JP2005266343A - 光学部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造、搬送および組立工程における塵埃等の汚染による悪影響が回避され、また、積層等の複合化に際して用いる接着剤の微細構造への浸入が防止されて、反射率、レタデーション等の光学特性の経時的劣化が抑制された光学部材を提供すること。
【解決手段】少なくとも基板と多孔質物質とを有し、前記基板は、表面に微細構造を有し、かつ隣接する微細構造の間隔が50〜1000nmであり、前記多孔質物質は、空孔率が体積基準で10〜98%であり、かつ屈折率nが1.0008〜1.4であり、前記微細構造が直接又は他の層を介して前記多孔質物質により被覆又は充填されていることを特徴とする光学部材。
【選択図】 なし

Description

この発明は、光学部材に関し、さらに詳しくは、反射率、レタデーション等の光学特性の経時的劣化が抑制された光学部材に関する。
周期的な微細構造を有する光学素子として、光の回折現象を利用した回折格子が広く知られている。この回折格子においては、微細構造の周期が、使用する光の波長よりも十分に短い場合には、回折光は0次のみとなり、均一な媒質中を伝播する場合と等価にみなすことができる。このときの媒質中を伝播する光に感応する屈折率は、物質固有の屈折率とは異なる有効屈折率となる。前記微細構造に異方性を付与すること、またはチャープ構造を形成することによって、複屈折構造または無反射構造とすることができることは、すでに知られている(例えば、非特許文献1参照)。
M.Born and E.Wolf:Principles of Optics、S.J.Wilson and M.C.Hutley:Octa.Acta.29(1982)993
半導体分野において発展した超微細加工技術の応用により、近年、光の回折現象を利用した光学素子、反射防止板、波長板等の光学部材が提案され、また、それらの評価に関する報告が数多く見られるようになってきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、非特許文献2および非特許文献3参照)。
特開平5−107412号公報 特開平9−167758号公報 特開2003−207636号公報 特開2003−248118号公報 Jpn.J.Appl.Phys.Vol.39(2000)p.735−737 Jpn.J.Appl.Phys.Vol.40(2001)p.747−749
しかしながら、このような光学素子等においては、使用する波長以下の長さスケールを有した構造が外部環境に晒された状態となっていることから、製造、搬送および組立工程における塵埃等の汚染による悪影響を受け、また、数種の光学素子を積層等により複合化する際に用いる接着剤が微細構造へ浸入し、これに起因する光学特性の経時的劣化が著しいという問題があった。
この発明は、このような従来の問題を解消し、製造、搬送および組立工程における塵埃等の汚染による悪影響が回避され、また、積層等の複合化に際して用いる接着剤の微細構造への浸入が防止されて、反射率、レタデーション等の光学特性の経時的劣化が抑制された光学部材を提供することをその課題とする。
この発明者は、前記課題を解決するために、表面に微細構造を有する基板に、特定の多孔質物質を被覆又は充填することによって、前記課題を解決することができるということを見出し、この知見に基づいてこの発明を完成するに到った。
すなわち、この発明の前記課題を解決するための手段は、
少なくとも基板と多孔質物質とを有し、
前記基板は、表面に微細構造を有し、かつ隣接する微細構造の間隔が50〜1000nmであり、
前記多孔質物質は、空孔率が体積基準で10〜98%であり、かつ屈折率nが1.0008〜1.4であり、
前記微細構造が直接又は他の層を介して前記多孔質物質により被覆又は充填されていることを特徴とする光学部材
である。
この発明の前記課題を解決するための手段における好ましい態様としては、下記(1)〜(6)の光学部材を挙げることができる。
(1)基板の屈折率nが1.4〜1.9であり、前記基板の微細構造が前記基板の主面に対して法線方向に沿って形成され、かつ前記基板の面外に向かうにしたがって小さくなる光学部材。
(2)前記基板の微細構造が、凹凸形状を有している光学部材。
(3)前記多孔質物質の屈折率nと前記基板の屈折率nとの差が、0.1〜0.9の位相差板である光学部材。
(4)前記位相差板を二枚以上積層してなる光学部材。
(5)前記多孔質物質が、シリカエアロゲルの硬化物である光学部材。
(6)前記多孔質物質が、式SiX(式中、Xは加水分解性基である。)で表される4官能加水分解性オルガノシランの加水分解物から成る4官能シリコーンレジンと、平均粒子径が5nm〜2μmであり、かつ中空に形成された中空シリカ微粒子とを含有するコーティング組成物の硬化物である光学部材。
この発明の光学部材は、光学部材の製造、搬送および組立工程における塵埃等の汚染による悪影響が回避され、また、積層等の複合化に際して用いる接着剤の微細構造への浸入が防止されて、反射率、レタデーション等の光学特性の経時的劣化が抑制された光学部材となる。
この発明の光学部材は、少なくとも基板と多孔質物質とを有し、
前記基板は、表面に微細構造を有し、かつ隣接する微細構造の間隔が50〜1000nmであり、
前記多孔質物質は、空孔率が体積基準で10〜98%であり、かつ屈折率nが1.0008〜1.4であり、
前記微細構造が直接又は他の層を介して前記多孔質物質により被覆又は充填されている。
より具体的には、この発明の光学部材は、表面に入射又は出射する光の波長以下のきわめて微細な寸法間隔で繰り返される特異な構造を有する基板を備える。
微細な寸法間隔で繰り返される屈折率nおよび屈折率n領域においては、これら領域を伝播する光の屈折率は、物質固有の屈折率とは異なる有効屈折率となる。この発明の光学部材について説明するに先立ち、この有効屈折率の原理について、図1に示す二種類の等方性誘電体の平板Aと平板Bとを平行に張り合わせた構造体を参照して、説明する。
平板A1およびB2を光の波長よりも十分に小さい周期で並べた場合、偏光方向が平板A1及びB2に平行な光の屈折率n(TE波)と垂直な屈折率n(TM波)は、各々下記式(1)および(2)で表される。
Figure 2005266343
Figure 2005266343
前記式(1)および(2)中、nは微細な周期構造を形成する一方の物質の屈折率、nは微細な周期構造を形成する他方の物質の屈折率であり、fは微細な周期構造の凸部の幅tと凹部(溝部)の幅tとのデューティ比であり、下記式(3)で表される。このような複屈折構造の長さは、微細な構造の周期(t+t)となる。
f=t/(t+t) (3)
よって、等方性の媒質を使用したとしても、微細な異方性形状を作り込むことによって、あたかも異方性の媒質を使用したかのような性質を付与することが可能となる。より正確には、構造の周期や光の波長によって、有効屈折率は、前記式(1)および(2)からズレを生じるが、Effective Medium Theory(EMT)理論や数値計算を用いることにより、より正確な有効屈折率を算出することが可能である。
前記式(1)および(2)で表されるように、構造性複屈折は、物質固有の屈折率差に強く依存しており、大きな構造性複屈折を得ようとする場合は、nとnとの屈折率差が大きいことが好ましい。
図1に示すような1次元周期構造をとる場合は、必ず異方性を生じるが、図2に示すような正方柱が等間隔に配置された2次元格子構造をとる場合は、等方性を示すことになる。この場合の有効屈折率を見積もる方法としては、数学的な保証はないが、簡便に見積もる方法が存在する。図2(a)のような2次元格子構造の有効屈折率を求める場合、まず、前記式(1)を用いて、図2(b)に示すような1次元構造に置き換え、次に、前記式(2)を用いて、誘電率εaを求める。一方、前記式(2)を用いて、図2(c)に示すような1次元構造に置き換え、次に、前記式(1)を用いて、εbを求める。最後に、εaとεbとの平均をもって有効屈折率とすることができる。
図3に示すような構造の場合は、前記2次元格子構造の場合を応用して考えることができる。まず、基板の法線方向に対して層分割することを考える。各層の断面図は、2次元格子構造となるので、各層の有効屈折率を見積もることができ、有効屈折率は法線方向に沿って徐々に変化するような構造となることが予想される。この場合、屈折率の明確な境界はなくなり、屈折率は勾配をもって変化することになるので、厳密には、光の反射はなくなることになる。
この発明の光学部材において、基板に用いる材料として、透明材料であれば特に制限されず、具体的には、光学ガラスや透明プラスチックが挙げられる。前記光学ガラスとしては、石英ガラス、ホウケイ酸塩系のクラウンガラス、鉛を含有するフント系ガラス、バリウムを含有するバリウム系ガラス、ランタン等の希土類元素を含有するランタン系ガラス、カルコゲンガラス等を挙げることができる。これらの中でも、石英ガラスが好適である。
前記透明プラスチックとしては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系共重合体;ポリスチレン等のスチレン系重合体;ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1等の鎖状オレフィン系重合体;脂環式構造を有する重合体(脂環式構造含有重合体とも称される。);ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリカーボネート重合体;ポリエーテルサルフォン;ポリアミド;等を挙げることができる。これらの中でも、脂環式構造を有する重合体が好適である。
この発明に使用する基板において、基板の屈折率nが1.4〜1.9であり、微細構造が前記基板の主面に対して法線方向に沿って形成され、かつ基板の面外に向かうにしたがって小さくなるものや微細構造が凹凸形状を有しているものが好ましい。なお、前記nは、波長300〜1600nmの光線を用いて測定される値である。微細構造が基板の主面に対して法線方向に沿って形成し、かつ面外に向かうにしたがって小さくすることにより、基板と空間部(通常空気)との界面での反射率を低下することができる。
この発明に使用する基板において、隣接する微細構造の間隔は、50〜1000nmであり、好ましくは50〜600nmである。隣接する微細構造の間隔を前記範囲にすることにより、斜めからの入射光に対しても反射率を低減することができる。隣接する微細構造の間隔は、隣接する各微細構造の中心から中心までの距離とする。もし微細構造が対称構造をしていない場合は、隣接する山の頂点から山の頂点までの距離とする。
この発明に使用する基板において、隣接する表面の微細構造の間隔は、周期構造であることが好ましいが、この発明の光学部材を反射率の低減を目的とする無反射構造にする場合には、基板の微細構造は、完全な周期構造でなくてもよい。この場合、微細構造の高さは、(使用する光の波長)/(微細構造屈折率の最大値)以上であることが必要であり、好ましくは200nm以上、さらに好ましくは600nm以上である。微細構造の高さが前記範囲よりも小さいと微細構造が光に認識されずに無反射構造とならない。
この発明の光学部材を複屈折構造にする場合においては、表面の微細構造の間隔は、前記範囲であれば、周期的であっても、非周期的であってもよい。微細構造の間隔が周期的であると光の波長に対する複屈折差の変化が敏感になる。よって、この発明の光学部材を広帯域位相差板などの光の波長に対してレタデーションを変化させたい位相差板として用いる場合は、微細構造の間隔は周期的であることが好ましい。この場合、微細構造の高さは、目的とする位相差に応じて適宜決定すればよい。
この発明の光学部材における微細な寸法間隔、例えば、微細な周期で繰り返される構造の例を、図4、5及び6に模式的に示す。図4は、基板の表面の一部断面を示す断面図であり、基板表面の微細構造3の縦断面が矩形である基板の表面を示し、図5は、基板の表面の一部断面を示す断面図であり、基板表面の微細構造3の縦断面が錐形である基板の表面を示し、図6は、基板の表面の一部断面を示す断面図であり、基板表面の微細構造3の縦断面が丸みを帯びた頂部を有する錐形である基板の表面を示す。これらの図に示されるように、この発明の光学部材における基板の表面は、微細構造を有しており、微細構造の中心4から隣接する微細構造の中心4までの距離が50〜1000nmとなっている。
基板の光線透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがより好ましい。ヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。また、屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
この発明の光学部材に使用する基板において、基板の表面に有する微細構造3を形成する手段としては、例えば、用いる基板の材料によって多少異なる手段が採用される。以下、光学ガラスを用いる場合とプラスチックを用いる場合とに分けて、説明する。
基板を構成する材料として、光学ガラスを用いる場合は、以下のようにして表面に微細構造を形成する。まず、光学ガラスの表面に、マイクロリソグラフィーに使用される公知のレジスト剤を塗工することによりレジスト膜を形成する。レジスト剤の塗工方法としては、特に制限されず、ロールコータ法、スピンコータ法、刷毛塗り法などの公知の方法が挙げられる。次いで、そのレジスト膜表面に、電子照射等の露光装置を用いて所定のパターンを描画して、レジストパターン膜を形成する。その後、前記レジスト膜表面における描画された部分又は描画されていない部分に、被覆マスクとして、クロムなどの金属を蒸着し、その後、前記レジスト剤を溶解することのできる溶剤で処理することにより、金属で被覆されていないレジスト膜部分を溶解除去して光学ガラス表面を露出させる。そして、光学ガラスを腐食させるエッチングガス、例えば、HF、C、CH、O等を光学ガラスに接触させてエッチングすることにより表面に微細な凹部を形成する。最後に、金属で被覆されているレジスト膜を除去することによって、光学ガラス表面に微細な凹凸形状が形成される。
前記の微細な凹凸形状を表面に有する基板を無反射構造にするのであれば、基板表面に形成されている凸部分にテーパーを形成しておくのが好ましい。前記テーパーは、エッチング時にサイドエッチングすることにより形成する。なお、複屈折構造を形成する場合には、その基板表面に形成されている凸部にテーパーを必ずしも設ける必要はない。
また、光学ガラス板におけるエッチング時の腐食マスクとしては、エッチングガスに冒されない限りレジストパターン層自体を直接用いてもよい。
さらに、レジスト膜へのパターン形成に際しては、前記露光装置を使用する他に、EB描画法、及びレーザー描画法等をも利用することができる。レーザー描画法では、ホログラム、回折格子等の作製等に利用されているレーザー干渉法を利用することができる。回折格子の場合は、一次元的配置であるが、角度を変えて多重露光すれば、二次元配置も可能となる。
ただし、レーザー干渉法では、得られる微細な凹凸形状は、通常、規則的配置となるが、EB描画法では、予め所定の描画パターン情報を記憶装置にデジタルデータとして記憶させておき、前記描画パターン情報により、走査する電子ビームのON、OFFまたは強弱を変調する。このため、規則的配置の他にも、不規則的配置が可能となる。また、EB描画法およびレーザー描画法にはそれぞれ長短があるので、設計諸元、目的および生産性等を考慮して、適切な手法と条件とを適宜、選択すればよい。
前記基板を構成する材料としてプラスチックを用いる場合は、予め、前記基板を構成する材料として光学ガラスを用いる場合に用いる形成手段により形成された形状を型として、電鋳法等を用いて、微細な周期構造が形成された金型を作製する。この金型を用いて射出成形法またはエンボス法等により、プラスチックシート上に微細な周期構造を形成することができる。この場合、量産が可能で、低コストであるという利点を有する。
この発明の光学部材に使用する多孔質物質としては、シリカ多孔質骨格から成る透明多孔質体、メラミン樹脂、メタクリル樹脂等の多孔質体から成る透明多孔質体を挙げることができる。この多孔質物質が多孔質であることによりその屈折率を空間部(通常は空気である。空気の場合は屈折率は1.0)の屈折率に近似させることができ、これによって基板の表面における光学特性に大きな変化をもたらすことがない。これら透明多孔質体の中でも、シリカ多孔質骨格から成る透明多孔質体であるシリカエアロゲルの硬化物は、屈折率および透明性を適宜、調整することができるので、好適な多孔質物質として用いることができる。シリカエアロゲルの硬化物の屈折率は、1.008〜1.400であることが好ましい。
前記シリカエアロゲルの硬化物は、アルコキシシランを加水分解した後、重合することによって得られるシリカ骨格から成る湿潤状態のゲル状化合物を、アルコールまたは二酸化炭素等の溶媒(分散媒)の存在下、これら溶媒の臨界点以上の超臨界状態で乾燥することによって製造することができる(米国特許第4402827号公報、米国特許第4432956号公報、米国特許4610863号公報参照)。また、前記シリカエアロゲルは、ケイ酸ナトリウムを原料として製造することもできる(米国特許第5137297号公報、米国特許第5124364号公報参照)。
前記シリカエアロゲルの硬化物の製造においては、アルコキシシランの加水分解、重合反応によって得られるゲル状化合物を疎水化処理することによって、シリカエアロゲルに疎水性を付与することが好ましい。この疎水化処理は、超臨界状態で乾燥する前または乾燥中に行うことができる(特開平5−279011号公報、特開平7−138375号公報参照)。疎水性が付与されたシリカエアロゲルの硬化物は、湿気または水等の浸入が防止または抑制され、屈折率および光透過率等の性能が劣化し難くなるという利点がある。
前記多孔質物質としては、前記シリカ多孔質骨格から成る透明多孔質体、メラミン樹脂、メタクリル樹脂等の多孔質体から成る透明多孔質体以外の多孔質物質をも用いることができ、前記透明多孔質体以外の多孔質物質として、式SiX(式中、Xは加水分解性基である。)で表される4官能加水分解性オルガノシランの加水分解物から得られる4官能シリコーンレジンと、平均粒子径が5nm〜2μmであり、かつ中空に形成された中空シリカ微粒子とを含有するコーティング組成物の硬化物を挙げることができる。前記加水分解物は、部分加水分解物であっても、完全加水分解物であってもよい。
このコーティング組成物は、前記SiXで表される4官能加水分解性オルガノシランを、必要に応じて加温して、加水分解した後、重合して4官能シリコーンレジンを得、次いで、この4官能シリコーンレジンに、平均粒子径が5nm〜2μmである中空シリカ微粒子を配合し、混練することによって調製することができる。
4官能加水分解性オルガノシランとしては、下記式(4)に示されるような4官能オルガノアルコキシシランを挙げることができる。
Si(OR)4...(4)
前記式(4)中のアルコキシル基「OR」中の「R」は、1価の炭化水素基であれば特に限定されるものではないが、炭素数1〜8の1価の炭化水素基が好適であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オクチル基等のアルキル基等を例示することができる。
前記の4官能加水分解性オルガノシランを加水分解するときの水の配合量は、加水分解置換基(OR)に対する水(H2O)のモル当量、すなわちモル比[H2O]/[OR]が1.0以上、5.0以下となるようにする。その濃度は、4官能シリコーンレジンと水との合計量に対してSiO2換算で固形分5重量%以上、20重量%以下の範囲が好ましい。
また、加水分解を行う際には、必要に応じて酸性触媒を用いてもよい。このような酸性触媒としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸や、塩酸、硝酸、ハロゲン化シラン等の無機酸や、酸性コロイダルシリカ、酸化チタニアゾル等の酸性ゾル状フィラー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
さらに、加水分解は加温して行ってもよく、特に40〜100℃の条件下で2〜100時間かけて加水分解反応を促進させると、未反応アルコキシル基を限りなく少なくすることができるので、好ましい条件となる。
前記4官能シリコーン樹脂と中空シリカ微粒子とその他の成分との重量割合は、特に限定されるものではないが、中空シリカ微粒子/その他の成分(固形分)が95/5〜50/50の範囲であることが好ましく、より好ましくは95/5〜75/25である。中空シリカ微粒子が95より多いと、硬化被膜の機械的強度を得ることが難しくなるおそれがあり、逆に50より少ないと、低屈折率を発現させる効果が小さくなるおそれがある。
このようにして得られるコーティング組成物は、必要に応じて有機溶媒や水で希釈してもよく、またコーティング組成物を調製するにあたって、予め個々の成分を必要に応じて有機溶媒や水で希釈しておいてもよい。
希釈する際の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコーモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体およびジアセトンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれる1種または2種以上を使用することができる。さらに、これらの親水性有機溶媒と共に、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等の1種または2種以上を使用することができる。
このようにして調製されたコーティング組成物は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは50〜150℃で5〜30分、加熱処理することにより硬化する。
この発明においては、前記多孔質物質は、空孔率10〜98%で、屈折率nが1.0008〜1.4である。反射率の低減を目的とする無反射構造であるときは、微細構造を被覆又は充填している多孔質物質の屈折率nが低ければ低いほど反射率は低くなる。位相差の発現を目的とする複屈折構造の場合は、基板の屈折率nと多孔質物質の屈折率nとの差が大きいほど、発現する位相差が大きくなる。なお、前記nは、波長300〜1600nmの光線を用いて測定される値である。
この発明の光学部材は、基板の微細構造3に直接又は他の層を介して多孔質物質5からなる層により被覆又は充填することにより得られる。この被覆または充填は、前記シリカエアロゲルまたは前記コーティング組成物等を基板の微細構造3を有している方の表面に塗布し、硬化処理することにより行うことができる。
この発明の光学部材は、前記微細構造3が多孔質物質5により被覆され、または充填されて成っている。この多孔質物質5は、透明な低屈折率媒質であればよく、無反射構造とする場合の屈折率は1.2以下が好ましく、複屈折構造とする場合の屈折率は1.4以下が好ましい。
前記多孔質物質5による被覆または充填は、図7に示すように、空間部(空気層)6を存在させて、凹部を密閉する状態で被覆してもよく、図8に示すように、凹部全てを充填する状態で充填してもよい。
この発明の光学部材において、他の層としては、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層が挙げられる。ここで、高屈折率層とは屈折率が2以上の層のことをいい、中屈折率層とは屈折率が2.0〜1.6の層のことをいい、低屈折率層とは屈折率が1.6以下の層のことをいう。高屈折率層を形成する高屈折率物質としては、ITO(酸化インジウム錫)、酸化タンタル、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化セリウム、ATO(酸化アンチモン錫)、酸化錫、酸化亜鉛などが挙げられる。光として近赤外領域も含む場合はa-Siなどの半導体も挙げることができる。中屈折率層を形成する中屈折率物質としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ガドリニウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。低屈折率層を形成する低屈折率物質としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、酸化ケイ素などが挙げられる。また、他の層として高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層したものも用いることができる。他の層の形成方法としては、特に制限されず、真空蒸着、スパッタリングやイオンプレーティングなどの物理気相析出(PVD)法や化学気相析出(CVD)法などが挙げられる。
このように、基板表面に有する微細構造3が、多孔質物質5により被覆または充填されていることから、光学部材の製造、搬送および組立工程における塵埃等の汚染による悪影響が回避され、また、積層等の複合化に際して用いる接着剤の微細構造3への浸入が防止されて、反射率、レタデーション等の光学特性の経時的劣化が抑制された光学部材となる。
この発明の光学部材は、前記多孔質物質の屈折率nと前記基板の屈折率nとの差が0.1〜0.9の位相差板として有用であり、この発明においては、図9のように両面に微細構造3を有し、その微細構造3を多孔質物質5によって被覆した位相差板や図10に示すように、図9に示す位相差板を透明接着剤7を介して二枚以上(図10では二枚)積層した積層位相差板が挙げられる。前記位相差板は、その板面内で屈折率異方性を有する板であり、複屈折によって分かれた光波に位相のズレ(位相差)を生じさせる板である。
前記位相差板としては、1/2波長板、1/4波長板等を挙げることができる。1/2波長板は、直線偏光の向きまたは円偏光の回転方向の変換に用いられる。また、1/4波長板は直線偏光から円偏光、円偏光から直線偏光の変換に用いられる。また、この位相差板は、例えば、広帯域で1/4波長の位相差を生じさせることのできる位相差板、すなわち広帯域1/4波長板を作製するための部材として用いることができる。そして、この広帯域1/4波長板を用いて、液晶ディスプレイ、液晶プロジェクター等に使用される光学部材を作製することができる。
以下、実施例を挙げてこの発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されることはない。
(製造例1)
〔シリカエアロゲルの調製例〕
テトラメトキシシランのオリゴマー(コルコート社製「メチルシリケート51」:平均分子量=約470)、エタノール、水および15Nアンモニア水を、1:43:20:0.20のモル比で混合してゾル溶液を調製し、ゲル状化合物を製造した。次いで、このゲル状化合物を0.2mol/Lヘキサメチルジシラザン(東レダウコーニングシリコーン社試薬)のエタノール溶液中で40℃で2時間程度加熱攪拌することによって、疎水化処理を行って、シリカエアロゲルを調製した。
(製造例2)
〔コーティング組成物の調製例〕
テトラエトキシシラン208質量部にメタノール356質量部を加え、さらに水18質量部および0.01Nの塩酸18質量部を混合し、これをディスパーを用いて十分に混合した。得られた混合液を25℃恒温槽中で2時間撹拌して、重量平均分子量を850に調整することにより、4官能シリコーンレジンを得た。次いで、この4官能シリコーンレジンに、中空シリカ微粒子成分として、中空シリカIPA(イソプロパノール)分散ゾル(固形分20質量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm、触媒化成工業社製)を用い、中空シリカ微粒子/4官能シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で質量比が95/5となるように添加し、さらに、全固形分が10質量%になるようにメタノールで希釈することによって、コーティング組成物を調製した。
(実施例1)
〔光学部材1の作製〕
石英ガラス板(波長590nmの光線を用いて測定した屈折率n=1.46)の表面に周期的に円錐形状を有する図5に示す無反射構造体を、EB描画装置を用いて作製した。このときの作製方法は、下記のとおりである。
石英ガラス板(波長590nmの光線を用いて測定した屈折率n=1.46)表面に、EBポジ型レジスト(日本ゼオン(株)社製、ZEP520)を膜厚300nmでコーティングした。電子線描画装置(JEOL Co. Ltd., JBX-5000SI)を用いて、周期250nmのドットパターンを描画(電圧55kV、電流600pA、面積10×10mm2)し、現像した。パターンの刻まれたレジスト上にCrの薄膜50nmをEB蒸着(ULVAC Co. Ltd., MUE-ECO-EB)し、その後、アセトン中で超音波をかけてレジストを剥離し、パターンニングされたCr薄膜のみを残した。そのCr薄膜をマスクとして、エッチングガス(CFとCHFとOとの混合ガス)を用いてドライエッチングを行って(エッチング装置:ULVAC社製、「NLD-800」;エッチング条件:アンテナパワー1200W、バイアスパワー450W、圧力0.5Pa)、図5に示すような円錐が石英ガラス板上に周期的に配列した無反射構造を有する基板を得た。無反射構造の底面の半径は125nm、周期は250nm、高さは300nmであった。
この基板の無反射構造が形成された方の面に、前記製造例1で得られたシリカエアロゲルを、バーコーターにより、空間部をすべて充填する状態で、厚み10μmとなるように塗工し、塗工された膜がゲル化した後に、これらをメタノールが充填された高圧容器内に入れ、80℃、16MPaの条件下における炭酸ガス抽出によって、塗工された膜を超臨界乾燥して、光学部材1を作製した。乾燥して得られたシリカエアロゲルの硬化物の波長590nmの光線を用いて測定した屈折率nは1.03、空孔率は体積基準で93%であった。
[光学部材1の評価]
前記のとおり作製された光学部材1を、平均温度23℃、平均湿度40%の環境下に100時間放置し、所定時間毎に、反射率を測定して、その変化を調査した。結果を表1に示す。なお、反射率は、分光光度計(日立分光光度計U−4000)を用いて、入射角5°にて反射スペクトルを測定し、波長590nmにおける反射率を代表値とした。また、測定は、ブロアーで表面を軽く数回吹いてから行った。
(実施例2)
〔光学部材2の作製および評価〕
シリカエアロゲルに代えて、前記製造例2で得られたコーティング組成物を用い、これをディップコート法により厚み10μmとなるように塗工し、80℃で乾燥させた以外は、実施例1と同様にして光学部材2を作製した。乾燥して得られたコーティング組成物の硬化物の波長590nmの光線を用いて測定した屈折率nは1.17、空孔率は体積基準で61%であった。得られた光学部材2について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
〔光学部材3の作製および評価〕
シリカエアロゲルによる充填を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして光学部材3を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005266343
表1に示す結果から、反射率の経時的変化が大きい比較例1に対し、実施例1および2においては、反射率の経時的変化がきわめて小さいことが分る。
(実施例3)
〔光学部材4(位相差板)の作製〕
石英ガラス板(波長590nmの光線を用いて測定した屈折率n=1.46)表面に、EBポジ型レジスト(日本ゼオン(株)社製、ZEP520)を膜厚300nmでコーティングした。電子線描画装置(JEOL Co. Ltd., JBX-5000SI)を用いて周期200nmの線パターンを描画(電圧55kV、電流600pA、面積10×10mm2)し、現像した。パターンの刻まれたレジスト上にCrの薄膜130nmをEB蒸着(蒸着装置:ULVAC社製、「MUE-ECO-EB」)し、その後、アセトン中で超音波をかけレジストを剥離し、パターンニングされたCr薄膜のみを残した。そのCr薄膜をマスクとして、エッチングガス(CF)を用いてドライエッチングを行い(エッチング装置:ULVAC社製,「NLD-800」;エッチング条件:アンテナパワー300W、バイアスパワー100W、圧力0.4Pa)、図4に示すような構造複屈折を有する基板を作製した。溝周期は200nm、デューティ比は0.5、高さは1400nmであった。
この基板の構造複屈折を有する方の面に、前記製造例1で得られたシリカエアロゲルをバーコーターにより、空間部をすべて充填する状態で、厚み10μmとなるように塗工し、塗工された膜がゲル化した後に、これらをメタノールが充填された高圧容器内に入れ、80℃、16MPaの条件下における炭酸ガス抽出によって、塗工された膜を超臨界乾燥して、光学部材4を作製した。乾燥して得られたシリカエアロゲルの硬化物の波長590nmの光線を用いて測定した屈折率nは1.03、空孔率は体積基準で93%であった。
[光学部材4の評価]
前記のとおり作製された光学部材4を、平均温度23℃、平均湿度40%の環境下に100時間放置し、所定時間毎に、レタデーションを測定して、その変化を調査した。結果を表2に示す。なお、レタデーションは、自動複屈折計(王子計測機器製、「KOBRA−31XY」)を用いて、測定波長590nmで測定した。また、測定は、ブロアーで表面を軽く数回吹いてから行った。
(実施例4)
〔光学部材5(位相差板)の作製および評価〕
シリカエアロゲルに代えて、前記製造例2で得られたコーティング組成物を用い、これをディップコート法により厚み10μmとなるように塗工し、80℃で乾燥させた以外は、実施例3と同様にして光学部材5を作製した。乾燥して得られたコーティング組成物の硬化物の波長590nmの光線を用いて測定した屈折率nは1.17、空孔率は体積基準で61%であった。得られた光学部材5について、実施例3と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
〔光学部材6(位相差板)の作製および評価〕
シリカエアロゲルによる充填を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして光学部材6を作製し、実施例3と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2005266343
表2に示す結果から、レタデーションの経時的変化が大きい比較例2に対し、実施例3および4においては、レタデーションの経時的変化がきわめて小さいことが分る。
(実施例5)
〔光学部材7(位相差板を2枚積層したもの)の作製および評価〕
石英ガラス板(波長590nmの光線を用いて測定した屈折率n=1.46)両面にEBポジ型レジスト(日本ゼオン(株)社製、ZEP520)を膜厚300nmでコーティングした。電子線描画装置(JEOL Co. Ltd., JBX-5000SI)を用いて周期200nmの線パターンを描画(電圧55kV、電流600pA、面積10×10mm2)し、現像した。パターンの刻まれたレジスト上にCrの薄膜130nmをEB蒸着(蒸着装置:ULVAC社製、「MUE-ECO-EB」)し、その後、アセトン中で超音波をかけレジストを剥離し、パターンニングされたCr薄膜のみを残した。そのCr薄膜をマスクとして、エッチングガス(CF)を用いてドライエッチングを行い(エッチング装置:ULVAC社製,「NLD-800」;エッチング条件:アンテナパワー300W、バイアスパワー100W、圧力0.4Pa)、両面に複屈折構造を有する基板を作製した。なお、複屈折構造の溝周期は200nm、デューティ比は0.5、高さは350nmであった。
この基板の両面に、前記製造例1で得られたシリカエアロゲルを、バーコーターにより、空間部をすべて充填する状態で、厚み10μmとなるように塗工し、塗工された膜がゲル化した後に、これらをメタノールが充填された高圧容器内に入れ、80℃、16MPaの条件下における炭酸ガス抽出によって、塗工された膜を超臨界乾燥して、図9に示すような、基板の両面をシリカエアロゲルで被覆した位相差板を作製した。乾燥して得られたシリカエアロゲルの硬化物の波長590nmの光線を用いて測定した屈折率nは1.03、空孔率は体積基準で93%であった。
次いでこの位相差板を2枚作成し、透明接着剤(第一科学社製、OPTOKLEB−MO5、屈折率1.49)を用いて貼り合わせ、図10のような光学部材7を作成した。
前記のとおり作製された光学部材7のレタデーションを測定した。結果を表3に示す。なお、レタデーションは、自動複屈折計(王子計測機器製、「KOBRA−31XY」)を用いて、測定波長590nmで測定した。また、測定は、ブロアーで表面を軽く数回吹いてから行った。
(実施例6)
〔光学部材8(位相差板を2枚積層したもの)の作製および評価〕
シリカエアロゲルに代えて、前記製造例2で得られたコーティング組成物を用い、これをディップコート法により厚み10μmとなるように塗工し、80℃で乾燥させた以外は、実施例5と同様にして、図9に示すような両面に複屈折構造を有する基板の両面をコーティング組成物で被覆した位相差板を作製した。乾燥して得られたコーティング組成物の硬化物の波長590nmの光線を用いて測定した屈折率nは1.17、空孔率は体積基準で61%であった。
次いで、この位相差板を2枚作成し、透明接着剤(第一科学社製、OPTOKLEB−MO5、屈折率1.49)を用いて貼り合わせ、図10のような光学部材8を作成した。得られた光学部材8について、実施例5と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例3)
〔光学部材9(位相差板を2枚積層したもの)の作製および評価〕
シリカエアロゲルによる充填を行わなかったこと以外は、実施例5と同様にして光学部材9を作製し、実施例5と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2005266343
実施例3および4と比較して、接着剤のみを使用した比較例3は、レタデーションがおよそ半減してしまったのに対し、実施例5および6のようにエアロゲルまたはコーティング組成物をコーティングをしたものは、レタデーションの変化がほとんどないことが分る。
図1は、二種類の等方性誘電体の平板を平行に張り合わせた1次元周期構造を示す図である。 図2は、正方柱が等間隔に配置された2次元格子構造を示す図である。 図3は、有効屈折率が法線方向に沿って徐々に変化する構造を示す図である。 図4は、基板の表面の微細構造が矩形である場合を示す図である。 図5は、基板の表面の微細構造が錐形である場合を示す図である。 図6は、基板の表面の微細構造が錐形であって、先端が半円状である場合を示す図である。 図7は、多孔質物質による被覆状態の一例を示す図である。 図8は、多孔質物質による被覆状態の他の一例を示す図である。 図9は、両面に微細構造を有し、その微細構造を多孔質物質によって被覆した位相差板を示す図である。 図10は、位相差板を二枚積層した積層位相差板を示す図である。
符号の説明
1 等方性誘電体の平板A
2 等方性誘電体の平板B
3 基板表面の微細構造
4 中心線
5 多孔質物質
6 空間部
7 透明接着剤

Claims (7)

  1. 少なくとも基板と多孔質物質とを有し、
    前記基板は、表面に微細構造を有し、かつ隣接する微細構造の間隔が50〜1000nmであり、
    前記多孔質物質は、空孔率が体積基準で10〜98%であり、かつ屈折率nが1.0008〜1.4であり、
    前記微細構造が直接又は他の層を介して前記多孔質物質により被覆又は充填されていることを特徴とする光学部材。
  2. 前記基板の屈折率nが1.4〜1.9であり、前記基板の微細構造が前記基板の主面に対して法線方向に沿って形成され、かつ前記基板の面外に向かうにしたがって小さくなる請求項1記載の光学部材。
  3. 前記基板の微細構造が、凹凸形状を有している請求項1又は2に記載の光学部材。
  4. 前記多孔質物質の屈折率nと前記基板の屈折率nとの差が、0.1〜0.9の位相差板である請求項1〜3のいずれかに記載の光学部材。
  5. 請求項4に記載の位相差板を二枚以上積層してなる光学部材。
  6. 前記多孔質物質が、シリカエアロゲルの硬化物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学部材。
  7. 前記多孔質物質が、式SiX(式中、Xは加水分解性基である。)で表される4官能加水分解性オルガノシランの加水分解物から成る4官能シリコーンレジンと、平均粒子径が5nm〜2μmであり、かつ中空に形成された中空シリカ微粒子とを含有するコーティング組成物の硬化物である請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学部材。

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