JP2005247592A - 感光性セラミック組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
フォトリソグラフィ法を用いて高アスペクト比の形状加工を行うため、無機粉末が光学特性、特に屈折率の大きく異なる粉末の混合体である場合であっても、露光工程におけるシート内部の光散乱を十分に抑制することができる感光性セラミック組成物を提供する。
【解決手段】
無機成分と感光性有機成分を必須成分とする感光性セラミック組成物であって、無機成分は少なくとも露光波長の1/2未満の平均粒子径を有する無機微粒子と、露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末を含有し、無機微粒子と感光性有機成分からなる成分の屈折率(nA)と、無機粉末の屈折率(nB)が、下記の式を満たす感光性セラミック組成物によって課題を解決するものである。
−0.1<nA−nB<0.1
【選択図】 なし

Description

本発明は、感光性セラミック組成物に関する。本発明の感光性セラミック組成物は、高周波無線用セラミック多層基板などの回路材料などに用いられる。
携帯電話をはじめとする無線通信技術の普及が著しい。従来の携帯電話は800MHz〜1.5GHzの準マイクロ波帯を用いたものであったが、情報量の増大に伴い、搬送周波数をより高周波であるマイクロ波帯からミリ波帯とした無線技術が提案され、実現される状況にある。こうした高周波無線回路は、移動体通信やネットワーク機器としての応用が期待されており、中でもブルートゥース(Bluetooth)やITS(Intelligent Transport System,高度交通情報システム)での利用によってますます重要な技術となりつつある。
これらの高周波回路を実現するためには、そこで使用される基板材料も、使用波長帯、すなわち、1〜100GHzで優れた高周波伝送特性をもつ必要がある。優れた高周波伝送特性を実現するためには、低誘電率でかつ誘電損失が低いこと、加工精度が高いこと、寸法安定性がよいといった要件が必要であり、なかでもセラミック基板が有望視されてきた。
しかしながら、これまでのセラミック基板材料は、寸法安定性に優れているものの、微細加工度が低かったため、特に高周波領域において十分な特性を得ることができなかった。このような微細加工精度の問題を改良する方法として、感光性セラミック組成物から形成したグリーンシートを用いたフォトリソグラフィー技術によるビアホール形成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法では高アスペクト比のビアホール形成に限界があった。その理由はフォトリソ加工時の紫外線が乱反射し深部まで届かないことであった。
そこでこれらの課題を解決する方法として、無機粉末と感光性有機成分を必須成分とする感光性セラミック組成物であって、有機成分の平均屈折率N1と無機粉末の平均屈折率N2に関して、次式(式1)を満たすことを特長とする感光性セラミック組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
(式1)−0.05≦N2−N1≦0.2
また、平均粒子径0.003〜0.08μmの無機微粒子を含有する感光性セラミック組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、これらの方法では、無機粉末が屈折率の異なる混合粉末からなる場合や、有機成分の屈折率が低く、有機成分と無機成分の屈折率差を所望の値にできない場合には、組成物中の散乱抑制を達成することができず、フォトリソグラフィ工程を用いた形状加工が困難となるという課題があった。
特開平6−202323号公報 特開平10−265270号公報 特開2002−162735号公報
フォトリソグラフィ法を用いて高アスペクト比の形状加工を行うためには、感光性セラミック組成物の露光工程におけるシート内部の光散乱を低減することが必要となる。無機粉末が光学特性、特に屈折率の大きく異なる粉末の混合体である場合であっても、露光工程におけるシート内部の光散乱を十分に抑制することができる感光性セラミック組成物を提供することが本発明の課題である。
すなわち本発明は、無機成分と感光性有機成分を必須成分とする感光性セラミック組成物であって、無機成分は少なくとも露光波長の1/2未満の平均粒子径を有する無機微粒子と露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末とを含有し、無機微粒子と感光性有機成分からなる成分の屈折率(nA)と、無機粉末の屈折率(nB)が、下記の式を満たすことを特徴とする感光性セラミック組成物により課題を解決するものである。
−0.1<nA−nB<0.1
本発明の感光性セラミック組成物を用いることにより、露光工程における光散乱が低減され、高透過率の感光性セラミック組成物が得られる。これによって、高アスペクト比の形状加工が可能なシートを得ることができる。
本発明の感光性セラミック組成物は、無機成分と感光性有機成分を必須成分とするものであり、無機成分は少なくとも露光波長の1/2未満の平均粒子径を有する無機微粒子と、露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末とを含有し、無機微粒子と感光性有機成分からなる成分の屈折率(nA)と、無機粉末の屈折率(nB)が、下記の式を満たすことを特徴とする感光性セラミック組成物である。
−0.1<nA−nB<0.1
本発明で用いる無機成分は、焼成工程において焼結するものであり、本発明の目的とする基板形成では、1000℃以下、特に700〜900℃の温度での焼成が好ましいので、いわゆる低温焼成無機粉末が好ましい。もちろん、これらの無機成分が基板の電気的特性、強度、熱膨張係数などの基本物性を決めるものであるため、目的とする特性に応じて選択されるものである。
本発明でいう露光波長とは、感光性セラミック組成物の露光工程において照射する光の波長のことを指す。露光には様々な波長の光が用いられるが、光の均一性、直進性等の観点から、紫外〜近赤外線領域の光源から発する光を用いることが多い。一般的には超高圧水銀灯等から発する紫外光が用いられることが多く、波長は300〜420nmの範囲であることが多い。
また、本発明でいう屈折率とは、露光波長における組成物中の各物質の屈折率のことを指す。屈折率の測定方法には各種あり、測定方法を特に限定するものではないが、無機成分と感光性有機成分からなる混合物の屈折率を測定する方法としては、ガラスなどの平坦な基板上に数μmの厚みで組成物を形成したものを分光エリプソメトリー法にて、透過光および反射光の回折角・反射角・強度変化を測定し、それらの値から、組成物全体での屈折率および消衰係数を算出する方法を挙げることができる。一方、無機粉末単体の屈折率を測定する方法としては、あらかじめ屈折率が算出されている屈折率標準液中に粉末を浸漬し、顕微鏡を用いて粉末/標準液間の境界線の状態を観察することで屈折率を同定する、液浸法と呼ばれる方法を用いることが一般的である。露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末の屈折率nBは、液浸法によって算出することで一定の値を得ることができる。一方、nAは、規定された平均粒子径範囲内の無機微粒子と感光性有機成分の混合物の屈折率であるが、各成分の単体での屈折率、単体での密度、混合物中の濃度、混合物中での密度、また混合状態によって変化するため、前述の各成分を混練・調製したものからエリプソメトリー法などによって屈折率を導出することが必要となる。この際、無機微粒子の分散状態は屈折率に大きな影響を与える。分散状態が良好な状態では、平均粒子径が露光波長よりも十分に小さいため、周囲の有機成分と相溶し、感光性有機成分の屈折率と該無機微粒子の屈折率の間の値となる。一方、分散状態が悪いと、組成物中で凝集が発生し、そのために粒子からの散乱が大きくなって、屈折率の低下と消衰係数の増大が著しくなる。
本発明においてnAとnBは下記の式を満たすことを特徴とする。
−0.1<nA−nB<0.1
これにより、露光工程において組成物中の屈折率差による光散乱を著しく低減し、露光光の直進性を向上させることができるため、高アスペクト比のパターン形成が可能となる。
本発明でいう露光波長の1/2未満の平均粒子径を有する無機微粒子とは、露光に使用した光源の波長に対して平均粒子径が1/2未満であるような粒径分布を持つ無機粉末のことを指す。好適に用いられる無機微粒子の具体的な例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イットリア、セリアおよびマグネシアなどを挙げることができる。特に好ましいのはシリカ、アルミナ、チタニアなどであるが、これらの中でも、アルミナは焼成後の基板強度も強くより好適に用いることができる。また、複数種の成分を混合して用いることもできる。
無機成分の粒子径は、平均粒子径によって代表させることができる。平均粒子径の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば、無機成分を純水中に分散させたものをレーザー回折散乱式粒度測定計で測定し、D50値を平均粒子径とする方法や、任意に粉体の一部を取り出して走査型電子顕微鏡で視野内の粒子面積を測定し、球体近似を行って平均粒子径を算出する方法、また粒子間の空隙に窒素を充填し、比表面積から平均粒子径を割り出す、いわゆるBET法などを適宜用いることができる。
本発明における無機微粒子の平均粒子径は10nm以上であることが好ましい。平均粒子径を10nm以上とすることで、組成物中の粒子表面積増大に起因する分散不良を防止することができるからである。
本発明でいう露光波長の1/2未満の平均粒子径を有する無機微粒子としてアルミナ粉末を用いる際には、アルミナ粉末の含有量は無機成分全体中の5重量%〜90重量%が好ましく、さらに5重量%〜80重量%がより好ましい。アルミナ含有量を5重量%以上とすることで、焼結後の組成物の機械強度が向上し、90重量%以下とすることで、焼結時の組成不均一から生じる誘電率などの電気特性や折り曲げ強度などの機械特性のむらを低減することができる。アルミナ含有量を80重量%以下とすると、組成の不均一はより改善される。
本発明で用いられる露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末としては、いわゆるガラスセラミックと呼ばれる無機粉末が好適に用いられる。その種類に限定されるものではないが、電子機器用基板として用いる周波数領域での誘電率や誘電正接といった指標から、代表的な成分として4つの態様を挙げることができる。
前記の第1の態様は、一般式RxO−Al23−SiO2系材料(Rはアルカリ金属(x=2)あるいはアルカリ土類金属(x=1)を示す)で表されるアルミノケイ酸塩系化合物である。特に限定されるものではないが、アノーサイト(CaO−Al23−2SiO2)、セルジアン(BaO−Al23−2SiO2)などであり、低温焼結セラミック材料として用いられる無機粉末である。
前記の第2の態様の無機粉末としては、ガラス粉末50〜90重量%と、石英粉末および/またはアモルファスシリカ粉末10〜50重量%の割合からなるものである。ガラス粉末はホウ珪酸ガラスである。この時高純度シリカ(石英)は、ほう珪酸ガラスやコーディエライトと溶解しないことが好ましい。また、球状シリカである方が、スラリーの充填性が上がり好ましい。
前記の第3の態様は、ホウ珪酸ガラス粉末30〜60重量%、石英粉末および/またはアモルファスシリカ粉末20〜50重量%およびコーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイトおよびセルジアンの群から選ばれた少なくとも1種類のセラミック粉末20〜50重量%との混合物である。
前記の第4の態様は、酸化物換算表記でSiO2:30〜70重量%、Al23:5〜40重量%、CaO:3〜25重量%、B23:3〜50重量%の組成範囲で、総量が85重量%以上となるガラス粉末を30〜60重量%と、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、シリカおよび窒化アルミの群から選ばれた少なくとも1種類のセラミック粉末70〜40重量%との混合物である。
本発明の無機粉末は、Cu、Ag、Auなどを配線導体として多層化が可能な600〜900℃での焼成が可能であるとともに、GaAsなどのチップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、高周波領域においても低誘電率でかつ誘電損失が低い基板を与えるものであることが好ましい。
感光性セラミック組成物に含有される感光性有機成分とは、ポリマ、モノマ、光開始剤の混合物であり、紫外線吸光剤、増感剤、重合禁止剤、溶媒などを添加することもできる。ポリマのTg(ガラス転移温度)は、−60℃〜30℃の範囲であることが好ましく、−30℃〜30℃の範囲がさらに好ましい。ポリマのTgをこの範囲とすることで、無機成分、特に微細な無機微粒子の分散状態が改善され、全光線透過率が高くなると同時に、シート柔軟性が保持されるという好ましい状態を得ることができる。このようなポリマの含有量は感光性セラミック組成物に対して3重量%〜30重量%で、好ましくは3重量%〜20重量%である。ポリマー含有量を多くすると無機微粒子の分散性を向上させることができるが、一方で焼成時に組成物の体積変動が大きくなるため、割れや変形が生じやすくなる。この範囲では、分散性と焼結時の変形抑制を両立することができる。ここで言うポリマとは特に限定されるものではなく、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、マレイン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ロジンなどを挙げることができるが、感光性を保持するためのポリマとしては、側鎖にカルボキシル基を有する酸ポリマ、またはエチレン性不飽和基を有するポリマ、さらには側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するポリマがよい。一般的にはアクリル系共重合ポリマが適当で、上記各種樹脂をブレンドすることによってシート特性を最適化することも可能である。アクリル系共重合ポリマの共重合成分は、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、また、これらの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレートの一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上させることができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などのモノマーを選択し、ラジカル重合開始剤を用いて重合させることにより得られるが、これらの成分を重合することによってできあがったアクリル系共重合ポリマのTgが−60℃〜30℃の範囲となるようにモノマ成分と共重合比率を選択することが好ましい。また側鎖にカルボキシル基を有する重合体を含有することは、アルカリ現像を可能にするために好ましく、重合体の酸価は50〜140(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。酸価を140以下とすることで、現像許容幅を広くすることができ、酸価を50以上とすることで、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が保持され、高精細なパターンを得ることができる。また側鎖にエチレン性不飽和基を有することでさらに現像許容幅が広くなり、より高精細なパターンを得ることができる。
感光性有機成分の組成としては、上記ポリマに加えてエチレン性不飽和基を有するモノマ、光開始剤、その他添加剤が挙げられる。エチレン性不飽和基を有するモノマの例として、1個以上の光重合可能な不飽和基、例えば(メタ)アクリレート基またはアリル基などを有するモノマなどが挙げられる。これらの具体例としては、アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)とアクリル酸(またはメタクリル酸)とのエステル、カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル(あるいは、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメタキシリレンジアミン)との反応生成物、アミド誘導体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸(またはメタクリル酸)との反応物などを挙げることができる。また、エチレン性不飽和基を有するモノマは、多官能モノマであってもよく、その場合において、不飽和基は、アクリル、メタクリル、ビニル、アリル基が混合して存在してもよい。これらは単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤は1種類または複数種混合で使用され、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどが挙げられる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5重量%である。重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
その他添加剤としては、有機染料からなる紫外線吸光剤を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い吸光剤を添加することによって高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外線吸光剤としては有機系染料からなるものが用いられ、中でも300〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しないで吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の添加量は0.05〜5重量%が好ましい。この範囲とすることで、焼成後の絶縁膜特性を低下させることなく紫外線吸光硬化が得られる。より好ましくは0.15〜1重量%である。有機染料からなる紫外線吸光剤の添加方法の一例を上げると、有機染料を予め有機溶媒に溶解した溶液を作製し、次に該有機溶媒中に無機成分を混合後、乾燥することによってできる。この方法によって無機成分の個々の粉末表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル状の粉末が作製できる。
本発明において、無機粉末に含まれるPb、Fe、Cd、Mn、Co、Mgなどの金属およびその酸化物が有機成分中に含有する反応性成分と反応するために、無機粉末と有機成分の混合物(シートスラリー)が短時間でゲル化し、シート成形できなくなる場合がある。このような反応を防止するために安定化剤を添加してゲル化を防止することが好ましい。用いる安定化剤としては、トリアゾール化合物が好ましく用いられる。トリアゾール化合物の中でも特にベンゾトリアゾールが有効に作用する。本発明において使用されるベンゾトリアゾールによるガラス粉末の表面処理の一例を上げると、ガラス粉末に対して所定の量のベンゾトリアゾールを酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコール、メチルアルコールなどの有機溶媒に溶解した後、ガラス粉末を十分に浸すことができるように溶液中に1〜24時間浸漬する。浸漬後、好ましくは20〜30℃で自然乾燥して溶媒を蒸発させてトリアゾール処理を行った粉末を作製する。使用される安定化剤の割合(安定化剤/無機粉末)は0.05〜5重量%が好ましい。
増感剤は、高感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4、−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオ−テトラゾールなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明の感光性セラミック組成物に添加する場合、その添加量は感光性成分に対して通常0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上させるために添加される。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性セラミック組成物中に、通常、0.001〜1重量%である。
酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は通常、感光性セラミック組成物中に0.001〜1重量%である。
本発明の感光性セラミック組成物には、シートスラリーの粘度を調整したい場合、有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセルソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
感光性セラミック組成物から形成されたグリーンシートの焼成を行う場合、グリーンシートの上面および下面に難焼結性のセラミックシートを積層して焼成してもよい。それによって、厚み方向のみ収縮させ、X−Y平面にはほぼ無収縮となるようにできるが、X−Y平面方向の焼成収縮率が1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
難焼結性のセラミックとは、基板焼結温度では焼結しないセラミック粉末で、アモルファスシリカ、石英、アルミナ、マグネシア、ヘマタイト、チタン酸バリウムおよび窒化硼素などから選択して用いることができる。これらの材料から得られるシートは、ダミー用グリーンシートまたは拘束シートなどと称せられる。このシートには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムなどの酸化剤やガラス・セラミックグリーンシートとの密着性改良材となる酸化物粉末が1〜5重量%添加されることが好ましい。このような難焼結性のセラミックシートの例としては、アルミナ粉末にポリビニルブチラール、ジオクチルフタレート、適当な酸化物、有機溶媒などを加えて、ドクターブレード法によってシート状に形成したものをあげることができる。
グリーンシートの上下の面に拘束シートを配置した状態での焼成工程によりX−Y平面方向の収縮は制限されるが、組成物の成分や配合組成、焼成時の諸条件により不可避の収縮が存在するので、収縮率を1%以下に抑制できるならば、ほぼ無収縮を達成したものと考えることができるが、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下に抑制することが好ましい。このような条件はスクリーン印刷などで形成した塗布膜にも適用(セラミックなどよりなる基板に感光性セラミック組成物のペーストを塗布する手法であり、一般的には、前記基板はそのまま残り完成品の一部を構成する)することが可能であり、塗布膜の場合には、膜の下面には既に基板が存在しているので、膜の上面に拘束シートを配した状態で実施することができる。
本発明の感光性セラミック組成物は次のようにして調製することができる。まず感光性有機成分であるポリマ、モノマおよび光重合開始剤に、必要に応じて溶媒や各種添加剤を混合した後、濾過し、有機ビヒクルを作製する。これに、必要に応じて前処理された無機粉末と無機微粒子からなる無機成分を添加し、ボールミルなどの混練機で均質に混合・分散して感光性セラミック組成物のスラリーまたはペーストを作製する。
このスラリーまたはペーストの粘度は無機成分と有機成分の配合比、有機溶媒の量、可塑剤その他の添加剤の添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は1〜5Pa・sが好ましい。スラリーもしくはペーストを構成する際に用いる溶媒は、感光性有機成分を溶解し得るものであればよい。例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソブル、ブチルセルソブル、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、トルエン、トリクロロエチレン、メチルイソブチルケトン、イソフォロンなどや、これのうち1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
得られたペーストをドクターブレード法、押し出し成形法などの一般的な方法でポリエステルなどのフィルム上に厚さ0.05〜0.5mmに連続的に成形し、溶媒を乾燥除去することにより、感光性セラミック組成物であるグリーンシートが得られる。ビアホールは、この感光性セラミック組成物であるグリーンシートに対して、ビアホール形成用パターンを有するフォトマスクを通したパターン露光を行い、アルカリ水溶液で現像することによって形成される。露光に用いる光源は超高圧水銀灯が最も好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。露光条件はグリーンシートの厚みによって異なり、5〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて5秒〜30分間露光を行う。なおビアホール形成と同じ手法でシート積層時のアライメント用ガイド孔を形成しておくことができる。
本発明の感光性セラミック組成物の感光性有機成分は、側鎖にカルボキシル基を有する重合体が含有されていれば、アルカリ水溶液で現像することができる。アルカリ水溶液としては、ナトリウムやカリウムなどの金属アルカリ水溶液が使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどがあげられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。0.05重量%以上とすることにより、可溶部を完全に除去することができ、1重量%以下とすることにより、露光部のパターンの剥離や浸食を防ぐことができる。現像時の温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。現像方法としては、一般的な浸漬法、スプレー法が用いられる。また、超音波を併用して現像時間の短縮や現像ムラの減少化を図る方法もある。
このようにして、焼成前の厚みが10〜500μm、最密なビアホールパターン部分がビアホール直径20〜200μm、ビアホールピッチ30〜250μmのシートを作製することができる。本発明は、露光波長の1/2未満の平均粒子径を有する無機微粒子と感光性有機成分からなる成分の屈折率と、露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末の屈折率との差が小さいことから、組成物中での光散乱が小さくなり光透過率が高くなったことによって、高精細なパターンの形成性が向上することを特徴としている。
次に必要な枚数の配線パターンの形成されたシートをガイド孔を用いて積み重ね、80〜150℃の温度で5〜25MPaの圧力で接着し、多層シートを作製する。このグリーンシート積層体の両面に、このグリーンシートの焼結温度では実質的に焼結収縮を示さない無機組成物(例:アルミナやジルコニア)を主成分とする拘束シートを積層配置し、作製したグリーンシート多層体を焼成処理し、その後、この拘束シートを取り除く無収縮焼成を行って目的とする多層基板を作製することができる。焼成は焼成炉において行う。焼成雰囲気や温度は感光性セラミック組成物中の無機成分や有機成分の種類によって異なるが、空気中、窒素雰囲気中、または水素還元雰囲気中で焼成する。本発明の感光性セラミック組成物の焼成は600〜950℃の温度で行う。このようにして得られたセラミック多層基板は高周波回路用基板として用いられる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、濃度(%)は特に断らない限り重量%である。実施例に用いた無機成分および感光性有機成分は次の通りである。
A.無機成分
無機微粒子:露光波長の1/2未満の平均粒子径を有するアルミナを用いた。平均粒子径は17nm、40nm、80nm、120nm、170nmの5種類。
無機粉末I:露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末であり、以下に示す組成からなるガラス粉末を用いた。
ガラス粉末の組成:Al23(10.8%)、SiO2(51.5%)、PbO(15.6%)、CaO(7.1%)、MgO(2.86%)、Na2O(3%)、K2O(2%)、B23(5.3%)
ガラス粉末の特性:ガラス転移点565℃、熱膨張係数60.5×10-7/K、平均粒子径2μm
無機粉末II:比較用として、露光波長の1/2以上の平均粒子径を有するアルミナを用いた。平均粒子径は200nm、400nm、800nmの3種類。
なお、上記のアルミナとガラス粉末を50%ずつ混合したものの焼結体の誘電率は、いずれの平均粒子径を持つアルミナを用いても、8.0(1MHz)であった。
B.感光性有機成分
ポリマI:
エチルアクリレート40%、メチルアクリレート30%およびメタクリル酸30%からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応したものであり、重量平均分子量23,000、酸価105、Tg22℃
ポリマII:
2−エチルヘキシルアクリレート70%、アクリル酸30%からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応したものであり、重量平均分子量16,000、酸価110、Tg−15℃
ポリマIII:
ダイセル化学工業株式会社製“サイクロマーP(ACA)250”(メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体に3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレートを付加反応して得られたもの)であり、重量平均分子量10,000、酸価75、Tg135℃
光重合開始剤:2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1。
C.有機ビヒクルの作製
溶媒およびポリマを混合し、撹拌しながら60℃に加熱し、すべてのポリマを溶解させた。溶液を室温まで冷却し、モノマ、光重合開始剤を加えて溶解させ、有機ビヒクルを調製した。
D.ペースト調製
上記の有機ビヒクルに露光波長の1/2未満の平均粒子径をもつ無機微粒子を混合し、三本ロールで5回通しでスラリーまたはペーストとした。これをA成分とする。その後、露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末を投入し分散させた。無機粉末をB成分とする。全体の比は、有機ビヒクル中の感光性有機成分30重量部に対して無機成分の量は70重量部とした。
A成分については、石英ガラス上に1〜10μm厚みの膜をスピンコート法により塗布し、これを分光エリプソメトリー法で測定することで、屈折率を算出した。また、B成分については液浸法により測定した。
E.グリーンシートの作製
紫外線を遮断した室内でポリエステルのキャリアフィルムとブレードとの間隔を0.1〜0.8mmとし、成形速度0.2m/min.でドクターブレード法によってグリーンシートを作製した。シートの厚みは100μmであった。
F.ビアホ−ルの形成
グリーンシートを100mm角に切断した後、温度80℃で1時間乾燥し、溶媒を蒸発させた。ビア径30〜300μm、ビアホールピッチ500μmのクロムマスクを用いて、シートの上面から15〜25mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いてシートとマスクの間を密着条件下で、1分間パターン露光した。次に、25℃に保持した0.5重量%モノエタノールアミン水溶液により現像し、その後、スプレーを用いてビアホールを水洗浄した。
G.焼成時に用いる拘束シートの作製
アルミナ粉末にポリビニルブチラール、ジオクチルフタレート、有機溶媒など加えて、ドクターブレード法によってシート状に作製したものを用いた。
H.多層基板の作製
本発明の感光性セラミック組成物からなるグリーンシートを5〜6枚積層し、上下に無収縮焼成のための拘束シートを配置し、80℃でプレス圧力1.50MPaにて熱圧着した。得られた多層体を空気中で、900℃の温度で30分間焼成して、多層基板を作製した。
I.全光線透過率の測定
ヘイズコンピューター(スガ試験機製)で全光線透過率を測定した。50μmの上下の膜厚の異なる2種類のシートで測定し、50μmの透過率を求めた。
実施例1〜19、比較例1〜11
まず、感光性有機成分としてポリマI(50%)、モノマ(33.3%)(“アロニックスM245”東亞合成製)および光重合開始剤(1.7%)(“IC819”チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ製)、分散剤(1.0%)(“ノプコスパース”サンノプコ株式会社製)、溶剤(13.3%)(“ソルフィット”株式会社クラレ製)、p−メトキシフェノール(0.7%)からなる感光性有機成分を作製した。ここに無機微粒子を平均粒子径と添加量を変化させて混合し、A成分を作製した。このA成分をスピンコート法を用いて石英ガラス上に約5μm厚みで塗布したものを用いて、分光エリプソメトリー法で屈折率nAを測定した。屈折率を測定した波長は、露光に使用する高圧水銀灯のi線(365nm)である。一方、無機成分のうち露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末I(B成分)の屈折率を液浸法を用いて測定したところ、1.58であった。
A成分65%、B成分35%を混合・分散し、厚み100μmのグリーンシートを得た。フォトリソ法でビアホールを形成し、各グリーンシートで得られた最小貫通孔の直径と透過率を計測した。これらの結果を表1から表5にまとめる。
Figure 2005247592
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Figure 2005247592
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表1から表5に示したように、各アルミナを感光性有機成分中に混練・分散させたA成分の屈折率は、アルミナの平均粒子径および添加量によって変化することがわかる。nAとnBの差が0.1未満である場合には、ビアホール加工径は50μmまで到達し、透過率も高いが、0.1以上では極端に透過率の低下と、加工径の悪化が見られた。
得られたグリーンシートをアルミナ拘束シートとともに積層プレスを行い、600℃、30分間焼成して多層基板を作製した。いずれの多層基板にも亀裂は見られず、焼成前の貼り合わせ工程での破損もなく加工性は良好であった。
比較例12〜29
無機成分の平均粒子径と透過率との関係を調べるため、実施例1〜19、比較例1〜11で使用した無機微粒子に換えて平均粒子径の大きい無機粉末IIを用いて、無機粉末IIと感光性有機成分の混合物を作製した。感光性有機成分は実施例1〜19、比較例1〜11で用いたものと同じものを用いた。無機粉末IIと感光性有機成分の混合物をC成分とし、その屈折率をnCとする。B成分は無機粉末Iを用いた。
A成分をC成分に変更した以外は実施例1〜19、比較例1〜11と同様にグリーンシートを作製した後、透過率を測定し、さらにビアホール加工を行った。その結果を、表6から表8に示す。
Figure 2005247592
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表6から表8に示したように、200μmよりも小さい径の加工を行うことはできなかった。これは露光波長の1/2未満の無機微粒子を含まない無機成分では、十分な透明性を持たないためであるといえる。
実施例20〜38、比較例30〜40
実施例1〜19、比較例1〜11で使用したポリマIをポリマIIとする以外は同様の組成、試作操作を繰り返した。結果は表1から表5にしめしたものと同一の結果となった。焼成前の貼り合わせ工程での破損もなくパターン加工性は良好であった。
実施例39
平均粒子径40nmのアルミナと無機粉末Iを50%ずつ混合した無機成分(70%)を用い、感光性有機成分としてポリマーIII(15%)、モノマー(10%) (“アロニックスM245”・東亞合成製)および光重合開始剤(0.5%)(“IC819”・チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ製)、分散剤(0.3%)(“ノプコスパース”サンノプコ株式会社製)、溶剤(4%)(“ソルフィット”株式会社クラレ製)、p−メトキシフェノール(0.2%)を用いて、厚み100μmのグリーンシートを得た。得られたシートは100μmのビアホールが形成できた。アルミナ拘束シートを用いて焼成した結果、多層基板には亀裂や剥離が見られた。

Claims (3)

  1. 無機成分と感光性有機成分を必須成分とする感光性セラミック組成物であって、無機成分は少なくとも露光波長の1/2未満の平均粒子径を有する無機微粒子と露光波長の1/2以上の平均粒子径を有する無機粉末とを含有し、無機微粒子と感光性有機成分からなる成分の屈折率(nA)と、無機粉末の屈折率(nB)が、下記の式を満たすことを特徴とする感光性セラミック組成物。
    −0.1<nA−nB<0.1
  2. Tgが−60℃〜30℃であるポリマを3重量%〜30重量%含有することを特徴とする請求項1記載の感光性セラミック組成物。
  3. 無機微粒子がアルミナからなり、無機微粒子の含有量が無機成分の5重量%〜90重量%であることを特徴とする請求項1記載の感光性セラミック組成物。
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