JP2005235757A - 金属酸化物電極膜および色素増感型太陽電池 - Google Patents

金属酸化物電極膜および色素増感型太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 太陽電池用途等に好適な、増感色素吸着量が多く、かつ、電子移動が円滑に行われる、機械強度の高い金属酸化物膜を備える電極と、その製造方法を提供すること。
【解決手段】 導電性基板上に金属酸化物粒子が結着剤で結着された金属酸化物層を有し、金属酸化物膜を基準に結着剤の含量が0.005質量%以上5質量%未満であり、金属酸化物層のJIS5600による鉛筆引っかき強度がH以上である金属酸化物電極。
【選択図】 なし

Description

本発明は、太陽電池用途等に好適な機械強度の高い金属酸化物膜を備える電極、ならびにその製造方法および用途に関する。
現在の太陽電池はシリコン型太陽電池が主流となっているが、有害な原料の使用、高コストな製法等の観点から、新たな形式の太陽電池の研究、開発が行われて来た。
色素増感型太陽電池はその一つであり、1991年にローザンヌ工科大学のグレッツェル等によって報告(例えば非特許文献1参照)されて以来、シリコン型に代わる太陽電池として研究開発が進められている。
一般的な色素増感型太陽電池は、図1で示されるような構造であり、色素電極、電解層、および対極の3つの部分から構成される。ここで色素電極6とは、導電性ガラスや導電性樹脂等の電極基板の上に増感色素の結合した二酸化チタン等の金属酸化物層が形成されている電極を示し、また対極7とは、導電性ガラスや導電性樹脂等の電極基板の上に白金やグラファイトのような触媒層が形成された電極を指す。電解層4は、電解質が溶解した溶液で、色素電極と対極で挟み込まれた部分である。ここでいう電極基板とは、ガラスや有機重合体等の電極基材にFTO,ITO等を塗布、乾燥させ、導電性を付与したものを示す。
光電変換の機構は次のように説明されている。
まず、増感色素が光を吸収し、電子と正孔を発生する。発生した電子は金属酸化物層を通じて電極基板に到達し、外部へと取り出される。一方、発生した正孔は、電解層を通じて対極へと運ばれ、電極基板を通じて供給された電子と結合する。
色素増感型太陽電池の特性を示す指標として、下式で表される光電変換効率がある:
η(%)=Jsc×Voc×FF/入射光エネルギー×100
(式中、ηは光電変換効率、Jscは短絡電流密度[mA/cm2]、Vocは開放電圧[V]、FFはフィルファクター[−]を示す。入射光エネルギーは単位面積当たりの入射光エネルギー[mW/cm2]を示す。)。
光電変換効率ηは、色素電極の性能に依存する。色素電極の性能を高める要因として、金属酸化物の単位当たりの表面積を大きくして増感色素の担持量を増やし、電子発生量を増加させること、金属酸化物粒子のネッキングを増やすこと、あるいは金属酸化物粒子と色素電極基板との密着性を高めて電子伝達を円滑にすること等が挙げられる。
以下、金属酸化物の例として二酸化チタンを挙げて説明する。
色素電極の性能を高める方法のうち、二酸化チタンの単位当たりの表面積を大きくする方法や二酸化チタン粒子のネッキングを増やす方法は、これまでに数多くの方法が提案されている。前者の方法としては、例えば、四塩化チタンから調製したゾルを加熱、乾燥させ、得られた3〜10nmの細孔内径を有する二酸化チタンを用いる方法(例えば特許文献1参照)が報告されており、後者としては、例えば、導電性ガラス等の基板に二酸化チタン層を形成させた後、四塩化チタンで処理する方法がある(例えば非特許文献2参照)。
一方、二酸化チタン粒子と色素電極基板の密着性を高めるには、電極基板が導電性ガラスの場合、電極基板上に二酸化チタン分散液を塗布した後、電気炉等を用いて400℃以上で焼成する方法が挙げられる。この方法は二酸化チタン粒子表面の水酸基と電極基板上の導電性物質の水酸基を脱水縮合させ、化学的に結合させるものである。
基材に樹脂を使用した電極基板を用いる色素増感型太陽電池の作製技術はいくつか報告されている。
例えば、耐熱性を有する金属箔を色素電極側の電極基板として用いることで高温での金属酸化物の焼結を行うもの(例えば特許文献2参照)や、陽極酸化あるいは化学酸化法によるもの(例えば、特許文献3参照)が報告されている。
可とう性のある樹脂を電極基材として用い、低温で金属酸化物の焼結を行う技術も報告されている(例えば、非特許文献3参照)。この場合、色素電極の電極基材として、前述の金属と比較して安価、透明、さらに電解質による腐食にも耐えられる樹脂が使用できることから、樹脂基材の特長を生かしつつ高性能な色素増感型太陽電池が期待できる。この方法では、緻密な金属酸化物膜を低温で形成することにより、高温で熱処理を施さずに金属酸化物微粒子同士の接着を可能としている。
特開2001−283942号公報 特開平11−288745号公報 特開平10−112337号公報 国際公開第01/16027号パンフレット 特開平6−304423号公報 特公昭36−3359号公報 M.Graezel,Nature,353,737,(1991) C.J.Barbe et al.,J.Am.Ceram.Soc.,80,3157(1997)) B.A.Gregg他、Langmuir,2000,vol.16,5626 L.D.Hart and L.K.Hadson,The American Ceramic Society Bulletin,43,No.1,(1964)) 橋本和仁、藤嶋昭 編集、「二酸化チタン光触媒のすべて」(株)シーエムシー,(1998)
二酸化チタン粒子表面の水酸基と電極基板上の導電性物質の水酸基を、脱水縮合によって化学的に結合させる場合、二酸化チタン粒子同士も焼結し、比表面積を低下させてしまうため色素担持量も低下してしまう。また電極基材が樹脂である場合にはその基材の耐熱温度以上には昇温できないが、一般的に樹脂の耐熱温度以下の温度領域(例えばポリエチレンテレフタレートの場合、約150℃以下)では脱水縮合は進行しにくいため、焼成によって密着性を向上させることはできない。
上述の特許文献2及び3に従って、色素増感型太陽電池の電極基板として樹脂を使用する場合、これらの電極基板は不透明であるため、色素増感太陽電池に利用した場合、使用時に光を対極側より導入せざるを得ない。そのため、電解層に光の多くが吸収されることによって色素電極に光が到達しにくくなること、及び、発生する電子の大部分が金属酸化膜の電極基板とは最も離れた部分で得られるため電子が金属酸化物の電気抵抗によって動きを制限されること等によって、光電変換効率が大幅に低下するこという問題点がある。さらに、色素増感型太陽電池の電解質として使用するヨウ素の腐食に耐えうるシート状電極の基材が、チタン、タンタル、ニオブといった高価な金属に限定されるために、これらの方法で製造した色素増感型太陽電池は高価になるという問題点もある。
上述の非特許文献3の方法に従って緻密な金属酸化物膜を使用して金属酸化物微粒子同士の接着する場合、金属酸化物膜を多孔質にできないため、作製した光活性電極は従来の高温で熱処理によって作製した多孔質な光活性電極と比較して性能が大きく低下するという問題がある。
また、仮にこの方法によって多孔質な金属酸化物膜を形成することができたとしても、高温での焼結を行わないために、金属酸化物微粒子の接着が充分でなく、金属酸化物膜の機械強度が不充分となるために、金属酸化物電極が受けるわずかな機械的振動やセルが受ける温度変化等によって、金属酸化物微粒子同士の接触が損なわれることが予想される。つまり、この方法で作製した色素電極では、その性能を長時間にわたって維持できないと考えられる。
本発明の課題は、上記問題点を解決し、太陽電池用途等に好適な、増感色素吸着量が多く、かつ、電子移動が円滑に行われる、機械強度の高い金属酸化物膜を備える電極と、その製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、単位質量当たりの表面積が大きく、かつ、機械強度の高い金属酸化物膜を備えた電極を製造し得る方法を見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、下記にある。
(1)導電性基板上に金属酸化物粒子が結着剤で結着された金属酸化物層を有し、金属酸化物膜を基準に結着剤の含量が0.005質量%以上5質量%未満であり、金属酸化物層のJIS5600による鉛筆引っかき強度がH以上であることを特徴とする、金属酸化物電極。
(2)金属酸化物膜を基準に結着剤の含量が、0.01質量%以上2質量%以下である、上記(1)に記載の金属酸化物電極。
(3)金属酸化物膜を基準に結着剤の含量が、0.01質量%以上1質量%以下である、上記(1)に記載の金属酸化物電極。
(4)金属酸化物粒子がネッキングを有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属酸化物電極。
(5)金属酸化物粒子が、四塩化チタンを酸化性ガスで高温酸化することにより二酸化チタンを製造する気相法において、四塩化チタンを含有するガス及び酸化性ガスをそれぞれ500℃以上に予熱し、それぞれ流速10m/秒以上で反応管に供給することにより反応させて得られる二酸化チタンを含有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属酸化物電極。
(6)金属酸化物粒子が、積分球式分光光度計による吸光度から算出したオプティカルバンドギャップが2.7eV以上3.1eV以下であり、かつタップ密度が0.15g/cm3以上0.45g/cm3以下である二酸化チタン構造体を含有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属酸化物電極。
(7)結着剤が、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、エステル結合、エーテル結合、その他極性の高い部分を含む親水性結着剤である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の金属酸化物電極。
(8)親水性結着剤が、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−アセトアミド共重合体、ビニルピロリドン−アクリルアミド共重合体およびポリテトラフルオロエチレンから選択されたいずれかである、上記(7)に記載の金属酸化物電極。
(9)金属酸化物層が1μm以上40μm以下の膜厚を有する、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の金属酸化物電極膜。
(10)金属酸化物層が、BET法による比表面積が1m2/g以上30m2/g未満の金属酸化物粒子群と、30m2/g以上500m2/g以下の金属酸化物粒子群とから選ばれる少なくとも2種類以上の金属酸化物粒子群で構成されることを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の金属酸化物電極。
(11)金属酸化物層が、金属酸化物層を構成する金属酸化物のうち30質量%以上が気相法で合成された金属酸化物である、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の金属酸化物電極。
(12)金属酸化物が二酸化チタンを10質量%以上含むことを特徴とする、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の金属酸化物電極。
(13)金属酸化物層のJIS5600による鉛筆引っかき強度が3H以上7H以下である、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の導電性基板上に形成された金属酸化物電極。
(14)導電性基板が可とう性を有することを特徴とする、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の金属酸化物電極。
(15)導電性基板上に、金属酸化物粒子、親水性結着剤および溶剤を含む金属酸化物分散液を塗布し、乾燥して金属酸化物粒が子親水性結着剤で結着された金属酸化物層を形成することを特徴とする、金属酸化物電極の製造方法。
(16)金属酸化物分散液を電極基板上に塗布した後、200℃以下で加熱し、溶媒を除去することを特徴とする、上記(15)に記載の金属酸化物電極の製造方法。
(17)上記(1)〜(16)のいずれかに記載の金属酸化物電極を構成要素とする色素電極を備えている、色素増感型太陽電池。
(18)上記(17)に記載の色素増感型太陽電池を表面又は内部に備えており、且つ発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能、充電機能のうち、少なくとも一つの機能を有する物品。
(19)前記物品が、建材、照明器具、意匠性窓ガラス、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、携帯電話、美容器具、携帯情報端末、PDA(Personal Degital Assistance)、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、樹脂製品、スポーツ用品、布団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品、文房具、ワッペン、帽子、鞄、靴、傘、ブラインド、バルーン、配管、配線、金具、照明、LED、信号機、街灯、玩具、道路標識、装飾品、テント、交通信号機、掲示板、クーラーボックスなどのアウトドア用品、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱器や冷却器用の電源からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(18)に記載の物品。
本発明によれば、従来の色素増感型太陽電池の製造工程で行われる高温での熱処理ではその性能を維持できない材料を色素増感型太陽電池に使用することが可能となり、可とう性のある色素増感型太陽電池を得ることができる。
本発明の導電性基板上に形成された金属酸化物膜は、JIS5600に記載の鉛筆引っかき強度試験による機械強度がH以上であり、好ましくは3H以上7H以下であることを特徴とする。機械強度がHよりも低い場合は金属酸化物粒子と電極基板の密着性が低いことを示し、金属酸化物粒子から電極基板への電子移動が円滑に行われず色素増感太陽電池としての性能が低下する。機械強度の上限は色素増感太陽電池の性能からは制限されないが、ガラスの機械強度が5H〜7Hであることより、経済的な観点から7H以下が好ましい。
本発明の好ましい態様における金属酸化物膜は、可とう性を有する電極基板上に形成されることが好ましい。電極基材がガラス等で構成される可とう性のない電極基板上に金属酸化物膜が形成されても色素増感太陽電池の性能に影響はないが、電極基板に可とう性があればフレキシブルな用途にも利用することができるため、色素増感太陽電池の利用範囲が広がる。
本発明の好ましい態様における金属酸化物膜は、親水性を有する結着剤を含むことが好ましい。ここでいう結着剤とは、金属酸化物の分散液等を基板等に塗布し乾燥させた際、金属酸化物粒子同士や金属酸化物粒子と電極基板との密着性を高め、成膜時に生じるひび割れや、基板からの剥離を防止する働きを有する物質を示す。結着剤は金属酸化物との化学的、物理的結合を生じる物質で、金属酸化物分散液の溶媒が除かれた後も金属酸化物微粒子同士を接触した状態で固定する役割を果たし得るものであれば、制限なく使用することができる。具体的には、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、その他極性の高い官能基と、疎水性の主鎖を併せ持つ物質が好ましく、また、親水性を高めるためにエステル結合、エーテル結合等を有していても良い。これらの例としては、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリN−ビニルホルムアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフルオロアルキルビニルエーテル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタムから選ばれる高分子化合物の一つもしくはそれらの混合物または共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−アセトアミド共重合体、ビニルピロリドン−アクリルアミド共重合体およびポリテトラフルオロエチレンが好ましい。また、結着剤は高分子量であるほど性能が高くなる。具体的には、平均分子量は500以上が好ましく、1万以上がさらに好ましく、10万以上がより好ましい。
本発明の金属酸化物膜に含まれる結着剤の含量は0.005質量%以上5質量%未満である。金属酸化物膜に含まれる結着剤の含量が0.005質量%を下回る場合、金属酸化物粒子と電極基板の密着性は不充分であり、色素増感太陽電池の性能は低下する。結着剤の含量が5質量%を超える場合、金属酸化物と増感色素が結合するのを妨げてしまうため色素増感太陽電池の性能は低下する。金属酸化物膜に含まれる結着剤の含量は、0.01質量%以上2質量%以下であることが好ましく、特に0.01質量%以上1質量%以下が好ましいが、結着性能が発現する範囲であれば少ないほどよい。
本発明は、このように少量の結着剤であっても、結着剤を適当に選択すれば、導電性基板上に形成された金属酸化物膜は、JIS5600に記載の鉛筆引っかき強度試験による機械強度がH以上であり、好ましくは3H以上7H以下であることが可能であることを見出して完成されたものである。本発明によれば結着剤の含量が上記のように少量であるこことができるので、従来のように導電性基板上に形成された金属酸化物粒子層を形成する場合、バインダーを用いないか、バインダーを用いた場合には後の焼成工程でバインダーを焼失させることなしでも、金属酸化物層の電子伝導性を高く維持しながら、その機械的強度も所望なレベルを実現できたものである。
本発明において少量の結着剤でも所望の金属酸化物膜の強度を得るに当たっては、金属酸化物粒子が好ましい状態のネッキング構造を有することが寄与していると考えられる。
要するに、本発明の好ましい態様の要旨は、少量の結着剤でもJIS5600に記載の鉛筆引っかき強度試験による機械強度がH以上であり、好ましくは3H以上7H以下であることが可能であり、その結果、金属酸化物層の電子伝導性を高く維持しながら、金属酸化物層の機械的強度を向上させることができ、特に可撓性樹脂基板などに使用する上で極めて有用であることを見出した点に存するものである。本発明の好ましい態様における金属酸化物電極は、結着剤を含んだ状態で電極として使用されるものである。
本発明の好ましい態様における金属酸化物膜は、その膜厚が1μm以上40μm以下であることが好ましい。膜厚が1μm未満の場合、薄膜内の光線の散乱や吸収が不十分となり、光電変換効率が低下する。膜厚が40μmを超えると、電解質の拡散抵抗が大きくなったり、あるいは電子の移動距離が長くなったりするため、必ずしも性能が向上しないばかりか、成膜作業が繁雑になってしまう。
本発明の金属酸化物膜は、BET法による比表面積が1m2/g以上30m2/g未満の金属酸化物粒子群と、30m2/g以上500m2/g以下の金属酸化物粒子群とから選ばれる少なくとも2種類以上の粒子群で構成されることが好ましい。比表面積が30m2/gよりも大きな金属酸化物は増感色素を吸着し電子発生量を増やす働きを有する。比表面積が30m2/gよりも小さい金属酸化物は、光散乱材として、金属酸化物膜内の光散乱を促進し増感色素の光吸収効率を高める目的で使用される。比表面積が30m2/gよりも小さい金属酸化物を含む金属酸化物膜内では、入射光が光散乱材を介して複数回屈折するために、入射光が金属酸化物内を進む見かけ上の距離が大きくなる結果、光が増感色素に吸収される割合が高くなる。
本発明の好ましい態様における金属酸化物膜において、金属酸化物膜を構成する金属酸化物には気相法で合成されたものが30質量%以上含まれることが好ましい。ここでいう気相法とは、例えば四塩化チタンのような金属塩化物等を高温で酸素等の酸化性ガスと反応させる方法を示し、例えば金属酸化物が二酸化チタンの場合、特許文献4、特許文献5、特許文献6等の方法によって合成することが出来る。金属塩化物等を湿式で加水分解することで得られる、いわゆる液相法金属酸化物は合成時の熱履歴が低く、そのままではネッキング構造が少ないため、電子移動の効率は悪いが、気相法で合成される金属酸化物粒子は合成時の熱履歴が高いため結晶性が高く、かつ、ネッキング結合を持ち、電子移動が容易で、電解液の拡散に有利な構造となる。
金属分散物中にネッキング粒子群、特に気相法ネッキング粒子群が存在することによって、電極として電子の移動性能が高まることについては前述した。またネッキング粒子群が含まれることによって、膜として以下のような特性が向上し、色素増感型太陽電池用電極として至適であることが分かった。
(a)強度が高い膜を形成可能
電極膜として要求される特性の一つに、膜強度が高いことが挙げられる。本発明の好ましい実施態様の電極膜は、樹脂基板上に塗布されることを目的の一つとしており、その可撓性を発揮するため、折り曲げに対して特に大きな強度を持つことが好ましい。また、電極成膜後、対極との電子的絶縁性を保つためセパレーターが用いられることがあり、セパレーターと物理的接触があっても、電極が剥離しないことが好ましい。
本発明の好ましい態様における金属酸化物電極では、図2に示すようなネッキング構造を有する粒子群のある点が基材表面と接触することによって、基材に対して固定される。このようにアンカーとしての効果をもつネッキング粒子群が配合されることによって、膜強度は向上する。もう一つの効果として、ネッキング粒子群は、3次元構造を持つことにより他の粒子群の自由度を小さくするという働き、すなわち膜全体の構造を支持する骨組みとしての作用もあると考えられる。
(b)結着成分量の低減が可能
金属酸化物電極膜がネッキング構造を有する粒子群を含有する場合、ネッキング構造を有する分だけ、結着成分量を減らすことができ、且つ膜の強度は向上する。また、膜の強度は前述の理由からも向上する。このため、結着成分の量を従来の成膜より減らし又は全く使わずして成膜することが可能である。この結果、粒子群の特性に対する結着成分の阻害を最小限にあるいは無くすることができる。
(c)電極として性能の高い膜を形成可能
前述のとおり、ネッキング粒子群を用いるとバインダー量の低減が可能であるため、金属酸化物粒子群の金属酸化物としての機能を十分発揮させることができる。色素増感型太陽電池色素電極は、電子を受容する対象である電解質と金属酸化物粒子表面の色素とが接触する必要があり、このためには膜が多孔質であることが必要である。さらに、欠陥による逆電子移動を防ぎ、目的とした電子流路の割合を高めるため、結晶性が高いことが好ましい。ネッキングを有する粒子は、粒子としての特性を失わずに表面の結晶が隣接する粒子と連続しているので、単独の粒子よりも長距離の結晶秩序を持つ金属酸化物多孔体電極膜を形成することを可能にする。
(d)塗工性の向上
電極成膜用金属酸化物分散液に求められる特徴として、これまで上記の各項目を説明したが、成膜後電極としての性能と同時に、濡れやすさ、また、塗りむらができないようなチキソトロピー性、レベリング性も必要である。濡れや粒子群の分散を考慮すると、酸化物粒子群が例えば二酸化チタン系である場合には本発明のようにアルコールのような常温での蒸気圧が比較的高い溶媒が用いられることが多い。この際、ネッキング構造を有さない粒子群のみを含有すると、塗工後の分散液の乾燥を制御することが困難で、液垂れ跡、塗りむら跡などが残りやすく、強度低下、意匠性の低下につながる。これに対して、ネッキング粒子群を含有する分散液では、チキソトロピー性、レベリング性、塗工後の液の保持性に優れ、部分によって乾燥むらができることによる液ダレ跡の発生を防ぐことができる。ネッキング粒子群を配合した場合に上記のような特性を改善できる要因や急速な乾燥を防ぐことができる要因は定かではないが、ネッキング粒子群がもつ複雑なネッキング構造が分散液の塗工性の改善及び液の保持を担っていると考えられる。
(e)タック性の低減
一般に金属酸化物膜はタック性が高く、手で膜表面をなぞると、引っ掛かりを感じる。これは粒子群表面と手との化学的な親和性、物理的な相互作用によるものであると考えられる。このため、電極膜がタック性の高いものであると、セパレーターあるいは樹脂対極のように柔らかいものであっても剥離の原因となることがある。膜の強度試験としては尖ったものに接触されることを想定した鉛筆強度試験などがあるが、この鉛筆強度試験では充分に強度がある膜であっても、タック性があると面で擦ると剥離することがある。本発明の好ましい実施態様におけるネッキング粒子群を含有する膜ではこのタック性が低減し、面によって擦られた際の剥離が起こりにくくなる。タック性が低減する機構については明確ではないが、ネッキング粒子群の一部が膜から突出することによって、ネッキング粒子群以外の粒子群による平滑な膜と、擦る媒体、例えば樹脂電極とが面同士で接触するのを妨げる機構が働いたり、構造的強度の強いネッキング粒子群が優先的に対象と接触することによって、膜強度を維持していると考えられる。
ネッキング粒子群及びそれ以外の粒子群は適切なネッキングの程度であることが好ましい。ネッキング粒子群、それ以外の粒子群及びバインダー成分が存在する系においては、レーザードップラー型の粒度分布測定器を用いると、少なくとも二つの粒度分布のピークを持つことが確認できる。本発明においては、この粒度の分布を、ELS−800(大塚電子(株))を用いて定義することが好ましい。以下に測定法を示す。
測定サンプルは粉体濃度が0.07質量%になるように特級エタノール(関東化学(株))で希釈し、この液を200mlパイレックス(登録商標)製ガラス容器に150mlとり、超音波洗浄機iuchi ultrasonic cleaner VS−70U(出力65W、水槽容量800ml)を用いて1分間照射を行いサンプルを得る。液体サンプルを内寸10mm四方のポリスチレン製角形セルUltra−Vu Disposable Cuvettes(Elkay社製)にセルに示された規定量まで入れ、測定を行う。測定の際に設定した各変数は以下の通りである。
測定系は25℃恒温とし、分布解析にはマルカット法を用いる。積算回数は100とする。測定モードはタイムインターバル法を用いる。サンプリングタイムは20μsec、取り込みチャンネル数は512とする。ホモダイン法を用い、最適光量を10000、最低光量を5000,最高光量を20000に設定する。エタノールの粘度は1.10cP、屈折率1.3595、比誘電率24.5、として解析を行う。装置の初期設定においては、ダストカット機能によって、粗粒側の結果が小さくなってしまうが、本測定においてはネッキング粒子群が数μmの部分に現れることがあるため、このダストカット機能はオフにする。散乱強度モニターを用いて強度のばらつきが100カウントで20%以内になったところで測定を開始する。ネッキング粒子群とそれ以外の粒子群の比率は、粒子の質量分布を、面積積分する事によって判断する。
上記の手法によって定義される、比較的大きな粒径を持つネッキング粒子群は、構造を保持し、これまで述べてきたような特性を示すために、金属酸化物分散液中での粒度分布としてモード径が他の粒子群の2倍以上であることが望ましい。また、あまり大きいと電極膜中から突出し、膜はがれの要因となってしまうため、5000nm以下にピークを持つような粒度分布を分散液中で示すことが望ましい。ただし、これらの粒度分布を示した粒子群は、塗工時に剪断、邂逅されるため、塗膜中にはこれ以下の粒子としてしか存在しない可能性がある。
また、ネッキング粒子群以外の粒子群であって比較的小さな粒径を持つ粒子群は、5nm以上400nm以下で金属酸化物膜中に存在することが望ましい。この粒子群は、ネッキング粒子群の空隙に入る役目を果たすため、一次粒子に近いことが望ましい。しかしながら、金属酸化物膜を作成するための分散液中にバインダー成分が存在する場合、実際には完全に一次粒子の状態で存在させることが困難であり、凝集を伴って一次粒子の数十倍の粒径となって測定されることもあり得る。ネッキング粒子群の粒度分布のピーク位置はより望ましくは、50nm以上4000nm以下であることが望ましく、ネッキング粒子群の粒度分布のピーク位置はより望ましくは10nm以上300nm以下にあることが望ましい。
分散液中に含まれるネッキング粒子群に関しては、レーザー回折型粒度分布計SALD−2000J(島津製作所製)を用いて、粒度分布を定義することも可能である。レーザードップラー式粒度分布計を用いた際に観察されたネッキング粒子群以外の粒子群によるピークは、レーザー回折型分布計を用いた際には粒径の測定下限に近いためか、明確には観察されないこともあるが、少なくとも分散液中に含まれるネッキング粒子群の規定は可能である。回折型粒度分布計の測定方法は以下の通りである。
サンプルを0.05質量%となるように特級エタノールで希釈し、SALD−2000Jで回折光強度が測定領域に達するまで該希釈サンプルを測定系に投入する。この際、あらかじめ測定系もエタノールで充分に置換し、満たしておく。粉体の屈折率としては、2.50−0.1i(iは虚数)で解析を行った。
本発明好ましい実施態様における粒子群を上記手法によって測定した場合と、体積粒度分布において少なくとも0.2μ以上4μ以下にピークを持つことが好ましい。0.2μ以上にピークを持つと分散液が本発明における(a)〜(f)までの特性を発揮しやすい。ただし、4μmを越えると、分散液から作成された膜から粒子が突出し、はがれの原因となることがある。(a)〜(f)までの特性を十分に発揮するためには、0.4μm以上3μm以下であることがより望ましい。
本発明の好ましい実施態様における金属酸化物膜中の粒子は、ネッキング構造を多く持つものと、あまり多く持たないものより構成されるが、分散液の乾燥粉体、すなわちネッキング粒子群とネッキング構造をあまり持たない粒子群との混合物のBET比表面積より換算された平均一次粒子が、5nm以上50nm以下であることが好ましく、7nm以上50nm以下であることがさらに好ましい。算出方法は以下の式(2)によって示す。5nm未満の粒子を作ろうとすると、生産上の困難が伴う場合がある。50nmを越えると作成された電極の総表面積が低下し、膜の特性が損なわれる場合がある。
これらの金属酸化物分散液を製造する手法としては、ネッキング粒子群の原料とネッキング構造をあまり持たない粒子群の原料を配合することによって行うことが可能である。
ネッキング粒子群がm個連なってネッキング構造を持っている場合には、ネッキング構造をあまり持たない粒子群はその1/2以下の個数の粒子(0.5m個以下の個数の粒子)でしか連なっていないものであることが好ましく、より好ましくは1/5以下の個数の粒子(0.2m個以下の個数の粒子)でしか連なっていないものが良い。ネッキング構造をあまり持たない粒子群に関しては、まったくネッキングせず、一次粒子がそのまま存在していている場合においても本発明における目的は達成される。つまり、ネッキング構造をあまり持たない粒子群のネッキング粒子の個数は平均0.000000001〜0.2m個が好ましく、平均0.0000001m〜0.1m個がさらに好ましい。
ネッキング粒子群のネッキングしている個数は、TEMやSEMなどの顕微鏡で観察し判断してもよいが、個数が極めて多く、且つ顕微鏡の視野も限られる。このため、レーザー回折式粒度分布計による粒子径DL(いわゆるD50値)、タップ密度Ρ(JIS K−5101−20.2による測定値)、BET法による一次粒子径D1、チタニアの真密度をρとしたとき、ネッキングしている個数mを以下の手法で決定する。
原料粉体のDLの値の測定においては、分散液の粒度分布を測定した際と機器としては同様にレーザー回折式粒度分布計を用いるが、対象が粉体であるため手法としては以下に示すような異なるものを用いる。
二酸化チタンが粉体換算で0.05g含まれる水スラリー50mlに10%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液100μlを加え、3分間超音波照射(46KHz、65W)する。このスラリーについてレーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所 SALD−2000J)を用いて、粒度分布を測定する。
また、ネッキング粒子群又はネッキング構造をあまり持たない粒子群の一次粒子の粒径D1は、BET法で求めた比表面積を、粒子を球形に換算して(2)式より求めた平均の一次粒径をいう:
D1=6/ρS(式中、ρは粒子の真密度、Sは粒子の比表面積)…(2)
ネッキング粒子群のネッキングしている個数は、粒度分布、TEMなどによって分析可能であるが、粒度分布を測定することが好ましい。ネッキング構造をあまり持たない粒子群の粒子の粒径はレーザー回折式での測定範囲の下限値に近いことがあり、正確な分析を行うためには、先述のレーザードップラー式の粒度分布測定装置を用いる。試料準備方法も先述のELS−800を用いたときと同様にして行う。ただしゾルは乾燥粒子とせず、ゾル状態のまま希釈して規定濃度としたものを測定試料として使用する。散乱光強度が最強となる粒子径をDL、乾燥粉のタップ密度をΡとし、式(1)よりネッキングしている個数mを求める。
本発明におけるネッキング粒子群及びGは、各々、単独で粒度分布を測定した際と、ネッキング粒子群、ネッキング構造をあまり持たない粒子群、及び必要であればバインダーを混合して粒度分布を測定した際には、凝集状態が異なる場合が多い。
式(2)より算出されたネッキング粒子群の平均一次粒子径は7nm以上200nm以下であることが望ましい。7nm未満であっても使用は可能であるが、ネッキング粒子群の生産性が悪くなり高コストなものとなってしまう場合がある。また200nm超の粒子径であっても使用は可能であるが膜の総合比表面積が低下し、これを含有する酸化物分散液から高性能な電極膜を得ることが難しくなってしまう場合がある。
次に気相法二酸化チタンの製造方法について説明する。
気相法における粒子の成長機構には大別して2種類あり、一つは、CVD(化学的気相成長)であり、もう一つは粒子の衝突(合体)や焼結による成長である。本発明の目的とするような超微粒子状の二酸化チタンを得るためには、いずれの成長時間も短くすることが好ましい。すなわち、前者の成長においては、予熱温度を高めておいて化学的反応性(反応速度)を高めること等により成長を抑えることができる。後者の成長においては、CVDが完結した後速やかに冷却、希釈等を行い、高温滞留時間を極力小さくすることにより、焼結等による成長を抑えることができる。
四塩化チタンを含有するガスを酸化性ガスで高温酸化することによって二酸化チタンを製造する気相法において、四塩化チタンを含有するガス及び酸化性ガスをそれぞれ500℃以上に予熱しておくと、CVDの成長を抑えることができるので好ましい。BET比表面積が3〜200m2/g、より好ましくは50〜150m2/gの微粒子二酸化チタンを得、それを原料とすることができる。
原料となる四塩化チタンを含有するガスは、該ガス中の四塩化チタン濃度が10〜100%であることが好ましく、20〜100%であることがさらに好ましい。四塩化チタン濃度が10%以上のガスを原料として用いると、均一核の発生が多くなり、または反応性が高くなるので、CVD支配による成長した粒子が形成されにくくなり、粒度分布の狭い粒子が得られる。
また、四塩化チタンを含有するガス中の四塩化チタンを希釈するガスは四塩化チタンと反応せず、かつ酸化されないものを選択することが好ましい。好ましい希釈ガスとしては、具体的には窒素、アルゴン等が挙げられる。
四塩化チタンを含有するガスと酸化性ガスの予熱温度は500℃以上であることが好ましく、より好ましくは800℃以上である。予熱温度が500℃より低いと、均一核の発生が少なく、かつ反応性が低いため粒度分布のブロードな粒子となってしまう。
四塩化チタンを含有するガスと酸化性ガスを反応管に導入する際の流速は10m/秒以上であることが好ましい。流速を大きくすることによって、両者のガスの混合が促進されるからである。より好ましくは20m/秒以上200m/秒以下であり、さらに好ましくは50m/秒以上150m/秒以下である。反応管へのガスの導入温度が500℃以上であれば、混合と同時に反応が完結するので均一核の発生が増進され、かつ、CVD支配による成長した粒子が形成されるゾーンを短くすることができる。
反応管に導入されたガスが十分に混合されるように、原料ガスを反応管へ導入することが好ましい。反応管内におけるガスの流体状態についてはガスが十分に混合されれば特に制限はないが、好ましくは、例えば、乱流が生じる流体状態である。また、渦巻き流が存在していてもよい。
なお、原料ガスを反応管に導入する導入ノズルとしては、同軸平行流、斜交流、十字流等を与えるノズルが採用されるが、これらに限定されない。一般に同軸平行流ノズルは、斜交流や十字流を与えるノズルに比べて混合の程度は劣るが、構造が簡単なので設計上好ましく用いられる。
例えば、同軸平行流ノズルの場合は、内管に四塩化チタンを含有するガスを導入する。ただし、ガスの混合の観点から内管径は50mm以下、より好ましくは30nm以下であることが好ましい。
ガスの混合を完全に行うためには、反応管内に導入されるガスの反応管内における流速は大きいことが好ましく、特に、平均流速で5m/秒以上、より好ましくは8m/秒以上であることが好ましい。反応管内のガスの流速が5m/秒以上であれば、反応管内における混合を十分に行うことができ、CVD支配による成長した粒子の発生が少なく、粒度分布のブロードな粒子が生成されることがない。
反応管内におけるこの反応は発熱反応であり、反応温度は製造された微粒子二酸化チタンの焼結温度より高温となる。反応装置からの放熱はあるものの、反応後、急冷しないかぎり製造された微粒子の焼結が進行し、成長した粒子になってしまう。本発明においては、反応管内の600℃を越える高温滞留時間は3秒以下とし、その後急冷することが好ましい。
反応後の粒子を急冷させる手段としては、反応後の混合物に多量の冷却空気や窒素等のガスを導入したり、水を噴霧したりする方法等が採用される。
二酸化チタンは、アナターゼ型二酸化チタンやブルッカイト型二酸化チタンを含むことが好ましい。また、二酸化チタンのBET比表面積が、10〜100m2/gであることが好ましく、さらに20〜75m2/gであることがさらに好ましい。また、二酸化チタンの粒度分布はシャープであることが好ましい。具体的に、粒度分布の測定手順について以下に説明する。
二酸化チタン0.05gに純水50ml及び10%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液100μlを加えたスラリーに、3分間超音波照射(46KHz、65W)する。このスラリーをレーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所 SALD−2000J)にかけて、粒度分布を測定する。このようにして測定された粒度分布における90%累積重量粒度分布径D90の値が小さければ、親水性溶媒に対して良好な分散性を示していると判断される。本発明における二酸化チタンのレーザー回折式粒度分布測定法にて測定される90%累積重量粒度分布径D90は、2.2μm以下であることが好ましい。
さらに、二酸化チタン粒度の均一性については、ロジン・ラムラー(Rosin−Rammler)式を用い、その分布定数(n)で規定することができる。ここで、ロジン・ラムラー式について以下に簡単に説明するが、その詳細はセラミック工学ハンドブック((社)日本セラミック協会編 第1版)第59〜62頁および第596〜598頁に記載されている。
ロジン・ラムラー式は下記式(3)で表される。
R=100exp{−(D/De)n} (3)
式中、Dは粒径を表し、RはD(粒径)より大きな粒子の全粒子に対する質量百分率であり、Deは粒度特性数である。また、nは分布定数と呼ばれR=36.8(%)に相当する粒径である。
(3)式を変形すると下記式(4)が得られる:
log{log(100/R)}=nlogD+C (4)
式中、Cは定数を表す(C=log・loge−nlogDe)。
上記式(4)から、x軸にlogD、y軸にlog{log(100/R)}の目盛をつけたロジン・ラムラー(RR)線図にそれらの関係をプロットするとほぼ直線となる。その直線の勾配(n)は粒度の均一性の度合いを表し、nの数値が大きいほど粒度分布が狭いと判断される。
本発明における二酸化チタンのロジン・ラムラー式による分布定数nは1.7以上であることが好ましい。
BET法による比表面積が1m2/g以上30m2/g未満の金属酸化物粒子群(粒子群A)と、30m2/g以上500m2/g以下の金属酸化物粒子群(粒子群B)とから選ばれる少なくとも2種類以上の金属酸化物粒子を使用する場合、質量比率(A/B)0.01〜0.5の範囲で併用することが好ましい。
粒子の充填状態を示す指標の一つとしてタップ密度が挙げられる。充填密度が高まるに従い、値は増加する。タップ密度は以下の方法により測定される。
装置は、ホソカワミクロン(株)製粉体特性総合測定装置タイプPT−D等を用いる。試料を、補助カップを備えた100cm3カップに充填し、測定装置にて100回タッピングさせる。補助カップを取り外した後、試料を正確に100cm3とし、試料の質量(g)を測定する。タップ密度は粉体の質量(g)を100で除して得る。
本発明においては、得られる金属酸化物構造体のタップ密度を、0.15g/cm3以上1.0g/cm3以下にすることが好ましい。タップ密度が0.15g/cm3未満である場合、充填密度が不足していることを示し、タップ密度が1g/cm3より大きいと、金属酸化物構造体を分散体として利用する際に分散しにくくなる。分散状態の悪い金属酸化物構造体分散体は、金属酸化物構造体の空隙部分が少なく、色素増感型太陽電池にした際、電解質が金属酸化物層に拡散しにくくなり、金属酸化物層内部で電解質が不足する。電解質が不足すると電荷移動がスムースに進まなくなる。
乾式混合には、例えば、ボールミル、高速回転粉砕機、撹拌ミル、ジェット粉砕機等が用いられる。粒子群にメカノケミカル反応を生じさせるエネルギーを与えるものであれば、公知のいずれの混合方法も採用可能であり、どのようなものを利用しても良いが、使用する機材はコンタミしにくい材質が好ましい。以下、ボールミルのうち、転動ボールミルを例に説明する。
転動ボールミルは最も汎用的な混合・粉砕方法であり、円筒状の容器を転動させることで起こる容器内の粉体とメディアの衝突、摩擦作用等を利用している。この場合のエネルギー定数kは、転動ボールミルによる混合、粉砕効果を統一して評価する指標として提案されており(非特許文献4)、下式で表される:
k=wm/wp×d×n×t
(式中、wpは混合する粉の総質量(g)、wmはメディア質量(g)、dはボールミル容器内径(m)、nは回転数(rpm)、tは混合時間(分)を示す。)
エネルギー定数が高くなるほど粉体が受ける衝突、摩擦エネルギーは増加し、メカノケミカル反応が進行するのであるが、それに伴なって凝集が激しくなる。
本発明の金属酸化物構造体の製造方法においては、乾式混合におけるエネルギー定数をkとしたとき、k1が、3,000以上250,000以下であることが望ましい。エネルギー定数k1が下限値を下回ると、メカノケミカル反応が不充分となり、粒子同士の結合が生じにくい。エネルギー定数k1が上限値よりも高いとメカノケミカル反応は進行するものの、金属酸化物構造体を分散体として利用する際に分散しにくく、得られる金属酸化物構造体の空隙部分が少なくなる。空隙部分の減少は色素増感型太陽電池にした際の電解質拡散に悪影響を与え、太陽電池の性能を低下させる。また、過剰なメカノケミカル反応は、金属酸化物構造体の伝導帯エネルギー準位を極端に低下させるため、太陽電池にした際の開放電圧が低下し、光電変換効率を下げてしまう。
他の混合方法においても、混合粒子群にメカノケミカル反応を生じさせるのに充分なエネルギーを与える条件に調整することが望ましい。例えば、高速回転粉砕機にあっては、回転数、滞留時間等の調整;撹拌ミルにあっては、撹拌速度、メディア質量、撹拌時間等の調整;ジェット粉砕機にあってはキャリアガスの圧力、滞留時間等の調整を行い、メカノケミカル反応を進行させれば良い。
メカノケミカル反応を検知する方法として、乾式混合前後のオプティカルバンドギャップ(以降、BGと略記する。)の変化を測定する方法が挙げられる。
金属酸化物のBGの変化は、メカノケミカル反応によって金属酸化物粒子の表面近傍の分子軌道が変化するために生じているものと考えられる。一次粒子径の異なる粒子は粒子表面の格子状態も異なるため、BGに差が存在する。メカノケミカル反応によってBGの異なる粒子同士が結合すると、新たな分子軌道が生じ、メカノケミカル反応前のBGとは異なる値となる。また、粒子表面の結晶性が低下し、BGが変化する現象も起こりうる。よって、乾式混合前後のBG差(以降、ΔBGと略記する。)を測定することにより、粒子群Aの粒子と粒子群Bの粒子の結合や表面状態を規定することが出来る。ここで、BG、及び、ΔBGの測定方法について以下に説明する。
(株)島津製作所製積分球式分光光度計UV−2400及びISR−240A型等を用いて、波長と吸光度の関係を測定する。得られた吸光度のパターン(図3参照)の変曲点に対して接線を引き、接線が波長軸と交わる点(吸収端波長)を読み取る。吸光度のパターンと吸収端波長の関係の一例を図3に示す。
BGは下記の式で表される:
E=1240/λ
(式中、EはBG[eV]、λは吸収端波長[nm]を示す)。
したがって、乾式混合前のBG及び吸収端波長をそれぞれBG0[eV]、λ0[nm]、また、乾式混合後のBG及び吸収端波長をそれぞれBG1[eV]、λ1[nm]とすると、乾式混合前後のBG[eV]は、それぞれ下記のようにして表される:
BG0=1240/λ0
BG1=1240/λ1
よって、乾式混合前後でのΔBG[eV]は、次式で表される:
ΔBG=BG0−BG1=(1240/λ0)−(1240/λ1)
一般に、アナターゼ型二酸化チタンのBGは、3.2eVと言われている(非特許文献5参照)が、メカノケミカル反応によりBGは低下する傾向が見られる。
他の金属酸化物、あるいはそれら混合物でも同様のBG低下傾向は認められる。
本発明の製造方法においては、得られる金属酸化物構造体の乾式混合前後のΔBGを0.01eV以上0.45eV以下にすることが望ましい。ΔBGが0.01eVよりも小さい場合は粒子同士の結合が少ないことを表し、粒子間の電子移動が行われにくい。ΔBGが0.45eVよりも大きい場合は、粒子表面の結晶性の低下が大きく、電子移動速度が低下するとともに、金属酸化物構造体の伝導帯エネルギー準位が極端に低下するため、太陽電池にした際の開放電圧が低下し、光電変換効率を下げてしまう。
本発明の二酸化チタン構造体においては、BG1が2.7eV以上3.1eV以下であることを特徴とすることが好ましい。
本発明の金属酸化物膜は、色素増感型太陽電池に使用可能なもの、例えば、二酸化チタンや、二酸化チタンと酸化ニオブ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムから選ばれる少なくとも2種類以上の混合物で構成されることが好ましい。金属酸化物膜が2種類以上の半導体で構成される場合、二酸化チタンは10質量%以上含むことが好ましい。
本発明の金属酸化物膜は、金属酸化物粒子と結着剤を溶媒に分散させた分散液を、電極基板に塗布し、乾燥させて得ることができる。
金属酸化物を分散させる分散媒には、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、t−ブタノール等、又はそれらの混合溶媒等の親水性溶媒が挙げられる。電極基材に樹脂を使用する場合は後述の色素増感太陽電池の製造における乾燥工程の乾燥温度が室温〜200℃の範囲であることから、分散媒は常圧での沸点が200℃以下であるものが好ましいが、減圧装置等の分散媒の沸点を降下させる装置の内部で分散液を塗布するのであればこの限りではない。
金属酸化物の溶媒への分散方法は、ボールミル、高速回転粉砕機、攪拌ミル、超音波発生器を利用した装置、乳鉢、ペイントコンディショナー、ホモジナイザーなど、金属酸化物と分散媒を混合させ、且つ金属酸化物の凝集を解する分散機であれば特に制限はない。分散処理に当たっては、金属酸化物、結着剤、分散媒を同時に分散機で処理しても良いし、予め金属酸化物と結着剤を混練しておき、その混合物を分散媒に分散させても良い。また、結着剤は分散媒で溶解させ、希釈したものを使用しても良い。
金属酸化物を分散させた分散液を電極基板に塗布する方法は、均一な膜厚を有する金属酸化物膜が形成できる方法であれば特に制限はない。ここで、分散液に含まれる金属酸化物や結着剤の含量、種類によって得られる分散液の粘度は異なるため、その分散液の粘度に適した塗布方法を選択することが望ましい。例えば、分散液の粘度が数百mPa・s以下である場合はスピンコーターやエアースプレー装置、超音波噴霧器等を用いた塗布方法が適しており、分散液粘度が数千mPa・sである場合はスキージ法やドクターブレード法等が、また、数万mPa・s以上の粘度の分散液にはスクリーン印刷法等が適しているが、粘度と塗布方法の関係は上記の例に限られない。
本発明の好ましい実施形態における金属酸化物膜は、電極基板に上記分散液を塗布した後、乾燥させることで得られる。ここでいう乾燥方法とは、電極基板の上に膜状に形成された金属酸化物分散液より金属酸化物分散液に含まれる分散媒を蒸発させ、除去することであり、固体化した金属酸化物膜を得ることである。従って、乾燥する工程については、金属酸化物の塗膜が乾く操作であれば制限なく使用できる。例を挙げれば、塗膜に乾燥空気を吹き付ける方法、ドライヤー等で温風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、電極基板を昇温する方法などが短時間で処理が行えるために好ましい。ただしこの場合、電極基板に加わる熱の上限は、結着剤がその物理物性を維持できる上限温度、あるいは電極基材の耐熱温度のいずれか低い方としなければならない。具体的には、室温〜200℃の範囲が好ましい。ここで言う耐熱温度とは、基板に不可逆な変形、変色、機械特性の低下、あるいは分解といった現象が発生する最低温度のことである。基板として通常の樹脂を使用した場合には、樹脂の軟化温度あるいは分解温度がこれに相当する。
このようにして得られた電極基板上に形成された機械強度が高く、かつ、電子発生量が多く、電子移動性も良好な金属酸化物膜は色素増感太陽電池に適している。
色素増感太陽電池の製造工程は、金属酸化物膜を構成する金属酸化物表面に増感色素を担持させ色素電極を得る工程と、触媒作用と導電性とを有する対極を得る工程と、色素電極の金属酸化物膜面側と対極の電気伝導性を有する面を対向させ、前記色素電極と対極の間に電解液を充填し、密閉する工程を含んでいる。また、電極基板に可とう性を有する電極基材が使用された場合、色素電極と対極の短絡を防ぐため、両電極間にはセパレーターを挿入することが好ましい。
金属酸化物表面に担持する増感色素としては、色素増感型太陽電池に用いられる色素が広く使用できる。具体的には、ルテニウムビピリジウム錯体、キサンテン系色素、メロシアニン色素、クマリン系色素、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体などである。金属酸化物上に増感色素を担持する方法は一般的に用いられるもので、増感色素をアルコールに溶解させた溶液に金属酸化物膜が形成された電極基板を浸すことで行う。
対極とは電気抵抗が2000Ω/□以下のもので、かつ触媒作用を有する材料であれば、透明であっても不透明であっても制限なく使用できる。ここでいう触媒作用とは色素電極上で酸化された電解質が対極上で過電圧を生じることなく還元するように作用するものである。具体的には、白金、ルテニウム、グラファイト、カーボンブラックがこの機能を有する。従って、対極の電解層に接する部分に、これらの成分のいずれかあるいは複数が存在することが必要である。対極の例を挙げると、炭素繊維、気相法炭素繊維、カーボンナノチューブ、VGCF(登録商標)、黒鉛粉末、カーボンブラック、グラファイトをポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ポリフッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ポリフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、スチレン−ブタジエンゴム等で練り合わせた後にシート状に成形したもの、あるいは、ルテニウムメッシュ、白金板、白金繊維、白金を表面に担持した電極などがある。これらの作製に用いる手法としては、混合法、蒸着法、電気化学的手法、反応化学的手法等一般に用いられる方法が挙げられる。
電解層に用いる電解液としては、通常の色素増感型太陽電池に使用可能なものであれば特に制限はない。具体的には、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化メチルエチルイミダゾリウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムおよびヨウ素を非プロトン性極性溶媒、例えば、アセトニトリル、エチレンカーボネート、メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネートに溶解したものが挙げられる。
セパレーターは、電気的な絶縁物であり、かつ、電解質の移動を妨げず、電解質や溶媒と反応しないものであれば特に制限されない。具体的にはセルロース系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリビニルアセタール系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリイミド、ポリアクリル系、ポリ乳酸系等の多孔膜が挙げられるが、球状で粒度分布の小さなポリ塩化ビニルやポリビニルアルコール等の有機重合体や、二酸化チタンや酸化アルミニウム等の球状金属酸化物等を電解層に混合し、セパレーターとして使用することも可能である。
このようにして得られた色素増感太陽電池は電極基材に樹脂を採用することが可能であり、組み合わせる素子や部品もフレキシブルな基材をベースにすれば、得られる複合素子もフレキシブルにすることができる。
そのような色素増感太陽電池やその複合素子を利用した物品の例としては、例えば、建材、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、携帯電話、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、文房具、衣類、ワッペン、帽子、鞄、靴、傘、ブラインド、意匠性窓ガラス、布製品、繊維、革製品、紙製品、樹脂製品、スポーツ用品、蒲団、容器、眼鏡、看板、掲示板、配管、看板、アドバルーン、配管、配線、金具、照明、LED、信号機、街灯、衛生資材、自動車用品、玩具、交通信号機、道路標識、装飾品、テント、クーラーボックスなどのアウトドア用品、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源などが、発電、発光、発熱、音響の発生、運動の機能を有する物品として挙げることができる。
また、前記色素増感太陽電池やその複合素子の製造工程を構成する部材を揃えて、学習教材セットやDIYセットとすることもできる。
以下、二酸化チタンについて実施例及び比較例にて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
〈色素溶液調製〉
アセトニトリル(関東化学(株)製、試薬特級)50容量%、エタノール(関東化学(株)製、試薬特級)50容量%の混合溶媒に、3mmol/Lのルテニウム錯体色素(Ru(dcbpy)2(NCS)2 小島化学薬品(株)製)を溶解させた。
〈電解液の調製〉
アセトニトリルに、0.1mol/リットル ヨウ化リチウム(キシダ化学(株)製、純度97%)、0.05mol/リットル ヨウ素(関東化学(株)製、試薬特級)、0.5mol/リットル テトラブチルアンモニウムヨウ素塩(Acros Organics製、純度98%)を溶解させた。
〈光電変換効率測定法〉
作製した色素増感太陽電池に、光源としてキセノンランプ(ウシオ電機(株)製、UXL−150D−S)を使用し、100mW/cm2の光線を照射した。この時の最大光電変換効率をポテンショスタット(北斗電工(株)製、HAB151)を使用して測定した。
実施例1:
気相法で合成された二酸化チタン(昭和電工(株)製、スーパータイタニア(登録商標)F−5)50g、ポリN−ビニルアセトアミド(昭和電工製、VIAC GE−191)0.5g、水150g、3φジルコニアボール500gを800cm3のポリエチレン容器(φ96×133mm)に入れ、ボールミル((株)アサヒ理化製作所製、AV)にて回転数80rpmで12時間分散させて二酸化チタン分散液を得た。これをドクターブレード法(70ミクロンアプリケータを使用)でガラス電極(A110U80、旭硝子(株)製、フッ素ドープ酸化スズ膜付きガラス)上に塗布後、室内に2時間放置して、膜厚10μmの電極基板上に形成された二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度は5Hであった。
次にこの二酸化チタン膜を色素溶液に12時間浸して色素電極を得、その金属酸化物膜の大きさが5×5mmとなるように、余分な金属酸化物膜をカッターナイフを用いて削り取った。一方、前記と同じ別のガラス電極上にスパッタリング装置で厚さ0.1μmの白金を担持した対極と、前記色素電極とをそれぞれの活性面が内側にくるように重ねあわせ、ガラス電極の側面をエポキシ樹脂(コニシ(株)製、ボンドクイック5)で封止した。電解層の厚さ(約40μm)は2枚の電極の両端にテープ状のスペーサーをはさむことで調整した。次にあらかじめガラス電極にあけておいた微小孔より2枚の電極の隙間に電解液を注入して色素増感太陽電池を得た。注入口は側面と同様にエポキシ樹脂で封止した。この太陽電池の光起電力は、4.0mW/cm2であった。
実施例2:
実施例1のポリN−ビニルアセトアミドに替えてポリアクリル酸ナトリウム(昭和電工(株)製、)0.01gを配合した以外は実施例1と同様に、二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度は3Hであった。この二酸化チタン膜を用い、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を作製した。この太陽電池の光起電力は3.6mW/cm2であった。
実施例3:
実施例1の二酸化チタン分散液を塗布後、室温での放置ではなく、乾燥器での120℃、5分間乾燥に替えた以外は実施例1と同様に、二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度は6Hであった。この二酸化チタン膜を用い、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を作製した。この太陽電池の光起電力は4.2mW/cm2であった。
実施例4:
実施例1のガラス電極をITO/PETフィルム(株)トービ製、OTEC−110)に替えた以外は実施例1と同様に、二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度は5Hであった。この二酸化チタン膜を用い、色素電極と対極の間に25μmの厚みのセルロース系セパレーターを挿入した以外は実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を作製した。この太陽電池の光起電力は3.9mW/cm2であった。
実施例5:
実施例1について、二酸化チタン(昭和電工(株)製、スーパータイタニア(登録商標)F−5)80gと酸化亜鉛(昭和電工(株)製、UFZ−40)20gに替えた以外は実施例1と同様に、二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度は3Hであった。この二酸化チタン膜を用い、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を作製した。この太陽電池の光起電力は3.3mW/cm2であった。
実施例6:
実施例3の二酸化チタン分散液の塗布について、ドクターブレード法をスピンコート法(回転数800rpm、回転時間3秒間を8回繰り返し)に替えた以外は実施例1と同様に、二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度は6Hであった。この二酸化チタン膜を用い、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を作製した。この太陽電池の光起電力は4.4mW/cm2であった。
比較例1:
実施例1の金属酸化物分散液でポリN−ビニルアセトアミドを添加しなかったものを用いて、実施例1と同様の方法で二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度はHに大きく満たなかった。この二酸化チタン膜を用い、実施例1と同様に色素増感型太陽電池を作製したが、太陽電池が完成するまでの工程で二酸化チタン膜の一部がガラス電極上から剥離したため、この太陽電池の光起電力は測定できなかった。
比較例2:
実施例1のポリN−ビニルアセトアミドを0.5gから0.005gに換えた以外は実施例1と同様に、二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度はHに満たなかった。この二酸化チタン膜を用い、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を作製した。この太陽電池の光起電力は1.4mW/cm2であった。
比較例3:
実施例1のポリN−ビニルアセトアミドを0.5gから5.0gに換えた以外は実施例1と同様に、二酸化チタン膜を得た。この二酸化チタン膜の鉛筆引っかき強度は7Hを越えた。この二酸化チタン膜を用い、実施例1と同様の方法で色素増感太陽電池を作製した。この太陽電池の光起電力は2.2mW/cm2であった。
色素増感型太陽電池の構成の概略を示す断面図。 二酸化チタン粒子のネッキング状態を示す電子顕微鏡写真。 吸光度のパターンと吸収端波長の関係の一例を示す。
符号の説明
1 導電性ガラス
2 二酸化チタン粒子
3 増感色素
4 電解層
5 触媒層
6 色素電極
7 対極
A ネッキング部
B 点接触部

Claims (19)

  1. 導電性基板上に金属酸化物粒子が結着剤で結着された金属酸化物層を有し、金属酸化物膜を基準に結着剤の含量が0.005質量%以上5質量%未満であり、金属酸化物層のJIS5600による鉛筆引っかき強度がH以上であることを特徴とする、金属酸化物電極。
  2. 金属酸化物膜を基準に結着剤の含量が、0.01質量%以上2質量%以下である、請求項1に記載の金属酸化物電極。
  3. 金属酸化物膜を基準に結着剤の含量が、0.01質量%以上1質量%以下である、請求項1に記載の金属酸化物電極。
  4. 金属酸化物粒子がネッキングを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の金属酸化物電極。
  5. 金属酸化物粒子が、四塩化チタンを酸化性ガスで高温酸化することにより二酸化チタンを製造する気相法において、四塩化チタンを含有するガス及び酸化性ガスをそれぞれ500℃以上に予熱し、それぞれ流速10m/秒以上で反応管に供給することにより反応させて得られる二酸化チタンを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物電極。
  6. 金属酸化物粒子が、積分球式分光光度計による吸光度から算出したオプティカルバンドギャップが2.7eV以上3.1eV以下であり、かつタップ密度が0.15g/cm3以上0.45g/cm3以下である二酸化チタン構造体を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物電極。
  7. 結着剤が、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イミノ基、エステル結合、エーテル結合、その他極性の高い部分を含む親水性結着剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の金属酸化物電極。
  8. 親水性結着剤が、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−アセトアミド共重合体、ビニルピロリドン−アクリルアミド共重合体およびポリテトラフルオロエチレンから選択されたいずれかである、請求項7に記載の金属酸化物電極。
  9. 金属酸化物層が1μm以上40μm以下の膜厚を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の金属酸化物電極膜。
  10. 金属酸化物層が、BET法による比表面積が1m2/g以上30m2/g未満の金属酸化物粒子群と、30m2/g以上500m2/g以下の金属酸化物粒子群とから選ばれる少なくとも2種類以上の金属酸化物粒子群で構成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の金属酸化物電極。
  11. 金属酸化物層が、金属酸化物層を構成する金属酸化物のうち30質量%以上が気相法で合成された金属酸化物である、請求項1〜10のいずれかに記載の金属酸化物電極。
  12. 金属酸化物が二酸化チタンを10質量%以上含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の金属酸化物電極。
  13. 金属酸化物層のJIS5600による鉛筆引っかき強度が3H以上7H以下である、請求項1〜12のいずれかに記載の導電性基板上に形成された金属酸化物電極。
  14. 導電性基板が可とう性を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の金属酸化物電極。
  15. 導電性基板上に、金属酸化物粒子、親水性結着剤および溶剤を含む金属酸化物分散液を塗布し、乾燥して金属酸化物粒が子親水性結着剤で結着された金属酸化物層を形成することを特徴とする、金属酸化物電極の製造方法。
  16. 金属酸化物分散液を電極基板上に塗布した後、200℃以下で加熱し、溶媒を除去することを特徴とする、請求項15に記載の金属酸化物電極の製造方法。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の金属酸化物電極を構成要素とする色素電極を備えている、色素増感型太陽電池。
  18. 請求項17に記載の色素増感型太陽電池を表面又は内部に備えており、且つ発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能、充電機能のうち、少なくとも一つの機能を有する物品。
  19. 前記物品が、建材、照明器具、意匠性窓ガラス、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、携帯電話、美容器具、携帯情報端末、PDA(Personal Degital Assistance)、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、樹脂製品、スポーツ用品、布団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品、文房具、ワッペン、帽子、鞄、靴、傘、ブラインド、バルーン、配管、配線、金具、照明、LED、信号機、街灯、玩具、道路標識、装飾品、テント、交通信号機、掲示板、クーラーボックスなどのアウトドア用品、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱器や冷却器用の電源からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項18に記載の物品。
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