JP4873864B2 - 金属酸化物分散物及びその塗布方法 - Google Patents

金属酸化物分散物及びその塗布方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池用途等に好適な電極を作成可能な金属酸化物分散物の製造方法及び塗布方法に関する。
現在の太陽電池はシリコン型太陽電池が主流となっているが、有害な原料の使用、高コストな製法等の観点から、新たな形式の太陽電池の研究、開発が行われて来た。
色素増感型太陽電池はその一つであり、1991年にローザンヌ工科大学のグレッツエル等によって報告(例えば非特許文献1参照)されて以来、シリコン型に代わる太陽電池として研究開発が進められている。
一般的な色素増感型太陽電池は、図1で示されるような構造であり、色素電極、電解層、及び対極の3つの部分から構成される。ここで色素電極7とは、導電性ガラス1等の電極基板の上に、増感色素4が結合した二酸化チタン3等の金属酸化物の層が形成されている電極を示す。ここでは、導電性ガラス1等の電極基板と二酸化チタン3等の金属酸化物の層との間に、随意のアンダーコート層2が配置されている。また対極8とは、導電性ガラス等の電極基板の上に白金やグラファイトのような触媒層が形成された電極を指す。電解層5は、電解質が溶解した溶液であり、色素電極と対極で挟み込まれた部分である。ここでいう電極基板とは、ガラスや有機重合体等の電極基材にFTO、ITO等を塗布、乾燥させたものを示す。
光電変換の機構は次のように説明されている。
まず、増感色素が光を吸収し、電子と正孔を発生する。発生した電子は金属酸化物層を通じて電極基板に到達し、外部へと取り出される。一方、発生した正孔は、電解層を通じて対極へと運ばれ、電極基板を通じて供給された電子と結合する。
色素増感型太陽電池の特性を示す指標として、下式で表される光電変換効率がある:
η(%)=Jsc×Voc×FF/入射光エネルギー×100
(式中、ηは光電変換効率、Jscは短絡電流密度[mA/cm2]、Vocは開放電圧[V]、FFはフィルファクター[−]を示す。入射光エネルギーは単位面積当たりの入射光エネルギー[mW/cm2]を示す。)。
光電変換効率ηは、色素電極の性能に依存する。色素電極の性能を高めるために、金属酸化物の単位当たりの表面積を大きくして増感色素の担持量を増やすこと、電子発生量を増加させること、二酸化チタン同士の接触を増やして電子伝導性を向上させること、電解質の拡散を向上させること、金属酸化物粒子のネッキングを増やすこと、金属酸化物粒子と色素電極基板との密着性を高めて電子伝達を円滑にすること等が考慮されている。
以下、金属酸化物の例として二酸化チタンを挙げて説明する。
金属酸化物の単位当たりの表面積を大きくする方法としては、3〜10nmの細孔内径を有する二酸化チタンを用いる方法(例えば特許文献1参照)が記載されている。これは、四塩化チタンから調製したゾルを加熱、乾燥させ、二酸化チタン粒子を得るという方法である。
金属酸化物粒子が多くのネッキング構造、すなわち粒子そのものが相互に複数個連なった構造(部分的な面接触構造)を有するようにするには、導電性ガラス等の基板に二酸化チタン層を形成させた後、四塩化チタンで処理する方法が提案されている(例えば非特許文献2参照)。ここで、四塩化チタンは、二酸化チタン粒子と反応して新たな結合を生じさせ、粒子同士をネッキングさせる働きを有する。
特許文献3においては電極と樹脂基板の密着性を向上させるためにコロナ処理を行う例が示されている。
特開2001−283942号公報 特開2001−357899号公報 特開2003−308890号公報 国際公開第01/16027号パンフレット 特開平6−304423号公報 特公昭36−3359号公報 特開平11―43327 M.Graezel,Nature,353,737,(1991) C.J.Barbe et al.,J.Am.Ceram.Soc.,80,3157(1997)) 清野学著,「酸化チタン」技報堂(株),p.129,(1991) 粉末X線解析の実際 中井泉ら 朝倉書店 2002年 Journal of Material Chemistry 11巻、1116頁、2001年 L.D.Hart and L.K.Hadson,The American Ceramic Society Bulletin,43,No.1,(1964) 橋本和仁、藤嶋昭 編集、「二酸化チタン光触媒のすべて」(株)シーエムシー,(1998)
上述の特許文献1及び非特許文献2で示されているように、電極内の電子移動を促進することを目的として各種検討が行われてきているが、電池の内部の抵抗成分としては電極基板と金属酸化物層の界面における抵抗も存在し、一般的にガラス基板と比較して金属酸化物分散物の濡れ性の悪い樹脂基板においては、この抵抗成分が、電池全体の性能を下げる大きな要因となっている。
上述の特許文献3でのように電極と樹脂基板の密着性を向上させるためにコロナ処理を用いる場合、水溶性光触媒粒子をただ塗工するだけでは結晶性の低い薄層の二酸化チタン層しか得られず、従って多孔体電極として十分に機能を果たす、抵抗の小さな二酸化チタン電極を形成することはできない。
本発明は上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果なされたものであり、本発明の課題は、基板との密着性を向上させ、金属酸化物層と導電性樹脂との良好な導通性を保つことを可能とする金属酸化物分散物及びその塗布方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、基板との密着性を向上させ、金属酸化物層と導電性樹脂との良好な導通性を保ち、光電変換効率の高い、太陽電池を製造し得る方法を見出し、上記課題を解決するに至った。
すなわち、本発明は、下記の各発明を含むものである:
〈1〉ネッキング構造を有する金属酸化物粒子を溶剤中に含有する金属酸化物分散物であって、ITO膜(インジウム−スズ系酸化物膜)に対する金属酸化物分散物の液滴接触角が0〜60度であり、かつ
前記金属酸化物粒子が、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が100nm〜1μmの範囲にある金属酸化物粉末(以降、粒子群Aと称する。)と、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が5〜40nmの範囲にある金属酸化物粉末(以降、粒子群Bと称する。)との混合物である、
金属酸化物分散物。
〈2〉上記ITO膜がポリエチレンテレフタレート表面あるいはポリエチレンナフタレート表面に形成されている、上記〈1〉項に記載の金属酸化物分散物。
〈3〉上記溶剤が、水及びアルコールを含有する、上記〈1〉又は〈2〉項に記載の金属酸化物分散物。
〈4〉上記溶剤が、水及びエタノールを含有し、エタノールを40質量%以上含有する、上記〈3〉項に記載の金属酸化物分散物。
〈5〉上記溶剤が、水と1−ブタノール又はその異性体を含有し、1−ブタノール又はその異性体を50質量%以上含有する、上記〈3〉項に記載の金属酸化物分散物。
〈6〉上記金属酸化物粒子の混合物に含まれる上記粒子群Aの含量が、10質量%以上40質量%以下である、上記〈1〉〜〈5〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
〈7〉上記粒子群Bが、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が20〜40nmの金属酸化物粉末(以降、粒子群Cと称する。)と、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が5〜20nmの金属酸化物粉末(以降、粒子群Dと称する。)との混合物である、上記〈1〉〜〈6〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
〈8〉上記金属酸化物が、積分球式分光光度計による吸光度から算出したオプティカルバンドギャップが2.7eV以上3.1eV以下であり、且つタップ密度が0.15g/cm3以上0.45g/cm3以下である二酸化チタン構造体である、上記〈1〉〜〈7〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
〈9〉上記金属酸化物が、二酸化チタンと、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化タングステンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属酸化物との混合物である、上記〈1〉〜〈7〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
〈10〉金属酸化物の混合物に含まれる二酸化チタンの含量が、10質量%以上である、上記〈9〉項に記載の金属酸化物分散物。
〈11〉結着剤を金属酸化物100重量部に対して0.01〜20重量部含有する、上記〈1〉〜〈10〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
〈12〉上記結着剤が水溶性高分子化合物である、上記〈11〉項に記載の金属酸化物分散物。
〈13〉水溶性高分子化合物が、N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド、ビニルピロリドン、アクリル酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種類以上をモノマー単位として有する高分子化合物である、上記〈12〉項に記載の金属酸化物分散物。
〈14〉上記結着剤がジルコニウム化合物である、上記〈11〉項に記載の金属酸化物分散物。
〈15〉上記金属酸化物分散物を面積が1cm2となるように透明導電性樹脂基板または透明導電性ガラス基板に塗布し、150℃で成膜し、N3色素を吸着し、白金を導電面に付与したFTO透明導電性ガラスと対抗させ、空隙にヨウ素系電解質を含有するアセトニトリル溶液を注入し、100mWの疑似太陽光下、開放電圧条件で、Nyquistプロットを行ったときに、20Hzを含む円弧におけるインピーダンス虚数部の最小値が、−25Ω以上−0.01Ω以下となることを特徴とする、上記〈1〉〜〈14〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
〈16〉電極作製用に使用される、上記〈1〉〜〈15〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
〈17〉上記〈1〉〜〈16〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物を導電性樹脂基板上に塗布し、導電性樹脂基板上に金属酸化物粒子を結着した金属酸化物電極膜を形成する工程を含む、色素増感型太陽電池電極の製造方法。
〈18〉上記金属酸化物分散物を塗布する前に、紫外線照射処理を用いて上記導電性樹脂基板を処理する、上記〈17〉項に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
〈19〉上記金属酸化物分散物を塗布する前に、オゾン処理を用いて上記導電性樹脂基板を処理する、上記〈17〉項に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
〈20〉上記金属酸化物分散物を塗布する前に、コロナ放電処理を用いて上記導電性樹脂基板を処理する、上記〈17〉項に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
〈21〉上記金属酸化物分散物を塗布する前に、界面活性剤処理を用いて上記導電性樹脂基板を処理する、上記〈17〉項に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
〈22〉上記金属酸化物分散物を塗布する前に、電解質溶液中で導電性樹脂基板を電解酸化処理する、上記〈17〉項に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
〈23〉上記金属酸化物分散物を塗布する前に、導電性樹脂基板上にアンダーコート層を形成する、上記〈17〉項に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
〈24〉上記アンダーコート層の厚みが10nm以上2000nm以下である、上記〈23〉項に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
〈25〉上記〈1〉〜〈16〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物を、上記〈17〉〜〈24〉項のいずれか一項に記載の方法を用いて導電性樹脂基板に塗布する方法。
〈26〉上記〈1〉〜〈16〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物を用いて成形される薄膜。
〈27〉上記〈1〉〜〈16〉項のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物を、上記〈17〉〜〈24〉項のいずれか一項に記載の方法で用いて成形される、薄膜。
〈28〉膜厚が1μm以上40μm以下である、上記〈26〉又は〈27〉項に記載の薄膜。
〈29〉上記〈26〉〜〈28〉項のいずれか一項に記載の薄膜を構成要素とする色素電極を備えている、色素増感型太陽電池。
〈30〉上記〈29〉項に記載の色素増感型太陽電池を表面又は内部に備えており、且つ発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能、充電機能のうち、少なくとも一つの機能を有する物品。
〈31〉上記物品が、建材、照明器具、意匠性窓ガラス、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、携帯電話、美容器具、携帯情報端末、PDA(Personal Degital Assistance)、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、樹脂製品、スポーツ用品、布団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品、文房具、ワッペン、帽子、鞄、靴、傘、ブラインド、バルーン、配管、配線、金具、照明、LED、信号機、街灯、玩具、道路標識、装飾品、交通信号機、掲示板、アウトドア用品、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱器や冷却器用の電源からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記〈30〉項に記載の物品。
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導電性樹脂上での成膜が容易で、増感色素吸着量が多く、且つ電子移動を円滑にすることができる金属酸化物構造体、及びこれらの製造方法が提供される。
本発明の好ましい実施態様における金属酸化物構造体によれば、光電変換効率の高い色素増感型太陽電池が得られるようになり、本発明は工業的に実用的な価値を有するものである。
金属酸化物分散物
導電性樹脂基板上に色素増感型太陽電池電極を製造することが可能な本発明の金属酸化物分散物(特に断りのない場合、以降「金属酸化物分散物」と略する)は、金属酸化物粉末と、水、有機溶媒などの分散媒とを混合したものである。これは、粘度が低い場合にはスラリーと呼称されることもあり、粘度が高い場合にはペーストと呼称されることもある。
本検討の金属酸化物分散物には、多くの場合、色素増感型太陽電池電極の目的とする機能を持たせるために配合される金属酸化物粒子群と、膜としての強度を持たせるため前記粒子群を結着させるための成分と、さらにこれらを塗工材とするための溶剤等と、塗工材としての分散安定性、塗工性を上げるための添加剤などが配合されていることがある。
〔金属酸化物粒子〕
金属酸化物粒子は、通常、粒子同士を混合した場合、点接触部分があるだけであるが、本発明の好ましい態様において用いられる粒子の特徴として挙げられるものは、図2に示すように、原料となる粒子そのものが相互に複数個連なったネッキング構造(部分的な面接触構造)を有していることを特徴とする。ここでこの図2において、Aはネッキング部を示しており、Bは点接触部を示している。このため、本発明の好ましい態様における金属酸化物分散物を用いて成形された金属酸化物(特に二酸化チタン)電極中における電子抵抗は小さく、それを用いて形成された電池の特性は良好である。
例えばナノメートルスケールの二酸化チタンは、硫酸チタニル等を液相で加水分解することなどによっても得られるが、合成時の熱履歴が小さく、結晶性も低く、ネッキング構造が少ないため、それを用いて成形された二酸化チタン構造体電極中における電子抵抗は大きい。一方、四塩化チタン等を高温で酸素等の酸化性ガスと反応させる、いわゆる気相法によって得られる二酸化チタン粒子群は合成時の熱履歴が高いため結晶性が高く、且つ焼結等により二酸化チタンはネッキング構造を持つ。気相法によって得られる二酸化チタンの粒径が小さければ、これを原料として、電極としての必須な特性、(i)高電子伝導性、(ii)高比表面積という二つの特性を持つ金属酸化物電極を作成可能な金属酸化物分散物を提供することができる。この気相法の製造方法に特に制限はないが、例えば特許文献4、特許文献5、特許文献6等の方法によって二酸化チタンを合成することができる。気相法粒子の製造方法については、後に詳述する。
本発明の好ましい態様における金属酸化物分散物を構成する金属酸化物は、少なくとも一つの粒子群は気相法で得られたものであることが望ましい。気相法は他の製造方法に比べ、比較的一次粒子の粒御分布の狭い粉末が得られるため、後述する粒子群A又は粒子群Bとして用いたとき、金属酸化物構造物として好ましい一次粒子の粒度分布を得やすい。
導電性樹脂基板上に色素増感型太陽電池電極を製造することが可能な金属酸化物分散物では、BET法による比表面積から換算した平均一次粒子径が100nm〜1μmの範囲にある金属酸化物粉末(粒子群Aと称する。)と、平均一次粒子径が5〜40nmの範囲にある金属酸化物粉末(粒子群Bと称する。)を、水、有機溶媒などの分散媒を用いて混合したものが好ましく用いられる。粒子が球であると仮定し、一種類の径であった場合、最密充填されても74%の充填率にしかならない。しかしながら、複数の径のものを配合することによって、大粒子の隙間に小粒子が入り、充填率を高くすることができる。粒子群Aは本発明中においては比較的大粒子であるが、その粒子全体を半導体表面として考えられるほど充分小さく、且つ結晶性が高いという特徴を持つため、形成された金属酸化物電極中で主たる電子伝導を担っていると考えられる。これは粒子群Bを配合することにより、粒子群Aに対して配位数の多く、且つ充填率の高い、電極として電子伝導性が良好な多孔体を形成することが可能である。
粒子群Bは、ほぼ単一の粒子径をもつものであって構わないが、この中に製法及び粒度などが異なる二種類以上の粒子群が存在しても構わない。ここでは仮に粒子群Bの中にさらに二種類の粒子群C,粒子群Dが存在するもの、具体的には、粒子群Cが一次粒子径として20nm以上の粒子群であり、粒子群Dが一次粒子径として20nm未満の粒子径を持つ粒子群であるものが好ましい。
金属酸化物分散物を構成する粒子群Aは、主に太陽電池内部に進入した光線を電池内部で散乱させ、光吸収効率を高める働きを有する。色素増感太陽電池では、紫外から近赤外領域にわたる光線を吸収し、電子を発生すること、粒径が増感色素等によって吸収される光の波長の1/2程度であるときに光散乱が最大になり、太陽電池内部で紫外から近赤外領域の光線を散乱させると増感色素等による光吸収の1/2程度であるとき最大になり、粒径がそれよりはずれると光散乱も弱まると言われている(非特許文献3)。紫外から近赤外光線を散乱させるためには、平均一次粒子径が100nmから1μmの範囲であることが望ましく、散乱させたい光線の波長にあわせて粒子径を選択することもできる。
粒子群Bは、増感色素を担持し、且つ増感色素が発生させた電子を伝達する。増感色素は金属酸化物の表面水酸基、もしくは金属原子(以下、色素結合部と称する。)との化学結合により金属酸化物に担持されており、その結合を通じて電子を金属酸化物へと移動させる。よって金属酸化物と結合した増感色素量の増加に伴ない、電子移動数も増加することになる。金属酸化物表面には、表面水酸基が9から14個/nm2あることが判っており(前述の非特許文献3)、高比表面積を有する金属酸化物ほど色素結合部が多くなる。太陽電池に好適な粒子群Bの比表面積は約40m2/gから約300m2/gであり、好ましくは約60m2/g以上約250m2/g以下である。平均一次粒子径に換算すると約5nmから約40nm、好ましくは約6nmから約25nmとなる。平均一次粒子径が約5nmより小さい粒子群は、一般に結晶性が低く、電子移動が円滑に行われないため太陽電池の電極を構成する主成分としての用途には適していない。この結晶性の低さは、その合成の際、粒子成長を抑制するために熱履歴を低く抑えることに起因する。平均一次粒径が約40nmより大きな粒子群は比表面積が小さく、色素吸着量が不充分となる。粒子群Aと粒子群Bとの配合比は質量比でA/B=5/95〜30/70,好ましくはA/B=10/90〜20/80である。
本発明においては、先述のように20nm以下の粒子(粒子群D)を主成分とすると、電子移動が円滑に行われないため、太陽電池の性能を下げることがある。しかしながら、主成分として20nm以上の粒子(粒子群C)が存在し、これらの空隙に20nm以下の系を持つ粒子が入った場合、電極内の電子伝導を助け、また、粒子群Cのみの時よりも、色素吸着量を増やすことが可能であることがある。粒子群Cと粒子群Dとの配合比は質量比でC/D=95/5〜70/30,好ましくはC/D=95/5〜80/20である。
この粒子群Dに当たる粒子は、粒子群Cと比較して小さい径を持つものであれば特に製法に限定されないが、先述のように結晶性が高い方が電子伝導性が良好で、電極としての特性が良好である。
太陽電池に好適な粒子群Cの比表面積は約40m2/gから約75m2/gであり、好ましくは約60m2/gから約70m2/gである。平均一次粒子径に換算すると約20nmから約40nm、好ましくは約21nmから約25nmとなる。また粒子群Dの比表面積は約75m2/gから約300m2/gであり、好ましくは約100m2/gから約275m2/gである。平均一次粒子径に換算すると約5nmから約20nm、好ましくは約5.5nmから約15nmとなる。粒子群C及び粒子群Dに要求される特性として、電子伝導性と色素の吸着能力がある。これまでにも述べてきたように、一般に粒径を大きくすることによって電子伝導性が向上し、粒径を小さくすることによって単位質量当たりの色素吸着能力は向上するため、太陽電池電極材料として望ましい粒径の範囲が存在する。粒子群B全体としての充填を良好とし、電子伝導性を向上させ、吸着色素量を増やすためには、粒子群B全体としての充填を良好とし、電子伝導性を向上させ、吸着色素量を増やすためには、粒子群Cと粒子群Dに有意な粒径の差が存在することが好ましい。
金属分散物中にネッキング粒子群、特に気相法ネッキング粒子群が存在することによって、電極として電子の移動性能が高まることについては前述した。またネッキング粒子群が含まれることによって、膜として以下のような特性が向上し、色素増感型太陽電池用電極として至適であることが分かった。
(a)強度が高い膜を形成可能
電極膜として要求される特性の一つに、膜強度が高いことが挙げられる。本発明の好ましい実施態様によって得られる金属酸化物分散物は、樹脂基板上に塗布されることを目的の一つとしており、その可撓性を発揮するため、折り曲げに対して特に大きな強度を持つことが好ましい。また、電極成膜後、対極との電子的絶縁性を保つためセパレーターが用いられることがあり、セパレーターと物理的接触があっても、電極が剥離しないことが好ましい。
本発明における分散液では、ネッキング構造を有する粒子群(例えば粒子群F)によって、この分散液から得られた電極膜が、図2に示すように、ネッキング粒子群のある点が基材表面と接触することによって、基材に対して固定される。このようにアンカーとしての効果をもつネッキング粒子群が配合されることによって、膜強度は向上する。もう一つの効果として、ネッキング粒子群は、3次元構造を持つことにより他の粒子群(例えば粒子群G)の自由度を小さくするという働き、すなわち膜全体の構造を支持する骨組みとしての作用もあると考えられる。
(b)結着成分量の低減が可能
ネッキング構造を有する粒子群を含有する場合、ネッキング構造を有する分だけ、結着成分量を減らすことができ、且つ膜の強度は向上する。また、膜の強度は前述の理由からも向上する。このため、結着成分の量を従来の成膜より減らし又は全く使わずして成膜することが可能である。この結果、粒子群の特性に対する結着成分の阻害を最小限にあるいは無くすることができる。
(c)電極として性能の高い膜を形成可能
前述のとおり、ネッキング粒子群を用いるとバインダー量の低減が可能であるため、金属酸化物粒子群の金属酸化物としての機能を十分発揮させることができる。色素増感型太陽電池色素電極は、電子を受容する対象である電解質と金属酸化物粒子表面の色素とが接触する必要があり、このためには膜が多孔質であることが必要である。さらに、欠陥による逆電子移動を防ぎ、目的とした電子流路の割合を高めるため、結晶性が高いことが好ましい。ネッキングを有する粒子は、粒子としての特性を失わずに表面の結晶が隣接する粒子と連続しているので、単独の粒子よりも長距離の結晶秩序を持つ金属酸化物多孔体電極膜を形成することを可能にする。
(d)塗工性の向上
電極成膜用金属酸化物分散液に求められる特徴として、これまで上記の各項目を説明したが、成膜後電極としての性能と同時に、濡れやすさ、また、塗りむらができないようなチキソトロピー性、レベリング性も必要である。濡れや粒子群の分散を考慮すると、酸化物粒子群が例えば二酸化チタン系である場合には本発明のようにアルコールのような常温での蒸気圧が比較的高い溶媒が用いられることが多い。この際、粒子群Gのみをものであると、塗工後の分散液の乾燥を制御することが困難で、液垂れ跡、塗りむら跡などが残りやすく、強度低下、意匠性の低下につながる。これに対して、ネッキング粒子群を含有する分散液では、チキソトロピー性、レベリング性、塗工後の液の保持性に優れ、部分によって乾燥むらができることによる液ダレ跡の発生を防ぐことができる。ネッキング粒子群を配合した場合に上記のような特性を改善できる要因や急速な乾燥を防ぐことができる要因は定かではないが、ネッキング粒子群がもつ複雑なネッキング構造が分散液の塗工性の改善及び液の保持を担っていると考えられる。
(e)タック性の低減
一般に金属酸化物膜はタック性が高く、手で膜表面をなぞると、引っ掛かりを感じる。これは粒子群表面と手との化学的な親和性、物理的な相互作用によるものであると考えられる。このため、電極膜がタック性の高いものであると、セパレーターあるいは樹脂対極のように柔らかいものであっても剥離の原因となることがある。膜の強度試験としては尖ったものに接触されることを想定した鉛筆強度試験などがあるが、この鉛筆強度試験では充分に強度がある膜であっても、タック性があると面で擦ると剥離することがある。本発明の好ましい実施態様におけるネッキング粒子群を含有する膜ではこのタック性が低減し、面によって擦られた際の剥離が起こりにくくなる。タック性が低減する機構については明確ではないが、ネッキング粒子群の一部が膜から突出することによって、ネッキング粒子群以外の粒子群による平滑な膜と、擦る媒体、例えば樹脂電極とが面同士で接触するのを妨げる機構が働いたり、構造的強度の強いネッキング粒子群が優先的に対象と接触することによって、膜強度を維持していると考えられる。
以上に述べてきたように、本発明の好ましい実施態様において特徴的な点は分散液にネッキング粒子群が含まれていることである。分散液は、スプレー塗布、ディップ塗布、フロー塗布のできるような低粘度のものでもよく、スキージ法、ドクターブレーディング法で塗布できるような高粘度のものでもよい。
ネッキング粒子群及びそれ以外の粒子群は適切なネッキングの程度であることが好ましい。ネッキング粒子群、それ以外の粒子群及びバインダー成分が存在する系においては、レーザードップラー型の粒度分布測定器を用いると、少なくとも二つの粒度分布のピークを持つことが確認できる。本発明においては、この粒度の分布を、ELS−800(大塚電子(株))を用いて定義することが好ましい。以下に測定法を示す。
測定サンプルは粉体濃度が0.07質量%になるように特級エタノール(関東化学(株))で希釈し、この液を200mlパイレックス(登録商標)製ガラス容器に150mlとり、超音波洗浄機iuchi ultrasonic cleaner VS−70U(出力65W、水槽容量800ml)を用いて1分間照射を行いサンプルを得る。液体サンプルを内寸10mm四方のポリスチレン製角形セルUltra−Vu Disposable Cuvettes(Elkay社製)にセルに示された規定量まで入れ、測定を行う。測定の際に設定した各変数は以下の通りである。
測定系は25℃恒温とし、分布解析にはマルカット法を用いる。積算回数は100とする。測定モードはタイムインターバル法を用いる。サンプリングタイムは20μsec、取り込みチャンネル数は512とする。ホモダイン法を用い、最適光量を10000、最低光量を5000,最高光量を20000に設定する。エタノールの粘度は1.10cP、屈折率1.3595、比誘電率24.5、として解析を行う。装置の初期設定においては、ダストカット機能によって、粗粒側の結果が小さくなってしまうが、本測定においてはネッキング粒子群が数μmの部分に現れることがあるため、このダストカット機能はオフにする。散乱強度モニターを用いて強度のばらつきが100カウントで20%以内になったところで測定を開始する。ネッキング粒子群とそれ以外の粒子群の比率は、粒子の質量分布を、面積積分する事によって判断する。
上記の手法によって定義される、比較的大きな粒径を持つネッキング粒子群(F)は、構造を保持し、これまで述べてきたような特性を示すために、金属酸化物分散液中での粒度分布としてモード径が粒子群Gの2倍以上であることが望ましい。また、あまり大きいと電極膜中から突出し、膜はがれの要因となってしまうため、5000nm以下にピークを持つような粒度分布を分散液中で示すことが望ましい。ただし、これらの粒度分布を示した粒子群は、塗工時に剪断、邂逅されるため、塗膜中にはこれ以下の粒子としてしか存在しない可能性がある。
また、ネッキング粒子群以外の粒子群であって比較的小さな粒径を持つ粒子群(例えば粒子群Gは、5nm以上400nm以下で分散液中に存在することが望ましい。この粒子群は、ネッキング粒子群の空隙に入る役目を果たすため、一次粒子に近いことが望ましいが、本分散液にはバインダー成分が存在するため、実際には完全に一次粒子の状態で存在させることが困難であり、凝集を伴って一次粒子の数十倍の粒径となって測定されることもあり得る。ネッキング粒子群の粒度分布のピーク位置はより望ましくは、50nm以上4000nm以下であることが望ましく、ネッキング粒子群の粒度分布のピーク位置はより望ましくは10nm以上300nm以下にあることが望ましい。
分散液中に含まれるネッキング粒子群に関しては、レーザー回折型粒度分布計SALD−2000J(島津製作所製)を用いて、粒度分布を定義することも可能である。レーザードップラー式粒度分布計を用いた際に観察されたネッキング粒子群以外の粒子群によるピークは、レーザー回折型分布計を用いた際には粒径の測定下限に近いためか、明確には観察されないこともあるが少なくとも分散液中に含まれるネッキング粒子群の規定は可能である。回折型粒度分布計の測定方法は以下の通りである。
サンプルを0.05質量%となるように特級エタノールで希釈し、SALD−2000Jで回折光強度が測定領域に達するまで該希釈サンプルを測定系に投入する。この際、あらかじめ測定系もエタノールで充分に置換し、満たしておく。粉体の屈折率としては、2.50−0.1i(iは虚数)で解析を行った。
本発明の好ましい実施態様における粒子群を上記手法によって測定した場合、体積粒度分布において少なくとも0.2μ以上4μ以下にピークを持つことが好ましい。0.2μ以上にピークを持つと分散液が本発明における(a)〜(f)までの特性を発揮しやすい。ただし、4μmを越えると、分散液から作成された膜から粒子が突出し、はがれの原因となることがある。(a)〜(f)までの特性を十分に発揮するためには、0.4μm以上3μm以下であることがより望ましい。
本発明の好ましい実施態様における分散液中の粒子は、ネッキング構造を多く持つものと、あまり多く持たないものより構成されるが、分散液の乾燥粉体、すなわちネッキング粒子群とネッキング構造をあまり持たない粒子群との混合物のBET比表面積より換算された平均一次粒子が、5nm以上50nm以下であることが好ましく、7nm以上50nm以下であることが更に好ましい。算出方法は以下の式(2)によって示す。5nm未満の粒子を作ろうとすると、生産上の困難が伴う場合がある。50nmを越えると酸化物分散液より作成された電極の総表面積が低下し、膜の特性が損なわれる場合がある。
これらの金属酸化物分散液を製造する手法としては、ネッキング粒子群の原料とネッキング構造をあまり持たない粒子群の原料を配合することによって行うことが可能である。
ネッキング粒子群がm個連なってネッキング構造を持っている場合には、ネッキング構造をあまり持たない粒子群はその1/2以下の個数の粒子(0.5m個以下の個数の粒子)でしか連なっていないものであることが好ましく、より好ましくは1/5以下の個数の粒子(0.2m個以下の個数の粒子)でしか連なっていないものが良い。ネッキング構造をあまり持たない粒子群に関しては、まったくネッキングせず、一次粒子がそのまま存在していている場合においても本発明における目的は達成される。つまり、ネッキング構造をあまり持たない粒子群のネッキング粒子の個数は平均0.000000001〜0.2m個が好ましく、平均0.0000001m〜0.1m個がさらに好ましい。
ネッキング粒子群のネッキングしている個数は、TEMやSEMなどの顕微鏡で観察し判断してもよいが、個数が極めて多く、且つ顕微鏡の視野も限られる。このため、レーザー回折式粒度分布計による粒子径DL(いわゆるD50値)、タップ密度Ρ(JIS K−5101−20.2による測定値)、BET法による一次粒子径D1、チタニアの真密度をρとしたとき、ネッキングしている個数mを以下の手法で決定する。
原料粉体のDLの値の測定においては、分散液の粒度分布を測定した際と機器としては同様にレーザー回折式粒度分布計を用いるが、対象が粉体であるため手法としては以下に示すような異なるものを用いる。
二酸化チタンが粉体換算で0.05g含まれる水スラリー50mlに10%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液100μlを加え、3分間超音波照射(46KHz、65W)する。このスラリーについてレーザー回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所 SALD−2000J)を用いて、粒度分布を測定する。
また、ネッキング粒子群又はネッキング構造をあまり持たない粒子群の一次粒子の粒径D1は、BET法で求めた比表面積を、粒子を球形に換算して(2)式より求めた平均の一次粒径をいう:
D1=6/ρS(式中、ρは粒子の真密度、Sは粒子の比表面積)…(2)
ネッキング粒子群のネッキングしている個数は、粒度分布、TEMなどによって分析可能であるが、粒度分布を測定することが好ましい。ネッキング構造をあまり持たない粒子群の粒子の粒径はレーザー回折式での測定範囲の下限値に近いことがあり、正確な分析を行うためには、先述のレーザードップラー式の粒度分布測定装置を用いる。試料準備方法も先述のELS−800を用いたときと同様にして行う。ただしゾルは乾燥粒子とせず、ゾル状態のまま希釈して規定濃度としたものを測定試料として使用する。散乱光強度が最強となる粒子径をDL、乾燥粉のタップ密度をΡとし、式(1)よりネッキングしている個数mを求める。
本発明におけるネッキング粒子群及びGは、各々、単独で粒度分布を測定した際と、ネッキング粒子群、ネッキング構造をあまり持たない粒子群、及び必要であればバインダーを混合して粒度分布を測定した際には、凝集状態が異なる場合が多い。
式(2)より算出されたネッキング粒子群の平均一次粒子径は7nm以上200nm以下であることが望ましい。7nm未満であっても使用は可能であるが、ネッキング粒子群の生産性が悪くなり高コストなものとなってしまう場合がある。また200nm超の粒子径であっても使用は可能であるが膜の総合比表面積が低下し、これを含有する酸化物分散液から高性能な電極膜を得ることが難しくなってしまう場合がある。
気相法による一般的な二酸化チタンの製造方法は公知であり、特に制限されるものではないが、四塩化チタンを酸素又は水蒸気のような酸化性ガスを用いて、約1,000℃の反応条件下で酸化させると微粒子二酸化チタンが得られる。好ましい反応形態として、特許文献2による製法などを例示することができる。以下、本発明における原料となる二酸化チタンの製造方法について、さらに具体的に説明する。
気相法における粒子の成長機構には大別して2種類あり、一つは、CVD(化学的気相成長)であり、もう一つは粒子の衝突(合体)や焼結による成長である。本発明の目的とするような超微粒子状の二酸化チタンを得るためには、いずれの粒子成長時間も短くすることが好ましい。すなわち、前者の成長においては、予熱温度を高めておいて化学的反応性(反応速度)を高めること等により成長を抑えることができる。後者の成長においては、CVDが完結した後速やかに冷却、希釈等を行い、高温滞留時間を極力小さくすることにより、焼結等による成長を抑えることができる。
四塩化チタンを含有するガスを酸化性ガスで高温酸化することによって二酸化チタンを製造する気相法において、四塩化チタンを含有するガス及び酸化性ガスをそれぞれ500℃以上に予熱しておくと、CVDの成長を抑えることができるので好ましい。BET比表面積が3〜200m2/g、より好ましくは50〜150m2/gの微粒子二酸化チタンを得、それを原料とすることができる。
原料となる四塩化チタンを含有するガスは、該ガス中の四塩化チタン濃度が10〜100%であることが好ましく、さらに好ましくは20〜100%である。四塩化チタン濃度が10%以上のガスを原料として用いると、均一核の発生が多くなり、又は反応性が高くなるので、CVD支配による成長した粒子が形成されにくくなり、粒度分布の狭い粒子が得られる。
また、四塩化チタンを含有するガス中の四塩化チタンを希釈するガスは四塩化チタンと反応せず、且つ酸化されないものを選択することが好ましい。具体的には、好ましい希釈ガスとして、窒素、アルゴン等が挙げられる。
四塩化チタンを含有するガスと酸化性ガスの予熱温度は500℃以上であることが好ましく、より好ましくは800℃以上である。予熱温度が500℃より低いと、均一核の発生が少なく、且つ反応性が低いため粒度分布のブロードな粒子となってしまう。
四塩化チタンを含有するガスと酸化性ガスを反応管に導入する際の流速は10m/秒以上であることが好ましい。流速を大きくすることによって、両者のガスの混合が促進されるからである。より好ましくは20m/秒以上200m/秒以下であり、さらに好ましくは50m/秒以上150m/秒以下である。反応管へのガスの導入温度が500℃以上であれば、混合と同時に反応は完結するので均一核の発生が増進され、且つCVD支配による成長した粒子が形成されるゾーンを短くすることができる。
反応管に導入されたガスが十分に混合されるように、原料ガスが反応管へ導入されることが好ましい。ガスが十分に混合されれば、反応管内におけるガスの流体状態については特に制限はないが、好ましくは、例えば、乱流が生じる流体状態である。また、渦巻き流が存在していてもよい。
なお、原料ガスを反応管に導入する導入ノズルとしては、同軸平行流、斜交流、十字流等を与えるノズルが採用されるが、これらに限定されない。一般に同軸平行流ノズルは、斜交流や十字流を与えるノズルに比べて混合の程度は劣るが、構造が簡単なので設計上好ましく用いられる。
例えば、同軸平行流ノズルの場合は、内管に四塩化チタンを含有するガスを導入することが好ましい。ただし、内管径は50mm以下、より好ましくは30mm以下であることが、ガスの混合の観点から好ましい。
反応管内に導入されたガスの反応管内における流速はガスの混合を完全に行うためには大きいことが好ましく、特に、平均流速で5m/秒以上、より好ましくは8m/秒以上であることが好ましい。反応管内のガスの流速が5m/秒以上であれば、反応管内における混合を十分に行うことができ、CVD支配による成長した粒子の発生が少なく、粒度分布のブロードな粒子が生成されることがない。
反応管内におけるこの反応は発熱反応であり、反応温度は製造された微粒子二酸化チタンの焼結温度より高温である。反応装置からの放熱はあるものの、反応後、急冷しないかぎり製造された微粒子は焼結が進行し、成長した粒子になってしまう。10m2/g未満の超微粒子二酸化チタンを得る場合には、反応管内の600℃を越える高温滞留時間は1秒以下、より好ましくは0.5秒以下とし、その後急冷することが好ましい。反応後の粒子を急冷させる手段としては、反応後の混合物に多量の冷却空気や窒素等のガスを導入したり、水を噴霧したりすること等が採用される。
合成された二酸化チタンの先述の測定法による粒度分布の90%累積質量粒度分布径D90の値が小さければ、親水性溶媒に対して良好な分散性を示していると判断される。さらに、このような方法で製造された微粒子二酸化チタンは粒度の均一性に優れている。また、本発明に用いる原料となる微粒子二酸化チタンは、アナターゼ結晶やブルッカイト結晶を主相することが好ましい。
ネッキング粒子群の質量Xと粒子群Gの乾燥質量Y、酸化物分散物全体の質量Zであるときに、固形分濃度(X+Y)/Zは0.02以上0.4以下が好ましい、この比(X+Y)/Zが0.02未満である場合には、成膜後、充分な量の酸化物粒子を基材上に残すことができず、充分な光触媒性能を発揮することが難しい場合がある。また、本発明の酸化物分散物は在来品と比較して高濃度においても塗工性に優れるが、固形分濃度が0.を超える値である場合には、成膜時に厚くなり、膜の最表面と、基材側接触面との乾燥速度の差などにより応力が生じ膜にクラックが入りやすく、充分な膜強度を維持することが難しい。より好ましくは(X+Y)/Zは0.05以上0.35以下である。
また、本発明の好ましい実施態様における分散液において、X/Yが30以上0.1以下、(X+Y)/Zが0.02以上0.4以下を満たすようにネッキング粒子群及びネッキング構造をあまり持たない粒子群が存在すれば、粒子群のような第三成分的な粒子群(例えば粒子群H)が追加的に存在しても、本発明の効果は奏される。粒子群Hの中には先述の電極性能を向上することを目的とした粒子群Aも含まれる。粒子群Hは存在することが好ましい場合もあるが、必ずしも必要ではなく、粒子群Hの質量をPとしたときに、P/Xは1.5以下、さらに1以下であることが望ましい。粒子群Hの量があまり多いと、配合されるネッキング粒子群、ネッキング構造をあまり持たない粒子群、粒子群Hを総じた凝集粒子径が大きくなり、均一な膜を得難くなる場合がある。また、先述の通り、粒子群Aが多く配合されすぎたときと同様の弊害が生じる場合がある。
ネッキング粒子群とネッキング構造をあまり持たない粒子群の粒度は異なる分布を持っていることが多く、充填や、膜の均一性などを考慮した際に特にネッキング粒子群の原料についてはある程度の均一性を持つことが望ましい。
二酸化チタン粒度の均一性については、ロジン・ラムラー(Rosin−Rammler)式を用い、その分布定数(n)で規定することができる。ここで、ロジン・ラムラー式について以下に簡単に説明するが、その詳細はセラミック工学ハンドブック((社)日本セラミック協会編 第1版)第59〜62頁及び第596〜598頁に記載されている。
ロジン・ラムラー式は下記式(3)で表される:
R=100exp{−(D/De)n} (3)
式中、Dは粒径を表し、RはD(粒径)より大きな粒子の全粒子に対する質量百分率であり、Deは粒度特性数である。また、nは分布定数と呼ばれR=36.8(%)に相当する粒径である。
上記(3)式を変形すると下記式(2)が得られる:
log{log(100/R)}=nlogD+C (4)
式中、Cは定数を表す(C=log・loge−nlogDe)。
上記式(4)から、x軸にlogD、y軸にlog{log(100/R)}の目盛をつけたロジン・ラムラー(RR)線図にそれらの関係をプロットするとほぼ直線となる。その直線の勾配(n)は粒度の均一性の度合いを表し、nの数値が大きいほど粒度分布が狭いと判断される。
本発明の好ましい実施態様における二酸化チタンのロジン・ラムラー式による分布定数nは1.5以上であることが好ましく、1.7以上3.5以下であることがさらに好ましい。
粒径が小さく、結晶性が高い粒子としては、以下に示すようなブルッカイト結晶含有二酸化チタン及びアナターゼ結晶含有二酸化チタンが例として挙げられる。
本発明におけるブルッカイト結晶二酸化チタン及びアナターゼ結晶含有二酸化チタンとは、すくなくとも例えば非特許文献3に記載されるようなブルッカイト結晶二酸化チタン及びアナターゼ結晶含有二酸化チタンの特徴を示す二酸化チタンを含有する分散体であり、ブルッカイト二酸化チタン及びアナターゼ結晶含有二酸化チタンだけでなく、ルチル結晶も含んでいてもよい。また、非晶質な相を含んでいてもよい。また、これらの相が単相でコーティング液中に分散していても、複数の結晶相を有する粒子が分散していてもよい。少なくとも、明らかにブルッカイト及びアナターゼの特徴を有する結晶相の存在が確認できることが好ましい。
ブルッカイト及びアナターゼ結晶相の存在を確認する方法としてもっとも簡便で実用的な手法は、コーティング液を常温減圧乾燥、又は100℃を若干超える温度で加熱を行うことによって水分を除き、粉末X線回折法をとることが挙げられる。
コーティング液中にブルッカイト結晶相を有する二酸化チタンが存在した場合、Cu−Kα1線の回折角から算出される面間隔d(Å)(測定誤差範囲として±0.02Å)について、2.90に特徴的な回折線が見られる(ただし、同位置近傍により強い回折線を持つ添加物がコーティング液中に存在した場合、必ずしもその位置ではピークとして観察されず、より大きな回折ピークの一部として判断される。以下回折線と示すが、同様に必ずしもその位置にピークとして現れるとは限らない)。
2.90以外にも3.51、3.46にブルッカイト由来の回折線が観察されるが、コーティング液中にアナターゼ結晶相を有する二酸化チタンが存在した場合、アナターゼ二酸化チタン由来のピーク3.51とスペクトル位置が重なってしまい、分離が困難である。アナターゼ二酸化チタンが存在した場合d=3.51(Å)のピークは上記の理由により判別が困難であるが、他にも2.38近傍にアナターゼ結晶相由来のピークが比較的明瞭に観察される。また、ルチル二酸化チタンが存在する場合にはd=3.25(Å)近傍に明瞭なピークがあらわれる。これらブルッカイト由来の2.90、アナターゼ由来の2.38,ルチル由来の3.25のピークを比較することによって二酸化チタン中に各結晶相がある程度存在していることの確認や、相対的な存在比率が概算できる。
しかしながら、この3種のピークの相対強度と二酸化チタン中に含まれるそれぞれの結晶相の割合とが完全に一致しないため、各結晶相の含有率の測定に関しては、非特許文献4に記載されるようなリートベルト法を用いることが望ましい。
例えば、本発明においては、各結晶の存在比を確認するために泉富士夫作製のリートベルト解析用ソフト「RIETAN−2000」をもちいた。フィッティングには分割型プロファイル関数を用い、ブルッカイト型結晶、アナターゼ結晶、ルチル結晶の三種が存在するものとして、解析の信頼性因子Rwp値(測定値と計算値のずれの割合)が8未満になるまで、バックグラウンド、シフト、格子定数、FWHM値、各結晶相の存在比の最適化を行った。この解析により、コーティング液より得られた二酸化チタン粉末各結晶相の質量比率がわかる。
二酸化チタン中におけるブルッカイト結晶二酸化チタンの割合が25質量%以上であると、ブルッカイト結晶二酸化チタンゾル由来の高結晶性により、他の微粒子を用いた際よりも電子伝導性が向上し、さらに、該結晶は色素の吸着能が高く良好な特性を持った電極となる。また、分散性が高く、金属分散物から電極として成膜される際に、粒子群Cの間にできる空隙に、スムーズに入り込む。該結晶が35質量%以上であるとより好ましくその効果が顕著である。ブルッカイト結晶が10質量%に満たない場合においては、ブルッカイト結晶が存在する優位性を明確にすることができない。
ブルッカイト結晶が95%を超えるようなゾルは、生産性が悪く、また結晶性粒子が成長しやすいため粒子群Dの目的にかなった微粒子を製造することが困難であるため、少なくとも5質量%を超えるアナターゼ型を含有していることが好ましい。
粒子群Dとして用いられたブルッカイト結晶含有二酸化チタンゾルは、特に制限はないが以下に記載した合成方法を例示することができる。
ブルッカイト結晶含有二酸化チタンゾルは、例えば特許文献7に記載の方法により製造することができる。ブルッカイト結晶を含むゾルの合成は非特許文献5にも記載されているように、中間体が塩化物を経由することが推定されていて、塩素濃度と合成時の温度制御が重要である。このため、加水分解によって塩化水素が発生する四塩化チタンを原料としたものを用いることが好ましく、より好ましくは四塩化チタン水溶液を用いることが好ましい。合成時の塩素濃度を最適値に保つため、加圧などの手法によって系外への塩化水素の飛散を防止してもよいが、最も効果的な方法は加水分解の反応槽に還流冷却器を用いて加水分解を行う手法である。有機溶媒中においても塩酸分濃度、水分濃度を調節することによって、金属アルコキシド原料などからブルッカイト結晶二酸化チタンを得ることはできるが、反応制御の容易性、また、原料の価格などから考えて、反応媒は水であることが好ましい。
加水分解における温度は50℃以上、四塩化チタン水溶液の沸点までの温度であることが好ましい。50℃未満では加水分解反応に長時間を要する。加水分解は上記の温度に昇温し、10分から12時間程度保持して行われる。この保持時間は加水分解の温度が高温側にある程短くてよい。四塩化チタン水溶液の加水分解は四塩化チタンと水との混合溶液を反応槽中で所定の温度に加熱してもよく、また水を反応相中であらかじめ加熱しておき、これに四塩化チタンを添加し、所定の温度にしてもよい。この加水分解によりブルッカイト結晶含有二酸化チタンを得ることができる。その中でブルッカイト結晶の二酸化チタンの含有率を高めるためには、水を反応槽であらかじめ75℃から沸点に加熱しておき、これに四塩化チタンを添加し、75℃から沸点の温度範囲で加水分解する方法が適する。
ブルッカイト結晶含有二酸化チタンゾルの二酸化チタン粒子は細かいほうが二酸化チタン薄膜の透明性はよくなる。また親溶剤作用の点から結晶質であることが好ましい。しかし、あまり細かい二酸化チタン粒子を得ることは製造上の困難を伴うので、ゾル中の二酸化チタン粒子のBET比表面積は20〜400m2/gであることが好ましい。より好ましくは50〜350m2/gであり、さらにより好ましくは120m2/g〜300m2/gである。
合成直後のブルッカイト結晶含有二酸化チタンゾルは液中に残留しているイオン強度が大きい場合、凝集沈降する場合があるが、合成されたブルッカイト結晶含有二酸化チタンを、電気透析脱塩装置、あるいは限外濾過膜を使用した濾過などの洗浄工程を経由させることによって、分散性をより完全なものとすることが可能である。
本発明では、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が100〜500nmの範囲にある金属酸化物粉末(粒子群Aと称する。)と、平均一次粒子径が10〜40nmの範囲にある金属酸化物粉末(粒子群Bと称する。)を乾式混合することによって得られる金属酸化物構造体を用いることもできる。ここでいう乾式混合とは、水、有機溶媒等の分散媒を用いずに混合する方法を意味する。分散媒を用いる湿式混合では、衝突、摩擦等により発生するエネルギーが粒子だけでなく、分散媒にも拡散するため、メカノケミカル反応が生じにくい。重要なポイントは、乾式混合によってメカノケミカル反応を進め、粒子同士をネッキングさせることにある。
粒子の充填状態を示す指標の一つとしてタップ密度が挙げられる。充填密度が高まるに従い、値は増加する。タップ密度は以下の方法により測定される。
装置は、ホソカワミクロン(株)製粉体特性総合測定装置タイプPT−D等を用いる。試料を、補助カップを備えた100cm3カップに充填し、測定装置にて100回タッピングさせる。補助カップを取り外した後、試料を正確に100cm3とし、試料の質量(g)を測定する。タップ密度は粉体の質量(g)を100で除して得る。
本発明においては、得られる金属酸化物構造体のタップ密度を、0.15g/cm3以上1g/cm3以下にすることが好ましい。タップ密度が0.15g/cm3未満である場合、充填密度が不足していることを示し、タップ密度が1g/cm3より大きいと、金属酸化物構造体を分散体として利用する際に分散しにくくなる。分散状態の悪い金属酸化物構造体分散体は、金属酸化物構造体の空隙部分が少なく、色素増感型太陽電池にした際、電解質が金属酸化物層に拡散しにくくなり、金属酸化物層内部で電解質が不足する。電解質が不足すると電荷移動がスムーズに進まなくなる。
乾式混合には、例えば、ボールミル、高速回転粉砕機、撹拌ミル、ジェット粉砕機等が用いられる。粒子群にメカノケミカル反応を生じさせるエネルギーを与えるものであれば、公知のいずれの混合方法も採用可能であり、どのようなものを利用しても良いが、使用する機材はコンタミしにくい材質が好ましい。以下、ボールミルのうち、転動ボールミルを例に説明する。
転動ボールミルは最も汎用的な混合・粉砕方法であり、円筒状の容器を転動させることで起こる容器内の粉体とメディアの衝突、摩擦作用等を利用している。この場合のエネルギー定数kは、転動ボールミルによる混合、粉砕効果を統一して評価する指標として提案されており(非特許文献6)、下式で表される:
k=wm/wp×d×n×t
(式中、wpは混合する粉の総質量(g)、wmはメディア質量(g)、dはボールミル容器内径(m)、nは回転数(rpm)、tは混合時間(分)を示す。)
エネルギー定数が高くなるほど粉体が受ける衝突、摩擦エネルギーは増加し、メカノケミカル反応が進行するのであるが、それに伴って凝集が激しくなる。
本発明の好ましい実施態様における金属酸化物構造体の製造方法においては、乾式混合におけるエネルギー定数をkとしたとき、k1が、3,000以上250,000以下であることが望ましい。エネルギー定数k1が下限値を下回ると、メカノケミカル反応が不充分となり、粒子同士の結合が生じにくい。エネルギー定数k1が上限値よりも高いとメカノケミカル反応は進行するものの、金属酸化物構造体を分散体として利用する際に分散しにくく、得られる金属酸化物構造体の空隙部分が少なくなる。空隙部分の減少は色素増感型太陽電池にした際の電解質拡散に悪影響を与え、太陽電池の性能を低下させる。また、過剰なメカノケミカル反応は、金属酸化物構造体の伝導帯エネルギー準位を極端に低下させるため、太陽電池にした際の開放電圧が低下し、光電変換効率を下げてしまう。
他の混合方法においても、混合粒子群にメカノケミカル反応を生じさせるのに充分なエネルギーを与える条件に調整することが望ましい。例えば、高速回転粉砕機にあっては、回転数、滞留時間等の調整;撹拌ミルにあっては、撹拌速度、メディア質量、撹拌時間等の調整;ジェット粉砕機にあってはキャリアガスの圧力、滞留時間等の調整を行い、メカノケミカル反応を進行させれば良い。
メカノケミカル反応を検知する方法として、乾式混合前後のオプティカルバンドギャップ(以降、BGと略記する。)の変化を測定する方法が挙げられる。
金属酸化物のBGの変化は、メカノケミカル反応によって金属酸化物粒子の表面近傍の分子軌道が変化するために生じているものと考えられる。一次粒子径の異なる粒子は粒子表面の格子状態も異なるため、BGに差が存在する。メカノケミカル反応によってBGの異なる粒子同士が結合すると、新たな分子軌道が生じ、メカノケミカル反応前のBGとは異なる値となる。また、粒子表面の結晶性が低下し、BGが変化する現象も起こりうる。よって、乾式混合前後のBG差(以降、ΔBGと略記する。)を測定することにより、粒子群Aの粒子と粒子群Bの粒子の結合や表面状態を規定することが出来る。ここで、BG、及び、ΔBGの測定方法について以下に説明する。
(株)島津製作所製積分球式分光光度計UV−2400及びISR−240A型等を用いて、波長と吸光度の関係を測定する。得られた吸光度のパターン(図3参照)の変曲点に対して接線を引き、接線が波長軸と交わる点(吸収端波長)を読み取る。吸光度のパターンと吸収端波長の関係の一例を図3に示す。
BGは下記の式で表される:
E=1240/λ
(式中、EはBG[eV]、λは吸収端波長[nm]を示す)
よって、乾式混合前のBG及び吸収端波長をそれぞれBG0[eV]、λ0[nm]、また、乾式混合後のBG及び吸収端波長をそれぞれBG1[eV]、λ1[nm]とすると、乾式混合前後のBG[eV]は、それぞれ下記のようにして表される:
BG0=1240/λ0
BG1=1240/λ1
よって、乾式混合前後でのΔBG[eV]は、次式で表される:
ΔBG=BG0−BG1=(1240/λ0)−(1240/λ1)
一般に、アナターゼ型二酸化チタンのBGは、3.2eVと言われている(非特許文献7参照)が、メカノケミカル反応によりBGは低下する傾向が見られる。
他の金属酸化物、あるいはそれら混合物でも同様のBG低下傾向は認められる。
本発明の好ましい態様における製造方法においては、得られる金属酸化物構造体の乾式混合前後のΔBGを0.01eV以上0.45eV以下にすることが望ましい。ΔBGが0.01eVよりも小さい場合は粒子同士の結合が少ないことを表し、粒子間の電子移動が行われにくい。ΔBGが0.45eVよりも大きい場合は、粒子表面の結晶性の低下が大きく、電子移動速度が低下するとともに、金属酸化物構造体の伝導帯エネルギー準位が極端に低下するため、太陽電池にした際の開放電圧が低下し、光電変換効率を下げてしまう。
本発明の好ましい態様における二酸化チタン構造体においては、BG1が2.7eV以上3.1eV以下であることが好ましい。
〔結着剤〕
本発明において、成膜された二酸化チタン電極にさらに強い強度が必要な場合、金属酸化物分散物は結着剤を含有するものでもよい。結着剤とは、少量を添加することによって金属酸化物分散液の溶媒が除かれた後も金属酸化物微粒子同士を接触した状態で固定する役割を果たし得るものをいう。従って、このような機能を有するものであれば、制限なく使用することができる。
上記の結着成分は、粒子群が溶着するような比較的高温においては不必要である。ただし、この手法は粒子群の溶着する温度がセラミックスのように非常に高い場合には、そのような高温に耐え得る高い融点を持つガラス基材にしか適用可能ではなく、電極を工業的に生産するに当たって、加温温度はなるべく低い方が生産性及びエネルギーコストの面から言っても好ましい。このように、粒子群のみを用いて実用的な強度をもつ膜を得ることには困難が伴う場合があるため、一般的には、より低温で強度を出すことが可能な有機又は無機の結着成分が用いられる。これに対して、粒子群に対して結着成分の割合が大きくなるほど、膜は強度を得ることが可能となる。しかし、結着成分の配合割合が増加するにつれ、一般的には本来目的とされていた粒子群の酸化物粒子電極としての機能は阻害される。さらに、色素吸着などの機能発現のための粒子群の活性点は、化学的に特異点である場合が多く、特に結着成分が優先して付着してしまうことが多い。このため、粒子群と結着成分の量は、膜の強度と膜が目的とする機能を十分発揮するという目的においてトレードオフの関係にある。また、粒子群に対して結着成分は高価である場合が多く、多用は望ましくない。
有機系の結着剤の具体例としては、ポリN−ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、N−ビニルアセトアミド−アクリルアミド共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、ポリN−ビニルホルムアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ポリフッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ポリフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルピリジン、ビニルピリジン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタムから選ばれる高分子化合物の一つもしくはそれらの混合物や、前記高分子化合物のモノマーの共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリN−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム及びポリテトラフルオロエチレンから選ばれる高分子化合物の一つもしくはそれらの混合物や、前記高分子化合物のモノマーの共重合体が好ましい。また、結着剤は高分子量であるほど性能が高くなる。具体的には、平均分子量は500以上が好ましく、1万以上がさらに好ましく、10万以上がより好ましい。
本発明においては、有機系結着剤に限らず、無機系結着剤を用いることが可能である。無機結着剤としては、Zr化合物、Si化合物、Ti化合物、Al化合物が例示される。具体的にはオキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、プロピオン酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物、アルコキシシラン、アルコキシシランの鉱酸による部分加水分解生成物、珪酸塩等の珪素化合物、或いはアルミニウムやチタンやジルコニウムの金属アルコキシドやそれらの鉱酸による部分加水分解生成物等が挙げられる。また、アルミニウム、シリコン、チタンやジルコニウムのアルコキシドから、複数金属種のアルコキシドを選択し複合化したり加水分解させたものも挙げられる。中でも、ジルコニウム化合物が望ましい。これらの結着剤を、有機無機を問わず、混合物として相互の特性を向上させることも可能である。
結着剤の使用量は、結着性能が発現する範囲であれば少ないほどよい。具体的には、金属酸化物微粒子100質量部に対して0.01〜20質量部添加することが好ましい。さらに、0.01〜5質量部が好ましい。特に0.01〜2質量部の少量の使用において、金属酸化物膜の鉛筆引掻き強度をH以上、さらには3H以上7H以下にできるものは、結着剤による導電性の低下なしで高い機械的強度を有するので好ましい。また、結着剤は、増感色素が金属酸化物上に担持されることを妨げる原因となる官能基(すなわち、水酸基あるいはアミノ基)を含まないことが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアミンなどは電極の性能を低減させる場合があるので好ましくない。
〔溶剤〕
分散液に使用する溶剤は、金属酸化物微粒子を分散させるとともに、結着剤を分散、溶解あるいは膨潤させることにより、金属酸化物微粒子と結着剤とを混合を促進することができる揮発性液体であれば制限なく使用できる。具体的には、その骨格中に水酸基、カルボキシル基、ケトン基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基を有する揮発性液体が好ましい。例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール(1−プロパノール、2−プロパノール)、2−メチル−2−プロパノール、ヘキサノール、メチルセロソルブ、エチレングリコール、酢酸、アセチルアセトン、テレピン油、メチルピロリドンの単体あるいはそれらの混合物が使用できる。
金属酸化物粒子を分散するためには水を含有することが望ましく、一方樹脂基板との濡れ性を向上させるためには疎水性の溶媒、好適にはアルコールを含有することが望ましいので、水とアルコールの混合物は好適な溶媒である。この中でもエタノールを40質量%以上含有する水溶液を溶剤として用いると、導電性樹脂基板との濡れ性がよく、さらに60質量%以上含有すると塗布後の乾燥速度を早くすることが可能であり、生産性が高い。また、ブタノールと相溶性のあるアルコール類やアセトニトリル等を含有する揮発性溶剤中にブタノールを50質量%以上含有する液を金属酸化物分散物の溶剤として用いると、常温で高粘度、且つ導電性樹脂基板との親和性が高く、且つ100℃付近で溶剤を気化して成膜する事が可能であり、樹脂導電性基板上にスキージ法等の手法を用いて成膜する金属酸化物分散物として適している。
金属酸化物分散物の樹脂基板(導電性樹脂基板)に対する濡れ性(塗布性)の観点から、樹脂基板(導電性樹脂基板)に対する金属酸化物分散物の液滴接触角が0〜60度、さらには20〜50度であることが望ましい。典型的な樹脂基板としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を挙げることができ、従って、ポリエチレンテレフタレート(PET)に対する金属酸化物分散物の液滴接触角を測定して、0〜60度、さらには20〜50度であるものは望ましい。
〔金属酸化物分散液の作製方法〕
金属酸化物微粒子、結着剤及び溶剤を用いて金属酸化物分散液を作製する方法としては一般的な分散方法が使用可能である。具体的には、乳鉢、ペイントコンディショナー、ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミル、超音波撹拌機などが挙げられる。
〔粒子群のネッキング状態の確認手法〕
金属酸化物分散物中に含まれる粒子群が、充分なネッキング状態であることを確認するための手法として、該分散物よりえられる電極についていわゆる交流インピーダンス測定を行い、測定されるインピーダンスの虚数項によって定義することが可能である。以下に測定法を示す。
測定対象となる分散物を、透明導電性樹脂基板(トービ(株)製、OTEC−110、125μm厚)に、面積が1cm2で乾燥時の膜厚が接触式膜厚計での測定により10μmとなるように、150℃で10分乾燥を行う。この電極をルテニウム有機錯体色素(Ru(dcbpy)2(NCS)2小島化学薬品(株)製)のアセトニトリル(関東化学(株)製、試薬特級)50容量%、エタノール(関東化学(株)製、試薬特級)50容量%の混合溶媒溶液に、20℃〜25℃の遮光環境で12時間以上浸漬し、軽くアセトニトリルで注いだものをインピーダンス測定サンプルとして使用する。
測定時の対極としては、白金をスパッタで50nm導電面に付与した透明導電性樹脂基板を用いた。対極に対して30μのスペーサーを入れて電極間隔を調節した後、0.1mol/リットルのヨウ化リチウム(キシダ化学(株)製、純度97%)及び0.05mol/リットルのヨウ素(関東化学(株)製、試薬特級)及び0.5mol/リットル テトラブチルアンモニウムヨウ素塩(Acros Organics製、純度98%)を空隙に注入し、15分間放置して電解液の浸透を待つ。
光源としてキセノンランプ(ウシオ電機(株)製、UXL−150D−S)を使用し、100mW/cm2の光線をサンプルに照射した。測定装置としてはインピーダンスアナライザ(Solartron社製1280)を用い、設定としては、直流電位は測定は開回路電位で一定とし、交流電位振幅は10mVで一定とする、周波数範囲は10kHz〜0.1Hzまで、logarithmicでステップを10とし、積算回数は10サイクルとする。
本測定において、明確に検出されうる円弧は1個以上存在することがあるが、たとえば3つ明確に観察された場合には、最も高周波側に現れる円弧は、対極表面における過電圧の低い反応に由来するものである。また最も低周波側に現れる円弧は、電解質の拡散を示すものである。本発明において着目すべき円弧は、金属酸化物多孔体内における電子移動を示していると推測される周波数20Hz近傍の円弧であり、少なくとも20Hzを弧の範囲に含む円弧である。
同様な特性を持つ電極基板は、電極面積に対して抵抗測定値が反比例するため、異なった電極面積を持つ電池のインピーダンスを比較するためには、抵抗値に対して色素電極面積Sを乗じ、規格化を行う必要がある。例えば、3cmの電極面積を持つ色素増感型電池におけるインピーダンスの虚数項の測定値が−3であった場合、単位面積当たり、すなわち1cmの電極面積で測定を行うと−9という値が得られる電極と等価の性質を持つ電極であるといえる。色素電極の面積をScmとしたときに、先述の20Hzを含む円弧におけるインピーダンス虚数部の最小値が−25S〜0Ωであると、電極の抵抗が小さく、電池としてオーム損が少なく望ましく、−15S〜0.01SΩであるとさらに好ましく、−9S〜−0.1SΩであると非常に性能が高く好ましい。
本発明において特筆すべきこととしては、150℃という低温で成膜しているのにも関わらず、ネッキング粒子群を含有する金属酸化物分散物を用いると、良好な電子伝導性を保つことができることであり、この結果、該円弧におけるインピーダンス虚数部の絶対値が0に近づく。この虚数部の値が−25Ω以上−0.01Ω以下であると電極の抵抗が小さく、金属酸化物分散液が太陽電池として加工した際に低抵抗であり望ましく、―15Ω以上−0.01Ω以下であるとさらに好ましく、―9Ω以上−0.01Ω以下であると該分散液を用いて作った電池が非常に性能が高く好ましい。
金属酸化物分散物の塗布方法
このようにして作製された金属酸化物分散物は、導電性樹脂基板上に前処理を行うことなく直接塗布することも可能であるが、基板と金属酸化物微粒子層との密着性の向上のため、基板への紫外線照射、オゾン洗浄、界面活性剤処理、電気分解酸化処理、アンダーコート層の形成、及びこれらの組み合わせによる処理を行ってもよい。これらの処理を行うことによって、導電性樹脂基板上に金属酸化物分散物を塗布する際に、その濡れ性を向上させることが可能である。これにより、密着性を向上させ、膜強度を高めることが可能であることと同時に、金属酸化物粒子と基板との密着性を高め、その電子伝導性を良好なものとすることが可能である。
紫外線照射を行うための光源としては、高圧水銀灯、ブラックライト、低圧水銀灯、殺菌灯、蛍光灯などが挙げられるが、ITO等の導電性樹脂基板上半導体の光触媒作用を利用して金属酸化物分散物と基材の親和性を向上させるためには波長250nm付近の紫外線を発する低圧水銀灯、殺虫灯などが特に好ましい。
オゾン洗浄装置を用いると、樹脂表面に酸化物の官能基を付与したり、半導体表面に残存している有機物の分解及び除去を効率的に行うことができる。オゾン洗浄装置としては、強力な紫外線の照射下などで、半導体基板、光学部品、ディスプレイ、などの洗浄を行う大気圧型、タイル、外壁、水まわり等の洗浄に用いる加圧型の市販のものを用いることが可能である。
コロナ放電表面処理を用いると、樹脂表面層に極性基を持たせることが可能であり、接着性、コーティング性を高めることができる。ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等、表面官能基が乏しい樹脂の表面改質用途の市販の装置を用いることが可能である。
界面活性剤としては縮合リン酸塩、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルローズ、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、非イオン性界面活性剤などが用いられる。好ましくはポリアクリル酸系の界面活性剤及びポリオキシエチレンアルキルエーテルがよい。
導電性樹脂基板をアノードとして、非常に薄い酸を電解液として用い、電気分解酸化を行うことにより、親溶剤性を高めることができる。溶剤の濡れ性が高まる機構は定かではないが、半導体(例えばITO)近傍に電圧がかかり、その周辺の樹脂表面が酸化されることによって、オゾン照射や、コロナ放電と同様な効果が表れるのではないかと推定される。例えば、1mmol/Lの硫酸水溶液を電解液、導電性樹脂に対して充分に比表面積が大きな対極を用いて、導電性樹脂と対極との間の電極間距離を5cm程度、電極間電圧を100Vとし、導電性樹脂基板を直流で電解酸化を行うなどの手法が上げられる。
金属酸化物分散物を電極に塗布する際には、導電性樹脂電極上に、アンダーコート層として、さらに一層の金属酸化物微粒子を含有する層をもうけてもよい。アンダーコート層の厚みは1nmから2μmが好ましい。1nm以下ではアンダーコート層としての金属酸化物微粒子層として充分な効果が出ず、2μm以上であると折り曲げ強度などの問題が生じる。特に10nm以上に金属酸化物を成膜すると、樹脂と比較して各溶剤との親和性が良好なアンダーコートとしての金属酸化物の特性によって、その上に形成される電極用の金属酸化物分散物と、樹脂との密着性を充分にすることが可能である。
アンダーコート層の形成にはスパッタリング、蒸着、コーティング液の使用などの手法が挙げられるが、この中でも特殊な機材を必要とせず、小規模の実験室レベルから、工業レベルでの生産まで適用が可能なコーティング液の利用が好ましい。
コーティング液としては、二酸化チタン微粒子を含有するものが好ましい。二酸化チタン微粒子は、毒性・環境負荷が小さいこと、光触媒用の光透過性の高い微粒子が比較的容易に入手可能なこと、このため、数nm〜数μm程度の膜を作成することが可能であること、色素側から導電性樹脂電極への電子の経路を阻害しないこと、各種溶剤への分散が優れていることなどがその理由として挙げられる。
二酸化チタンの中でも、先述の粒子群Dのような粒子径を持つ二酸化チタンが上記アンダーコート層用コーティング液の組成として好ましい。さらに、より透明性が高く、且つ金属酸化物分散物との親和性が高い膜が要求される場合には、粒子Dの中でも前述の分散性、水系、有機溶媒との親和性が良好なブルッカイト結晶型及びアナターゼ結晶型二酸化チタンが好ましい。
アンダーコート層作成用のコーティング液は、先に記した無機系結着剤を含んでいることが好ましい。無機系結着剤の中でも、二酸化チタンの分散性を阻害しないジルコニウム化合物を含有するコーティング液を用いると、特に強度が高く、透明性が高く、比較的低温で成膜可能なアンダーコート層を作成することが可能である。
また、アンダーコート層作成用のコーティング液は有機溶剤を含んでいることが好ましい。有機溶剤を特に40質量%以上含有するとコーティング液の表面エネルギーを小さくすることが可能であり、導電性樹脂上で液をはじかず、ムラの無い、密着性の高いアンダーコート層を作成することが可能である。
このようにして形成されたアンダーコート層は、親水性、親溶剤性が高いため、その上に直接無処理で、電極作成用金属酸化物分散物を塗布することが可能であるが、特にアンダーコート層上での濡れ性を向上させるために、紫外線などを照射することを妨げない。この際に用いられる光源としては、太陽光、ブラックライト、蛍光灯などがあげられるが、導電性樹脂電極の親溶剤性を高めるため直接照射した光と比較すると、より長波長の光である波長350nm〜400nmで充分に親溶剤性が高まるため、紫外線照射を行う場合においても、工業上優位である。
本発明において、電極作成用金属酸化物分散物に、塗工直前に超音波照射を行ってもよい。金属酸化物分散物は、合成当初は分散状態が良好であるが、経時とともに凝集が進行するものもある。粗粒が存在することによって、膜強度の低下や、色素の吸着能力の低下、また、電解質の拡散を阻害することがある。超音波を照射することによって、導電性樹脂上への塗工性を向上、電極としての性能の低下を防ぐことができる。超音波を照射する手法としては、ガラス、樹脂等の容器に電極作成用金属酸化物分散物をいれ、外部より卓上型、あるいは工業用ユニット式の超音波分散機を用いて超音波照射を行ったり、投げ込み型の超音波発信子を用いてもよい。また周波数として100kHz、40kHz、28kHzのものあるいはこれらの組み合わせで用いてもよい。
光電変換効率向上させる手段として、増感色素の光吸収効率を高める目的で、金属酸化物膜中に光散乱材を混在させるという方法が広く用いられている。この場合、金属酸化物膜内に光散乱を促進するという目的で可視光波長の半分前後、つまり、粒子郡Aとして先に記した150nm〜1μmの粒径を有する粒子からなる光散乱材を分散させた光活性電極を用いる。この光活性電極を用いて作製した色素電極では、入射光が光散乱材を介して複数回屈折するために、入射光が金属酸化物内を進む見かけ上の距離が大きくなる結果、光が増感色素に吸収される割合が高くなる。ここで光散乱促進に用いられる粒子は、通常、金属酸化物と同種のものが用いられる。
この手法は、金属酸化物分散物に、粒子郡Aを配合し、従来と同様な塗布法を行えばよいという工程上の利便性がある反面、この方法で得られた色素電極では、入射光の一部が、色素電極のシート状電極との界面付近で反射するために、増感色素に吸収されずに色素電極の外へと逃げる結果、入射光を完全に吸収した場合の光電変換効率と比較して、実際に達成できる光電変換効率が低いという問題がある。この問題を解決するためには、色素電極中の光散乱材の金属酸化物に対する割合を入射光側、つまり、導電性樹脂基板に近い部分では少なくし、ここから対極に近づくにつれて光散乱材の量を多くした光活性電極を用いる必要がある。この場合、光活性電極中の光散乱材の割合が、導電性樹脂基板側から対極側にかけて増加するように構成された2層以上の層からなるいわゆる多層型、あるいは連続的に組成が変化する傾斜型の光活性電極がより有効と考えられる。
さらに、光活性電極を多層型あるいは傾斜型にする別の目的として、色素電極内の電解液の拡散を促進することもある。つまり、導電性樹脂基板近傍の金属酸化物膜は、密にすることで色素担持量を大きくして光吸収効率を高める一方、光がほとんどとどかない対極に近い側の金属酸化物は、電解質の移動がスムーズに進行するように疎になるようにすることで、光を有効に吸収しつつ、電解質が効率的に色素電極と対極間を行きさせることで、色素増感型太陽電池の効率を高めることができる。
導電性樹脂基板の上に形成される金属酸化物膜の厚さは、0.1〜100μmが好ましく、1〜40μmがより好ましく、2〜10μmがさらに好ましい。ここでいう導電性樹脂基板とは電気抵抗が2000Ω/□(スクエアー)以下を有し、且つ可視光に対する光透過性が30%以上のものであれば使用可能である。具体的には、導電体としてインジウム酸化スズ(ITO)、酸化亜鉛、フッ素ドープ型酸化スズ(FTO)などを表面に有するPETあるいはPEN等の樹脂が好ましい。
金属酸化物電極の作成方法としては、前記導電性樹脂上に、スプレーコート、スピンコート、ドクターブレード、フローコート、ロールコートなどで塗工し、乾燥により溶剤を除去するという手法が上げられる。スピンコート、フローコートによって得られた電極は、緻密であり、透視性に優れ、セル全体を透視型にすることが可能となる。しかしながら膜厚をあげ、電極内に入射光を十分回収するためには、塗布回数を多くし、光活物質である色素を充分量電極内に吸着する必要があるため、この手法においては生産性が低下する。これに対して、スプレーコート、ドクターブレード、ロールコートは工業的に用いることが可能であり、中でもスプレーコートはコートしながら連続的に乾燥させることが可能であり膜厚のコントロールも、塗布時間や時間あたり噴霧量で調節可能であるため、好ましい。
金属酸化物分散物から成形された電極を構成要素とする太陽電池とその用途
金属酸化物電極表面に増感色素を担持して得られる色素電極の金属酸化物膜面と、触媒作用と導電性とを有する対極の電気伝導性を有する面とを対向させ、且つ前記色素電極と対極の間に電解液を充填した構造からなる色素増感型太陽電池についてのものである。
ここで金属酸化物表面に担持する増感色素としては、色素増感型太陽電池に用いられる色素が広く使用できる。具体的には、ルテニウムビピリジウム錯体、キサンテン系色素、メロシアニン色素、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体などである。光活性電極上に増感色素を担持する方法は一般的に用いられるもので、増感色素をアルコールに溶解させた溶液に光活性電極を浸すことで行う。ここでいう対極とは電気抵抗が2000Ω/□以下のもので、且つ触媒作用を有する材料であれば、透明であっても不透明であっても制限なく使用できる。ここでいう触媒作用とは光活性電極上で酸化された電解質が対極上において小さな過電圧において還元するように作用するものである。具体的には、白金、ルテニウム、グラファイト、カーボンブラックがこの機能を有する。従って、対極の電解層に接する部分に、これらの成分のいずれかあるいは複数が存在することが必要である。
対極の例を挙げると、炭素繊維、気相法炭素繊維、カーボンナノチューブ、VGCF(登録商標)、黒鉛粉末、カーボンブラック、グラファイトをポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ポリフッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ポリフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、スチレン−ブタジエンゴム等で練り合わせた後にシート状に成形したもの、あるいは、ルテニウムメッシュ、白金板、白金繊維、白金を表面に担持した電極などがある。白金を表面に担持する方法としては、一般的に用いられる白金めっき浴を用いる電解めっき法、無電解めっき法等の電気化学的手法、混合法、蒸着法、スパッタ法、反応化学的手法等一般的に用いられる手法が挙げられる。また、白金、ルテニウム等の貴金属を付与する基材が、ITOや二酸化チタン等のように光触媒能を持つ半導体であった場合、基材上に該貴金属をイオン、又は錯イオンとして含有する溶液を塗布し、その光触媒が励起する波長の光を照射する事によって、光触媒還元作用により、対極電極基材上に電解質の酸化還元に対して触媒能を持つ貴金属を付与することができる。
電解層に用いる電解液としては、通常の色素増感型太陽電池に使用可能なものであれば特に制限はない。具体的には、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化メチルエチルイミダゾリウム、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム及びヨウ素の中から選ばれる少なくとも一つの電解質を、非プロトン性極性溶媒、例えば、アセトニトリル、エチレンカーボネート、メトキシプロピオニトリル、ジメトキシエタン、プロピレンカーボネートに溶解したものが挙げられる。
また、電解質を溶解させる溶媒としては、常温溶融塩、例えば、エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、ジメチルプロピルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、ヨウ化エチルメチルイミダゾリウムーヨウ化アルミニウム混合系、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムーヨウ化アルミニウム混合系、エチルメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルプロピルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート等に挙げられるような、カチオンがエチルメチルイミダゾリウム、ジメチルプロピルイミダゾリウム、ブチルメチルイミダゾリウム、ヘキシルメチルイミダゾリウム、オクチルメチルイミダゾリウム、デシルメチルイミダゾリウム、ドデシルメチルイミダゾリウム、テトラデシルメチルイミダゾリウム、ヘキサデシルメチルイミダゾリウム、オクタデシルメチルイミダゾリウム、ジメチルエチルイミダゾリウム、ジメチルブチルイミダゾリウム、ジメチルヘキシルイミダゾリウム等であり、アニオンがヨウ素に代表されるハロゲン、四フッ化ホウ素、六フッ化リン、上記で示されるようなカチオンとアニオンの塩、又はこれらの混合物である、常温溶融塩単独又は、溶融塩と非プロトン極性溶媒との混合物を、電解質を溶かす溶媒として用いてもよい。
本発明の好ましい実施態様における金属酸化物分散物から成形された電極を構成要素とする色素増感型太陽電池は、光、熱、音響等の発生、運動、表示などの機能を有する物品に備えることで、太陽光、室内光、蛍光灯、白熱電球などの照明用電灯のみならずその他各種の光源からの光が照射される環境下において、その機能のための電力源として利用することができる。例えばLEDなども採用可能である。
また、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池や、各種ケミカルキャパシタや、電気2重層キャパシタなどの公知の充電デバイスと組み合わせた複合充電素子、ペルチェ素子と組み合わせた複合冷却素子、有機ELや液晶などの表示素子と組み合わせた複合表示素子などとして利用することができる。また、ポリマー電池との複合素子とすることもできる。そのポリマー電池とは、少なくとも、化合物の酸化還元反応に伴う電子授受を電気エネルギーとして取り出す電極と、電解液又は固体電解質又はゲル電解質を有するポリマー電池である。ここで前記電極を構成する正極及び負極の活物質が、前記酸化還元反応に伴う電子授受にプロトンの結合・脱離が関与し得る、窒素原子を有するπ共役高分子又は/及びキノン系化合物であり、前記電解液又は固体電解質又はゲル電解質が、プロトンを含み、正極及び負極の活物質の酸化還元反応に伴う電子授受が、前記窒素原子に結合又は配位しているプロトンあるいは生成したヒドロキシル基のプロトンの結合・脱離にのみ関与して行われるように、前記電解液又は固体電解質もしくはゲル電解質のプロトン濃度が設定され動作電圧が制御されていることを特徴とする、ポリマー電池である。
特に、色素増感型太陽電池の電極基板に樹脂を採用し、前記の組み合わせる素子や部品もフレキシブルな基材をベースにすれば、得られる複合素子もフレキシブルにすることができる。
そのような色素増感型太陽電池やその複合素子を利用した物品の例としては、例えば、建材、照明器具、意匠性窓ガラス、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、携帯電話、美容器具、携帯情報端末、PDA(Personal Degital Assistance)、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、樹脂製品、スポーツ用品、布団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品、文房具、ワッペン、帽子、鞄、靴、傘、ブラインド、バルーン、配管、配線、金具、照明、LED、信号機、街灯、玩具、道路標識、装飾品、交通信号機、掲示板、アウトドア用品(例えばテント、クーラーボックス)、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱器や冷却器用の電源などが、発電、充電、発光、発熱、音響の発生、運動、表示の機能を有する物品として挙げることができる。
また、前記色素増感型太陽電池やその複合素子の製造工程を構成する部材を揃えて、学習教材セットやDIYセットとすることもできる。
以下、実施例及び比較例にて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
〈接触角試験〉
透明導電性樹脂基板(トービ(株)製、OTEC―110 125μm厚)又はFTOガラス導電性電極(A110U80、旭硝子(株)製)に対して、各種金属酸化物分散物を滴下し、接触角測定器(共和界面科学(株)製 CA−D)を用いて液滴接触角の測定を行った。
〈色素溶液調製〉
アセトニトリル(関東化学(株)製、試薬特級)50容量%、エタノール(関東化学(株)製、試薬特級)50容量%の混合溶媒に、3mmol/Lのルテニウム錯体色素(Ru(dcbpy)(NCS)小島化学薬品(株)製)を溶解させた。
〈電解液の調製〉
アセトニトリルに、0.1mol/リットルのヨウ化リチウム(キシダ化学(株)製、純度97%)、0.05mol/リットルのヨウ素(関東化学(株)製、試薬特級)、0.5mol/リットルのテトラブチルアンモニウムヨウ素塩(Acros Organics製、純度98%)を溶解させた。
〈光電変換効率測定法〉
作製した色素増感型太陽電池に、光源としてキセノンランプ(ウシオ電機(株)製、UXL−150D−S)を使用し、100mW/cm2の光線を照射した。この時の最大光電変換効率をポテンショスタット(北斗電工(株)製、HAB151)を使用して測定した。
〈液相法二酸化チタン粒子の合成〉
蒸留水9.1Lを還流冷却器付きの反応槽に装入し、95℃に加温してそれを維持した。攪拌速度を約200rpmに保ちながら、ここに四塩化チタン水溶液(Ti含有量16.5質量%、比重1.52、住友チタニウム(株)製)水溶液920mLを約100mL/minの速度で反応槽に滴下した。このとき、反応液の温度が下がらないように注意した。この結果、四塩化チタン濃度が0.5moL/L(二酸化チタン換算4質量%)であった。反応槽中では反応液が滴下直後から、白濁し始めたがそのままの温度で保持を続け、滴下終了後さらに昇温し沸点付近の温度(101℃)で60分間維持した。えられたゾルについて限外濾過膜(旭化成(株)製マイクローザACP−1050孔径約6nm)を用いて洗浄液の伝導度が100μS/cmになるまで純水で洗浄を行い、120℃乾燥時における固形分濃度が10質量%になるように濃縮を行った。前述の方法を採用し、レーザードップラー式の粒度分布計で測定したところ、15nmにピークを持つ分布となることがわかった。得られた固形分のBET比表面積をBET比表面積計(Simadzu製FlowSorb2300)を用いて測定したところ220m2/gであった。
またこのゾルの乾燥固形分をめのう乳鉢で粉砕し、粉末X線回折の測定を行った。測定装置としてX線回折装置(Rigaku(株)製 Rint Ultima+)を使用した。X線源はCuKα1を使用し、出力は40kV−40mA、発散スリットは1/2°発散縦制限スリットは10mm、散乱スリットは1/2°、受光スリットは0.15mmで測定を行った。スキャンのステップは0.04°、計数時間は25秒とし、FT条件でのX線回折パターンの測定を行った。得られたX線パターンについて、前記したリートベルト解析法を用いて解析すると、ブルッカイト結晶55質量%、アナターゼ結晶40質量%、ルチル結晶5質量%をふくむブルッカイト結晶含有二酸化チタン粉末であった。この粉末のタップ密度Ρは、1.2g/cm3であった。チタニアの真密度ρは4.0g/cm3とし(1)式に基づいて算出すると、この液相法によって得られた粒子のネッキング個数mは2.9個となった。また透過型電子顕微鏡(JEOL製JEM−200CX)で観察したところ、一次粒子径は約7nmであった。
(実施例1):エタノールを含有する分散物
気相法で得られた平均一次粒子径500nmの二酸化チタン(昭和電工(株)製、スーパータイタニア(登録商標)G−2)3g及び平均一次粒子径30nmの二酸化チタン(同、スーパータイタニア(登録商標)F−4)9g、液相法二酸化チタンゾル30g、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ソーダ共重合体(昭和電工(株)製、VIAC GE−195)1%水溶液を2g、水6g、エタノール(純正薬品)50g及び3φジルコニアボール500gを800cm3のポリエチレン容器(φ96×133mm)に入れ、ボールミル((株)アサヒ理化製作所製、AV)にて回転数80rpmで12時間、混合を行い、二酸化チタン分散液を得た。
透明導電性樹脂基板(トービ(株)製、OTEC―110 125μm厚)を2枚準備し、一方では上記によって得られた二酸化チタン分散物の接触角試験を行った。もう一方の基板に、塗布面積が5mm正方になるようにマスクをテープで行い、得られた二酸化チタン分散液を塗布した後、100℃で10分間乾燥し、塗布、乾燥を繰り返すことによって導電性樹脂基板上に10〜12μmの二酸化チタン薄膜を形成させた。
この二酸化チタン薄膜を色素溶液に20〜25℃で一晩浸漬して色素を吸着させ、色素電極を得た。導電性ガラス基板に白金を担持させた白金対極と色素電極を各々の活性面を30μm間隔で向かい合わせて固定し、その間に電解液を注入して、オープンタイプの色素増感型太陽電池を作製した。この二酸化チタン分散物の接触角と、光電変換効率の結果を表1に示す。
得られた金属酸化物分散物より得られた膜に対して、前述の手法により、インピーダンス測定を行ったところ、図4に示すように20Hzを含む円弧におけるインピーダンス虚数部の最小値が、―2.9Ωとなった。
(実施例2):ブタノールを含有する分散物
エタノール50gに替えて、2−メチル−2−プロパノール40gとエタノール10gの混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。ただしこの分散物は粘度が大きく、スキージ法による塗布が可能であった。
(実施例3):アクリル酸ソーダ重合体を含有する分散物
N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ソーダ共重合体1質量%水溶液に替えて、ポリアクリル酸ナトリウム0.2質量%水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(実施例4):ジルコニウム化合物を含有する分散物
N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ソーダ共重合体1質量%水溶液2gと水6gに替えて、塩化ヒドロキシジルコニウム20質量%水溶液(日本軽金属(株))8gを用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(実施例5):紫外線照射による前処理
5−1:導電性樹脂基板の前処理
透明導電製樹脂基板に、殺菌灯(東芝ライテック(株)製)20型2本を用いて10cmの距離から1時間照射を行った。
5−2:太陽電池の作成
エタノール50gに替えて、水50gを用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(実施例6):オゾン洗浄による前処理
6−1:導電性樹脂基板の前処理としてUV/O3洗浄装置(Samco社 UV−1)を用いることにより。10分間オゾン照射を行った。
6−2:太陽電池の作成
エタノール50gに替えて、水50gを用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(実施例7):コロナ放電による前処理
7−1:導電性樹脂基板の前処理としてコロナ照射装置(3DT マルチダイン1)を用いることにより。10kVで2cm程度の高さから数秒間、コロナ照射を行った。
7−2:太陽電池の作成
エタノール50gに替えて、水50gを用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(実施例8):界面活性剤による前処理
8−1:導電性樹脂基板の前処理として、スルホ脂肪酸メチルエステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル類を主成分として含有する界面活性剤E−100(フナコシ labomate)に浸漬し、軽くゆすった後、水で充分すすいだ。
8−2:太陽電池の作成
エタノール50gに替えて、水50gを用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(実施例9):電解酸化による前処理
9−1:導電性樹脂基板の前処理として、基盤を2cm×4cmの長方形にきりとり、このうち2cm×2cmを1mmol/L硫酸水溶液に浸漬し、充分に大面積の炭素電極を対極として用い、電極間距離を5cmとして、直流定電圧発生装置を用いて、電解酸化処理を100Vで、数秒間おこなった。このとき、定電圧発生装置付属の電流計によると、多くとも0.1A以下の電流しか流れていないことを確認した。
9−2:太陽電池の作成
エタノール50gに替えて、水50gを用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(実施例10):アンダーコート層を有する塗布方法
10−1:アンダーコート液の作成
20mLガラスビーカーに、液相法二酸化チタン粒子を含有する固形分10質量%液のゾル2g、塩化ヒドロキシジルコニウム20質量%水溶液0.2g、水0.8g、エタノール7gを順次投入し、攪拌することによってアンダーコート液を得た。
10−2:アンダーコート層の形成
10−1で作成したコーティング液を、フローコートにより導電性樹脂の導電面に塗布し、常温乾燥後、100℃で10分間硬化を行った。アンダーコート層に対し、ブラックライト20型(東芝ライテック製)を用いて5cmの距離から5分間紫外線照射を行った。
10−3:太陽電池の作成
エタノール50gに替えて、水50gを用いた以外は、実施例1と同様の手法により、10−2で作成したアンダーコート層のある導電性樹脂基盤を用いて接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(実施例11):組成の異なる分散物を積層した色素電極
11−1:組成1
平均一次粒子径25nmの二酸化チタン12g、液相法二酸化チタンゾル30g、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ソーダ共重合体1%水溶液を2g、水6g、エタノール50g及び3φジルコニアボール500gを800cm3のポリエチレン容器に入れ、ボールミルにて回転数80rpmで12時間、混合を行い、二酸化チタン分散液を得た。
11−2:組成2
粒子径500nmの二酸化チタン10g、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ソーダ共重合体1%水溶液を2g及び水56gを混合し、二酸化チタン分散液を得た。
11−3
導電性樹脂基板に、塗布面積が5mm正方になるようにマスクをテープで行い、得られた二酸化チタン分散液組成1を塗布した後、100℃で10分間乾燥し、塗布、乾燥を繰り返すことによって導電性樹脂基板上に8μmの二酸化チタン薄膜を形成させた。続いて二酸化チタン分散液組成2を一回塗布したあと、乾燥し、膜厚が計10μmとなる二酸化チタン薄膜を形成させた。
この二酸化チタン薄膜を色素溶液に20〜25℃で一晩浸漬して色素を吸着させ、色素電極を得た。導電性ガラス基板に白金を担持させた白金対極と色素電極を各々の活性面を30μm間隔で向かい合わせて固定し、その間に電解液を注入して、オープンタイプの色素増感型太陽電池を作製・評価した。光電変換効率の結果を表1に示す。
(実施例12):分散物の粒度分布
G−2に代えて、F−4を用いた以外は実施例1と同様の手法により酸化物分散物を調製した。このときF−4のレーザー回折式粒度分布測定法により測定した粒度分布における90%累積質量粒度分布径D90は0.9μmであり、D50は0.5μmであった。ロジン・ラムラー式におけるn値は2.0であった。なお、n値はレーザー回折において得られた3点データ、D10,D50、D90をそれぞれRR線図においてR=90%、50%、10%としてプロットし、それら3点の近似直線から求めた。比表面積をBET法により測定し、51m2/gという値を得た。この比表面積値より、(2)式で求めた一次粒径は、29nmであった。タップ密度は、0.2g/cm3であった。(1)式に基づき、mを算出すると230個であった。
分散液をレーザードップラー式粒度分布計を用いて測定した。14nm、74nmにそれぞれ質量粒度分布のピークを持ち、14nmのピークの面積は65%、74nmのピークの面積は35%であった。レーザー回折法を用いて測定した際には、1.9μmに一山のピークを持つ質量粒度分布となった。また、得られた分散物を乾燥し、得られた粉体のBET比表面積から求められた平均一次粒子径は23nmであった。この分散液について、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(比較例1):水系、前処理の無い塗布方法
エタノール50gに替えて、水50gを用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。塗布を行ったところ、導電性樹脂基板とのなじみが悪く、分散物が付着しないものもあった。このため、塗布を何度か行い、電池に作成が可能なものを選択して評価を行った。
(比較例2):粒子郡Aの存在しない分散物
平均一次粒子径500nmの二酸化チタン3gに替えて平均一次粒子径25nmの二酸化チタンを3g用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(比較例3):粒子郡Dの存在しない分散物
液相法二酸化チタンゾル30gに替えて、平均一次粒子径25nmの二酸化チタンを3gと水27gの混合物を用いた以外は、実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
(比較例4):粒子郡Dのみによる分散物
液相法二酸化チタンゾルを限外濾過膜をもちいて脱水濃縮したのち、分散物としての最終固形分濃度が15質量%、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸ソーダ共重合体の最終固形分濃度が0.02質量%、エタノールの最終濃度が50質量%となるように調製し、所定の手法により成膜し、インピーダンス評価を行った。図5に示すように20Hzを含む円弧におけるインピーダンス虚数部の最小値は−27Ωであった。実施例1と同様の手法により接触角評価、太陽電池を作成、評価した。
色素増感型太陽電池の構成の概略を示す断面図。 二酸化チタン粒子のネッキング状態を示す電子顕微鏡写真。 二酸化チタン粒子の吸光度パターンと吸収端の関係を示す。 実施例1におけるNyquistプロット。 比較例4におけるNyquistプロット。
1 導電性ガラス
2 アンダーコート層
3 二酸化チタン粒子
4 増感色素
5 電解層
6 触媒層
7 色素電極
8 対極
A ネッキング部
B 点接触部

Claims (31)

  1. ネッキング構造を有する金属酸化物粒子を溶剤中に含有する金属酸化物分散物であって、ITO膜(インジウム−スズ系酸化物膜)に対する金属酸化物分散物の液滴接触角が0〜60度であり、かつ
    前記金属酸化物粒子が、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が100nm〜1μmの範囲にある金属酸化物粉末(以降、粒子群Aと称する。)と、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が5〜40nmの範囲にある金属酸化物粉末(以降、粒子群Bと称する。)との混合物である、
    金属酸化物分散物。
  2. 前記ITO膜がポリエチレンテレフタレート表面あるいはポリエチレンナフタレート表面に形成されている、請求項1に記載の金属酸化物分散物。
  3. 前記溶剤が、水及びアルコールを含有する、請求項1又は2に記載の金属酸化物分散物。
  4. 前記溶剤が、水及びエタノールを含有し、エタノールを40質量%以上含有する、請求項3に記載の金属酸化物分散物。
  5. 前記溶剤が、水と1−ブタノール又はその異性体を含有し、1−ブタノール又はその異性体を50質量%以上含有する、請求項3に記載の金属酸化物分散物。
  6. 前記金属酸化物粒子の混合物に含まれる前記粒子群Aの含量が、10質量%以上40質量%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
  7. 前記粒子群Bが、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が20〜40nmの金属酸化物粉末(以降、粒子群Cと称する。)と、BET比表面積から換算した平均一次粒子径が5〜20nmの金属酸化物粉末(以降、粒子群Dと称する。)との混合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
  8. 前記金属酸化物が、積分球式分光光度計による吸光度から算出したオプティカルバンドギャップが2.7eV以上3.1eV以下であり、且つタップ密度が0.15g/cm3以上0.45g/cm3以下である二酸化チタン構造体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
  9. 前記金属酸化物が、二酸化チタンと、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化タングステンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属酸化物との混合物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
  10. 金属酸化物の混合物に含まれる二酸化チタンの含量が、10質量%以上である、請求項9に記載の金属酸化物分散物。
  11. 結着剤を金属酸化物100重量部に対して0.01〜20重量部含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
  12. 前記結着剤が水溶性高分子化合物である、請求項11に記載の金属酸化物分散物。
  13. 水溶性高分子化合物が、N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド、ビニルピロリドン、アクリル酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種類以上をモノマー単位として有する高分子化合物である、請求項12に記載の金属酸化物分散物。
  14. 前記結着剤がジルコニウム化合物である、請求項11に記載の金属酸化物分散物。
  15. 前記金属酸化物分散物を面積が1cm2となるように透明導電性樹脂基板または透明導電性ガラス基板に塗布し、150℃で成膜し、N3色素を吸着し、白金を導電面に付与したFTO透明導電性ガラスと対抗させ、空隙にヨウ素系電解質を含有するアセトニトリル溶液を注入し、100mWの疑似太陽光下、開放電圧条件で、Nyquistプロットを行ったときに、20Hzを含む円弧におけるインピーダンス虚数部の最小値が、−25Ω以上−0.01Ω以下となることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
  16. 電極作製用に使用される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物を導電性樹脂基板上に塗布し、導電性樹脂基板上に金属酸化物粒子を結着した金属酸化物電極膜を形成する工程を含む、色素増感型太陽電池電極の製造方法。
  18. 前記金属酸化物分散物を塗布する前に、紫外線照射処理を用いて前記導電性樹脂基板を処理する、請求項17に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
  19. 前記金属酸化物分散物を塗布する前に、オゾン処理を用いて前記導電性樹脂基板を処理する、請求項17に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
  20. 前記金属酸化物分散物を塗布する前に、コロナ放電処理を用いて前記導電性樹脂基板を処理する、請求項17に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
  21. 前記金属酸化物分散物を塗布する前に、界面活性剤処理を用いて前記導電性樹脂基板を処理する、請求項17に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
  22. 前記金属酸化物分散物を塗布する前に、電解質溶液中で導電性樹脂基板を電解酸化処理する、請求項17に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
  23. 前記金属酸化物分散物を塗布する前に、導電性樹脂基板上にアンダーコート層を形成する、請求項17に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
  24. 前記アンダーコート層の厚みが10nm以上2000nm以下である、請求項23に記載の色素増感型太陽電池電極の製造方法。
  25. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物を、請求項17〜24のいずれか一項に記載の方法を用いて導電性樹脂基板に塗布する方法。
  26. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物を用いて成形される薄膜。
  27. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の金属酸化物分散物を、請求項17〜24のいずれか一項に記載の方法で用いて成形される、薄膜。
  28. 厚が1μm以上40μm以下である、請求項26又は27に記載の薄膜。
  29. 請求項26〜28のいずれか一項に記載の薄膜を構成要素とする色素電極を備えている、色素増感型太陽電池。
  30. 請求項29に記載の色素増感型太陽電池を表面又は内部に備えており、且つ発電機能、発光機能、発熱機能、音響発生機能、運動機能、表示機能、充電機能のうち、少なくとも一つの機能を有する物品。
  31. 前記物品が、建材、照明器具、意匠性窓ガラス、機械、車両、ガラス製品、家電製品、農業資材、電子機器、携帯電話、美容器具、携帯情報端末、PDA(Personal Degital Assistance)、工具、食器、風呂用品、トイレ用品、家具、衣類、布製品、繊維、革製品、紙製品、樹脂製品、スポーツ用品、布団、容器、眼鏡、看板、配管、配線、金具、衛生資材、自動車用品、文房具、ワッペン、帽子、鞄、靴、傘、ブラインド、バルーン、配管、配線、金具、照明、LED、信号機、街灯、玩具、道路標識、装飾品、交通信号機、掲示板、アウトドア用品、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱器や冷却器用の電源からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項30に記載の物品。
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