する場合には、
ビニルエーテル構造を含む含含フッ素系共重合体および
シリカ微粒子から主としてなる硬化性組成物を、メチル
イソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセチルアセ
トン、tert―ブタノール、2−プロパノール、1−
メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種の溶剤に
分散させた液を、塗布した後、乾燥・硬化させ樹脂層
(d)を形成する方法をとることが好ましい。
【0066】この場合の溶剤の量も必要とする組成物の
粘度、目的とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などに
より適宜変更できる。通常は、塗布液中のビニルエーテ
ル構造を含む含フッ素系共重合体およびシリカ微粒子等
の構成成分の合計量1重量部に対して、好ましくは0.
05〜100倍重量部、より好ましくは0.1〜50倍
重量部、さらに好ましくは、1〜40倍重量部の溶剤を
用いる。
【0067】本発明の積層フィルムの層構成は、基材フ
ィルム(a)の少なくとも片面に、多官能(メタ)アク
リレート化合物を含有するハードコート層(b)、錫含
有酸化インジウム粒子を含有する導電層(c)、含フッ
素系共重合体を含有する樹脂層(d)を設けることが好
ましい。その他の層構成の具体例としては、基材フィル
ム(a)の表裏両方に導電層(c)を設けてもよいが、
この場合、両導電層(c)のうちの少なくとも一方の導
電層(c)の上に樹脂層(d)を設けることが好まし
い。また、基材フィルム(a)の片面側に複数の導電層
(c)を設ける場合には、基材フィルム(a)の同じ側
に、最表面が樹脂層(d)となるようにして複数の樹脂
層(d)を設けることが好ましい。または、基材フィル
ム(a)に対してハードコート層(b)とは反対側の面
に、下塗り層、透明導電層(c)を設けてもよい。また
は、樹脂層(d)の表面に、防湿層、保護層を設けても
よい。該防湿層、該保護層の厚さは、反射防止機能に影
響しないようにするため、20nm以下であることが好
ましい。
【0068】本発明の積層フィルムは、液晶表示装置
(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、
エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰
極線管表示装置(CRT)、ポータブルデジタルアシス
タント(PDA)のような画像表示装置の表面に適用す
ることができる。その他、カーブミラー、バックミラ
ー、ゴーグル、窓ガラス、ポスター、広告塔、その他種
々の商業ディスプレイ等の表面に適用することもでき
る。これら表面へ適用して反射防止機能を発揮させるた
めには、本発明の積層フィルムの樹脂層(d)側が最外
表面となるように積層し、画像表示保護フイルムとして
好ましく用いることができる。特に画像表示部材として
は、液晶表示板(LCD)、テレビ・コンピュターなど
のブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイ(PD
P)、ガラスなどが上げられ、この画像表示面および/
またはその前面板に装着することにより画像表示装置と
することができる。
【0069】前記のように作成した積層フイルムと画像
表示面および/またはその前面板の表面とを密着させる
手段は特に限定されないが、例えば、表示部材もしくは
積層フイルムに粘着層を塗布乾燥させ、積層フイルムの
樹脂層(d)が最表層になるように圧着ローラーなどで
貼り合わせ、粘着材層を介して表示部材と積層フイルム
とを接着させることにより、画像表示保護フイルムを装
着した画像表示装置を得ることができる。
【0070】次に、本発明における、評価方法、測定方
法について説明する。
【0071】[スチールウール硬度評価]#0000のス
チールウールを用いて、250gf/cm2の荷重をか
け10往復したときのキズの本数を観察した。傷のレベ
ルに応じて硬度を次の5段階に分類した(レベル5:傷
無し、 レベル4:1〜5本傷、 レベル3:5〜10
本傷、 レベル2:10本以上傷、 レベル1:全面
傷)。
【0072】[密着度(密着性)評価]無機微粒子からな
る導電層と防汚層との付着力を評価する方法として、防
汚層表面を碁盤目状にカットし、その上にシリコーン系
またはエポキシ系またはアクリル系の粘着テープを張り
付け、180度方向に引き剥がし、100の升目のう
ち、剥離しなかった升目の数をカウントした。
【0073】[表面抵抗値(帯電防止性)評価]三菱油化
製のHIRESTAを用いて表面抵抗値の測定を行なっ
た。
【0074】[平均反射率測定]日立計測の分光光度計U
−3410を用いて測定を行なった。サンプルフィルム
は、320〜400の耐水サンドペーパーで裏面に均一
に傷を付け、黒色塗料を塗布して、裏面からの反射を完
全になくして測定した。入射光角度は、6〜10°、検
査波長領域は380nm≦λ≦780nmで行なった。
【0075】[屈折率測定]JIS K 7105に基
づき、アッベ屈折率計を用いて測定を行った。
【0076】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて本発明を
更に具体的に説明する。なお、文中「部」および「%」
とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
【0077】図1は、積層フィルムの模式断面図であ
り、積層フィルムは、基材フィルム1の上にハードコー
ト層2と導電層3と樹脂層4が積層されている。
【0078】[実施例1]図1に示す構成の積層フィル
ムを下記方法により作製した。
【0079】(ハードコート層2の形成)ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート51部、ポリエステルア
クリレート7部、ヒドロキシプロピルアクリレート3
部、及び、開始剤“イルガキュア184”(チバスペシ
ャリティケミカルズ(株)製)5部を、トルエン27
部、メチルエチルケトン27部、イソプロピルアルコー
ル18部、及び酢酸ブチル18部の混合溶剤に溶解させ
ハードコート塗布液を調整した。このハードコート塗布
液を、厚み188μmのポリエステルフィルム(東レ
(株)製、ルミラー)の面上にリバースコーターを用い
て塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を
照射して塗工層を硬化させ、厚さ約5.0μmのハード
コート層2を設けた。
【0080】(導電層3の作成)錫含有酸化インジウム
粒子(ITO)を含む塗料(固形分35.7%、多官能
ウレタン(メタ)アクリレート/ITO粒子(平均一次
粒径30nm)=15/85)(大日本塗料(株)製、
EI−3(ST))2.5部、ペンタエリスリトールト
リアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタ
ンプレポリマー0.03部を、25部のn−ブチルアル
コール、2.5部のジアセトンアルコールに溶解した。
混合物を攪拌して得た塗布液を、ハードコート層2の面
上にグラビアコーターを用いて塗工し、80℃で乾燥
後、紫外線1.0J/cm2を照射して、塗工層を硬化
させ、厚さ約0.1μm、屈折率n=1.682の導電
層3を形成した。 (樹脂層4の形成)含フッ素系共重合体(ポリジメチル
シロキサンユニットを有するフルオロオレフィン/ビニ
ルエーテル共重合体)を含む塗料(固形分3%)(JS
R(株)製、JN−7215)3部、及び、コロイダル
シリカ分散液(平均一次粒径50nm、固形分15%、
イソプロピルアルコール分散液)0.15部を、0.6
部の1−メトキシ−2−プロパノールに溶解し、攪拌す
ることにより塗布液を調整した。この塗布液を、導電層
3の上にグラビアコーターを用いて塗工し、150℃で
乾燥、硬化させ、厚さ約0.1μm、屈折率n=1.4
2の樹脂層4を形成させて、図1に示す積層構成を有す
る積層フィルムを作成した。
【0081】得られた積層フィルムの樹脂層側の表面に
おける反射率、表面抵抗値、スチールウール硬度を測定
した。結果は表1に示した。
【0082】[実施例2]図1に示す構成の積層フィル
ムについて、基材フィルム1、ハードコート層2までは
実施例1と同様の方法で形成した。ついで、錫含有酸化
インジウム粒子(ITO)を含む塗料(固形分35.7
%、多官能ウレタン(メタ)アクリレート/ITO粒子
(平均一次粒径30nm)=15/85)(大日本塗料
(株)製、EI−3(ST))2.5部を、25部のn
−ブチルアルコール、2.5部のジアセトンアルコール
に溶解した。混合物を攪拌して得た塗布液を、ハードコ
ート層2の面上にグラビアコーターを用いて塗工し、8
0℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射して、塗
工層を硬化させ、厚さ約0.1μm、屈折率n=1.6
8の導電層3を形成した。次いで実施例1と同様の方法
で導電層3の上にの上にグラビアコーターを用いて樹脂
層4形成した。評価結果を表1に示す。
【0083】[実施例3]図1に示す構成の積層フィル
ムについて、基材フィルム1、ハードコート層2までは
実施例1と同様の方法で形成した。ついで、錫含有酸化
インジウム粒子(ITO)を含む塗料(固形分35.7
%、多官能ウレタン(メタ)アクリレート/ITO粒子
(平均一次粒径30nm)=15/85)(大日本塗料
(株)製、EI−3(ST))2.5部、ペンタエリス
リトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネ
ートウレタンプレポリマー0.04部を、25部のn−
ブチルアルコール、2.5部のジアセトンアルコールに
溶解した。混合物を攪拌して得た塗布液を、ハードコー
ト層2の面上にグラビアコーターを用いて塗工し、80
℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射して、塗工
層を硬化させ、厚さ約0.1μm、屈折率n=1.68
の導電層3を形成した。次いで実施例1と同様の方法で
導電層3の上にの上にグラビアコーターを用いて樹脂層
4形成した。評価結果を表1に示す。
【0084】[実施例4]図1に示す構成の積層フィル
ムについて、基材フィルム1、ハードコート層2、導電
層3までは実施例1と同様の方法で形成した。ついで、
含フッ素系共重合体(ポリジメチルシロキサンユニット
を有するフルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合
体)を含む塗料(固形分3%)(JSR(株)製、JN
−7215)3部、及び、コロイダルシリカ分散液(平
均一次粒径13nm、固形分15%、イソプロピルアル
コール分散液)0.08部を、0.6部の1−メトキシ
−2−プロパノールに溶解し、攪拌することにより塗布
液を調整した。この塗布液を、導電層3の上にグラビア
コーターを用いて塗工し、150℃で乾燥、硬化させ、
厚さ約0.1μm、屈折率n=1.42の樹脂層4を形
成させて、図1に示す積層構成を有する積層フィルムを
作成した。評価結果を表1に示す。
【0085】[実施例5]図1に示す構成の積層フィル
ムを下記方法により作製した。
【0086】ペンタエリスリトールトリアクリレートヘ
キサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー5
1部、ポリエステルアクリレート7部、ヒドロキシプロ
ピルアクリレート3部、及び、開始剤“イルガキュア1
84”(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)5部
を、トルエン27部、メチルエチルケトン27部、イソ
プロピルアルコール18部、及び酢酸ブチル18部の混
合溶剤に溶解させハードコート塗布液を調整した。この
ハードコート塗布液を、厚み188μmのポリエステル
フィルム(東レ(株)製、ルミラー)の面上にリバース
コーターを用いて塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.
0J/cm2を照射して塗工層を硬化させ、厚さ約5.
0μmのハードコート層2を設けた。 次いで実施例1
と同様の方法でハードコート層2上に、導電層3、樹脂
層4形成した。評価結果を表1に示す。
【0087】[比較例1]図1に示す構成の積層フィル
ムについて、基材フィルム1,ハードコート層2までは
実施例1と同様の方法で形成した。次いで、アンチモン
酸亜鉛ゾル(平均一次粒径30nm、固形分51%、メ
タノール分散液)15.7部、ペンタエリスリトールト
リアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタ
ンプレポリマー2部、2−メチル1[4−メチルチオフ
ェニル]−2−モルフォリプロパン−1−オン0.5部
を314部の1−メトキシ‐2‐プロパノールに溶解
し、攪拌することにより塗布液を調整した。この塗布液
を、ハードコート層2の面上にグラビアコーターを用い
て塗工し、80℃で乾燥後、紫外線を照射して塗工層を
硬化させて、厚さ約0.1μm、屈折率n=1.67の
導電層3を形成させた。次いで、実施例1と同様の方法
で導電層3の上にグラビアコーターを用いて樹脂層4形
成した。評価結果を表1に示す。
【0088】[比較例2]図1に示す構成の積層フィル
ムについて、基材フィルム1,ハードコート層2までは
実施例1と同様の方法で形成した。次いで、ITOゾル
(平均一次粒径30nm、固形分30%、メチルエチル
ケトン分散液)23部、2−メチル1[4−メチルチオ
フェニル]−2−モルフォリプロパン−1−オン0.5
部を310部の1−メトキシ‐2‐プロパノールに溶解
し、攪拌することにより塗布液を調整した。この塗布液
を、ハードコート層2の面上にグラビアコーターを用い
て塗工し、80℃で乾燥後、紫外線を照射して塗工層を
固化させて、厚さ約0.1μm、屈折率n=2.0の導
電層3を形成させた。次いで、実施例1と同様の方法で
導電層3の上にグラビアコーターを用いて樹脂層4形成
した。評価結果を表1に示す。
【0089】[比較例3]図1に示す構成の積層フィル
ムについて、基材フィルム1、ハードコート層2までは
実施例1と同様の方法で形成した。ついで、錫含有酸化
インジウム粒子(ITO)を含む塗料(固形分35.7
%、多官能ウレタン(メタ)アクリレート/ITO粒子
(平均一次粒径30nm)=15/85)(大日本塗料
(株)製、EI−3(ST))を、ハードコート層2の
面上にグラビアコーターを用いて塗工し、80℃で乾燥
後、紫外線1.0J/cm2を照射して、塗工層を硬化
させ、厚さ約1.0μm、屈折率n=1.68の導電層
3を形成した。次いで実施例1と同様の方法で導電層3
の上にの上にグラビアコーターを用いて樹脂層4形成し
た。評価結果を表1に示す。
【0090】[比較例4]図1に示す構成の積層フィル
ムについて、基材フィルム1、ハードコート層2、導電
層3までは実施例1と同様の方法で形成した。ついで、
含フッ素系共重合体(ポリジメチルシロキサンユニット
を有するフルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合
体)を含む塗料(固形分3%)(JSR(株)製、JN
−7215)3部、及び、コロイダルシリカ分散液(平
均一次粒径50nm、固形分15%、イソプロピルアル
コール分散液)0.08部を攪拌することにより塗布液
を調整した。この塗布液を、導電層3の上にグラビアコ
ーターを用いて塗工し、150℃で乾燥、硬化させ、厚
さ約1.0μm、屈折率n=1.42の樹脂層4を形成
させて、図1に示す積層構成を有する積層フィルムを作
成した。評価結果を表1に示す。
【0091】[比較例5]図1に示す構成の積層フィル
ムを下記方法により作製した。
【0092】ヒドロキシプロピルアクリレート61部、
及び、開始剤“イルガキュア184”(チバスペシャリ
ティケミカルズ(株)製)5部を、トルエン27部、メ
チルエチルケトン27部、イソプロピルアルコール18
部、及び酢酸ブチル18部の混合溶剤に溶解させハード
コート塗布液を調整した。このハードコート塗布液を、
厚み188μmのポリエステルフィルム(東レ(株)
製、ルミラー)の面上にリバースコーターを用いて塗工
し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射し
て塗工層を硬化させ、厚さ約5.0μmのハードコート
層2を設けた。次いで実施例1と同様の方法でハードコ
ート層2上に、導電層3、樹脂層4形成した。評価結果
を表1に示す。
【0093】実施例1〜5は、評価項目すべてにおいて
良好な結果であった。これに対して比較例1は、導電性
粒子がITOでないため、密着度が比較的低く、また導
電層の屈折率が低くなったため、反射防止性が不十分で
あった。比較例2は、導電層にアクリル樹脂を配合して
いないため、スチールウール硬度が全くなく、硬度が不
十分であった。比較例3は、導電層の膜厚が厚いため平
均反射率が高く、反射防止性が不十分であった。比較例
4は、樹脂層の膜厚が厚いため平均反射率が高く、反射
防止性が不十分であった。比較例5はハードコート層5
に多官能(メタ)アクリレート化合物を用いていないた
め、スチールウール硬度が全くなく、硬度が不十分であ
った。
【0094】[実施例6]図2に示す構成の画像表示装
置を以下の方法により作成した。
【0095】実施例1で得られた積層フイルムをガラス
に貼り合わせるために、粘着剤としてAGR−100
(日本化薬(株)製)を用いて、17インチテレビブラ
ウン管(CRT)、液晶表示板(LCD)およびプラズ
マディスプレイ(PDP)の表示画面前面に厚み20μ
mになるように塗布し、実施例1で得られた積層フイル
ムを貼り合わせた後、1.0J/cm2の紫外線照射量
で硬化させて装着し画像表示装置を得た。スチールウー
ル硬度はキズが付かず、密着性も剥がれがなく、反射率
も0.9%で表示部材として評価項目すべてにおいて良
好であった。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】本発明の複合フィルムは、表面の反射率
が低く、耐擦過性に優れ、反射防止フィルムとして好適
な特性を備えている。また、この積層フィルムは、帯電
防止性が高く、積層フィルムの可撓性にも優れているの
で大画面の平面テレビ表面に適用される反射防止フィル
ムとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層フィルムの積層構造を模式的に
示すフィルム断面図である。
【図2】 本発明の積層フィルムを用いた画像表示装置
の積層構造を模式的に示すフィルム等断面図である。
【符号の説明】
1・・・ 基材フィルム 2・・・ ハードコート層 3・・・ 導電層 4・・・ 樹脂層 5・・・ 粘着層 6・・・ ディスプレイ前面板
フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA02 AA15 BB14 BB24 CC03 CC09 CC24 CC26 EE03 4F100 AA20D AA33 AA33C AA33E AJ04A AK01D AK01E AK17D AK17E AK21D AK25A AK25B AK25C AK25E AK41A AL01D AL01E AL05C AL05D AL05E AS00C AS00E AT00A BA04 BA05 BA06 BA07 BA10D BA10E DE01C DE01E EH46 EH462 EJ08 EJ082 EJ54 EJ542 EJ86 EJ862 GB41 JG01C JG01E JG04C JG04E JK12B JK12E JL13E JN06 JN10 YY00C YY00D YY00E

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルム(a)の少なくとも片面
    に、(メタ)アクリレート化合物を含有するハードコー
    ト層(b)、錫含有酸化インジウム粒子を含有する導電
    層(c)、含フッ素系共重合体を含有する樹脂層(d)
    を積層してなる積層フィルムにおいて、導電層(c)
    が、(メタ)アクリレート化合物を含有するバインダー
    成分(A)、平均一次粒子径0.5μm以下の錫含有酸
    化インジウム粒子(B)、光重合開始剤、を含有し、か
    つバインダー成分(A)と酸化インジウム粒子(B)の
    重量混合割合〔(A) /(B) 〕が10/90〜30/7
    0であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 【請求項2】 樹脂層(d)の膜厚が0.01μmから
    1.0μmであり、導電層(c)の膜厚が0.01μm
    から1.0μmであり、かつ樹脂層(d)と導電層
    (c)との屈折率比樹脂層(d)/導電層(c)が1.
    0未満であることを特徴とする請求項1に記載の積層フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 導電層(c)が1×1011Ω/□以下
    の表面抵抗値を有していることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の積層フィルム。
  4. 【請求項4】 導電層(c)が、ウレタン結合を少なく
    とも1つ有する(メタ)アクリレート化合物を含有して
    いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    積層フィルム。
  5. 【請求項5】 樹脂層(d)が、主鎖中にビニルエーテ
    ル構造を含む含フッ素系共重合体、及び、粒径0.00
    1μm〜0.2μmのシリカ微粒子を含有する組成物か
    ら構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の積層フィルム。
  6. 【請求項6】 基材フィルム(a)がポリエステル、ま
    たはアセテート、またはアクリレート系樹脂からなるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層フ
    ィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の積層フ
    ィルムからなる画像表示保護フイルム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の積層フ
    ィルムを、粘着層または接着剤層を介して、画像表示面
    および/またはその前面板の表面に貼着してなる画像表
    示装置。
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