JP2005234009A - カラーフィルター用青色顔料組成物、その製造方法、およびそれを青色画素部に含有してなるカラーフィルター - Google Patents

カラーフィルター用青色顔料組成物、その製造方法、およびそれを青色画素部に含有してなるカラーフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、顔料分散液の流動性と貯蔵安定性に優れるカラーフィルター用青色顔料組成物とその製造方法、前記顔料組成物を使用した時の塗膜のコントラストに優れ、かつ塗膜の初期の鮮明性と明度を維持した状態で耐熱性にも優れるカラーフィルターを提供する。
【解決手段】 ε型銅フタロシアニン微細顔料を含むカラーフィルター用青色顔料組成物において、ε型銅フタロシアニン微細顔料が、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、および銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体を含み、窒素吸着法におけるBET比表面積95〜150m/g、かつ一次粒子の平均粒子径0.01〜0.06μmであることを特徴とするカラーフィルター用青色顔料組成物。前記顔料組成物の製造方法、および青色画素部に前記顔料組成物を含有してなるカラーフィルター。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、液晶カラーディスプレー、ビデオカメラ、カラーエレクトロルミネッセントディスプレー等に使用されるカラーフィルター用青色顔料組成物、その製造方法およびそれを青色画素部に含有してなるカラーフィルターに関する。
液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、ガラス等の透明基板上に赤色、緑色、青色の着色画素部(パターンとも呼ばれる。)が形成されたものである。一般に単一の顔料だけではそれぞれカラーフィルターとしての分光透過スペクトルを得るのは困難であり、顔料を2種以上用いて調整することが必要とされる。
即ち、青色画素部を構成する材料として、青色顔料であるC.I.Pigment Blue 15:6(以下、ε型銅フタロシアニン顔料と称す。)が使用されているが、単一のε型銅フタロシアニン顔料のみでは十分な分光透過スペクトルが得にくいため、他の青色顔料、紫色顔料、或は赤紫色顔料等と混合配合して分光透過スペクトルを調整している。
ε型銅フタロシアニン顔料は、X線回折図(CuKα線)によるブラッグ角2θ(許容範囲±0.2度)=9.2度に最も強い回折ピークを有しており、α型銅フタロシアニン顔料より更に赤味の色相を有し、高鮮明で高着色力、さらに結晶転移に対してもより安定であるという優れた性質を有している。
ε型銅フタロシアニン顔料は、公知慣用の製造方法では比表面積が小さく、これをカラーフィルター青色画素部に使用した場合、顔料の一次粒子径が大きいために、塗膜の鮮明性、明度、およびコントラストのいずれもが低いカラーフィルター青色画素部が得られるという欠点を有していた。
そこで従来よりも比表面積を大きく(微細化)することで、カラーフィルター青色画素部に使用した場合、ある程度は塗膜の鮮明性、明度、およびコントラストの改善効果は見られるものの、未だ顔料の分散性、分散安定性が低いために、該顔料を使用して顔料分散液を調製すると、顔料粒子の再凝集が起こり、高粘度で不安定な状態となり、流動性や貯蔵安定性が不十分となる。そして該顔料分散液を使用したカラーフィルター青色画素部は、塗膜の鮮明性、明度、コントラスト、ならびに耐熱性のいずれもが低いという欠点を有していた(例えば、特許文献1参照。)。
また青色顔料組成物として、ε型銅フタロシアニン顔料に銅フタロシアニンよりも色相が赤味の2,9−ジメチルキナクリドン顔料を着色剤の状態で配合して使用している。しかしながら、これら混合顔料の発色は減色混合発色となり、これら混合顔料をカラーフィルター青色画素部に使用した場合、青色領域での塗膜の鮮明性、明度、およびコントラストの低下、ならびに透過率の減少が避けられないという欠点を有していた。
さらに青色顔料組成物として、α型銅フタロシアニン、カルバゾールジオキサジンバイオレット、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、および銅フタロシアニンのスルホン酸誘導体との混合系でソルベントソルトミリング処理してα型銅フタロシアニンをε型に結晶変換し、次いで前記銅フタロシアニンのスルホン酸誘導体で表面処理し、ε型銅フタロシアニン微細顔料を得ている。しかしながら、このε型銅フタロシアニン微細顔料は分散性の悪いカルバゾールジオキサジンバイオレットを含んでいること、さらにα型結晶の銅フタロシアニンを主原料としていることから結晶転移に対する顔料の安定性が低く、該微細顔料を使用した顔料分散液の流動性、貯蔵安定性が不十分であり、これを使用したカラーフィルター青色画素部は塗膜の鮮明性、明度、コントラスト、ならびに耐熱性のいずれもが低いという欠点を有していた。
特開2002−121420号公報(第2頁段落番号0006〜0010、第6頁段落番号0059〜0060、第7頁段落番号0070〜0072)。 特開2001−033616号公報(第2頁特許請求の範囲、第3頁段落番号0013、同頁段落番号0015〜0016、同頁段落番号0018)。 特開2001−288385号公報(第2頁特許請求の範囲、第3頁段落番号0009、同頁段落番号0012、第4頁段落番号0024〜0025)。
本発明が解決しようとする課題は、顔料分散液の流動性、貯蔵安定性に優れるカラーフィルター用青色顔料組成物とその製造方法、前記顔料組成物を青色画素部に使用した時の塗膜のコントラストに優れ、かつ塗膜の初期の鮮明性と明度を維持した状態で耐熱性にも優れるカラーフィルターを提供することにある。
そこで本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含むε型銅フタロシアニン粗製顔料を、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体の存在下でソルベントソルトミリング処理し、顔料の比表面積と一次粒子の平均粒子径とをある特定範囲の大きさに制御(微細化)し、次いでこれを銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体で表面処理することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、ε型銅フタロシアニン微細顔料を含むカラーフィルター用青色顔料組成物において、ε型銅フタロシアニン微細顔料が、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、および銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体とを含み、窒素吸着法におけるBET比表面積95〜150m/g、かつ一次粒子の平均粒子径0.01〜0.06μmであることを特徴とするカラーフィルター用青色顔料組成物、該顔料組成物の製造方法、および前記カラーフィルター用青色顔料組成物を青色画素部に含有してなるカラーフィルターを提供するものである。
本発明の青色顔料組成物によれば、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体と銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体とを含むε型銅フタロシアニン微細顔料を、銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体で表面処理を行うので、従来公知のε型銅フタロシアニン顔料、同微細顔料、或いはその処理顔料に比べて、カラーフィルターの青色画素部を形成する顔料分散液の流動性、貯蔵安定性により優れ、前記青色顔料組成物を使用して調製されたカラーフィルター青色画素部は、塗膜のコントラストにより優れ、かつ初期の鮮明性と明度を維持した状態で耐熱性にもより優れるという格別顕著な効果を奏する。
したがって、本発明の青色顔料組成物は、カラーフィルター青色画素部の形成に最適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルター用青色顔料組成物は、C.I.Pigment Blue 15:6のε型銅フタロシアニン微細顔料を含むものであり、さらに前記ε型銅フタロシアニン微細顔料が、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、および銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体とを含み、窒素吸着法におけるBET比表面積95〜150m/g、かつ一次粒子の平均粒子径0.01〜0.06μmを有することを最大の特徴とする。
前記ε型銅フタロシアニン微細顔料は、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含むε型銅フタロシアニン粗製顔料を、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体の存在下でソルベントソルトミリング処理し、次いでこれを銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体で表面処理したものである。
また前記粗製顔料とは、α型銅フタロシアニンを経由することなく、直接合成されたε型銅フタロシアニン粗製顔料(後記する銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を特定量含有する。)で、その一次粒子の平均粒子径が50〜0.1μmのε型銅フタロシアニンを意味する。
ここで、α型銅フタロシアニンを経由しない、ε型銅フタロシアニン粗製顔料の直接製造方法としては、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体の存在下でε型銅フタロシアニン粗製顔料を製造する公知慣用の方法をいずれも採用することが出来る。銅フタロシアニンスルホン酸アミド誘導体の存在下で直接合成されたε型銅フタロシアニン粗製顔料は、ε型銅フタロシアニンの含有率が高くなるので加熱による他の結晶型への結晶転移が抑制出来る(結晶安定性に優れる)点で好ましい。尚、前記銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含む銅フタロシアニン誘導体については追って詳記する。
この様な製造方法としては、例えば、特開昭53−39325号公報に記載されたニトロベンゼン溶剤中で、無水フタル酸と尿素と銅塩および反応触媒を、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体(銅フタロシアニンスルホクロリドとデヒドロアビエチルアミンとの縮合反応物)の存在下に加熱攪拌して合成する方法や、特開昭57−149358号公報に記載されたアルキルベンゼン溶媒中で、無水フタル酸と尿素と銅塩及び反応触媒を銅フタロシアニンスルホアミド誘導体とシード結晶としてε型銅フタロシアニンの存在下に加熱攪拌して合成する方法等が挙げられる。
この様にして得られたε型銅フタロシアニン粗製顔料は、次いで顔料化処理(仕上げ処理とも呼ばれる。)が施される。顔料化の方法としては、特に限定されるものではなく、公知慣用の顔料化方法を採用することが出来る。なかでも、前記粗製顔料を大過剰の有機溶剤中で加熱攪拌するソルベント法よりも、容易に結晶成長を抑制出来、後記する好適な範囲の比表面積、かつ一次粒子の平均粒子径を有する顔料(より微細な顔料)が得られる点で、ソルベントソルトミリング処理を採用するのが好ましい。
この顔料化処理されたε型銅フタロシアニン微細顔料は、顔料化前よりは、顔料の分散性、分散安定性は向上するものの、未だ不十分であり、これを使用して顔料分散液を調製すると、顔料粒子の再凝集が起こり、高粘度で不安定な状態となり、流動性や貯蔵安定性も不十分である。そして該顔料分散液を使用したカラーフィルター青色画素部は、塗膜のコントラスト、鮮明性、明度、ならびに耐熱性の改善効果は見られるものの、未だ不十分である。
このソルベントソルトミリング処理とは、粗製顔料と、無機塩と、有機溶剤とを混練摩砕することを意味する。具体的には、粗製顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練摩砕を行う。この際の混練手段としては、例えば、ニーダーやミックスマーラー等の混練機が挙げられる。
上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用出来、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を使用することが好ましい。また、平均粒子径が0.3〜50μmの無機塩を使用することがより好ましい。この様な無機塩としては、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得ることが出来る。
本発明で規定する特定BET比表面積のε型銅フタロシアニン微細顔料を含むカラーフィルター用青色顔料組成物を得るに当たっては、ソルベントソルトミリング処理における粗製顔料に対する無機塩の使用量を、従来よりも多くするのが好ましい。即ち、当該無機塩の使用量は、質量換算で、粗製顔料1部当たり5〜20部とするのが好ましく、なかでも7〜15部とするのがより好ましい。
有機溶剤としては、結晶成長を抑制し得る水溶性の有機溶剤が好適に使用でき、例えば、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール等を使用することが出来る。
当該水溶性有機溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、質量換算で、粗製顔料1部当たり0.01〜5部が好ましい。
本発明のカラーフィルター用青色顔料組成物の製造方法では、前記直接合成された銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含むε型銅フタロシアニン粗製顔料を、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体の存在下でソルベントソルトミリング処理する(ここでは前記粗製顔料を、前記顔料誘導体の存在下でソルベントソルトミリング処理することを共磨砕と称する。)のが、本発明で規定する範囲内にある比表面積、かつ一次粒子の平均粒子径を有する微細顔料をより短時間で得ることが出来る点で好ましい。
同一比表面積、かつ同一一次粒子の平均粒子径を有する微細顔料を得る場合、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含むε型銅フタロシアニン粗製顔料を、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体の存在下でソルベントソルトミリング処理を行う方が、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体の不存在下でソルベントソルトミリング処理を行うよりも本発明で規定した範囲内の微細顔料が得られ、尚かつ無機塩の使用量をより削減することが出来る点で好ましい。
前記粗製顔料の調製時、ソルベントソルトミリング処理時、および表面処理時に含めることが出来る前記銅フタロシアニンの誘導体としては、下記一般式(1)または(2)に表される化合物が挙げられる。
式(1)
Figure 2005234009
式(2)
Figure 2005234009
(式中、Pは無置換の銅フタロシニアン環のn個の水素を除いた残基を表す。Yはスルホン酸基またはそれと塩基或いは金属との塩を表す。Aは二価の連結基を表す。Zは第1〜2級アミノ基の窒素原子上の水素の少なくとも1つを除いた残基、または窒素を含む複素環の窒素原子上の水素の少なくとも1つを除いた残基を表す。ここで、nは1〜4を表す。)
前記第1〜2級アミノ基としては、例えば、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。また、前記スルホン酸基と塩を形成する塩基や金属としては、例えば、アンモニアや、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンの様な有機塩基、カリウム、ナトリウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウムの様な金属が挙げられる。さらに、Aの二価の連結基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキレン基、−SO−、−SONH(CH−等の二価の連結基が挙げられる(ここで、mは1〜4を表す。)。そしてZとしては、例えば、フタルイミド基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、N−フェニル基等が挙げられる。
具体的には、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、同スルホン酸誘導体、同
スルホン酸のナトリウム塩誘導体、同スルホン酸のストロンチウム塩誘導体、同N−フェニルスルホン酸アミド誘導体、同N−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド誘導体等が挙げられる。このうち上記銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体については、同N−フェニルスルホン酸アミド誘導体が好ましい。これらの銅フタロシアニン誘導体には、更に1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン塩、エチレンジアミン等のアミンを添加して使用することが出来る。尚、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体である同N−フェニルスルホン酸アミド誘導体については追って詳記する。
本発明の青色顔料組成物において、ε型銅フタロシアニン微細顔料中に含まれる銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体は、顔料化処理時に使用される。前記誘導体は、前記微細顔料中に質量換算で、前記微細顔料100部当たり、1〜30部含まれ、なかでも、3〜10部が好ましい。また、前記誘導体は、比表面積を大きくし、かつ一次粒子の平均粒子径を小さくすることが出来る点で好ましい。
また、本発明の青色顔料組成物において、ε型銅フタロシアニン微細顔料中に含まれる銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体は、α型銅フタロシアニンを経由することなく、ε型銅フタロシアニン粗製顔料を直接合成する際に副生する。前記誘導体は、質量換算で、前記粗製顔料100部当たり、4〜15部含まれ、即ち前記微細顔料100部当たりに同量含まれることになる。なかでも、前記微細顔料100部当たり4〜7部であることが好ましい。
前記した銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体は、顔料を微分散する優れた作用を有し、これを使用することにより、あまりエネルギーや時間をかけないで顔料を微細に分散させることが出来、かつ分散した顔料は経時しても凝集したり沈降したりすることがなく、長期にわたって分散性、分散安定性に優れるカラーフィルター用青色顔料組成物を得ることが出来る。
前記銅フタロシアニンのN−フェニルスルホン酸アミド誘導体としては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
式(3)
Figure 2005234009
(式中、Pは無置換の銅フタロシニアン残基を表す。Mは水素原子またはアルカリ金属原子、或いはアンモニウム基を表す。R1、R2は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルカノール基を表す。phはフェニル基を表す。置換基の数xおよびyは0〜4、zは1〜4を表し、xとyとzの合計は1〜4の範囲にある。なかでも、x、yが0に近く、zが1〜2の範囲にあるものが好ましい。)
銅フタロシアニンのN−フェニルスルホン酸アミド誘導体としては、銅フタロシアニンスルホン酸、同スルホクロリド等の銅フタロシアニンのスルホン酸またはその化合物と、芳香族アミンとの縮合反応物が挙げられる。例えば、銅フタロシアニンスルホクロリドと芳香族アミンとの縮合反応物は、銅フタロシアニン粗製顔料をクロルスルホン酸と塩化チオニルで処理した後、生成した銅フタロシアニンスルホクロリドを芳香族アミンと反応させることにより得ることが出来る。ここで芳香族アミンとしては、アニリン、オルトトルイジン、パラトルイジン、オルトクロルアニリン、メタクロルアニリン、パラクロルアニリン、オルトブロムアニリン、メタブロムアニリン、パラブロムアニリン、オルトアニシジン、パラアニシジン、2,4−ジクロルアニリン、3,5−ジクロルアニリン、2,4−ジブロムアニリン、3,5−ジブロムアニリン、2,4−キシリジン等が挙げられる。 本発明においては、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体として、銅フタロシアニンスルホクロリドとアニリンとの縮合反応物である銅フタロシアニンのN−フェニルスルホン酸アミドが好ましい。
また、前記した銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体のトータル含有量が前記範囲を超えない場合においては、以下の方法でソルベントソルトミリング処理することも出来る。即ち、(1)ε型銅フタロシアニン粗製顔料とさらなる銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体とを予め混合し、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体の存在下でソルベントソルトミリング処理する、(2)ε型銅フタロシアニン粗製顔料と銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体とを予め混合し、さらなる銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体の存在下でソルベントソルトミリング処理する、(3)ε型銅フタロシアニン粗製顔料を、さらなる銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体と銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体との混合物の存在下でソルベントソルトミリング処理する、(4)ε型銅フタロシアニン粗製顔料とさらなる銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体と銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体とを予め混合した混合物を、ソルベントソルトミリング処理する。
さらに、本発明の青色顔料組成物において、ε型銅フタロシアニン微細顔料中に含まれる銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体は、表面処理時に使用される。前記誘導体は、前記微細顔料中に質量換算で、前記微細顔料100部当たり、3〜15部含まれ、なかでも、5〜10部が好ましい。
本発明のカラーフィルター用青色顔料組成物は、質量換算で、0.04〜0.15部の銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含むε型銅フタロシアニン粗製顔料1部当たり、0.01〜0.3部の銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、5〜20部の無機塩を用いてソルベントソルトミリング処理した後に、有機溶剤と無機塩を除去し、次いで前記ミリング処理後の微細顔料1部当たり、0.03〜0.15部の銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体を使用して表面処理することにより得られ、該顔料組成物は、窒素吸着法におけるBET比表面積95〜150m/g、かつ一次粒子の平均粒子径0.01〜0.06μmを有するものである。
ソルベントソルトミリング処理時の温度は、30〜150℃が好ましく、なかでも80〜100℃がより好ましい。また、ソルベントソルトミリング処理の時間は、3時間から20時間が好ましく、なかでも5〜15時間がより好ましい。
こうして、本発明の銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体、同フタルイミドメチル誘導体を含むε型銅フタロシアニン微細顔料、無機塩、有機溶剤を主成分として含む混合物が得られるが、この混合物から有機溶剤と無機塩を除去し、必要に応じてε型銅フタロシアニン微細顔料を主体とする固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕等を行うことにより、前記銅フタロシアニンの誘導体を含むε型銅フタロシアニン微細顔料の粉体を得ることが出来る。尚、その洗浄方法としては、水洗、湯洗のいずれをも採用することが出来る。この際、電導度が水或いはお湯との差において50μS/cm以下、好ましくは20μS/cm以下となるまで洗浄を行うのが好ましい。水溶性無機塩および水溶性有機溶剤を用いた前記混合物の場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することが出来る。
前記の操作より得られたε型銅フタロシアニン微細顔料に銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体で表面処理する方法としては、特に限定されたものではないが、例えば、(1)顔料化処理後のε型銅フタロシアニン微細顔料の水性スラリー中に官能基としてスルホン酸基もしくはその塩を有する銅フタロシアニン誘導体の水可溶性塩とした水溶液を添加して攪拌混合した後、酸、金属イオンもしくはアンモニウム塩のいずれかもしくはこれらの混合物を含む水溶液を添加することにより、前記微細顔料の表面に前記誘導体を被覆させる(顔料スラリー染め付け処理)方法、(2)前記微細顔料と、前記誘導体とを粉体同士で混合(粉体混合)する方法、(3)顔料化処理時に前記微細顔料と、前記誘導体とを添加(共磨砕)する方法等が挙げられる。
上記(3)の方法は、(1)や(2)の方法に比べてε型銅フタロシアニン微細顔料の粒子表面近傍に銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体を十分に吸着させることにより、前記誘導体の添加量が少量でも顔料の分散性、分散安定性が向上し、高鮮明、高明度、さらに顔料分散液の粘度の経時変化(貯蔵安定性)が小さい点で好ましい。また、上記(1)の方法は、特に限定されたものではないが、例えば、前記顔料の水性スラリー中に、前記誘導体の水可溶性塩とした水溶液と、前記酸、金属イオンもしくはアンモニウム塩のいずれかもしくはこれらの混合物を含む水溶液とを順次添加してもよいし、前記顔料の水性スラリー中に予め前記誘導体の水可溶性塩とした水溶液を添加しておき、次いで前記酸、金属イオンもしくはアンモニウム塩のいずれかもしくはこれらの混合物を含む水溶液を添加してもよい。尚、前記顔料化処理後の水性スラリーは、一旦濾過・洗浄し、ミキサー、高速分散攪拌機、アジター等を使用して再度水に解膠したものを使用してもよい。また、顔料の乾燥粉末を、分散攪拌機、サンドミル、ボールミル、アトライター、ペイントコンディショナー、ハイスピードミキサー等を使用して、水に分散した水性スラリーも使用してもよい。この際、アルコール等を添加して、顔料の乾燥粉末を水に濡れやすくして行うことも可能である。
顔料化処理後のε型銅フタロシアニン微細顔料に対する銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体の添加量は、特に制限されるものではないが、質量換算で、前記微細顔料1部当たり、前記誘導体0.03〜0.15部が好ましい。前記誘導体の添加量が0.15部を超えると光透過率が最大となる光線波長(λmax)が長波長側に移動して色度がずれる点で好ましくない。
上記した濾別、洗浄後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水および/または脱溶剤をする回分式あるいは連続式の乾燥等が挙げられる。またその乾燥機としては、例えば、箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライアー等が挙げられる。
乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくしたり、一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、具体的には、箱型乾燥機、バンド乾燥機を使用した乾燥の場合の様に顔料がランプ形状等のものとなった際に顔料を解して粉末化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕が挙げられる。
こうして、窒素吸着法におけるBET比表面積が95〜150m/g、かつ一次粒子の平均粒子径が0.01〜0.06μmを有する本発明の青色顔料組成物の粉末が得られる。該顔料組成物は、カラーフィルター青色画素部の形成に使用することが出来る。
この様な比表面積、かつ一次粒子の平均粒子径を有する本発明の青色顔料組成物は、液媒体中での顔料の分散、分散安定性が高く、この分散安定性と後記する顔料分散液の粘度が低く(流動性に優れる)安定であり、さらに粘度の経時安定性(貯蔵安定性)も高いことから、該顔料組成物を使用してカラーフィルター青色画素部を製造した場合に、均質な塗膜を形成してコントラストに優れ、かつ初期の鮮明性と明度を維持した状態で耐熱性にも優れるカラーフィルターを得ることが出来る。ここでコントラストとは、2枚の偏光板の偏光方向を平行にして被測定物を挟み込んだ時の透過光強度を2枚の偏光板の偏光方向を垂直にして被測定物を挟み込んだ時の透過光強度で除したものであり、消偏性とも呼ばれるものである。
さらに本発明の青色顔料組成物は、後記するカラーフィルター青色画素部を形成するため光硬化性組成物への顔料分散も容易であり、カラーフィルターの青色画素部を形成するための光硬化性組成物を硬化する際に多用される365nmにおける遮光性が低下することがなく(即ち高透過性)、光硬化性組成物の光硬化感度の低下がなく、現像時の膜へりやパターン流れも起こり難くなるので好ましい。そのため、近年要求されている塗膜の鮮明性と明度のいずれもが高いカラーフィルター青色画素部がより簡便に得られる。
尚、一次粒子の平均粒子径が0.01μm未満では、顔料の凝集性が高まり分散させ難く、0.06μmを超えると鮮明性および明度が低下する傾向にある。また、窒素吸着法におけるBET比表面積が150m/gより大きくなると、前記と同様に顔料の分散性、分散安定性が低下し、顔料の再凝集による顔料分散液の安定性の低下、塗膜のコントラストの低下等の弊害が生じる。即ち、比表面積と一次粒子の平均粒子径が前記好適な範囲を逸脱すると、該顔料を使用して調製された顔料分散液の流動性、貯蔵安定性、およびカラーフィルター青色画素部の塗膜のコントラスト、鮮明性、明度、および耐熱性のいずれもが低下する点で好ましくない。
本発明における窒素吸着法におけるBET比表面積は、JIS Z 8830−1990(気体吸着による粉体の比表面積測定方法)に従って測定することが出来る。
本発明における一次粒子の平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子(株)製)で視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の凝集体を構成する顔料一次粒子の50個につき、その長い方の径(長径)を各々求め、それを平均した値である。この際、試料である前記青色顔料組成物は、これを溶媒に超音波分散させてから前記顕微鏡で粒子を撮影する。また、透過型電子顕微鏡の代わりに走査型電子顕微鏡を使用してもよい。
本発明の青色顔料組成物(前記銅フタロシアニン誘導体で表面処理されたε型銅フタロシアニン微細顔料)においては、前記顔料化処理を行って前記平均粒子径としたものは、従来のε型銅フタロシアニン顔料、同微細顔料、或いはその処理顔料に比べて一次粒子の凝集力が弱く、より解れやすい性質を有する。電子顕微鏡写真により、従来の顔料では観察出来ない、顔料一次粒子を観察することが出来る。
また本発明の青色顔料組成物の一次粒子は、更に縦横のアスペクト比が1〜3であると、後記する光硬化性組成物中における粘度特性が向上し、光硬化性組成物の流動性がより低下する結果、カラーフィルターのための透明基板への塗布性も向上する点で好ましい。 アスペクト比を求めるには、まず、一次粒子の平均粒子径を求める場合と同様に、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上の凝集体を構成する一次粒子の50個につき、長い方の径(長径)と、短い方の径(短径)の平均値を求め、これらの値を使用して算出する。アスペクト比は1以上の数値を示すが、アスペクト比が小さい(1に近づく)ほど、二次元形状としては正方形に、三次元形状としては立方体に近づくことを意味する。
本発明の青色顔料組成物は、従来のε型銅フタロシアニン顔料、同微細顔料、或いはその処理顔料に比べて、一次粒子の平均粒子径が前記した範囲であり、しかも顔料の粒度分布がより狭くシャープ(粗大粒子による光の散乱が少ない)であり、顔料表面の微少凹凸が少なく平滑性にも富むために、顔料の分散性、分散安定性が向上し、カラーフィルター青色画素部製造時における耐熱性(塗膜の初期の鮮明性と明度を維持した状態を意味する。)の向上はもとより、高透過率、高コントラストのカラーフィルター青色画素部を得ることが出来る。
本発明の青色顔料組成物から得られたカラーフィルターの青色画素部は、目視評価の結果から、従来のε型銅フタロシアニン顔料、同微細顔料、或いはその処理顔料から得られた青色画素部よりも更に色相が赤味で、鮮明性と明度により優れた青色を呈すので好ましい。また、透過曲線が短波長側にシフトし、その透過率が高く、さらに青色画像の色純度が向上する点で好ましい。
本発明の青色顔料組成物は、カラーフィルター青色画素部の形成用として、所望の色度に調色する(赤味付け)ために必要に応じて縮合多環系の紫色顔料、青色顔料、赤紫色顔料等を併用することが出来る。これらの顔料は、色特性を損なわない範囲で添加することが好ましく、さらに該顔料は必要に応じて、表面処理が施されているものを使用してもよい。具体的には、紫色顔料としてはジオキサジン系顔料、赤紫色顔料としてはキナクリドン系顔料、青色顔料としてはスレン系顔料(アンスラキノン系顔料とも呼ばれる。)、スロン系顔料、インジゴ系顔料の他、フタロシアニン系顔料等が使用可能である。なかでも、色相、耐光性、耐熱性、価格のトータル面を考慮した上でジオキサジン系顔料を使用することが好ましい。前記ジオキサジン系顔料としては、例えば、C.I.Pigment Violet 23、同37等が挙げられる。
本発明の青色顔料組成物によれば、それに前記したジオキサジン系顔料を併用する場合でも少量で済むので、調色のために2種以上の異なる色の顔料を混色する従来の場合に比べて再凝集が起こり難く、濁りの少ない、色純度に優れ、かつ高鮮明で高明度の青色画素部を有するカラーフィルターを得ることが出来る。さらに、青色画素部内で意図した色度や色相となる部位と、そうならない部位が形成されてしまうという欠点も極めて起こり難くなる。
本発明の青色顔料組成物をジオキサジン系顔料と併用して調製されたカラーフィルター青色画素部は、従来の比表面積の小さいε型銅フタロシアニン顔料、比表面積の大きい同微細顔料とその処理顔料、或いはε型以外の他結晶から合成された比表面積の大きい同微細顔料とその処理顔料をそれぞれジオキサジン系顔料と併用して調製されたそれよりも液晶ディスプレーとした時の明るさの低下がより小さくなり、しかも青色領域での光透過量もより大きくなる点で好ましい。
本発明の青色顔料組成物は、従来公知の方法でカラーフィルターの青色画素部、同青色画素部形成用青色顔料の調製に使用することが出来る。本発明の青色顔料組成物を使用してカラーフィルター青色画素部を製造するに当たっては、顔料分散法が好適に採用できる。
この方法で代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルター用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
赤色、緑色、青色の各色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルターを製造することが出来る。前記した様に本発明の青色顔料組成物からは、青色画素部
、同青色画素部形成用青色顔料が調製される。尚、赤色画素部および緑色画素部を形成するための光硬化性組成物を調製するには、公知慣用の赤色顔料と緑色顔料を使用することが出来る。
赤色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 177、同209、同254等が、緑色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、同10、同36、同47等が挙げられる。これら赤色画素部と緑色画素部の形成には、黄色顔料を併用することも出来る。その後、必要に応じて、未反応の光硬化性化合物を熱硬化させるために、カラーフィルター全体を加熱処理(ポストベーク)することも出来る。
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。この加熱処理を一般に「プリベーク」という。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、或いは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用出来る。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルターは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、100〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルターが完成する。
カラーフィルターの青色画素部を形成するための前記した光硬化性組成物(顔料分散フォトレジストとも呼ばれる。)は、本発明の青色顔料組成物と、分散剤と、光硬化性化合物と、有機溶剤とを必須成分とし、必要に応じて熱可塑性樹脂を用いて、これらを混合することで調製出来る。青色画素部を形成する着色樹脂皮膜に、カラーフィルターの実生産で行われるベーキング等に耐え得る強靱性等が要求される場合には、前記光硬化性組成物を調製するに当たって、光硬化性化合物だけでなく、この熱可塑性樹脂を併用することが不可欠である。熱可塑性樹脂を併用する場合には、有機溶剤としては、それを溶解するものを使用するのが好ましい。
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明の青色顔料組成物と、有機溶剤と分散剤とを必須成分として使用し、これらを混合し均一となる様に攪拌分散を行って、まずカラーフィルターの青色画素部を形成するための顔料分散液(着色ペーストとも呼ばれる。)を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。
ここで使用する本発明の青色顔料組成物としては、前記した様に銅フタロシアニン誘導体(スルホン酸アミド、フタルイミドメチル、およびスルホン酸もしくはその塩)を含むε型銅フタロシアニン微細顔料と、必要に応じて紫色顔料を併用することが出来る。
ここで分散剤としては、例えば、ビックケミー社製のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、エフカ社製のエフカ46、エフカ47等が挙げられる。また、レベリング剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤等も併せて使用可能である。
有機溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。有機溶剤としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系等の極性溶媒で水可溶のものが好ましい。水可溶の有機溶剤を使用する場合には、それに水を併用することも出来る。
光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。
前記した様な各材料を使用して、本発明の青色顔料組成物は、質量換算で、該青色顔料組成物100部当たり、300〜1000部の有機溶剤と、0〜100部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記顔料分散液を得ることが出来る。次いで該顔料分散液に、本発明の青色顔料組成物の1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルター青色画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることが出来る。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することが出来る。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルター青色画素部の形成に効果的である。
顔料分散法のうち、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルター青色画素部の製造方法について詳記したが、本発明の青色顔料組成物を使用して調製されたカラーフィルター青色画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法等の方法で青色画素部を形成して、カラーフィルターを製造してもよい。
カラーフィルターは、赤色顔料組成物、緑色顔料組成物、ならびに本発明の青色顔料組成物を使用して得た各色の光硬化性組成物を使用し、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、赤(R)、緑(G)および青(B)のいずれか1色から選ばれたカラーフィルター着色画素部を交互にパターン状に設ける方法、或いは基板上にカラーフィルター着色画素部を形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることが出来る。
本発明の青色顔料組成物は、前記した様なカラーフィルター青色画素部の形成に最適である。
本発明の青色顔料組成物は、鮮明性と明度、さらには貯蔵安定性と耐熱性により優れた赤味の色相を呈する青色顔料であり、カラーフィルター用途の他、塗料、プラスチック(樹脂成型品)、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写インキ等の着色にも適用することが出来る。
以下、製造例、実施例、及び比較例により本発明を詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」はいずれも質量基準である。
(製造例1)
大日本インキ化学工業(株)製の「ファーストゲン ブルー EPC」(ε型銅フタロシアニン粗製顔料。一次粒子の平均粒子径0.1〜10μm、窒素吸着法によるBET比表面積5m/g。銅フタロシアニンスルホクロリドとアニリンとの縮合反応物(銅フタロシアニンのN−フェニルスルホン酸アミド)0.06部を含有。)1部、粉砕した塩化ナトリウム10部、ジエチレングリコール1部、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体0.05部を双腕型ニーダーに仕込み、80〜90℃で10時間混練した。混練後、80℃の1%塩酸水溶液100部に取り出し、1時間攪拌後、濾過、湯洗した後、20部の温水に解膠し、顔料スラリーとした。0.05部の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体の水酸化ナトリウム水溶液を前記顔料スラリー中に添加し、1時間攪拌後、塩酸を加えて顔料の表面に析出させた。そのまま1時間保持後、濾過、温水洗浄、乾燥、粉砕し、青色顔料組成物(a)を得た。
前記青色顔料組成物(a)の窒素吸着法によるBET比表面積については、マイクロデータ(株)製のマイクロソープ4232IIを使用して測定した結果、比表面積は110m/g であった。尚、同(株)社製のNISTのMO−206−11(比表面積110±7m/g)を用いて校正した結果は、113m/gであった。
また一次粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子(株)製)で測定した結果、0.02μm、縦横のアスペクト比は2であった。
(製造例2)
前記製造例1のニーダー混練後の顔料スラリーに0.07部の銅フタロシアニンスルホン酸のナトリウム塩を有する誘導体で表面処理した以外は前記製造例1と同様の操作を行い、窒素吸着法によるBET比表面積110m/g 、一次粒子の平均粒子径0.02μm、縦横のアスペクト比が2の青色顔料組成物(b)を得た。
(製造例3)
前記製造例1のニーダー混練後の顔料スラリーに0.09部の銅フタロシアニンスルホン酸のナトリウム塩を有する誘導体で表面処理した以外は前記製造例1と同様の操作を行い、窒素吸着法によるBET比表面積110m/g 、一次粒子の平均粒子径0.02μm、縦横のアスペクト比が2の青色顔料組成物(c)を得た。
(製造例4)
前記製造例1において、ニーダー混練後の銅フタロシアニンスルホン酸のナトリウム塩を有する誘導体で表面処理しないこと以外は前記製造例1と同様の操作を行い、窒素吸着法によるBET比表面積110m/g 、一次粒子の平均粒子径0.02μm、縦横のアスペクト比が2の青色顔料組成物(d)を得た。
(製造例5)
特開昭48−101419号公報の実施例1に記載された方法に従って得た、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含有しないε型銅フタロシアニン顔料(一次粒子の平均粒子径0.1μm、窒素吸着法によるBET比表面積50m/g)1部、粉砕した塩化ナトリウム10部、ジエチレングリコール1部、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体0.05部をそれぞれ双腕型ニーダーに仕込み、80℃〜90℃で8時間混練した。混練後80℃の1%塩酸水溶液100部に取り出し、1時間攪拌後、濾過、湯洗した後、20部の温水に解膠し、顔料スラリーを得た。0.05部の銅フタロシアニンスルホン酸誘導体の水酸化ナトリウム水溶液を前記顔料スラリーに添加し、1時間攪拌後、塩酸を加えて顔料の表面に析出させた。そのまま1時間保持後、濾過、温水洗浄、乾燥、粉砕し、窒素吸着法によるBET比表面積105m/g、一次粒子の平均粒子径0.02μm、縦横のアスペクト比が2の青色顔料組成物(e)を得た。
(製造例6)
大日本インキ化学工業(株)製の「ファーストゲン ブルー EPC」(ε型銅フタロシアニン粗製顔料。一次粒子の平均粒子径0.1〜10μm、窒素吸着法によるBET比表面積5m/g。銅フタロシアニンスルホクロリドとアニリンとの縮合反応物(銅フタロシアニンのN−フェニルスルホン酸アミド)0.06部を含有。)を、アトライターミルを使用して磨砕空間1l当たり、0.4kwの出力密度で乾式磨砕し、窒素吸着法によるBET比表面積3m/g、一次粒子の平均粒子径0.02μm、α型とε型の混合物である銅フタロシアニン粗製顔料(f)を得た。
前記製造例6で得た銅フタロシアニン粗製顔料(f)1部を、トルエン3部、n−ブタノール1.5部、水6.7部からなる混合溶剤に投入し、共沸温度で4時間加熱攪拌した後、溶剤を蒸留回収後、濾過、温水洗浄、粉砕し、窒素吸着法によるBET比表面積70m/g、一次粒子の平均粒子径0.10μm、縦横のアスペクト比が4の青色顔料組成物(g)を得た。
前記製造例1で得られた青色顔料組成物(a)を青色顔料として使用し、フォトリソグラフィー法によりカラーフィルター青色画素部を製造した。
カラーフィルター青色画素部の製造方法としては、青色顔料組成物(a)10部、N,N’−ジメチルホルムアミド(有機溶剤)2.5部、ディスパービック161(ビックケミー社製分散剤)6.78部、ユーカーエステルEEP(ユニオン・カーバイド社製有機溶剤)80.80部を0.5mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機(株)製)で1時間分散し、顔料分散液(着色ペースト)を得た。この顔料分散液75.00部とアロニックスM7100(ポリエステルアクリレート樹脂、東亜合成化学工業(株)製、光硬化性化合物に相当する。)5.50部、KAYARAD DPHA(ジぺンタエリスレートヘキサアクリレート、日本化薬(株)製、光硬化性化合物に相当する。)5.00部、KAYACURE BP−100(ベンゾフェノン、日本化薬(株)製、光重合開始剤に相当する。)1.00部、ユーカーエステルEFP13.5部を分散攪拌機で攪拌し、カラーフィルター青色画素部を形成するための光硬化性組成物を得た。該組成物は1mm厚ガラスに乾燥膜厚1μmとなるように塗布した。
次いでフォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を有機溶剤で洗浄することによりカラーフィルター青色画素部を製造した。
前記製造例2で得られた青色顔料組成物(b)を青色顔料として用いた以外は実施例1と同様の操作により、カラーフィルター青色画素部を製造した。
前記製造例3で得られた青色顔料組成物(c)を青色顔料として用いた以外は実施例1と同様の操作により、カラーフィルター青色画素部を製造した。
製造した実施例1〜3のカラーフィルター青色画素部の鮮明性および明度(加熱処理前の状態を意味する。)を目視で評価した。また、前記青色画素部を230℃で1時間加熱処理した後の鮮明性および明度(加熱処理後の状態を意味する。)についても同様に目視で評価した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
前記製造例4で得られた青色顔料組成物(d)を青色顔料として用いた以外は実施例1と同様の操作により、カラーフィルター青色画素部を製造した。
(比較例2)
前記製造例5で得られた青色顔料組成物(e)を青色顔料として用いた以外は実施例1と同様の操作により、カラーフィルター青色画素部を製造した。
(比較例3)
前記製造例6で得られた青色顔料組成物(g)を青色顔料として用いた以外は実施例1と同様の操作により、カラーフィルター青色画素部を製造した。
実施例1〜3と同様にして、前記比較例1〜3のカラーフィルター青色画素部の鮮明性および明度(加熱処理前の状態を意味する。)を目視で評価した。また、前記青色画素部を230℃で1時間加熱処理した後の鮮明性および明度(加熱処理後の状態を意味する。)についても同様に目視で評価した。その結果を表1に示す。
表1
Figure 2005234009
表1中、略号は以下の内容を示唆する。
明度:◎は非常に明るい、○は明るい、△はやや暗い、×は暗い。
鮮明性:◎は非常に鮮明、○は鮮明、△はややくすんだ、×はくすんだ。
前記実施例1〜3および比較例1〜3の加熱処理後のカラーフィルター青色画素部を、2枚の偏光板の間に設置し、一方には光源を、更にその反対側にはCCDカメラを設置して輝度の測定を行った。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比を算出し、これをコントラストとして評価した。その結果を表2に示す。
表2
Figure 2005234009
(カラーフィルター青色画素部形成用顔料分散液の粘度測定)
前記実施例1〜3および比較例1〜3でそれぞれ得られた顔料分散液について、以下の方法で粘度(mPa・s)を測定した。作成直後の顔料分散液を指定されたサンプルカップ(1.2cc)に注入、それを東機産業(株)製 VISCOMETER MODEL R−L粘度計にセットし、ロータNo.34´×R24(粘度範囲0.2〜6000mPa・s)、恒温槽20℃の条件で測定を行った。その結果を表3に示す。
表3
Figure 2005234009
表1および2の結果から明らかな様に、実施例1〜3のカラーフィルター青色画素部においては、顔料の凝集が極めて弱く、分散性、分散安定性に優れた光硬化性組成物をより短時間で調製(顔料分散液の低流動性、貯蔵安定性大に起因)出来、それから得られる青色画素部は、塗膜のコントラストの数値が非常に高く、さらに塗膜の初期の鮮明性と明度を維持した状態で耐熱性にも優れていた。
一方、比較例1のカラーフィルター青色画素部においては、顔料の凝集が強く、分散性、分散安定性に劣る光硬化性組成物が調製(顔料分散液の高流動性、貯蔵安定性小に起因)され、それから得られる青色画素部は、塗膜のコントラストの数値が低く、さらに、耐熱性も低いために塗膜の初期の鮮明性と明度を良好な状態に維持することが出来なかった。また、比較例2のカラーフィルター青色画素部においては、分散性、分散安定性に優れた光硬化組成物が調製され、それから得られる青色画素部は、塗膜の初期の鮮明性と明度が良好な状態であるものの、耐熱性が低いためにそれを維持することが出来なかった。さらに、塗膜のコントラストの数値も低かった。比較例3のカラーフィルター青色画素部においては、比較例1と同様に顔料の凝集が強く、分散性、分散安定性に劣る光硬化性組成物が調製され、それから得られる青色画素部は、塗膜のコントラストの数値が低く、さらに、耐熱性も低いために塗膜の初期の鮮明性と明度を良好な状態に維持することが出来なかった。
また、実施例1〜3の各青色顔料をジオキサジン系顔料であるC.I.Pigment Violet 23と併用した顔料組成物を使用して前記と同様の操作により得られたカラーフィルター青色画素部は、比較例1〜3の各青色顔料を前記ジオキサジン系顔料と併用したそれよりも顔料の凝集が極めて弱く、分散性、分散安定性に優れた光硬化性組成物をより短時間で調製(顔料分散液の低流動性、貯蔵安定性大に起因)でき、それから得られる青色画素部は、塗膜のコントラストの数値が高く、塗膜の初期の鮮明性と明度を良好に維持した状態で耐熱性にも優れていた。
表3の結果から明らかな様に、実施例1〜3のカラーフィルター青色画素部形成用顔料分散液は、作成直後の粘度は低く(低流動性)であり、経時後も低粘度で条件により多少変化はするが十分に使用出来るレベル(経時増粘はなく、貯蔵安定性大)のものであった。一方、比較例1、3の前記顔料分散液は、作成直後の粘度は高く分散不能であった。経時後も高粘度で微細な粒子に分散出来ず、しかも貯蔵中にゲル化の現象を起こし、使用出来るレベルのものではなかった。比較例2の前記顔料分散液は、作成直後の粘度は実施例1〜3と比べて高粘度であり、経時後もその状態であり使用出来るレベルのものではなかった。
以上より、本発明の青色顔料組成物を使用して調製された顔料分散液は、従来の青色顔料、同微細顔料、或いはその処理顔料を使用して調製されたそれと比べて、顔料の分散性、分散安定性に起因して流動性と貯蔵安定性に優れ、これをカラーフィルター青色画素部に使用すると塗膜のコントラストにより優れ、しかも塗膜の初期の鮮明性と明度を維持した状態で耐熱性にもより優れていることが判った。なかでも塗膜のコントラストに関しては、従来比で約30〜40%向上し、その効果は顕著なものであった。
したがって、本発明の青色顔料組成物は、カラーフィルター青色画素部の形成に最適である。

Claims (7)

  1. ε型銅フタロシアニン微細顔料を含むカラーフィルター用青色顔料組成物において、ε型銅フタロシアニン微細顔料が、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、および銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体を含み、窒素吸着法におけるBET比表面積95〜150m/g、かつ一次粒子の平均粒子径0.01〜0.06μmであることを特徴とするカラーフィルター用青色顔料組成物。
  2. ε型銅フタロシアニン微細顔料が、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含むε型銅フタロシアニン粗製顔料を、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体の存在下でソルベントソルトミリング処理し、次いでこれを銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体で表面処理したものである請求項1に記載のカラーフィルター用青色顔料組成物。
  3. ε型銅フタロシアニン微細顔料中に含まれる、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、および銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体の割合が、質量換算で、前記微細顔料100部当たり、銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体が4〜15部、銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体が1〜30部、および銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体が3〜15部である請求項1に記載のカラーフィルター用青色顔料組成物。
  4. 銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体が、銅フタロシアニンのスルホン酸またはその化合物と、芳香族アミンとの縮合反応物である請求項1、2または3のいずれかに記載のカラーフィルター用青色顔料組成物。
  5. 質量換算で、0.04〜0.15部の銅フタロシアニンのスルホン酸アミド誘導体を含むε型銅フタロシアニン粗製顔料1部当たり、0.01〜0.3部の銅フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、5〜20部の無機塩を用いてソルベントソルトミリング処理後に、有機溶剤と無機塩を除去し、次いで前記ミリング処理後の微細顔料1部当たり、0.03〜0.15部の銅フタロシアニンのスルホン酸もしくはその塩を有する誘導体を用いて表面処理する、窒素吸着法におけるBET比表面積95〜150m/g、かつ一次粒子の平均粒子径0.01〜0.06μmを有するカラーフィルター用青色顔料組成物の製造方法。
  6. 請求項1、2、3または4のいずれかに記載のカラーフィルター用青色顔料組成物を青色画素部に含有してなるカラーフィルター。
  7. 請求項5に記載の製造方法で得られたカラーフィルター用青色顔料組成物を青色画素部に含有してなるカラーフィルター。
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