JP2005216635A - 封止用カバーおよびエレクトロルミネッセンス装置 - Google Patents

封止用カバーおよびエレクトロルミネッセンス装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 薄型化が可能で吸水性に優れた乾燥手段を有する、エレクトロルミネッセンス装置用の封止用カバーを提供すること。
【解決手段】 表面にエレクトロルミネッセンス素子14が配設された基板13にエレクトロルミネッセンス素子14を覆って取着されるカバー本体11のエレクトロルミネッセンス素子14側の表面に、アルコキシシランを加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマを含有するシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物を用いてシロキサンポリマ被膜12が形成されている封止用カバーである。シロキサンポリマ被膜12は水分の物理的な吸着や、残留したアルコキシシランの加水分解やシロキサンポリマの加水分解による水の消費によって、発塵を伴うことなく、良好な吸水作用が得られるものとなるので、これを用いて長期間にわたって良好な発光特性を維持できるエレクトロルミネッセンス装置を提供することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、各種情報産業機器のディスプレイや発光素子等に用いられるエレクトロルミネッセンス装置のエレクトロルミネッセンス素子を封止するのに好適な封止用カバーに関し、特に長期間にわたって良好な発光特性を維持することができるエレクトロルミネッセンス装置用の封止用カバーとそれを用いたエレクトロルミネッセンス装置に関するものである。
一対の電極とその電極間に挟まれた発光層とからなり、電極間に電圧を印加することによって自発光するエレクトロルミネッセンス素子は、薄型ディスプレイとして現在広く普及している液晶ディスプレイに比較して、高輝度,高コントラスト,広視野角,薄型,少部品数等の長所を持つ次世代のディスプレイ用発光素子として注目されている。
エレクトロルミネッセンス素子には大別して、発光層が無機物からなる無機エレクトロルミネッセンス素子と、発光層が有機物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子とがある。発光体に無機材料を用いた無機エレクトロルミネッセンス素子としては、透明絶縁性基板の表面にITO(Indium Tin Oxide:以下、ITOと記す。)による透明電極と、SiOおよびSi等の第1の誘電体層と、硫化亜鉛・硫化カルシウム・硫化ストロンチウム・セレン化亜鉛・セレン化ストロンチウム等のII−VI族化合物半導体に発光中心となる元素としてマンガン・テルビウム・サマリウム・ツリウム・ユーロピウム・セリウム等の希土類元素を添加した発光層と、Al等による第2の誘電体層、およびアルミニウム等による背面電極が形成されたものがある。このような構成の無機エレクトロルミネッセンス素子は、透明性電極と背面電極との間に100V程度以上の交流電圧を印加することにより、この2つの電極間に挟まれた発光層が発光するものである。
また近年、有機エレクトロルミネッセンス素子が、発光効率の向上と寿命の向上が図られ実用領域に入りつつある。有機エレクトロルミネッセンス素子は、ガラスやプラスチック等の基板の表面に第1の電極を設け、この第1の電極上に有機エレクトロルミネッセンス層および第2の電極薄膜を堆積することにより作製される。第1の電極および第2の電極の少なくともどちらか一方は透明な電極とされる。第1および第2の電極間に電圧を印加して電流を供給すると、陽極側からホール,陰極側から電子が有機エレクトロルミネッセンス層に注入される。それにより、有機エレクトロルミネッセンス層中でのホールと電子との再結合によって発光体分子が励起され、励起された発光体分子が失活する際に発生した光が透明電極側から外部へ取り出される。
これらのエレクトロルミネッセンス素子は水分や酸素により特性が劣化するので、ディスプレイに用いるのに実用的な発光寿命を得るためには、水分や酸素等のエレクトロルミネッセンス素子に有害な雰囲気からエレクトロルミネッセンス素子を遮蔽する封止技術は必須である。
次に、従来の封止方法を用いたエレクトロルミネッセンス装置の例を説明する。
特許文献1において提案されているエレクトロルミネッセンス装置は、図5に断面図で示すように、有機EL素子51は、ガラス基板52上に、ITO電極53、有機発光材料層54、陰極55がこの順に積層された積層体56が形成され、この積層体56から隔離して乾燥手段58が配置され、積層体56と乾燥手段58とは、ガラス基板52とガラス封止缶57とが封止材59により気密的に接着されて形成された気密性容器内に封止されている。そして、この気密性容器内には乾燥した不活性ガスが封入されている。この有機EL素子51においては、化学的に水分を吸着するとともに吸湿しても固体状態を維持する化合物により乾燥手段58が形成されている。そして、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、有機物等から成る化学的に水分を吸着するとともに吸湿しても固体状態を維持する化合物を用いて乾燥手段58とするとともに、この乾燥手段58を、互いに対向する一対の電極53・55間に有機発光材料層54が挟持されてなる積層体56から隔離して気密性容器内に封入する構成としたので、乾燥手段58が吸湿した後も素子51に悪影響を及ぼすことがないとともに、封入の際の取扱いが容易であり、しかもリーク電流やクロストークの発生を招かないことから、この有機EL素子51においては、長期にわたって安定した発光特性が維持されるというものである。
この特許文献1には、乾燥手段58に用いる化合物について、アルカリ金属酸化物として、酸化ナトリウム・酸化カリウムを挙げ、アルカリ土類金属酸化物としては、酸化カルシウム・酸化バリウム・酸化マグネシウムを挙げている。また、硫酸塩としては、硫酸リチウム・硫酸ナトリウム・硫酸カルシウム・硫酸マグネシウム・硫酸コバルト・硫酸ガリウム・硫酸チタン・硫酸ニッケルを挙げている。そして、金属ハロゲン化物としては、塩化カルシウム・塩化マグネシウム・塩化ストロンチウム・塩化イットリウム・塩化銅・ふっ化セシウム・ふっ化タンタル・ふっ化ニオブ・臭化カルシウム・臭化セリウム・臭化セレン・臭化バナジウム・臭化マグネシウム・よう化バリウム・よう化マグネシウム等を挙げている。さらに、過塩素酸塩としては、過塩素酸バリウム・過塩素酸マグネシウムを挙げている。
一方、乾燥手段58の封入方法としては、例えば、上記の化合物を固形化して成形体とし、この成形体をガラス封止缶57に固定する方法や、上記の化合物を通気性を有する袋に入れてガラス封止缶57に固定する方法や、ガラス封止缶57に仕切りを設け、この仕切りの中に上記の化合物を入れる方法や、さらには真空蒸着法,スパッタ法あるいはスピンコート法等を用いてガラス封止缶57内に成膜する方法等の種々の方法を採用することができるとしている。近年では、より薄型化の要求から、成型体を固定するよりも薄型化が容易な膜形成が注目されている。
エレクトロルミネッセンス素子を封止するための封止カバーとしては、特許文献1に記載されたガラス缶のものの他、金属缶も使用される。また、缶状ではなく、ガラス板等の板状のものや高分子フィルム等も封止カバーに使用される。
次に、板状の封止カバーを使用したエレクトロルミネッセンス装置の例を示す。特許文献2では、化学的に水分を捕水する捕水剤層67aを捕水剤保持層67bに設けることによりダークスポットの成長を抑えることができる乾燥剤を有した有機EL素子を提案している。これは、有機EL材料層(ホール注入層64a,ホール輸送層64b,発光層兼電子輸送層64c)が互いに対向する一対の電極(陽極65,陰極66)間に積層された構造を有する発光部と、この発光部を配設するガラス基板62および発光部を覆いガラス基板62に封止する封止キャップ63からなる気密容器と、この気密容器内に設けられた捕水手段を有する有機EL素子において、捕水手段が気密容器の内面に設けた捕水剤保持層67bと、この捕水剤保持層67bの表面に設けた捕水剤層67aとで構成された有機EL素子である。
特開平9−148066号公報 特開2003−264061号公報
吸水剤,保水剤,乾燥剤,吸湿剤等の乾燥手段は物理的な水分子の吸着や化学反応による水の消費によって封止雰囲気中の水分量を減少させるものであるが、それによる乾燥は反応面積が大きいほど効率的である。しかしながら、乾燥剤は、有効面積を大きくするため粒状にして封止容器内に固定したものもあるが、吸水剤として十分機能させつつ薄型化することが容易ではないことや、封止後にゴミの発生源とならないように封止容器内に固着することが難しいといった問題点がある。
また、特許文献1の提案のように乾燥手段58を真空蒸着法,スパッタ法あるいはスピンコート法等を用いてガラス封止缶57内に成膜した場合は、緻密な膜となり有効面積が大きいとは言えないものとなるという問題点がある。さらに、アルカリ土類金属酸化物等を使用した場合には、吸湿によって水酸化物が生成されるために体積膨張を伴い、緻密な膜状である場合には膜が破壊されて、発塵や透明性の低下等を引き起こす可能性があるという問題点もある。
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄型化が可能で、吸水性に優れた乾燥手段を有した封止カバーと、それを用いて長期間にわたって良好な発光特性を維持できるエレクトロルミネッセンス装置を提供することにある。
本発明の封止用カバーは、表面にエレクトロルミネッセンス素子が配設された基板に前記エレクトロルミネッセンス素子を覆って取着されるカバー本体の前記エレクトロルミネッセンス素子側の表面に、アルコキシシランを加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマを含有するシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物を用いてシロキサンポリマ被膜を形成したことを特徴とするものである。
また、本発明の封止用カバーは、上記構成において、前記シロキサンポリマ被膜は、多孔質性であることを特徴とするものである。
また、本発明の封止用カバーは、上記構成において、前記シロキサンポリマ被膜は、前記シロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物から成る層を超臨界乾燥して形成されたものであることを特徴とするものである。
また、本発明の封止用カバーは、上記構成において、前記カバー本体および前記シロキサンポリマ被膜は、前記エレクトロルミネッセンス素子の発光に対して透光性であることを特徴とするものである。
そして、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、表面にエレクトロルミネッセンス素子が配設された基板に、上記各構成の本発明の封止用カバーを取着してなることを特徴とするものである。
本発明の封止用カバーによれば、エレクトロルミネッセンス素子を覆って取着されるカバー本体のエレクトロルミネッセンス素子側の表面に、アルコキシシランを加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマを含有するシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物を用いてシロキサンポリマ被膜を形成したことにより、このシロキサンポリマ被膜は、水分の物理的な吸着や、残留したアルコキシシランの加水分解やシロキサンポリマの加水分解による水の消費によって、発塵を伴うことなく、良好な吸水作用が得られる乾燥手段(吸水剤)として機能するので、封止するエレクトロルミネッセンス素子を長期間にわたって良好な発光特性を維持できるものとすることができる。
また、本発明の封止用カバーによれば、シロキサンポリマ被膜が多孔質性である場合には、被膜が単なる層である場合と比較して雰囲気と接する表面積が大きくなるため、水分子の吸着や化学反応に伴う水の消費、すなわち、吸水の効率がより高いものとなる。
さらに、本発明の封止用カバーによれば、シロキサンポリマ被膜がシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物から成る層を超臨界乾燥して形成したものである場合には、シロキサンポリマ被膜が良好な多孔質性となることによって、空孔率が高くなり、また、シロキサンポリマ被膜形成時の残留水分量や残留溶媒を少なくした良好な多孔質性のシロキサンポリマ被膜を容易に形成することができ、より良好な吸水効果が得られるものとなる。
また、本発明の封止用カバーによれば、カバー本体およびシロキサンポリマ被膜が、エレクトロルミネッセンス素子の発光に対して透光性である場合には、この封止用カバーを用いてエレクトロルミネッセンス素子を封止したエレクトロルミネッセンス装置を作製した場合に、封止用カバー側からエレクトロルミネッセンス層の発光を取り出すことができる。つまり、いわゆるトップエミッション型のエレクトロルミネッセンス素子を封止するための封止用カバーとして好適なものとなる。
さらに、これらの封止用カバーで基板の表面に配設されたエレクトロルミネッセンス素子を封止した本発明のエレクトロルミネッセンス装置によれば、薄型で、内部空間の水分を封止用カバーに形成されたシロキサンポリマ被膜によって効率よく吸水することができ、また、シロキサンポリマ被膜からの発塵や透光性の低下が抑制されるので、発光特性を長期に渡って良好に維持することができるものとなる。
以下、本発明の封止用カバーおよびそれを用いたエレクトロルミネッセンス装置について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ本発明の封止用カバーの実施の形態の一例および他の例を示す断面図である。図1および図2において、11,21はカバー本体、12,22はカバー本体11,21の表面に形成されたシロキサンポリマ被膜である。
また、図3および図4は、それぞれ本発明のエレクトロルミネッセンス装置の実施の形態の一例および他の例を示す断面図である。図3および図4において、13,23は基板、14,24は基板13,23の表面に配設されたエレクトロルミネッセンス素子、15,25はシール材である。また、基板13,23にはエレクトロルミネッセンス素子14,24を覆って封止用カバーが取着されており、11,21は封止用カバーのカバー本体、12,22はカバー本体11,21のエレクトロルミネッセンス素子14,24側に形成されたシロキサンポリマ被膜である。
カバー本体11,21の材質としては、アルカリガラス・無アルカリガラス・石英ガラス等のガラス、SUS・アルミニウム等の金属、ポリカーボネート・ポリエチレン・アクリル・ポリオレフィン等の樹脂、アルミナ・ジルコニア・窒化アルミニウム等のセラミックスが用いられる。
また、カバー本体11,21の形状としては、図1に示すような板状や、図2に示すような凹形状等、所望の形状とすればよい。図2に示すカバー本体21の凹形状は、図4に示すように、基板23にこの封止用カバーを取着してエレクトロルミネッセンス素子24を封止する際に、内部に収容されるエレクトロルミネッセンス素子24に接触して破壊することを避けるためのものである。この凹形状の凹部の深さは、例えば表面が平坦な基板23に取着する場合は、内部に収容されるエレクトロルミネッセンス素子24の厚さよりも十分大きく設定する。また、凹形状の凹部の大きさ(幅,長さ)は、エレクトロルミネッセンス素子24が接触することなく内部に収容されるように設定する。その場合、封止工程の際に発生するカバー本体21の位置ずれも考慮する必要がある。
カバー本体11,21のエレクトロルミネッセンス素子14,24を覆う側の表面に形成されたシロキサンポリマ被膜12,22は、アルコキシシランを加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマを含有するシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物を用いて形成したものである。
本発明において使用されるシロキサンポリマ被膜12,22のアルコキシシランは下記一般式で表わされるものである。
Si(OR’)4−m
ただし、R,R’は同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ水素,アルキル基,アリール基,アルケニル基,およびそれらの置換体を表わす。また、mは0〜3の整数である。
Rは、例えば、水素,メチル基・エチル基・プロピル基等のアルキル基,フェニル基等のアリール基,ビニル基等のアルケニル基,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基・γ−メタクリロキシプロピル基・γ−グリシドキシプロピル基・γ−クロロプロピル基・γ−メルカプトプロピル基・γ−アミノプロピル基・N−フェニル−γ−アミノプロピル基・N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル基・トリフロオロメチル基・3、3、3−トリフルオロプロピル基等の置換アルキル基等が挙げられる。これらの中から、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この選択により、得られる被膜の特性を調整することが可能である。特に、被膜の強靭性向上の点からは、Rとしては、アルコキシ基を除く、反応性基を有するものであるのが望ましい。例えば、ビニル基,γ−メタクリロキシプロピル基,γ−グリシドキシプロピル基である。これらを用いることにより、得られるシロキサンポリマ被膜は、シロキサン骨格のみでなく、これら反応基による架橋形成による骨格形成が成され、被膜の強靭性が向上するものである。
R’は、例えば、水素,メチル基・エチル基・n−プロピル基・i−プロピル基n−ブチル基・sec−ブチル基・t−ブチル基等のアルキル基,フェニル基等のアリール基,アセチル基・β−メトキシエトキシ基等の置換アルキル基等が挙げられる。
これらのアルコキシシランの具体例としては、テトラヒドロキシシラン・テトラメトキシシラン・テトラエトキシシラン・メチルトリメトキシシラン・メチルトリエトキシシラン・フェニルトリメトキシシラン・フェニルトリエトキシシラン・ビニルトリメトキシシラン・ビニルトリエトキシシラン・γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン・γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン・γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン・ジメチルジメトキシシラン・ジメチルジエトキシシラン・ジフェニルジメトキシシラン・ジフェニルジエトキシシラン・γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン・γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン・トリフルオロメチルトリメトキシシラン・トリフルオロメチルトリエトキシシランを挙げることができ、これらのアルコキシシランは単独または2種以上を混合して用いることができる。
これらのアルコキシシランの加水分解および縮合反応は無溶媒で行なってもよいが、通常は有機溶媒中で行なわれる。この有機溶媒としては、例えば、メタノール・エタノール・プロパノール・ブタノール・3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール類,エチレングリコール・プロピレングリコール等のグリコール類,エチレングリコールモノメチエーテル・プロピレングリコールモノメチルエーテル・プロピレングリコールモノブチルエーテル・ジエチルエーテル等のエーテル類,メチルイソブチルケトン・ジイソブチルケトン等のケトン類,ジメチルホルムアミド・ジメチルアセトアミド等のアミド類,エチルアセテート・エチルセロソルブアセテート・3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のアセテート類,トルエン・キシレン・ヘキサン・シクロヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素の他、N−メチル−2−ピロリドン・γ−ブチロラクトン,ジメチルスルホキシドを挙げることができる。
本発明におけるシロキサンポリマ被膜12,22においては、溶媒は除去されることなく、最終的に得られる塗液の溶剤を兼用することができる。従って、得られる塗液の塗布性向上の点からは、溶媒には沸点が100〜300℃の液体を用いることが好ましい。
溶媒の量は任意に選択可能であるが、アルコキシシラン1質量部に対して、0.1〜10.0質量部の範囲で用いるのが好ましい。
加水分解および縮合反応を行なわせるために用いる水はイオン交換水が好ましく、その量はアルコキシシラン1モルに対して、1〜4倍モルの範囲で用いるのが好ましい。
また、加水分解および縮合反応をさせるために、必要に応じて触媒を用いることができる。用いる触媒としては、塩酸,硫酸,酢酸,トリフルオロ酢酸,リン酸,硼酸,p−トルエンスルホン酸,イオン交換樹脂等の酸触媒、およびトリエチルアミン,ジエチルアミン,トリエタノールアミン,ジエタノールアミン,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の塩基触媒が挙げられるが、得られる被膜の強靭性向上の点からは酸触媒が好ましい。
触媒の量は、アルコキシシラン1質量部に対して、0.001〜0.1質量部の範囲で用いるのが好ましい。0.1質量部を超えると、塗液の保存安定性および平坦性が損なわれる傾向がある。また、0.001質量部より少ない場合では、低重合度ポリマーしか得られず塗布性が損なわれる傾向がある。
加水分解および縮合反応の反応温度は、通常は凝固点から沸点の範囲で選択されるが、沸点以上の温度で、副生する低沸点アルコールおよび水を留去させながら反応を進行させることが塗布性および保存安定性の点から好ましい。
また、反応温度は、通常は凝固点から沸点の範囲で選択される。
なお、反応雰囲気は窒素雰囲気下で行なうのが好ましい。
本発明におけるシロキサンポリマ被膜12,22に用いるシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物においては、上記のシロキサンポリマを、有機溶媒、好ましくは沸点が100℃以上の有機溶剤を溶剤として用いた溶液状態で用いるとよい。溶剤は、シロキサンポリマを合成した際の反応溶媒をそのまま溶剤として用いることもできる。また、必要に応じて、反応後に、塗布性向上等のために溶剤置換を行なうことや、濃度調整のために溶剤の添加・除去を行なうことも可能である。このときの溶剤としては、シロキサンポリマの合成に用いることができる溶媒として前述した溶剤を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
さらに、このシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物には、必要に応じて、膜硬化剤,粘度調整剤,界面活性剤,安定化剤,着色剤,ガラス質形成剤等を添加することができる。
ここで、シロキサンポリマ被膜12,22を得る方法としては、本発明で用いるシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物をスピンコート,ディッピングコート,スプレーコート,スクリーン印刷等の公知の方法によって、カバー本体11,21の表面に塗布し、乾燥するとよい。乾燥は、オーブンやホットプレートを用いて50〜300℃の範囲で30秒〜4時間行なって、溶媒の除去および被膜の硬化を行なう。膜厚が20μmを超えるような場合には数回に分けて積層形成するのがよい。100℃〜220℃の範囲で加熱硬化した場合には、十分な有機溶媒除去と十分なカバー本体との固着とができつつも、硬化が不十分な状態であり、つまり、重合度が低いシロキサンポリマ被膜であるために、多数の未反応基が残留したままであり、また緻密な層とはならないため、水分の物理的な吸着や、残留したアルコキシシランの加水分解やシロキサンポリマの加水分解による水の消費による吸水作用が高いものとなり好適である。
さらに、前記シロキサンポリマ被膜12,22が前記シロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物層を超臨界乾燥して形成されたものであるときは、そのシロキサンポリマ被膜12,22を多孔質性とすることができ、それによって、空孔率が高く、また、シロキサンポリマ被膜12,22形成時の残留水分量や残留溶媒を少なくした多孔質性のシロキサンポリマ被膜12,22を容易に形成することができ、より良好な吸水効果が得られるものとなる。
ここで、超臨界乾燥について説明する。
超臨界流体の機能物質には三態と称される気相(気体),液相(液体),固相(固体)の3つの存在状態がある。物質の相状態を温度を横軸、圧力を縦軸にとって表した状態図は、気相と液相との境界を示す蒸気圧曲線、気相と固相との境界を示す昇華曲線、固相と液相との境界を示す溶解曲線からなる。これら3つの相が重なったところが三重点である。この三重点から蒸気圧曲線が高温側に延びると気相と液相が共存する限界である臨界点に達する。この臨界点では気相と液相の密度が等しくなり、気液共存状態の界面が消失する。臨界点以上では気相、液相の区別がないため超臨界流体と呼ばれる。超臨界流体とは、この臨界温度以上で高密度に圧縮された流体である。溶媒分子の拡散力が支配的である点においては気体と類似しているが、分子の凝集力の影響が無視できない点においては液体と類似しているため種々の物質を溶解する性質を有している。しかも、温度や圧力により密度を連続的に変化させることができるため、理想気体の状態から液体に匹敵する大きさまで密度を任意に調整することができる。特に、臨界点近傍ではわずかな温度、圧力変化で密度の調整が可能である。そして、超臨界流体は、液体に比べ非常に高い浸潤性を有し、微細な構造にも容易に浸透する特徴がある。また、臨界状態から直接気層に転移するように乾燥させることで、気体と液体の界面が存在しないようにして毛管力が働かないようにして、微細構造を破壊することなく乾燥することができる。また、微細構造から特定物質の抽出・除去をするために利用することができる。
超臨界乾燥とは、このような超臨界流体を用いて超臨界状態を利用して乾燥することである。これには、溶媒を超臨界状態にした後に乾燥させる方法と、超臨界状態にした超臨界流体で溶媒を置換した後に乾燥させる方法がある。
超臨界乾燥を行なう際の超臨界流体としては、二酸化炭素・エタノール・メタノール・プロパノール・ブタノール・メタン・エタン・プロパン・水・アンモニア・メタン・エタン・エチレン・フルオロメタン等を用いることができる。中でも二酸化炭素は臨界点が温度31.1℃,圧力7.38MPaと比較的低温・低圧であるので容易に処理が可能である。
カバー本体11,21の表面にシロキサンポリマ被膜を形成する際に、カバー本体11,21上にシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成層を形成した後に、このシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物層を超臨界乾燥を利用して乾燥させた場合には、湿潤したウェットゲル状構造を破壊することなく乾燥させることができ、多孔質性のシロキサンポリマ被膜12,22を得ることができる。さらに、シロキサンポリマ被膜12,22中に水や有機溶媒が残留している場合には、さらなる水や酸素の吸収を妨げるものとなるが、超臨界乾燥によればそうしたシロキサンポリマ被膜12,22中の水や残留有機溶媒を除去することができ、得られたシロキサンポリマ被膜12,22の吸水作用はより良好なものとなる。
シロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物層を塗布する際は、シロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物層をスプレー法・スピンコート法・ディップコート法・ロールコート法・インクジェット法・スクリーン印刷法等によってカバー本体11,21の表面に塗布すればよいが、このうち、スプレー法・ディップコート法・ロールコート法・インクジェット法・スクリーン印刷法を用いた場合には、カバー本体11,21の所定の位置に所望の形状で塗布することができ好適である。スピンコート法・ディップコート法を用いた場合には、カバー本体11,21全面に塗布されるので、封止接合部等のシロキサンポリマ被膜12、22が不要な部分に形成されたシロキサンポリマ被膜12,22を後で除去する必要がある。
次に、シロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物層がカバー本体11,21と十分に固着する程度に100〜220℃の範囲で加熱処理を行なう。また、アンモニア等の触媒と水との蒸気下で加水分解や脱水重合を促進させてゲル化させてもよい。
ウェットゲル状のシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物層を形成した後、超臨界乾燥を行なう。例えば、カバー本体11,21を超臨界点が比較的低いエタノール中に浸漬させてウェットゲル層内のアンモニア等の触媒と水とを全てエタノールで置換し、このまま高圧容器内に保持させ,二酸化炭素の超臨界流体を流通させる。この場合、エタノールと二酸化炭素との二相状態となるが、十分臨界点以上となるような条件、例えば、温度80℃,圧力16MPaの条件で処理する。超臨界二酸化炭素とエタノールとは互いに相溶するので,超臨界二酸化炭素を連続的に流通させることでウェットゲル層内のエタノールをほぼ完全に抽出除去することができる。エタノールで置換することによってアンモニアの除去が行なえ、次に超臨界二酸化炭素でエタノールをほぼ完全に除去することができ、これによって吸水性に優れたシロキサンポリマ被膜12,22が得られる。
シロキサンポリマ被膜12,22が形成される面積は大きいほどよいが、少なくとも、封止用カバーにより封止されて収容されるエレクトロルミネッセンス素子14,24の配設面積よりも大きくするとよい。通常、エレクトロルミネッセンス素子14,24に用いられる陰極電極は軽金属であり、電子注入効率を良くするためにアルカリやアルカリ土類系の金属が含まれ、水や酸素によって劣化し易い。こうした金属電極が水や酸素と反応することを抑制する役割をシロキサンポリマ被膜12,22が十分に果たすためには、シロキサンポリマ被膜12,22が形成される面積がこの電極の面積と同程度以上であることが望まれる。エレクトロルミネッセンス素子14,24が形成された基板13,23にエレクトロルミネッセンス素子14,24を覆って取着されるカバー本体11,21のエレクトロルミネッセンス素子14,24側の表面に、取着の際に接合される部分を除いた領域の全面に、シロキサンポリマ被膜12,22を形成すればよい。
また、多孔質性のシロキサンポリマ被膜12,22を形成する別の方法としては、シロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物層をカバー本体11,21上に形成した後に、二酸化炭素の超臨界流体を溶解させ、その後、急激に圧力を下げることによってその層内に気泡を発生させて多孔質性のシロキサンポリマ被膜12,22とすることができる。
超臨界乾燥で得られるシロキサンポリマ被膜12,22中の空孔は直径が0.1〜10μmで数密度が10〜1015個/cmであるようなものが得られ、吸水性に優れたものとなる。さらに、超臨界乾燥の処理条件を適当に設定することにより、空孔のサイズが可視光線の波長と同等以下である場合には空孔による光散乱が小さくなるので、シロキサンポリマ被膜12,22の厚さが十分薄い場合には、空孔が多数存在する多孔質であってもエレクトロルミネッセンス素子14,24の発光に対してほぼ透明なものとすることができる。従って、カバー本体11,21をエレクトロルミネッセンス素子14,24の発光に対して透明な透光性の材料として、さらにシロキサンポリマ被膜12,22も同様の透光性を有するものとすれば、封止用カバー側からエレクトロルミネッセンス素子14、24の発光を取り出すことができ、いわゆるトップエミッション型のエレクトロルミネッセンス素子14,24を封止するための吸水性に優れた乾燥手段を有する封止用カバーとして用いることができる
なお、シロキサンポリマ被膜12,22の厚さは1〜200μm程度とすればよい。
次に、本発明のエレクトロルミネッセンス装置について説明する。図3および図4に示すように、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、表面にエレクトロルミネッセンス素子14,24が配設された基板13,23に、以上のような、カバー本体11,21のエレクトロルミネッセンス素子14,24側の表面にシロキサンポリマ被膜12,22が形成されている本発明の封止用カバーを取着してなるものである。
基板13,23は、その表面にエレクトロルミネッセンス素子14,24を配設するための基板であり、材質としては、例えばアルカリガラス・無アルカリガラス・石英ガラス等のガラス,SUS・アルミニウム等の金属,ポリカーボネート・ポリエチレン・アクリル・ポリオレフィン等の樹脂,アルミナ・ジルコニア・窒化アルミニウム等のセラミックスが用いられる。基板13,23には、ディスプレイ用のエレクトロルミネッセンス装置である場合には、アクティブマトリクス表示装置とするためのTFT素子等からなる駆動回路が形成されているものが好適に用いられる。
基板13,23の表面に配設されたエレクトロルミネッセンス素子14,24は、有機エレクトロルミネッセンス材料層または無機エレクトロルミネッセンス材料層が一対の電極間に積層された構造の発光体として構成された発光機能を有するものである。なお、図3および図4には図示していないが、エレクトロルミネッセンス素子14,24の電極はそれぞれ外部の駆動回路と電気的に接続されている。
また、シール材15,25は基板13,23と封止用カバーのカバー本体11,21とを接合するものであり、十分な接着性と気密性が確保できる材料からなる封止用部材である。シール材15,25は、カバー本体11,21および基板13,23の形状に応じて、例えば図3に示すように内側にシロキサンポリマ被膜12およびエレクトロルミネッセンス素子14を収容できる厚みを持った枠状のシール材15を用いたり、図4に示すように中央部にシロキサンポリマ被膜22およびエレクトロルミネッセンス素子24を収容可能な凹部を有するカバー本体21の枠状部と基板23との間に層状に配置されるシール材25を用いたりすればよい。このシール材15,25には、例えば、熱硬化型や光硬化型のエポキシ系・アクリル系等の樹脂系接着剤や半田等を用いればよい。また、基板13,23とカバー本体11,21との間に適当な隙間を確保したり、基板13,23およびカバー本体11,21との間で熱膨張係数を調整したりするためのガラスや金属等から成る粒(フィラー)を含有していてもよい。
そして、エレクトロルミネッセンス素子24,25が配設された基板13,23は、シロキサンポリマ被膜12,22が表面に形成されたカバー本体11,21がシロキサンポリマ被膜12,22およびエレクトロルミネッセンス素子14,24を内部に収容するようにしてシール材15,25で接合されることにより、内部にエレクトロルミネッセンス素子14,24が封止されてエレクトロルミネッセンス装置となる。この封止作業は乾燥雰囲気下や真空下で行ない、エレクトロルミネッセンス素子14,24およびシロキサンポリマ被膜12,22が封止された内部空間は、乾燥した希ガスや樹脂を充填したり、真空としたりする。ここで、内部空間に大気圧以上の希ガスを封入した場合には、外部からの水分や酸素等の侵入を効果的に抑制できるものとなる。
次に、本発明の具体例を説明する。
アルコキシシランとして、メチルトリメトキシシラン7モル/ジメチルジメトキシシラン3モル/フェニルトリメトキシシラン2モルと、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル1.5kg,触媒として塩酸0.1モル,水33モルとを原料として、これらを混合し加水分解させて、シロキサンポリマを合成した。途中、130℃のオイルバスで加熱し、低沸点物を留出させながら反応させた。得られた溶液に対しプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて、シロキサンポリマ固形分濃度を35質量%に調整したシロキサンポリマ被膜形成用塗液を得た。このシロキサンポリマは質量平均分子量(Mw)が約55400、分子量分散(Mw/Mn)が17.3であった。ここで、分子量測定はゲルパーミエーションにより行ない、ウォーターズ社製Model−510を用いた。測定条件としては、カラムとして昭和電工(株)製KF−804L・KF−803・KF−802の3本直列つなぎ、カラム温度40℃、溶媒としてテトラヒドロフラン、流速0.8ml/分、また、分子量基準として単分散ポリスチレンを用いた。
次に、シロキサンポリマ被膜形成用塗液を平坦な無アルカリガラス基板の表面にスクリーン印刷法により塗布した。次いで、この基板をオーブン中で150℃,1時間放置して加熱硬化させた。その後、温度80℃,圧力16MPaの条件下の高圧容器内に基板ごと入れて、二酸化炭素の超臨界流体を流通させてシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物層内の残留水分や残留有機溶媒を抽出除去した後に乾燥して、厚さ10μmのシロキサンポリマ被膜を有する図1に示すような封止用カバーを作製した。
一方、無アルカリガラス基板の表面の一部に、ITO(Indium Tin Oxide)から成る陽極,銅フタロシアニン(CuPc)有機膜から成るホール注入層,α−NPD(Bis(N−(1−naphtyl−N−phneyl)benzidine)有機膜から成るホール輸送層,トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)有機膜から成る発光・電子輸送層およびAlLiから成る陰極を順次積層した有機エレクトロルミネッセンス素子を形成して配設した。
次に、無アルカリガラス基板の表面の有機エレクトロルミネッセンス素子の周囲にガラスフィラーを含む紫外線硬化型エポキシ系接着剤をシール材として厚さ20μm程度に塗布して、乾燥した窒素雰囲気下で、先に作製した封止用カバーをシロキサンポリマ被膜が内側になるようにかぶせ、エポキシ系接着剤の部分に紫外線を照射して硬化させて、図3に示すような本発明のエレクトロルミネッセンス装置を作製した。なお、エレクトロルミネッセンス素子の陽極および陰極にそれぞれ接続された外部取り出し用配線がエポキシ系接着剤によるシール部を通して外部へ導出されている。
このようにして作製した本発明のエレクトロルミネッセンス装置について、温度85℃にてエレクトロルミネッセンス素子に100時間通電して発光させた後の発光の状態を観察したところ、多孔質層によって封止空間内の水分が吸着されることによって、封止空間内の乾燥状態が維持されてエレクトロルミネッセンス素子の有機膜および電極層が水によって劣化することが抑制されたことから、試験開始直後に比べてダークスポットの新たな発生や拡大はほとんど見られなかった。
一方、シロキサンポリマ被膜を形成しない比較例のエレクトロルミネッセンス装置を作製して行なった同様の試験では、エレクトロルミネッセンス素子の製作プロセス中に絶縁材料等に含まれた水分や外部から浸入した水分によってエレクトロルミネッセンス素子の有機膜および電極層が劣化したことから、著しいダークスポットの拡大が見られた。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、外光の反射を抑制するためや視野角依存性を抑えるために表面に微小な凹凸を形成した封止用カバーを用いたり、無機系材料を用いたエレクトロルミネッセンス素子を封止するために用いたりしても構わない。
本発明の封止用カバーの実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の封止用カバーの実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明のエレクトロルミネッセンス装置の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明のエレクトロルミネッセンス装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 従来のエレクトロルミネッセンス装置の例を示す断面図である。 従来のエレクトロルミネッセンス装置の他の例を示す断面図である。
符号の説明
11,21・・・カバー本体
12,22・・・シロキサンポリマ被膜
13,23・・・基板
14,24・・・エレクトロルミネッセンス素子
15,25・・・シール材

Claims (5)

  1. 表面にエレクトロルミネッセンス素子が配設された基板に前記エレクトロルミネッセンス素子を覆って取着されるカバー本体の前記エレクトロルミネッセンス素子側の表面に、アルコキシシランを加水分解および縮合させることによって得られるシロキサンポリマを含有するシロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物を用いてシロキサンポリマ被膜を形成したことを特徴とする封止用カバー。
  2. 前記シロキサンポリマ被膜は、多孔質性であることを特徴とする請求項1記載の封止用カバー。
  3. 前記シロキサンポリマ被膜は、前記シロキサンポリマ被膜形成用塗液組成物から成る層を超臨界乾燥して形成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の封止用カバー。
  4. 前記カバー本体および前記シロキサンポリマ被膜は、前記エレクトロルミネッセンス素子の発光に対して透光性であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の封止用カバー。
  5. 表面にエレクトロルミネッセンス素子が配設された基板に、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の封止用カバーを取着してなることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
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