JP2005226831A - 動力伝達チェーン及びそれを用いた動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 騒音の発生を効果的に低減することができる動力伝達チェーン及びそれを用いた動力伝達装置の提供する。
【解決手段】 この動力伝達チェーン1は、複数のリンク15と、複数のリンク15を相互に連結する複数のピン16とを備えている。円錐面状のシーブ面を有する第1プーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、ピン16の両端面16aと第1及び第2のプーリのシーブ面とが接触して動力を伝達する。ピン16の端面16aにおいて、当該端面16aの中心位置Cよりもチェーン進行方向Tの前側にシーブ面と接触する接触点Pを形成した。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車両などに採用されるいわゆるチェーン式無段変速機などに用いられる動力伝達チェーン及びそれを用いた動力伝達装置に関する。
自動車の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)としては、例えば、エンジン側に設けられたドライブプーリと、駆動輪側に設けられたドリブンプーリと、両プーリ間に架け渡された無端状のチェーンとを備えたものがある。そして、チェーンは、複数のリンクと、これらを相互に連結する複数のピンと、複数のストリップとを有している。
このようなチェーン式無段変速機では、各プーリの円錐面状のシーブ面とチェーンのピン端面とが、シーブ面の周方向に若干の滑り接触をすることによりトラクションを発生させ、このトラクションによって動力を伝達する。そして、ドライブプーリ及びドリブンプーリのうちの少なくとも一方の溝幅(シーブ面間距離)を連続的に変えることにより、従来のギア式とは異なるスムーズな動きで、無段の変速を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−312725号公報(第4頁)
ところが、上記従来のチェーン式無段変速機では、チェーンのピン端面とシーブ面とが接触する際に接触音が発生し、チェーン式無段変速機における騒音の要因となっていた。
上記の接触音が発生する原理としては、例えば次に示すものがある。
チェーン式無段変速機では、チェーンが、複数のリンクを連結して構成されており、多角形運動(弦振動的運動)による振動を伴いながらプーリと接触する。この接触時において、ピンの両端面に設けられる接触点が、プーリの接線方向に対して角度を成して接触するように移動する。接触すると同時に、接触点の移動方向が、プーリの接線方向に変化する。このとき、接触点のプーリに対する角度が変化するのに伴って接触音が発生する。この接触音は、上記の角度の変化が大きくなるほど大きくなり、チェーン式無段変速機における騒音の原因となっていた。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、騒音の発生を効果的に低減することができる動力伝達チェーン及びそれを用いた動力伝達装置の提供をその目的とする。
本発明の動力伝達チェーンは、複数のリンクと、前記複数のリンクを相互に連結する複数のピンとを備え、円錐面状のシーブ面を有する第1プーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの両端面と前記第1及び第2のプーリのシーブ面とが接触して動力を伝達する動力伝達チェーンであって、前記ピンの端面には、当該端面の中心位置よりもチェーン進行方向の前側にシーブ面と接触する接触点が形成されていることを特徴とする。
上記のように構成された動力伝達チェーンにおいては、ピンの端面に当該端面の中心位置よりもチェーン進行方向の前側にシーブ面との接触点が形成されているので、接触点がプーリの接線方向に対して小さな角度を成して接触するように移動する。接触すると同時に、接触点の移動方向が、プーリの接線方向に変化する。すなわち、接触点のプーリに対する角度の変化が小さくなり、角度の変化に伴う接触音を小さくすることができる。
上記のように構成された動力伝達チェーンにおいて、前記接触点は、前記ピンの端面のチェーン進行方向の前側の端部からの距離が、当該ピンの端面の全幅の3/8より小さい距離になるように設けられているのが好ましい。
この場合には、ピンの端面のチェーン進行方向の前側の端部からの距離が、当該ピンの端面の全幅の3/8より小さい距離になるように接触点が設けられているので、接触点がより前側に設けられる。つまり、接触点がプーリの接線方向に対してより小さな角度を成して接触する。従って、接触点のプーリに対する角度の変化をより小さくすることができるので、角度の変化に伴う接触音をさらに小さくすることができる。
また、接触点は、ピンの端面のチェーン進行方向の前側の端部からの距離が、当該ピンの端面の全幅の1/8以上であることがさらに好ましい。
この場合には、ピンの端面とシーブ面とがより安定して接触し、動力をより確実に伝達することができる。
また、上記の動力伝達チェーンにおいて、前記複数のピンは、前記接触点の位置が異なる2種類以上のピンからなり、これらのピンが、隣接するピンの前記接触点間の距離がランダムになるように配置されているのが好ましい。
この場合には、ピン端面における接触点の位置が異なるものを用いて、接触点間の距離(接触点ピッチ)が若干異なるようにしている。このため、接触点がシーブ面に接触する周期が乱れる。接触する周期が乱れることによって、接触音が共鳴するのを極力防止することができる。
また、上記の動力伝達チェーンにおいて、前記複数のリンクが、そのリンクピッチが異なる2種類以上のリンクからなり、これらのリンクが、隣接するピンの接触点間の距離がランダムになるように配置されているのが好ましい。
なお、ここでいうリンクピッチとは、同一リンク内の貫通孔に挿通されたピン相互間の距離をいう。
この場合には、同一リンク内に挿通されるピン相互間の距離(リンクピッチ)が異なるリンクを用いて、接触点間の距離(接触点ピッチ)が若干異なるようにしている。このため、接触点がシーブ面に接触する周期が乱れる。接触する周期が乱れることによって、接触音が共鳴するのを極力防止することができる。
また、上記の動力伝達チェーンにおいて、前記リンクは、チェーンの長手方向に並ぶ第1貫通孔と第2貫通孔とを備え、各貫通孔には、前記ピンと前記シーブ面に接触しない非接触ピンとが互いに転がり接触するように嵌め入れられ、前記ピンと前記非接触ピンとが接触する接触位置の軌跡が円のインボリュートとされ、そのインボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上の前記ピン及び前記非接触ピンの組を含むのが好ましい。
この場合には、ピンとストリップとの接触位置の軌跡が円のインボリュートとされることにより、チェーンがプーリに接触する時、接触点が、プーリの接線方向に対してより小さな角度を成して接触するように移動する。接触すると同時に、接触点の移動方向が、プーリの接線方向に変化する。すなわち、接触点のプーリに対する角度の変化がより小さくなり、角度の変化に伴う接触音を小さくすることができる。
また、インボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン及びストリップの組が設けられているので、多角形振動の共振がより一層抑制され、インボリュートによる接触音の抑制効果が高まる。
また、本発明に係る動力伝達装置は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、両プーリ間に架け渡された請求項1又は2に記載の動力伝達チェーンとを備えていることを特徴とする。
この場合には、上記の動力伝達チェーンが用いられているので、騒音の小さな動力伝達装置を構成することができる。
本発明によれば、騒音の発生を低減することができる。
つぎに、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる動力伝達チェーン1(以下単に「チェーン」ともいう)が装着された動力伝達装置であるチェーン式無段変速機2(以下、単に「無段変速機」ともいう)を示している。また、図2は、図1に示すチェーン式無段変速機を部分拡大したものである。
図1,2に示すように、本実施形態にかかる無段変速機2は、例えば自動車に搭載されるもので、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製ドライブプーリ3と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製ドリブンプーリ4と、その間に架け渡された無端状のチェーン1とを備えている。
なお、図1中のチェーン1は理解を容易にするために一部断面を明示している。
ドライブプーリ3は、自動車のエンジン側に接続された入力軸5に一体回転可能に取り付けられたものであり、円錐面状のシーブ面6aを有する固定シーブ6と、そのシーブ面6aに対向して配置される円錐面状のシーブ面7aを有する可動シーブ7とを備えている。
これらの各シーブ面6a、7aの間の空間は、チェーン1が架け渡される溝を形成している。各シーブ面6a,7aは、この溝内のチェーン1をその幅方向両側から強圧で挟んで保持する。
また、可動シーブ7には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されている。この油圧アクチュエータは、変速時に、図2の左右方向に可動シーブ7を移動させることにより溝幅を変化させる。溝幅が変化すると、チェーン1は、図2の上下方向に移動する。この結果、入力軸5に対するチェーン1の巻掛け半径が変化する。
ドリブンプーリ4は、駆動輪側に接続された出力軸8に一体回転可能に取り付けられており、円錐面状のシーブ面9aを有する固定シーブ9と、そのシーブ面9aに対向して配置される円錐面状のシーブ面10aを有する可動シーブ10とを備えている。
これらの各シーブ面9a、10aの間の空間は、チェーン1が架け渡される溝を形成している。各シーブ面9a,10aは、この溝内のチェーン1をその幅方向両側から強圧で挟んで保持する。
また、このドリブンプーリ4の可動シーブ10には、ドライブプーリ3の可動シーブ7と同様に、油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されている。この油圧アクチュエータは、変速時に、可動シーブ10を図2の左右方向に移動させることにより、溝幅を変化させる。溝幅が変化すると、チェーン1は、図2の上下方向に移動する。この結果、出力軸8に対するチェーン1の巻掛け半径が変化する。
図3は、動力伝達チェーン1の要部構成を模式的に示している。
図3に示すように、チェーン1は、無端状のもので、複数の金属(軸受用鋼等)製リンク15と、これらリンク15を相互に連結するための複数の金属(軸受用鋼等)製ピン16と、各ピン16よりも長手方向長さが若干短いストリップ(第2ピン、インターピース、非接触ピンともいう。)17とから構成されている。
なお、図3では、チェーン1の幅方向の略中央のリンク15やピン16などの記載を一部省略している。
各リンク15は、外形線がなだらかな曲線形状のもので、すべてのリンク15は、実質的に同一の外形となるように形成されている。各リンク15には、ピン16及びストリップ17を挿入するための貫通孔18である、第1貫通孔18Aと第2貫通孔18Bとが形成されている。第1貫通孔18Aと第2貫通孔18Bとは、互いの形状が異なっており、チェーン1の長手方向に並ぶように形成されている。
上記のリンク15は、チェーン1の幅方向にそれぞれが平行で、所定の順序に配列されている。そして、それぞれのリンク15が、チェーン1の長手方向(動力伝達方向)に屈曲可能に連結されている。
なお、上記のリンク15において、第1貫通孔18Aと第2貫通孔18Bとは、各々が離反して形成されているが、これらの貫通孔18A,18B同士を連通させる連通溝(スリット)15sを形成してもよい(図11(a),(b)参照)。図11(a)に示すリンク15では、貫通孔18A,18B同士の間の柱部15aに連通溝15sが形成されている。また、図11(b)に示すリンク15では、連通溝15sの溝幅が、図11(a)に示すリンク15より大きく形成されている。
。これらの場合には、リンク15の弾性変形が容易になり、リンク15に生じる応力をより低減することができる。
図4(a)は、動力伝達チェーン1におけるピン端面16aの長手方向の部分断面を示しており、図4(b)は、同チェーン1におけるピン端面16aの幅方向の部分断面を示している。
図4に示すように、各ピン16は、棒状のもので、ピン端面16aを除く部分の形状が実質的に同一形状に形成されている。このピン16は、チェーン1の幅方向に配列された各リンク15の第1貫通孔18A及び第2貫通孔18Bに、それぞれ挿通され、各リンク15を連結している。
ピン16は、その長手方向両端面16aが、ドライブプーリ3のシーブ面6a,7a及びドリブンプーリ4のシーブ面9a,10aと接触する。ピン16の両端面16aは、球面状に形成されており、この球面状の各端面16aにおける頂点が、ドライブプーリ3のシーブ面6a,7a及びドリブンプーリ4のシーブ面9a,10aと接触する。この頂点が、ピン16の接触点Pとなる。
なお、図5では、ピン16は、一体成形品として示されているが、ピン長手方向両端部(ピン端面部)とこれら両端部の間に位置するピン本体とを別体に形成しておき、ピン端面部とピン本体とを連結することでピン16を構成してもよい。
また、ピン16の長手方向両端側16bの外周面には、突起部16cが形成されている。この突起部16cは、チェーン1の幅方向に配列される複数のリンク15を係止しており、これらのリンク15が抜け落ちないようになっている。
ここで、突起部16cは、複数のリンク15を係止できれば、その形状を限定するものではない。例えば、ピン16の両端側の外周に沿って形成された突条であってもよいし、各貫通孔18の内壁面と対向する側の側面のみに形成された突条であってもよいし、あるいは複数の箇所に分割された凸部であってもよい。
このような突起は、かしめ工具などを用いて簡単に形成することができる。また、突起部16cは、リング状部材(止め輪、スナップリング)や割ピン、クリップ、保持器等の別部材をピンやストリップに固定することで形成してもよい。または、突起部16cを設けず、ピン16が貫通孔18に圧入固定されてもよい。
図5は、動力伝達チェーン1の側面を示している。
図5に示すように、ピン16の両端面16aには、当該端面16aの中心位置Cよりもチェーン進行方向Tの前側に、上記の接触点Pが形成されている。
具体的には、ピン端面16aの長手方向の中心線C1と、この中心線C1に直交する幅方向の中心線C2とが交差する当該端面16aの中心Cから、チェーン進行方向Tの前側に設けられている。
さらに、ピン端面16aの幅方向における、チェーン進行方向Tの前側の端部からの距離Lが、ピン16の全幅Wの3/8より小さい距離になるように設けられている。
各ストリップ17は、棒状のもので、その両端面がドライブプーリ3のシーブ面6a,7a及びドリブンプーリ4のシーブ面9a,10aと接触しないように、ピン16の長手方向長さよりも若干短く形成されている。
このストリップ17は、その一側面(接触面)がピン16の一側面(接触面)と接触(転がり摺動接触:転がり接触若しくは滑り接触または両接触を含む接触)するように、各貫通孔18A,18B内に挿入されている。
転がり接触成分が多いほど、ドライブプーリ3のシーブ面6a,7a及びドリブンプーリ4のシーブ面9a,10aに対して、ピン16が殆ど回転しないようになる。このため、摩擦損失が低減し、高い動力伝達効率を確保することができる。
なお、各ストリップ17には、ピン16と同様に、その両端側の外周面に、チェーン1の幅方向に配列される複数のリンク15を係止する突起部を形成してもよい。
上記のように構成された本形態に係る無段変速機2では、例えば以下のようにして無段階の変速を行うことができる。
まず、出力軸8の回転を減速する場合、ドライブプーリ3側の溝幅を可動シーブ7の移動によって拡大させ、チェーン1のピン端面16aを円錐面状のシーブ面6a,7aの径内側(図2の下方向)に向けて境界潤滑(接触面内の一部が微小突起の直接接触で、残部が潤滑油膜を介して接触する潤滑状態)条件下で滑り接触させながらチェーン1の入力軸5に対する巻き掛け径を小さくする。
一方、ドリブンプーリ4側では、可動シーブ10の移動によって溝幅を縮小させ、チェーン1のピン端面16aを円錐面状のシーブ面9a,10aの径外側に向けて境界潤滑条件下で滑り接触させながらチェーン1の出力軸8に対する巻き掛け径を大きくする。このようにすることで、出力軸8の回転を減速することができる。
次に、出力軸8の回転を増速する場合、ドライブプーリ3側の溝幅を可動シーブ7の移動によって縮小させ、チェーン1のピン端面16aを円錐面状のシーブ面6a,7aの径外側(図2の上方向)に向けて境界潤滑条件下で滑り接触させながらチェーン1の入力軸5に対する巻き掛け径を大きくする。
一方、ドリブンプーリ4側では可動シーブ10の移動によって溝幅を拡大させ、チェーン1のピン端面16aを円錐面状のシーブ面9a,10aの内側方向に向けて境界潤滑条件下で滑り接触させながらチェーン1の出力軸8に対する巻き掛け径を小さくする。このようにすることで、出力軸8の回転を増速することができる。
図6(a)は、ピン16とストリップ17とが接触する点であるピン端面16aの接触点Pの位置を座標(x1,y1)で表せるように、ピン16とストリップ17とが接触する点を原点O1とした座標軸を設定している。
座標軸は、原点O1に対して、チェーン進行方向TをX1軸、このX1軸に垂直な方向をY1軸としている。
図6(b)は、ドリブンプーリ4に接触する直前、直後の接触点Pの軌跡を座標(x2,y2)で表せるように、出力軸8の軸心(プーリ4の回転中心)を原点O2とし、入力軸5の軸心(プーリ3の回転中心)と出力軸8の軸心とを結ぶ線をX2軸、このX2軸に原点O2で直交する線をY2軸としている。また、接触点Pが、ドリブンプーリ4に接触し始める位置を接触開始点Pzとしている。
図7は、図6(b)上で接触点Pの軌跡をプロットし、この軌跡から得られる進入角θを示したものである。
ここで言う進入角θとは、接触点Pが接触開始点Pzでプーリ3,4に接触した瞬間の接触点Pの速度方向V1と、同接触開始点Pzにおけるプーリ3,4の接線方向V2との成す角度をいう。
この図7の(a)〜(d)は、接触点Pの位置を、図6(a)上でP1〜P4の4種類に変化させたそれぞれの場合の軌跡を示している。図8は、図6(a)における接触点PのX1軸方向の位置と、進入角θとの関係を抽出して示している。
なお、接触点Pの位置は、端面16aの球面形状を変化させることによって、変化させている。
ピン16の端面16aの全幅Wは、4mmである。ピン端面16aの接触点P1〜P4の各座標は、P1(−0.65,A),P2(−1.65,A),P3(−2.65,A),P4(−3.65,A)である。なお、Aは一定値である。
上記の接触点P3,P4は、ピン端面16aの中心位置Cよりも、チェーン進行方向Tの後側に設けられた点である。接触点P1〜P2は、ピン端面16aの中心位置Cよりも、チェーン進行方向Tの前側に設けられた点である。
また、接触点P1は、ピン端面16aにおけるチェーン進行方向Tの前側の端部からの距離Lが、当該ピン端面16aの全幅Wの3/8である1.5mmより小さい距離に設けられた点である。接触点P2は、ピン端面16aの中心位置Cよりもチェーン進行方向Tの前側ではあるが、ピン端面16aのチェーン進行方向Tの前側の端部からの距離Lが、1.5mmを超えて設けられた点である。
図7(a)〜(d)及び図8に示すように、接触点PがP1からP4の順で変化するにつれて、ドリブンプーリ4のシーブ面9a,10aに接触する直前の接触点Pの速度方向V1と、接触した直後の接触点Pの速度方向(ドリブンプーリ4の接線方向)V2との変化が大きくなっている。すなわち、進入角θが、θaからθdの順で大きくなっている。
従って、接触点Pが、ピン端面16aにおけるチェーン進行方向Tの前側に設けられるほど進入角θを小さくすることができるので、接触音を低減することができる。
次に、図7(b)の場合と図7(c)の場合とを比べた時に、図7(c)の場合にドライバーが感じる接触音に対する不快感が極端に大きくなる。
従って、接触点Pが、ピン端面16aの中心位置Cよりも、チェーン進行方向Tの前側に設けられることによって、ドライバーが感じる接触音に対する不快感を軽減させることができる。
また、図7(a)の場合と,図7(b)の場合とを比較した時に、図7(a)の場合は、図7(b)の場合と比べて、進入角θがより小さくなる(θa<θb)。
従って、接触点Pが、ピン端面16aにおけるチェーン進行方向Tの前側の端部からの距離Lが、当該ピン端面16aの全幅Wの3/8である1.5mmより小さい距離に設けられることによって、進入角θをより小さくすることができるので、接触音をさらに小さくすることができる。そして、ドライバーが感じる不快感もより一層軽減することができる。
また、ピン16の端面16aとシーブ面9a,10aとがより安定して接触し、動力をより確実に伝達するには、接触点Pは、当該端面16aの端部からの距離Lが、端面16aの全幅Wの1/8以上に設けられるのがよく、端面16aの全幅Wの1/8以上、かつ、3/8より小さい距離に設けられるのがさらによい。
さらに、各接触点Pは、端面16aにおける上記の範囲であれば、1つのチェーン1を構成する複数のピン16で相違させてランダムの位置に形成されてもよい。この場合には、接触点Pのピッチが変化するので、接触音の共鳴を防止することができる。
なお、接触点Pをランダムの位置に形成する場合については、第2実施形態で詳しく説明する。
図9は、各接触点P1〜P4のX1軸方向の位置と、Y2軸方向の振幅との関係を示している。
図9に示すように、接触点P1〜P4に対する各振幅は、ほぼ一定であり、接触点Pの位置を変化させても振幅には影響がない。つまり、多角形運動に伴う振動を増幅させることなく、接触音を効果的に小さくすることができる。
図10(a)は、接触点Pを、ピン端面16aの中心位置Cよりも、チェーン進行方向Tの前側に1mmずらした場合の各周波数での音圧レベルを示したグラフである。図10(b)は、接触点Pが、ピン端面16aの中心位置Cに設けられている場合のグラフである。各グラフに示す点線は、左から基本周波数(1次)を示し、右に向かうにつれて2次から10次までの高次の周波数を示している。
なお、接触点Pの位置以外の各測定条件は、回転速度:2000rpm,増速率:0.833、負荷トルク:0Nm,クランプ圧力:1.65MPaである。また、マイクは、プーリの外周から15cm離したところに設置して測定を行った。
図10(a),(b)を比較すると、図10(b)では、1000Hz以上の周波数において、音圧レベルが90dBAに達する周波数もあり、グラフ全体の波形のピークが大きくなっている。一方の図10(a)は、1000Hz以上の周波数において、一つの周波数を除いて音圧レベルが80dBA以下に抑えられている。また、グラフ全体の波形のピークも小さくなっている。
つまり、接触点Pを、ピン端面16aの中心位置Cよりも、チェーン進行方向Tの前側に1mmずらすことによって、接触音が小さくなることが分かる。
上記のように構成された動力伝達チェーン1によれば、ピン端面16aに、当該端面16aの中心位置Cよりもチェーン進行方向Tの前側に、ドライブプーリ3のシーブ面6a,7a及びドリブンプーリ4のシーブ面9a,10aとの接触点Pが形成されているので、接触点Pがプーリ3,4の接線方向に対して小さな角度を成して接触するように移動する。接触すると同時に、接触点Pの移動方向が、プーリ3,4の接線方向に変化する。すなわち、接触点Pのプーリ3,4に対する角度の変化が小さくなり、角度の変化に伴う接触音を小さくすることができる。
また、接触部Pが、ピン端面16aの幅方向におけるチェーン進行方向T側の端部からの距離Lが、当該ピン端面16aの全幅Wの3/8より小さい距離となるように設けられているので、接触点Pがより前側に設けられる。つまり、接触点Pがプーリ3,4の接線方向に対してより小さな角度を成して接触する。これによって、接触点Pのプーリ3,4に対する角度の変化がより小さくなり、角度の変化に伴う接触音をさらに小さくすることができる。
さらに、接触部Pが、ピン端面16aの幅方向におけるチェーン進行方向T側の端部からの距離Lが、当該ピン端面16aの全幅Wの1/8以上の距離となるように設けられれば、接触点Pのプーリ3,4に対する角度の変化がより一層小さくなり、ピン端面16aとシーブ面9a,10aとがより安定して接触する。従って、動力をより確実に伝達することができる。
また、接触部Pが、ピン端面16aの幅方向におけるチェーン進行方向T側の端部からの距離Lが、当該ピン端面16aの全幅Wの1/8以上、かつ、3/8より小さい距離となるように設けられれば、接触点Pのプーリ3,4に対する角度の変化がさらに一層小さくなり、ピン端面16aとシーブ面9a,10aとが一層安定して接触する。
また、本実施形態のチェーン式動力伝達装置2によれば、上記の動力伝達チェーン1が用いられているので、騒音の小さな動力伝達装置2を構成することが可能であり、ドライバーが感じる不快感を軽減することができる。
なお、本実施形態では、ピン端面16aが球面状の場合を示したが、球面状以外の曲面や、長手方向部分断面が直線状あるいは台形状(台形クラウニング)であってもよい。この場合には、一端面内で接触点Pが複数(連続する場合は接触線を形成)形成されることがあるが、一端面内の全ての接触点Pが上記した所定の接触点Pの範囲にあることが好ましい。
また、動力伝達装置2は、ドライブプーリ3及びドリブンプーリ4の両方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、いずれか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であってもよい。また、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、有段的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置2に適用してもよい。
図12は、本発明の第2実施形態にかかる動力伝達チェーン1の要部を示している。
本実施形態が第1実施形態と異なる点は、ピン16が、接触点Pの位置が異なる2種類以上の、例えば、ピン16A,16Bから構成され、これらのピン16A,16Bが、隣接するピン16の接触点P間の距離(接触点ピッチ)Ppがランダムになるように配置されている点である。
図12に示すように、このチェーン1のピン16は、左から順に、ピン16A,ピン16B,ピン16A,ピン16A,ピン16A,ピン16B,ピン16Bのように配置されている。この配置では、接触点ピッチ(接触点P間の距離)Pp1,Pp2,Pp3,Pp4,Pp5,Pp6が、順に、やや長い,やや短い,中間,中間,やや長い,中間となることから、ランダムピッチとなる。なお、ピン16A,16Bの配置は、上記の順に限定されるものではない。
本実施形態の動力伝達チェーン1では、ピン端面16aにおける接触点Pの位置が異なるものを用いて、接触点P間の距離(接触点ピッチ)Ppが若干異なるようにしている。このため、接触点Pがシーブ面6a,7a,9a,10aに接触する周期が乱れる。接触する周期が乱れることによって、接触音が共鳴するのを極力防止することができる。
また、接触点Pの位置が異なる2種類のピン16A,16Bは、それぞれのピン端面16aのみを加工すればよい。さらに、ピン端面16aを除く部分の形状が同じピン16を用いるため、ピン16とリンク15とを組み付けるための治具を共通化することが可能である。従って、製造・組み立てコスト高とならず、安価なものとなる。
図13は、本発明の第3実施形態にかかる動力伝達チェーン1の要部を示している。
本実施形態が他の実施形態と異なる点は、リンク15が、そのリンクピッチRpが異なる2種類以上の、例えば、リンク15Aとリンク15Bとから構成され、これらのリンク15A,15Bが、隣接するピン16の接触点P間の距離(接触点ピッチ)Ppがランダムになるように配置されている点である。
ここでいう、リンクピッチRpとは、同一リンク15内の貫通孔18A,18Bに挿通されたピン16相互間の距離をいう。なお、このリンクピッチRpは、ピン16とストリップ17とが接触する接点S間の距離であり、かかるリンクピッチRpは、チェーン1が屈曲していない状態(真っ直ぐな状態)で測定する。
図13に示すように、ピン端面16aの接触点Pの位置は、全てのピン16で同一である。リンク15は、リンク15Aの方が、リンク15BよりもリンクピッチRpが若干大きくなっている。本実施形態のチェーン1では、チェーン1の長手方向に多数のリンク15Bが並び、これに対してリンク15Aが、チェーン1の長手方向に点在するように配置されている。このように配置することで、リンク15に挿通されたピン16の接触点ピッチPp1,Pp2,Pp3,Pp4,Pp5,Pp6,Rp7が、ランダムピッチとなる。なお、リンク15A,15Bの配置は、上記の順に限定されるものではない。
本実施形態の動力伝達チェーン1では、当該同一リンク15内に挿通されるピン16相互間の距離(リンクピッチ)Rpが異なるリンク15を用いて、接触点P間の距離(接触点ピッチ)Ppが若干異なるようにしている。このため、接触点Pがシーブ面6a,7a,9a,10aに接触する周期が乱れる。接触する周期が乱れることによって、接触音が共鳴するのを極力防止することができる。
図14は、本発明の第4実施形態にかかる動力伝達チェーン1の要部を示している。
本実施形態が他の実施形態と異なる点は、複数のピン16には、ピン長手方向に作用する力に対する剛性が異なるピン16が含まれている点である。
具体的には、本実施形態のチェーン1は、例えば、断面形状または断面積が異なる複数種のピン16を用いることによって、ピン長手方向に作用する力に対する剛性を相違させている。
ここでいう「断面形状または断面積が異なる」の意味は、対比するピン相互間において、ピン長手方向位置が同一な各断面のそれぞれにおいて、両ピンの断面形状または断面積を比較し、そのうち、たとえ一の断面でも断面形状または断面積が相違すれば、「断面形状または断面積が異なる」に該当する。
なお、ピン長手方向に作用する力に対する剛性を相違させる手法は、ピン16の材料を相違させたり、ピン16の熱処理を相違させたりしてもよい。
また、ピン16は、その長手方向長さを実質的に全て同一にするのが好ましい。この場合には、全てのピン16の端面16aにおける摩耗を均一化することができる。
図14に示すように、ピン16は、その長手方向に垂直な断面における断面積が比較的大きい太ピン16Aと、同断面積が比較的小さい細ピン16Bとから構成されている。
この太ピン16A及び細ピン16Bのそれぞれの両端面には、前述の接触点Pa,Pbが設けられている。また、太ピン16A及び細ピン16Bの長手方向長さは、それぞれ実質的に同一である。
なお、ピン16の長手方向長さが同一とは、複数のピン16の長手方向長さが、通常の方法で同一長さに製作しようとしたときに生じる誤差の範囲にあることをいう。また、誤差の範囲は、例えば、ピン16における長手方向長さの相違が、50μm以下のものである。
太ピン16A及び細ピン16Bのそれぞれは、ピン16の長手方向各位置での断面形状(ピン長手方向に垂直な方向の断面形状。以下、単に断面形状ともいう。)及び断面積(ピン長手方向に垂直な方向の断面積。以下、単に断面積ともいう。)は、ピン16の長手方向全長に亘って略同一である。つまり、各ピン16A,16Bにおいて、ピン16の長手方向のどの位置においても、略同一断面形状であり、かつ、略同一断面積である。
太ピン16Aの断面形状は、細ピン16Bの断面形状をチェーン1の長手方向に拡大した形状となっている。すなわち、チェーン1に装着された状態において、太ピン16Aの断面形状と細ピン16Bの断面形状とを比較すると、両者は、チェーン1の長手方向と直交する高さ方向(図14の上下方向)の長さLw1(Lw)は、ほぼ同一である。太ピン16Aの断面形状におけるチェーン1の長手方向長さLt1(Lt)は、細ピン16Bの断面形状におけるチェーン1の長手方向長さLt2(Lt)よりも長くなっている。
また、太ピン16Aの断面積と細ピン16Bの断面積とを比較すると、太ピン16Aの断面積は、細ピン16Bの断面積の1.1〜2倍になっている。
リンク15の貫通孔18の形状は、太ピン16A及び細ピン16Bの形状に対応したものとなっている。すなわち、太ピン16Aが挿通される太貫通孔18Aは、細ピン16Dが挿通される細貫通孔18Bよりも大きく形成されている。
なお、チェーン1が周方向に屈曲できるようにするため、一つのリンク15内に形成される一対の貫通孔18A,18Bは、互いの形状が相違しているが、本明細書において、太貫通孔18Aあるいは細貫通孔18Bというときには、かかる形状の相違を考慮せず、太ピン16Aが挿通される貫通孔を全て太貫通孔18Aとし、細ピン16Bが挿通される貫通孔を全て細貫通孔18Bとする。
また、本実施形態のチェーン1では、リンク15も複数種のものが用いられている。すなわち、リンク15は、太貫通孔18Aを有する長リンク15Aと、太貫通孔18Aを有さない短リンク15Bとを有している。長リンク15Aでは、2つの貫通孔のうち、1つが太貫通孔18Aで、残りの1つが細貫通孔18Bとなっている。
一方、短リンク15Bでは、2つの貫通孔はいずれも細貫通孔18Bである。
また、長リンク15AのリンクピッチRp1は、短リンク15BのリンクピッチRp2よりも長くなっている。また、かかるリンクピッチRp1,Rp2に対応して、長リンク15Aのチェーン1の長手方向長さR1は、短リンク15Bのチェーン1の長手方向長さR2よりも長くなっている。
また、本実施形態のチェーン1では、ピン16が、その断面積が異なる2種類からなり、リンク15が、そのリンクピッチRpが異なる2種類からなるので、接触点P間の距離(接触点ピッチ)は、チェーン1内でランダムピッチとなる。また、その異なるピッチ同士の差も大きくなっている。
なお、チェーン1に用いられるリンク15は、1種類でもよい。
ここで、チェーン1における接触音の発生原理について説明する。
チェーン1が各プーリ3,4のシーブ面6a,7a,9a,10aに進入する際に、チェーン1のピン16が、これらのシーブ面に衝突して当該シーブ面を押す。この反作用で、ピン16は、その端面16aがシーブ面から押され、その長手方向長さを圧縮させる方向の力を受けて変形する(この変形を以下、圧縮変形という。)。この力により、ピン16が弾性変形し、その後に元の形状を回復するように変形する(この変形を以下、回復変形という。)。この際、再びシーブ面を押すことになり、プーリ3,4が振動して接触音となる。
本実施形態の動力伝達チェーン1によれば、ピン16が圧縮変形や回復変形する際に、当該ピン16がプーリ3,4に与える力やそのタイミングなどが異なる。これによって、プーリ3,4から発生する接触音の周波数が分散され、接触音の音圧レベルのピーク値を低減することができる。また、プーリ3,4の共鳴も抑えることができる。
なお、チェーン1において、ピン長手方向に作用する力に対する剛性が異なるピン16を、ランダムに配置するのがより好ましい。この場合には、接触音の音圧レベルのピーク値をより一層低減することができる。
また、リンクピッチRpの異なる複数のリンク15A,15Bを用い、リンクピッチRpが長いリンク15Aほどチェーン1の長手方向長さが長いピン16Aが挿通されているので、チェーンの設計が容易である。
すなわち、前述のように、複数種のピン16A,16Bを用いて接触音を低減させる場合、ピン16の断面におけるチェーン1の長手方向長さLtのみが異なる複数種のピン16A,16Bを製作しておき、これに対応させて個々のリンク15のリンクピッチRpを適宜変えるとよい。こうすることで、リンクピッチRp及びピン断面におけるチェーン1の長手方向長さLtの異なるチェーン1を容易に設計できる。
さらに、かかるリンクピッチRp及びチェーン1の長手方向長さLtの相違に対応させて、チェーン1自体の長手方向長さを変えることにより、例えば、ピン16の断面における上下方向(チェーン高さ方向)長さLwを変える場合と比較して、チェーン1の設計が容易になる。
図15は、本発明の第5実施形態にかかる動力伝達チェーン1の要部を示している。
本実施形態が他の実施形態と異なる点は、ピン16と非接触ピンであるストリップ17とが接触する接触位置の軌跡が、円のインボリュートとされ、そのインボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン16及びストリップ17の組を含んでいる点である。
具体的には、ピン16とストリップ17との接触位置の軌跡が、チェーン1をピン端面16a側から見た側面視において、円のインボリュートとされている。
図15に示すように、ピン16におけるストリップ17との接触面16xの断面形状が、所定の基礎円半径rを有するインボリュート曲線とされ、ストリップ17におけるピン16との接触面17xが、平面(断面形状は直線)とされている。これによって、ピン16とストリップ17との転がり接触移動において、ピン16とストリップ17との接触位置の軌跡が、円のインボリュートとなるようにしている。
なお、接触面のうち、ピン16とストリップ17とが転がり接触する範囲(以下、作用側面ともいう。)の断面形状をインボリュート曲線とすればよい。
また、ピン16とストリップ17との接触位置の軌跡を円のインボリュートとするためには、本実施形態のように、ピン16の接触面16xをインボリュート形状とし、ストリップ17の接触面17xを平坦面としてもよく、また、逆に、ストリップ17の接触面17xをインボリュート形状とし、ピン16の接触面16xを平坦面としてもよい。
また、両接触面16x,17xのいずれも曲面とすることにより、前記軌跡を円のインボリュートとすることもできる。この場合には、ピン16の接触面16x及びストリップ17の接触面17xにおける作用側面の断面形状が同一とされるのが好ましい。
なお、本発明におけるインボリュートには、インボリュートに近似したもの(略インボリュート)も含まれる。インボリュートに近似したものであっても、前記多角形振動をある程度抑制できるからである。
本実施形態のチェーン1は、接触面16x(の作用側面)の断面形状におけるインボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン16を備えている。その結果、ピン16とストリップ17との接触位置の軌跡であるインボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン16及びストリップ17の組が形成される。
本実施形態の動力伝達チェーン1によれば、ピン16とストリップ17との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされることにより、チェーン1がプーリ3,4に接触する時、接触点Pが、プーリ3,4の接線方向に対してより小さな角度を成して接触するように移動する。接触すると同時に、接触点Pの移動方向が、プーリ3,4の接線方向に変化する。すなわち、接触点Pのプーリ3,4に対する角度の変化がより小さくなり、角度の変化に伴う接触音を小さくすることができる。
また、インボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン16及びストリップ17の組が設けられているので、多角形振動の共振がより一層抑制され、インボリュートによる接触音の抑制効果が高まる。
なお、インボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン16及びストリップ17の組のそれぞれを、ランダムになるように配置するのがより好ましい。この場合には、より一層インボリュートによる接触音の抑制効果が高まる。
ここで、前記実施形態のチェーン1におけるピン16の接触面16xにおける断面形状の好ましい態様について説明する。
図16は、この好ましい形状について説明するための図であって、ピン16をその端面16a側から見た側面図である。
ピン16の接触面16xのうち、ストリップ17と転がり接触する作用側面は、チェーンが屈曲していない状態におけるピン16とストリップ17との接触線A(図16において点で示され、以下点Aともいう。)から接触線B(図16において点で示され、以下点Bともいう。)までの領域である。そして、この作用側面の断面線を含んで接触面16xの断面線は、滑らかな凸状曲線により構成されている。
そして、ピンの断面における作用側面のインボリュート曲線は、図16に示すように、ピンの断面線の点Aにおける接線SA上に、基礎円半径rの中心Mが配置されているのが好ましい。そして、基礎円半径rは、チェーン1がプーリ(図示せず)に巻き掛けられた状態において、巻き掛け中心から点Aまでの距離dA(図示せず)程度とすると、多角形振動が最小限となり、好ましい。
ただし、例えば自動車用のCVTの場合、巻き掛け半径が所定範囲で変化するので、前記距離dAも変化する。よって、この場合は、巻き掛け半径が最大のときの前記dAをdAx≦2(dAx)となるように基礎円半径rを設定し、この範囲内で基礎円半径rを複数種類とするのが好ましい。
本発明の動力伝達チェーンを装着したチェーン式無段変速機の要部構成を模式的に示す斜視図である。 図1に示すチェーン式無段変速機のドライブプーリ(ドリブンプーリ)、チェーンの部分的な拡大断面図である。 本発明の動力伝達チェーンの要部構成を模式的に示す斜視図である。 (a)は、本発明の動力伝達チェーンのピンの端面の長手方向の部分断面図であり、(b)は、同チェーンのピンの端面の幅方向の部分断面図である。 本発明の動力伝達チェーンの部分側面図である。 (a)は、接触点の位置を特定するための座標軸を設定した定義図であり、(b)は、プーリに接触する接触点の軌跡を表すための座標軸を設定した定義図である。 (a)〜(d)は、順に、ピンの端面における接触点の位置を中心位置からチェーン進行方向の前側に段階的に変化させたそれぞれの場合の接触点の軌跡を示したグラフである。 ピンの端面における接触点の位置と、進入角との関係を示すグラフである。 ピンの端面における接触点の位置と、接触点の軌跡における振幅との関係を示すグラフである。 (a)は、接触点をピンの端面の中心位置よりもチェーン進行方向の前側に1mmずらした場合の各周波数での音圧レベルを示すグラフであり、(b)は、接触点が、ピンの端面の中心位置に設けられている場合のグラフである。 動力伝達チェーンのリンクを示す側面図である。 本発明の第2実施形態にかかる動力伝達チェーンをピン端面側から見た側面図である。 本発明の第3実施形態にかかる動力伝達チェーンをピン端面側から見た側面図である。 本発明の第4実施形態にかかる動力伝達チェーンをピン端面側から見た側面図である。 本発明の第5実施形態にかかる動力伝達チェーンのリンクに挿入されたピンとストリップとを示す側面図である。 好ましいインボリュート形状を説明するための概略図である。
符号の説明
1 動力伝達チェーン
2 動力伝達装置
3 ドライブプーリ(第1のプーリ)
4 ドリブンプーリ(第2のプーリ)
6a (ドライブプーリの固定シーブの)シーブ面
7a (ドライブプーリの可動シーブの)シーブ面
9a (ドリブンプーリの固定シーブの)シーブ面
10a (ドリブンプーリの可動シーブの)シーブ面
15 リンク
16 ピン
16a ピンの端面
17 ストリップ(非接触ピン)
18A 第1貫通孔
18B 第2貫通孔
C (ピンの端面の)中心位置
L (ピンの端部からの)距離
P 接触点
W (ピンの端面の)全幅
Pp 接触点ピッチ(接触点間の距離)
Rp リンクピッチ

Claims (6)

  1. 複数のリンクと、前記複数のリンクを相互に連結する複数のピンとを備え、
    円錐面状のシーブ面を有する第1プーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの両端面と前記第1及び第2のプーリのシーブ面とが接触して動力を伝達する動力伝達チェーンであって、
    前記ピンの端面には、当該端面の中心位置よりもチェーン進行方向の前側にシーブ面と接触する接触点が形成されていることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 前記接触点は、前記ピンの端面のチェーン進行方向側の端部からの距離が、当該ピンの端面の全幅の3/8より小さい距離になるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達チェーン。
  3. 前記複数のピンは、前記接触点の位置が異なる2種類以上のピンからなり、
    これらのピンが、隣接するピンの前記接触点間の距離がランダムになるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達チェーン。
  4. 前記複数のリンクが、そのリンクピッチが異なる2種類以上のリンクからなり、
    これらのリンクが、隣接するピンの接触点間の距離がランダムになるように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動力伝達チェーン。
  5. 前記リンクは、チェーンの長手方向に並ぶ第1貫通孔と第2貫通孔とを備え、
    各貫通孔には、前記ピンと前記シーブ面に接触しない非接触ピンとが互いに転がり接触するように嵌め入れられ、
    前記ピンと前記非接触ピンとが接触する接触位置の軌跡が円のインボリュートとされ、
    そのインボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上の前記ピン及び前記非接触ピンの組を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の動力伝達チェーン。
  6. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、両プーリ間に架け渡された請求項1〜5のいずれかに記載の動力伝達チェーンとを備えていることを特徴とする動力伝達装置。
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