JP2005218990A - シリカライト膜の形成方法及び分離膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔質基板の表面に存在する細孔に対して薄くゼオライト層を形成したゼオライト分離膜の提供。
【解決手段】
シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板を存在させて電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させることを特徴とする多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法又は多孔質基板と電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させることを特徴とする多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリカライト膜の形成方法及び分離膜に関するものである。
ゼオライトは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を持つ結晶性アルミノシリケートである。SiO4四面体の4頂点にある酸素原子の全てが共有され、分子レベルの細孔を内包した三次元の骨格構造を持っている。骨格を形成するケイ素原子の一部がアルミニウム原子に置換されており、アルミニウム原子の酸化数がケイ素の酸化数よりも1低いことから、電気的に中和し、安定化するために正の電荷を補い、当量の陽イオンを取込む性質を示す。
ゼオライトを膜状にして得られるゼオライト膜は、ゼオライト結晶が重なりあって膜状になる多結晶膜である。このゼオライト膜は結晶中に数オングストロームの細孔を有している。この細孔を利用した分子ふるいによる気体分離、パーベーパレイション等の分離膜、メンブレンリアクター、あるいは気体センサーへの応用等が考えられている。さらにゼオライトは耐熱性、耐薬品性に優れており、また細孔径がほぼ均一であることから、上述の用途のなかでも特に高温での気体分離膜としての用途が期待されている。
ところで、ゼオライト結晶単独で形成された膜は、ゼオライト結晶間のつながりが弱く機械的強度が弱いことから、分離膜として利用することは困難であるとされる。特定の物質に限って水熱合成により製法が提案されているセルフサポート膜(特許文献1)、セラミックス多孔体基盤表面にアルカリ金属、ケイ素、及びアルミニウムの成分を含むゾルあるいはゲルの懸濁液を塗布し、蒸気中に曝露することによりゼオライト膜を製造するセルフサポート膜の製法(特許文献2)等も知られているが、粒界が存在することや、機械的な強度が期待するほどではないことが、指摘されている。
このためゼオライトを多孔質の支持体に担持させた形態で利用することが検討されてきた。例えば、混合ゾルをそれ自体または仮焼してゲル化した後多孔質担持体に被覆し、同担持体を熱水中等で80〜500℃で水熱処理し、400〜1300℃で焼成して製造する方法(特許文献3)が知られている。しかしながら、ガラスやアルミナ等の多孔質無機酸化物担体上にゼオライト膜を合成する方法では、いずれも膜に欠陥(ピンホール)が生じたり、膜厚が均一にならないなどの問題点が指摘されている。これは、ゼオライト膜合成の際の撹拌、出発水性ゲルの濃度が高いこと等が原因と思われる。また、これらの膜は気体分離膜としての性能評価は行なわれているものの、その分離性能は実用に耐え得るものとなっていないし、有機物選択透過型分離膜としても、性能評価は全く行なわれていない。
本発明者らは、このようなことから、粒子界面を有しない一体の膜状に結晶成長したゼオライトからなるゼオライト膜、シリカライト膜について発明した(特許文献4)。
この発明は、ゼオライト骨格金属源としては、従来のゼオライト製造に用いられている各種の金属源、例えば、アルミナ、シリカ等に、アルカリ金属源としては、水酸化ナトリウム等を用いる。
ゼオライト膜原料として用いる水性ゲル混合物は、前記ゼオライト骨格金属源と、アルカリ金属源と、水とを均一に撹拌混合することによって調製される。前記水性ゲル混合物には、結晶化促進剤(テンプレート)を添加する。得られた水性ゲル混合物と担体を接触させるとともに、その混合物による乱流を生じさせることなく加熱する。担体としては、前記加熱温度において安定に存在し得る材質で形成されたものであれば使用することができる。このような担体材質としては、金属、合金、セラミック、プラスチック等が挙げられる。担体の形状としては、ゼオライトがその表面で膜状に析出、成長し得る形状のものであればよく、膜状、板体状、筒体状、ペレット状、粒子状、中空系状、織布状、不織布状、紙状等の種々の形状であることができる。
この場合に、乱流を生じない程度のゆっくりとした混合物の流動は、ゼオライトの担体上への析出速度を高める点からは好ましいことである。乱流を生じるような強い撹拌を行うときには、その混合物中でのゼオライト結晶の析出と成長が起って、ゼオライト粒子が生成され、担体上にはそのゼオライト粒子が堆積固着するようになり、得られるゼオライト膜は、粒子界面を有する空隙率の大きい、機械的強度の弱いものとなる。一方、乱流を生じさせないで水性ゲル混合物を加熱するときには、混合物中でのゼオライトの析出が防止され、担体上で選択的にゼオライトの析出、成長が起り、得られるゼオライト膜は、粒子状ゼオライトを実質上含まない、緻密でかつ機械的強度の強いものとなる。担体上に形成されるゼオライト膜の厚さは、200〜500μmである。担体上のゼオライト膜の厚さは、加熱時間(反応時間)によって調節することができ、加熱時間を長くすることにより、大きな膜厚のゼオライト膜を得ることができる。
担体上に固定されたゼオライト膜は、そのまま製品ゼオライト膜とする。この場合、多孔性担体としては、細孔径が1μm以上、通常、2〜40μm程度の細孔を有するものであれば任意のものが用いられる。機械的強度及び耐熱性の点からは、アルミナ、ムライト、コーディライト等のセラミックの他、多孔質ステンレス、多孔質ガラス等が用いられる。
従来のゼオライト膜では、前記のように多孔質の表面にゼオライト膜を形成するためのコーティング操作は、単にゼオライトを含むスラリーと基材を接触させるもの、圧力差をつけて圧入するなどの操作であり、コーティングされた結果、厚くならざるを得ないものである。また、2002年に開かれた国際膜学会(ICOM)にて発表された多孔質平板表面に製造されたシリカライト膜は、多孔質平板表面へシリカライト種結晶を指で塗布した後、水熱合成法を行い製造されている。しかし、シリカライト種結晶の塗布を指で行った場合においても、均一かつ再現性の良い膜を得ることは困難であることが指摘されている。
このことから明らかなように、ゼオライト膜のコーティング操作においては、できるだけ薄い膜状として、コーテイングをすることが求められている。このことが可能であれば、セラミックス多孔体表面に存在する気孔をゼオライト膜により埋めることができた状態の理想的なセラミック膜を得ることができると考えられる。
特開平6−127937 特開平7−89714 特公平4−80726 特開平6−99044
本発明の課題は、多孔質基板の表面に存在する細孔に対して薄くゼオライト層を形成したゼオライト分離膜を提供することである。
本発明者らは鋭意前記課題について検討した結果、従来からグラフアイト成形体などの表面に固体酸化物粒子を泳動電着することができる等の知見(特開2000−86349)をもとに、多孔質体の表面に存在する気孔に対して適用することはできないかと考えた。
そこで、シリカ種結晶、シリカライト種結晶1gを、水又は有機溶媒100mlに添加して得られる電着液について、シリカ種結晶に含まれるシリカライト種結晶のζ電位を測定したところ、ζ電位はマイナスの値であることを確認した(図2)。
この結果から、陽極である多孔質基板と電極間に電圧を印加すると、多孔質基板に対してシリカライト種結晶は、表面電荷を有し、分散性が良好であることから、陽極である多孔質基板に向かって泳動することを確認することができる。そうすると、多孔質体の表面に存在する気孔に対して薄くゼオライト層を形成したゼオライト分離膜を得ることができることを、新たに見出して、本発明を完成させた。
本発明者らが見出したこの現象は、特開2001−89134に記載されている方法とは明確に相違するものであり、この記載から本発明を導き出すことはできない。
この方法は、ゼオライト粉末を有機溶媒や水に分散させ、電気泳動法により電極基板上にゼオライト粉末を電着させ、粒子堆積層を形成し、アルカリ源、アルミナ源、シリカ源を水に加えて調整した原料液中に浸し、水熱固化反応を組み合わせ、水熱緻密化して膜化して、緻密固化ゼオライト膜を基板から剥離し、ゼオライトの自立膜を合成するものである。
本発明では、陽極である多孔質基板と電極間に電極を印加するものであり、最終的に、これが分離膜となる。一方、前記の製法では、基板上にゼオライトの堆積層を形成するものであり、これを水熱反応により緻密固化するものであり、さらに、これを基板から剥離させて、自立膜を形成するものであり、多孔質体の表面に存在する気孔に対して薄いゼオライト層を形成するものではないから、得られる分離膜としては、前記の製法では得られないものである。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板を存在させて電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させることを特徴とする多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
(2)シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板と電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させることを特徴とする多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
(3)シリカがシリカライトであることを特徴とする(1)又は(2)記載の多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
(4)前記基板表面のシリカ種結晶とシリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを開放系反応容器中で水熱合成を行うことを特徴とする(1)又は(2)記載の多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
(5)電圧を印加する際に5〜50Vの電圧を印加することを特徴とする(1)又は(2)記載の多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
(6)多孔質基板が平板状又は円管状であることを特徴とする(1)又は(2)記載の多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
(7)シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板を存在させて電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させて得られることを特徴とする多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成した分離膜。
(8)シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板と電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させて得られることを特徴とする多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
(9)シリカがシリカライトであることを特徴とする(7)又は(8)記載の多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
(10)前記基板表面のシリカ種結晶とシリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを開放系反応容器中で水熱合成を行うことを特徴とする(7)又は(8)記載の多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
(11)電圧を印加する際に5〜50Vの電圧を印加することを特徴とする(7)又は(8)記載の多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
(12)多孔質基板が平板状又は円管状であることを特徴とする(7)又は(8)記載の多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
本発明で得られる分離膜の効果は以下の通りである。
1.泳動電着法を用いることで、従来の種結晶を手で塗布する方法に比べ、格段に平滑かつ均一に種結晶を塗布できる。
2.泳動電着法を用いることで、手で種結晶を塗布する方法よりも再現性よく種結晶を塗布することができる。種結晶塗布量を電圧や電圧印加時間を制御することで精密に制御することができる。
3.種結晶塗布法として、電着浴、電極、直流電源だけで種結晶を塗布できるので、大量生産性、低コスト化に有効である。
4.従来の種結晶を泳動電着法により塗布し、水熱合成する方法は、緻密電極基板上に種結晶を塗布し、水熱合成で膜を形成しているため、そのままでは分離膜として使用できない。そのため、基板からはがして自立膜としている。この場合、基板からはがしやすい形状のものに膜形状が限定され、また、膜強度を高めるため、膜厚を厚くする必要があった。これは分離膜の膜透過性能を低下させるものである。本発明は、多孔質基板上に緻密膜を製膜できるので、シリカライト膜を自立膜(セルフサポート膜)にする必要がなく、浸透気化などの膜を隔てての圧力差を利用する分離法を適用する上で、膜厚を薄くすることができ、膜透過流速を高くすることができる。
5.管状型多孔質基板の内側にも均一に種結晶を塗布することができる。これは手で種結晶を塗布する場合には不可能なことである。
本発明により得られたシリカライト薄膜は、化石資源に変わる新たなエネルギーとして注目されているバイオマス資源を利用する上で、バイオマス資源から発酵により得られるバイオエタノールを連続的かつ選択的に分離・濃縮するプロセスに利用できる。
本発明のゼオライトとは、分子サイズの細孔径を有した結晶性無機酸化物である。
分子サイズは、一般的には、0.2から2nm程度の範囲のものを意味する。言いかえれば、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタロアルミノフォスフェート等で構成された結晶性マイクロポーラス物質のことである。
結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェートの種類は特に制限がなく、例えば、アトラス オブ ゼオライト ストラクチュア タイプス(マイヤー、オルソン、バエロチャー、ゼオライツ、17(1/2)、1996)(Atlas of Zeolite Structure types(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites, 17(1/2), 1996))に掲載されている構造をもつ結晶性無機多孔性物質が挙げられる。
ゼオライトの中でMFI型ゼオライトは、0.56nm×0.53nmの僅かに歪んだ楕円状細孔径を有するストレートチャンネルと、0.55nm×0.51nmの僅かに歪んだ楕円状細孔径を有するシヌソイダルチャンネルを持つ。ストレートチャンネルはMFI型ゼオライト結晶のb軸方向に沿って直線状に開口しており、(0 1 0)面に細孔入り口を持つ。一方、シヌソイダルチャンネルはa軸方向に沿ってジグザグに開口しており、(1 0 0)面に細孔入り口を持つ。ストレートチャンネルとシヌソイダルチャンネルは結晶内で繋がり合い、2次元的細孔構造を形成する。MFI型ゼオライトの構成元素は、一般的にはケイ素とアルミニウムと酸素であり、アルミニウム原子近傍にイオン交換サイトを有する。そのイオン交換サイトに各種金属イオンを導入することができる。また、アルミニウム含有量は、シリカ/アルミナ比で20から無限大まで制御でき、特に、シリカ/アルミナ比が無限大のMFI型ゼオライトは疎水的な性質を有し、シリカライト−1構造と言われる。本発明で扱うシリカライトは、アルミニウム原子を含まない特殊なゼオライトである。よって他のゼオライトの特性である正の電荷を補うといった特性を示さず、電気的に中性である。その為、シリカライトは他のゼオライトに比べ疎水的であり、水/アルコール系において、より疎水的なアルコールを選択的に収着し透過するという特異的な性質を示す。
なお、本発明の実施例にあるMFI型ゼオライトは、原料液中にアルミニウムを含まないため、シリカライト−1構造である。
ゼオライト合成用ゲルを製造して、これを用いる場合には以下のようにする。
常法のゼオライト合成方法が適用される。例えばゼオライトA型合成用のゲルは以下の方法により調製できる。すなわちアルミン酸ナトリウム(NaAlO2、87%)を水に溶解し、これにシリカゾル(SiO2、30%)を添加する。この混合物を30分間撹拌して均一にした後水酸化ナトリウム溶液を添加すると、Na2O/SiO2=0.5、SiO2/Al23=4、H2O/Na2O=246なる組成を有するゲルが生成する。本発明で製造することのできるゼオライトとしては例えば、ZSM−5、シリカライト、ゼオライトA型、ゼオライトY型等どのような種類でもよい
シリカ源、アルカリ、およびテンプレート剤(結晶化促進剤。シリカライトに数オングストロームの細孔を形成させるもの)からなる水熱合成ゲルを調整する。
シリカ源としては、ケイ酸ナトリウム、シリカゾル、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、水ガラス、メタケイ酸カリウム、シリコンアルコキシド等、アルミナ源として硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等を用いる。
アルカリ金属源として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等である。これらの中から目的とするゼオライトの種類、組成にしたがって、シリカ源、アルミナ源、アルカリ金属源を任意に選択することができる。
テンプレートとして、テトラプロピルアンモニウムブロマイド(TPABr)、テトラブチルアンモニウムブロマイド等を用いることができる。
なお本発明で製造するゼオライト膜はどのような組成のものであってもよい。例えばアルミナ成分を含有しない特殊なゼオライトであってもよい。またシリカ、アルミナ以外に、酸化チタン、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化イットリウム等を含有するゼオライトであってもよい。
種結晶の合成は以下の通りである。
シリカ源、アルカリ、およびテンプレート剤(シリカライトに数オングストロームの細孔を形成させるもの)からなる水熱合成ゲルを調整し、開放系反応容器に入れ、撹拌しつつ加熱する。臭化テトラプロピルアンモニア水溶液にコロイダルシリカ及び水酸化ナトリウム水溶液を加えたものを、約40℃で24時間攪拌し、合成ゲルを調整した。ろ過した合成ゲルを開放系反応器に入れ、攪拌しつつ約100℃で96時間保持した。この加熱温度は80℃から150℃の範囲である。100℃程度の加熱で十分である。得られた種結晶を遠心分離機によって回収し、ろ液が中性になるまで、イオン交換水で洗浄した。洗浄した種結晶を120℃で乾燥させた後、テンプレートを除去するために375℃で60時間保持し、焼成する。本発明では、得られた種結晶の同定を行い、3μm以下のシリカライト種結晶が得られる事を確認した(図1)。左側の図はX線回折、中央部はSEM、右側が光散乱粒度分布を示す図である。シリカライトの特性を確認したものである。
また、前記合成の条件を変えることで様々な粒径のシリカライト種結晶が合成できる事が明らかとなった。
前記のシリカを種結晶として、有機溶媒又は水に分散させ、懸濁状態とし、これを維持する。
有機溶媒としては、有機溶媒として知られているものであれば、適宜使用することができる。極性のあるなしで検討してみると、極性のある溶媒の方が好ましい)という傾向にある。メタノール、エタノール、1-プロパノール等のアルコールなどのほか、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、が用いられる。
シリカを種結晶と溶媒の割合は適宜決定することができる。一般的には、懸濁状態に維持できる濃度であれば差し支えない。懸濁状態を良好に保つために、スターラーやホモジナイザーによる撹拌手段を用いる事が有効であり、超音波を照射することが必要に応じて行なわれる。このようにして電着液を製造する。
次に、シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板と電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させる。
これに先立って以下の実験を行い多孔質基板上に前記シリカ膜を付着させることができることを確認した。
前記合成法により得られたシリカライト種結晶1gを水又は有機溶媒100mlに添加し超音波を10分間した照射したものを電着液とした。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール等のアルコール類を用いた。泳動電着を行う上で重要となるシリカライト種結晶の表面電荷および分散性を知るため、各溶媒中に分散したシリカライト種結晶のζ電位を測定した。その結果、ζ電位はマイナスの値を示した。(図2) この結果から泳動電着法を利用する場合、シリカに含まれるシリカライト種結晶は陽極に向かって電気泳動する事が明らかとなった。この結果から、泳動電着法を利用する場合には、その値は−30〜70mVと溶媒中の粒子の帯電としては非常に大きく分散性も極めてよいことがわかった。
シリカライト種結晶を前記溶媒に懸濁させた状態で、ステンレス多孔質基板を陽極とし、対極にステンレス網を使用した装置(図3)を使用して電圧を印加した。この方法は、
電極基板に多孔質基板を用いる方法である(後で記載するように、電極基板として多孔質基板を直接使用するのではなく、多孔質基板を隔てて、その両側に電極を設置し、両極間に電圧を印加するという方法をとることができる。)。
多孔質基板には、アルミナ、ムライト、コーディライト等のセラミックの他、多孔質ステンレス、多孔質ガラス等を用いることができる。電気泳動の電極として多孔質基板を用いる場合、導電性を有していることが必要となる。この場合には、ステンレス鋼などの金属や導電性酸化物などを用いることができる。
また、多孔質であっても導電性を有していない酸化物を基板に用いる場合には、(セラミックス等)、無電解めっき等により導電性を付与すれば電気泳動の電極として、適用が可能となる。(例えば、具体的には、CuやNiなどを付与してやればよい。)
また、多孔質基板を電極としないので、多孔質基板を隔てて、その両側に電極を設置し、両極間に電圧を印加するという方法をとることで、多孔質基板を電極としなくても、分散させてある帯電粒子を多孔質基板上に捕捉(トラップ)し、種結晶を均一に塗布することができる。この場合には、多孔質基板が導電性であるかどうかは、問題とならない。
多孔質基板が平板状又は円管状とすることができる。この形状とすることにより得られる分離膜の形状を、平板状又は円管状とすることができる。
印加する電圧に関しては、格別制限されるものではなく、実際に、1〜数千Vの電圧を利用することができる。本発明の実験としては5〜50Vの電圧を印加することでシリカライト種結晶を泳動させ、多孔質基板表面にシリカライト種結晶を塗布することができことを確認した。その結果、シリカライト種結晶の塗布量は5〜20Vの範囲で印加電圧及び電気泳動時間に対して比例関係にあることを確認している(図4)。 また、5〜20Vの範囲では、ステンレス多孔質基板表面へシリカライト種結晶が均一に塗布されていることが明らかとなった(図5)。
製膜用合成ゲルとして、テンプレートとして臭化テトラプロピルアンモニウム水溶液を用いて、コロイダルシリカおよび水酸化ナトリウム水溶液に加えたものを室温で十分に攪拌する。具体的には2時間程度の撹拌で十分である。ろ過した合成ゲル(例えば、330g)をオートクレーブにいれ、そこに前記電着方法によりシリカライト種結晶を付着させた多孔質基板を、反応器内にいれて、加熱状態に保って水熱反応を行なう。反応温度は150から250℃の範囲の温度が採用される。具体的には、ボルトで密閉した後170℃で72時間保持することで製膜を行うことができた。オートクレーブおよび合成ゲルを自然冷却させた後、膜を取り出し、イオン交換水で洗浄した。取り出した膜を乾燥させた(具体的には温度が120℃)後、テンプレートを除去する為に昇温速度を一定にして一定時間保持を行なう。具体的には、0.1℃/minで375℃まで昇温し、60時間保持した。
以上の操作により目的とする、分離膜を得ることができる。
前記膜の性能について以下の手順によって、その効果を確認した。
浸透気化性能測定について
得られた膜は浸透気化装置(図6)を用いて、透過流速および選択率を測定した。その結果を図7に示す。この結果から、本発明の分離膜は、これらの点で良好な結果を示していることが理解できる。
シリカライト種結晶の同定に関するX線回折、走査電子顕微鏡および光散乱粒度分布データ 各種溶媒中におけるシリカライト種結晶のζ電位データ 泳動電着装置 泳動電着量測定データ 泳動電着後のステンレス基板写真 浸透気化装置 浸透気化性能データ

Claims (12)

  1. シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板を存在させて電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させることを特徴とする多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
  2. シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板と電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させることを特徴とする多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
  3. シリカがシリカライトであることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
  4. 前記基板表面のシリカ種結晶とシリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを開放系反応容器中で水熱合成を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
  5. 電圧を印加する際に5〜50Vの電圧を印加することを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
  6. 多孔質基板が平板状又は円管状であることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質基板表面にシリカライト緻密膜を形成する方法。
  7. シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板を存在させて電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させて得られることを特徴とする多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成した分離膜。
  8. シリカ種結晶を有機溶媒又は水に分散させた状態で、多孔質基板と電極間に電圧を印加して、多孔質基板表面に前記シリカ種結晶を付着させ、この基板表面のシリカ種結晶と、シリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを水熱合成することにより、シリカ種結晶を成長させて得られることを特徴とする多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
  9. シリカがシリカライトであることを特徴とする請求項7又は8記載の多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
  10. 前記基板表面のシリカ種結晶とシリカ源、アルカリ源、テンプレートをイオン交換水に加えて調整して得られる合成ゲルを開放系反応容器中で水熱合成を行うことを特徴とする請求項7又は8記載の多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
  11. 電圧を印加する際に5〜50Vの電圧を印加することを特徴とする請求項7又は8記載の多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
  12. 多孔質基板が平板状又は円管状であることを特徴とする請求項7又は8記載の多孔質基板表面上にシリカライト緻密膜を形成された分離膜。
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